JP2017101329A - 皮膜付筒部材 - Google Patents

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一樹 滝澤
Kazuki Takizawa
一樹 滝澤
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Abstract

【課題】筒形状の部材において筒形状の延在方向の位置によって異なる特性を持たせることができる皮膜付筒部材を提供する。【解決手段】一方向に延在した筒形状の内壁面に皮膜が形成された皮膜付筒部材は、前記筒形状の延在方向の同じ位置において、前記内壁面の周上の前記皮膜の組成は一定であり、前記皮膜の組成は、前記延在方向の位置に応じて変化している。【選択図】 図2

Description

本発明は、皮膜付筒部材に関する。
3次元の立体形状の部材に皮膜を形成するために、プラズマイオン注入法を用いる技術が知られている。プラズマイオン注入法では、プラズマ中のイオンを、高電圧のパルス電圧を印加した処理対象部材の表面に衝突させ、物体表面に形成された薄膜にイオンを注入させる方法である。従来のイオンビームに比べて複雑な3次元形状の部材であっても皮膜を形成することができる点で優れている。
従来から知られているプラズマイオン注入法を用いた管内表面の表面処理(皮膜形成)方法及び装置(特許文献1)では、真空容器内に少なくとも内壁が導電性である管形状物を配置し、前記管形状物と前記真空容器の内壁の間に絶縁性材料を配置する。管内表面の表面処理時、真空容器内に所望のイオン発生原料ガスを導入すると同時に減圧状態に維持し、マイクロ波あるいは高周波放電によって管内にプラズマを生成し、管軸方向に磁力線を形成し、管内壁に負電位のパルス電圧を繰り返し印加することによって、管内壁にプラズマ中の正イオンを引き込み、照射する。このとき、管の中心軸に沿ってアンテナを管全長にわたって配置し、アンテナの片端からマイクロ波あるいは高周波電力を供給する。さらに、磁力線を形成する手段は管軸方向に移動可能となっている。
特許第3437772号公報
上記管内表面の表面処理の方法では、管の中心軸に沿ってアンテナを管全長にわたって配置し、磁力線を形成する手段である電磁コイルを管軸方向に移動させることにより、管内の内壁全面に均一にイオン注入することができるとされている。しかし、上記表面処理の方法では、アンテナはモノポールアンテナであり、このアンテナを、高い周波数の電力が必要であるECRプラズマ源として用いるため、アンテナに供給された電力は減衰し易くアンテナの先端の方向に十分な電力が行き届かず、管軸方向において十分に均一な厚さの皮膜を形成することは難しい。
そこで、本発明は、筒形状の部材において筒形状の延在方向の位置によって異なる特性を持たせることができる皮膜付筒部材を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、一方向に延在した筒形状の内壁面に皮膜が形成された皮膜付筒部材であって、
前記筒形状の延在方向の同じ位置において、前記内壁面の周上の前記皮膜の組成は一定であり、
前記皮膜の組成は、前記延在方向の位置に応じて変化している、ことを特徴とする。
本発明の一形態によれば、
前記皮膜は、炭素及び水素を含み、
前記水素の組成比率が、前記延在方向の位置に応じて変化することが好ましい。
本発明の一形態によれば、前記水素の組成比率が、前記延在方向において、徐々に小さくなることが好ましい。
本発明の一形態によれば、前記皮膜は酸素を含まないことが好ましい。
本発明の一形態によれば、前記皮膜の厚さは、前記延在方向の同じ位置の周上において、及び前記延在方向において一定であることが好ましい。
皮膜付筒部材は、筒形状の延在方向の位置によって異なる特性を持たせることができる。
本実施形態の皮膜形成装置の概略の装置構成を説明する図である。 本実施形態の皮膜形成装置におけるプラズマの局部的形成を説明する図である。 (a)〜(c)は、本実施形態の皮膜形成装置におけるモノポールアンテナ素子への給電と処理対象部材へのパルス電圧の付与のタイミングの一例を示すタイミングチャートである。
