JP2017105652A - ベントナイト成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より高密度のベントナイト成形体を製造することができるベントナイト成形体の製造方法の提供。
【解決手段】ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法。前記ベントナイト成形体を含水比10〜5%迄乾燥した時点で保管し、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、ベントナイト成形体を含水比5〜0%迄再乾燥してから実使用に供するベントナイト成形体の製造方法。
【選択図】図2−2

Description

本発明は、例えば放射性廃棄物を処分した廃棄物埋設処分施設の処分坑道を埋め戻すための埋め戻し材、もしくは、水没している空間あるいは管路の漏水が認められる領域に水中充てんして遮水処理するための充てん材などとして用いる略球状のベントナイト成形体の製造方法に関するものである。
(放射性廃棄物の埋設処分の適用分野)
周知のように地下深部に高レベル(あるいは低レベル)の放射性廃棄物を埋設処分することが検討されている。この場合、放射性廃棄物はガラスと混ぜて固化され、このガラス固化体を炭素鋼などからなるオーバーパックで密閉した廃棄体として処分される。また、廃棄体は、図13および図14に示すように、地下深部の比較的安定した地山内に、略環状に繋がる主要坑道1と、この主要坑道1と繋がるように形成した処分坑道2とからなる廃棄物埋設処分施設を構築し、この廃棄物埋設処分施設の処分坑道2内に処分される(例えば、特許文献1を参照)。
このような施設において廃棄体を処分した処分坑道2をそのままにしておくと、処分坑道2の周辺地山の緩みが拡大したり、地下水の卓越した水みちが形成され、廃棄物埋設処分施設全体としてのバリア性能を低下させるおそれがある。このため、地山と同等以上の低透水性の材料(埋め戻し材)で処分坑道2を埋め戻すことが必要であり、この埋め戻し材として膨潤性や放射性物質の吸着性に優れるベントナイトを用いることが検討されている。
ベントナイトを埋め戻し材として使用した場合には、地山から処分坑道2に浸入した地下水が接触してベントナイトが膨潤し地山を押圧することによってさらなる地下水の浸入を防止することができ、且つ膨潤に伴い埋め戻し材の透水係数が低下することで地下水の浸透を防止することができる。これにより、放射性廃棄物を確実に外部の自然環境から隔離して処分することが可能になる。
そして、処分坑道2内に充填する埋め戻し材としては、例えば、ベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを板状に圧密成形したベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材、ベントナイトを例えば円柱状に圧密成形したベントナイトペレット、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールなど、数mm〜数十mm程度の大きさに形成した各種のベントナイト成形体(ベントナイト粒状体)を用いることが検討されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。
ところで、上記のようなベントナイト成形体を用いて優れたバリア性能を発揮させるためには、すなわち高密度のベントナイト遮水層を形成するためには、所定の空間にどれだけの質量のベントナイトを詰め込めるかが重要であるため、ベントナイト成形体を可及的に高密度で形成し、かつその高密度のベントナイト成形体を可及的に高充填率で充填(施工)する必要がある。
しかし、ベントナイト原鉱石を破砕した単なるベントナイト破砕材を用いる場合には、ベントナイト原鉱石の密度が高くないため、また、ベントナイト原鉱石を破砕する際にさらなる密度低下が生じるおそれがあるため、充填後に締め固めることが必要になってしまう。また、このようなベントナイト原鉱石を破砕したベントナイト破砕材は、粒子形状が不規則であり、所定の空間に自由落下で投入しただけでは充填率が上がらないため、この点からも締め固めることが必要になってしまう。
また、ベントナイトプレートを破砕したベントナイト破砕材においても、やはりベントナイトプレートを破砕することによって密度低下が生じるおそれがある。
一方、ベントナイトを等方圧加圧処理により球形に圧密成形したベントナイトボールにおいては、球形に成形されているため、単一粒径のベントナイトボールを所定の空間に自由落下で投入した場合に、理論的に約75%の高充填率で充填することが可能である。
しかしながら、数mm〜数十mm程度の粒径のベントナイトボールを数十MPaの圧力で等方圧加圧処理して成形することは、非常に大掛かりな装置が必要になるとともに、製造工程が複雑になり、製造に多大なコストを要するという問題があった。
そこで本出願人は上記の問題を解決するため、粉体のベントナイトに水を加えて混ぜ合わせるとともに、押し出し造粒工程でディスクダイ(押し出し造粒機)を用いて湿潤状態の円柱状のベントナイト成形体を成形し、押し出し造粒工程で成形したベントナイト成形体を転動造粒工程で球形に成形し、さらに転動造粒工程で成形した球形のベントナイト成形体を乾燥収縮によって高密度化させるように乾燥工程で乾燥して、球形のベントナイト成形体を製造する方法を既に提案している(特許文献5を参照)。
