JP6041165B2 - ベントナイト成形体の製造方法 - Google Patents
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周知のように地下深部に高レベル(あるいは低レベル)の放射性廃棄物を埋設処分することが検討されている。この場合、放射性廃棄物はガラスと混ぜて固化され、このガラス固化体を炭素鋼などからなるオーバーパックで密閉した廃棄体として処分される。また、廃棄体は、図11および図12に示すように、地下深部の比較的安定した地山内に、略環状に繋がる主要坑道1と、この主要坑道1と繋がるように形成した処分坑道2とからなる廃棄物埋設処分施設を構築し、この廃棄物埋設処分施設の処分坑道2内に処分される(例えば、特許文献1参照)。
一方、放射性廃棄物の埋設処分とは別の適用分野として、原子力発電所あるいは有害物質製造施設において、事故発生に伴って汚染水が施設内の水没空間に貯留し、そこから破損した施設躯体部あるいは破損した配管を通じて施設外に漏出している場合の局部的な遮水材としても、吸水膨張性を有するベントナイト・ペレットを水中に投入することで遮水処理することも考えられている。
埋め戻し材もしくは充てん材として供するベントナイト・ペレットはできるだけ高密度であることが望ましい。なぜならば、ベントナイト・ペレットは充てんした領域を遮水性材料で満たすことが目的で使用されるものであり、ベントナイト・ペレットが吸水膨張したときの遮水性(難透水性)は充てん密度(単位体積中を満たしているベントナイトの乾燥重量)によって決まるからである。図17は非特許文献1に記載の透水係数予測式(k=10・exp(−1.328ρ−10.447)に基づいてグラフ化した図であり、充てんされているベントナイトの充てん密度(乾燥密度に換算した値)と透水係数の関係を示しており、密度が大きいほど透水係数が小さくなることがわかる。同図から例えば、透水係数を1×10−12(m/s)よりも小さくしたい場合には、ベントナイトの充てん密度を1.2Mg/m3以上にすることが必要であることがわかる。
図19は、平均粒径0.3mmペレットに対して一定の温度と送風量で乾燥を継続した場合の含水比の低下状況を例示したものである。この図に示すように、ペレットは含水比が0%に近づくにつれて、乾燥しにくくなる傾向がある。乾燥のための空気の相対湿度が0%に近いものでなければ乾燥できなくなるとともに、空気とペレット間隙空気の相対湿度が近づくとペレットの空隙からの水分子の拡散速度が遅くなるためである。このようなことから、含水比0%まで乾燥するには長時間を要するため、製造効率が低下することが課題であった。
まず、本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態1に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比w0と乾燥途中の含水比w1に至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w0−w1)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、ペレットの乾燥速度条件v・D3が80以下となるような乾燥速度条件にする乾燥工程を有し、ペレットの含水比が0.10〜0.15よりも小さくなった時点で、高温またはおよび多量の空気を送風することで前記乾燥工程による乾燥を高速化するものである。
以下、本実施の形態1の製造方法を発明するに至った経緯を説明する。
図1はペレットの乾燥プロセス途上におけるペレット内部の水分分布の変化を概念的に推測したイメージ図である。ペレットの外表面から次第に乾燥が進み、それに伴って内部の乾燥も徐々に進展していく。ペレット内部の水分は拡散現象で移動するものと考えられる。ペレットの乾燥収縮を効果的に進めるためには、ペレット内部の水分分布が比較的均質となるように徐々に乾燥することが望ましい。したがって、乾燥速度はペレット粒径に応じて異なる速度条件となり、ペレット粒径が大きくなるにつれて乾燥速度を遅くする必要がある。すなわち、ペレットの直径と乾燥速度の両方を考慮した指標を目安として乾燥することが望ましい。
乾燥することによって湿潤ペレットの密度が上昇することを利用したペレット(高密度の球状ベントナイト成形体)の製造方法は、乾燥に伴う収縮現象を利用している。そこで、乾燥工程の進展に伴うペレットの粒径の変化を測定してみた。
図1のような乾燥に伴う水分分布の変化を前提とすると、ペレット内部の水分分布を比較的均質となるように徐々に乾燥させることが必要であり、乾燥収縮によるペレット密度上昇を考慮した乾燥速度の最適値(あるいは上限値)を見極める目的では、ペレット径Dの1次式、2次式、3次式を使った正規化について検討する必要がある。そこで、3種類の湿潤ペレットを使って、乾燥プロセスの前半(湿潤ペレットの含水比25%〜23%から乾燥を開始して含水比15%〜10%に至る乾燥プロセス)における乾燥速度条件を数ケース変えて乾燥収縮実験を実施した。その結果を示したものが表2である。表2に示した乾燥速度v(1/Hr)は初期含水比w0と乾燥途中の含水比w1に至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w0−w1)/tで算出した値である。上記の特許文献6では乾燥速度として含水比を百分率で表示した場合の指標であったが、本発明では含水比を%の単位ではなく実数値で表示して計算した。
ここで、含水比が0.10〜0.15よりも小さくなった時点で、高温またはおよび多量の空気を送風することで高速の乾燥工程にする。
図21は、図20で示したものと同様の粒径約0.3mmのペレットを回転ドラム型多孔円筒容器8セルに約5kgづつ装填し、温風発生機からの送風を8セルに均等に通気させる方法による乾燥プロセスのデータである。図21には下記の二つの乾燥条件における含水比の低下の経時変化を示している。