以下、本発明の皮膜形成装置、皮膜形成方法、及び皮膜付筒部材について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である皮膜形成装置10の概略の装置構成を説明する図である。図2は、本実施形態の皮膜形成装置におけるプラズマの局部的形成を説明する図である。
図1に示す皮膜形成装置10は、プラズマを用いて処理対象部材11に皮膜を形成する装置である。
皮膜形成装置10は、処理容器12と、モノポールアンテナ素子であるプラズマ生成素子14と、高周波電源16と、パルス電源18と、制御部20と、クロック信号発生器22とを主に備える。
処理容器12は、アルミニウム等の材質で形成され、処理対象部材11を配置した処理空間を囲む。処理容器12の側壁には、皮膜形成用の原料ガスであり、プラズマの生成用ガスとなるガスを導入する導入口23が設けられ、さらに、導入口23の設けられた側壁に対して対向する、処理容器12の他方の側壁には排気口25が設けられている。導入口23は、図示されない原料ガスのガス源と接続され、排気口25は図示されない排気装置と接続されている。処理空間は、概略10−3Paの減圧状態に維持できるように処理容器12は構成されている。処理容器12が囲む処理空間には、処理対象部材11が配置されている。処理対象部材11は、一方向に延在した筒形状の部材である。本実施形態では、この筒形状の部材の内壁面に皮膜を形成する。
本実施形態では、処理対象部材11の内壁面に例えばダイヤモンドライクカーボンの皮膜や窒化炭素の皮膜を形成する。ダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成する場合、原料ガスは、炭素成分を含んだガスであり、例えばアセチレンガス、メタンガスを含む。また、原料ガスは必要に応じて水素を含む。窒化炭素の皮膜を形成する場合、原料ガスは、炭素成分及び窒素成分のガスを含み、例えば,アセチレン及び、窒素ガスまたはアンモニアガスを必要に応じて含む。
処理容器12の側壁には、処理容器12の処理空間の真ん中に向かって延びる誘電体管26が設けられており、誘電体管26内にプラズマ生成素子14が配されている。すなわち、誘電体管26は、プラズマ生成素子14の周囲を覆い、処理空間の内部と外部を分けるように処理容器12に固定されている。これにより、プラズマ生成素子14は、処理空間の外部に設けられる。誘電体管26は、石英あるいは酸化アルミニウムからなる管である。形成する皮膜に酸素が含まれないことが望ましい場合には、後述するプラズマPによる誘電体管26のスパッタリングによって酸素が皮膜に含まれることを抑制する点から、誘電体管26として酸化アルミニウムからなる管が好適に用いられる。
プラズマ生成素子14は、具体的には、処理容器12内の処理対象部材11の延在方向に移動可能に設けられている。プラズマ生成素子14は、処理対象部材11に薄膜を形成するために、処理空間内の、処理対象部材11の延在方向の一部分の周りの局部領域に、電力の供給を受けてプラズマを形成する。プラズマ生成素子14は、処理対象部材11の筒形状の中心軸上に設けられることが、皮膜を筒形状の内壁面の周上に一様に形成することができる点で好ましい。
プラズマ生成素子14は、処理容器12の外側に設けられたインピーダンス整合器28と接続されている。インピーダンス整合器28は、キャパシタやインダクタ等のインピーダンス調整用素子を含み、プラズマ生成素子14のインピーダンスとマッチングするようにキャパシタンスやインダクタンス等の素子を自動調整する。
プラズマ生成素子14は、インピーダンス整合器28を介して高周波電源16から給電を受ける。高周波電源16は、高周波発振器32とアンプ34とを含む。高周波発振器32は、後述する制御部20からの制御によって所定の周波数の高周波(例えば1〜100MHz)電力を発振する。アンプ34は、高周波を例えば100〜3000Wの電力となるように増幅する。