このベントナイト成形体の製造方法によれば、高い圧力を使用したり、複雑な工程を要することなく、乾燥密度が充分に高い高密度の略球形のベントナイト成形体を効率よく容易に製造することが可能である。また、このように製造したベントナイト成形体を所定の空間に自由落下で投入するだけで充分に高密度(理論的に約75%)の充填率で充填することが可能になる。
しかも、上記の製造方法では、押出孔の孔径が異なるディスクダイを用いることで粒径が異なるベントナイト成形体を容易にかつ大量に製造することが可能であるから、上記の製造方法により粒径が異なる複数種類のベントナイト成形体を製造し、それら複数種類のベントナイト成形体を所定比率で混合して充填することにより充填率をさらに高めることが可能であり、それによりバリア性能に優れたベントナイト遮水層を容易に形成することが可能になる。
図15および図16は、上記の製造方法により製造したベントナイト成形体を廃棄物埋設処分施設において埋め戻し材として用いる場合の具体例を示したものである。
図15は、廃棄体(高レベル放射性廃棄物)3を縦形の処分孔4内に処分する場合に、廃棄体3の周囲に上記のベントナイト成形体5を充填装置6によって充填して処分孔4を埋め戻すことにより、廃棄体3の周囲に難透水性粘土層としてのベントナイト遮水層を形成するようにしたものである。
図16は、水平な処分坑7に廃棄体(あるいは緩衝材一体型廃棄体)3を配置した後、その周囲に上記のベントナイト成形体5を充填して処分坑7全体を埋め戻すことにより、同様に廃棄体3の周囲に難透水性粘土層(ベントナイト遮水層)を形成するようにしたものである。
特許文献6の発明は、上述した製造方法を基本としつつその乾燥工程に改良を加えることにより、表面が充分に平滑な略球形のベントナイト成形体を容易にかつ効率的に製造し得る有効適切な製造方法と、その方法において用いる有効適切な乾燥装置、並びにそれにより製造される有効適切なベントナイト成形体を提供することを目的としている。
その結果、図17(特許文献6の図7から転載)に示されているように、従来法においては乾燥速度が約4%/Hr以上の高速乾燥を行うことから最終的な乾燥密度は約1.8Mg/m程度が限界であるが、特許文献6によれば、乾燥速度を1%/Hr以下に設定することで最終的な乾燥密度を約1.9Mg/m以上にでき、従来の強制対流法による場合に比べて充分に高密度な高密度のベントナイト成形体を製造できるとしている。
(放射性廃棄物の埋設処分とは別の適用分野)
また、特許文献7に示されるように、原子力発電所あるいは有害物質製造施設において、事故発生に伴って汚染水が施設内の水没空間に貯留し、そこから破損した施設躯体部あるいは破損した配管を通じて施設外に漏出している場合の局部的な遮水材としても、吸水膨張性を有するベントナイト・ペレットを水中に投入することで遮水処理することも考えられている。
(ペレットの望ましい密度)
埋め戻し材もしくは充てん材として供するベントナイト・ペレットはできるだけ高密度であることが望ましい。なぜならば、ベントナイト・ペレットは充てんした領域を遮水性材料で満たすことが目的で使用されるものであり、ベントナイト・ペレットが吸水膨張したときの遮水性(難透水性)は充てん密度(単位体積中を満たしているベントナイトの乾燥重量)によって決まるからである。図18は非特許文献1に記載の透水係数予測式(k=10・exp(−1.328ρ−10.447))に基づいてグラフ化した図であり、充てんされているベントナイトの充てん密度(乾燥密度に換算した値)と透水係数の関係を示しており、密度が大きいほど透水係数が小さくなることがわかる。同図から例えば、透水係数を1×10−12(m/s)よりも小さくしたい場合には、ベントナイトの充てん密度を1.2Mg/m以上にすることが必要であることがわかる。
図19は、ペレットを充てんした空間の充てん密度を測定した例であり(非特許文献2より抜粋)、一粒の密度(乾燥密度換算値)が2.0Mg/m程度のペレットを使った例である。一粒の密度が約2.0Mg/mのペレットを充てんした場合にはベントナイトの充てん密度(乾燥密度換算値)を1.3Mg/m以上にできることがわかる。したがって、一粒の密度(乾燥密度換算値)が1.95Mg/m以上のペレットを供するならば十分な遮水性に充てんできることになる。そこで、一粒の乾燥密度が1.95Mg/mを製造目標としておくことが望ましい。
一方、非特許文献3によれば、低レベル放射性廃棄物等を埋設する地下空洞型処分施設では、ベントナイトで構築される低透水層として、乾燥密度に換算して1.6Mg/m以上にすることが考えられている。このような性能を満たすためには、ペレットの一粒の乾燥密度が2.1Mg/m程度にすることが望ましい。
特開2003−215297号公報 特許第4036975号公報 特開平6−41513号公報 特許第3539928号公報 特開2009−274910号公報 特開2011−242289号公報 特開2015−110886号公報
前田、棚井他、「カルシウム型化及びカルシウム型ベントナイトの基本特性」、PNC TN8410 98−021、1998年 戸栗他、「横置き定置方式における緩衝材周辺隙間へのベントナイトペレットの充てん方法に関する研究」、土木学会第63回年次学術講演会要旨集、CS05−12、pp.191−192、2008年9月 中島、織田、千々松他、「狭隘部におけるベントナイト締固めによる側部緩衝材(低透水層)の施工性確認」、土木学会第66回年次学術講演会(平成23年度)、CS3−001、p.1−2
