JP2017110132A - 動物繊維成形物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】応力-ひずみ特性等の機械的特性が高い動物繊維成形物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の動物繊維成形物は、動物繊維の圧縮成形物であり、前記成形物の比重は前記動物繊維の比重の0.9〜1倍の範囲である。本発明の動物繊維成形物の製造方法は、前記の動物繊維成形物の製造方法であって、動物繊維の繊維束、繊維シート、不織布、糸、紐、織物、編物及び多軸繊維シートから選ばれる少なくとも一つの繊維集合体とし、前記繊維集合体を圧縮成形する。本発明の動物繊維成形物は、繊維同士が一体化し、見掛け上樹脂化しており、成形物それ自体を構成する繊維で強化された成形物である。
【選択図】図5

Description

本発明は、動物繊維を原料とし、これを圧縮成形した動物繊維成形物及びその製造方法に関する。
従来から動物繊維を原料とする圧縮成形物は知られている。特許文献1には粉末又は繊維状ケラチンと、にかわ等のバインダー成分を混合してケラチン蛋白質成形品を得ることが提案されている。特許文献2〜4にはシルク粉末を用いて圧縮成形し、成形品とすることが提案されている。特許文献5には、ウール又は羽毛を粉砕し、これに水を加えて圧縮成形し、成形品とすることが提案されている。
特開平5−320358号公報 特開平3−211024号公報 特許第4783956号公報 特許第5084027号公報 特開2015−160850号公報
しかし、前記従来の圧縮成形品は、いまだ応力-ひずみ特性等の機械的物性が満足でなく、さらなる改良が求められていた。
本発明は前記従来の問題を解決するため、応力-ひずみ特性等の機械的特性が高い動物繊維成形物及びその製造方法を提供する。
本発明の動物繊維成形物は、動物繊維の成形物であり、前記成形物の比重は前記動物繊維の比重の0.9〜1倍の範囲であることを特徴とする。
本発明の動物繊維成形物の製造方法は、前記の動物繊維成形物の製造方法であって、動物繊維の繊維群、繊維束、繊維シート、不織布、糸、紐、織物、編物及び多軸繊維シートから選ばれる少なくとも一つの繊維集合体とし、前記繊維集合体を圧縮成形することを特徴とする。
本発明の動物繊維成形物は、動物繊維の圧縮成形物であり、前記成形物の比重は前記動物繊維の比重の0.9〜1倍の範囲である。この成形物は繊維同士が一体化し、見掛け上均一相であり樹脂化しており、成形物それ自体を構成する繊維で強化された成形物である。この構造により、成形物は応力-ひずみ特性等の機械的特性が高いものとなる。
図1は本発明の一実施例の成形温度を検討した成形物の写真である。 図2は同、実施例1の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図3は同、実施例2の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図4は同、実施例3の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図5は同、実施例4の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図6は同、実施例5の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図7は同、実施例6の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図8は同、実施例7の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図9は同、実施例8の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図10は同、実施例9の応力−変位(ひずみ)グラフである。 図11は同、実施例10の応力−変位(ひずみ)グラフである。
本発明は、動物繊維の圧縮成形物であり、前記成形物の比重は、前記動物繊維の比重の0.9〜1倍の範囲である。すなわち、本発明の成形物は動物繊維の比重とほぼ同程度に圧縮されており、空隙などはほとんどない状態であり、繊維同士が一体化しかつ成形物それ自体を構成する繊維で強化された成形物となる。見掛け上は繊維の形態は見られず、連続相でかつ均一相であり樹脂化している。この構造により、前記成形物は応力-ひずみ特性等の機械的特性が高いものとなる。
前記動物成形物は、添加物を含まない状態で透明性があるのが好ましい。透明度は、厚さ2mmの成形物を手の指に乗せると、指が判別できる程度である。具体的な可視光線透過率は10〜90%が好ましく、より好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜70%である。