制御部20は、高周波電源16によるプラズマ生成素子14への電力の供給のタイミングと、パルス電源18による処理対象部材11へのパルス電圧の付与のタイミングと、後述する移動台(移動機構)30によるプラズマ生成素子14の移動と、を制御する。制御部20は、クロック信号発生器22から供給されるクロック信号に基づいて、上記電力の供給のタイミングと、パルス電圧の付与のタイミングと、プラズマ生成素子14の移動とを制御する。クロック信号は例えば0.5〜10kHzの周波数であり、この周波数の周期ごとに、パルス電圧が処理対象部材11に印加される。
パルス電源18は、制御部20の制御に応じて、すなわち、クロック信号に同期して0.5〜4kVのパルスを処理対象部材11に付与する。これにより、処理対象部材11の筒形状の内壁面に形成された薄膜に、処理空間内にプラズマ生成素子14によって作られたプラズマ中のイオンを引き寄せて注入させることができる。
処理対象部材11は、載置台36から突設した突起38上に支持される一方、パルス電源18から延びる電線と接続されている。処理対象部材11の筒形状の中心軸上にプラズマ生成素子14が位置するように構成されている。
ここで、プラズマ生成素子14は、インピーダンス整合器28に、電気的に接続され、機械的に固定されている。インピーダンス整合器28は、移動台(移動機構)30に固定されている。移動台30は、図示されないレール等に載せられて、処理容器12に対して近づく方向、遠ざかる方向に自在に移動することができる。したがって、移動台30の移動によって、インピーダンス整合器28及びこれに接続したプラズマ生成素子14は、移動可能になっている。特に、プラズマ生成素子14は、この移動により、誘電体管26内の管内部に挿入される長さを自在に変え、誘電体管26内を移動する。これにより、プラズマ生成素子14の先端は、処理対象部材11の一方の端から他方の端まで移動することができる。移動台30の移動は、制御部20からの制御信号によって制御される。
プラズマ生成素子14は、基本的には、処理空間内でプラズマを生成するとき、プラズマ生成素子14の長さ及び誘電体管26の比誘電率に応じて定まる周波数でプラズマ生成素子14を共振させてプラズマ生成素子14の先端に大きな電圧を発生させる。この電圧によって処理空間内でプラズマを形成することができる。したがって、図2に示すように、プラズマ生成素子14の先端近傍付近の処理空間内に密度の高いプラズマPが形成される。このように、プラズマ生成素子14を用いたときに形成される密度の高いプラズマPは、局部領域に形成される。このため、本実施形態では、局部領域に形成される密度の高いプラズマPを処理対象部材11の延在方向の各位置で発生するように、プラズマ生成素子14を処理対象部材11の延在方向に沿って移動する。そして、プラズマPを用いて形成された薄膜に、プラズマPによって形成されたイオンを注入することによりダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成する。
プラズマ生成素子14は、誘電体管26内に配されているので、プラズマPによって損傷を受けることはない。また、プラズマ生成素子14を被覆するように誘電体管26を設けることにより、放射する電波エネルギーを効率よく周囲に放出することが可能となる。
プラズマ生成素子14が誘電体管26内を移動するとき、この移動に伴って、プラズマ生成素子14の誘電体管26によって覆われる部分の長さが変化し、この長さの変化によってプラズマ生成素子14のインピーダンスは変化する。したがって、インピーダンス整合器28は、プラズマ生成素子14の移動に応じてインピーダンス整合を行うことが、給電した電力が効率よくプラズマの形成に用いられるようにする点で好ましい。