以上で説明したように、上記の特許文献5ないし特許文献6に示される製造方法は、高密度の球状のベントナイト成形体を効率よく容易に製造できる点で充分に有効であるが、製造したペレットの乾燥密度は1.94Mg/m程度であり、さらなる高密度化の点で改善すべき余地を残している。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より高密度のベントナイト成形体を製造することができるベントナイト成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造することを特徴とする。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法は、上述した発明において、ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、ペレットの乾燥速度条件v・Dが80以下となるような乾燥速度条件にすることを特徴とする。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法は、上述した発明において、乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下となるような乾燥速度条件にすることを特徴とする。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法は、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管することを特徴とする。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法は、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とする。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法は、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とする。
本発明に係るベントナイト成形体の製造方法によれば、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造するので、より高密度のベントナイト成形体を製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、ペレットの乾燥速度条件v・Dが80以下となるような乾燥速度条件にするので、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、適度な乾燥速度条件で乾燥収縮を進めることができるという効果を奏する。このため、小粒径ペレットの場合にはいたずらに乾燥収縮プロセスに長時間を要することがなくなる。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるため、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下となるような乾燥速度条件にするので、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、小粒径ペレットの場合には、短時間で乾燥収縮プロセスを実施することができるという効果を奏する。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるために、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管するので、ペレットの含水比は5%を超えないことから、保管環境の条件を比較的マイルドに許容でき、保管費用を節減することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するので、ペレット製造段階では含水比10%まで乾燥しておくことによって、高湿度環境(例えば相対湿度70%)にて保管しても保管中は含水比が上昇しないので、実際にペレットを使用する直前において含水比5%まで乾燥させてさらに密度を増大することで、より大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができるという効果を奏する。あるいは、ペレット製造段階では含水比5%まで乾燥しておくことによって、例えば相対湿度40%程度の環境にて保管しても保管中は含水比が上昇しないので、実際にペレットを使用する直前において含水比0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、もっとも大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するので、例えば、仮に長期間の保管中にペレットが吸湿して密度低下した場合には、実際にペレットを使用する直前において含水比5%〜0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができるという効果を奏する。
