JP2017106115A - シラス構造体およびシラス構造体の製造方法 - Google Patents

シラス構造体およびシラス構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】消臭性、吸湿性、光学特性等の機能を備えているとともに、経年変化によってもシラスの薄膜が基材から剥離し難いシラス構造体を提供する。【解決手段】基材3と、粒子状もしくはバルク状のシラス、または、粒子状もしくはバルク状のシラスを焼結した所定の大きさの焼結体を、物理気相成長法により直接基材3の表面に設けられたシラスの薄膜5とを有し、シラスの薄膜5は、可視光線の波長よりもピッチが小さい微細な凹凸を有するシラス構造体1。【選択図】図1

Description

本発明は、シラス構造体およびシラス構造体の製造方法に係り、特に、ガラス等の基材にシラスの薄膜が設けられているものに関する。
近年、消臭機能・調湿機能・空気清浄機能・マイナスイオン効果・シックハウス対策など多岐の機能を備えた100%自然素材の新素材として、シラスが注目されている。
このシラスを利用した応用製品として、住宅用内装材(内装仕上げ材)や住宅用外装材(外装仕上げ材)や舗装材などのシラス構造体201(図9参照)が実用化され特異的な効果を上げている。
シラス構造体201では、粒子状またはバルク状のシラス203をバインダ等の接着剤205を用いて、基材207にたとえばバルク状に設けてある。
ここで、従来の技術文献として、たとえば特許文献1、特許文献2を掲げることができる。
特開2004−339712号公報 特開2008−101436号公報
ところで、従来のシラス構造体201は、消臭性、吸湿性等の機能を備えてはいるが、これらの機能をより長続きさせることが重要である。また、従来のシラス構造体201はシラス203がバルク状であるため光の透過率が低く、光学特性が劣っており、視認性を必要としている基材207へのコーティングは限定されるものである。
さらには、シラスを利用した応用製品は建築材料が中心であり、機械的特性、熱的特性、電気的特性、生体機能特性、分離特性、化学的特性といった新しい機能性の発見とその応用製品の開発が求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、消臭性、吸湿性等の機能に加え、優れた光学特性や電気的特性などを中心とした機能性を備えているとともに、経年変化によっても、上記機能をより長続きさせることができるシラス構造体およびシラス構造体の製造方法を提供することを目的とする。
第1のアスペクトの発明は、基材と、物理気相成長法により、前記基材に設けられたシラスの薄膜とを有し、前記シラスの薄膜は、可視光線の波長よりもピッチが小さい微細な凹凸を有するシラス構造体である。
第2のアスペクトの発明は、第1のアスペクトのシラス構造体において、前記シラスの薄膜は、前記基材に前記シラスを構成する金属酸化物類が直接堆積することで設けられているシラス構造体である。
第3のアスペクトの発明は、第1のアスペクトまたは第2のアスペクトのシラス構造体において、前記基材は、透明もしくは半透明な材料であるシラス構造体である。
第4のアスペクトの発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1のアスペクトのシラス構造体の製造方法において、前記物理気相成長法で使用する薄膜形成材料は、粒子状もしくはバルク状のシラス、または、粒子状もしくはバルク状のシラスを焼結して所定の大きさの焼結体にしたものであるシラス構造体の製造方法である。
本発明によれば、消臭性、吸湿性、光学特性、電気的特性等の機能を備えているとともに、経年変化によってもシラスの薄膜が基材から剥離し難いシラス構造体およびシラス構造体の製造方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態に係るシラス構造体の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係るシラス構造体におけるシラスの薄膜の拡大図であり、(a)は、シラスの薄膜の表面を示す図であり、(b)は(a)に示す直線Lに沿って測定したシラスの薄膜の面粗さを示す図である。 本発明の実施形態に係るシラス構造体におけるシラスの薄膜の微細構造(生成条件を変えた場合の微細構造の変化)を示す図である。 本発明の実施形態に係るシラス構造体におけるシラスの薄膜の微細構造を示す断面図である。 スパッタリング装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る光制御素子を示す図である。 本発明の実施形態に係る光制御素子を示す図である。 本発明の実施形態に係る光制御素子を示す図である。 従来のシラス構造体の概略構成を示す図である。