前記動物繊維成形物は、破壊すると繊維状フィブリルとなるのが好ましい。前記のとおり本発明の成形物は、成形物それ自体を構成する繊維で強化された成形物であり、このことは成形物を破壊することで確認できる。ここで繊維状フィブリルとは、原料の繊維状態が現れることである。例えば原料繊維を一方向に配列して圧縮成形した場合、成形物を破壊すると前記配列した状態で元の繊維が現れる。
前記成形物は、動物繊維が少なくとも一方向に配列されているのが好ましい。動物繊維が少なくとも一方向に配列されているのは、前記したように破壊して繊維状フィブリルを観察することにより確認できる。一方向の繊維配列は、例えばトップ、スライバー等の繊維束、カードウェブ、不織布等の繊維シート又は、糸、紐等によって得られる。複数方向の配列はタテ、ヨコの2方向の織物、3方向以上の配列は多軸繊維シートによって得られる。
前記動物繊維成形物は、3点曲げ試験法で測定した最大点応力が40〜180MPaであるのが好ましく、より好ましくは50〜170MPaであり、さらに好ましくは60〜160MPaである。前記の範囲であれば、ポリエステルやポリアミド並みのエンジニアリングプラスチックの機械特性となる。
前記動物繊維は、獣毛繊維、シルク、スパイダーシルク、羽毛、これらの再生繊維及びこれらの誘導体繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維であるのが好ましい。動物繊維は獣毛繊維としてウール、カシミヤ、モヘア、アルパカ、アンゴラ、ラクダ等があり、非獣毛繊維として、シルク、スパイダーシルク、羽毛、これらの再生繊維及びこれらの誘導体繊維等がある。再生繊維は、例えば天然のシルクを溶媒に溶解して紡糸液とし、紡糸、延伸して繊維にしたものである。誘導体繊維は、例えば天然のスパイダーシルク由来のタンパク質をバイオ技術により産生し、これを溶媒に溶解して紡糸液とし、紡糸、延伸して繊維にしたものである。
本発明の動物繊維成形物は、動物繊維の繊維群、トップ、スライバーの繊維束、ウェブ、不織布等の繊維シート、糸、紐、織物、編物及び多軸繊維シートから選ばれる少なくとも一つの繊維集合体とし、前記繊維集合体を圧縮成形することにより得られる。前記において、動物繊維の繊維群は繊維の方向性が揃っていないものを示す。繊維束及びシートは繊維方向が少なくとも一方向に揃っているものである。本発明の成形物を得るには、バインダー樹脂や水などは特に必要としない。動物繊維100質量%で成形するのが好ましい。しかし、60質量%以下の範囲において、動物繊維以外の天然繊維及び合成繊維を含む繊維や樹脂、硬化剤、その他の添加剤等を混合することができる。
前記圧縮成形は、成形温度120〜180℃が好ましく、より好ましくは130〜170℃である。前記の範囲であれば、成形物は応力-ひずみ特性等の機械的特性が高いものとなる。同様に成形圧力は1〜100MPaが好ましく、より好ましくは10〜100MPaであり、さらに好ましくは30〜100MPaである。
前記動物繊維は獣毛繊維であり、少なくとも一部のスケールが除去されているのが好ましい。獣毛繊維の一例としてウールを挙げると、ウールの表面にはスケールが存在する。このスケールはクチクル細胞が鱗状に重なり、細胞の先端は鋸状に突き出し、毛先の方向に向いている。少なくとも一部又は全部のスケールを除去しておくと、圧縮成形物は透明性のものとなり、応力-ひずみ特性等の機械的特性が高いものとなる。
ウールのスケール除去方法は、例えば次の方法がある。
(1)塩素ガス又は塩素化合物を用いるクロイ法
(2)過マンガン酸カリウム−中性塩を用いるCSIRO法
(3)モノ過硫酸を用いるダイラン法
これらの方法では、スケールに存在するジスルフィド結合を酸化処理し、スルホン酸基(下記式[化1])又はシスチン酸(下記式[化2])にする。このとき、ジスルフィド結合の酸化だけではなく、ポリペプチド鎖も一部切断される(下記式[化3])。
[化1]−S−S− → 2(−SO3H)
[化2]−S−S− → (−SCH2CH(NH2)COOH)2
[化3]−CONH− → −COOH + −NH2
(但し、前記式化1〜3において、−はポリペプチド基を示す。)
したがって、ウールのスケールを少なくとも一部除去すると、スルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基等の活性基が増え、繊維同士は化学結合しやすい状態となる。
獣毛繊維は、前記のように少なくとも一部のスケールを除去した後、酵素処理しても良い。酵素はペプチド結合加水分解酵素の一種であるプロテアーゼ系、オリエンターゼ系等を使用するのが好ましい。