また、処理容器12の導入口23は、薄膜の形成中、処理空間に原料ガスを導入しつつ、排気口25は、原料ガスを処理空間から排気し、これにより、処理対象部材11の周りには原料ガスの流れが形成されている。このとき、プラズマ生成素子14の先端は、プラズマ素子14の後端(プラズマ生成素子14のインピーダンス整合器28側の基部)に比べて上記原料ガスの流れの上流側に位置するようにプラズマ生成素子14は設けられていることが好ましい。プラズマ生成素子14の先端で原料ガスがプラズマ状態になるので、原料ガスの流れの上流側にプラズマ生成素子14の先端が位置するようにプラズマ生成素子14を設けることにより、プラズマ生成素子14の先端に常に十分な原料ガスが供給される。このため、プラズマ生成素子14の先端においてプラズマ状態になる原料ガスが枯渇することは少なくなる。原料ガスの流れの上流側にプラズマ生成素子14の後端が位置するようにプラズマ生成素子14を設けた場合、筒形状内を流れる原料ガスの流れがプラズマ生成素子によって阻害されやすくなり、プラズマ生成素子14の先端に十分な原料ガスが供給されにくい。
このように、プラズマ生成素子14では、プラズマ生成素子14の先端の周りの局所領域にプラズマPを形成させるので、処理対象部材11の筒形状の内側でプラズマPの形成に用いられる原料ガスが枯渇することを防止できる。また、原料ガスの枯渇を防止できるので、従来に比べて長い時間プラズマPを形成することができ、安定した皮膜を形成することができる。
この皮膜形成装置10では、まず、処理容器12内の処理空間が略10−3Paに減圧された状態で、原料ガス、例えばアセチレンガスやメタンガス、場合によってはさらに水素ガスが導入口23から導入される。原料ガスの導入とともに、原料ガスの排気を行なう。これにより処理空間内に一定の圧力(0.1〜10Pa)で原料ガスが存在し、処理空間内の処理対象部材11の内壁面に沿って原料ガスの流れが生じるようにする。この状態で、図3(a),(b)に示すように、制御部20は、クロック信号の立ち上がりと同時に一定期間、高周波発振器32に一定の高周波を発振させ、この電流信号を増幅させてプラズマ生成素子14に供給する。図3(a)は、クロック信号のタイミングチャートの一例であり、図3(b)は、プラズマ生成素子14に供給される高周波電力のタイミングチャートの一例であり、図3(c)は、処理対象部材11に付与されるパルス電圧のタイミングチャートの一例である。
プラズマ生成素子14に高周波電力を供給するとき、プラズマ生成素子14の先端は、誘電体管26の最も奥に位置し、筒形状の処理対象基板11の端に対応する中心軸上の位置にある。この状態で、インピーダンス整合器28によるインピーダンス整合が行われる。これにより、電力は反射されることなくプラズマ生成素子14に給電される。すなわち、処理空間内の、処理対象部材11の延在方向の一部分の周りの領域に、プラズマ生成素子14を用いてプラズマPを形成させる。具体的には、プラズマ生成素子14の先端において密度の高いプラズマPが形成されるので、このプラズマPによって処理対象基板11の端を含む端近傍の内壁面に薄膜が形成される。この薄膜形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)による薄膜形成と同じである。プラズマPの形成時間、すなわち、プラズマ生成素子14への給電時間は、例えば10〜500μ秒であり、供給される電力は例えば100〜3000Wである。
プラズマ生成素子14への電力の供給は一定期間行われた後、図3(c)に示すように、パルス電源18はパルス電圧を処理対象部材11に付与する。すなわち、プラズマPの形成開始後に、処理対象部材11にパルス電圧を印加することにより、処理対象部材11の内壁面に形成された薄膜に、プラズマPによって処理空間内のガスからつくられたイオンを注入させて処理対象部材11の内壁面にダイヤモンドライクカーボンの皮膜を形成する。パルス幅は例えば0.1〜500μ秒であり、例えば0.5〜4kVのパルス電圧が処理対象部材11に印加される。
本実施形態では、プラズマPの形成中にパルス電圧を処理対象部材11に付与してもよいし、プラズマPの形成終了後、すなわちプラズマPの消滅後に、パルス電圧を処理対象部材11に付与してもよい。図3(c)に示す例では、プラズマPの形成後にパルス電圧を処理対象部材11に付与している。パルス電圧の処理対象部材11への付与は、少なくともプラズマPの形成開始後であればよい。パルス電圧の付与をプラズマPの消滅後に行う場合、プラズマPが消滅してもイオンは突然消失するわけではなく、処理空間中にイオンは残る。しかし、イオンのイオンエネルギは低くなるが、イオンは均一に拡散しようとする。