本発明の実施形態に係るシラス構造体1は、図1に示すように、たとえば平板状に形成されている基材3と、シラスの薄膜5とを備えて構成されている。
シラスの薄膜5は、スパッタリング等の物理気相成長法(物理蒸着法;PVD;Physical Vapor Deposition)により、基材3の表面(平板状の基材3の厚さ方向の一方の面)の総てを覆うようにして、基材3に一体的に設けられている。
なお、シラスの薄膜5が、基材3の表面の少なくとも一部を覆うようにして設けられていてもよいし、平板状の基材3の厚さ方向の両方の面の総てもしくは少なくとも一部を覆うようにして設けられていてもよい。基材3が板状以外の形状であってもよい。
また、シラス構造体1として、家屋等の内装仕上げ材、外装仕上げ材や舗装材を掲げることができる。
ここで、シラスの薄膜5の原料となるシラスについて説明する。
シラスは、シラス台地を形成しているものである。シラス台地は、日本国の鹿児島県から宮崎県南部にかけて最大150mの厚さになっている。
シラスは、大量の火砕流として一気に堆積したものであるので、他の土と混ざることなく厚い地層になってシラス台地を形成している。一般的な土は、岩石が細かく粉砕された粉末に、植物や微生物などがもたらす作用によって、様々な有機物が混ざっている。
これに対して、シラスは、マグマが岩石になる前に粉末になったものであるので、養分(有機物)をほとんど含んでおらず、マグマの状態から超高温で焼成された高純度の無機質セラミック物質となっている。すなわち、シラスは火山ガラスを主成分としケイ酸分を60%〜80%含む多孔質のものである。
ここで、シラス(たとえば、高千穂シラス;九州高千穂山産のシラス)についてさらに詳しく説明する。高千穂シラスの分析結果は、重量%で次の通りである。
強熱減量が2.7%、SiOが67.8%、Alが15.1%、NaOが3.7%、CaOが2.2%、Feが2.5%、KOが2.2%、TiOが0.27%、MnOが0.06%、MgOが0.58%、Pが0.03%、SOが0.20%、Clが0.001%未満になっている。
強熱減量は、三酸化硫黄(SO)によるもので、JIS R5202により測定した。酸化ケイ素(IV)(SiO)は、凝集重量吸光光度併用法により測定した。酸化アルミニウム(Al)と酸化鉄(III)(Fe)と酸化チタン(IV)(TiO)と酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)と酸化ナトリウム(NaO)と酸化カリウム(KO)と酸化マンガン(MnO)と五酸化リン(P)とは、フッ化水素酸、硝酸、過塩素酸分解―ICP発光分析法により測定した。塩化物イオン(Cl)は環境庁告示第13号に準じた溶出を行い、検液をイオンクロマトグラフ法で測定した。
なお、高千穂シラス以外のシラス(たとえば鹿児島産のシラス)や、高千穂シラスと同様の組成になっているものを、高千穂シラスの代わりに採用してもよい。
さらに説明すると、シラスの主成分は、ケイ酸、酸化アルミニウムであり、斜長石や石英や酸化チタン等も含まれる。また、シラスの粒子内には、微小な気泡が多数存在している。
サラサラした粉状のシラスは、水持ちが悪いので水田に向かず、豪雨の際に土砂崩れを引き起こしやすいなど、やっかいもの扱いされている。
シラス構造体1についてさらに説明すると、シラス構造体1の基材3は、たとえば、透明もしくは半透明な材料(たとえば、ガラス板)で構成されている。
シラスの薄膜5は、従来のように接着剤等のバインダを用いることなく、基材3にシラスを構成する金属酸化物類が直接堆積することで設けられており、たとえばシラスの成分のみで構成されている。シラスの薄膜5の厚さは、5nm〜100μm程度になっているが、1nm〜1mmの範囲でシラスの薄膜5を設けてもよいし、さらには、1nm〜10mmの範囲でシラスの薄膜5を設けてもよい。
薄膜とは薄くすることによって大きな「かたまり(バルク)」とは異なる性質を示すようになった膜のことである。
