JP2017105937A - 柔らかい風合いを持つテープ又はフィラメント用樹脂組成物 - Google Patents

柔らかい風合いを持つテープ又はフィラメント用樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】柔らかな風合いを持つテープ又はフィラメントに適したテープ又はフィラメント用樹脂組成物を提供する。【解決手段】下記(a−1)〜(a−3)を満足する直鎖状低密度ポリエチレン(A)を5〜40重量%と、下記(b−1)〜(b−3)を満足する他の直鎖状低密度ポリエチレン(B)を60〜95重量%含有するテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物。(a−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下。(a−2)密度が0.900g/cm3を超え、0.915g/cm3以下。(a−3)Mw/Mnが2.0〜4.0。(b−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下。(b−2)密度が0.915g/cm3を超え、0.940g/cm3以下。(b−3)Mw/Mnが3.0〜5.0。【選択図】なし

Description

本発明は、柔らかい風合いを持つテープ又はフィラメント用のポリエチレン系樹脂組成物に関する。
テープ又はフィラメント製造においてポリオレフィンなどのポリマー組成物を使用することは、一般に公知である。ポリオレフィンとしては例えば、ポリエチレン組成物が挙げられ、様々な材料の製造に用いられる。これらの材料にテープ又はフィラメントが含まれ、このテープ又はフィラメントは様々な用途に使用される。テープ又はフィラメントの一般的な用途として、ロープ、人工毛髪、ソフトブラシまたはハードブラシ用の剛毛、人工芝等が挙げられる。これらは、高い耐久性および靭性を必要とする織物材料または編み物において特に有用となり得る。テープ又はフィラメントはその用途に応じて、種々の繊維形状、材料配合の検討が行われている(特許文献1)。
特願2013−535467
本発明は、柔らかな風合いを持つテープ又はフィラメントに適したテープ又はフィラメント用樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を行った結果、特定の樹脂材料を含む樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本願の第1発明は、下記の条件(a−1)〜(a−3)を満足することを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレン(A)を5〜40重量%と、1種類以上の(A)以外の下記の条件(b−1)〜(b−3)を満足することを特徴とする他の直鎖状低密度ポリエチレン(B)を60〜95重量%含有することを特徴とするテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物に存する。
(a−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
(a−2)密度が0.900g/cmを超え、0.915g/cm以下である。
(a−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが2.0〜4.0である。
(b−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
(b−2)密度が0.915g/cmを超え、0.940g/cm以下である。
(b−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.0である。
本願の第2発明は、前記のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物が下記の条件(1),(2)を満たすことを特徴とする第1発明記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物に存する。
(1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
(2)密度が0.910g/cmを超え、0.925g/cm以下である。
本願の第3発明は、前記のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物に耐候剤が添加されていることを特徴とする第1又は第2発明記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物に存する。
本願の第4発明は、第1〜3発明のいずれか1項に記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物を用いることを特徴とする人工芝に存する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
1.直鎖状低密度ポリエチレン(A)
本発明において、直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体であり、コモノマーであるα−オレフィンは炭素数3〜18のものから選択される。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等を挙げることができる。コモノマーは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。共重合体中のエチレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。なお、本願発明でいう直鎖状低密度ポリエチレンには、エチレンとα−オレフィンの共重合の触媒重合過程で発生する長鎖分岐が直鎖状の主鎖に導入されたエチレン・α−オレフィン共重合体も含まれる。
