JP2017106338A - インジェクタ - Google Patents

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征二 松田
Seiji Matsuda
征二 松田
正幸 加茂
Masayuki Kamo
正幸 加茂
禎之 木村
Yoshiyuki Kimura
禎之 木村
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【課題】インジェクタに関し、燃料の微粒化を促進する。【解決手段】燃料の流路を開閉する弁体1の弁座2にテーパ部5を設け、弁体1と弁座2との接触箇所よりも下流側において下流に向かって円錐状に広がる流路を形成する。平面状に形成されたプレート6をテーパ部5の下流端に当接させる。プレート6において、テーパ部5との接触箇所よりも内周側の位置に噴孔8を形成する。また、テーパ部5の軸線Cを含む断面において、軸線Cと噴孔8の中心軸Pとのなす角度θ2を、軸線Cとテーパ部5とのなす角度θ1よりも小さくする。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの吸排気通路内や気筒内に燃料を噴射するインジェクタに関する。
従来、エンジンに燃料を供給するためのインジェクタにおいて、噴孔(噴口)から噴射された燃料が迅速に微粒化しやすい構造を採用することで、燃料と空気との混合性を改善する技術が知られている。例えば、弁体と弁座との接触箇所よりも下流側に流路断面積が狭められたスロート部を形成し、燃料の流速を増大させることで微粒化を促進する技術が知られている。また、インジェクタの先端に設けられたオリフィスプレートに微細な噴孔を穿孔し、オリフィスプレートから噴射される直前の燃料圧力を調圧することで、燃料の霧化を促進する技術も知られている。噴射燃料を十分に霧化することで、排気エミッションや燃費が改善されうる(特許文献1,2参照)。
特開2002-004983号公報 特開2014-009653号公報
しかしながら、既存のインジェクタの先端構造では、オリフィスプレートの上流側における燃料の流れがスロート部から噴孔へと向かう一方向の流れになりやすい。このような構造は、噴孔を通過する燃料の流速を高めるには有利であるといえるものの、噴孔を通過した燃料の液柱を分裂させるには必ずしも有利であるとはいえず、エンジンの作動状態や燃料圧力によっては燃料の微粒化が阻害されうる。
なお、近年のエンジンには、複数の吸気ポートのそれぞれにインジェクタを配置し、気筒にできるだけ近い位置で燃料を噴射するマルチインジェクションタイプのものが存在する。このようなエンジンでは、一個のインジェクタで複数のポートに燃料を噴射するシングルインジェクションタイプのエンジンと比較して、インジェクタから気筒までの距離が短縮される。そのため、燃料噴霧の迅速な微粒化に対する要求が高くなり、既存のインジェクタを用いたのでは、その要求に対応しにくいという実情もある。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、燃料の微粒化を促進することができるインジェクタを提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するインジェクタは、燃料の流路を開閉する弁体の弁座に形成され、前記弁体と前記弁座との接触箇所よりも下流側において前記下流に向かって円錐状に広がる流路を形成するテーパ部を備える。また、内表面が平面状に形成されて前記テーパ部の下流端に当接するプレートを備える。さらに、前記プレートに穿孔され、前記テーパ部との接触箇所よりも内周側に配置された噴孔を備える。前記テーパ部の軸線を含む断面において、前記軸線と前記噴孔の中心軸とのなす角度が、前記軸線と前記テーパ部とのなす角度よりも小さい。
すなわち、前記軸線と前記中心軸とのなす角度(噴射角)をθ2とし、前記軸線と前記テーパ部とのなす角度(テーパ角)をθ1とおけば、θ2<θ1である。
(2)前記噴孔よりも前記プレートの上流外周側において前記プレート及び前記テーパ部に挟まれた袋小路状の空洞をなし、前記インジェクタの軸線を含む断面で三角形状に形成された空洞部を備えることが好ましい。
(3)前記テーパ部よりも上流側に設けられ、前記燃料の流路断面積が最も狭められた箇所を含むスロート部を備え、前記スロート部の表面と前記テーパ部の表面とのなす角度が鈍角に形成されることが好ましい。すなわち、前記スロート部の表面と前記テーパ部の表面とのなす角度をθ3とおけば、90°<θ3<180°であることが好ましい。
(4)前記スロート部の表面と前記テーパ部の表面とを滑らかに接続する曲面状の接続部を備えることが好ましい。
