JP2017101350A - キュプラ繊維材料を用いた炭素材料の製造方法 - Google Patents

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一文 河原
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Abstract

【課題】セルロース系材料の中で長繊維設計が可能なキュプラ繊維材料及び/又は該繊維からなる構造体を用いて、柔軟で高強度な導電性炭素材料を提供すること。【解決手段】キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程;及び前記スルホン酸を吸着させたキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中、600〜2800℃の温度により加熱処理する工程;を含む、炭素材料の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素材料の製造方法および炭素材料に関する。より詳しくは、本発明は、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物及び編物の形態からなるキュプラ繊維材料を用いて、生成物として、原料の形態が維持され、柔軟で高強度な導電性炭素材料を高収率で製造する方法に関する。
炭素化シートは、比強度や比弾性率等の力学的特性、その他優れた化学的、電気的性質により、様々な分野に使用されている。その需要の拡大に伴い、より一層の品質の向上と同時に製造コストの低減が望まれている。原料としてはポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系が広く利用されてきているが、それ以外にも、セルロース系材料及び/又は再生セルロース系材料も従来から知られている。
セルロース系材料は単純に不活性ガス中で加熱することで、セルロース分子の熱分解により、低分子量化、ガス化が生じ、重量減少を伴いながら、最終的に少量の炭素を主成分とする黒色物質が残る。以下の非特許文献1、2に記載されるように、この熱分解により、CO、CO、酢酸、レボグルコサンのような炭素を含む低分子量物が生成し、揮発する。この結果、理論炭素化収率は44.4%であるのに対し、実際にはおよそ10%程度まで低下する。
かかる低炭素化収率のため、例えば、フィルム状の形態を有するセルロース系物質においては、その形態維持がかなり困難であり、得られる炭素材料は非常に脆いものとなる。
これに対し、以下の特許文献1に記載されるように、セルロースの脱水を促進する物質を含む状態で加熱することで、より高い効率で且つより迅速にセルロースを炭化することができるという発想で、今までに、セルロースの脱水を促進する物質として、リン酸、硫酸、塩酸、リン酸二アンモニウム、リン酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化亜鉛、リン、ホウ素などの無機酸や塩などが提案されている。しかしながら、これらの無機酸や塩を使用してもセルロースの熱分解を十分に防ぐことは不可能であった。
他方、以下の特許文献2に記載されるように、本発明者らは、セルロースの分子間・分子内からの脱水反応を促進する目的で、セルロース系物質に対して、ハロゲン又はハロゲン間化合物を付着させ、加熱処理を行うことでセルロース系物質の形態が維持された炭素材料を提供しうることを報告している。さらに、以下の特許文献3に記載されるように、」本発明者等は、炭素化触媒として前記ハロゲン又はハロゲン間化合物よりも取り扱いやすいスルホン酸を用いることで、より高収率で原料の形態が維持された炭素材料を提供しうることを報告している。
しかしながら、特許文献1と特許文献2の実施例に記載されるように、和紙やサイザル麻紙を原料として炭化した場合、不織布構造を維持したまま炭化することはできるものの、柔軟とは言い難いシートであった。
特許第3357080号公報 特開2009−292676号公報 国際公開第2013/183668
Thermal Degradation of Polymeric Materials, by K.PielichowskiandJ.Njuguna, Rapra, Shawbury, UK, 2005 Thermal Biomass Conversion, by A.V.Bridgwater, H.Hofbauer, S.VanLoo,CPL Press, London, UK, 2009
上記従来技術の問題に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、セルロース系材料の中で長繊維設計が可能な再生セルロース繊維であるキュプラ繊維材用及び/又は該繊維からなる構造体を用いて、柔軟で高強度な導電性炭素材料を提供することである。