図1−1は、乾燥工程における湿潤ペレット内部に気泡が多数存在する場合の変化イメージ図である。 図1−2は、乾燥工程における湿潤ペレット内部に気泡がほとんど存在しない場合の変化イメージ図である。 図2−1は、静的プレスによって円柱状の湿潤固形体を作る工程の概略手順図である。 図2−2は、円柱状の湿潤固形体から略球形に成形する工程の概略手順図である。 図3は、乾燥途上におけるベントナイト・ペレットの内部の水分分布イメージの図である。 図4は、湿潤ペレットの含水比と粒径比率の関係を示す図である。 図5は、乾燥速度条件v・Dと最終乾燥密度の関係を示す図である。 図6は、乾燥速度条件v・Dと最終乾燥密度の関係を示す図である。 図7は、乾燥速度条件v・Dと最終乾燥密度の関係を示す図である。 図8は、乾燥速度条件v・Dと最終乾燥密度の関係グラフに乾燥速度条件のしきい値と乾燥密度1.95Mg/mの線を追加した図である。 図9は、保管環境における平均相対湿度条件Rhとペレットの含水比の収束値(収束含水比)の関係を示す図である。 図10−1は、相対湿度100%密閉容器内加湿による5mmペレットの含水比の経時変化を示す図である。 図10−2は、相対湿度100%密閉容器内加湿による9mmペレットの含水比の経時変化を示す図である。 図10−3は、相対湿度100%密閉容器内加湿による27mmペレットの含水比の経時変化を示す図である。 図11−1は、乾燥プロセスおよび加湿プロセスにおける含水比と粒径5mmペレットの密度の関係を示す図である。 図11−2は、乾燥プロセスおよび加湿プロセスにおける含水比と粒径9mmペレットの密度の関係を示す図である。 図11−3は、乾燥プロセスおよび加湿プロセスにおける含水比と粒径27mmペレットの密度の関係を示す図である。 図12−1は、乾燥後に吸湿した粒径5mmペレットの再乾燥における含水比と密度の関係を示す図である。 図12−2は、乾燥後に吸湿した粒径9mmペレットの再乾燥における含水比と密度の関係を示す図である。 図12−3は、乾燥後に吸湿した粒径27mmペレットの再乾燥における含水比と密度の関係を示す図である。 図13は、廃棄物埋設処分施設の一例を示す図である。 図14は、主要坑道および処分坑道の一例を示す図である。 図15は、処分孔に対する埋め戻し状況の一例であり、(a)は埋め戻し前、(b)は埋め戻し後の図である。 図16は、処分坑に対する埋め戻し状況の一例であり、(a)は埋め戻し前、(b)は埋め戻し後の図である。 図17は、従来の乾燥速度と最終的な乾燥密度との関係を示す図である。 図18は、充てんされたベントナイトの密度(乾燥密度換算値)と吸水後の透水係数の関係を示す図である。 図19は、ベントナイト・ペレットの充てん密度の測定例であり、1mm級ペレット混合率とかさ密度の関係を示す図である。
以下に、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態1に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造するものである。
(1)湿潤ペレットの製造工程
まず、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法のうち、前半工程(湿潤ペレットの製造工程)について説明する。
図1は、ベントナイト・ペレットを製造するための前段階で湿潤ペレット(略球形の高密度成形体)を作り、それをゆっくり乾燥させることで乾燥収縮させて、高密度の乾燥ペレットを製造する際のペレット内部状況の変化イメージである。混練した材料を静的プレスあるいは押出成形によって水でほぼ飽和した高密度の固形体に加工した場合には、それを乾燥収縮させることによって高密度化できるものの、普通は飽和度が90%未満であり、図1−1に示すようにペレットP内部に気泡Aが存在しているため、乾燥収縮後のペレットの密度は2.0Mg/m程度までに留まる。そこで、図1−2に示すように気泡の存在を限りなくゼロにすることで、より高密度なペレットを製造できることになる。この場合、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、例えば1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めることが好ましい。こうすることで、気泡の存在を限りなくゼロに近づけた高密度な湿潤ペレットを作ることができる。
図2−1および図2−2は、静的プレスによって円柱状の湿潤ベントナイト固形体を作り、その後、略球形に成形する工程の概念図である。このような方法によって、ペレット内部の気泡の存在を限りなくゼロにすることができる。このような水で飽和したベントナイト成形体を製造する方法については、例えば特許第4055121号公報あるいは特許第4217953号公報に記載の方法を利用することができる。飽和度は96%以上にすることができており、気泡はほとんど存在していない。
上記手段とは別に、真空状態の減圧雰囲気において、スクリュウポンプもしくはモーノポンプによって円孔吐出口を有するダイスから押し出し成形して、円柱状の高密度湿潤成形体を造り、適度な長さに切断後、転動造粒して球状に丸めてもよい。
表1は、本発明の真空押出成形によって製造した円柱状の湿潤成形体を、転動造粒装置の高速回転する円盤上にて転がすことによって、略球状に成形した湿潤ペレットを乾燥収縮させた場合の乾燥密度の測定例(実施例)を示している。ベントナイトとしては「クニゲルV1」を用いた。表1には、比較例として従来の方法で製造したペレットの乾燥密度の例(下記の参考文献1より転載)を示している。表1中の乾燥密度の単位はMg/mである。