(5)前記テーパ部に沿った前記燃料の流れを前記噴孔に向かう方向へと案内する案内部を備えることが好ましい。
噴孔の角度をテーパ部の角度よりも小さくすることで、噴孔に流入しようとする燃料の流れと、テーパ部に沿った燃料の流れとの衝突によって生じる乱れを大きくすることができ、噴孔を通過した燃料の液柱を分裂させやすくすることができる。したがって、燃料の迅速な微粒化を促進することができる。
インジェクタの内部構造を模式的に示す断面図である。 図1の要部拡大断面図である。 図2の要部拡大断面図である。 変形例としてのインジェクタを説明するための断面図である。 変形例としてのインジェクタを説明するための図(図4のA矢視図)である。
図面を参照して、実施形態としてのインジェクタについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.装置構成]
本実施形態のインジェクタ10の先端部における内部構造を、図1に例示する。このインジェクタ10は、車両に搭載されるエンジンの燃料噴射弁である。中空筒状に形成されたハウジング11の内部には、弁体1(バルブ),弁座2(バルブシート),プレート6(オリフィスプレート)が設けられる。弁体1は、弁座2に対して離接方向に移動可能に設けられ、図示しないソレノイドによって駆動される。
弁体1を弁座2に接触させることにより、インジェクタ10の先端側への燃料の流通が遮断される。一方、弁体1を弁座2から離間させることにより、弁体1と弁座2との隙間の大きさや燃料の圧力,隙間の開放時間などに応じた量の燃料がインジェクタ10の先端から噴射される。なお、ソレノイドの作動状態は、車両に搭載されるエンジン制御装置(電子制御装置)によって制御される。弁体1の駆動構造は任意であり、公知の構造を適用することができる。また、弁体1の形状についても任意であり、図1に示すような球状のものを使用してもよいし、あるいは円筒状のものや円錐状のもの、テーパ状,円錐状のものなどを使用してもよい。
弁座2は、ラバールノズル状の流路を形成する部材である。図2に示すように、弁座2には、燃料の流路断面積を下流に向かって絞り込む部位であるノズル部3と、最小断面積の部位を形成するスロート部4と、その下流側の流路を急速に拡大させるテーパ部5とが設けられる。これらのノズル部3,スロート部4,テーパ部5は、弁体1よりもインジェクタ10の先端側(図1中の下方)に配置される。
ノズル部3は、弁体1と接触したときに燃料の流れを封止する部位である。ノズル部3の表面形状は、弁体1の表面に接触しうる円錐面状であり、インジェクタ10の軸線Cを含む断面においてほぼ直線状とされる。図2中に破線で示すラインは、ノズル部3の表面を延長した仮想線である。軸線Cを挟んで右側の仮想線と左側の仮想線とが交差する位置は、プレート6の内表面よりも下方(すなわち、プレート6の内表面よりもインジェクタ10の先端側)に設定される。また、弁体1とノズル部3との接触箇所の形状はほぼ円形とされる。これにより、接触箇所に作用する圧力がほぼ均等となり、シール性が向上する。また、弁体1とノズル部3とを非接触にすることで、燃料がインジェクタ10の先端側に向かって流通する。このとき、燃料の流通速度は、ノズル部3によって形成される先細りの流路を通過する際に増速する。
スロート部4は、ノズル部3の下流側(先端側)に隣接して設けられ、燃料の流路断面積が最も狭められた箇所を含む部位である。スロート部4の表面形状は、円筒面状又は円錐面状に形成される。スロート部4の内側の流路断面積(口径)は、インジェクタ10の噴射能力に応じて設定される。軸線Cに沿って眺めたときのスロート部4の形状は円形である。
テーパ部5は、スロート部4の下流側(先端側)に隣接して設けられ、インジェクタ10の先端側(下流側)に向かって円錐状に広がる流路を形成する部位である。テーパ部5の表面形状は円錐面状であり、インジェクタ10の軸線Cを含む断面においてほぼ直線状となる。また、テーパ部5の表面をなす円錐面の中心軸は、インジェクタ10の軸線Cと同軸である。したがって、インジェクタ10の軸線Cのことをテーパ部5の軸線Cと読み替えることができる。
図2中に細実線で示すラインは、テーパ部5の表面を延長した仮想線である。テーパ部5の軸線Cを含む断面において、この仮想線と軸線Cとのなす角度θ1(テーパ角)は90°よりも小さい角度に設定される。好ましくは、スロート部4とテーパ部5とで挟まれる角度θ3が鈍角(90°よりも大きく180°よりも小さい角度)になるように、テーパ角θ1の大きさが設定される。本実施形態ではテーパ角θ1の取りうる範囲が例えば45°≦θ1<90°とされる。なお、スロート部4とテーパ部5とで挟まれる角度θ3(拡径角度)が90°を越える角度に設定されると、燃料の流れがスロート部4を通過した後にテーパ部5の表面から剥離しにくくなり、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れが形成されやすくなるとともに、流体の剥離に伴うエネルギ損失が抑制される。
