以下の同一出願人による特許および米国特許出願は、参照することにより本明細書に組み込まれる。2007年1月23日に発行されたKnudsonらに対する米国特許第7,167,750号、2005年6月16日に公開されたUS 2005/0131485 A1号、2005年2月17日に公開されたUS 2005/0038484 A1号、2004年9月2日に公開されたUS 2004/0172088 A1号、2004年9月2日に公開されたUS 2004/0172085 A1号、2004年9月9日に公開されたUS 2004/0176812 A1号、および2004年9月2日に公開されたUS 2004/0172086 A1号。
本開示は、対象における心拍数、血圧、および/または慢性腎疾患を調節するためのデバイスおよび方法を含む。本装置は、血圧および/または心拍数を低減させる、可逆的、制御可能、低侵襲、安全、および効果的な方法を提供する。実施形態では、対象における高血圧、心拍数、代謝性疾患、および/または慢性腎疾患と関連付けられる状態を治療する方法は、間欠的神経伝導信号を対象の標的神経に印加するステップを含み、該神経伝導信号は、神経上の神経活動を変調するように、かつ該ブロックの中断時に神経上の神経活動を少なくとも部分的に回復させるように選択される。
いくつかの実施形態では、標的神経は、迷走神経または腎神経、あるいは両方である。実施形態では、第1の電極および追加の電極が、同一の神経または異なる神経に配置される。いくつかの実施形態では、信号は、心臓の迷走神経分布の下方に印加される。いくつかの実施形態では、電気信号は、周波数、振幅、パルス幅、およびタイミングについて選択される。電気信号はまた、心拍数および/または血圧を調節するようにさらに選択されてもよい。いくつかの実施形態では、信号は、センサからの情報に基づいて所定のレベルまで収縮期および/または拡張期血圧を減少させるために、神経活動の下方調節について選択される。他の実施形態では、信号が、血圧を変調するために、神経活動を上方調節するように印加されてもよい。いくつかの実施形態では、電気信号治療のパラメータは、心拍数を減少させるために選択される。
A.心拍数および/または血圧の神経制御
高血圧症は、心臓疾患および他の関連心臓共存疾患の原因である。高血圧症は、主要な心臓事象の主要な危険因子であり、心臓事象による死亡率と関連付けられる。高血圧症は、概して、心臓血管損傷または他の悪影響を誘発する可能性が高いレベルまでの全身動脈圧の一過性または持続的上昇等の高血圧に関する。高血圧症は、140mmHg以上の収縮期血圧および/または90mmHg以上の拡張期血圧、あるいは糖尿病患者については、130mmHg以上の収縮期血圧および/または80mmHg以上の拡張期血圧として定義されている。平均動脈圧(MAP)は、動脈中の拍動血流を考慮し、臓器への潅流圧の最良の尺度である。高血圧前症は、120〜139mmHgの収縮期血圧および/または80〜90mmHgの拡張期血圧として定義されている(JNC 7、上記で引用)。血管が収縮するとき、高血圧症が起こり、心臓が、より高い血圧で血流を維持するようにより懸命に働く。制御されていない高血圧症の結果は、網膜血管疾患、脳卒中、左心室肥大および不全、心不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤、および腎血管性疾患を含むが、それらに限定されない。
心不全は、心臓が、組織潅流および代謝性要求に適応するように十分な血流を維持することが不可能であるときに起こる。高血圧症は、症例の90%で心不全に先行し、心不全の危険性を2倍から3倍増加させる。血圧薬のいくつかの症例での薬物治療は、疾患の進行を制御するために有用である。血圧を制御することは、心不全が治療される1つの方法である。収縮期血圧を減少させることは、一様に有益であることが示されている(JNC 7、ページ35、上記で引用)。
血圧および/または心拍数の制御が役割を果たす、他の病状は、冠動脈疾患、虚血性心臓疾患、代謝性疾患、糖尿病、慢性腎疾患、肥満、および脳血管疾患を含む。これらの病状の治療は、多くの場合、血圧を低下させる薬剤を用いた治療を含む(JNC 7、上記で引用)。
自律神経器官(ANS)が、「不随意」運動を調節する一方で、随意(骨格)筋の収縮は、体性運動神経によって制御される。不随意運動を受ける臓器の実施例は、呼吸および消化器を含み、また、血管および心臓も含む。多くの場合は、ANSは、腺を調節するように、皮膚、眼、胃、腸、および膀胱内の筋肉を調節するように、ならびに心筋および血管の周囲の筋肉を調節するように、不随意で反射的に機能する。心拍数および血圧の両方が、ANSを介して制御される。
ANSは、交感神経器官、腸神経器官、および副交感神経器官を含むが、それらに限定されない。交感神経器官は、「闘争・逃走反応」と連携し、骨格筋血流を増加させるように血圧および心拍数の増加をもたらし、エネルギーを提供するように消化の減少をもたらす。第2の脳と呼ばれることもある、腸神経器官は、胃、腸、および多くの胃腸機能を制御する。副交感神経器官は、身体機能を制御することと連携し、血圧および心拍数を減少させ、消化を増加させ、エネルギーバランスを管理する。
心臓血管(CV)中枢は、脳内の延髄中枢に位置し、心拍数、収縮性、および血管等の心臓血管機能を制御する。心臓血管中枢は、脳内の高次中枢から、ならびに迷走神経を含む交感および副交感神経の求心性線維から入力を受容する。CV中枢は、心拍数を減少させ、迷走神経によって運ばれる遠心性インパルスを介して、副交感活動による血管拡張を引き起こすことができる。CV中心はまた、心拍数を増加させ、交感神経刺激を介して血管収縮を引き起こすこともできる。副交感神経頭蓋流出の大部分は、迷走神経を介する。
心臓領域、腎臓領域、内臓領域、および筋肉領域と関連付けられる神経は、心拍数および血圧の調節に寄与する。腎臓領域の神経は、第1の腰内臓神経、腎神経、腹腔神経叢の神経、および迷走神経を含む。心臓領域の神経は、頸動脈洞または大動脈弓における迷走神経、心臓に神経を分布させる交感神経器官、舌咽神経、および圧受容器を含む。内臓領域における神経は、第1の腰内臓神経、およびT10からL5で脊髄から始まる脊髄交感神経を含む。
心拍数および/または血圧に影響を及ぼす1つの要因は、迷走神経活動である。迷走神経は、心臓および血管運動機能の調節および血圧、心拍数、神経免疫変調、内分泌機能、ならびに胃腸機能に影響を及ぼす、信号の多様なアレイを中枢神経器官(CNS)に伝達する。例えば、CNSは、血圧およびグルコースを変調するように、肝臓のような末梢部位からの信号を統合する(Bernal−Mizrachi et al, Cell Metabolism 5:91−102, 2007)。肝臓への主要な導管である、門脈の中への長鎖脂肪酸の注入は、エピネフリンおよびノルエピネフリンの循環レベルの増加、高血圧、および肝糖産生の加速を含む、CNSの改善を示唆する効果を有する(Benthem et al.,Am. J. Physio. Endocrin. Metab. 279:E1286−E1293,2000、 Grekin et al., Hypertension 26:193−198, 1995)。肝臓信号は、迷走神経活動が脂質の門脈または空腸注入によって増加させられるため、迷走神経によってCNSに伝達される可能性が高い。迷走神経および交感神経は、心臓および心臓付近の血管に神経を分布させる。迷走神経、および舌咽神経、頭蓋洞神経等の他の神経からの神経信号は全て、心拍数および/または血圧に影響を及ぼし得る。脳幹では、迷走神経求心性信号が中継され、血圧および心拍数を変調する脳幹心臓血管制御領域の多くに影響を及ぼす。
心拍数および血圧に影響を及ぼす別の要因は、交感神経活動である。交感神経活動は、種々の入力に応じて上方または下方に調整することができる、各臓器に特異的な活動の基準レベルを有する。入力は、血液量、動脈圧受容器、化学受容器、およびホルモンレベルを含む。血圧の急激な変化は、失血、ショック、または負傷等の急性ストレス事象により起こる。血圧の慢性変化は、疾患、または臓器あるいは血管への慢性変化を反映する。入力に応答して、交感神経の急速な同期発火が起こる。
例えば、本態性高血圧症がある一部の患者は、発症時に心臓または腎臓への有害変化を呈しない。他の患者は、肥満と合わせて高血圧症または心不全を発現する。各臓器に関する交感神経活動は、異なる疾患または状態で変化させられる。高血圧症がある正常体重の個人では、腎臓および心臓交感神経活動が増加させられる。高血圧症がある肥満の個人では、腎臓交感神経活動が、心臓交感神経活動よりも増加させられる。心不全、肥満、および高血圧症がある患者では、交感神経活性化のレベルが最高である。
高血圧症に影響を及ぼす他の要因は、動脈圧受容器活動、迷走神経活動、およびホルモン因子を含む。動脈圧受容器活動は、アテローム性動脈硬化症または血管柔軟性の損失がある患者で損なわれる。同様に高血圧症に影響を及ぼすホルモン因子は、レプチン、アンジオテンシン、レニン、およびノルエピネフリン等を含む。
B.治療送達装置
本開示は、標的神経上の神経活動を変調する信号を提供する、神経調節器を備える、血圧および/または心拍数を調節するためのデバイスを提供する。本デバイスおよび方法は、とりわけ、高血圧症、高血圧前症、鬱血性心不全、ならびに冠動脈疾患、虚血性心臓疾患、慢性腎疾患、肥満、代謝性疾患、糖尿病、および脳血管疾患と関連付けられる高血圧症を治療する際に有用である。
一実施形態では、高血圧症および/または鬱血性心不全等の状態を治療するための装置(図1で概略的に示される)は、神経調節器104と、外部可動充電器101と、少なくとも1つの電極106とを含む。神経調節器104は、治療される患者内に埋め込むために適合させられる。いくつかの実施形態では、神経調節器104は、皮膚層103の直下に埋め込まれる。実施形態では、本装置は、血圧、心拍数、酸素飽和度、グルコース、心拍出量、肺活量、ホルモン、およびヘマトクリット等のパラメータを感知するためのセンサを含む。
i.電極
いくつかの実施形態では、図1を参照すると、リード線アセンブリ106、106aは、導体114、114aによって神経調節器104の回路に電気的に接続される。各リード線は、少なくとも1つの電極を含む。業界標準のコネクタ122、122aが、リード線アセンブリ106、106aを導体114、114aに接続するために提供される。結果として、リード線116、116aおよび神経調節器104が、別々に埋め込まれてもよい。また、埋込に続いて、リード線116、116aが、定位置に残されてもよい一方で、最初に配置された神経調節器104は、異なる神経調節器と置換される。
リード線アセンブリ106、106aは、神経調節器104とも称される神経調節器によって提供される治療信号に基づいて、患者の神経を上方調節および/または下方調節する電気信号を提供する。一実施形態では、リード線アセンブリ106、106aは、患者の1つ以上の神経に配置される、遠位電極212、212aを含む。実施形態では、リード線本体は、多数の電極または接点を含む。リード線本体が円形断面形状を有するとき、接点は、略リング型形状を有することができ、かつリード線本体の長さに沿って軸方向に離間させることができる。例えば、電極212、212aは、患者の迷走神経幹の上に個別に配置されてもよい。例えば、リード線106、106aは、例えば、患者の横隔膜の直下で、それぞれ、患者の前および後迷走神経AVN、PVNの上に個別に配置される、遠位電極212、212aを有する。より少ない、またはより多くの電極を、より少ない、またはより多くの神経の上または付近に配置することができる。いくつかの実施形態では、電極は、カフ電極である。
少なくとも1つの電極は、神経または血管に配置することによって、電気信号治療を送達するように適合させられる。実施形態では、電気信号治療が、動脈圧受容器に、または腎神経あるいは腹腔神経叢等の神経および血管の複合体上に印加されているとき、血管の上に電極を配置することが好ましくあり得る。血管に配置するために適合させられている電極は、血管内または血管外にあり得る。実施形態では、血管内に血管の上で配置するために適合させられている電極は、神経の近傍で定位置に電極を維持するように取付構造を含む。実施形態では、血管の外部に適用される電極は、いくつかの血管が他の血管よりはるかに大きいため、血管のサイズに適合させられる。他の実施形態では、電極は、迷走神経または内臓神経等の神経に配置するために適合させられる。
実施形態では、第1の電極は、腎動脈、腎神経、腹腔神経叢、内臓神経、心臓交感神経、およびT10〜L5から始まる脊髄神経から成る群から選択される第1の標的神経または標的血管に配置されるように適合させられ、少なくとも1つの追加の電極は、迷走神経、腎動脈、腎神経、腹腔神経叢、内臓神経、心臓交感神経、T10〜L5から始まる脊髄神経、舌咽神経、および圧受容器を含む組織から成る群から選択される第2の標的神経または標的血管に配置されるように適合させられる。実施形態では、第1の電極および追加の電極は、それぞれ同一の神経の上、または異なる神経に配置される。
他の実施形態では、電極は、心臓の洞房結節、頸動脈洞、または大動脈弓の付近の場所で迷走神経に配置することができる。電極はまた、上行大動脈または頸動脈の中で血管内に配置されてもよい。他の実施形態では、電極は、横隔膜上の場所で迷走神経に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電極は、横隔膜下の場所で迷走神経に配置されてもよく、追加の電極は、心臓の洞房結節の付近、舌咽神経または心臓洞神経を包囲する組織の中、または圧受容器を含む組織の上で、右迷走神経に配置されてもよい。実施形態では、電極は、迷走神経に配置されるように適合させられ、追加の電極は、心臓交感神経、脊髄交感神経、または内臓神経に配置されるように適合させられる。実施形態では、電極配置の任意の組み合わせを、本開示の方法で利用することができる。
他の実施形態では、第1の電極は、第1の腰内臓神経、心臓に神経を分布させる交感神経、腎神経、およびT10からL5で脊髄から始まる交感神経等の交感神経に配置することができる。電極はまた、腎動脈の中で血管内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電極は、横隔膜下の場所で迷走神経に配置されてもよく、別の電極は、腎神経または第1の腰内臓神経に配置されてもよい。他の実施形態では、電極は、心臓洞または大動脈弓領域で迷走神経に配置されてもよく、別の電極は、腎神経または第1の腰内臓神経に配置されてもよい。実施形態では、電極配置の任意の組み合わせを、本開示の方法で利用することができる。
別の実施形態では、追加の電極は、舌咽神経および/または圧受容器を含む組織に配置されるように適合させられる。圧受容器を含む組織に配置するために、電極が血管内または血管外に配置されてもよい。実施形態では、電極は、大動脈弓内または上に、あるいは頸動脈内に配置される。
神経調節器への電極の電気接続は、電極を埋込型神経調節器(例えば、104)に直接接続するリード線(例えば、106、106a)を有することによって、図1で以前に説明された通りであってもよい。代替として、以前に説明されたように、電極は、電極を通電させる信号を受信するための埋込アンテナに接続されてもよい。
前述の電極のうちのいずれかは、平坦な金属パッド(例えば、白金)であり得るが、電極は、種々の目的で構成することができる。一実施形態では、電極は、パッチの上で担持される。他の実施形態では、電極は、両方とも共通リード線に接続され、かつ両方とも共通パッチに接続される、2つの部分に分割される。いくつかの実施形態では、各電極は、リード線に接続され、1つの電極から別の電極へ治療を送達するように配置される。可撓性パッチが、神経へのストレスを緩和するように、電極の部分の関節動作を可能にする。実施形態では、多重化信号を送達するために、リード線は、電極のアレイを備える。リード線本体が円形の断面形状を有するとき、接点は、略リング型形状を有することができ、かつリード線本体の長さに沿って軸方向に離間させることができる。
ii.外部充電器
外部可動充電器101は、埋込神経調節器(神経調節器)104と通信するための回路を含む。いくつかの実施形態では、通信は、矢印Aによって示されるような皮膚103を横断する双方向高周波(RF)信号経路である。外部充電器101と神経調節器104との間で伝送される例示的な通信信号は、治療指示、患者データ、および本明細書で説明されるような他の信号を含む。エネルギーまたは電力もまた、本明細書で説明されるように、外部充電器101から神経調節器104へ伝送することができる。
示される実施例では、外部充電器101は、双方向テレメトリを介して(例えば、高周波(RF)信号を介して)埋込神経調節器104と通信することができる。図1に示される外部充電器101は、RF信号を送受信することができる、コイル102を含む。類似コイル105を患者内に埋め込み、神経調節器104に連結することができる。一実施形態では、コイル105は、神経調節器104と一体である。コイル105は、外部充電器101のコイル102から信号を受信し、そこへ信号を伝送する働きをする。
例えば、外部充電器101は、振幅変調、またはRF搬送波を変調する周波数によって、ビットストリームとして情報を符号化することができる。コイル102、105の間で伝送される信号は、好ましくは、約6.78MHzの搬送周波数を有する。例えば、情報通信段階中に、半波整流と無整流との間で整流レベルを切り替えることによって、パラメータの値を伝送することができる。しかしながら、他の実施形態では、より高い、またはより低い搬送波周波数が使用されてもよい。
一実施形態では、神経調節器104は、負荷偏移(例えば、外部充電器101上で誘発される負荷の修正)を使用して、外部充電器101と通信する。この負荷の変化は、誘導結合外部充電器101によって感知することができる。しかしながら、他の実施形態では、神経調節器104および外部充電器101は、他の種類の信号を使用して通信することができる。
一実施形態では、神経調節器104は、バッテリ等の埋込型電源151から治療信号を生成するように電力を受容する。好ましい実施形態では、神経調節器はさらに、電源を備え、電源151は、再充電可能バッテリである。いくつかの実施形態では、電源151は、外部充電器101が接続されていないときに、電力を埋込神経調節器104に提供することができる。他の実施形態では、外部充電器101はまた、神経調節器104の内部電源151の周期的再充電を提供するように構成することもできる。しかしながら、代替実施形態では、神経調節器104は、外部源から受容される電力に完全に依存することができる。例えば、外部充電器101は、(例えば、コイル102、105の間の)RFリンクを介して、電力を神経調節器104に伝送することができる。
いくつかの実施形態では、神経調節器104は、リード線アセンブリ106、106aへの治療信号の生成および伝送を開始する。一実施形態では、神経調節器104は、内部バッテリ151によって電力供給されたときに治療を開始する。しかしながら、他の実施形態では、外部充電器101は、治療信号を生成し始めるように神経調節器104をトリガする。外部充電器101から開始信号を受信した後、神経調節器104は、治療信号(例えば、ペーシング信号)を生成し、治療信号をリード線アセンブリ106、106aに伝送する。
他の実施形態では、外部充電器101はまた、それに従って治療信号が生成される指示を提供することもできる(例えば、パルス幅、振幅、および他のそのようなパラメータ)。好ましい実施形態では、外部充電器101は、いくつかのプログラム/治療スケジュールを神経調節器104に伝送するために記憶することができる、メモリを含む。外部充電器101はまた、ユーザが、神経調節器104に伝送するためにメモリに記憶されたプログラム/治療スケジュールを選択することを可能にすることもできる。別の実施形態では、外部充電器101は、各開始信号とともに治療指示を提供することができる。
典型的には、外部充電器101上に記憶されたプログラム/治療スケジュールのそれぞれは、患者の個々の必要性に合うように医師によって調整することができる。例えば、コンピュータデバイス(例えば、ノートブックコンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ等)100を、外部充電器101に通信可能に接続することができる。そのような接続が確立されると、医師は、神経調節器104への記憶または伝送のいずれか一方のために、治療または治療プログラムの個々のパラメータを外部充電器101にプログラムするようにコンピュータデバイス100を使用することができる。実施形態では、コンピュータデバイスは、治療プログラムのパラメータに対する指示を伝送すること、外部可動充電器および/または神経調節器からの情報、薬剤および投与量等の各患者の臨床情報を受信および記憶すること、および本明細書で説明されるような埋込治療デバイスを用いて1人以上の患者に対するレポートを生成することに専念する、臨床医プログラマである。
図1を参照すると、外部可動充電器101の回路170は、外部コイル102に接続することができる。コイル102は、患者内に埋め込まれ、神経調節器104の回路150に接続される類似コイル105と通信する。外部可動充電器101と神経調節器104との間の通信は、本明細書で説明されるように、ペーシングパラメータおよび他の信号の伝送を含む。
