(実施形態1)
以下に、図1及び図2を用いて実施形態1の両面粘着テープ包装体について説明する。図1及び図2は、実施形態1に係る両面粘着テープ包装体の模式図である。図1は、断面模式図であり、図2は、平面模式図である。
図1に示したように、実施形態1の両面粘着テープ包装体100は、第一の包装フィルム10、第一の粘着剤層20、両面粘着テープ30、第二の包装フィルム40の順に積層される。両面粘着テープ30は、第一の包装フィルム10側から順に、第一の離型フィルム31、粘着シート32、第二の離型フィルム33の順に積層される。図2に示したように、平面視したときに、両面粘着テープ30を囲んで、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、第一の粘着剤層20を介して接着されている。図2中、ハッチングを付した領域は、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、接着されている領域を表す。両面粘着テープ30自体の厚みにより、両面粘着テープ30の周りには、空隙21が形成されてもよい。空隙21が形成されることで、第一の粘着剤層20と粘着シート32の断面とが接着することを防ぐことができる。両面粘着テープ30は、予め所望のサイズに切断された枚葉型の両面粘着テープである。
第一の離型フィルム31と粘着シート32の間に第一の剥離層34を有し、第二の離型フィルム33と粘着シート32との間に第二の剥離層35を有してもよい。また、第二の包装フィルム40の両面粘着テープ30側に、第三の剥離層41を有してもよい。
第一の包装フィルム10及び第二の包装フィルム40により、両面粘着テープ30を密封することで、両面粘着テープ30を外的な衝撃から保護し、かつ、両面粘着テープ30を構成する粘着シート32が外気等に触れることを防ぐことができるため、両面粘着テープ30の保管安定性を高めることができる。また、第一の包装フィルム10と第一の離型フィルム31とが、第一の粘着剤層20を介して接着されているため、両面粘着テープ30を使用する際に、第一の包装フィルム10と同時に第一の離型フィルム31を剥離することができる。
図3は、実施形態1に係る両面粘着テープ包装体の使用方法を説明した概要図である。まず、図3の(a)に示したように、第一の包装フィルム10を剥離する。このとき、第一の粘着剤層20、第一の離型フィルム31及び第一の剥離層34も同時に剥離できることが好ましい。次に、図3の(b)に示したように、粘着シート32の第一の包装フィルム10を剥離した面を貼付対象物300に貼り付ける。その後、図3の(c)に示したように、第二の包装フィルム40を剥離する。このとき、第三の剥離層41、第二の離型フィルム33、及び、第二の剥離層35も同時に剥離できることが好ましい。最後に、図3の(d)に示したように、粘着シート32の第二の包装フィルム40を剥離した面を貼付対象物400に貼り付ける。このようにして、貼付対象物300及び400を貼り合わせることができる。
第一の包装フィルム10としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル等からなるフィルムが挙げられる。なかでも、バリア性に優れることから、PETフィルムが好ましい。
第一の包装フィルム10は、紫外線吸収剤を含有してもよく、アルミ等の金属が蒸着されてもよい。これにより、第一の包装フィルム10に紫外線の遮断性を付与することができる。第一の包装フィルム10は、両面粘着テープ30を密封できればよく、そのサイズ、平面形状は特に限定されない。
第一の包装フィルム10の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は200μmである。第一の包装フィルム10の厚みが10μm未満であると、バリア性が低下したり、外部からの衝撃から両面粘着テープ30を保護することが困難となることがあり、200μmを超えると、第一の包装フィルム10のコシが強すぎたり、硬すぎて剥がし難いことがある。
第一の粘着剤層20としては、例えば、アクリル系粘着剤組成物、ウレタン系粘着剤組成物、シリコン系粘着剤組成物等を含有する粘着剤からなるものが挙げられる。
第一の粘着剤層20の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は100μmである。第一の包装フィルム10の厚みが10μm未満であると、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とを充分に接着できず、両面粘着テープ30を密封できないことがあり、100μmを超えると、粘着シート32の端部(断面)と接着してしまうことがある。
第一の粘着剤層20の面積は、第一の離型フィルム31の面積よりも大きく、かつ、第一の包装フィルム10よりも小さくてもよい。図4及び図5は、第一の粘着剤層の面積を変えた場合の実施形態1に係る両面粘着テープ包装体の模式図である。図4は、断面模式図であり、図5は、平面模式図である。図5中、ハッチングを付した領域は、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、接着されている領域を表す。図4及び図5に示したように、第一の粘着剤層20の面積を、第一の離型フィルム31の面積よりも大きく、かつ、第一の包装フィルム10よりも小さくすることで、第一の包装フィルム10に取り代を形成することができるため、上記図3の(a)で、第一の包装フィルム10を剥離し易くすることができる。