シラスの薄膜5は、肉眼では、平坦な態様で基材3に設けられているように見えるが、拡大すると、図2に示すように、微細な凹凸状になっている。また、走査エリアをたとえば1μm×1μmにすれば、微細な孔が形成されていることを確認することができる。
また、スパッタリング等の物理気相成長法によって形成されるシラスの薄膜5は、この生成条件を変えることによって、微細な構造が変化する。
すなわち、図3に示すように、基材(基板)3の温度Ts(°K)と不活性ガス(たとえばアルゴンガス;Ar)の圧力を変えることで、シラスの薄膜5の微細構造が変化する。なお、Tmは薄膜形成材料(ターゲット11;図5参照)の融点である。
図3に示す領域1(ZONE−1)は、アルゴンガスの圧力が高く基材3の温度が低いときに生成される微細構造の領域であり、その断面は、模式的には、図4(a)のようになる。領域1の条件で生成されたシラスの薄膜5は、微小柱状で空隙や孔が多く存在し密度が低くなっている。
図3に示す領域T(ZONE−T)は、アルゴンガスの圧力が低く基材3の温度が低いときに生成される微細構造の領域であり、その断面は、模式的には、図4(b)のようになる。領域Tの条件で生成されたシラスの薄膜5は、微小柱状であるが空隙が少なく緻密な膜になっている。
図3に示す領域2(ZONE−2)は、基材3の温度が高いときに生成される微細構造の領域であり、その断面は、模式的には、図4(c)のようになる。領域2の条件で生成されたシラスの薄膜5は、微小柱状であるが、グレインサイズが領域Tよりも大きくなっている。
図3に示す領域3(ZONE−3)は、基材3の温度がさらに高いときに生成される微細構造の領域であり、その断面は、模式的には、図4(d)のようになる。領域3の条件で生成されたシラスの薄膜5は、等方的でありバルクに近い状態になっている。
なお、シラス構造体1のシラスの薄膜5は、上述したいずれの領域で生成されたものであってもよいが、用途に応じて、適宜使い分けることが望ましい。
ここで、図5に示すスパッタリング装置7を用いて、基材3の表面にシラスの薄膜5をスパッタリングにより一体的に設けるシラス構造体1の製造方法(シラス薄膜被覆方法)について説明する。
スパッタリングでは、真空チャンバ9内に、シラスの薄膜5となる基材3につけたいもの(薄膜形成材料)をターゲット11として設置し、高電圧をかけてイオン化させた不活性ガス(真空チャンバ9内のアルゴンガス)をターゲット11に衝突させる。
これにより、ターゲット11表面の原子がはじき飛ばされ、真空チャンバ9内に設置された基材3に到達して、シラスの薄膜5が生成される。
ここで、ターゲット11として、粒子状もしくはバルク状(粉末状;粉状)のシラスを焼結して所定の大きさの焼結体(粒子状もしくはバルク状のシラスが多数集まって一体化した焼結体)にしたもので構成されているが、粒子状もしくはバルク状のシラスをそのまま使用してもよい。
なお、上記説明では、真空チャンバ9内に不活性ガスのみを導入しているが、不活性ガスに加えて活性ガス(たとえば酸素;O)を導入してもよい。活性ガスを導入することで、はじき飛ばされたシラス(薄膜形成材料)の原子(シラスを構成する金属酸化物類)が活性ガスと反応し、この反応した化合物が、シラスの薄膜5として基材3に設置される。
シラス構造体1によれば、物理気相成長法により、基材3の表面にシラスの薄膜5が設けられているので、シラスが本来的にもっている消臭性、吸湿性等の機能を備えているとともに、バインダが非存在であることで、上記機能をより長続きさせることができる。
なお、シラス構造体1での消臭性は、たとえば、シラスの薄膜5に含まれている酸化チタンが光触媒として臭いの成分を分解することで発揮される。また、多孔質になっているシラス構造体1では、ミクロ孔・メソ孔で物理吸着が起き、吸湿性を発揮することができる。
また、図9に示す従来のシラス構造体201では、シラス203の形態が粒子状またはバルク状であるため、基材207へのコーティング(塗布)においてバインダ等の接着剤205を必要としており、基材207にシラス203の薄膜を設けるのに手間がかかる。しかし、シラス構造体1によれば、物理気相成長法により、シラスの薄膜5を設けているので、従来の手間を無くすことができ、シラス構造体1の製造工程を簡素化することができる。
また、シラス構造体1によれば、基材3がガラス板で構成されており、シラスが薄膜化されているので、光学特性(たとえば可視光線の透過率)が良くなっている。