外部可動充電器101からの信号によってプログラムされているため、神経調節器104は、リード線106、106aへの上方調節信号または下方調節信号を生成する。説明されるように、外部可動充電器101は、神経調節器104内でバッテリの周期的再充電を提供し、また、記録管理および監視を可能にし得るという点で、追加の機能を有してもよい。
神経調節器104のための埋込型(再充電可能)電源が好ましいが、代替的な設計は、外部電源を利用することができ、電力は、(例えば、コイル102、105の間の)RFリンクを介して、埋込モジュールに伝送される。この代替的な構成では、外部から電力供給されている間に、特定の遮断信号源は、外部電源ユニットの中、または埋込モジュールの中のいずれか一方から始まることができる。
所望であれば、電子通電パッケージが、主に身体の外部にあり得る。RF電力デバイスが、必要なエネルギーレベルを提供することができる。埋込構成要素は、リード線/電極アセンブリ、コイル、およびDC整流器に限定することができる。そのような配列を用いて、所望のパラメータでプログラムされたパルスが、RF搬送波とともに皮膚を通して伝送され、その後、信号が、迷走神経活動を変調する迷走神経への刺激として印加するために、パルス信号を生成するように整流される。これは、事実上、バッテリ交換の必要性を排除するであろう。
しかしながら、外部伝送機が、患者個人の上で担持されなければならず、これは不便である。また、検出が、単純な整流装置ではより困難であり、本装置が完全に埋め込まれた場合より多くの電力が、起動のために必要とされる。いずれにしても、完全埋込装置は、ほとんどの治療用途に対する比較的少ない所要電力により、潜在的に数年になる、比較的長い耐用年数を呈することが見込まれる。また、本明細書で前述のように、埋込神経電極セットまで経皮的に延在するリード線とともに外部神経調節器を採用することが、あまり望ましくはないが可能である。後者の技法で遭遇する主要な問題は、感染症の可能性である。その利点としては、患者が、この特定の患者の過剰な体重と関連付けられる状態が治療の成功に応じやすいかどうかを判定する短期間の検査を可能にするように、比較的単純な手技を受けることができる。もしそうであれば、より永久的なインプラントが提供されてもよい。
本発明の実施形態によると、電気信号を患者の内部解剖学的特徴に印加するための装置が開示される。本装置は、患者内に埋め込み、電極への信号の印加時に信号を特徴に印加するための解剖学的特徴(例えば、神経)に配置するための少なくとも1つの電極を含む。埋込型構成要素が、電極に接続された埋込回路を有し、皮膚層の下で患者の体内に配置される。埋込回路は、埋込通信アンテナを含む。外部構成要素は、高周波伝送を通して皮膚を横断して埋込アンテナに電気的に連結されるように適合させられている、皮膚の上方に配置するための外部通信アンテナを伴う外部回路を有する。外部回路は、情報をユーザに提供するための情報インターフェース、およびユーザから入力を受信するための入力インターフェースを含む、複数のユーザインターフェースを有する。
iii.神経調節器
図2を参照すると、信号を神経に印加するための例示的なデバイスが示されている。迷走神経は、例証目的のみで提供され、他の神経が、同様に、本明細書で説明されるようなデバイスと接触させられてもよい。例えば、胃Sが、迷走神経変調信号を印加することの理解を促進する目的で概略的に示されている。食道Eは、開口部または裂孔Hにおいて横隔膜Dを通過する。食道Eが横隔膜Dを通過する領域中で、迷走神経幹(前迷走神経AVNおよび後迷走神経PVNとして図示される)が、食道Eの反対側に配置される。相互および食道Eに対する前および後迷走神経AVN、PVNの正確な位置は、患者集団内の幅広い程度の変動を受けることが理解されるであろう。しかしながら、大抵の患者について、前および後迷走神経AVN、PVNは、食道Eが横隔膜Dを通過する裂孔Hにおいて、食道Eにごく接近している。
前および後迷走神経AVN、PVNは、胃に神経を直接分布させ、腸神経器官を介して、膵臓、腎臓、胆嚢、および腸等の他の臓器へ続き得る神経の部分を含み得る、複数の幹に分かれる。一般的に、前および後迷走神経AVN、PVNは、食道Eおよび胃Sの接合部の領域で、依然として食道Eおよび胃にごく接近している(しかし広範に分岐していない)。裂孔Hの領域中で、食道組織から胃組織への移行部がある。この領域は、(図中で「Z」と標識される)Z線と称される。Z線の上方で、食道の組織は、漿膜が欠けている。Z線の下方で、食道Eおよび胃Sの組織は、実質的に肥厚化され、より血管を含む。患者集団内で、Z線は、下部食道括約筋の一般領域中にある。この場所は、裂孔Hのわずかに上方、わずかに下方、または裂孔の場所にあり得る。電極は、迷走神経、または患者の横隔膜の下方の腹腔神経叢に配置するために適合させられる。
本明細書で説明されるような血圧調節障害と関連付けられる状態を治療する際に有用なデバイスの別の実施形態が、図3に示されている。図3を参照すると、デバイスは、導電性リード線を通して神経または血管に送達される電気パルスを生成する、再充電可能神経調節器(5101)を備える、埋込型デバイスを備える。電気パルスを送達することに加えて、再充電可能神経調節器はまた、臨床医プログラマ(図示せず)からコマンド信号を受信し、外部充電器(図示せず)を介してデータをプログラマにアップロードする。再充電可能神経調節器は、内部再充電可能バッテリによって電力供給される。内部バッテリは、伝送コイル(図示せず)によって放射され、再充電可能神経調節器上の受信アンテナ(516)によって獲得される、RF電力によって周期的に再充電される。2本の双極リード線が、再充電可能神経調節器を神経(512)に接続する。この実施形態では、各リード線は、2つの電極(513)を有する。実施形態では、一方の電極は、神経幹の周囲に位置付けられ、他方は、近くの組織と電気的に接触している。外部充電器(図示せず)は、RF電力を再充電可能神経調節器に送達するために必要とされる伝送コイルの電気的励起を提供する。加えて、それは、再充電可能神経調節器(510)と臨床医プログラマ(図示せず)との間の通信(図示せず)のためのインターフェースとしての機能を果たす。実施形態では、再充電可能バッテリが、外部充電器に電力供給するために使用される。
一実施形態では、神経は、神経を包囲する組織に電気信号を通過させることによって、間接的に刺激される。いくつかの実施形態では、電極は、双極対(すなわち、交互の陽極および陰極電極)である。いくつかの実施形態では、複数の電極が、前および/または後迷走神経AVN、PVNの上を覆って配置されてもよい。結果として、複数の電極を通電させることにより、前および後迷走神経AVN、PVNおよび/またはそれらの分岐への信号の印加をもたらすであろう。いくつかの治療用途では、電極のうちのいくつかは、(以下で説明されるような遮断周波数および他のパラメータを伴う)遮断電気信号源に接続されてもよい。当然ながら、電極の単一のアレイのみを、遮断または下方調節信号に接続された全ての電極とともに使用することができる。
神経調節器は、プログラムされた計画に従って、電気インパルスの形態で電気信号を生成する。実施形態では、治療プログラムは、第1の標的神経の少なくとも部分的下方調節を提供するパラメータを有する、第1の治療プログラム、第2の標的神経の少なくとも部分的下方調節を提供するパラメータを有する、第2の治療プログラム、および第1または第2の標的神経の少なくとも部分上方調節を提供するパラメータを有する、第3の治療プログラムを含む。各プログラムでは、個々のパラメータのそれぞれが、固定されてもよく、または調整可能であり得る。治療プログラムの組み合わせが、同一の神経または異なる神経に適用されてもよい。治療プログラムの組み合わせは、同一のオン時間または異なるオン時間中に送達することができる。例えば、第1の標的神経の下方調節のための第1の治療プログラム、および第2の標的神経の下方調節のための第2の治療が、同時に適用されてもよい。別の実施例では、第2の治療プログラムが、迷走神経または腎神経を下方調節するように適用され、第3の治療プログラムが、同時に舌咽神経および/または圧受容器を上方調節するように適用される。
神経調節器は、マイクロプロセッサならびに他の電気および電子構成要素を利用し、本デバイスの状態を制御するか、または示すために、非同期シリアル通信によって、外部プログラマおよび/またはモニタと通信する。パスワード、ハンドシェイク、およびパリティチェックが、データ完全性のために採用される。神経調節器はまた、任意の電池式デバイスで重要であり、特に、本デバイスが疾患の治療のために埋め込まれる場合に重要である、エネルギーを節約するための手段と、本デバイスの偶発的なリセットを防止すること等の種々の安全機能を提供するための手段も含む。
特徴が、患者の安全性および快適性の目的で神経調節器に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、患者の快適性は、信号の印加を高めることによって、増進されるであろう。本デバイスはまた、神経損傷を予防するように、迷走神経に送達可能な最大電圧(例えば、20ボルト)を制限するクランプ回路を有してもよい。上記で説明されるものに類似する技法および手段を通した手動失活に応答して信号印加を停止するように、本デバイスを実装することによって、追加の安全機能が提供されてもよい。このようにして、患者は、何らかの理由で突然耐え難くなった場合に、信号印加を中断してもよい。
実施形態では、上方調節または下方調節を神経または血管に提供するために、1つ以上の神経調節器が採用される。本発明の方法を行うための埋込神経調節器の使用が好ましいが、治療は、可能性として、完全入院より若干ではあるが束縛が少ない、外来基準で外部機器を使用して投与されてもよい。1つ以上の神経調節器の埋込は、当然ながら、職務遂行を含む、通常の毎日の日常活動が影響を受けないように、患者が完全に歩行可能であることを可能にする。
神経調節器104はまた、治療指示および/または患者データを記憶することができる、メモリを含んでもよい。例えば、神経調節器104は、どのような治療が患者に送達されるべきかを示す、1つ以上の治療プログラムを記憶することができる。神経調節器104はまた、どのようにして患者が治療装置を利用したか、および/または送達された治療に反応したかを示す、患者データを記憶することもできる。神経調節器はまた、次いで、医療提供者によってアクセスすることができる、任意の感知されたパラメータに関するデータを記憶することもできる。例えば、血圧がある期間にわたって安定している場合、医療提供者は、維持モードで神経調節器をプログラムすることを選択してもよい。
埋込型神経調節器は、第1の治療プログラム、第2の治療プログラム、および/または第3の治療プログラムを送達するように構成される。実施形態では、第1の治療プログラムは、1日に複数回、オン時間およびオフ時間を用いて間欠的に電気信号治療を第1の標的神経または標的血管に送達し、第1の治療プログラムは、オン時間中に第1の神経または血管における神経活動を下方調節するように選択される周波数を有し、かつ神経機能の少なくとも部分的な回復を提供するように選択されるオフ時間を有する電気信号治療を送達する。実施形態では、第2の治療プログラムは、1日に複数回、オン時間およびオフ時間を用いて間欠的に電気信号を第2の標的神経または標的血管に送達し、第2の治療プログラムは、神経活動を下方調節する周波数を有する電気信号治療を送達する。第1および第2の治療プログラムは、1つ以上のパラメータが異なるが、両方とも、神経活動の下方調節を提供する電気信号パラメータを有することができる。いくつかの実施形態では、第1の治療プログラムは、第1および第2の標的神経に適用される。いくつかの実施形態では、第2の治療プログラムは、第1および第2の標的神経に適用される。実施形態では、第3の治療プログラムは、1日に複数回、オン時間およびオフ時間を用いて間欠的に電気信号を第1および/または第2の標的神経または標的血管に送達し、第3の治療プログラムは、神経活動を上方調節するための周波数を有する電気信号治療を送達する。周波数、パルス幅、振幅、電圧、オン時間、オフ時間、および同等物等の電気信号治療の他のパラメータは、ユーザによって選択可能である。
神経調節器は、治療プログラムに関するいくつかのパラメータを維持し、記憶することができる。実施形態では、そのようなパラメータは、周波数、振幅、パルス幅、オン時間、オフ時間、上昇時間、下降時間、および同等物を含む。いくつかの実施形態では、パラメータ値のうちのいくつかは、固定され、他の値は、状態および有効性について治療を調整するように、医療提供者によってプログラム可能である。パラメータのうちの1つ以上は、特定の用途のための調整可能な治療プログラムを構成するよう選択することができる。実施形態では、第1、第2、および第3の治療プログラムは、神経調節器に記憶される。場合によっては、各治療プログラムは、調整可能である。
例えば、パラメータは、下方調節信号を迷走神経に提供する、電気信号治療のために記憶される。他の実施形態では、電気信号治療パラメータは、交感神経上または腎神経上の神経活動の下方調節のために記憶される。実施形態では、腎神経の下方調節のための治療プログラムは、一連のパルスが、第1組のパラメータを伴って腎神経に送達され、その後に、第2組のパラメータが続くか、またはそれと交互になる、電気信号治療を多重化することを伴う。さらに他の実施形態では、電気信号パラメータは、圧受容器を上方調節するために記憶される。治療プログラムのうちの1つ以上は、神経調節器上または外部充電器上に、あるいは両方に記憶することができる。
電気信号治療の間欠的側面は、規定の負荷サイクルに従って信号を印加することにある。パルス信号は、事前設定されたパラメータの電気パルス列または一連の電気パルスが、神経または血管に印加される、所定のオン時間を有し、その後に所定のオフ時間が続くようにプログラムされる。それでもなお、電気パルス信号の連続印加もまた、効果的であり得る。
いくつかの実施形態では、信号はまた、心切痕またはその付近等の横隔膜下の場所で迷走神経から遠隔にある神経器官の一部分に印加することもできる。信号はまた、下方調節信号等の迷走神経への信号の印加と組み合わされて、他の交感神経および/または圧受容器に印加することもできる。ここで、少なくとも1つの神経調節器は、迷走神経または所望の場所の近傍にある他の神経あるいは受容器の間接的遮断、下方調節、または上方調節を提供するように、電気信号を生成し、患者の神経器官の一部分に内部で電気信号を印加するために、リード線を介して神経調節器に動作可能に連結されている1つ以上の電極とともに埋め込まれる。異なる治療プログラムが、患者の状態および治療の有効性に合わせた電気信号治療を送達するように、神経調節器上に記憶される。
いくつかの実施形態では、電気信号は、迷走神経または他の神経への任意の他の下方調節および/または上方調節信号の印加を伴わずに、心臓領域における迷走神経を間欠的に下方調節するように印加される。
心臓領域の神経分布より遠位の場所で、例えば、横隔膜下で、迷走神経の下方調節は、血圧および心拍数を減少させるために効果的であろうことは意外である。場合によっては、血圧は、正常範囲またはその付近まで減少させられる。高血圧の典型的な状況では、迷走神経は、心拍数を減速して血圧を減少させることに役立つように動作し、したがって、迷走神経の下方調節および/または遮断は、心拍数および血圧を低下させるために効果的であろうことは意外である。加えて、臨床有益性は、最小限の有害臨床効果を伴って、治療の早期に血圧を低下させることを含み得る。多くの場合、薬物治療と関連付けられる副作用とは対照的に、この治療では、副作用がほとんどまたは全く観察されていない。高血圧症がない、または高血圧前症がない患者は、電気信号治療中に、血圧への効果を全く示さない。横隔膜下の場所における迷走神経の下方調節電気信号治療を、第2の標的神経を下方調節するか、または第2の標的神経を上方調節する治療と組み合わせることにより、血圧を制御することのさらなる有効性を提供する。
いくつかの実施形態では、電気信号は、迷走神経または他の神経への任意の他の下方調節および/または上方調節信号の印加を伴わずに、腎神経を下方調節するように間欠的に印加される。実施形態では、腎神経の電気信号治療は、薬剤の投与、および/または血圧および/または心拍数の感知された増加の結果と組み合わせられる。
代替として、電気信号は、電気信号治療の間接的印加のために、血管に非侵襲的に印加されてもよい。電気信号は、例えば、上方調節信号を圧受容器に、または下方調節信号を腎神経に提供するように、血管内に位置付けられる電極に印加されてもよい。
治療プログラムと関連付けられる、いくつかの異なるパラメータは、医師が、患者によって呈される、および/または治療有効性の結果として修正される状態に応じて、患者にとって有益であり得る電気信号治療の組み合わせを選択することを可能にするように、神経調節器上に記憶される。実施形態では、心拍数および/または血圧を減少させるために、治療プログラムは、患者にとっての標的神経および疾患または障害に基づいて、電気信号治療を提供する。さらに他の実施形態では、医療提供者は、以下で説明されるように、患者の状態および標的神経に応じて、いくつかの治療プログラムオプションから選択することができる。
実施形態では、埋込型神経調節器は、複数のモードで動作するように構成される。実施形態では、モードは、第1のモード、第2のモード、および維持モードを含む。実施形態では、第1のモードは、第1の治療プログラムを第1の電極に、第2の治療プログラムを追加の電極に提供するステップを含み、第1の治療および第2の治療プログラムは、第1および第2の標的神経上の活動を下方調節する電気信号を送達し、第2のモードは、第1の治療プログラムを第1の電極に、第3の治療プログラムを追加の電極に提供するステップを含み、第3の治療プログラムは、標的神経上の活動を上方調節する電気信号治療を送達する。
実施形態では、維持モードは、神経調節器が9時間以下の期間にわたって安全性チェックおよびインピーダンスチェックと関連付けられる低エネルギー電気信号を送達する、モードである。バッテリ電力を節約するために、本デバイスは、30分から9時間、1時間から8時間、1時間から7時間、1時間から6時間、1時間から5時間、1時間から4時間、1時間から3時間、および1時間から2時間にわたってオンのままとなるが、安全性およびインピーダンスチェックを送達してもよい。実施形態では、安全性チェックは、50Hz以下で少なくとも0.2マイクロ秒毎に送達され、インピーダンスチェックは、1000Hz以上の周波数で2分毎に1回送達される。本発明の範囲を限定するように意図されていないが、より短い期間ではなく、1日に少なくとも9時間にわたって印加された場合に、治療効果がこの低エネルギー電気信号治療と関連付けられると考えられる。患者の状態が安定または消散した場合、医療提供者は、後日にもう一度治療プログラムを開始するオプションを残しておいて、本デバイスを維持モードでプログラムしてもよい。
実施形態では、神経調節器はまた、降圧薬の用量および投与のタイミングの有効性についての情報を収集し、伝送する。例えば、患者は、特に、電気信号治療と併せて副作用を回避し、十分な血圧制御が達成されない場合のみ用量を増加させるように、推奨された薬剤のより低い用量から開始してもよい。加えて、患者は、薬剤の有効性が増加させられているかどうかを判定するように、1日の異なる時間に薬剤を服用することを試行してもよい。
神経調節器は、プログラミングワンド、および本明細書で説明されているプログラミングの必要性および信号パラメータに従って開発された好適なプログラミングソフトウェアを使用するパーソナルコンピュータを用いて、プログラムされてもよい。当然ながら、意図は、監視およびプログラミング機能の両方のために、電子機器パッケージが埋め込まれた後に、後者との非侵襲性通信を可能にすることである。不可欠な機能に加え、プログラミングソフトウェアは、ユーザがシーケンスの各段階で起こる全てのものについて完全に知らされた状態に保ちながら、率直なメニュー駆動型動作、ヘルプ機能、プロンプト、およびメッセージを提供して、単純かつ急速なプログラミングを促進するように構築されるべきである。プログラミング能力は、電子機器パッケージの調整可能なパラメータを修正し、デバイス診断を試験し、遠隔計測データを記憶して取り出す能力を含むべきである。埋込ユニットが調査されたときに、次いで、プログラマが、調整可能なパラメータのうちのいずれかまたは全てを同時に便宜的に変更し得るように、これらのパラメータの現在の状態がPCモニタ上に表示され、特定のパラメータが変更のために選択された場合、プログラマが神経調節器に入力するために適切な所望の値を選択し得るように、そのパラメータの全ての許容値が表示されることが望ましい。
実施形態では、調整可能なパラメータは、周波数、パルス幅、オンおよびオフ時間、電流、およびオン/オフ上昇を含む。パラメータのうちの1つ以上は、有害臨床効果を伴わずに心拍数および/または血圧を減少させるように選択される。実施形態では、調整可能なパラメータは、電流振幅、オン時間およびオフ時間、および上昇時間である。