本発明者らは、長繊維として製造されるキュプラ繊維材料の結晶化度の低さ、高い吸水性、均一なフィラメント構造を有していることに着眼した。まず、キュプラ繊維のような再生セルロース材料は天然セルロースに比べ結晶化度が低く化学反応が進行しやすく、また、吸水性に優れることが知られている。さらに同じ再生セルロースでも、例えば、ビスコース系はフィラメント表面が固いスキン層で覆われた二重構造であるのに対し、キュプラ系の表面はスムースであり、均一な構造である。したがって、キュプラ系セルロースは他の天然セルロースやビスコース系セルロースと比べて、触媒であるスルホン酸が繊維内に均一に導入される上に脱水反応もしやすく、均一な炭素化反応は進行すると同時に、炭素化効率も優れることが期待された。さらに、綿のような短繊維系素材と異なり、キュプラ繊維の特徴は長繊維として糸を製造できるため、長繊維のフィラメント糸、不織布、織物、編物を提供することができる。したがって、短繊維である綿よりも導電性や力学物性の面でより有利である。
以上のことから、本発明者らは、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物及び編物などの一次元から三次元に至る種々の微視的又は巨視的形態である繊維又は二次元や三次元的構造の構造体であるキュプラ系材料を原料とすることで上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程;及び
前記スルホン酸を吸着させたキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中、600〜2800℃の温度により加熱処理する工程;
を含む、炭素材料の製造方法。
[2]前記加熱処理したキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中、1800〜3000℃の温度での再加熱処理を行う工程;
をさらに含む、前記[1]に記載の方法。
[3]前記キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程が、スルホン酸水溶液にキュプラ繊維材料を浸漬させることにより行われる、前記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記スルホン酸水溶液中のスルホン酸の濃度が、0.1〜2.0モル/Lである、前記[3]に記載の方法。
[5]前記スルホン酸が、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びカンファースルホン酸からなる群から選ばれる1種以上である、前記[3]又は[4]に記載の方法。
[6]前記キュプラ繊維材料が、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物、及び編物からなる群から選択される形態にある、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]生成物である炭素材料の形態が、原料として用いたキュプラ繊維材料の形態を維持している、前記[6]に記載の方法。
本発明によれば、セルロース系材料及び/又は再生セルロース系材料の中でもキュプラ繊維材料を用いることで、植物由来、バクテリアが産生した天然セルロース、綿やパルプから採取される短い繊維状セルロースに化学処理を施して溶解させて得られるレーヨンやリヨセル等の他の再生セルロースよりも、優れた柔軟性を有し、かつ、高強度な導電性炭素材料を提供することが可能になる。
以下、本発明の炭素材料の製造方法の実施形態について詳細に説明するが、特に、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の炭素材料の製造方法は、キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程(スルホン酸吸着工程);及び前記スルホン酸を吸着させたキュプラ繊維材料を不活性ガス雰囲気中で600〜2800℃で加熱処理する工程(炭素化工程)を含むことを特徴とする。
キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程において、スルホン酸水溶液に浸漬する方法は特に限定されない。例えば、キュプラ繊維材料に対してスルホン酸水溶液を振りかける方法、気化したスルホン酸蒸気に接触させる方法、スルホン酸水溶液を混ぜて抄紙する方法などが挙げられる。スルホン酸水溶液にキュプラ繊維材料を浸漬する方法が好ましい。浸漬時の温度は特に制限されないが室温が好ましい。浸漬時間は、好ましくは5〜120分間、より好ましくは5〜30分間である。キュプラ繊維材料内に対するスルホン酸の含有率は1〜150重量%、好ましくは5〜60重量%となることが好ましい。浸漬後、キュプラ繊維材料を取り出して乾燥させることが好ましい。この時、マングル等の絞り機で余剰な液を絞ってから乾燥させてもよい。乾燥方法としては、例えば、室温で静置、乾燥機で乾燥する、真空乾燥機で乾燥する等いずれの方法であってもよい。乾燥の目安は余分な水分が蒸発して試料重量の変化がなくなるまで行えばよい。例えば、気温20℃、湿度50%RHの乾燥では、0.5日以上放置すれば重量変化がなくなり、乾燥されたとみなすことができる。