また、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン・1−オクテン共重合体のような、任意のコモノマーを含む二元、三元の共重合体が挙げられる。これらの直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、下記の(a−1)〜(a−3)の特性を備えていること好ましく、且つ、以下の(1)〜(3)の特性を有することが好ましい。この特性は、主にメタロセン系触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(A)により達成されるものであり、このような特性を有することにより、直鎖状低密度ポリエチレン(B)に5〜40wt%配合することにより、柔らかな風合いを持つテープ又はフィラメントに適したテープ又はフィラメントを提供することが可能となる。
(a−1)MFR
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)のMFRは、0.5g/10分を超え、5g/10分以下であり、好ましくは0.5g/10分を超え、3.0g/10分以下であり、より好ましくは0.5g/10分を超え、2.0g/10分以下である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定したものである。MFRが0.5g/10分以下では、成形加工時に、樹脂圧が上昇し押出し加工性が悪くなる。MFRが5g/10分を超えると、テープ又はフィラメントの強度が低下し、成形性が悪くなるので好ましくない。
(a−2)密度
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)の密度は、0.900g/cmを超え、0.915g/cm以下であり、好ましくは0.900g/cmを超え、0.913g/cm以下であり、より好ましくは0.902g/cm以上〜0.910g/cm以下である。ここで、密度は、JIS7112に準拠して測定する値である。密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレンの製造は難しい。また密度が0.915g/cmを超える時はテープ又はフィラメントのこしが高くなり好ましくない。
(a−3)分子量分布(Mw/Mn)
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は2.0〜4.0、好ましくは2.5〜4.0である。Mw/Mnが2.0未満では押出負荷が増大し加工性が劣り、Mw/Mnが4.0を超えると強度が低下する。
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(A)のMw/Mnは、以下の方法(以下、「分子量分布の測定方法」ということもある。)で測定した時の値をいう。Mw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。
装置:ウオーターズ社製GPC
150C型検出器:MIRAN 1A赤外分光光度計(測定波長 3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本
[カラムの較正は、東ソー製単分散ポリスチレン(A500、A2500、F1、F2、F4、F10、F20、F40、F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量は、ポリスチレンとポリエチレンの粘度式を用いてポリエチレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数は、α=0.723、logK=−3.967であり、ポリエチレンは、α=0.707、logK=−3.407である。]
測定温度:140℃
注入量:0.2ml
濃度:20mg
溶媒:オルトジクロロベンゼン
流速:1.0ml/min
(a−4)製造方法
直鎖状低密度ポリエチレン(A)の製造方法は特に制限されず、上述した物性を満たすように公知の方法で製造することができる。例えば、分子量及び結晶性の分布を制御する公知の方法として、重合温度やコモノマー量を調節する方法を適宜採用することにより、所望の物性のポリマーを得ることができる。例えば、本発明の直鎖状低密度ポリエチレン(A)の製造方法は、メタロセン触媒を使用するものであり、メタロセン触媒の種類は特に限定されない。本発明に用いる事が出来るメタロセン触媒の代表的な例を挙げると、
触媒成分(a):5員環のシクロペンタジエニル(2個)が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムのような各種金属に配位した化合物からなるメタロセン遷移金属化合物
触媒成分(b):アルミノキサン助触媒(MAO)
などを用いた慣用の公知のメタロセン触媒を任意に使用することができる。
特に、重合触媒については、4族遷移金属(チタン、ジルコニウム、ハフニウム等)を含むメタロセン化合物を用いられる。
メタロセン系触媒は、具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35005号、特開昭60−35006号、特開昭60−35007号、特開昭60−35008号、特開昭60−35009号、特開昭61−130314号、特開平3−163088号の各公報、ヨーロッパ特許出願公開第420,436号明細書、米国特許第5,055,438号明細書、および国際公開公報WO91/04257号明細書等に記載されているメタロセン触媒もしくはメタロセン/アルモキサン触媒、又は、例えば国際公開公報WO92/07123号明細書等に開示されているようなメタロセン化合物と、該メタロセン化合物と反応して安定なイオンとなる化合物とからなる触媒を挙げることができる。