第1の治療および/または第2の治療プログラムは、神経上の活動を下方調節する電気信号治療を送達する。周波数は、第1および/または第2の標的神経の活動の少なくとも部分的減少を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、神経調節器は、約200Hz〜25kHz、200Hz〜約15kHz、200Hz〜約10kHz、200〜5000Hz、250〜5000Hz、300〜5000Hz、400〜5000Hz、500〜5000Hz、200〜2500Hz、300〜2500Hz、400〜2500Hz、500〜2500Hz、および200Hz〜25kHzの間の任意の周波数、またはそれらの組み合わせの信号を送達するように構成される。
実施形態では、神経活動は、低周波数基準変調を使用して遮断することができる。例えば、二相パルスの最初の負の部分では、振幅が、(例えば)100μAだけ増加させられ(または減少させることができ)、神経ブロックを達成する際に有効であり得る直流オフセットを生じる。二相パルスの後続の正の部分では、補償振幅が同一の100μAだけ増加させられ、また、神経ブロックを達成する際に有効であり得る直接電流オフセットを生じ、1つの二相パルスサイクル中に組織に伝送される正味の電流/電荷がゼロであることを確実にする。他の実施形態では、二相パルスの負および正の領域中の増加した(または減少した)パルス幅は、二相パルスサイクルあたりの正味電荷をゼロで維持しながら、直流/電荷オフセットの同一の効果を達成する。
第3の治療プログラムは、神経上の活動を上方調節する電気信号治療を送達する。実施形態では、周波数が、舌咽神経または圧受容器等の神経の活動の少なくとも部分的増加を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、神経調節器は、約0〜200Hz、1〜175Hz、1〜150Hz、1〜125Hz、1〜100Hz、1〜75Hz、1〜50Hz、1〜25Hz、1〜10Hz、および1〜200Hzの間の任意の周波数、またはそれらの組み合わせの信号を送達するように構成される。上記で説明されるような低周波数基準変調を使用して、0の正味電流/電荷が達成される。
本開示は、異なる治療プログラムが異なる標的神経または標的血管に印加されるであろうことを考慮するが、異なる治療プログラムを、異なる場所において同一の神経または血管上で採用することができる。低周波数および高周波数信号の組み合わせもまた、単一の神経の種類に印加されてもよい。例えば、下方調節信号が、心臓の迷走神経分布の下方の迷走神経に印加されてもよく、上方調節信号を、頸動脈または大動脈弓における迷走神経に採用することができる。別の実施例は、安全性チェックのための低周波数信号と組み合わせてインピーダンスチェックのための高周波数信号を採用する、維持モードを伴う。下方調節および上方調節信号は、同一のオン時間中に、または異なる時間に印加することができる。
実施形態では、交感神経活動が変調されるとき、電気信号治療のタイミングおよび周波数は、神経活動の急速な同期化バーストを少なくとも部分的に遮断するために修正される。実施形態では、電気信号は、一連のパルスが第1組のパラメータを伴って腎神経に送達され、その後に、第2組のパラメータが続くか、またはそれと交互になる、多重様式で腎神経に印加される。実施形態では、第1および第2組のパラメータは、周波数またはパルス振幅等の単一のパラメータのみが異なる。具体的実施形態では、第1組のパルスは、約200〜10,000Hzの周波数を有し、その後に、1〜199Hzの周波数での第2組のパルスが続く。実施形態では、信号の電流振幅は、約0.5〜18mAであるが、少なくとも6mAである。
オン時間は、神経活動の少なくとも部分的減少または増加を提供するように選択される。実施形態では、神経調節器は、30秒から30分、30秒から20分、30秒から10分、30秒から5分、30秒から3分、30秒から2分、または30秒から1分、あるいはそれらの組み合わせのオン時間を送達するように構成される。オフ時間は、神経活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される。実施形態では、神経調節器は、30秒から30分、30秒から20分、30秒から10分、30秒から5分、30秒から3分、30秒から2分、または30秒から1分、あるいはそれらの組み合わせのオフ時間を送達するように構成される。
他の実施形態では、他のオン時間およびオフ時間が、患者の状態および治療への反応性に対して適宜に利用されてもよい。例えば、オン時間は、30分以上であってもよく、その後に、少なくとも24時間以上のオフ時間が続く。具体的実施形態は、最大7日以上の介入治療オフ期間とともに、最大30分の1つ以上の治療オン期間を含む。
実施形態では、電流および/または電圧は、患者にとっての治療の安全性および有効性に基づいて調整される。いくつかの実施形態では、信号振幅は、0.25mA、または患者応答に基づいて上方または下方に調整される、より大きいまたは小さい増分だけ異なる、その間の振幅を含む、0.5mAから約18mAに及ぶことができる。電圧は、0.25ボルトから最大20ボルト、あるいは、0.25ボルト、または患者応答に基づいて上方または下方に調整される、より大きいまたは小さい増分だけ異なる、その間の電圧に及ぶことができる。実施形態では、電流振幅は、約0.5〜14、0.5〜12、0.5〜10、0.5〜8、0.5〜6、0.5〜4、0.5〜2、0.5〜mAである。
治療時間は、少なくとも9時間、全24時間期間、18〜24時間、16〜24時間、12〜24時間、および8〜24時間、6〜24時間、4〜24時間、または治療の必要性および/または患者の日常生活の活動に合致する他の間隔、あるいはそれらの組み合わせであり得る。治療時間は、患者が睡眠中に血圧の低下を体験するかどうかに応じて、変化させられてもよい(Pickering et al, N. Eng. J. Med. 354:22 (2002))。高血圧症を有する一部の患者は、目覚めている間に135/85mmHg以上、および眠っているときに120/75mmHg以下の血圧を有する。これらの患者について、治療は、患者の睡眠時間の一部の間に投与されないであろう。しかしながら、大抵の場合、治療は、心臓発作または脳卒中につながり得る、血圧の早朝の急上昇を最小限化するために、午前4時ほども早く再開するであろう(Pickering et al、上記で引用)。他の場合において、眠っている間に血圧の低下を体験しない、これらの患者について、治療は、全24時間期間にわたって投与されてもよい。
適切なソフトウェアおよび関連電子機器の他の望ましい特徴は、最後の1回以上の起動の日付および時間を示す情報とともに画面上に表示するために、患者コード、デバイスシリアル番号、バッテリ動作の時間数、出力の時間数、感知されたパラメータ、および(患者仲裁を示す)磁気活性化の数を含む、履歴データを記憶して取り出す能力を含むであろう。
本デバイスの適正な動作を検証するように、かつ通信、バッテリ、またはリード線/電極インピーダンス等に関する問題の存在を示すように、診断試験が実装されるべきである。例えば、低バッテリ示度値は、バッテリの寿命の差し迫った終了、および新しいデバイスの埋込の必要性を示すであろう。しかしながら、バッテリ寿命は、本発明のパルス発生器の起動の比較的低頻度の必要性により、心臓ペースメーカー等の他の埋込型医療デバイスの寿命を大幅に超えるべきである。いずれにしても、神経電極は、診断試験で観察される、それらに関する問題の指示がない限り、無期限の使用が可能である。
本デバイスは、血圧の早朝の急上昇、および/または睡眠時無呼吸による心拍数および/または血圧の急上昇を含む、患者によって体験される血圧または心拍数の履歴的増加に関して、概日または他のプログラミングも利用してもよい。
神経調節器はまた、本デバイスの適切な実装による種々の手段のうちのいずれかによって、患者によって手動で起動されてもよい。これらの技法は、神経調節器を起動し、それによって、電極への所望の変調信号の印加を引き起こすように、外部磁石または外部RF信号発生器の患者の使用、または神経調節器の上を覆う表面上を軽く叩くことを含む。治療の別の形態は、プログラムされた間隔で血糖管理を生じる迷走神経活動変調を周期的に送達するように、神経調節器をプログラムすることによって実装されてもよい。
iv.センサ
実施形態では、本装置は、患者の状態に対するセンサを含む。実施形態では、センサは、例えば、心拍数、血圧、血中酸素飽和レベル、睡眠時無呼吸事象、肺活量、ヘマトクリット、心拍出量、血糖、およびそれらの組み合わせを測定する。センサは、1つ以上のパラメータに関して患者の状態を測定するために、電極に組み込むか、または別々に位置付けることができる。埋込型センサが、リード線を通して埋込型神経調節器に動作可能に連結される。センサは、外部に位置し、モバイルデバイスを通した無線通信によって、情報を埋込型デバイスおよび/または医療提供者に提供することができる。
所定のレベルを上回る血圧、心拍数の増加、および/または所定のレベルを下回る血中酸素飽和レベルの減少は、血圧、心拍数、および酸素レベルを所定のレベルに戻して調整するように、電気信号治療の選択をトリガするであろう。実施形態では、血圧の所定のレベルは、130mmHg以上の収縮期圧、および80mmHg以上の拡張期圧を含む。心拍数については、所定のレベルは、毎分85回以上の鼓動を含む。血中酸素飽和レベルについては、所定のレベルは、94%以下の酸素飽和度を含む。実施形態では、埋込型神経調節器は、血圧が高血圧閾値を超える場合に、第1、第2、および/または第3の治療プログラムを起動するように構成される。実施形態では、高血圧閾値は、約130mmHgの収縮期圧、80mmHgの拡張期圧、または両方である。実施形態では、選択される治療プログラムは、患者に合わせられ、および/またはセンサからの入力の結果として医療提供者によって修正されるであろう。
例えば、約120/80mmHgより高い血圧は、第1、第2、および/または第3の治療プログラムの起動をもたらすことができ、または約120/80mmHg以下の血圧は、第1、第2、および/または第3の治療プログラムの一時的停止をもたらすことができる。同様に、患者が起立位にあるときに約3ng/ml/時間より高いレニンレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラム起動をトリガしてもよく、または3ng/ml/時間以下のレニンレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラムの一時的停止をもたらすことができる。患者が起立位にあるときに約30ng/dlより高いアルドステロンレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラム起動をトリガしてもよく、30ng/dl以下のアルドステロンレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラムの一時的停止をもたらすことができる。患者が起立位にあるときに約0.3マイクログラム/デシリットルのアンジオテンシンIIレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラム起動をトリガしてもよく、または約0.3マイクログラム/デシリットル以下のアンジオテンシンレベルは、第1、第2、および/または第3の治療プログラムの一時的停止をもたらすことができる。
実施形態では、神経調節器および/または外部コントローラは、心拍数、血圧、ホルモン、および酸素飽和レベル等の感知されたパラメータの収集および伝送のためのプログラムおよび記憶装置を有する。そのようなデータは、治療有効性を監視することができ、治療有効性を増加させるよう、または患者の状態の改善に応答して、治療プログラムパラメータを変更することができるように、外部コントローラおよび/またはプログラマに無線で伝達される。例えば、高血圧症および肥満がある患者では、患者が、120mmHg以下の安定した収縮期血圧および80mmHg以下の拡張期血圧を少なくとも3ヶ月にわたって有するとき、治療プログラムは、終了されるか、または維持モードになるかの一方のために選択されてもよい。
v.治療プログラム
実施形態では、本開示は、患者の疾患または状態に合わせられる治療プログラムを提供する。治療プログラムは、電気信号治療のパラメータを備える。実施形態では、パラメータ値は、標的神経、または電気信号が上方調節信号あるいは下方調節信号であるかどうかに応じて、変化するであろう。医療提供者は、各患者のための治療プログラムを選択してもよく、かつ各治療プログラム内で個々のパラメータを選択してもよい。
場合によっては、本明細書で説明されるように、第1および/または第2の治療プログラムは、下方調節信号を、心臓の迷走神経支配の下方の場所における迷走神経、交感神経、または腎神経に提供する。第3の治療プログラムは、洞房結節における右迷走神経、圧受容器、または舌咽神経に印加される上方調節信号等の他の場所に印加される別の信号を提供する。他の実施形態では、第1または第2の治療プログラムは、下方調節信号を迷走神経に提供し、第3の治療プログラムは、圧受容器に印加される上方調節信号を提供する。
実施形態では、肥満または糖尿病がない、高血圧症または心不全を有する患者については、治療プログラムは、間欠的下方調節信号を横隔膜下の場所における迷走神経および/または腎神経に提供するパラメータと組み合わされて、上方調節信号を圧受容器または舌咽神経に提供するためのパラメータを伴う。他の実施形態では、下方調節信号を提供する治療プログラムのパラメータは、約200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAから18mAの振幅を含む。他の実施形態では、下方調節信号を腎神経に提供する治療プログラムのパラメータは、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約3mAから18mAの振幅を含む。
装置は、少なくとも2つの電極を含む。一方の電極は、動脈圧受容器に接触するように適合させられ、他方の電極は、横隔膜下の場所における迷走神経および/または腎神経に接触するように適合させられる。実施形態では、腎神経に接触するように適合させられている電極は、外部または血管内のいずれか一方で、血管に配置されるように適合させられる。実施形態では、腎神経に配置するために、リード線本体は、多数の電極または接点を含む。リード線本体が円形断面形状を有するとき、接点は、略リング型形状を有することができ、かつリード線本体の長さに沿って軸方向に離間させることができる。実施形態では、圧受容器に接触するように適合させられている電極は、外部または血管内のいずれか一方で、血管に配置されるように適合させられる。実施形態では、電極は、横隔膜の下方の前または後迷走神経に配置するために適合させられる。実施形態では、大動脈波伝播速度によって測定されるような動脈の硬化の増加を有する、患者も選択される。いずれか一方の治療プログラムのパラメータはさらに、心拍数または他の心臓機能への悪影響を回避するように選択される。
実施形態では、高血圧症または心不全、および肥満または糖尿病を有する患者については、治療プログラムは、腎神経および/または脊髄交感神経への下方調節信号と組み合わされて、横隔膜下で間欠的下方調節信号を迷走神経に提供するように選択されるパラメータを備える。他の実施形態では、そのような治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAからの18mAの振幅を含む。さらに他の実施形態では、治療プログラムはさらに、脊髄内臓および/または腎神経への下方調節信号のパラメータを備える。内臓神経は、第1の腰内臓神経を含む。場合によっては、内臓または腎神経の下方調節のためのパラメータは、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約3mAからの18mAの振幅を含む。他の実施形態では、迷走神経、内臓、または腎神経のうちのいずれかへの下方調節信号は、圧受容器への上方調節信号と組み合わせられる。
実施形態では、糖尿病がある、またはない、高血圧症および/または慢性腎疾患を有する患者については、治療プログラムは、間欠的下方調節信号を腎および/または迷走神経に提供するパラメータを備える。実施形態では、高血圧症、心不全、および/または慢性腎疾患を有する患者については、治療プログラムは、任意の他の治療プログラムとは無関係に、間欠的下方調節信号を腎神経に提供するように選択されるパラメータを備える。他の実施形態では、そのような治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAからの18mAの振幅を含む。他の実施形態では、腎神経への下方調節信号は、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約6mAからの18mAの振幅等のパラメータを含む、神経活動の同期化バーストを遮断する下方調節信号を提供するように、協調させられる。
さらに他の実施形態では、十分な血圧制御が薬剤で達成されていない、正常体重の高血圧症対象では、少なくとも1つの電極が、腎神経に配置され、治療プログラムが、間欠的下方調節信号を腎神経に提供するように選択される。そのような対象の治療のさらなる実施形態では、電極が、組織の中、または圧受容器に影響を及ぼす神経または血管に配置され、治療プログラムが、上方調節信号を組織、神経、または血管に提供するように選択される。対象の治療のその上さらなる実施形態では、電極が、脊髄交感神経または迷走神経に配置され、間欠的下方調節信号を提供する治療プログラムが、選択される。電極の配置および治療プログラムの任意の組み合わせを選択することができる。加えて、治療プログラムまたは治療プログラムのパラメータが、感知された情報および/または治療中の患者の健康状態の結果として修正されてもよい。
実施形態では、パラメータのうちの1つ以上は、有効性または患者コンプライアンスを向上させるために、治療が始まった後に修正される。医療提供者によって修正されるパラメータは、周波数、振幅、オン時間、オフ時間、パルス幅、治療期間、上昇時間、および下降時間を含む。パラメータは、感知された患者状態またはバイオマーカーの変化に応答して修正されてもよい。例えば、血圧がある所定のレベルを超える場合には、治療プログラムが、その事象に応答して修正されてもよい。例えば、高血圧症および肥満がある患者では、患者が120mmHg以下および80mmHg以下の安定した血圧を少なくとも3ヶ月にわたって有するとき、治療プログラムは、終了されるか、または維持モードになるかの一方のために選択されてもよい。
実施形態では、維持モードは、神経調節器が9時間以下の期間にわたって安全性チェックおよびインピーダンスチェックと関連付けられる低エネルギー電気信号を送達する、モードである。バッテリ電力を節約するために、本デバイスは、30分から9時間、1時間から8時間、1時間から7時間、1時間から6時間、1時間から5時間、1時間から4時間、1時間から3時間、および1時間から2時間にわたってオンのままとなるが、安全性およびインピーダンスチェックを送達してもよい。実施形態では、安全性チェックは、50Hz以下で少なくとも0.2マイクロ秒毎に送達され、インピーダンスチェックは、1000Hz以上の周波数で2分毎に1回送達される。本発明の範囲を限定するように意図されていないが、より短い期間ではなく、1日に少なくとも9時間にわたって印加された場合に、治療効果がこの低エネルギー電気信号治療と関連付けられると考えられる。患者の状態が安定または消散した場合、医療提供者は、後日にもう一度治療プログラムを開始するオプションを残しておいて、本デバイスを維持モードでプログラムしてもよい。
実施形態では、バイオマーカーが、患者において評価され、患者のための初期治療プログラムを選択するために使用される。例えば、高血圧症と、例えば、大動脈波伝播速度によって測定されるような動脈の硬化の増加とを有する、患者については、圧受容器への上方調節信号を含む、治療プログラムが選択される。他の実施形態では、高血圧症と、アディポネクチンの減少とを有する患者については、迷走神経の下方調節のためのパラメータを含む、治療プログラムが選択される。さらに他の実施形態では、シスタチンCの増加したレベルおよび高血圧症を有する患者については、下方調節信号を腎神経に提供する、治療プログラムが選択される。さらに他の実施形態では、C反応性タンパク質およびインターロイキン6等の他の炎症マーカーの増加したレベルを有する患者については、迷走神経および腎神経の下方調節のためのパラメータを含む、治療プログラムが選択される。
動脈硬化に対する他のバイオマーカーは、冠動脈コンピュータ断層撮影血管形成術または他の類似手技を使用する、血管中のカルシウム沈着物のレベルの撮像を含む。心電図の検査もまた、多種多様の健康パラメータについての情報を提供するために有用である。心電図信号は、参照することにより本明細書に組み込まれる、US 7082327号およびUS 20100004515号で説明されるようなウェーブレット変換技術を使用して、分析することができる。
いくつかの実施形態では、患者は、ベック鬱評価尺度および/または体重および生活様式評価尺度(WALI)等の器具を使用して、精神状態について査定される。鬱病を呈する患者は、本デバイスの埋込および起動前に鬱病について治療することができる。