[参考文献1] 中島均、齊藤亮、石井卓、「高密度で真球度が高いベントナイトペレットの製造方法」、日本原子力学会2013年春の年会、A19、p.19、日本原子力学会,、2013年3月
Figure 2017105652
表1に示すように、比較例では、20mmペレットの密度はほとんどが2.0Mg/m以下であったが、本発明の実施例で製造したペレットでは2.1Mg/mを上回っている。このため、本実施の形態によれば、より高密度のベントナイト成形体を製造することができる。
また、上記の従来の特許文献4に記載の等方圧加圧処理による球状ペレット製造方法(例えば表7)では、本発明の実施例と同じベントナイト「クニゲルV1」で直径16mmのペレットを製造した場合の乾燥密度は2.12Mg/mと記載されている。したがって、本発明によれば、等方圧加圧処理に比べて製造コストを小さくできる方法で同等密度のペレットを製造できることがわかる。
(2)湿潤ペレットの乾燥工程
次に、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法のうち、後半工程(湿潤ペレットの乾燥工程)について説明する。
上記のように気泡の内在を極力排除し間隙に占める水の存在率(飽和度)を100%に近い状態(例えば飽和度95%)の湿潤ベントナイト固形体を作ることによって、その後の乾燥収縮が滞りなく進むので、乾燥後の密度は従来の方法よりも大きくなる。すなわち、従来の方法(上記の特許文献5、6、7)においては飽和度が90%未満であったため、乾燥収縮後において内部に気泡が若干残る欠点があった。
乾燥収縮を効率よく進めるための条件については、本出願人が出願中の特願2014−088517号および特願2014−218740号あるいは特願2015−021466号に記載の方法を適用すればよい。この乾燥収縮を効率よく進めるための条件について、以下の実施の形態2〜6で説明する。
(実施の形態2)
まず、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態2に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、ペレットの乾燥速度条件v・Dが80以下となるような乾燥速度条件にするものである。
以下、本実施の形態2の製造方法を発明するに至った経緯を説明する。
上記の従来の特許文献6では、乾燥収縮によってペレット密度を増加させる際の乾燥速度条件として、図17に示すような乾燥速度のしきい値が認められたが、これは粒径が同じ20mm級ペレットに関する乾燥収縮特性から推定したしきい値であった。図17のみからでは径が異なるペレットの乾燥データからペレット径の影響を考慮せずに乾燥速度の最適値(あるいは上限値)を見極めることはできない。そこで、ペレット径Dの影響を考慮したプロットを試みた。
1−1)ペレット内部の水分分布のイメージ
図3はペレットの乾燥プロセス途上におけるペレット内部の水分分布の変化を概念的に推測したイメージ図である。ペレットの外表面から次第に乾燥が進み、それに伴って内部の乾燥も徐々に進展していく。ペレット内部の水分は拡散現象で移動するものと考えられる。ペレットの乾燥収縮を効果的に進めるためには、ペレット内部の水分分布が比較的均質となるように徐々に乾燥することが望ましい。したがって、乾燥速度はペレット粒径に応じて異なる速度条件となり、ペレット粒径が大きくなるにつれて乾燥速度を遅くする必要がある。すなわち、ペレットの直径と乾燥速度の両方を考慮した指標を目安として乾燥することが望ましい。
1−2)ペレットの乾燥収縮現象における含水比とペレット密度の関係(含水比/粒径収縮勾配)
乾燥することによって湿潤ペレットの密度が上昇することを利用したペレット(高密度の球状ベントナイト成形体)の製造方法は、乾燥に伴う収縮現象を利用している。そこで、乾燥工程の進展に伴うペレットの粒径の変化を測定してみた。
ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めるためには、ベントナイトに加水してある程度の湿潤状態にしておく必要がある。土質工学では塑性限界という試験値でその湿潤程度を求めており、ベントナイトの塑性限界は含水比23%程度であることが知られている。したがって、高含水比の湿潤ペレットを乾燥させる工程が必要であり、この工程でペレットは体積縮小して硬質化し、かつ、密度が上昇する。
粉体のベントナイトに水を加えて含水比25%〜23%となるように混ぜ合わせるとともに、押し出し造粒工程でディスクダイ(押し出し造粒機)を用いて湿潤状態の円柱状のベントナイト成形体を成形し、さらに円柱状(ひも状)のベントナイト成形体を転動造粒工程で球形に成形した平均粒径5mm、9mm、27mmの3種類の湿潤ペレットを、室内(温度20℃〜30℃、湿度60%〜75%)で無風状態において乾燥させて高密度のペレットを試作した。なお、室内無風状態では含水比10%よりも小さい含水比に乾燥しにくいため、デシケータ(シリカゲルによる乾燥密閉容器)に静置して乾燥させた。また、デシケータ内で含水比5%以下への乾燥はしにくいので、その後は80℃の無風乾燥および110℃の無風乾燥を実施した。
このときに、随時ペレットを取り出して粒径を測定した結果を図4に示す。粒径は15個〜94個のペレットを直線上に並べたときの延長から測定し、初期値を1.00としたときの比率で示してある。以下、このグラフの勾配を「含水比/粒径収縮勾配」と称する。