本発明の動物繊維成形物は、タンパク質で構成されていることから、液体の水に浸漬すると膨潤することもある。これを防ぐためには繊維撥水剤、例えばフッ素系撥水剤やシリコーン系撥水剤をコーティングしておくのが好ましい。フッ素系撥水剤としては、旭硝子社製、商品名“アサヒガード”、ダイキン社製、商品名“ユニダイン”等がある。
以下、実施例を用いてさらに具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<3点曲げ試験法>
JIS K7177(ISO 178,ASTM D 790・FRP)に準拠した測定方法により測定した。測定物は直径20mm、厚さ2mmの円盤状の圧縮成形物とした。
<可視光線透過率>
日立社製、分光光度計U−3900を使用して下記の条件で測定した。
・オプション 積分球
・測定波長 350〜750nm
・スキャンスピード 600nm/min
・サンプリング間隔 0.5nm
・スリット 2nm
・セル長 10.0nm
下記の実施例中、「透明性がある」としているのは、肉眼観察して実際に測定したサンプルとの対比で可視光線透過率50〜60%の範囲をいう。
(実施例1)
この実施例では成形温度の依存性を調べた。メリノ種ウール(平均繊維直径20.5μm、平均繊維長90mm)を洗毛し乾燥し、カード機で開繊し、スライバーとし、コーマ機でトップとした。トップは紡績糸になる前の繊維束であり、繊維が一方向に配列されている。このトップを、塩素ガスを溶解した塩素化液中に通してクロイ加工した。塩素化液中の塩素濃度は、繊維質量に対し2.0質量%とした。塩素化液中へスラーバーを通す連続処理で行った。その後洗浄し、乾燥した。前記クロイ加工は、衣料用ウールの防縮加工として常用されている。前記クロイ加工したトップ0.80gを、事前乾燥なしで直径20mmの金型に繊維配列を乱さないように配列し、成形圧力:31MPa、温度:100〜190℃まで10℃間隔、保持時間なしで圧縮成形した。成形物の観察写真を図1に示す。図1から明らかなとおり、成形温度120〜180℃の範囲では均一相となり樹脂化していることが確認でき、130〜170℃の範囲では透明性があることが確認できた。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。ウール繊維の密度は1.32g/mm3(文献値)であることから、各成形物の見掛け密度はウール繊維の密度の0.96倍であった。また、各成形物を破壊したところ、繊維状フィブリルが観察された。
前記成形物のうち、150℃、160℃、180℃で成形した成形物を3点曲げ試験法により、最大点応力、最大点変位(ひずみ)を測定し、吸収エネルギーを算出した。ここで吸収エネルギーとは次の式で示される。
試験力×変位=エネルギー
エネルギー(MJ)/面積(m2)=吸収エネルギー
この結果を次の表1と図2に示す。
(実施例2)
この実験では成形物を真空乾燥したものとしないものの比較、及び繊維と粉砕物の比較をした。実施例1で作成したクロイ加工したウールのトップ及びその粉砕粉(繊維長70μm以下)を使用して、質量:0.80g、成形温度:150℃、成形圧力:31MPa、保持時間:1分又は5分とした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ粉砕物以外は、繊維状フィブリルが観察された。なお、「乾燥」と記載してあるのは、成形後、3点曲げ試験法前に100℃で24時間真空乾燥したものである。それ以外は事前乾燥せずに測定した。この結果を次の表2と図3に示す。
表2及び図3から明らかなとおり、粉砕物に比較して繊維状のウールのトップは、最大点応力、最大点変位ともに高かった。また、成形物を真空乾燥した試料より、しない試料の方が最大点応力、最大点変位ともに高かった。ウールの公定水分率(平衡水分率)は15.0質量%であり、この公定水分率が成形物の機械的物性に良い作用を与えている可能性がある。
(実施例3)
この実施例ではウールのトップを使用してスケール除去方法を変え、紡績糸とし、織物生地にして実験した。織物生地はタテとヨコの2方向に繊維が配列している。ウール織物生地は単位面積当たりの質量250g/m2であった。スケール除去方法は次のとおりである。
(1)A法
次亜塩素酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを混合し、塩素を発生させ、その液中にウールのトップを通過させた。具体的条件は、繊維質量に対し次亜塩素酸ナトリウム3.2質量%、過マンガン酸カリウム3質量%の濃度を使用し、連続処理を実施した。この方法はウールの防縮加工で常用されている。