治療プログラムおよび/または薬剤の修正が行われる必要があるかどうかを査定するために、治療の全体を通してバイオマーカーを監視することができる。実施形態では、肥満、糖尿病、腎疾患、および/または高血圧症がない対象で見られるレベルと比較して、シスタチンC、C反応性タンパク質、および/またはインターロイキン6のうちのいずれか1つの減少は、治療が功を奏しており、治療が治療モードよりむしろ維持モードに修正され得ることを示す。実施形態では、高血圧症がない対象と比較して、アディポネクチンの増加は、治療が功を奏しており、治療プログラムが修正されることを示す。少なくとも3ヶ月の期間にわたる血圧の安定化もまた、維持モードへの電気信号治療の修正を保証してもよい。
vi.薬剤の選択
本開示の別の側面では、薬剤が、電気信号療法と併せて、高血圧症または心不全に対する患者の治療のために選択される。実施形態では、治療装置は、患者、ならびに薬剤の用量および投与のタイミングの両方を含む、ある期間にわたる血圧および心拍数パラメータへの薬剤に対する応答についての情報を含む。そのような情報は、神経調節器、外部充電器、および/または臨床医プログラマ上に記憶することができる。次いで、この情報は、薬剤の用量および投与のタイミングの有効性を査定するように調査することができる。実施形態では、この情報は、センサから得られる血圧および心拍数についての情報と組み合わせられ、また、患者の薬剤および/または電気信号治療に調整を行うことができるように、医療提供者に送信される。
血管制御障害に影響を及ぼす作用物質は、標的神経の神経活動を変化させる信号を印加するという治療を補完する能力に基づいて選択することができる。本明細書で説明されるように、迷走神経等の標的神経上の神経活動を変調する信号の印加を用いて、補完または相乗効果を提供し得る、作用物質が選択される。患者が、一方または両方の治療のみと比較して、本明細書で説明されるような血圧および/または心拍数の改善を有するかどうかを判定することによって、相乗または補完効果を判定することができる。
また、または加えて、作用物質の使用を防止する、または不十分な血管制御を提供する、推奨投与量での望ましくない副作用を有し得る作用物質が、投与されるように選択されてもよい。加えて、心臓の状態、肝臓疾患、または腎臓疾患を有する患者は、有害な副作用により、推奨投与量での作用物質のうちの1つ以上を用いた治療に耐えることができない場合がある。
望ましくない副作用を伴う薬剤の投与を、標的神経上の神経活動を変調することと組み合わせることにより、より低用量での薬剤の投与を可能にしてもよく、それによって、副作用を最小限化することにより、複数の薬剤の代わりに、単一の薬剤の投与を可能にしてもよく、または薬剤のより高用量の投与を可能にしてもよい。加えて、吸収が、本明細書で説明されるように迷走神経に適用されるような神経下方調節による、胃内容排出の遅延によって減速されるときに、薬物動態を変化させた薬剤が選択されてもよい。他の実施形態では、推奨投与量は、より少ない有害な副作用を有する量まで低下させられてもよい。実施形態では、推奨投与量は、少なくとも25%低下させられることが可能であり得ると期待される。他の実施形態では、投与量は、推奨用量の少なくとも25%以上の任意の割合まで低下させることができる。いくつかの実施形態では、投与量は、推奨投与量の少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%低下させられる。
実施形態では、腎機能障害および高血圧症を有する患者については、レニンアンジオテンシン経路に影響を及ぼす作用物質が、好ましくは選択されてもよい。そのような作用物質は、アンジオテンシン受容体遮断薬、およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を含む。同様に、C反応性タンパク質の増加したレベルおよび高血圧症を有する患者については、スタチン等のアテローム性動脈硬化症に影響を及ぼす作用物質が、好ましくは、単独で、またはレニンアンジオテンシン阻害薬と組み合わせてのいずれかで選択される。実施形態では、肥満であり、高血圧症または心不全を有する患者については、アンジオテンシンレニン阻害薬、ベータ遮断薬、および/またはスタチンの組み合わせが好ましい。
C.方法
本開示は、心拍数および/または血圧を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、間欠的電気信号を標的神経に印加するステップを含み、該電気信号は、神経上の神経活動を下方調節および/または上方調節するように選択され、神経活動は、該信号の中断時に少なくとも部分的に回復する。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、血圧を制御するか、または鬱血性心不全を治療する作用物質の有効量を含む、組成物を対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、電気信号は、デバイスを埋め込むこと、または本明細書で説明されるような装置を使用することによって、神経に印加される。
いくつかの実施形態では、対象における高血圧症または高血圧前症を治療する方法は、高血圧症を有する対象の標的神経に間欠的神経伝導信号を印加するステップを含み、該神経伝導信号は、神経上の神経活動を下方調節するように、かつ該信号の中断時に神経上の神経活動を少なくとも部分的に回復させるように選択される。他の実施形態では、神経伝導信号は、治療の時間中に連続的に印加される。実施形態では、治療は、迷走神経または他の神経上の任意の他の上方調節または下方調節信号を伴わずに、腎神経に印加される。実施形態では、治療および/または信号特性は、いかなる他の有害臨床効果も発生しないように選択される。
いくつかの実施形態では、対象における低血圧症を治療する方法は、低血圧症を有する対象の標的神経に間欠的神経伝導信号を印加するステップを含み、該神経伝導信号は、神経上の神経活動を上方調節するように、かつ該信号の中断時に神経上の神経活動を少なくとも部分的に回復させるように選択される。他の実施形態では、神経伝導信号は、治療の時間中に連続的に印加される。
いくつかの実施形態では、本開示は、間欠的電気治療信号を対象の腎臓に近接する標的神経または標的血管に印加するステップを含む、慢性腎疾患を治療する方法を提供し、該電気治療信号は、オン時間中に神経上の神経活動を少なくとも部分的に下方調節するように、かつオフ時間中に神経上の神経活動を少なくとも部分的に回復させるように選択され、オンおよびオフ時間は、1日に複数回、複数日にわたって印加される。他の実施形態では、本開示は、間欠的電気治療信号を対象の腎臓に近接する標的神経または標的血管に印加するステップを含む、慢性腎疾患を治療する方法を提供し、該電気治療信号は、オン時間中に神経上の神経活動を少なくとも部分的に下方調節するように、かつオフ時間中に神経上の神経活動を少なくとも部分的に回復させるように選択され、オンおよびオフ時間は、1日に複数回、複数日にわたって印加され、神経上の神経活動の下方調節は、所望の腎臓機能を維持し、適応を回避するように周期的に調整される。実施形態では、対象は、高血圧症、肥満、または糖尿病を伴わずに慢性腎疾患を有する。他の実施形態では、対象は、高血圧症および慢性腎疾患を有する。
実施形態では、肥満または糖尿病を伴わずに高血圧症または心不全を有する患者については、治療プログラムは、間欠的下方調節信号を迷走神経および/または腎神経に提供するパラメータと組み合わされて、上方調節信号を圧受容器に提供するためのパラメータを伴う。他の実施形態では、下方調節信号を提供する治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAから18mAの振幅を含む。他の実施形態では、下方調節信号を腎神経に提供する治療プログラムのパラメータは、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約6mAから18mAの振幅を含む。装置は、少なくとも2つの電極を含む。
一方の電極は、動脈圧受容器に接触するように適合させられ、他方の電極は、迷走神経または腎神経に接触するように適合させられる。実施形態では、腎神経に接触するように適合させられている電極は、外部または血管内のいずれか一方で、血管に配置されるように適合させられる。実施形態では、圧受容器に接触するように適合させられている電極は、外部または血管内のいずれか一方で、血管に配置されるように適合させられる。実施形態では、電極は、横隔膜の下方の前または後迷走神経に配置するために適合させられる。実施形態では、大動脈波伝播速度によって測定されるような動脈の硬化の増加を有する、患者も選択される。いずれか一方の治療プログラムのパラメータはさらに、心拍数または他の心臓機能への悪影響を回避するように選択される。
実施形態では、高血圧症または心不全および肥満を有する患者については、治療プログラムは、任意の他の治療プログラムとは無関係に、間欠的下方調節信号を迷走神経に提供するように選択されるパラメータを備える。他の実施形態では、そのような治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAから18mAの振幅を含む。さらに他の実施形態では、治療プログラムはさらに、内臓および/または腎神経への下方調節信号のパラメータを備える。内臓神経は、第1の腰内臓神経を含む。場合によっては、内臓または腎神経の下方調節のためのパラメータは、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約6mAから18mAの振幅を含む。
実施形態では、電気信号は、一連のパルスが第1組のパラメータを伴って腎神経に送達され、その後に、第2組のパラメータが続くか、またはそれと交互になる、多重様式で腎神経に印加される。実施形態では、第1および第2組のパラメータは、周波数またはパルス振幅等の単一のパラメータのみが異なる。具体的実施形態では、第1組のパルスは、約200〜10,000Hzの周波数を有し、その後に、1〜199Hzの周波数での第2組のパルスが続く。他の実施形態では、1つより多くのパラメータが、第1および第2組のパラメータの間で異なる。実施形態では、高血圧症、または心不全、糖尿病、および肥満を有する患者については、治療プログラムは、任意の他の治療プログラムとは無関係に、間欠的下方調節信号を迷走神経に提供するように選択されるパラメータを備える。他の実施形態では、そのような治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAから18mAの振幅を含む。さらに他の実施形態では、治療プログラムはさらに、内臓および/または腎神経への下方調節信号のパラメータを備える。内臓神経は、第1の腰内臓神経を含む。場合によっては、内臓または腎神経の下方調節のためのパラメータは、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約6mAから18mAの振幅を含む。他の実施形態では、迷走神経、内臓神経、または腎神経のうちのいずれかへの下方調節信号は、圧受容器への上方調節信号と組み合わせられる。
実施形態では、糖尿病がある、またはない、高血圧症および慢性腎疾患を有する患者については、治療プログラムは、間欠的下方調節信号を腎および/または迷走神経に提供するパラメータを備える。実施形態では、高血圧症または心不全および慢性腎疾患を有する患者については、治療プログラムは、任意の他の治療プログラムとは無関係に、間欠的下方調節信号を腎神経に提供するように選択されるパラメータを備える。他の実施形態では、そのような治療プログラムのパラメータは、200〜25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および0.5mAから18mAの振幅を含む。他の実施形態では、腎神経への下方調節信号は、約1000Hzから25kHzの周波数、30秒から30分のオン時間、30秒から30分のオフ時間、および約6mAからの18mAの振幅等のパラメータを含む、神経活動の同期化バーストを遮断する下方調節信号を提供するように、協調させられる。
さらに他の実施形態では、十分な血圧制御が薬剤で達成されていない、正常体重の高血圧症対象では、少なくとも1つの電極が、腎神経に配置され、治療プログラムが、間欠的下方調節信号を腎神経に提供するように選択される。そのような対象の治療のさらなる実施形態では、電極が、組織の中、または圧受容器に影響を及ぼす神経または血管に配置され、治療プログラムが、上方調節信号を組織、神経、または血管に提供するように選択される。そのような対象の治療のその上さらなる実施形態では、電極が、交感神経または迷走神経に配置され、間欠的下方調節信号を提供する治療プログラムが、選択される。電極の配置および治療プログラムの任意の組み合わせを選択することができる。加えて、治療プログラムまたは治療プログラムのパラメータが、感知された情報および/または治療中の患者の健康状態の結果として修正されてもよい。
治療プログラムは、バイオマーカーの変化に応じて、各患者のために設計することができる。例えば、高血圧症、および例えば、大動脈波伝播速度によって測定されるような動脈の硬化の増加を有する、患者については、圧受容器への上方調節信号を含む、治療プログラムが選択される。他の実施形態では、高血圧症およびアディポネクチンの減少を有する患者については、迷走神経の下方調節のためのパラメータを含む、治療プログラムが選択される。さらに他の実施形態では、シスタチンCおよび高血圧症の増加したレベルを有する患者については、下方調節信号を腎神経に提供する、治療プログラムが選択される。さらに他の実施形態では、C反応性タンパク質およびインターロイキン6等の他の炎症マーカーの増加したレベルを有する患者については、迷走神経および腎神経の下方調節のためのパラメータを含む、治療プログラムが選択される。
動脈硬化に対する他のバイオマーカーは、冠動脈コンピュータ断層撮影血管形成術または他の類似手技を使用する、血管中のカルシウム沈着物のレベルの撮像を含む。心電図の検査もまた、多種多様の健康パラメータについての情報を提供するために有用である。心電図信号は、参照することにより本明細書に組み込まれる、US 7082327号およびUS 20100004515号で説明されるようなウェーブレット変換技術を使用して、分析することができる。
治療プログラムおよび/または薬剤の修正が行われる必要があるかどうかを査定するために、治療の全体を通してバイオマーカーを監視することができる。実施形態では、肥満、糖尿病、腎疾患、および/または高血圧症がない対象で見られるレベルと比較して、シスタチンC、C反応性タンパク質、および/またはインターロイキン6のうちのいずれか1つの減少は、治療が功を奏しており、治療が治療モードよりむしろ維持モードに修正され得ることを示す。実施形態では、高血圧症がない対象と比較して、アディポネクチンの増加は、治療が功を奏しており、治療プログラムが修正されることを示す。少なくとも3ヶ月期間にわたる血圧の安定化もまた、維持モードへの電気信号治療の修正を保証してもよい。
実施形態では、パラメータのうちの1つ以上は、有効性または患者コンプライアンスを向上させるために、治療が始まった後に修正される。医療提供者によって修正されるパラメータは、周波数、振幅、オン時間、オフ時間、パルス幅、治療期間、上昇時間、および下降時間を含む。パラメータは、感知された患者状態またはバイオマーカーの変化に応答して修正されてもよい。バイオマーカーが患者の改善を示す場合、治療プログラムは、終了されるか、または維持モードに変更されてもよい。例えば、血圧がある所定のレベルを超える場合には、治療プログラムが、その事象に応答して修正されてもよい。他の実施形態では、患者の状態が改善し、少なくとも3ヶ月にわたって120mmHgおよび80mmHg以下の安定した血圧がある場合、治療プログラムは、終了されるか、または維持モードに切り替えることができる。
実施形態では、維持モードは、神経調節器が9時間以下の期間にわたって安全性チェックおよびインピーダンスチェックと関連付けられる低エネルギー電気信号を送達する、モードである。バッテリ電力を節約するために、本デバイスは、30分から9時間、1時間から8時間、1時間から7時間、1時間から6時間、1時間から5時間、1時間から4時間、1時間から3時間、および1時間から2時間にわたってオンのままとなるが、安全性およびインピーダンスチェックを送達してもよい。実施形態では、安全性チェックは、50Hz以下で少なくとも0.2マイクロ秒毎に送達され、インピーダンスチェックは、1000Hz以上の周波数で2分毎に1回送達される。本発明の範囲を限定するように意図されていないが、より短い期間ではなく、1日に少なくとも9時間にわたって印加された場合に、治療効果がこの低エネルギー電気信号治療と関連付けられると考えられる。患者の状態が安定または消散した場合、医療提供者は、後日にもう一度治療プログラムを開始するオプションを残しておいて、本デバイスを維持モードでプログラムしてもよい。
他の実施形態では、方法は、患者の高血圧症、鬱血性心不全、または他の状態を治療するための有効投与量が、不快な副作用または血圧制御障害と関連付けられる、そのような患者のそのような状態を治療するための薬剤を選択するステップと、a)神経における求心性神経活動および/または遠心性神経活動を下方調節するように選択されるブロックを用いて、1日に複数回、複数日にわたって、間欠的神経ブロックを患者の標的神経に印加するステップであって、神経活動は、該ブロックの中断時に少なくとも部分的に回復する、ステップと、b)該薬剤を患者に投与するステップとを含む、併用療法で患者を治療するステップとを含む、高血圧症、鬱血性心不全、高血圧前症、または高血圧症を構成要素として有する他の状態に対する治療を含む。
別の方法は、第1の治療プログラムを第1の標的神経または標的血管に送達するように埋込型神経調節器を構成するステップであって、第1の治療プログラムは、1日に複数回、オン時間およびオフ時間を用いて間欠的に電気信号を第1の標的神経または標的血管に送達し、第1の治療プログラムは、オン時間中に第1の神経または血管における神経活動を下方調節するように選択される周波数を有し、かつ神経機能の少なくとも部分的な回復を提供するように選択されるオフ時間を有する電気信号治療を送達する、ステップと、第3の治療プログラムを第2の標的神経または標的組織に送達するように埋込型神経調節器を構成するステップであって、第3の治療プログラムは、1日に複数回、オン時間およびオフ時間を用いて間欠的に電気信号を第2の標的神経または標的血管に送達し、第3の治療プログラムは、神経活動を上方調節するための周波数を有する電気信号治療を送達する、ステップと、c)第1の治療プログラムを第1の電極および追加の電極に提供することを含む第1のモード、第1の治療プログラムを第1の電極に、第3の治療プログラムを追加の電極に提供することを含む第2のモード、および維持モードを含む、選択可能な複数のモードで動作するように埋込型神経調節器を構成するステップとを含む、装置を製造する方法を含む。実施形態では、第1および第3の治療プログラムは、同一のオン時間中に、または異なるオン時間に送達されるように構成される。
別の実施形態では、本方法は、腎動脈、迷走神経、腎神経、迷走神経、腹腔神経叢、内臓神経、心臓交感神経、およびT10〜L5から始まる脊髄神経から成る群から選択される第1の標的神経または標的血管に配置されるように適合させられている第1の電極を提供するステップを含む。その上さらなる実施形態では、方法は、腎動脈、腎神経、迷走神経、腹腔神経叢、内臓神経、心臓交感神経、T10〜L5から始まる脊髄神経、舌咽神経、および圧受容器を含む組織から成る群から選択される第1の標的神経または標的血管に配置されるように適合させられている追加の電極を提供する。
実施形態では、方法は、センサを提供するステップを含み、センサは、血圧、心拍数、平均動脈圧、ホルモン、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるパラメータを検出する。実施形態では、本方法は、血圧が高血圧閾値を超える場合に、第1、第2、および/または第3の治療プログラムを起動するように埋込型神経調節器を構成するステップを含む。
i.信号印加
本開示の一側面は、可逆的な間欠的変調信号が、神経上の神経活動を下方調節および/または上方調節するために、標的神経に印加される。他の実施形態では、信号が、治療時間中に連続的に神経活動を上方調節または下方調節するように、標的神経に印加される。実施形態では、標的神経は、迷走神経である。
本明細書で説明される方法の実施形態では、神経伝導ブロックが、ある部位における標的神経に印加され、該神経伝導ブロックは、神経上の神経活動を下方調節するように選択され、神経活動は、該信号の中断時に少なくとも部分的に回復する。
いくつかの実施形態では、該変調信号は、電気信号を印加するステップを含む。信号は、神経活動を下方調節または上方調節し、信号の中断時に神経活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される。可逆的な間欠的信号を提供するように信号の特性を変化させるために、上記で説明されるような神経調節器を、信号の印加を調節するように採用することができる。信号の特性は、信号の場所、信号の周波数、信号の振幅、信号の電圧、信号のパルス幅、上昇および下降特性、および信号の投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、信号特性は、改善した心拍数および/または血圧を提供するように選択される。