第一の離型フィルム31としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリアクリロニトリル等からなるフィルムが挙げられる。なかでも、バリア性に優れることから、PETフィルムが好ましい。第一の離型フィルム31は、第一の包装フィルム10と同じ組成の樹脂からなるフィルムであってもよいし、異なる組成の樹脂からなるフィルムであってもよい。
第一の離型フィルム31の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は200μmである。第一の包装フィルム10の厚みが10μm未満であると、使用時に粘着シート32から剥離し難いことがあり、200μmを超えると、第一の離型フィルム31のコシが強すぎたり、硬すぎて剥がし難いことがある。
第一の粘着剤層20と第一の離型フィルム31との剥離力は、10N/25mm以上であることが好ましい。また、第一の粘着剤層20と第一の離型フィルム31との剥離力は、粘着シート32と第一の剥離層34との剥離力よりも2倍以上大きいことが好ましい。これにより、上記図3の(a)で、第一の包装フィルム10を剥離する際に、第一の離型フィルム31も同時に剥離し易くすることができる。上記剥離力は、JIS Z 0237に準拠した方法で測定することができる。
粘着シート32は、両面に粘着機能を有し、二つの貼付対象物を貼り合わせることができる。粘着シート32は、単層であってもよい。粘着シート32が単層である場合、粘着シート32は、光学用透明粘着シートであることが好ましい。上記光学透明粘着シートの用途は特に限定されないが、例えば、表示パネル、タッチパネル、カバーパネル等を互いに貼り合わせるために用いることができる。粘着シート32のサイズ、平面形状は特に限定されない。
上記光学用透明粘着シートとしては、例えば、シリコーン系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物、熱硬化性ポリウレタン組成物等からなるものが挙げられる。なかでも、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートであることが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートは、柔軟であるため、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。更に、上記光学透明粘着シートは、柔軟であるとともに厚膜化できることから、耐衝撃性に優れ、透明導電膜を表層に有する透明部材とカバーパネルの貼り合せ、更に他の部材を用いる場合には、表示パネル、又は、透明導電膜を表層に有する透明部材と、他の部材との貼り合せにも用いることができる。更に、上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートは、誘電率が高く、アクリル系樹脂組成物からなる光学透明粘着シートよりも高い静電容量が得られるため、静電容量方式のタッチパネルの貼り合せに好適に用いられる。
一方で、上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートは、吸湿により白化する等、保管安定性が低いことから、保管、運搬する際には、外気に触れないように工夫する必要があった。本発明の両面粘着テープ包装体100は、第一の包装フィルム10及び第二の包装フィルム40により、両面粘着テープ30が密封されているため、粘着シート32として、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートを用いることで、吸湿による白化を効果的に抑制することができる。更に、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートは、上記シリコーン系樹脂組成物、上記アクリル系樹脂組成物からなる光学用透明粘着シートよりも粘着力が強いため、離型フィルムを剥がし難いことがあった。本発明の両面粘着テープ包装体100は、第一の離型フィルム31及び第二の離型フィルム33を容易に剥がすことができるため、粘着シート32として、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートを用いることが有効である。上記熱硬化性ポリウレタン組成物については、後述する。
上記光学透明粘着シートは、光学透明粘着シートとしての性能を確保するために、Haze(ヘイズ)が1%以下であること、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、Haze Meter NDH2000(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。上記ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、上記全光線透過率はJIS K 7361−1に準拠した方法で測定される。
粘着シート32は、複層であってもよい。図6は、粘着シートが複層である場合の粘着シートの断面模式図である。図6に示したように、粘着シート32が複層である場合、例えば、第一の粘着シート層32a、中間シート層32b、第二の粘着シート層32cが積層された構成が挙げられる。
第一の粘着シート層32a及び第二の粘着シート層32cは、特に限定されず、第一の粘着剤層20で挙げたものを用いることができる。