テーパ部5の下流側には、平面状のプレート6が設けられる。プレート6は、その内表面がテーパ部5の下流端に当接した状態で、ハウジング11の内部に取り付けられる。プレート6の内表面は、軸線Cに対して垂直に配置される。また、図2に示すように、プレート6には平面部7と複数の噴孔8とが設けられる。平面部7は、プレート6の内表面をなす部分であり、凹凸のない平滑な平面状に形成される。噴孔8は中空円空状の孔として形成され、プレート6の平面部7とテーパ部5との接触箇所よりも内周側に配置される。
噴孔8の中心軸Pと軸線Cとのなす角度θ2(噴孔角)は、少なくともテーパ角θ1よりも小さい角度に設定される。すなわち、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れが、その方向を保ちつつ噴孔8から流出することがないように、流れの方向が内周側に折れ曲がるように流路方向が設定される。また、噴孔8の向きは、少なくともプレート6よりも上流側(インジェクタ10の基端側)で中心軸Pが軸線Cと交わるように、外周側に向かって開放される。すなわち、噴孔角θ2は少なくとも0°よりも大きい角度に設定される。これにより、複数の噴孔8のそれぞれから噴射される燃料噴霧同士の干渉が抑制され、燃料の微粒化が促進される。
図2に示すように、テーパ部5とプレート6とに挟まれた空間は、おおむね円錐状の空間となる。特に、噴孔8よりもプレート6の上流外周側(円錐底面の外縁部近傍)に着目すると、テーパ部5とプレート6とによって挟まれた袋小路状の空洞部9が形成される。空洞部9の形状は、軸線Cを通る断面で三角形状である。
空洞部9は、図3中に白抜き矢印で示すように、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21をプレート6の内表面に沿って半径方向内側へと還流させる機能を持つ。還流した燃料の流れ21は、図3中に黒矢印で示す燃料の流れ22や、斜線矢印で示す燃料の流れ23に対して、噴孔8の近傍で衝突し、流体の運動に乱れを生じさせる。
ここで、流れ22はスロート部4から噴孔8に向かう燃料の流れを表し、流れ23はプレート6の内表面に沿った燃料の流れを表す。噴孔8をテーパ部5とプレート6との接触箇所よりも内周側に配置することで、燃料の流れ21を方向転換させる空間的余地が生じ、噴孔8から噴射される直前の燃料が乱流拡散しやすくなる。これにより、噴孔8から噴射された燃料の液柱分裂が促進され、すなわち燃料の微粒化が促進される。
[2.作用,効果]
(1)上記のインジェクタ10によれば、噴孔角θ2をテーパ角θ1よりも小さくすることで、噴孔8に流入しようとする燃料の流れ22,23と、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21との衝突によって生じる乱れを大きくすることができ、噴孔8を通過する燃料の微粒化を促進することができる。これにより、例えばポート壁面や筒内壁面への燃料付着を抑制することができ、燃焼安定性や燃費を改善することができる。
また、ポート噴射で吸気ポートに各インジェクタを設けるマルチインジェクションを適用する場合には、吸気ポート下流側(燃焼室側)への設置が可能となり、燃料の直入率を上昇させることができ、高負荷時におけるノッキングの発生を防止することができる。また、プレート6の内表面を平面状に形成することで、プレート6の内表面に沿った燃料の流れ23を確実に生成することができ、噴孔8に流入しようとする燃料の流れ22や、テーパ部5に沿った燃料の流れ21と衝突させることができる。これにより、噴孔8を通過する燃料の微粒化を促進することができる。
(2)上記のインジェクタ10には、テーパ部5とプレート6とに挟まれた袋小路状の空洞部9が三角形状に形成される。これにより、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21を効率的に半径方向内側へと還流させることができる。したがって、噴孔8の近傍で複数の燃料の流れ21,22,23を容易に衝突させることができ、燃料の微粒化を促進することができる。