いくつかの実施形態では、標的神経に適用される電極は、間欠的遮断または下方調節信号を用いて通電させられる。信号は、限定された時間(例えば、5分)にわたって印加される。神経活動回復の速度は、対象によって異なる。しかしながら、20分が、基準に回復するために必要とされる時間の合理的な実施例である。回復後、遮断信号の印加は、次いで、信号の停止後に少なくとも部分的に回復することができる、神経活動を再度下方調節する。信号の新たな印加は、完全回復前に印加することができる。例えば、限定された期間(例えば、10分)後、遮断を再開することができ、基準と比較したときに有意に低減したレベルを超えない、平均神経活動をもたらす。いくつかの実施形態では、電気信号は、信号の印加のオン時間を含むサイクルで間欠的に印加され、その後に、その間に信号が神経に印加されないオフ時間が続き、オンおよびオフ時間は、1日に複数回、複数日にわたって印加される。
迷走神経活動等の神経活動の回復の認識は、増進した制御および増進した治療オプションを伴う治療および装置を可能にする。図4は、上記で説明されるような遮断信号の印加に応答した、経時的な迷走神経活動を図示し、さらに、遮断信号の停止後の迷走神経活動の回復を図示する。図4のグラフは、例証目的のためにすぎないことが理解されるであろう。有意な患者間変動性が生じるであろうと期待される。例えば、遮断信号への一部の患者の応答は、図示されるほど劇的ではない場合がある。他の患者は、図示されるより急な、または浅い回復曲線を体験し得る。また、一部の対象における迷走神経活動は、基準活動に向かって増加する前に、低減したレベルで平坦なままでありえる。しかしながら、前述の動物実験に基づいて、図4は、遮断への生理学的応答の適正表現であると考えられる。
図4では、迷走神経活動が、基準の割合として図示されている(すなわち、本発明の治療を伴わない迷走神経活動)。迷走神経活動は、任意の数の方法で測定することができる。例えば、単位時間につき産生される膵臓外分泌の量は、そのような活動の間接的測定値である。また、迷走神経上または付近の電極を監視することによって、活動を直接測定することができる。そのような活動はまた、(例えば、患者の膨張感または胃腸運動の常態によって)定性的に確認することもできる。
図4では、垂直軸は、(患者によって異なる)患者の基準活動の割合としての仮想患者の迷走神経活動である。水平軸は、時間の経過を表し、患者が説明されるような遮断信号を受信しているか、または遮断信号がオフにされている(「遮断なし」と標識される)かのいずれかであるときの例証的な間隔を提示する。図4に示されるように、遮断信号を受信する短い期間中に、迷走神経活動は(示される実施例では基準活動の約10%まで)劇的に低下する。遮断信号の停止後、迷走神経活動は、基準に向かって上昇し始める(上昇の傾斜は患者によって異なるであろう)。迷走神経活動が、基準に戻ることを可能にさせることができ、または図4で図示されるように、迷走神経活動が依然として低減させられているときに、遮断信号を再開することができる。図4では、迷走神経活動が基準の約50%まで増加するときに、遮断信号が始まる。結果として、平均迷走神経活動は、基準活動の約30%まで低減させられる。遮断持続時間および「遮断なし」持続時間を変化させることによって、平均迷走神経活動を多大に変化させることができると理解されるであろう。
信号は、間欠的または連続的であり得る。好ましい神経伝導ブロックは、埋込型神経調節器(神経調節器104または外部コントローラ)によって制御される電極によって、標的神経で信号によって生成される電子ブロックである。電子ブロックは、低周波数基準変調を含むことができる。神経伝導ブロックは、任意の可逆的ブロックであり得る。例えば、超音波、温度の変化、または薬剤ブロックを使用することができる。電子ブロックは、電流に応答して冷却し、冷却を調節するように電気的に制御され得る、ペルチェソリッドステートデバイスであってもよい。機械エネルギーを神経に印加して活動を変調するために、圧電デバイスを使用することができる。薬剤ブロックは、ポンプ制御された皮下薬剤送達を含んでもよい。異なる種類の神経活動ブロックを、異なる標的神経または標的血管に適用することができる。
そのような電極伝導ブロックを用いると、ブロックパラメータ(信号の種類およびタイミング)は、神経調節器によって変化させることができ、かつ上方調節信号と協調させることができる。例えば、筋肉の神経伝導ブロックパラメータは、Solomonow, et al., “Control of Muscle Contractile Force through Indirect High−Frequency Stimulation”, Am. J. of Physical Medicine, Vol. 62, No. 2, pp. 71−82 (1983)で開示されている。いくつかの実施形態では、神経伝導ブロックは、(神経線維の選択されたサブグループ、または求心性ではなく遠心性線維のみ、あるいはその逆とは対照的に)遮断信号を印加する部位で、神経(例えば、求心性、遠心性、有髄、および無髄線維の両方)の断面全体を遮断するように選択される電気信号を用いて印加され、より好ましくは、200Hz閾値周波数を超えるように選択される周波数を有する。さらに、より好ましいパラメータは、5000Hzの周波数である(他のパラメータは、非限定的な実施例として、6mAの振幅、0.09ミリ秒のパルス幅、ならびに5分のオンおよび5分のオフの負荷サイクルである)。より十分に説明されるように、本発明は、個々の患者に対する選択されたペーシングおよび遮断パラメータにおける多大な裁量権を医師に与える。
実施形態では、信号パラメータは、好ましくは、他の心臓機能に影響を及ぼすことなく、心拍数および/または血圧の減少を提供する。周波数は、神経の活動の少なくとも部分的減少を提供するように選択される。いくつかの実施形態では、神経調節器は、約200Hz〜25kHz、200Hz〜約15kHz、200Hz〜約10kHz、200〜5000Hz、250〜5000Hz、300〜5000Hz、400〜5000Hz、500〜5000Hz、200〜2500Hz、300〜2500Hz、400〜2500Hz、500〜2500Hz、および200Hz〜25kHzの間の任意の周波数、またはそれらの組み合わせの信号を送達するように構成される。
実施形態では、神経活動は、低周波数基準変調を使用して遮断することができる。例えば、二相パルスの最初の負の部分では、振幅が、(例えば)100μAだけ増加させられ(または減少させることができ)、神経ブロックを達成する際に有効であり得る直流オフセットを生じる。二相パルスの後続の正の部分では、補償振幅が同一の100μAだけ増加させられ、また、神経ブロックを達成する際に有効であり得る直接電流オフセットを生じ、1つの二相パルスサイクル中に組織に伝送される正味の電流/電荷がゼロであることを確実にする。他の実施形態では、二相パルスの負および正の領域中の増加した(または減少した)パルス幅は、二相パルスサイクルあたりの正味電荷をゼロで維持しながら、直流/電荷オフセットの同一の効果を達成する。
場合によっては、下方調節信号が、独立して、または組み合わされてのいずれかで、迷走神経、内臓神経、脊髄交感神経、または腎神経に印加される。
実施形態では、交感神経活動が変調されるとき、電気信号治療のタイミングおよび周波数は、神経活動の急速な同期化バーストを少なくとも部分的に遮断するために修正される。実施形態では、電気信号は、一連のパルスが第1組のパラメータを伴って腎神経に送達され、その後に、第2組のパラメータが続くか、またはそれと交互になる、多重様式で腎神経に印加される。実施形態では、第1および第2組のパラメータは、周波数またはパルス振幅等の単一のパラメータのみが異なる。具体的実施形態では、第1組のパルスは、約200〜10,000Hzの周波数を有し、その後に、1〜199Hzの周波数での第2組のパルスが続く。他の実施形態では、1つより多くのパラメータが、第1および第2組のパラメータの間で異なる。
信号は、「オン時間およびオフ」時間を伴って間欠的である。実施形態では、各オン時間は、5,000Hz信号がゼロアンペアから6〜8mAの標的まで上昇させられる、上昇を含む。各オン時間はさらに、全電流からオン時間の終了時のゼロ電流までの下降を含む。患者の約50%にとって、上昇下降持続時間は20秒であり、残りの患者にとって、上昇下降持続時間は5秒であった。いくつかの実施形態では、オン時間は、30秒以上、または180秒に満たない、あるいは両方の持続時間を有するように選択される。オン時間の持続時間は、神経活動の少なくとも部分的遮断または下方調節を提供するように選択される。オフ時間は、神経活動の少なくとも部分的な回復を提供するように選択される。
上昇および下降の使用は、全電流の5,000Hz信号の急激な印加または終了に対する患者感覚の可能性を回避するための保守的手段である。
いくつかの実施形態では、ミニ負荷サイクルを適用することができる。一実施形態では、ミニ負荷サイクルは、全電流が達成されるまでミニオン時間からミニオン時間まで次第に増加する(または下降の場合は次第に減少する)電流で、5,000Hzのミニオン時間の180ミリ秒期間を含む。そのようなミニオン時間のそれぞれの間に、変化し得るが、その間にいかなる信号も印加されない持続時間中に、一般的には約20ミリ秒である、ミニオフ時間がある。したがって、各20秒の上昇および下降において、それぞれ200ミリ秒の持続時間を有し、それぞれ約180ミリ秒のオン時間および約20ミリ秒のオフ時間を含む、約100のミニ負荷サイクルがある。代表的な負荷サイクルが、図5に示されている。
オン時間は、神経活動の少なくとも部分的減少を提供するように選択される。実施形態では、神経調節器は、30秒から30分、30秒から20分、30秒から10分、30秒から5分、30秒から3分、30秒から2分、または30秒から1分、あるいはそれらの組み合わせのオン時間を送達するように構成される。オフ時間は、神経活動の少なくとも部分的な回復を可能にするように選択される。実施形態では、神経調節器は、30秒から30分、30秒から20分、30秒から10分、30秒から5分、30秒から3分、30秒から2分、または30秒から1分、あるいはそれらの組み合わせのオフ時間を送達するように構成される。
他の実施形態では、他のオン時間およびオフ時間が、患者の状態および治療への反応性に対して適宜に利用されてもよい。例えば、オン時間は、30分以上であってもよく、その後に、少なくとも30分のオフ時間が続き、または少なくとも30分のオン時間であり、その後に、少なくとも24時間以上のオフ時間が続く。具体的実施形態は、最大7日以上の介入治療オフ期間とともに、少なくとも30分の1つ以上の治療オン期間を含む。
実施形態では、電流および/または電圧は、患者にとっての治療の安全性および有効性に基づいて調整される。いくつかの実施形態では、信号振幅は、0.25mA、または患者応答に基づいて上方または下方に調整される、より大きいまたは小さい増分だけ異なる、その間の振幅を含む、0.5mAから約18mAに及ぶことができる。電圧は、0.25ボルトから最大20ボルト、あるいは、0.25ボルト、または患者応答に基づいて上方または下方に調整される、より大きいまたは小さい増分だけ異なる、その間の電圧に及ぶことができる。
治療時間は、全24時間期間、18〜24時間、16〜24時間、12〜24時間、および9〜24時間、6〜24時間、4〜24時間、または治療の必要性および/または患者の日常生活の活動に合致する他の間隔、あるいはそれらの組み合わせであり得る。治療時間は、患者が睡眠中に血圧の低下を体験するかどうかに応じて、変化させられてもよい(Pickering et al, N. Eng. J. Med. 354:22 (2002))。高血圧症を有する一部の患者は、目覚めている間に135/85mmHg以上、および眠っているときに120/75mmHg以上の血圧を有する。これらの患者について、治療は、患者の睡眠時間の一部の間に投与されないであろう。しかしながら、大抵の場合、治療は、心臓発作または脳卒中につながり得る、血圧の早朝の急上昇を最小限化するために、午前4時には早くも再開するであろう(Pickering et al、上記で引用)。他の場合において、眠っている間に血圧の低下を体験しない、これらの患者について、治療は、全24時間期間にわたって投与されてもよい。
実施形態では、下方調節信号が、心臓の迷走神経分布の下方の場所で迷走神経に印加される。他の実施形態では、下方調節信号が、心臓の迷走神経分布の下方の場所で迷走神経に印加され、下方調節信号が、心臓に神経を分布させる交感神経に印加される。
本明細書で説明される方法の実施形態では、信号が、ある部位における標的神経に印加され、該信号は、神経上の神経活動を上方調節するように選択され、神経活動は、該信号の中断時に少なくとも部分的に回復する。いくつかの実施形態では、心拍数および/または血圧を改善させるために、上方調節信号が、下方調節信号と組み合わされて印加されてもよい。
信号は、神経活動を上方調節し、信号の中断時に神経活動の回復を可能にするように選択される。心拍数および血圧を増加させるために、上方調節信号が、心臓の洞房結節の付近の右迷走神経に印加されてもよく、上方調節信号が、圧受容器に印加されてもよい。可逆的な間欠的信号を提供するように信号の特性を変化させるために、上記で説明されるような神経調節器が、信号の印加を調節するように採用される。信号の特性は、信号の周波数、信号の場所、および信号の投与サイクルを含む。
いくつかの実施形態では、標的神経に印加される電極は、上方調節信号を用いて通電させられる。信号は、限定された時間(例えば、5分)にわたって印加される。神経活動回復の速度は、対象によって異なる。しかしながら、20分が、基準に回復するために必要とされる時間の合理的な実施例である。回復後、上方信号の印加は、次いで、信号の停止後に回復することができる、神経活動を再度上方調節する。信号の新たな印加は、完全回復前に印加することができる。例えば、限定された期間(例えば、10分)後、上方調節信号を再開することができる。上方調節のための周波数は、約0〜200Hz、1〜150Hz、1〜100Hz、1〜75Hz、1〜50Hz、1〜25Hz、またはそれらの組み合わせの周波数を含む。
いくつかの実施形態では、心拍数および/または血圧を改善するために、上方調節信号が、下方調節信号と組み合わされて印加されてもよい。上方調節および下方調節信号は、同時に異なる神経に印加され、異なる時間に同一の神経に印加され、または異なる時間に異なる神経に印加されてもよい。例えば、下方調節信号が、血圧がより高くなる傾向がある日中に印加されてもよく、その後に、睡眠中の刺激信号が続く。
通常、患者は、目覚めている間のみ本デバイスを使用するであろう。治療送達の時間数は、臨床医によって本デバイスにプログラムすることができる(例えば、午前5時に自動的にオンになり、午後10時から午前1時までの範囲で自動的にオフになる)。場合によっては、治療の時間数は、日中等の血圧が変動する時間に対応するように修正されるであろう。例えば、治療の時間数は、心臓発作または脳卒中が起こる可能性が高い早朝に始まるように調整されてもよい。実施形態では、本デバイスは、患者が目覚めている間に12時間以上、治療を送達するように構成される。
治療時間は、全24時間期間、18〜24時間、16〜24時間、12〜24時間、9〜24時間、6〜24時間、4〜24時間、または患者反応性を提供する任意の間隔、あるいはそれらの組み合わせであり得る。治療時間は、患者が睡眠中に血圧の低下を体験するかどうかに応じて、変化させられてもよい。高血圧症を有する一部の患者は、目覚めている間に135/85mmHg以上、および眠っているときに120/75mmHg以上の血圧を有する。これらの患者について、治療は、患者の睡眠時間の一部の間に投与されないであろう。しかしながら、大抵の場合、治療は、心臓発作または脳卒中につながり得る、血圧の早朝の急上昇を回避ために、午前4時には早くも再開するであろう。他の場合において、眠っている間に血圧の低下を体験しない、これらの患者について、治療は、全24時間期間にわたって投与されてもよい。
神経調節器のRF動力型バージョンでは、本デバイスの使用は、患者制御を受ける。例えば、患者は、外部アンテナを装着しないことを選択してもよい。本デバイスは、受信アンテナが、患者の皮膚を通した高周波(RF)結合を通して外部アンテナに連結される時間に注目することによって、使用を追跡する。
場合によっては、外部コントローラ101と埋込神経調節器104との間の信号接触の損失は、主にコイル102、105の間の不整合により起こる。コイル不整合は、少なくとも部分的に、1日を通した体表面幾何学形状の変化(例えば、着席、起立、または横臥による変化)に起因すると考えられる。これらの変化は、コイル102、105の間の距離、コイル102、105の横方向整合、およびコイル102、105の平行整合を変化させ得る。不整合は、本デバイスによって検出することができ、コイルの整合は、信号が回復されていることを確実にするように患者または医師によって調整することができる。本デバイスは、不整合があった場合に患者または医師への通知を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、外部構成要素101は、種々の情報について神経調節器の構成要素104を調査することができる。いくつかの実施形態では、負荷サイクルにつき30秒から180秒の治療時間が、負荷サイクルにつき30秒未満、または負荷サイクルにつき180秒より長い治療時間よりも好ましい。
10分の負荷サイクル(すなわち、5分のオフ時間が続く、意図された5分の治療)中に、患者は、複数の治療開始を有することができる。例えば、所与の5分の意図されたオン時間以内に、患者が35秒のオン時間および1.5分の実際のオン時間を体験した場合(5分の意図されたオン時間の残りは、信号中断により治療なしの期間である)、患者は、たとえ1回だけしか意図されてなくても、2回の実際に治療開始を有することができる。治療開始の数は、患者によって体験されるオン時間の長さと反比例して変化する。
迷走神経活動等の平均神経活動を変化させる融通性は、患者を治療することにおいて多大な裁量権を担当医に与える。例えば、高血圧症を治療する際に、遮断信号は、短い「遮断なし」時間を伴って印加することができる。患者が不快感を体験する場合、患者の快適性を向上させるように、「遮断なし」期間の持続時間を増加させることができる。遮断および遮断なし持続時間は、患者の快適性を達成するように調整することができる。電流振幅および周波数を含む、他のパラメータを調整することができる。
患者の快適性は、遮断および遮断なしの持続時間にわたって適正なパラメータを判定するためのフィードバックとして十分であり得るが、より客観的な試験を開発することができる。例えば、遮断および遮断なしの持続時間は、所望のレベルの血圧制御を達成するように調整することができる。そのような試験は、患者ごとに測定および適用するか、または患者の統計的サンプリングを行い、患者の一般集団に適用することができる。
いくつかの実施形態では、センサが採用されてもよい。神経活動および負荷サイクルをどのようにして変調するかを判定する方法として、神経活動を監視するように、感知電極SEを追加することができる。感知電極は、遮断電極への追加の電極であるが、単一の電極が両方の機能を果たすことができると理解されるであろう。感知および遮断電極は、図1に示されるようなコントローラに接続することができる。そのようなコントローラは、感知電極から信号を受信するという追加機能を伴う、以前に説明されたコントローラ102と同一である。加えて、センサは、身体の外部のセンサであってもよく、血圧、心拍数、および血中酸素飽和度を測定し、治療装置に無線で伝達することが可能であり得る。
いくつかの実施形態では、センサは、感知電極、センサ、または他の目的とする生体分子あるいはホルモンを感知するセンサであり得る。センサはまた、心拍数、血圧、または心臓機能、あるいはそれらの任意の組み合わせを測定するために採用されてもよい。感知電極SEが、事前選択された血圧(例えば、130mmHg以上および/または80mmHg以上)または標的最大迷走神経活動あるいは緊張(例えば、図4に示されるような基準の50%)を表す信号を生じるとき、感知電極から信号を受信するという追加機能を伴うコントローラは、遮断信号で遮断電極BEを通電させる。コントローラ102を参照して説明されるように、感知電極から信号を受信するという追加機能を伴うコントローラは、遮断持続時間および遮断なし持続時間のパラメータ、ならびに遮断信号を開始するための標的に関して、遠隔でプログラムすることができる。
実施形態では、センサは、心拍数、血圧、酸素飽和度、および(例えば、涙の中の)血糖を測定し、この情報を神経調節器、外部コントローラ、および/または臨床医プログラマに伝達する、外部センサである。そのような情報は、電気信号治療および/または薬物療法を修正するために有用である。
ii.対象の血圧を変化させる作用物質