重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法(例えば特開昭59−23011号公報に記載の方法)や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm2以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法等が挙げられる。
2.直鎖状低密度ポリエチレン(B)
本発明において、直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、エチレンから誘導される構成単位を主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体であり、コモノマーであるα−オレフィンは炭素数3〜18のものから選択される。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン等を挙げることができる。コモノマーは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上用いた多元系共重合体も好ましいものとして含まれる。共重合体中のエチレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。かかるエチレン・α−オレフィン共重合体の具体例としては、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体等が挙げられる。なお、本願発明でいう直鎖状低密度ポリエチレンには、エチレンとα−オレフィンの共重合の触媒重合過程で発生する長鎖分岐が直鎖状の主鎖に導入されたエチレン・α−オレフィン共重合体も含まれる。
また、エチレン・プロピレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−ペンテン・1−オクテン共重合体のような、任意のコモノマーを含む二元、三元の共重合体が挙げられる。 これらの直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、下記の(b−1)〜(b−3)の特性を備えていることが必要である。
この、直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、慣用のチーグラー触媒、チーグラー・ナッタ触媒により製造されることが好ましく、且つ、以下の(b−1)〜(b−3)の特性を有することが好ましい。このような特性を有することにより、直鎖状低密度ポリエチレン(B)に直鎖状低密度ポリエチレン(A)を5〜40wt%配合することにより柔らかな風合いを持つテープ又はフィラメントに適したテープ又はフィラメントを提供することが可能となる。
(b−1)MFR
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(B)のMFRは、0.5g/10分を超え、5g/10分以下であり、好ましくは0.5g/10分を超え、3.0g/10分以下であり、より好ましくは0.5g/10分以上2.0g/10分以下である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定したものである。MFRが0.5g/10分以下では、成形加工時に、樹脂圧が上昇し押出し加工性が悪くなる。MFRが5g/10分を超えると、テープ又はフィラメントの強度が低下し、成形性が悪くなるので好ましくない。
(b−2)密度
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(B)の密度は、0.915g/cmを超え、0.940g/cm以下であり、好ましくは0.917g/cm以上〜0.936g/cm以下であり、より好ましくは0.917g/cm以上0.930cmg/cm以下である。ここで、密度は、JIS7112に準拠して測定する値である。密度が0.915未満では耐熱性に問題が生じる。また密度が0.940g/cmを超える時はテープ又はフィラメントのこしが高くなり好ましくない。
通常高密度ポリエチレン(HDPE)といわれる密度0.930〜0.970g/cm程度の範囲のものであっても、密度が0.915〜0.940g/cmの範囲に入るものは、この直鎖状低密度ポリエチレン(B)の範疇に含まれる。
(b−3)分子量分布(Mw/Mn)
本発明に用いる直鎖状低密度ポリエチレン(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は3.0〜5.0、好ましくは3.0〜4.0である。Mw/Mnが3.0未満では押出負荷が増大し加工性が劣り、Mw/Mnが5.0を超えると強度が低下する。
ここで、直鎖状低密度ポリエチレン(B)のMw/Mnは、直鎖状低密度ポリエチレン(A)で説明した方法と同じである。
(b−4)製造方法
本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレン(B)は、従来公知のさまざまな方法によって製造することができるが、重合触媒としてチーグラー触媒を用いることが、重合体の物性、製造コスト面、から好ましい。
3.その他の添加剤
必要に応じて各種添加成分を加えてもよい。該添加成分としては、一般に樹脂の成形材料や組成物に用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系等)、アンチブロッキング剤、スリップ剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、耐候剤、中和剤、防曇剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤、接着剤、顔料等を挙げることができる。また、本発明の特性を損なわない範囲で、エチレン・プロピレンランダム共重合体等のゴム成分を配合することもできる。特に、耐候剤としては日本ポリエチレン(株)製のコーカノックス(XJ−100H)を1〜10重量%、好ましくは2〜8重量%、さらに好ましくは2〜5重量%添加することで経時のブリードを抑制することができるため優れた耐候性を長期間維持させることができる。