本実施形態におけるキュプラ繊維材料は、銅アンモニア系セルロースドープを原料として製造された再生セルロース繊維から成る構造体であればよい。例えば、長繊維状又は短繊維状銅アンモニア系再生セルロースをもとに形成された繊維構造物、具体的には、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物、編物等が挙げられる。キュプラ繊維材料を炭化原料として用いることにより、他のセルロース繊維材料、例えば、綿紡績糸や木材パルプから叩解、抄紙して得る紙、更にはビスコースレーヨン繊維やセルロースアセテート系繊維を原料とする場合に比べ、より効率的に炭化反応が進行し、高強度で高弾性率を保有し、焼成の条件によっては高い導電性を保有した構造体を得ることができる。
用いるスルホン酸としては、脂肪族系、芳香族系の種々のスルホ基を有する化合物が利用可能である。スルホン酸はその脱水機能により加熱処理時にセルロース分子から水のみを除去するため、通常の熱分解に伴う炭素を含むガスの発生が少なく、セルロース分子中の炭素成分が失われない。したがって、炭素化収率の低下を防ぐことができる。本実施形態において使用可能なスルホン酸としては、炭素骨格にスルホ基(−SOH)が結合した有機化合物であればよく、好ましくは取り扱いが容易な低分子化合物である。スルホ基の数は1つであってもよく、複数であってもよい。使用可能なスルホン酸の具体例として、例えば、R−SOH{式中、Rは炭素原子数1〜20の直鎖/分岐鎖アルキル基、炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表し、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基は、それぞれアルキル基、水酸基、ハロゲン原子で置換されていてもよい。}で表される化合物が挙げられる。スルホン酸の具体的な化合物例としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、ビニルスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸等が挙げられる。好ましくは、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びカンファースルホン酸からなる群から選ばれる1種以上である。スルホン酸は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スルホン酸を水溶液として用いる場合の、スルホン酸の好ましい濃度は、0.1〜2.0モル/Lであり、より好ましくは0.5〜1.0モル/Lである。
前記加熱処理工程(炭素化工程)においては、上記のスルホン酸との吸着工程を経たキュプラ系材料をその形態を維持した状態で管状路や電気炉を用いて窒素又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で熱処理する。熱処理によりスルホン酸由来の少量の硫黄系ガスが発生する場合がある。この場合、排気管に活性炭素のような吸着材を充填し脱硫処理を行うことが好ましい。
上記のスルホン酸吸着工程を経たキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中で600℃〜2800℃、好ましくは600℃〜1000℃で熱処理することで炭素化する。これにより形態がそのまま維持された炭素材料を得ることができる。この熱処理温度が600℃未満であると炭素化物の炭素含有量が80質量%以下で炭素化が不十分であり、他方、2800℃を超えても、炭化状態はもはや殆ど変化しない。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、好ましくは0.5〜1時間である。また、室温から所定熱処理温度までの昇温速度は3〜8℃/分が好ましい。
本実施形態の炭素材料の製造方法により、原料となるキュプラ繊維材料の形態を維持したまま、生成物として炭素材料を得ることができる。セルロースの理論炭素化収率は44.4質量%であるが、本発明により炭素化収率は30質量%以上、場合によっては40質量%以上という高い炭素化収率の炭素材料を製造することが可能となる。
さらに、前記炭素化工程で得られた炭素材料をその形状を維持した状態で管状路や電気炉を用いてアルゴンガス雰囲気下、1800〜3000℃、好ましくは1800℃〜2800℃で再加熱処理を行うことで、セルロース構造体の最初の形態が維持された状態で、部分的にグラファイト化してもよい(グラファイト化工程)。この再熱処理温度が1800℃未満であるとグラファイト化(結晶化)の進行が殆ど起こらず、他方、3000℃を超えても、グラファイト化の程度は殆ど変わらなくなる。熱処理時間は、熱処理温度にもよるが、好ましくは0.5〜1時間である。