本開示は、対象における血圧および/または心拍数に影響を及ぼす作用物質を含む組成物を対象に投与するステップを含む、血圧および/または心拍数の障害と関連付けられる状態を治療するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、患者は、高血圧の治療のための1つ以上の医薬品に不応性であり得る。その場合において、迷走神経活動の変調は、他の作用物質の投与を伴わずに採用されてもよい。他の場合において、1つ以上の薬剤に不応性である患者については、1つ以上の作用物質の投与との迷走神経活動の変調の組み合わせが、有益であり得る。他の実施形態では、心臓の状態を治療するために使用される薬剤は、降圧効果と関連付けられてもよく、したがって、薬剤は、血圧を上昇させる電気治療信号とともに投与されてもよい。
血管制御障害に影響を及ぼす作用物質は、標的神経の神経活動を変化させる信号を印加するという治療を補完する能力に基づいて選択することができる。本明細書で説明されるように、迷走神経等の標的神経上の神経活動を変調する信号の印加を用いて、補完または相乗効果を提供し得る、作用物質が選択される。患者が、一方または両方の治療のみと比較して、本明細書で説明されるような血圧および/または心拍数の改善を有するかどうかを判定することによって、相乗または補完効果を判定することができる。
いくつかの実施形態では、異なる部位で、または異なる経路を通して作用する作用物質が、本明細書で説明される方法で使用するために選択されてもよい。治療を補完する作用物質は、対象の心拍数および/または血圧制御に影響を及ぼすための異なる作用機構を含むものである。
また、または加えて、作用物質の使用を防止する、または不十分な血管制御を提供する、推奨投与量での望ましくない副作用を有し得る作用物質が、投与されるように選択されてもよい。加えて、心臓の状態、肝臓疾患、または腎臓疾患を有する患者は、有害な副作用により、推奨投与量での作用物質のうちの1つ以上を用いた治療に耐えることができない場合がある。
望ましくない副作用を伴う薬剤の投与を、標的神経上の神経活動を変調することと組み合わせることにより、より低用量での薬剤の投与を可能にしてもよく、それによって、副作用を最小限化することにより、複数の薬剤の代わりに、単一の薬剤の投与を可能にしてもよく、または薬剤のより高用量の投与を可能にしてもよい。加えて、吸収が、本明細書で説明されるような神経下方調節による、胃内容排出の遅延によって減速されるときに、薬物動態を変化させた薬剤が選択されてもよい。他の実施形態では、推奨投与量は、より少ない有害な副作用を有する量まで低下させられてもよい。実施形態では、推奨投与量は、少なくとも25%低下させられることが可能であり得ると期待される。他の実施形態では、投与量は、推奨用量の少なくとも25%以上の任意の割合まで低下させることができる。いくつかの実施形態では、投与量は、推奨投与量の少なくとも25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%低下させられる。
一実施形態では、方法は、血圧および/または心拍数の障害と関連付けられる状態に対する治療を提供する。血圧および/または心拍数の障害と関連付けられる状態は、高血圧症、高血圧前症、鬱血性心不全、虚血性心臓疾患、冠動脈疾患、慢性腎疾患、および脳血管疾患を含む。方法は、高血圧症または鬱血性心不全を治療するために有用であり、患者が推奨投与量で不快な副作用を体験する可能性が高い、有効性のための該推奨投与量を有する薬剤を選択するステップと、神経における求心性神経活動および/または遠心性神経活動を下方調節するように選択されるブロックを用いて、1日に複数回、複数日にわたって、間欠的神経ブロックを患者の標的神経に印加するステップであって、神経活動は、該ブロックの中断時に回復する、ステップと、該推奨投与量未満の投与量で該薬剤を患者に投与するステップとを含む、併用療法で患者を治療するステップとを含む。いくつかの実施形態では、そのような患者のための有効投与量は、薬物治療に従わない該患者に寄与する、不快な副作用と関連付けられる。いくつかの実施形態では、患者は、心臓の状態、肝臓、または腎障害を有し、作用物質のうちの1つ以上を用いた治療に耐えられない場合がある、患者である。
方法は、心臓の状態を治療するために有用であり、患者が推奨投与量で低血圧症等の不快な副作用を体験する可能性が高い、有効性のための該推奨投与量を有する薬剤を選択するステップと、神経活動を上方調節するように選択される信号を用いて、1日に複数回、複数日にわたって、間欠的神経伝導信号を患者の標的神経に印加するステップであって、神経活動は、該信号の中断時に回復する、ステップと、該推奨投与量未満の投与量で該薬剤を患者に投与するステップとを含む、併用療法で患者を治療するステップとを含む。実施形態では、標的神経は、心臓の迷走神経分布の下方の場所における迷走神経である。
いくつかの経口および非経口薬剤が、高血圧症の治療に利用可能である。これらの薬剤のうちのいくつかはまた、鬱血性心不全の治療にも一般的に採用される。
ベータ遮断薬(ベータアドレナリン遮断薬)は、心臓への交感神経入力を低減させることによって功を奏する。したがって、心臓は、より少ない力で、1分につきより低頻度で鼓動する。後に、心臓がその作業を低減させ、血圧が低下する。ベータ遮断薬は、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、およびその他多くを含む。アルファ遮断薬(アルファアドレナリン遮断薬)は、血管を弛緩させ、血液がより容易に通過することを可能にするように、神経器官を標的にする。アルファ遮断薬の実施例は、ドキサゾシン、プラゾシン、およびテラゾシンである。アルファベータ遮断薬(アルファおよびベータアドレナリン遮断薬)は、基本的に、複合アルファ遮断薬およびベータ遮断薬と同一の効果を有する。それらは、血管を弛緩させるとともに、心臓の鼓動を減速する働きをするように、神経器官を標的にする。結果として、より少ない血液が、より広い血管を通して送出され、全体的な血圧を低下させる。アルファベータ遮断薬は、ラベタロールおよびカルベジロールを含む。
利尿薬は、身体に水分および塩分を排出させる。これは、血漿量の低減につながり、後に、全身血圧を低下させる。利尿薬は、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、およびスピロノラクトンを含む。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬は、通常は血管を狭くさせるホルモンである、身体のアンジオテンシンIIの産生を防止することによって功を奏する。その結果として、血管は、より広いままとなり、血圧を低下させる。アンジオテンシンIIはまた、通常、身体のナトリウムの保持に関与する、アルドステロンと呼ばれる別のホルモンの放出を促す。したがって、より広い血管を作成することに加えて、ACE阻害薬は、利尿薬の効果をある程度模倣する。結果として、血管は、より低い血圧を受け、心臓は、より少ない作業を行う。ACE阻害薬の実施例は、エナラプリル、カプトプリル、およびリシノプリルを含む。アンジオテンシンII拮抗薬は、主に、ACE阻害薬を服用することの副作用として咳を発現させる患者に使用される。この薬剤は、アンジオテンシンIIに拮抗し、したがって、その効果を阻害する。実施例は、ロサルタンおよびバルサルタンを含む。
カルシウムチャネル遮断薬は、カルシウムが心臓および血管の筋細胞に進入することを防ぐ。心臓および血管は弛緩し、血圧が下がることを可能にする。いくつかのカルシウムチャネル遮断薬は、ニフェジピン、ベラパミル、およびジルチアゼムである。
血管拡張剤は、血管壁内の筋肉を弛緩させることによって功を奏する。ヒドララジンおよびミノキシジルは、両方とも血管拡張剤の一般的形態である。
高血圧症または鬱血性心不全に使用される全ての薬剤は、副作用を有する。一般的な副作用は、倦怠感、咳、皮膚発疹、性的機能不全、鬱病、心臓機能不全、または電解質異常を含む。加えて、薬剤のうちのいくつかは、心臓の問題がある人々に投与される他の薬剤と適合しない場合がある。継続患者コンプライアンスは、困難であり得る。一部の臨床医は、精神的プロセスへの降圧薬の長期的効果に関心を持っている。
対象に投与するための投与量は、当業者によって容易に判定することができる。投与量についての指針は、例えば、類似分類の薬剤の中の他の薬剤を参照することにより見出すことができる。例えば、投与量は、承認された薬剤または臨床試験中の薬剤のうちのいずれかについて確立されており、用量の範囲は、薬剤の種類に依存するであろう。有害副作用と関連付けられる投与量は、公知であるか、また、モード研究に基づいて容易に判定することもできる。副作用を最小限化しながら、血圧制御の向上を達成するための有効用量の判定は、動物または人間による研究によって判定することができる。
作用物質は、良好な医療実践に一致する様式で、製剤化、投薬、および投与されるであろう。この関連で考慮するための要因は、治療されている特定の疾患、個別患者の臨床状態、疾患の原因、作用物質の送達の部位、投与の方法、投与のスケジューリング、および医師に公知である他の要因を含む。作用物質は、その必要はないが、問題になっている疾患を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の作用物質を用いて随意的に製剤化される。そのような他の作用物質の有効量は、製剤中に存在する、対象の血糖管理を向上させる作用物質の量、疾患または治療の種類、および上記で議論される他の要因に依存する。これらは、概して、同一の投与量で、上文で使用されるような投与経路、またはこれまで採用された投与量の約1〜99%を用いて、使用される。
作用物質を含む治療製剤は、水溶液、凍結乾燥、または他の乾燥製剤の形態で、所望の程度の純度を有する作用物質を、随意的な生理学的に容認可能な担体、賦形剤、または安定剤と混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、貯蔵のために調製される。容認可能な担体、賦形剤、または安定剤は、採用される投与量および濃度で受容者にとって非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、および他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤、防腐剤(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール、メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、およびm−クレゾール等)、低分子量(約10未満の残留物)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、蔗糖、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体)、および/またはTWEENTM、PLURONICSTM、またはポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含む。
本明細書の製剤はまた、治療されている特定の適応症のために必要に応じて、1つより多くの活性化合物を含有してもよい。そのような実施形態では、化合物は、相互に悪影響を及ぼさない、相補的活性を有する。そのような分子は、意図される目的で有効である量で組み合わされて、好適に存在する。
治療薬は、非経口、皮下、経口、皮内、腹腔内、またはエアロゾルによる手段を含む、任意の好適な手段によって投与される。非経口注入は、筋内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。ポンプ、ならびに薬剤溶出デバイスおよびカプセルが利用されてもよい。
実施例
材料および方法/実験設計
非盲検前向き基準対照4施設臨床研究が、前および後迷走神経幹の間欠的電気遮断を引き起こす、本明細書で説明されるようなデバイスの実行可能性および安全性および有効性を評価するために行われた。参加施設は、Flinders Medical Centre(Adelaide, Australia)、Circle of Care(Sydney, Australia)、University Hospital(Basel, Switzerland)、およびSt. Olavs University Hospital(Trondheim, Norway)を含んだ。
患者
25〜60歳の年齢を含む、男性および女性の肥満対象(BMI 31.5〜55kg/m2)が、4つの施設で募集された。研究は、デバイス安全性および有効性を6ヶ月にわたって査定した。
全ての研究訪問および手順を完了する能力が、適格性要件であった。関連除外基準は、経口血糖降下薬を用いた制御が不良であった、または胃不全まひを含む関連自律神経障害を伴う、現在の1型糖尿病(DM)または2型DM、過去3ヶ月以内の減量薬物療法または禁煙、あるいは過去12ヶ月の体重の10%以上の低減を伴う治療、以前の胃切除、または胆嚢摘出術および子宮摘出術を除外した他の主要な腹部手術、手術時に胃食道接合部における外科的修復または広範な解離を必要とする、臨床的に有意な裂孔ヘルニアまたは術中に判定された裂孔ヘルニア、および永久的に埋め込まれた電動医療デバイス、または埋込胃腸デバイスあるいは補綴具の存在を含んだ。
治療計画が過去6ヶ月にわたって安定していた場合、甲状腺障害、てんかん、または三環系抗鬱薬を用いた鬱病に対する併用療法が、参加のために容認可能であった。
デバイスの埋込
本デバイスは、2つの電極(各迷走神経幹に1つずつ)、皮下に配置された神経調節器(神経調節器)、および本デバイスをプログラムする外部コントローラを含んだ。
全身麻酔下で、迷走神経遮断装置(図4)の2本のリード線(電極)が、腹腔鏡下で埋め込まれた。研究に参加した経験豊富な外科医によるデバイス埋込は、典型的には、60〜90分かかり、通常は5つのポートが使用された。電極自体は、10mm2の活性表面積を有し、神経を部分的に取り囲むように「c」形状であった。
腹腔内解離および電極配置は、以下の順序で達成された。胃肝靱帯が、胃食道接合部(EGJ)を露出するように解離され、胃が、EGJへのわずかな張力を保つために、下向きおよび横方向に後退させられた。後迷走神経幹の場所を特定するために、横隔膜右脚が識別され、その食道付着部から分離された。前迷走神経幹が、横隔膜裂孔を巡る際にその場所を特定することによって識別された。両方の迷走神経幹が識別された後、直角把持器が、後迷走神経幹の下で5mm窓を解離するために使用された。次いで、電極が、迷走神経幹の下に作成された窓を通して直角把持器を位置付けることによって配置された。次いで、電極の遠位縫合タブが把持され、電極が定位置に引かれ、電極カップ内に神経を着座させた。同一のステップが、前迷走神経幹の周囲に第2の電極を配置するために繰り返された。最終的に、各電極の遠位縫合タブを通して配置され、食道の外層に添着された単一の縫合糸を使用して、各電極が定位置で固着された。
次いで、リード線が神経調節器に接続され、それが剣状突起の直下の正中線内の皮下ポケットに埋め込まれた。次いで、適正な電極配置が、埋込時に2つの異なる方法で判定された。第1に、正しい解剖学的電極・神経整合が、視覚的に検証された。第2に、術中にインピーダンス測定値を使用して、その後に頻繁な間隔で、有効電気接点が検証された。手術からの回復後、再充電可能電源を含むプログラム可能な外部コントローラが、外部伝送コイルを介して、埋込神経調節器と経皮的に通信するために使用された。
電気信号印加
外部コントローラが、周波数、振幅、および負荷サイクルについてプログラムされた。迷走神経幹上の神経インパルスを遮断するように選択される治療周波数は、膵臓外分泌の迷走神経阻害の動物実験に基づいて、5000Hzであった。利用された振幅は、1〜6mAに及んだが、ほとんど全ての場合において、振幅は6mAであった。本デバイスは、午前中に起動され、睡眠前にオフにされた。プロトコルは、1日12時間にわたって遮断を伴わずに、5分で交互になる5分の遮断のアルゴリズムを特定した。術後に頻繁な間隔でインピーダンス測定値を使用して、有効電気接点が検証された。
実験治療および追跡研究
迷走神経遮断装置の効果に焦点を合わせるために、研究対象は、6ヶ月の試験期間中に、同時食事または行動カウンセリング、あるいは肥満に対する薬物療法のいずれか一方を受けることを妨げられた。全ての研究参加者は、本デバイスを埋め込まれた。埋込後2週間で、間欠的な高周波数電気アルゴリズムが全ての対象において開始された。対象は、4週間にわたって毎週、次いで、12週間まで2週間毎に追跡され、次いで、体重、身体検査、および有害事象(AE)問診のために、毎月診察した。加えて、12リード線心電図(ECG)および臨床化学が、中央研究所で分析された。
過剰体重減少率の計算
理想体重が、各対象の身長を測定し、次いで、その対象に対して25.0のBMIをもたらすであろう体重を判定することによって計算され、すなわち、理想体重(kg)=25×身長2(m)である。EWLが、体重減少を過剰体重[(全体重)−(理想体重)]で除算し、100で乗算することによって計算された。したがって、EWL%=(体重減少(kg)/過剰体重(kg))×100である。
データおよび統計分析
基準特性および人口統計が、記述統計学を使用して要約された。連続変数が、平均値および対応する標準誤差(SEM)によって要約された。(二値を含む)カテゴリ変数が、周波数分布によって要約された。
体重減少への効果を査定するための主要評価項目は、特定時点(4および12週間ならびに6ヶ月)での平均過剰体重減少率(EWL%)であり、5%有意レベルでの両側1サンプルt−検定においてゼロと比較された。報告されたP値は、複数の比較のために調整されなかった。しかしながら、統計的有意性は、ホッホバーグ多重比較手順を適用した後に変更されなかった。
心拍数および血圧の変化が、平均およびSEMを使用して経時的に要約された。ECG記録が収集され、独立中央研究所(Mayo Medical Laboratories, Rochester, MN, USA)によって分析された。評価項目は、心拍数(HR)、PR間隔、QRS持続時間、およびQTcB間隔(QT間隔バゼット補正)の変化を含んだ。ECGは、全ての公知の場合において、該当する場合、持続効果を検出するように、迷走神経遮断とともに記録された。
有害事象(AE)が、一覧にされて報告された。いかなる演繹的仮説も特定されなかったため、有害事象の発生率に有害事象の正式な統計分析は行われなかった。
結果
外科的手技の参加者、動態、および成果
39人の対象(平均体格指数41.2±4.1kg/m
2)が、本デバイスを受容した。人口統計が、表Iに示されている。
本デバイスの埋込には、重大な術中合併症はなかった。具体的には、臓器穿孔、有意な出血、術後腹腔内感染症、または電極移動、あるいは組織腐食に遭遇していない。本デバイスは、6ヶ月の研究後に定位置に残された。これらの参加者は、そのようなデバイスについて安全性コホートの一部として追跡され続け、本デバイスの有効性を最大限化するように電気パラメータを修正することができるかどうかを判定するために、さらなる研究が行われている。
体重減少
デバイス埋込後の4および12週間ならびに6ヶ月での平均過剰体重減少は、それぞれ、9.1%、15%、および20.2%であった(全ての変化は、基準と比較して有意であった、p<0.0001)。治療の有益な全体的効果が、4つ全ての施設で観察された。図6は、EWL率の変化の分布を示す。胴囲の減少も観察された。胴囲は、123.4cmの平均基準から、3ヶ月で約6.4+/−1.4cm、6ヶ月で7.8cm+/−1.7cm減少させられた。
有害事象
死亡、医療デバイスまたは電気信号療法のいずれか一方に関係する重篤な有害事象(SAE)、および研究中の予期しない有害なデバイス効果はなかった。本デバイスまたは迷走神経遮断療法に無関係であったSAEを有した、3人の対象が、短期入院を必要とした。1件の術後下気道感染(1日の入院)、1件の皮下インプラント部位血清種(3日の入院)、および1件の試験期間への2週間のクロストリジウム・ディフィシレ下痢(5日の入院)であった。これら3つのSAEは、完全に可逆性であり、患者は研究を続けた。
心拍数および血圧への効果
患者はまた、心拍数および血圧の変化についても評価された。
6ヶ月の治療を完了した患者の全てが血圧の変化について評価されたとき、収縮期および拡張期血圧の約10%減少が、6ヶ月の期間にわたって見られた(データは示されていない)。患者の一部は、治療の開始時に正常な血圧を有し、これらの患者は、血圧へのいかなる有意な効果も体験しなかった。これらの患者は、115.4mmHgの平均基準収縮期圧、および68.0mmHgの平均基準拡張期圧を有した。血圧の有意な変化は、治療時間にわたって観察されなかった。図7Aを参照されたい。
140mmHg以上の高収縮期血圧および/または90mmHg以上の拡張期血圧を有した、または高血圧症歴を有した患者は、電気信号治療前に141mmHgの平均基準収縮期圧および88mmHgの拡張期圧を有した。6ヶ月の治療後、収縮期圧は、17mmHg減少させられ(約12%減少)、拡張期圧は、平均基準開始圧力から7.6mmHg減少させられた(約8.6%)。図7Bを参照されたい。