4.テープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物
本発明で用いられるテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物は、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレン(A)を5〜40重量%と、1種類以上の(A)以外の直鎖状低密度ポリエチレン(B)を60〜95重量%含有するものである。上記配合により、柔らかな風合いを持つテープ又はフィラメントを得ることができる。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)の含有量は、5〜40wt%内で任意に調整できるが、場合によっては5〜35wt%、7〜35wt%、好ましくは7〜30wt%と任意に設定できる。一方、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の含有量は、それに相応して、60〜95wt%、場合によっては、65〜95wt%、65〜97wt%、70〜97wt%という具合に、任意に調節できる。
直鎖状低密度ポリエチレン(A)の含有量を、例えば、20、10、2wt%と順次下げると、引張強度、柔軟性、ヒートシール性などが単調に低下することになり、直鎖状低密度ポリエチレン(A)をブレンドした効果が単調に消失して、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の性質となるという傾向を示す。この直鎖状低密度ポリエチレン(A)および直鎖状低密度ポリエチレン(B)の適正な配合割合は、テープ又はフィラメントの用途を考慮して決めることができる。テープ又はフィラメントの引張強度、引張弾性率、機械的強度、ヒートシール性を維持しながら、やわらかな風合いをもつ、テープ又はフィラメントの用途において、溶出物、揮発物、臭気などの原因となる成分が少ない事情からすれば、このようなポリマーブレンド仕様のものが適する。これらのテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物は、下記の特性(1)及び(2)を備えていることが好ましい。
(1)MFR
本発明に用いるテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物のMFRは、0.5g/10分を超え、5g/10分以下であり、好ましくは0.5g/10分を超え、3.0g/10分以下であり、より好ましくは0.5g/10分を超え、2.0g/10分以下である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して、試験条件:190℃、21.18N(2.16kg)荷重で測定したものである。MFRが0.5g/10分以下では、成形加工時に、樹脂圧が上昇し押出し加工性が悪くなる。MFRが5g/10分を超えると、テープ又はフィラメントの強度が低下し、成形性が悪くなるので好ましくない。
(2)密度
本発明に用いるテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物の密度は、0.910g/cmを超え、0.925g/cm以下であり、好ましくは0.915g/cm〜0.925cmである。ここで、密度は、JIS7112に準拠して測定する値である。密度が0.910g/cm以下では耐熱性に問題が生じる。また密度が0.925を超える時はテープ又はフィラメントのこしが高くなり好ましくない。
5.テープ又はフィラメント製造方法
本発明によるテープまたはモノフィラメントを作製するための方法は、押出機からポリエチレン組成物を押し出すステップと、押出機から出てくるポリエチレン組成物を、10〜30℃の温度を有する液体中で急冷するステップとを含む。またその後、ポリエチレン組成物の溶融温度未満の温度で、テープまたはモノフィラメントを2〜15の延伸比で延伸する。その後、テープまたはモノフィラメントを50〜100℃の温度で固定長でアニール(焼鈍:annealing)する。
6.用途
本発明のテープ又はフィラメント用樹脂組成物の最終用途としては、それだけには限らないが、人工芝、スポーツサーフェス、織物および不織布、床の敷物、サック、柔軟な中間バルクコンテナー、カーペット、カーペット裏地、ラグマット、椅子張り材料、アルゴテクスタイル(argotextile)、ジオテキスタイル、建築用シート、ロープ、より糸、索類、ネット、ラウンドベールネット、ラップ、バッグ、医療用途、ストラップ、補強材、複合材料などが挙げられる。本発明はまた、ポリエチレン組成物を含むこれらの物品に関する。
次に、本発明の具体的な実施例について比較例とともに比較検討した。
[評価方法]
(1)MFR
JIS K7210の「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠して、190℃、21.18N(2.16kg)荷重の条件で測定した。
(2)密度
JIS K7112(1999年版):A法(水中置換法)により測定した。
(3)分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、常法に従って作成し行った。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いた。その際使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
(4)弾性率
フィラメントを50mmの長さに切断し、引張試験機にチャック間30mmでセットしたのち、引張速度100mm/minでフィラメントが破断するまで引っ張り、その引張荷重−ひずみ曲線(S−S曲線)を測定し、弾性変形領域における接線勾配から引張弾性率を算出した。