図4から、乾燥プロセスの前半、すなわち、湿潤ペレットの含水比(25%〜23%)から乾燥を開始して含水比15%〜10%に至る乾燥プロセスでは、含水比/粒径収縮勾配は大きく、それ以降の乾燥プロセスの後半では含水比/粒径収縮勾配は小さいことがわかる。乾燥収縮による密度上昇効果は乾燥プロセスの前半における乾燥速度を適度に保つことが効果的であることが推測された。そこで、以下の指標値としては乾燥プロセスの前半における乾燥速度に着目した。
1−3)ペレットの乾燥速度と粒径を考慮した指標と最終乾燥密度の関係
図3のような乾燥に伴う水分分布の変化を前提とすると、ペレット内部の水分分布を比較的均質となるように徐々に乾燥させることが必要であり、乾燥収縮によるペレット密度上昇を考慮した乾燥速度の最適値(あるいは上限値)を見極める目的では、ペレット径Dの1次式、2次式、3次式を使った正規化について検討する必要がある。そこで、3種類の湿潤ペレットを使って、乾燥プロセスの前半(湿潤ペレットの含水比25%〜23%から乾燥を開始して含水比15%〜10%に至る乾燥プロセス)における乾燥速度条件を数ケース変えて乾燥収縮実験を実施した。その結果を示したものが表2である。表2に示した乾燥速度v(1/Hr)は初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値である。上記の特許文献6では乾燥速度として含水比を百分率で表示した場合の指標であったが、本発明では含水比を%の単位ではなく実数値で表示して計算した。
Figure 2017105652
表2では乾燥速度vとペレット径Dを使って指標となる値を試行錯誤的に計算して示した。この指標値と最終乾燥密度との関係をプロットしたグラフが図5〜図7である。なお、図5〜図7は特願2014−218740号あるいは特願2015−021466号に記載のグラフを示したものであり、湿潤押し出し成形体の飽和度が90%未満のときの値を使ったものであるため、乾燥収縮後の密度は従来技術での値となっている。表2〜表4も同様であり、本発明(請求項1)を適用すれば、より高い密度になる。
その結果、図7の乾燥速度条件v・Dと最終乾燥密度の関係プロットにもっとも相関関係が認められる。同図を図8に示すようにしきい値を示して整理すると、ペレットの乾燥収縮に伴う最終密度を1.95Mg/m以上にするためには、速度v(1/Hr)をペレット径D(mm)に応じて、次の数式(1)を満足するような条件にする必要があることがわかった。
v・D≦80・・・ (1)
v≦80/D
ただし、v:乾燥速度(1/Hr)
D:ペレット直径(mm)
ここで、乾燥速度vは初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで計算される値である。また、含水比w、wは%ではなく実数値である。
本実施の形態によれば、上記の数式(1)を使って、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、適度な乾燥速度条件で乾燥収縮を進めることができるため、小粒径ペレットの場合にはいたずらに乾燥収縮プロセスに長時間を要することがなくなる。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるため、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態3に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下となるような乾燥速度条件にするものである。
上記の実施の形態2の数式(1)から算出すると、粒径に応じて例えば、表3のような乾燥速度条件が望ましい。
Figure 2017105652
なお、表3には、乾燥速度条件に加えて、含水比23%の湿潤ペレットを含水比10%まで乾燥する場合の所要乾燥時間を示した。ペレット粒径が小さい場合には乾燥速度を大きく(所要乾燥時間を短く)しても乾燥収縮を効果的にすることが可能であり、逆に粒径が30mmのペレットではより小さい乾燥速度(所要乾燥時間を長くする)で乾燥収縮することが望ましいことがわかった。
本実施の形態によれば、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、小粒径ペレットの場合には、短時間で乾燥収縮プロセスを実施することができる。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるために、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態4に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態2または3のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管するものである。
((効果的に乾燥収縮させたペレットの含水比と乾燥密度))
十分小さい乾燥速度で効果的な乾燥収縮をさせたペレットの密度を乾燥途中で測定した結果を表4に示した。表4に示すように、乾燥収縮させたベントナイト・ペレットは含水比0%まで乾燥しておくことで、2.0Mg/m以上の高密度なペレットになる。一方、含水比5%のペレットでは乾燥密度換算値で1.98Mg/m以上のペレットとなっている。ベントナイト・ペレットを使った構築行為では、必ずしもペレット密度を2.0Mg/mにする必要はなく、1.95Mg/m以上にできればよいので、ペレットの含水比を0%にしなくてもよい場合もある。