140mmHg以上の高収縮期血圧および/または90mmHg以上の拡張期血圧を有し、糖尿病ではなかった患者、130mmHg以上の収縮期圧および/または80mmHg以上の拡張期圧を伴い、糖尿病であった患者、高血圧症歴を有した患者、および120〜139mmHgの収縮期圧および/または80〜90mmHgの拡張期圧を伴い、高血圧前症を有した患者は、電気信号治療前に、132.6mmHgの平均基準収縮期圧および84.6mmHgの拡張期圧を有した。6ヶ月の治療後、収縮期圧は、10.2mmHg減少させられ(約8%減少)、拡張期圧は、平均基準開始圧力から4.8mmHg減少させられた(約5.7%)。図7Cを参照されたい。また、糖尿病および高血圧症の両方を有した患者は、治療の開始時に平均基準からの収縮期および拡張期血圧の有意な減少を呈したことにも留意されたい(データは示されていない)。
高血圧症の対象における平均動脈圧(MAP)もまた、1、3、および6ヶ月で低減を示した。基準平均動脈圧は、101+/−2mmHgであった。1ヶ月で、MAPは、9+/−3低減させられた(p=0.002)。3ヶ月で、低減は、7+/−2mmHg(p=0.01)であった。6ヶ月での低減は、6+/−2(p=0.02)であった。
高血圧症の対象の別の研究では、治療の1週間後、収縮期圧、拡張期圧、および平均動脈圧の有意な減少が観察された(データは示されていない)。
高血圧がない患者と6ヶ月診察時に高血圧があった患者との間の収縮期および拡張期血圧の偏移を示す結果が、図8に示されている。高収縮期血圧を有する患者の約70%に、130mmHg以下までの収縮期血圧の低下があった。高拡張期血圧を伴う患者の約40%が、80mmHg以下までの拡張期血圧の低下を示した。6人の対象が、高血圧症の同時診断を有し、降圧薬を受容していた。これら6人のうちの2人が、降圧薬の低減を有し、第3の対象が、全ての降圧薬を中断し、これら全ての場合において、血圧は正常範囲内にとどまった。
治療時間の12週間にわたる心拍数の評価に対する結果が、表2に示されている。
これまで、35人の対象のうちの15人の12週ECGデータが、分析に利用可能であった。結果は、表3−6に示されている。
基準と比較して、HRは、観察された体重減少と一致して、平均6.9bpm減少した(p<0.001)。平均PR間隔およびQRS持続時間は、不変であった(それぞれ、+2.5ミリ秒、p=0.53、および+0.13ミリ秒、p=0.94)。平均QTcBは、HRの変化と一致して、−10.9ミリ秒変化し(p=0.05)、臨床的有意と見なされなかった。
議論
間欠的迷走神経遮断(電気信号療法)を送達する埋込型装置のこの臨床試験において、ここではEWL%によって測定されるような安全性および有効性について報告する。%EWLは、患者が6ヶ月の治療後に20%EWLを示す。加えて、行われたサブ研究は、体重減少が高血圧を伴う患者における血圧の低下と関連付けられることを示している。
この研究で観察された体重低減は、明白な停滞状態を伴わずに、6ヶ月の追跡研究まで進行性であった。任意の介入を用いて体重低減を増強し得る、食事または行動修正のさらなる有益性を伴わずに、この体重への効果が達成されたことに注目することが重要である。プラセボ効果を完全には除外できないが、非盲検試験設計を考慮して、カロリー摂取、食事での飽食までの時間、および食間の空腹の低減が、治療の開始後の早期に達成され、6ヶ月の研究の全体を通して維持され、有意な持続体重減少と関連付けられたため、これは可能性が低いと期待する。
本明細書で説明されるように適用される新規のデバイスおよび電気信号の安全性は、唯一の顕著な合併症が、外科的手技と関係する3つの感染症またはクロストリジウム・ディフィシレ下痢であり、その全ては、独立データ安全性監視委員会によってデバイス自体に無関係であると見なされたという事実によって支持される。重大な術中合併症はなかった。具体的には、臓器穿孔または有意な出血に遭遇しなかった。さらに、術後腹腔内感染症、電極移動、または組織腐食を観察しなかった。
本研究は、電気信号療法と関連付けられる体重減少のための機構についていくつかの洞察を提供する。迷走神経は、臓器機能の複数の側面で極めて重要な役割を果たす。高血圧を有する患者に対する血圧および心拍数の減少等の心臓血管パラメータの変化が、この治療の有効性および安全性をさらに支持している。高血圧症がない、または高血圧前症がない患者は、治療期間にわたって血圧のいかなる有意な変化も有さなかった。本サンプルサイズは小さいが、迷走神経が胸部の高さでの心臓血管器官上の副交感神経緊張の顕著な調節因子であるため、血圧および心拍数への効果は注目することが重要である。間欠的迷走神経遮断は、横隔膜下の高さで印加され、ECGパラメータによって証明されるような他の心臓機能に悪影響を及ぼすことなく、または他の副作用を伴わずに、血圧を低減させるために有効である。場合によっては、治療は、血圧を正常化し、患者が薬物治療を中断することを可能にするために有効であった。他の場合において、治療は、患者が服用していた薬剤の低減を提供した。
この臨床試験からの所見に基づいて、新規のプログラム可能な医療デバイスを使用した、間欠的な腹腔内迷走神経遮断は、有意な過剰体重減少および望ましい安全性プロファイルの両方と関連付けられると結論付けることができる。さらに、研究データは、高血圧症、鬱血性心不全、および/または高血圧症を構成要素として有する他の状態の治療のための間欠的な腹腔内迷走神経遮断の治療根拠を支持する。
材料および方法
研究設計
この研究は、体重減少を促進し、2型糖尿病における血糖管理および血圧を改善する際に、腹腔内迷走神経幹に印加される高周波数電気アルゴリズムの安全性および有効性を評価するための、前向き非盲検多施設研究であった。対象の埋込前基準測定値が、対照としての機能を果たした。
この研究は、Instituto National de la Nutricion(INNSZ)(Mexico City, Mexico)、Trondheim University Hospital(Trondheim, Norway)、University Hospital(Basel, Switzerland)、Flinders Medical Centre( Adelaide, Australia)、およびInstitute of Weight Control(Sydney, Australia)で行われた。研究は、“clinicaltrials.gov”に登録された(NCT00555958)。
研究対象
デバイス安全性および有効性が、2型糖尿病がある肥満の女性および男性対象(体格指数(BMI)30〜40kg/m2を含み、25〜60歳の年齢を含む)において、12ヶ月の研究中に査定された。書面によるインフォームドコンセントが、全ての対象から提供された。研究は、地元の医療倫理委員会によって承認された。一般試験対象患者基準は、食事、行動修正、および/または薬物療法を伴った医学的体重管理への持続的反応の以前の失敗を含んだ。妊娠可能な女性は、埋込の14日以内に、避妊および妊娠していないことの証明を必要とした。関連除外基準は、1型糖尿病、6ヶ月以内の禁煙、および過去3ヶ月以内の減量薬物療法、過去12ヶ月の有意な体重減少(>10%体重減少)、裂孔ヘルニア、埋込電気医療デバイス、または胆嚢摘出術および子宮摘出術を除外した他の主要な腹部手術を含んだ。試験対象患者基準は、12年以上の糖尿病の持続時間がある2型糖尿病、基準HbA1cレベル≦7%〜≧10%、および腎症、網膜症、神経障害、または冠動脈疾患等の有意な2型糖尿病合併症の欠如を含んだ。糖尿病関連除外基準は、インスリン依存、およびGLP−1受容体作用薬の使用を含んだ。短期間のインスリン使用が、必要であれば術前期間中に許可された。
研究デバイスおよび埋込方法
対象は、皮下に埋め込まれた再充電可能神経調節器に接続された各腹腔内迷走神経幹の上に1つずつ、以前に説明されたように腹腔鏡下で配置された1、2本のリード線から成る、完全埋込型Maestro装置(Maestro RC2装置)を受容した。可動充電器が、最も一般的には毎日30分間、デバイスバッテリを再充電するために使用された。
治療および追跡研究
デバイスが、埋込後約2週間で起動された。5000Hzの周波数および3〜8mAの振幅(モード=6)での二相パルスが、毎日最大15時間にわたって、5分間遮断され、次いで、5分間遮断されない負荷サイクルを伴って、迷走神経インパルスを遮断するように印加された。目的は、治療への患者の反応および日常生活様式に応じて、患者が、最小12時間から最大15時間の治療を毎日受容することであった。
全ての対象が、その間の基本体重減少および身体活動情報が送達された、15回の個別体重管理カウンセリングセッションを受容した。最初のセッションは45分であり、2〜4回のセッションは30分であり、残りのセッションは15分の長さである。標準体重管理材料のみが使用された。この試験では、支援グループ、行動療法士、または運動専門家は採用されなかった。体重減少、カロリー目標、健康な摂食方策、運動方策、および記録管理に関する一般情報について議論する。
体重が、基準時に、4週間を通して毎週、12週間まで隔週、および12ヶ月まで毎月、測定された。HbA1cおよび空腹時血漿グルコース(FPG)が、基準時、1週間、4週間、12週間、ならびに6および12ヶ月で測定された(ICON Laboratories, Farmingdale, NY)。基準時、1週間、4週間、12週間、ならびに6および12ヶ月で、適正なサイズのカフ(すなわち、27〜34cmの腕の周囲には標準成人サイズ(16×30cm)、または35〜44cmの腕の周囲には大型成人サイズ(16×36cm))を使用して、測定間の5分間隔にて、対象が着席した状態で、血圧が3通りに測定された。高血圧症は、2型糖尿病に対するJNC−7基準に従って、収縮期血圧≧130mmHgおよび/または拡張期血圧>80mmHgとして定義された。14 胴囲が、腸骨稜において測定された(NHANES IIIプロトコル)。
有害事象(AE)問診、臨床研究室査定、および12リード線電子図所見(Mayo Medical Laboratories, Rochester, MN and Quintiles Limited, Berkshire, England)を各診察時に完了した。薬剤の変更および用量の調整が、各診察時に記録された。外科医も診療所からの提携医療専門家も、任意の薬剤を低減または中止する治療決定に関与しなかった。
EWL率の計算
理想体重が、各対象の身長を測定し、次いで、その対象に対して25.0のBMIでの体重を計算することによって判定された(すなわち、理想体重(kg)=25×身長(m)2)。次に、kg単位の過剰体重(基準時の全体重−理想体重)が判定され、EWL率が計算された(体重減少/過剰体重×100)。
統計分析
基準特性および人口統計が、記述統計学を使用して要約された。標準誤差(SEM)を伴う平均値が、連続変数を要約した一方で、周波数分布は、(二値を含む)カテゴリ変数として要約された。1、4、および12週間、ならびに6および12ヶ月での平均過剰体重減少(EWL%)、ならびにHbA1c、FPG、および血圧(平均動脈圧、収縮期血圧、および拡張期血圧)の変化が、両側1サンプルt−検定を使用して査定された。12週間および12ヶ月での胴囲の変化が、両側1サンプルt−検定を使用して査定された。AEの発生率が分析された。
結果
参加者および人口統計
合計28人の適格対象が登録された(女性17人および男性11人、平均年齢50.9±8.6歳、平均BMI 37.0±3.3kg/m2)。26人の対象が12ヶ月の追跡調査を完了し、その人口統計は、男性11人および女性17人、50.9±8.6歳の平均年齢、および37.3±3.3kg/mのBMIであった。対象のうちの2人が12ヶ月目の診察に出席しなかったが、脱落しなかった。いかなる対象も試験を中断せず、全ての対象が安全性および有効性を査定するように追跡され続けた。
安全性
全ての手技が腹腔鏡下で成功した。合併症がなく、全ての患者が、通常の病院の方針に一致するように、同日または翌日のいずれか一方に退院した。死亡または手術による合併症はなかった。加えて、予期しない有害デバイス効果はなかった。1つの重篤な有害事象(SAE)が、この試験で発生した。SAEは、肋骨を直接覆う神経調節器の配置の結果として、埋込部位の疼痛であった。左腰部内の肋骨縁より下方に神経調節器を移動させることによって、不快感が排除された。全ての測定された血液検査および電子図は、研究の全体を通して正常であった。
体重減少
デバイス起動の直後に、EWL率が注目された(データは示されていない)。12ヶ月にわたる1日あたりの治療送達の平均時間は、6.2±0.1mAの平均電流振幅を伴って14.1±0.1時間であった。24.5%の過剰体重減少が、治療の6および12ヶ月で観察された(データは示されていない)。
血糖管理の変化
HbA1cが、7.8±0.2%(平均±SEM)の基準から低減させられた。FPG低減は、151.4±34.2mg/dLの平均基準からであった。HbA1cの1%の減少が、6および12ヶ月の期間で患者に見られた。空腹時血漿グルコースが約28mg/dL減少させられた(データは示されていない)。
開始時に、12人の対象が1つの糖尿病の薬を服用し、6人の対象が2つの糖尿病の薬を服用した。12ヶ月の診察までに、2人の対象が糖尿病の薬を中断し、6人の対象が薬剤の用量を減少させた一方で、12人の対象に変化がなかった(84%の全体的に維持または減少した薬剤)。4人の対象が糖尿病の薬を増加させた。
血圧の変化
高血圧症(SBP≧130および/またはDBP>80mmHg)が、肥満の糖尿病対象のうちの15人で実証された。図9は、全ての時点で100.1±2.4mmHgの基準から全ての症例での非高血圧レベルまでの高収縮期および/または拡張期血圧を伴う対象における有意に低減した平均動脈圧(MAP)を示す。有意な低減はまた、18ヶ月の時点で高SPBを伴う対象でも観察された。図11は、139.5±3.5mmHgの基準からのSPB低減を示す(n=8)。有意な低減が、87.5±2.2mmHgの基準から全ての時点で高DBPを伴う対象で観察された(n=12)。図10参照。
5人の対象が、高血圧症のための1つの薬剤を服用し、1人の対象が、基準時に2つの薬剤を服用した。1人の対象が高血圧症の薬を低減させ、4人の対象が不変であり、1人の対象が試験中に薬剤を増加させた。重要なことには、治療は、正常な術前MAPを伴う対象において血圧を有意に変化させなかった(データは示されていない)。
議論
肥満の2型糖尿病患者におけるVBLOC治療のこの非盲検前向き試験は、VBLOC治療が、臨床的に有意な体重減少を達成し、T2DMおよび高血圧症の両方を改善するために安全かつ効果的であることを実証した。加えて、有害な事象がなく、治療は患者のほぼ全員によってよく耐えられた。
米国および世界中の肥満およびT2DMの発生率および有病率の増加の悪影響が、国の予算および公衆衛生の両方に影響を及ぼすにつれて、よく理解されてきている。現在、米国人の3分の2以上が太り過ぎであり、4分の1以上が肥満である。加えて、米国の成人の約8%および65歳以上の成人の19%が糖尿病である。さらに厳しいことは、2型糖尿病および肥満の共存が、高血圧症および心臓血管疾患を発現させる危険性を増加させ、それによって、罹患率および死亡率を増加させるという事実である。また、これらの状態の有病率が世界中で増加し続けるであろうと考える良好な理由もある。肥満およびT2DMに対する医療を提供する費用は、維持不可能であると予測される。
現在の肥満外科的手技が示されているが、種々の程度に、これらの破滅的な慢性疾患を改善する(および寛解させる)ために高度に成功するためには、少なすぎる候補者が、これらの手術手技を受けている。有効な治療とそれの潜在的候補者との間のこの断絶は、多因子性である。それは、保険アクセスの制限、肥満に対する偏見、ならびにこれらの手技の術前危険性および長期的結果の恐れ等の要因を含む。手短に言えば、ほとんどの肥満患者にとって、従来の肥満手術は実行可能なオプションではないことが明確である。この現象は、より安全で、体重管理およびT2DMの両方により効果的であり、より少ない長期的健康および生活様式の結果を提供する、新規の介入の有意な必要性を生成してきた。
1つのそのような新しい技術は、腹腔内神経幹に送達されるパターン化電気インパルスを用いた迷走神経活動遮断である。エネルギー調節、食欲、およびグルコース調節における迷走神経の理解の増大に基づいて、VBLOCは、ますますそれ自体が安全かつ効果的であることを示している。この試験では、治療は、T2DMおよび高血圧症がある肥満患者(平均BMI 37.0±3.3kg/m2)のコホートで研究された。24.5%EWLの臨床的に有意な体重減少が12ヶ月までに発生した。血糖管理の早期改善が観察された。HbA1cレベルは、4週間までに7.8%の基準から7.1%まで低減させられ、12週間までに6.9%に低下した。この低減は、12ヶ月で維持された。25人の対象のうちの21人(84%)は、血糖値管理の改善を達成しながら、最初の12ヶ月間に糖尿病の薬を維持し、減少させ、または中断することが可能であることが分かった。血圧の改善もまた、高血圧症の対象で観察され、正常血圧対象において有害な変化はなかった。6人の対象のうちの5人(83%)が、血圧管理の改善を達成しながら、高血圧の薬を維持または減少させた。
既存の投薬計画へのVBLOC治療の追加は、対象の80%+が薬剤を低減または維持することを可能にしながら、T2DMコホートにおいてはグルコース調節、高血圧症コホートにおいては血圧管理の有意な改善をもたらした。全ての薬剤決定は、研究者ではなく患者の主治医によって行われ、例えば、一部の糖尿病患者は、血糖の改善にもかかわらず、心臓血管保護効果のためにメトホルミンの投与を続けた。
この研究は、12ヶ月の無作為化後追跡期間を伴う、多施設前向き無作為化二重盲検の対照並行群間試験であった。両群内の全ての対象が、埋込時にMaestro装置(登録商標)(EnteroMedics Inc, St. Paul, MN)の埋込型構成要素の全てを受容した。糖尿病ではない肥満対象が、治療の開始時に、2:1の配分で治療群および対照群に無作為化された。限定数の2型糖尿病患者が、1:1の配分で無作為化された。盲検の1年追跡期間の終了時に、全ての対象が非盲検VBLOC治療を受容し、追加の4年にわたって追跡され続けている。
研究施設
15の学術および/または民間営業臨床現場が、EMPOWER研究に参加した(貢献施設のリストを参照)。全ての外科医は、VBLOC実行可能性研究に関与したか、または配置の技法の経験が豊富な腹腔鏡外科医による監督下で、Maestro装置(登録商標)の配置について教室および動物研究室内で訓練を受けたかのいずれかであった。Maestro装置の埋込に経験が豊富な外科医はまた、現場での試験監督も行った。FDAおよび各施設でのそれぞれの施設内審査委員会が、施設によって従われたプロトコルを承認した。
研究対象集団
臨床現場で体重減少手術を求める対象が、研究対象を構成した。試験対象患者の主要な基準は、肥満手術に対する1992 NIHガイドラインと一致し、血圧≧140/90mmHgによって定義される高血圧症または(血圧<140/90mmHgを伴う)薬理学的に治療された高血圧症、総コレステロール≧200mg/dLまたはLDL≧130mg/dLによって定義される脂質異常症または(総コレステロール<200またはLDL<130mg/dLを伴う)薬理学的に治療された脂質異常症、実証された睡眠時無呼吸、2型糖尿病(HbA1c≧6.5〜9%、≦10年の発症、過去3ヶ月の安定した治療、過去6ヶ月にわたってインスリン、GLP−1受容体作用薬、またはジペプチジルペプチダーゼ(DPP−4)阻害薬を現在使用していないこと、および網膜症、神経障害、心臓血管、または血管疾患歴がない正常範囲内のクレアチニン)、または肥満関連心筋症(心エコー検査で<40%駆出率として定義される)という、肥満関連併発状態のうちの1つ以上があり、体格指数(BMI)40〜45kg/m2または35〜39.9kg/m2を伴う、18〜65歳を含む男性または女性の肥満対象を含んだ。書面によるインフォームドコンセントが、研究に参加するために得られた。
全ての対象が、食事、行動介入、および/または薬物療法によって、満足できる、または持続的な体重減少を達成していなかった。妊娠の可能性がある女性は、研究参入時および埋込手技の14日以内の両方で、陰性尿妊娠検査を有し、その後、全研究期間にわたって医師が承認した避妊薬の投与計画に従うという約束が続いた。全ての研究訪問および手順を完了する能力が、適格性要件であった。関連除外基準は、経口血糖降下薬を用いた制御が不良であった、あるいは関連自律神経障害および/または胃不全まひを伴う、1型糖尿病(DM)または2型DM、薬理学的体重減少療法を用いた治療、過去3ヶ月以内の禁煙、過去12ヶ月の体重の10%以上の減少、以前の胃切除、または胆嚢摘出術および子宮摘出術を除外した他の主要な腹部手術、潜在的な電極埋込のための手術時に胃食道接合部における外科的修復または広範な解離を必要とする、臨床的に重要な裂孔ヘルニアまたは術中に判定された裂孔ヘルニア、および永久的に埋め込まれた電動医療デバイス、または埋込胃腸デバイスあるいは補綴具の存在を含んだ。治療計画が過去6ヶ月にわたって安定していた場合、甲状腺障害、てんかん、または三環系抗鬱薬を用いた鬱病に対する併用療法が、参加のために容認可能であった。
電極配置の外科的技法
本デバイスは、実施例1で以前に説明されたように埋め込まれた。
デバイス起動、無作為化割当、および電気アルゴリズム