なお、本実施形態の他の製造方法では、600℃〜1000℃で炭素化して得られた炭素材料を、一旦室温まで冷却してからさらに1800℃〜3000℃で熱処理し、グラファイト化してもよいし、600℃〜1000℃で炭素化して得られた炭素材料を、そのまま連続して1800℃〜3000℃まで再昇温して、グラファイト化してもよい。
最初の炭素化工程で得られた炭素材料は、サイズの収縮はあるものの、ほぼ形態を保持したままであり、電導度が10S/cm程度の材料である。この炭素材料をグラファイト工程において1800℃〜3000℃で熱処理することにより、グラファイト化が進行し、その結果、電導度も向上し、数十S/cm以上になる。
本発明を、以下の実施例及び比較例により具体的に説明する。なお、物性の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)3点曲げ試験
長さ40mm、幅15mmの試験片を支点間距離80mmの間隔で半径2mmの支点上に両面テープで固定した。半径5mmの圧子を試験片中心に当て、変位速度30mm/minの条件のもとで3点曲げ試験を行った。試験にはAUTOGRAPH万能試験機(定格100kN、島津製作所製)を用いた。反力及び試験片中央に生じる表面ひずみを、ロードセル及び試験片表裏に貼り付けたひずみゲージを用いて測定した。各条件での測定回数は5とした。
(2)導電率
通電性(比抵抗値):2枚の5cm角(厚さ1cm)の金メッキした電極でシートの両面を全面が接触するように挟み、圧力10MPaにおけるシートの両電極間の電気抵抗値を測定し、この電気抵抗値R(Ω)と測定時のシートの厚さT(cm)と設置面積S(cm2)=5×5とから、下式:
比抵抗値(Ωcm)=[S/T]×R
より求めた。
(3)炭素化率
初期試料(酸浸漬前)および炭化後試料を120℃、真空下で2時間乾燥させた後、重量を測定した。初期試料重量をW1、炭化後試料重量をW2とした時、下式:
炭素化率(%)=W2/W1×100
より求めた。
[実施例1]
メタンスルホン酸の1.0モル/L水溶液に、試料であるキュプラ長繊維織物(100×100mm、目付76g/m、経糸84dtex−45フィラメント、緯糸84dtex−45フィラメント、経密度125本/インチ、緯密度87本/インチ)を室温下、10分間浸漬した。その後、キュプラ繊維織物を水溶液から取り出し、室温で12時間、乾燥した。メタンスルホン酸の吸着量は33質量%であった。この試料を2枚の炭素板に挟み、電気炉でアルゴンガス雰囲気下、800℃で60分間加熱し、炭素化した。さらに、1100℃までアルゴンガス雰囲気下で昇温させ、30分加熱した。このとき、アルゴンガスの排気管に脱硫のために少量の活性炭を入れておいた。炭素化後、電気炉内を室温にし、炭素化試料(炭化織物)を取り出した。炭素化収率を確認したところ、炭素化収率は38質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.4GPa、弾性率は250GPaを示した。また、電気伝導度は18S/cmであった。結果を以下の表1に示す。
[実施例2]
キュプラ長繊維織物の代わりにキュプラ長繊維不織布(100×100mm、目付120g/m)を用いた以外は実施例1と同様にして炭化不織布を作製した。メタンスルホン酸の吸収量は、35質量%であった。得られた炭化不織布の炭素化収率は37質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.3GPa、弾性率は40GPaを示した。電気伝導率は15S/cmであった。結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
実施例1で得られた炭化織物を、2枚の炭素板に挟み、電気炉でアルゴンガス雰囲気下、2600℃で30分間加熱し、グラファイト化を行った。得られたグラファイト化織物の炭素化率は35%であった。3点曲げ試験法により、強度は1.1GPa、弾性率は600GPaを示した。電気伝導率は33S/cmであった。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
実施例2で得られた炭化不織布を、2枚の炭素板に挟み、電気炉でアルゴンガス雰囲気下、2600℃で30分間加熱し、グラファイト化を行った。得られたグラファイト化不織布の炭素化率は34%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.5GPa、弾性率は100GPaを示した。電気伝導率は31S/cmであった。結果を以下の表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いたキュプラ長繊維織物を、メタンスルホン酸への浸漬を行わず、そのまま電気炉でアルゴンガス雰囲気下、800℃で60分間加熱し、炭素化した。さらに、1100℃までアルゴンガス雰囲気下で昇温させ、30分加熱した。炭素化後、電気炉内を室温にし、炭素化試料を取り出した。炭素化収率を確認したところ、炭素化収率は9質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.1GPa、弾性率は40GPaを示した。電気伝導率は11S/cmであった。実施例1と比較し、メタンスルホン酸への浸漬を行わないと炭素化収率が低い上に、強度と弾性率ともに低かった。結果を以下の表1に示す。