(5)風合い
手で触った際に比較例2よりも柔らかな風合いに仕上がっているものを○とし、比較例2同等以下の風合いのものを×とした。
[総合評価]
弾性率が20MPa以上30MPa以下であり、成形加工性、風合いに問題がないものを○、それ以外を×とした。
[フィラメントの作製]
ポリエチレン樹脂組成物をφ60mmの押出機を使用して温度240℃で溶融押出し、30℃の水槽で冷却固化する。次に、ロール延伸法を用いて90〜100℃で約3倍に一軸延伸加工したのち、90〜100℃の熱水槽内で弛緩熱処理を行い、繊度約2300デシテックス(巾:1mm、厚み:0.25mm)のフィラメントを得た。
[実施例1]
直鎖状低密度ポリエチレン(A)として、表1に示すMFR、密度、及びMw/Mnを有する日本ポリエチレン(株)社製の直鎖状低密度ポリエチレン「NF324A」を15重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(B)として、表1に示すMFR、密度、及びMw/Mnを有する日本ポリエチレン(株)社製の直鎖状低密度ポリエチレン「UF230」を85重量%を含有した樹脂組成物を用いて、物性評価、風合い、成形加工性の評価を行い、その結果をもとに総合評価した。
[実施例2]
実施例1で用いた直鎖状低密度ポリエチレン(A)「NF324A」の含有量を25重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(B)「UF230」の含有量を75重量%と変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を作成し、評価を行った。
[比較例1]
樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(A)「NF324A」単体を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作成し、評価を行った。
[比較例2]
樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(B)「UF230」単体を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作成し、評価を行った。
[比較例3]
樹脂として、表1に示す樹脂物性を有する日本ポリエチレン(株)社製の直鎖状低密度ポリエチレン「UF946」単体を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作成し、評価を行った。
[比較例4]
樹脂として、表1に示す樹脂物性を有する日本ポリエチレン(株)社製の高圧法低密度ポリエチレン「YE30」単体を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を作成し、評価を行った。
Figure 2017105937
[結果の考察]
実施例1,2においては、ほどよい弾性率を有し、風合い成形性にも問題のないフィラメントを得ることができた。一方、比較例1においては弾性率が低く柔らかすぎるため好ましくない。比較例2においては柔らかな風合いが得られなかった。比較例3においては弾性率が高く硬すぎるため好ましくない。比較例4においては分子量分布が広すぎるために成形時に延伸切れが多発してしまうため好ましくない。

Claims (4)

  1. 下記の条件(a−1)〜(a−3)を満足することを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレン(A)を5〜40重量%と、1種類以上の(A)以外の下記の条件(b−1)〜(b−3)を満足することを特徴とする他の直鎖状低密度ポリエチレン(B)を60〜95重量%含有することを特徴とするテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物。
    (a−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
    (a−2)密度が0.900g/cmを超え、0.915g/cm以下である。
    (a−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが2.0〜4.0である。
    (b−1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
    (b−2)密度が0.915g/cmを超え、0.940g/cm以下である。
    (b−3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布Mw/Mnが3.0〜5.0である。
  2. 前記のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物が下記の条件(1)及び(2)を満たすことを特徴とする請求項1記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物。
    (1)MFRが0.5g/10分を超え、5g/10分以下である。
    (2)密度が0.910g/cmを超え、0.925g/cm以下である。
  3. 前記のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物に耐候剤が添加されていることを特徴とする請求項1又は2記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のテープ又はフィラメント用ポリエチレン樹脂組成物を用いることを特徴とする人工芝。
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