・乾燥条件2:含水比が10%に低下した時点から送風量と温度を大きくした場合(グラフの◆プロット)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態2に係るベントナイト成形体の製造方法は、ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、ペレットの粒径が5mm級の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、ペレットの粒径が10mm級の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、ペレットの粒径が20mm級の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、ペレットの粒径が30mm級の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下となるような乾燥速度条件にする乾燥工程を有し、ペレットの含水比が0.10〜0.15よりも小さくなった時点で、高温またはおよび多量の空気を送風することで前記乾燥工程による乾燥を高速化するものである。
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態3に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態1または2のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を相対湿度40%以下の環境で保管するものである。
十分小さい乾燥速度で効果的な乾燥収縮をさせたペレットの密度を乾燥途中で測定した結果を表5に示した。表5に示すように、乾燥収縮させたベントナイト・ペレットは含水比0%まで乾燥しておくことで、2.0Mg/m3以上の高密度なペレットになる。一方、含水比5%のペレットでは乾燥密度換算値で1.98Mg/m3以上のペレットとなっている。ベントナイト・ペレットを使った構築行為では、必ずしもペレット密度を2.0Mg/m3にする必要はなく、1.95Mg/m3以上にできればよいので、ペレットの含水比を0%にしなくてもよい場合もある。
ペレットの含水比を5%まで許容するならば、乾燥収縮させたペレットを長期保管する際の保管環境を湿度ゼロにしなくてもよいと考えられる。そこで、数ケースの相対湿度条件の保管環境に1ヶ月程度定置したペレットの含水比変化を測定して、含水比の収束値を求めた。保管環境の相対湿度とペレットの収束含水比の関係を図7に示す。含水比が5%を超えない保管環境は相対湿度40%以下であることがわかった。
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態4に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態1または2のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を含水比10〜5%の含水比まで乾燥した時点で保管し、その後、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するものである。
次に、本発明の実施の形態5について説明する。
本実施の形態5に係るベントナイト成形体の製造方法は、上記の実施の形態1または2のベントナイト成形体の製造方法で製造したベントナイト成形体を保管中に吸湿して密度低下した場合には、その後、このベントナイト成形体を含水比5〜0%まで再乾燥してから実使用に供するものである。
2 処分坑道
3 廃棄体
4 処分孔
5 ベントナイト成形体
6 充填装置
7 処分坑
Claims (2)
- ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、
ペレットの平均直径をD(mm)で、含水比を実数値で表して、
乾燥する際の乾燥条件を、初期含水比w0と乾燥途中の含水比w1に至る乾燥時間t(Hr)の値からv=(w0−w1)/tで算出した値を含水比低下速度v(1/Hr)とした場合に、
初期含水比w 0 から乾燥を開始して、乾燥途中の含水比w 1 が0.10〜0.15である含水比に至る乾燥工程を有し、この乾燥工程におけるペレットの乾燥速度条件v・D 3 を80以下とし、
ペレットの含水比が0.10〜0.15よりも小さくなった時点で、高温またはおよび多量の空気を送風することで前記乾燥工程による乾燥を高速化することによりペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造し、
製造したベントナイト成形体を、含水比0.10〜0.05まで乾燥した時点で保管し、その後、このベントナイト成形体を含水比0.05〜0まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。 - ベントナイト粉体に水を添加して混練し、これを略球状に丸めた粒径が30mm以下である湿潤ペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造する方法であって、
乾燥する際の乾燥速度を含水比0.23から含水比0.10に至るまでの平均的な含水比低下速度v(1/Hr)で表した場合に、
ペレットの粒径が5mm以下の場合には含水比低下速度vを0.64(1/Hr)以下、
ペレットの粒径が5mm超10mm以下の場合には含水比低下速度vを0.08(1/Hr)以下、
ペレットの粒径が10mm超20mm以下の場合には含水比低下速度vを0.01(1/Hr)以下、
ペレットの粒径が20mm超30mm以下の場合には含水比低下速度vを0.003(1/Hr)以下
となるような乾燥速度条件にする乾燥工程を有し、
ペレットの含水比が0.10〜0.15よりも小さくなった時点で、高温またはおよび多量の空気を送風することで前記乾燥工程による乾燥を高速化することによりペレットを乾燥収縮させて高密度の略球状のベントナイト成形体を製造し、
製造したベントナイト成形体を、含水比0.10〜0.05まで乾燥した時点で保管し、その後、このベントナイト成形体を含水比0.05〜0まで再乾燥してから実使用に供することを特徴とするベントナイト成形体の製造方法。
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