Figure 2017105652
((効果的に乾燥させたペレットの吸湿による含水比変化))
ペレットの含水比を5%まで許容するならば、乾燥収縮させたペレットを長期保管する際の保管環境を湿度ゼロにしなくてもよいと考えられる。そこで、数ケースの相対湿度条件の保管環境に1ヶ月程度定置したペレットの含水比変化を測定して、含水比の収束値を求めた。保管環境の相対湿度とペレットの収束含水比の関係を図9に示す。含水比が5%を超えない保管環境は相対湿度40%以下であることがわかった。
本実施の形態によれば、相対湿度40%以下となる環境でペレットを保管するならば、ペレットの含水比は5%を超えないことから、保管環境の条件を比較的マイルドに許容できるので、保管費用を節減できる。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
本実施の形態5に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態2または3のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するものである。
十分に小さい乾燥密度で含水比0%となるまで乾燥収縮させたペレットを、相対湿度100%の加湿箱に定置して、その後の含水比の変化を測定した結果を図10−1〜図10−3に示す。図10−1は平均粒径5mmのペレット、図10−2は平均粒径9mmのペレット、図10−3は平均粒径27mmのペレットの含水比の経時変化グラフである。
これらの図に示すように、含水比は15%〜16%程度まで上昇して、その後は含水比上昇が終息している。このときのペレットの含水比と平均直径の関係を図11−1〜図11−3に示す。図11−1は平均粒径5mmのペレット、図11−2は平均粒径9mmのペレット、図11−3は平均粒径27mmのペレットの含水比と平均直径のグラフである。これらの図に示すように、湿潤ペレットを乾燥するプロセスにおける平均粒径の縮小傾向に比して、加湿に伴う平均粒径の拡大傾向は大きいことがわかる。この原因は、相対湿度100%の環境に定置したペレットでは、ペレットの外表面付近の吸湿膨張が内部の吸湿よりも卓越するため、外殻領域が膨張するためであると考えられる。このような急激な吸湿の場合には乾燥収縮したペレットの密度は減じてしまう。すなわち、乾燥した後で吸湿することのないようにすることが望ましい。
本実施の形態によれば、例えば、ペレット製造段階では含水比10%まで乾燥しておくとともに、保管中は含水比が上昇しないようにしておき、実際にペレットを使用する直前において含水比5%まで乾燥させてさらに密度を増大することで、より大きな密度のペレットを提供できる。
あるいは、ペレット製造段階では含水比5%まで乾燥しておくとともに、保管中は含水比が上昇しないようにしておき、実際にペレットを使用する直前において含水比0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、もっとも大きな密度のペレットを提供できる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6について説明する。
本実施の形態6に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態2または3のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するものである。
保管中に、ペレットが吸湿して含水比が上昇してしまった場合を想定して、吸湿後に再度乾燥させた場合の含水比と平均直径の関係を図12−1〜図12−3に示す。図12−1は平均粒径5mmのペレット、図12−2は平均粒径9mmのペレット、図12−3は平均粒径27mmのペレットの含水比と平均直径のグラフである。□のプロットが再乾燥プロセスのデータを示している。
これらの図に示すように、湿潤ペレットを最初に乾燥させた場合の最終乾燥密度(最終平均粒径)に復旧していることがわかる。すなわち、吸湿して密度低下した場合には、ペレットを再乾燥して含水比5〜0%まで乾燥収縮させることで密度を復旧させることができる。
本実施の形態によれば、例えば、仮に長期間の保管中にペレットが吸湿して密度低下した場合には、実際にペレットを使用する直前において含水比5%〜0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、大きな密度のペレットを提供できる。
以上説明したように、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法によれば、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造するので、より高密度のベントナイト成形体を製造することができる。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、ペレットの乾燥速度条件v・Dが80以下となるような乾燥速度条件にするので、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、適度な乾燥速度条件で乾燥収縮を進めることができる。このため、小粒径ペレットの場合にはいたずらに乾燥収縮プロセスに長時間を要することがなくなる。