対象は、Maestro装置(登録商標)の埋込の7〜21日後、無作為化およびデバイス起動のために診察に出席し、盲検的に治療および対照に無作為化された。非糖尿病患者に対する無作為化は、調査施設によって階層化された、無作為化されて順序変更されたブロック設計(3または6のブロックサイズ)で行われた。対象者も研究追跡調査チームも出資者も、治療割当を知らなかった。
外部コントローラは、周波数、振幅、および負荷サイクルについてプログラムされた。5000Hzの周波数および3〜8mAの振幅(モード=6mA)での二相パルスが、治療群のみで迷走神経インパルスを完全に遮断するように印加され、この遮断は、5000Hzの5分の電気迷走神経遮断、次いで、5分の電気信号なし(遮断されない)という単調な負荷サイクルを伴って達成された。5分のオフ(インパルスが送達されない)が続く、5分のオンというこの負荷サイクルは、外部コントローラが装着されている間の持続時間にわたって継続した。
対照群内の対象はまた、オンサイクルの時間0および時間3分の両方において26ミリ秒の持続時間の1000Hzおよび3mA、ならびに5分のオンサイクルの持続時間に全体を通して40Hzで最大1mAの刺激にて、13のインパルスの2つのバーストから成る、電気インパルスをオンサイクル中に受容した。この制御アルゴリズムは、本デバイスの良好な作業順および安全性を確保するように、かつ研究の盲検を促進するように、5分のオン期間全体の間に行われた。対照群中のMaestro装置(登録商標)は、研究の本体が完了した1年で本デバイスを完全に起動できることを確実にするために、完全に動作可能であり、1年後、本デバイスが次の4年にわたって起動されるであろうと理解して、対照対象が募集されたことに留意されたい。また、本装置は、外部構成要素が使用された時間量を判定するために、それ自体をチェックしなければならない。治療対象はまた、全治療サイクルの開始時にインピーダンスチェックおよび安全性チェックを受容した。本デバイスが10時間/日にわたって装着された場合、治療および対照群に送達される全電荷は、それぞれ、3.9対0.0014クーロンであった。対照群中の迷走神経に送達される電荷は、低いことが判定されており、以前の急性動物電気生理学試験に基づいて、この電気入力の程度は、長期的に臨床的または生理学的重要性がないと仮定された。
全ての対象は、1日につき最低9時間および毎日最大16時間にわたって、本デバイスを使用するように促された。コントローラおよび電源は、治療を受容するために対象が構成要素の装着に準拠することを要求するため、治療送達の時間数は、最終的に対象の制御下にあった。設計によって、本デバイスは、コントローラが実際に装着された1日あたりの時間数を記録した。対象は、午前中の入浴またはシャワーの後に外部構成要素を装着するように、かつ寝る前にそれらを外すように指示された。
全ての対象は、体重減少および身体活動についての基本情報が送達されて議論された、体重管理の15回の個別カウンセリングセッションを受容した。食事および運動を文書で記録する材料が提供された。術前心理検査または面接は行われなかった。
一次有効性の目的は、10%の統計的超優位性試験限界を使用して、12ヶ月での非治療対照群と比較した、治療群内の有意に高い過剰体重減少率(%EWL)を実証することであった。%EWLは、BMI方法を使用して、埋込体重および理想体重の差で除算された、埋込および術後体重の差として計算された。25のBMIが理想的と見なされた。対象は、研究の全体を通して、同一の較正された電子はかりで体重を量られた。体重は、埋込時に、4週間を通して毎週、および研究の最初の1年にわたって12ヶ月まで毎月測定された。
二次有効性の目的は、治療群内の対象の有意に大きい割合が、対照対象と比較して25%EWLを達成したかどうかを判定することであった。
安全性の目的は、埋込手技、本デバイス、またはMaestro装置(登録商標)によって送達されるVBLOC治療に関係する重篤な有害事象(SAE)の割合を推定することであった。有害事象(AE)に関する問診を各診察時に完了した。12リード線心電図が、基準時、および起動後4週間ならびに6および12ヶ月に得られ、24時間ホルター心電計検査が、スクリーニング時、ならびに起動後3、6、および12ヶ月に行われた。ECGおよびホルター検査の読取は、中央研究室(Duke University, North Carolina)によって行われた。薬剤の変更および用量の調整が、各診察時に記録された。
他の査定は、スクリーニング、埋込、デバイス起動時に、および本デバイスの起動後4週間ならびに6および12ヶ月に、臨床研究室測定を含んだ。全ての研究室検査は、中央研究室(ICON Laboratories, Farmingdale, NY)によって行われた。生命兆候(血圧、脈拍、および温度)が、全ての診察時に測定された。高血圧症は、成人に対するJNC−7基準に従って、収縮期血圧≧140mmHgおよび/または拡張期血圧>90mmHgとして定義された。空腹および食欲の100mm視覚アナログ尺度質問表を介した空腹および食欲査定、3要因摂食質問表、生活の質(SF−36(登録商標))、および生活の質の重視の影響質問表、およびベック鬱評価尺度BDI(登録商標)−IIによって査定される鬱病を含む、対象質問表が、スクリーニング時、ならびに起動の6および12ヶ月後に行われた。
統計分析
サンプルサイズが、2つの手段を比較するために統計分析システムバージョン9.2ソフトウェア(Proc Power, SAS Institute, Cary NC)を使用して計算された。最小必要サンプルサイズは、有意性レベル=2.5%、出力=90%、オフグループ内の期待%EWL=8%、オングループ内の期待%EWL=25%、および期待標準偏差=15%(VBLOC実行可能性試験)という仮定の下で計算された。上記で概説される仮定の下で、推定最小サンプルサイズは、222人の対象であった。両群内で23%削減を予想する、研究に登録された294人の対象であった(人間に迷走神経遮断デバイスを以前に埋め込んだことがなかった施設で埋め込まれた、最初の14人の外科対象を除外する)。一次分析が、治療する意図の原理に従って行われた。全ての対象が、無作為化割当に従って分析された。一次分析は、治療群にわたって12ヶ月の結果を比較し、観察された差を10%のヌル値と比較すると、任意の欠落データが「無作為に欠落している」と仮定された。支持的混合モデル反復測定回帰分析(SAS Prox
Mixed)が、利用可能な全てのデータを使用し、任意の欠落データをモデル化して行われた。「最終値繰越」インピュテーション方法を任意の欠落した12ヶ月データ点に適用した、感度分析も行われた。連続データは、平均±標準誤差として提示される(
±SEM)。
結果
登録された対象
503人の対象を登録した後、スクリーニング、対象コンプライアンスにおける研究者チームによる信頼の欠如、対象決定等にもかかわらず、299人が試験対象患者基準を満たすことができないため除外された。合計294人の対象が、Maestro装置(登録商標)を埋め込まれ、治療群(n=192)および非治療対照群(n=102)に無作為化された。以前に装置を配置していなかった、それぞれの外科医に対する第1の埋込は、FDA合意による研究の元の設計によって、一次または二次安全性または有効性評価項目において評価されなかった。治療分析群は、年齢=46±1歳および41±1kg/m2のBMIを伴う男性18人(10%)および女性165人(90%)から成った。2型糖尿病がある5人の治療対象(3%)がいた。対照群は、46±1歳の年齢および41±1kg/m2のBMIを伴う男性14人(14%)および女性83人(86%)を有し、5人(5%)に2型糖尿病があった。
治療群内に14人の対象(7%)、および12ヶ月の試験を完了する前に撤退した対照群内の5人(5%)がいた。それぞれ、治療および対照群における撤退の理由は、4%および1%で有害事象、それぞれ1%で追跡調査への不参加、およびそれぞれ3%で個人的決定を含んだ。
安全性
死亡、または予期しない有害なデバイス効果(UADE)はなかった。35件の重篤な有害事象があった(データは示されていない)。DSMBは、これらのSAEが、既存の状態(17)、手術手技/麻酔(4)、本デバイスの埋込または補正(5)、本デバイス(4)、治療アルゴリズム(0)に関係すること、またはこれらのうちのいずれにも関係しない(5)ことを判定した。1人の対象が、麻酔の誘導時に気管支けいれんを発現させ、手術がキャンセルされ、埋込が行われず、対象は無作為化されなかった。埋込SAEのうちのいずれも、生命を脅かさず、緊急手術を必要とせず、または研究から対象を除去することを余儀なくさせなかった。3人の対象が、神経調節器の部位で感染症を発現させ、抗生物質治療のみの成功(n=2)、または1人の対象では膿性液の存在による本デバイスの除去のいずれかを必要とした。16人の対象が、本デバイスの除去を望み(有害事象のため8人、対象決定のため8人)、14人の対象が、本デバイスを動作可能にするために、または有害事象のため(神経調節器部位での疼痛のため3人、および高リード線インピーダンスのため2人、神経調節器通信に関する問題のため8人、およびコイル配置に干渉する神経調節器の場所のため1人)補正手技を要求した。いずれか一方の群内のいずれの対象も、PR間隔、QRS持続時間、または心室再分極間隔(QTcF間隔)の異常等のECGの異常を発現せず、いかなる異常もホルスター監視で注目されなかった。
有効性−体重減少
12ヶ月評価時に治療群を対照群と比較したとき、%EWLとして測定された全体的体重減少に差がなかった(17±2対16±2、p=NS)。同様に、≧25%EWLの体重減少を獲得する対象の割合もまた、群間で異ならなかった(22%対25%、p=NS)。
サブグループ分析
使用時間数/日別の体重減少:1日あたりのデバイス使用の時間数として定義されたデバイス使用のコンプライアンスにおいて、群間に差はなかった。しかしながら、治療群にかかわらず、1日あたりのデバイス使用の時間数が多くなるにつれて、基準体重からの%EWLの向上との強く統計的に有意な関連性(反復測定回帰分析;p<0.001)があった(図12A−B、図13A−B)。本デバイスが≧12時間/日にわたって使用されたとき、%EWLは、それぞれ、治療群(n=16)では30±4m、対照群(n=14、p=0.42)では22±8であった。%TBWL(全体重減少)は、治療群では11.4±1.7、対照群では8.3±3.0であった。
血圧への影響:両群で、研究への参入時に高血圧症の既往歴を伴う対象(治療群でn=77または42%、対照群でn=40または41%)は、それぞれ、(治療および対象の両方に対して)133mmHgの基準からの6ヶ月(−10±2対−9±3mmHg)および12ヶ月(−10±2対−9±3mmHg)での収縮期血圧の変化、ならびに(治療および対象の両方に対して)83mmHgの基準からの6ヶ月(−4±1対−8±2mmHg)および12ヶ月(−5±1および−5±2mmHg)での拡張期血圧の変化によって測定されるような、血圧の改善(p<0.01)を有した。図14A−B参照。しかしながら、いかなる差も研究群間で注目されなかった。基準時に高血圧症がない対象には、いくつかの時点で血圧の有意義な変化がなかった(データは示されていない)。研究はまた、薬剤の中止および薬剤の変更を含む、高血圧の薬の変更への効果についても分析された。図15参照。
議論
長年にわたって確立されたデータは、迷走神経の間欠的な可逆的遮断が、体重減少を生じ、胃腸機能を変調し、胃腸からの脳までの感覚経路としての機能を果たすことを確立する。EMPOWER研究は、両方の横隔膜下迷走神経の間欠的両側性遮断の効果を評価するように、満腹感を誘発し、食物摂取量を減少させるように、かつ病的肥満がある対象において臨床的関連体重減少を引き起こして維持するように設計された。間欠的迷走神経遮断の試験(VBLOC研究)における予備作業は、このアプローチが有望であると示唆した。VBLOC研究における対象は、間欠的迷走神経遮断の6ヶ月後に23%EWLを失った。現在のEMPOWER研究は、特に、VBLOC研究を検証するように、病的肥満がある対象において、間欠的迷走神経遮断の無作為化、二重盲検、多施設の対照試験として設計された。
EMPOWERの一次有効性の目的は、治療群と対照群との間の%EWLの差を実証することであった。治療の1年で、%EWLは、群間で事実上同一であった(治療:17±2%対対照:16±2%、p=NS)。対照群と対比して治療群内のより多くの対象が>25%EWLを達成したかどうかを判定することである、二次有効性の目的もまた、達成されず、治療群内の22%および対照群内の25%が、25%EWL(p=NS)を達成した。したがって、このEMPOWER研究の迷走神経遮断の実験設計および条件下で、いかなる体重減少の統計的または臨床的関連差も、治療および対照群間で注目されなかった。
体重減少の重要な差が、両群で注目された。第1に、両群内の平均%EWLが、生活様式介入のみを用いると約8%の期待%EWLより大きかった。第2に、各群内の対象が1日あたりの迷走神経遮断の平均持続時間に従って分けられたとき、体重減少は、両群で使用が増加するにつれて、より大きかった(p<0.001、反復測定分析)。図14AおよびB参照。両群内の≧12時間/日にわたって日常的に迷走神経遮断デバイスを装着した対象(治療群:16人の対象、対照群:14人の対象)が、それぞれ、30±4%および22±8%減量した一方で、>6時間/日であるが≦9時間/日にわたって本デバイスを装着した対象(治療群:61人の対象、対照群:28人の対象)は、13±2%および10±3%しか減量しなかった。さらに、両群内で満腹感が増加および空腹が減少し、再度、本デバイスの効果を示唆した。図12A参照。
重要な差もまた、基準時に高血圧症であった対象について血圧で注目された(非糖尿病患者には>140/90、または糖尿病患者には>130/80、N=37)。基準時に高血圧症歴を伴う対象(N=58)と比較して、12ヶ月にわたって≧9時間のデバイス使用を伴う対象では、収縮期および拡張期BPの両方は、両集団での任意の実質的な体重減少に先立って、スクリーニング後の2週間までに実質的に低減させられた。12ヶ月にわたって≧9時間のデバイス使用を伴う対象には、17〜18mmHgのSBPの減少、および9〜10mmHgのDBPの減少があった。図15A−B参照。基準時での高血圧症群では、10〜13mmHgのSBPおよび6〜8mmHgのDBPの減少があった(データは示されていない)。基準時により高い血圧を伴う対象は、より大きいBP低減(p<0.05)を有し、この関係は、%EWLから独立していた(p=0.11〜0.90)(データは示されていない)。血圧低減の規模は、%EWLに依存していない。基準時に高血圧を伴う対象、および9時間以上の治療を伴う対象は、高血圧の薬の変更に依存していなかった(p=0.20〜0.80)。
9時間以上の治療は、体重減少に先立って2週間で血圧の低減につながり、血圧の低減は、基準時に高血圧を伴う患者にとってより大きい。血圧の低減は、体重減少の規模に依存せず、体重減少から独立している。血圧低減は、入手可能なデータに基づく高血圧症の薬の変更と関連付けられない。
デバイス使用の持続時間が増加した%EWLの向上は、体重減少への迷走神経遮断の潜在的に有益な効果を支持する。加えて、治療後および任意の有意な体重減少に先立った2週間ほども早期の血圧の実質的な改善もまた、この見解を支持する。治療対対照群内の%EWLの差の欠如は、安全性およびデバイス診断チェックのために対照群内の迷走神経に送達される、迷走神経操作および/または一見軽微な電気入力が、迷走神経機能に実際に影響を及ぼし得たかどうかという問題を提起する。
臨床試験の設計は、両群で安全かつ最終的に能動的なデバイスを維持することを目的としていた。対照群では、本デバイスは、起動され、はるかに低いエネルギーの電気信号を一貫して送達した。対照群内の安全性チェックアルゴリズムは、治療群で送達された入力の1000分の1未満を送達した(例えば、本デバイスが10時間/日にわたって装着された場合、治療および対照群に送達された全電荷は、それぞれ、3.9対0.0014クーロンであった)。ラット座骨神経モデルを使用した予備実験は、これらの「安全性チェック」が迷走神経遮断に影響をほとんどまたは全く及ぼさないであろうと示唆していた(未公開データ)。対照群で利用されるパラメータが、対照群での予期しない体重減少に寄与する神経調節作用を有し得るかどうかを判定するように、9匹の麻酔をかけたラットにおけるラット座骨神経モデルを使用して、(1年のデータ収集に達した後の)後続の研究が行われた。ヒトにおける1時間(1分のオフが続く1分のオン)を模倣するための加速モデルを使用した、ラットにおけるこの予備研究は、16分後に評価されたときに、これらの電気パラメータが、複合活動電位の振幅の31%の平均減少につながったことを示した(データは示されていない)。発生の平均時間は、対照モードパラメータの開始後6分であり、その後、累積的に増加した。電気刺激が停止されたときに、複合活動電位へのこの効果がさらに増加するか、または持続するかどうかを判定するために、より長期間の研究がまだ行われていない。これらの観察は、対照群内のインピーダンスおよび安全性チェックのための迷走神経への電気入力が、迷走神経興奮性の減少を有し得た、かつ対照群で観察された予期しない体重減少および血圧の低下に寄与した得たことを示唆する。迷走神経遮断を通して体重減少を誘発するために必要な振幅に対する、試験の所与の人間の参加者の感度は、未知であるが、これらのデータは、応答が可変であり得ることを示唆する。
迷走神経変調は、中枢神経器官への効果によって、または前庭部収縮を抑制することによる胃内容排出の減少等の胃腸への効果によって、胃の受容的弛緩/収容を阻害することによって、または食後満腹感を増加させ得る消化管ホルモンの放出によって、満腹感を増加させることができる。同様に、膵臓外分泌を減少させることによって、摂取した食物の吸収が減少し得た。排便習慣または関連脂肪便症のいかなる顕著な変化もないと、この後者の可能性は低い。第2に、デバイス使用の持続時間が増加した、両群(治療および対照)内の%EWL減少の漸進的増加は、研究に専念し、かつ減量により専念した対象の中で、より良好なコンプライアンスを表し、それによって、内部的にバイアスされた群を表し得る。第3に、研究は、%EWL減少を増加させ得た、食事カウンセリング、行動修正、および運動訓練のプログラムを含んだ。第4に、外部送達デバイスを装着するという不便が、より従順な対象を要求する一方で、完全埋込型送達デバイスは、より魅力的である可能性が高い。
要約すると、このEMPOWER研究の条件下で、我々は、治療および対照群内で%EWLのいかなる差も実証することができなかった。デバイス使用の増加、および体重減少から独立した血圧の低下を伴う、より大きい体重減少は、安全性およびインピーダンスチェックのために対照群内の迷走神経に送達されるわずかな電気入力が、迷走神経興奮性を変化させ、それによって、研究を混乱させ得たことを示唆する。
対照患者が埋め込まれたが、迷走神経がいかなる電気信号も受容しなかった、ごく最近の二重盲検研究では、治療患者は、12ヶ月期間での対照患者と比較して、統計的に有意な体重減少を実証した。一次分析(治療意図)集団(n=239)では、治療患者は、偽対照患者に対する15.9%と比較して、24.4%の平均EWLを達成した。この8.5%差は、偽対照と比べて統計的有意性を実証したが(p=0.002)、事前特定された10%限界での超有意性を実証しなかった(p=0.705)。合計で、治療患者の52.5%が、対照群での32.5%と比較して20%以上のEWLを有し(p=0.004)、治療患者の38.3%が、偽対照群での23.4%と比較して、25%以上のEWLを有した(p=0.02)。55%および45%のそれぞれの共同一次評価項目標的が満たされなかった一方で、評価項目標的は、観察された割合で95%信頼区間内にあり、したがって、観察された割合は、これらの事前特定された割合より有意に低くなかった。これらの有効性データは、体重減少へのVBLOC治療のプラス効果を実証する。試験設計による治療を受容した患者のみ(n=211)を含んだ、プロトコルによる群では、治療患者は、偽対照群に対する17.3%と比較して、平均26.3%EWLを有した(p=0.003)。合計で、治療患者の56.8%は、偽対照群での35.4%と比較して、55%の事前定義された閾値を上回った、少なくとも20%のEWLを達成した(p=0.004)。患者の41.8%もまた、偽対照群での26.2%と比較して、45%の事前定義された閾値よりわずかに少ない、少なくとも25%のEWLをこの集団で達成した(p=0.03)。
デバイス関連の重篤な有害事象の割合は、治療腕については3.1%であり、15%の閾値より有意に低かった(p<0.0001)。安全性の結果はまた、VBLOC治療に有害な心臓血管効果がないことも確認した。血圧および心拍数の全体的低減もまた、治療腕で観察された。患者の約93%が、厳密に実行された試験と一致して、試験における12ヶ月査定に到達した。
本発明の前述の詳細な説明により、どのようにして本発明の目的が達成されたかが示されている。当業者に容易に想起され得るもの等の開示された概念の修正および同等物は、本明細書に添付される請求項の範囲に含まれることを目的としている。
従来技術の教示に関する本願の項では、従来技術の特許からの明細書が、本発明の実施形態の理解を容易にするために、実質的に再現される。本願の目的で、これらの特許内の情報の精度は、独立した検証を伴わずに容認される。本明細書で参照される全ての出版物は、参照することにより本明細書に組み込まれる。