[比較例2]
キュプラ長繊維織物の代わりに綿織物(100×100mm、目付97g/m、経糸30/1、緯糸36/1、経密度73本/インチ、緯密度63本/インチ)を用いた以外は実施例1と同様にして炭化織物を作製した。メタンスルホン酸の吸収量は、24質量%であった。得られた炭化織物の炭素化収率は31質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.2GPa、弾性率は100GPaを示した。電気伝導率は12S/cmであった。実施例1と比較し、綿織物では強度と弾性率ともに低かった。結果を以下の表1に示す。
[比較例3]
キュプラ長繊維織物の代わりにビスコースレーヨン織物(100×100mm、目付76g/m、経糸84dtex−30フィラメント、緯糸133dtex−50フィラメント、経密度106本/インチ、緯密度74本/インチ)を用いた以外は実施例1と同様にして炭化織物を作製した。メタンスルホン酸の吸収量は、29質量%であった。得られた炭化織物の炭素化収率は33質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.3GPa、弾性率は150GPaを示した。電気伝導率は15S/cmであった。実施例1と比較し、ビスコースレーヨン織物では強度と弾性率ともに低かった。結果を以下の表1に示す。
[比較例4]
キュプラ長繊維織物の代わりにサイザル麻紙(100×100mm、目付80g/m)を用いた以外は実施例2と同様にして炭化不織布を作製した。メタンスルホン酸の吸収量は、21質量%であった。得られた炭化不織布の炭素化収率は28質量%であった。3点曲げ試験法により、強度は0.1GPa、弾性率は20GPaを示した。電気伝導率は12S/cmであった。実施例2と比較し、サイザル麻紙では強度と弾性率ともに低かった。結果を以下の表1に示す。
Figure 2017101350
本発明では、スルホン酸を吸着させたキュプラ繊維材料を用いることで、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物、編物等の形状の柔軟で高強度な導電性炭素材料を提供することができる。得られる炭素材料は、柔軟性や強度といった力学的な物性が改善されたものであるため、各種電子デバイス素材、各種電池用電極素材、各種ガス貯蔵素材、各種ガス吸蔵・吸着材、熱電導・放出材、触媒担体、ろ過材などへ応用が可能であるとともに、これらの応用製品の製造においても製造自体が行いやすくなり、より効率化されることが期待できる。

Claims (7)

  1. キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程;及び
    前記スルホン酸を吸着させたキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中、600〜2800℃の温度により加熱処理する工程;
    を含む、炭素材料の製造方法。
  2. 前記加熱処理したキュプラ繊維材料を、不活性ガス雰囲気中、1800〜3000℃の温度での再加熱処理を行う工程;
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記キュプラ繊維材料にスルホン酸を吸着させる工程が、スルホン酸水溶液にキュプラ繊維材料を浸漬させることにより行われる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記スルホン酸水溶液中のスルホン酸の濃度が、0.1〜2.0モル/Lである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記スルホン酸が、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びカンファースルホン酸からなる群から選ばれる1種以上である、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記キュプラ繊維材料が、紡績糸、フィラメント糸、紙、不織布、織物、及び編物からなる群から選択される形態にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 生成物である炭素材料の形態が、原料として用いたキュプラ繊維材料の形態を維持している、請求項6に記載の方法。
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