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるため、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができる。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下となるような乾燥速度条件にするので、ペレットの粒径の大小に応じて、乾燥速度を変えることによって、小粒径ペレットの場合には、短時間で乾燥収縮プロセスを実施することができる。また、大粒径ペレットの場合には、乾燥速度を過度に大きくすることがなくなるために、乾燥収縮による密度上昇不足となる事態やペレットの割れ破損を防止することができる。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管するので、ペレットの含水比は5%を超えないことから、保管環境の条件を比較的マイルドに許容でき、保管費用を節減することができる。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するので、ペレット製造段階では含水比10%まで乾燥しておくことによって、高湿度環境(例えば相対湿度70%)にて保管しても保管中は含水比が上昇しないので、実際にペレットを使用する直前において含水比5%まで乾燥させてさらに密度を増大することで、より大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができる。あるいは、ペレット製造段階では含水比5%まで乾燥しておくことによって、例えば相対湿度40%程度の環境にて保管しても保管中は含水比が上昇しないので、実際にペレットを使用する直前において含水比0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、もっとも大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができる。
また、本発明に係る他のベントナイト成形体の製造方法によれば、上述したベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するので、例えば、仮に長期間の保管中にペレットが吸湿して密度低下した場合には、実際にペレットを使用する直前において含水比5%〜0%まで乾燥させてさらに密度を増大させることで、大きな密度のベントナイト成形体のペレットを提供することができる。
以上のように、本発明に係るベントナイト成形体の製造方法は、例えば放射性廃棄物を処分した廃棄物埋設処分施設の処分坑道を埋め戻すための埋め戻し材、もしくは、水没している空間あるいは管路の漏水が認められる領域に水中充てんして遮水処理するための充てん材などとして用いる略球状のベントナイト成形体の製造方法に有用であり、特に、より高密度のベントナイト成形体を製造するのに適している。
1 主要坑道
2 処分坑道
3 廃棄体
4 処分孔
5 ベントナイト成形体
6 充填装置
7 処分坑
A 気泡
P ペレット

Claims (6)

  1. ベントナイト粉体に水を添加して混練し、1000Pa以下の真空状態の減圧雰囲気において圧縮成形して湿潤ベントナイト固形体を作り、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
  2. ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、
    乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比wと乾燥途中の含水比wに至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w−w)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、
    ペレットの乾燥速度条件v・Dが80以下となるような乾燥速度条件にすることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト成形体の製造方法。
  3. 乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、
    ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、
    ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、
    ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、
    ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下
    となるような乾燥速度条件にすることを特徴とする請求項1に記載のベントナイト成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか一つに記載のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、ベントナイト成形体を実際に使う時点で、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
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