(2)A法+酵素処理
A法で処理したトップを紡績糸とし、これを織物とした後、プロテアーゼ系酵素を含む水溶液で処理し、スケール表面の低分子量のタンパク質を溶解除去した。酵素はプロテアーゼNLを使用し、繊維質量に対し1.0質量%の処理濃度とした。この方法もウール織物生地の防縮加工で常用されている。
(3)B法
モノ過硫酸塩とジクロロイソシアヌル酸塩の混合液中にウールのトップを通過させた。具体的条件は、繊維質量に対しモノ過硫酸6.6質量%、ジクロロイソシアヌル酸塩2.3質量%の濃度を使用し、連続処理を実施した。この方法もウールの防縮加工で常用されている。
(4)B法+酵素処理
B法で処理したトップを紡績糸とし、これを織物とした後、プロテアーゼ系酵素を含む水溶液で処理し、スケール表面の低分子量のタンパク質を溶解除去した。酵素にはプロテアーゼNLを使用し、繊維質量に対し1.0質量%の処理濃度とした。この方法もウール織物生地の防縮加工で常用されている。
上記のようにスケール除去したウール織物生地を10枚重ねて、質量:0.80g、成形温度:150℃、成形圧力:31MPa、保持時間:1分とした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ、繊維状フィブリルが観察された。この結果を次の表3と図4に示す。
表3及び図4から明らかなとおり、ウールのスケールを除去した織物生地を使用した圧縮成形物は、最大点応力、最大点変位(ひずみ)及び吸収エネルギーが高いことが確認できた。
(実施例4)
この実施例では、実施例3のB法の織物生地を使用して、再度成形温度を検討した。下記の温度範囲で、質量:0.80g、成形圧力:31MPa、保持時間:なしとした以外は実施例3と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ、繊維状フィブリルが観察された。この結果を次の表4と図5に示す。
表4及び図5から明らかなとおり、成形温度は130〜170℃が良いことが確認できた。
(実施例5)
この実施例では、実施例3のB法のトップと織物生地とトップの繊維の粉砕物(70μm以下)を使用して、質量:0.80g、成形温度:150℃、成形圧力:31MPa、保持時間:なし、成形後の乾燥なしとした以外は実施例3と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ、粉砕物以外は繊維状フィブリルが観察された。この結果を次の表5と図6に示す。
表5及び図6から明らかなとおり、スケール除去法がB法の場合は、織物生地が最も高い最大点応力、最大点変位(ひずみ)、吸収エネルギーを示した。
(実施例6)
この実施例では実施例3で用いた各織物生地を反毛(はんもう:再生毛のこと)して実験した。反毛はフードプロセッサー装置を用いて繊維長70μm以下の繊維にしたもので、繊維方向は揃っていない繊維群である。毛織物や毛糸の屑等を反毛装置で毛の状態に戻したものが使えるかを調べた。この反毛を質量:0.80g、成形温度:150℃、成形圧力:31MPa、保持時間:なしとした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.27g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ、繊維状フィブリルが観察された。この結果を次の表6と図7に示す。
表6と表3及び図7と図4を比較すると明らかなとおり、織物生地を反毛にすると応力、変位(ひずみ)及び吸収エネルギーは低下するものもあるが、実施例1〜2並みの物性であることが確認できた。このことから、原料として毛織物や毛糸の屑等が使用できることがわかった。
(実施例7)
この実施例では実施例3のA法でスケールを除去した防縮ウール50質量%と、ポリエチレンテレフタレート(PET)50質量%の混紡紡績糸を使用した織物生地を、質量:0.80g、成形温度:180〜220℃、成形圧力:93MPa、保持時間:なしとした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.30g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。各成形物を破壊したところ、繊維状フィブリルが観察された。この結果を次の表7と図8に示す。
表7と図8から明らかなとおり、ウール50質量%と、ポリエチレンテレフタレート(PET)50質量%の混紡紡績糸を使用した織物生地でも実用性あると思われる特性が得られた。
(実施例8)