すなわち、粒子およびバルクに変わる形態として薄膜に着目し、薄膜作製技術の1つであるスパッタリング法を用いてシラスの薄膜化(nmオーダー)を行い、シラスの薄膜5の作製を行った。スパッタリング法とは原子レベルで微細構造が制御された高品質の薄膜を密着性良く大面積に均一に成膜するのに有利な技術であり、この特長を生かしてバインダを必要とせず基材3の上に薄膜化されたシラスを堆積させた。
これよって、薄膜化されたシラスの物性を生かし、消臭性、吸湿性等の優れた機能を維持しつつ、視認性を必要とする基材(ガラス板)3にシラスをコーティングしても、高い透過率を得ることができる。
この理由は、スパッタリング法によって基材(ガラス板)3の表面に設けられたシラスの薄膜5は、微細な凹凸を有しているが、この微細な凹凸のピッチ(場合によっては高さも)が可視光線の波長よりも小さくなっており、可視光線がシラスの薄膜5に邪魔されず(あたかもシラスの薄膜5が非存在であるかのようにして)シラス構造体1を透過するからである。
また、シラス構造体1によれば、ガラス板3の表面が親水性を備えたシラスの薄膜5で覆われているので、シラス構造体1が、湯気や水蒸気で曇り難くなっている。したがって、基材3がガラス板で構成されたシラス構造体1を窓ガラスや鏡に使用すればこれらにおける曇りの発生を抑制することができる。
また、シラス構造体1を、内装仕上げ材として採用すれば、消臭、調湿、殺菌、マイナスイオンの発生等の機能を発揮し、快適な居住環境をもたらす。
すなわち、現代の住宅は高気密性を備えている。したがって、ある程度の換気がなされていても、毎日営まれる人間の生活によって、臭いや湿気など様々な物質がこもりがちになる。そこで、シラス構造体1が、湿度が上がると余分な湿気を吸収し、湿度が下がると湿気を放出し、室内の湿度を自動調整する。また、シラス構造体1が、たばこの臭いやペットの臭いを短時間で消臭し、家具等から放出されたホルムアルデヒド等の化学物質をしっかりと吸着する。
また、シラス構造体1を、外装仕上げ材として採用すれば、防水性、透湿性を兼ね、美しく温かみのある風合いが良好な外観デザインをかもし出す。紫外線にも強く、色あせた劣化がほとんど生じない。
また、シラス構造体1の製造において、ターゲットとして、粒子状もしくはバルク状のシラスを焼結してあるものを用いているので、シラスの取り扱いが容易になっている。
ところで、上記説明では、物理気相成長法により、シラスの薄膜5を、基材3の表面に直接設けているが、他の層を間にして、基材3にシラスの薄膜5を間接的に設けてもよい。
次に、基材3にシラスの薄膜5を間接的に設けたものについて説明する。
基材3にシラスの薄膜5を間接的に設けたシラス構造体1として、図6や図7(a)に示すような光制御素子(可視光の制御部材)21を掲げることができる。光制御素子21は、たとえば、矩形な平板状に形成されている(図7(a)参照)。
また、光制御素子21は、酸化還元反応により物質の色が変化するEC現象を利用した素子であり、基材3と、還元発色膜23と、シラスの薄膜5と、酸化発色膜25と、第2の導電膜27とを備えて構成されている。
基材3は、第1の導電膜(薄膜)を構成しており、第1の導電膜3の表面には、たとえば、スパッタリング等の物理気相成長法により、第1の導電膜3に接して還元発色膜(薄膜)23が直接設けられている。還元発色膜23は、たとえば、酸化タングステン(VI)(WO)で構成されている。
シラスの薄膜5は、透明もしくは半透明になっており、たとえば、スパッタリング等の物理気相成長法により、還元発色膜23の表面に接して直接設けられている。
シラスの薄膜5の表面には、たとえば、スパッタリング等の物理気相成長法により、酸化発色膜(薄膜)25が接して直接設けられている。酸化発色膜25は、たとえば、酸化イリジウムと酸化錫(IV)(IrO+SnO)で構成されている。酸化発色膜25の表面には、第2の導電膜27が接して直接設けられている。
各導電膜3,27は、透明体もしくは半透明体になっており、たとえば、透明導電膜(I.T.O.;酸化インジウムスズ;スズドープ酸化インジウム;Indium Tin Oxide)で構成されている。
なお、シラスの薄膜5は、図3に示す領域1(ZONE−1)、もしくは、図3に示す領域T(ZONE−T)で示すものが望ましい。
次に、光制御素子21に作用について説明する。