(3)上記のインジェクタ10では、スロート部4とテーパ部5との間の拡径角度θ3が鈍角に設定される。これにより、スロート部4を通過した燃料の流れがテーパ部5の表面から剥離しにくくすることができ、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21を強めることができる。これにより、複数の燃料の流れ21,22,23を衝突させることによって生じる乱れを大きくすることができ、燃料の微粒化を促進することができる。
[3.変形例]
上述の実施形態では、断面が三角形状の空洞部9において、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21を還流させる構造を例示したが、燃料の流れ21をより積極的に噴孔8の近傍へと案内させるための構造を追加することも考えられる。例えば、図4に分解して示すように、プレート6の内表面に突起状の案内部12を形成し、燃料の流れ21が噴孔8に向かう方向へと案内させてもよい。
この場合、案内部12の形状は、図5に示すようにプレート6の上面視においてテーパ部5との接触箇所から噴孔8に向かって突出した形状とする。これにより、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21を噴孔8の近傍に集中させることができ、複数の燃料の流れ21,22,23を衝突させることによって生じる乱れをより大きくすることができる。なお、燃料の流れ21を案内するための案内部12は、プレート6の内表面に凹溝として形成してもよいし、テーパ部5の表面に突起,凸条,凹溝として形成してもよい。
また、上述の実施形態では、スロート部4とテーパ部5との取り合い部分(接続部分)を鈍角に尖った形状に形成したものを例示したが、図4に示すように角を丸めてもよい。すなわち、スロート部4とテーパ部5との間を曲面状の接続部13で滑らかに接続してもよい。このような構造により、スロート部4を通過した燃料がテーパ部5の表面から剥離しにくくなり、テーパ部5の表面に沿って流通しやすくなる。つまり、テーパ部5の表面に沿った燃料の流れ21を強めることができ、噴孔8の近傍における燃料の流れの乱れを強めることができる。したがって、噴孔8を通過する燃料の微粒化をさらに促進することができる。
1 弁体
2 弁座
3 ノズル部
4 スロート部
5 テーパ部
6 プレート
7 平面部
8 噴孔
9 空洞部
10 インジェクタ
11 ハウジング
12 案内部
13 接続部
C 軸線
P 中心軸
θ1 テーパ角
θ2 噴孔角
θ3 拡径角度

Claims (5)

  1. 燃料の流路を開閉する弁体の弁座に形成され、前記弁体と前記弁座との接触箇所よりも下流側において前記下流に向かって円錐状に広がる流路を形成するテーパ部と、
    内表面が平面状に形成されて前記テーパ部の下流端に当接するプレートと、
    前記プレートに穿孔され、前記テーパ部との接触箇所よりも内周側に配置された噴孔とを備え、
    前記テーパ部の軸線を含む断面において、前記軸線と前記噴孔の中心軸とのなす角度が、前記軸線と前記テーパ部とのなす角度よりも小さい
    ことを特徴とする、インジェクタ。
  2. 前記噴孔よりも前記プレートの上流外周側において前記プレート及び前記テーパ部に挟まれた袋小路状の空洞をなし、前記インジェクタの軸線を含む断面で三角形状に形成された空洞部を備える
    ことを特徴とする、請求項1記載のインジェクタ。
  3. 前記テーパ部よりも上流側に設けられ、前記燃料の流路断面積が最も狭められた箇所を含むスロート部を備え、
    前記スロート部の表面と前記テーパ部の表面とのなす角度が鈍角に形成される
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のインジェクタ。
  4. 前記スロート部の表面と前記テーパ部の表面とを滑らかに接続する曲面状の接続部を備える
    ことを特徴とする、請求項3記載のインジェクタ。
  5. 前記テーパ部に沿った前記燃料の流れを前記噴孔に向かう方向へと案内する案内部を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインジェクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107152362A (zh) * 2017-07-03 2017-09-12 浙江凯利智控科技有限公司 新式结构喷油器

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107152362A (zh) * 2017-07-03 2017-09-12 浙江凯利智控科技有限公司 新式结构喷油器

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