したがって、イオンエネルギは低くなるが、より均一に拡散したイオンを薄膜に注入することができる。このイオンエネルギはプラズマPの消滅後の時間の経過とともに低下するので、注入するイオンのイオンエネルギを変えるために、プラズマPの消滅時点からパルス電圧を付与するまでの時間を変えることにより、形成する皮膜の特性や組成も変えることができる。また、処理対象部材11に付与するパルス電圧の大きさを変えることにより注入するイオンのイオンエネルギを変えることもでき、形成する皮膜の特性や組成も変えることができる。処理対象部材11の筒形状の延在方向において、皮膜の組成を変化させる場合、プラズマPの消滅時点からパルス電圧を付与するまでの時間、あるいは、パルス電圧の大きさを変化させるとよい。
この後、制御部20の指示に従って、移動台30を移動させることにより、プラズマ生成素子14を筒形状の処理対象部材11の延在方向に移動する。これにより、プラズマ生成素子14の先端の位置を、筒形状の処理対象部材11の端から少し内側に入った位置に移動してプラズマPを形成する位置を変える。この後、図3(a)、(b)に従ったタイミングチャートで、上述したように高周波電源16はプラズマ生成素子11に給電してプラズマPを形成させる。さらに、図3(c)に従ったタイミングチャートで、上述したように、パルス電源18はパルス電圧を処理対象部材11に付与する。これにより、イオンの注入が行われる。こうして、プラズマPの形成と、イオンの注入と、プラズマ生成素子14の延在方向への移動と、を繰り返す。これにより、処理対象部材11の一方の端から他方の端までの内壁面に、均一な厚さの皮膜を形成することができる。なお、プラズマPの形成と、イオンの注入を複数回繰り返し行った後、プラズマ生成素子14を移動してもよい。本実施形態では、原料ターゲット材50及びプラズマ生成素子14は、プラズマ生成素子14の先端の側から後端(基部)の側へ移動するが、プラズマ生成素子14の後端(基部)の側から先端の側へ移動することもできる。
薄膜の形成中、処理空間に原料ガスを導入しつつ、原料ガスを処理空間から排気するように、処理対象部材11の周りには原料ガスの流れが形成されるが、このとき、プラズマ生成素子14の先端がプラズマ生成素子14の後端(基部)に比べて上記流れの上流側に位置するようにプラズマ生成素子14は設けられることが好ましい。これにより、原料ガスが枯渇してプラズマPの形成が十分にできないことを防止できる。
また、プラズマ生成素子14の移動によって誘電体管26に覆われるプラズマ生成素子14の部分の長さが変化する度に、この部分の長さによって変化するインピーダンスに適合するように、インピーダンス整合器28はインピーダンス整合を行うことが好ましい。これにより、一定の電力をプラズマ生成素子14に供給することができ、位置に拠らず一定のプラズマ密度を持ったプラズマPを形成することができ、処理対象部材11の延在方向に沿ってより均一な厚さの皮膜を形成することができる。
なお、プラズマ生成素子14の延在方向への移動は、プラズマPの形成と、イオンの注入を行った後に行う場合の他に、プラズマPの形成とイオンの注入の実行中にプラズマ生成素子14を移動することによって、プラズマPの形成される位置を変えてもよい。この場合、プラズマPによって形成された薄膜に、このプラズマPによって作られたイオンの注入が行われるように、プラズマ生成素子14の移動速度は低速に調整される。
本実施形態では、処理対象部材11は筒形状の部材であるが、必ずしも筒形状である必要はなく、一方向に長く延在した部材であればよい。この場合においても局部領域にプラズマPを発生させ、プラズマPの発生位置を延在方向に移動することにより、均一な厚さの皮膜を形成することができる。しかし、筒形状の内壁面に皮膜を形成する場合、本実施形態は均一な厚さの皮膜を極めて効率よく形成することができる。
本実施形態のプラズマ生成素子11は、モノポールアンテナ素子であるが、モノポールアンテナ素子に限定されない。例えば、小さな電極板を用いて磁界を発生させ、この磁界によってプラズマを処理空間の局部領域に発生させるプラズマ生成素子を用いることもできる。少なくとも、プラズマPを局部領域に発生させるものであればよい。