シラスの薄膜5は、上述したように微細な凹凸を有しているので、シラスの薄膜5内に微細空隙が形成されており、この微細な空隙内には、水分(HO)が存在している。
そして、図6に示すように、第1の導電膜3と第2の導電膜27との間に電圧を加えると、還元発色膜23に一価の陽イオン(たとえば水素イオンH)が入り込むことで化合物(HWO)が生成され、還元発色膜23にたとえば色が付き、還元発色膜23における可視光線の透過率が低下する。また、第1の導電膜3と第2の導電膜27との間に電圧を加えると、酸化発色膜25に一価の陰イオン(たとえば水酸イオンOH)が入り込むことで化合物(Ir(OH)n+x)が生成され、酸化発色膜25に色が付き、酸化発色膜25における可視光線の透過率が低下する。なお、この色が付く状態は、電圧の印加を無くしても持続する。
また、図6に示す場合と逆の電圧を印加すると、還元発色膜23や酸化発色膜25が無色透明もしくは半透明になって元にもどり、可視光線の透過率が高くなる。この無色透明もしくは半透明の状態は、電圧の印加を無くしても持続する。
ところで、従来のECD(Electro Chromic Display)は、酸化還元反応により物質の色が変化するEC現象を利用しており、電解質膜として、シラスの薄膜5の代わりに液体や流体のもの(ゲルを含む)を使用している。
しかし、従来の液体の電解質膜を用いたECDは、一部に液体や流体を含む製造工程が存在するので製造工程が煩雑であり、経年変化や使用環境による液漏れが発生するおそれがある。そこで、従来のECDとして、レアメタルを含む固体電解質膜を採用する場合もある。
しかし、従来の固体電解質膜を用いたECDは、レアメタルを使用するので高価である。これに対して、光制御素子21では、シラスを電解質膜として使用できるという性質を発見し、光制御素子21の固体電解質膜にシラスの薄膜5を使用したのである。そして、レアメタルを使用しないのでともかく安価であり、また、従来の固体電解質膜に比べてイオン伝導度が高くなっている光制御素子21を得ることができたのである。
また、光制御素子21によれば、液体の電解質膜を用いた従来のECDに比べて、製造工程が簡素化され、経年変化や使用環境による液漏れが無くなる。
なお、上述した光制御素子21は、可視光を透過しもしくは遮断する切り換えを容易に行うことできる遮光部材として使用することができる。この遮光部材は、たとえば建物の窓や旅客機等の乗り物の窓に使用することができる。
また、シラスの薄膜5を、光学薄膜の高速低温成膜技術として実用化されている併用式スパッタリング法、特にRAS(Radical Assisted Sputtering;ラジカル・アシスト・スパッタリング)法によって設けてもよい。これにより、シラスの薄膜5の成膜速度を速くし、基材3等の温度上昇を抑制することができる。
RAS法については、たとえば、特開2001−234338号公報、特開平11−279757号公報、特開平11−256327号公報に記載されている。
また、シラスの薄膜5等を図7(a)に示すように連続している1つのものとすれば、上述したように、光制御素子21を遮光部材として採用することができる。一方、図7(b)で示すように、第1の導電膜3、還元発色膜23、シラスの薄膜5、酸化発色膜25、第2の導電膜27を、多数の微細なセグメント31に分割して仕切り、各々のセグメント31に独自に電圧を適宜印加すれば、光制御素子21を、LCD等の代わりに、画像表示装置として採用することができる。
なお、図6に示したものにおいて、還元発色膜23と酸化発色膜25とを入れ替えてもよい。
すなわち、シラス構造体1を光制御素子21とし、基材3を第1の導電膜とし、シラスの薄膜5が、基材3の表面に設けられた酸化発色膜25の表面に設けられており、シラスの薄膜5の表面には還元発色膜23が設けられており、還元発色膜23の表面には第2の導電膜27が設けられていてもよい。
また、各導電膜3,27のうちの一方の導電膜が透明体もしくは半透明体で構成されており、他方の導電膜(たとえば、第1の導電膜3)が可視光を反射する反射膜で構成されていてもよい。
この場合、第1の導電膜3は、Al(アルミニウム)で構成されており、反射電極膜となっている。このように、第1の導電膜3が反射電極膜になっている光制御素子21は、たとえば、防眩ミラーとして採用することができる。
また、光制御素子21を反射防止材(反射防止板)としてもよい。