この実施例ではカシミヤ繊維を圧縮成形した。カシミヤ繊維をホットプレスを使用して、質量:0.80g、成形温度:200℃、成形圧力:93MPa、保持時間:なしとした以外は実施例1と同様に実験した。成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。この結果を次の表8と図9に示す。
表8と図9から明らかなとおり、カシミヤ繊維も圧縮成形でき、実用性あると思われる特性が得られた。
(実施例9)
この実施例では水鳥の羽根と鶏の羽根を用いて圧縮成形した。
(1)水鳥の羽根
水鳥の羽根をボールミルで300rpm、1分間、20回粉砕し、篩を3回かけて75μm未満の粉末を採取した。
(2)鶏の羽根
鶏の羽根を煮沸消毒し、ボールミルで300rpm、1分間、20回粉砕し、篩を3回かけて106μm未満の粉末を採取した。
以上のようにして得られた羽根の粉末をホットプレスを使用して、質量:0.80g、成形温度:190℃、成形圧力:31.2MPa、保持時間:なしとした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.272g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。この結果を次の表9と図10に示す。
表9と図10から明らかなとおり、水鳥の羽根と鶏の羽根の粉砕物も圧縮成形でき、実用性あると思われる特性が得られた。
(実施例10)
この実施例では水鳥の羽毛を用いて圧縮成形した。
(1)ミキサー粉砕処理
水鳥の羽毛をジュースを作る際のミキサーで粉砕処理した。ボールミルに比較するとマイルドな粉砕である。
(2)羽軸除去品
ミキサー粉砕処理から羽軸を除去した。
(3)実施例9と同様のボールミル20回処理品
(4)実施例9と同様のボールミル10回処理品
以上のようにして得られたサンプルをホットプレスを使用して、質量:0.80g、成形温度:190℃、成形圧力:62.4MPa、保持時間:なしとした以外は実施例1と同様に実験した。各成形物の見掛け密度は1.308g/mm3であった。各成形物は均一相で透明性があり、樹脂化していた。この結果を次の表10と図11に示す。
表10と図11から明らかなとおり、水鳥の羽毛の羽根の粉砕物も圧縮成形でき、実用性あると思われる特性が得られた。
本発明の成形物は一般の圧縮成形品に有用であり、エンジニアリングプラスチックにも有用である。ウール自体には難燃性があることから、難燃性プラスチックとしても有用である。また、この成形品はタンパク質で構成されていることから、人工骨、人工腱などの生体高分子としても有用である。

Claims (12)

  1. 動物繊維の成形物であり、
    前記成形物の比重は、前記動物繊維の比重の0.9〜1倍の範囲であることを特徴とする動物繊維成形物。
  2. 前記成形物は、添加物を含まない状態で透明性があり、かつ樹脂化している請求項1に記載の動物繊維成形物。
  3. 前記成形物は、破壊すると繊維状フィブリルとなる請求項1又は2に記載の動物繊維成形物。
  4. 前記成形物は、動物繊維が少なくとも一方向に配列されている請求項1〜3のいずれかに記載の動物繊維成形物。
  5. 前記成形物は、3点曲げ試験法で測定した最大点応力が40〜180MPaである請求項1〜4のいずれかに記載の動物繊維成形物。
  6. 前記動物繊維は、獣毛繊維、シルク、スパイダーシルク、羽毛、これらの再生繊維及びこれらの誘導体繊維から選ばれる少なくとも一つの繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の動物繊維成形物。
  7. 前記動物繊維は獣毛繊維であり、少なくとも一部のスケールが除去された状態である請求項1〜6のいずれかに記載の動物繊維成形物。
  8. 前記成形物は、成形物それ自体を構成する繊維で強化された成形物である請求項1〜7のいずれかに記載の動物繊維成形物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の動物繊維成形物の製造方法であって、
    動物繊維の繊維群、繊維束、繊維シート、不織布、糸、紐、織物、編物及び多軸繊維シートから選ばれる少なくとも一つの繊維集合体とし、
    前記繊維集合体を圧縮成形することを特徴とする動物繊維成形物の製造方法。
  10. 前記圧縮成形は、成形温度120〜180℃である請求項9に記載の動物繊維成形物の製造方法。
  11. 前記圧縮成形は、成形圧力1〜100MPaである請求項9又は10に記載の動物繊維成形物の製造方法。
  12. 前記動物繊維は獣毛繊維であり、少なくとも一部のスケールを除去した後、酵素処理する請求項9〜11のいずれかに記載の動物繊維成形物の製造方法。
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