本実施形態ではプラズマ生成素子14は、処理対象部材11の筒形状の中心軸上に設けられるが、中心軸上に設けられなくてもよい。しかし、筒形状の内壁面の周上に沿って均一な厚さの皮膜を形成する点で、筒形状の中心軸上にプラズマ生成素子14を設けることが好ましい。本実施形態では、筒形状の内壁面に皮膜を形成するが、内壁面に限定されず、外壁面であってもよい。
処理容器12には、プラズマ生成素子14の周囲を覆う誘電体管26が処理空間の内部と外部を分けるように固定されており、処理空間の外部でプラズマ生成素子14は移動することが好ましい。プラズマ生成素子14を処理空間の外部、すなわち大気圧空間上に設けることで、プラズマ生成素子14及びインピーダンス整合器28等の装置構成を簡略化することができる。
本実施形態では、プラズマ生成素子14の位置に応じて、プラズマPの消滅時点からパルス電圧を付与するまでの時間を変えることにより、あるいは、パルス電圧の大きさを変化させることにより、あるいは、原料ガスの種類や2種類以上の原料ガスの比率を変えることにより、処理対象部材11の筒形状の延在方向において、皮膜の組成を変化させることができる。このため、一方向に延在した筒形状の内壁面に皮膜が形成された皮膜付筒部材であって、筒形状の延在方向の同じ位置の内壁面の周上では、組成は一定であるが、延在方向の位置に応じて組成が変化している皮膜が形成された皮膜付筒部材を作製することができる。この場合、筒形状の延在方向の同じ位置においても、さらに延在方向のいずれの位置においても、皮膜の厚さを一定にすることができる。
例えば、処理対象部材11の筒形状の内壁面のうち、筒形状の延在方向の同じ位置において周上における皮膜の組成を一定にしつつ、延在方向に沿って組成を変化させる、あるいは組成を徐々に変化させることができる。より具体的には、筒形状の処理対象部材11の内壁面の延在方向の同じ位置では、カーボンと水素の組成比が略同一である一方、延在方向において徐々に水素含有量の比率が小さくなるダイヤモンドライクカーボン皮膜を、筒形状の内壁面に形成することができる。皮膜の組成に応じて皮膜の特性(Rockwell-C硬度、スクラッチテスト、耐摩耗性)は変化するので、筒形状の延在方向の位置によって異なる特性を皮膜に持たせることができる。勿論、延在方向において均一の組成を持つ皮膜を形成することもできる。
以上、本発明の皮膜形成装置、皮膜形成方法、及び皮膜付筒部材について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10 皮膜形成装置
11 処理対象部材
12 処理容器
14 プラズマ生成素子
16 高周波電源
18 パルス電源
20 制御部
22 クロック信号発生器
23 導入口
25 排気口
26 誘電体管
28 インピーダンス整合器
30 移動台
32 高周波発振器
34 アンプ
36 載置台
38 突起

Claims (5)

  1. 一方向に延在した筒形状の内壁面に皮膜が形成された皮膜付筒部材であって、
    前記筒形状の延在方向の同じ位置において、前記内壁面の周上の前記皮膜の組成は一定であり、
    前記皮膜の組成は、前記延在方向の位置に応じて変化している、ことを特徴とする、皮膜付筒部材。
  2. 前記皮膜は、炭素及び水素を含み、
    前記水素の組成比率が、前記延在方向の位置に応じて変化する、請求項1に記載の皮膜付筒部材。
  3. 前記水素の組成比率が、前記延在方向において、徐々に小さくなる、請求項2に記載の皮膜付筒部材。
  4. 前記皮膜は、酸素を含まない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膜付筒部材。
  5. 前記皮膜の厚さは、前記延在方向の同じ位置の周上において、及び前記延在方向において一定である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膜付筒部材。
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