この場合、反射防止材21の基材3は、透明体もしくは半透明体で構成されている。反射防止材21では、基材3の表面に反射防止膜(ARコート)が設けられている。
例を掲げて詳しく説明すると、図8に示すように、シラスの薄膜5(5A)が、透明もしくは半透明になっており、基材3の表面に接して直接設けられており、シラスの薄膜5(5A)の表面には、シラスの薄膜5(5A)よりも屈折率の高い高屈折率の薄膜(たとえば、酸化チタン(IV)(TiO))29(29A)が接して直接設けられている。高屈折率の薄膜29も、透明もしくは半透明になっている。
また、高屈折率の薄膜29(29A)の表面には、シラスの薄膜5(5A)とは別個のシラスの薄膜5(5B)が接して直接設けられており、シラスの薄膜5(5B)の表面には、高屈折率の薄膜29(29A)とは別個の高屈折率(たとえば、酸化チタン(IV)(TiO))の薄膜29(29B)が接して直接設けられている。
なお、シラスの薄膜5の屈折率は1.4〜1.5程度と低くなっており、高屈折率の薄膜29の屈折率は2.0〜3.0程度と高くなっている。ARコートが設けられていることで、全体の反射率が5%程度になる。
なお、上記説明では、基材3に、シラスの薄膜5A、高屈折率の薄膜29A、シラスの薄膜5B、高屈折率の薄膜29Bの4層の薄膜が交互に重なって設けられているが、これに限定されることはない。シラスの薄膜5と高屈折率の薄膜29とが基材3に交互に重なって複数層設けられていてもよい。
また、上記説明では、基材3の表面にシラスの薄膜5を設け、このシラスの薄膜5の表面に高屈折率の薄膜29を設けているが、シラスの薄膜5と高屈折率の薄膜29とを入れ替えてもよい。すなわち、基材3の表面に高屈折率の薄膜29を設け、高屈折率の薄膜29の表面にシラスの薄膜5を設けてもよい。
また、上記説明では、基材3の表面にシラスの薄膜5を設け、このシラスの薄膜5の表面に高屈折率の薄膜29を設けているが、シラスの薄膜5と高屈折率の薄膜29とを入れ替えてもよい。すなわち、基材3の表面に高屈折率の薄膜29を設け、高屈折率の薄膜29の表面にシラスの薄膜5を設けてもよい。
上述したように、ARコートは、反射による光の損失を最小限に抑えることができるため太陽電池のコーティングにも使用可能であり、セル表面に「反射防止膜」を設けることで、セルにしっかり太陽の光を取り込むことができる。
また、シラスの薄膜の屈折率は1.4〜1.5程度と低いことから太陽電池(特に、集光型太陽電池の集光レンズ)のコーティングに最適な材料であり、さらにはシラスの薄膜に含まれている酸化チタンTiOの光触媒特性により、太陽電池の防汚も実現できる。
これに対して、防汚を目的として、シラスの薄膜の代わりに光触媒の材料である酸化チタンTiOの薄膜を太陽電池に設けると、酸化チタンTiOの屈折率が高いので、酸化チタンTiOの薄膜が設けられたモジュールや集光レンズでの光路が変化してしまい、光をしっかりと取り込むことができなくなる。
なお、本発明はその要旨を超えない限り上述した実施形態に限定されるものではない。
1 シラス構造体
3 基材
5、5A、5B シラスの薄膜
11 ターゲット
21 光制御素子
23 還元発色膜
25 酸化発色膜
27 第2の導電膜
29、29A、29B 高屈折率の薄膜

Claims (4)

  1. 基材と、
    物理気相成長法により、前記基材に設けられたシラスの薄膜と、
    を有し、前記シラスの薄膜は、可視光線の波長よりもピッチが小さい微細な凹凸を有することを特徴とするシラス構造体。
  2. 請求項1に記載のシラス構造体において、
    前記シラスの薄膜は、前記基材に前記シラスを構成する金属酸化物類が直接堆積することで設けられていることを特徴とするシラス構造体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のシラス構造体において、
    前記基材は、透明もしくは半透明な材料であることを特徴とするシラス構造体。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシラス構造体の製造方法において、
    前記物理気相成長法で使用する薄膜形成材料は、粒子状もしくはバルク状のシラス、または、粒子状もしくはバルク状のシラスを焼結して所定の大きさの焼結体にしたものであることを特徴とするシラス構造体の製造方法。
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