中間シート層32bは、例えば、紙、不織布、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。中間シート層32bは、複層であってもよい。
粘着シート32の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は3000μmである。
粘着シート32が光学用透明粘着シートである場合、厚膜の光学用透明粘着シートであってもよい。上記光学透明粘着シートの厚みは、50μm以上、3000μm以下であることが好ましい。厚みが50μm未満である場合には、上記光学透明粘着シートの一方の面を光学部材の表面に貼り付けたときに、上記光学透明粘着シートによって光学部材の表面に存在する凹凸又は段差を被覆することができず、上記光学透明粘着シートの他方の面と他の光学部材の表面とを充分な接着力で貼り合わせることができないことがある。厚みが3000μmを超える場合には、ヘイズや全光線透過率等の光学特性が充分に得られないことがある。上記光学透明粘着シートの厚みの、より好ましい下限は100μmであり、より好ましい上限は2000μmであり、更に好ましい下限は200μmであり、更に好ましい上限は1500μmである。
第二の離型フィルム33としては、第一の離型フィルム31で挙げたものを用いることができる。第一の離型フィルム31と第二の離型フィルム33とは、同じ組成の樹脂からなるフィルムであってもよいし、異なる組成の樹脂からなるフィルムであってもよい。
第二の離型フィルム33の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は200μmである。第二の離型フィルム33の厚みが10μm未満であると、使用時に粘着シート32から剥離し難いことがあり、200μmを超えると、第二の離型フィルム33のコシが強すぎたり、硬すぎて剥がし難いことがある。第一の離型フィルム31の厚みと第二の離型フィルム33の厚みとは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第一の剥離層34は、例えば、第一の離型フィルム31の表面にシリコーン系、アルキド系、フッ素系剥離剤等でコーティングすることで形成できる。第二の剥離層35としては、第一の剥離層34と同様のものを用いることができる。
第一の離型フィルム31及び第二の離型フィルム33の面積は、粘着シート32の面積よりも大きくてもよい。図7及び図8は、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムの面積を変えた場合の実施形態1に係る両面粘着テープ包装体の模式図である。図7は断面模式図であり、図8は平面模式図である。図8中、ハッチングを付した領域は、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、接着されている領域を表す。図7及び図8に示したように、第一の離型フィルム31及び上記第二の離型フィルムの面積を、粘着シート32の面積よりも大きくすることで、粘着シート32と第一の粘着剤層20とが接触することを防ぐことができるため、上記図3の(a)で、第一の包装フィルム10を剥離し易くすることができる。
図4、図5、図7及び図8に示した構成は、組み合わせてもよい。図9及び図10は、第一の粘着剤層、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムの面積を変えた場合の実施形態1に係る両面粘着テープ包装体の模式図である。図9は断面模式図であり、図10は平面模式図である。図10中、ハッチングを付した領域は、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、接着されている領域を表す。図9及び図10に示したように、第一の粘着剤層20の面積を、第一の離型フィルム31の面積よりも大きく、かつ、第一の包装フィルム10よりも小さくすることで、第一の包装フィルム10に取り代を形成することができる。更に、第一の離型フィルム31及び上記第二の離型フィルム33の面積を、粘着シート32の面積よりも大きくすることで、粘着シート32と第一の粘着剤層20とが接触することを防ぐことができる。そのため、上記図3の(a)で、第一の包装フィルム10をより剥離し易くすることができる。
粘着シート32と第一の離型フィルム31との剥離力は、0.15N/25mm以下であることが好ましい。また、粘着シート32と第二の離型フィルム33との剥離力は、0.4N/25mm以下であることが好ましい。更に、粘着シート32と第一の離型フィルム31との剥離力、及び、粘着シート32と第二の離型フィルム33との剥離力の差は、0.1N/25mm以上であることが好ましい。粘着シート32と第一の離型フィルム31との剥離力を、粘着シート32と第二の離型フィルム33との剥離力よりも小さくすることで、上記図3の(a)で、第一の包装フィルム10を剥離する際に、第二の離型フィルム33よりも先に、第一の離型フィルム31が剥離するようにすることができる。上記剥離力の差は、離型剤の種類、配合処方を変更することで調整することができる。
第二の包装フィルム40としては、第一の包装フィルム10で挙げたものを用いることができる。第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とは、同じ組成の樹脂からなるフィルムであってもよいし、異なる組成の樹脂からなるフィルムであってもよい。第二の包装フィルム40は、紫外線吸収剤を含有してもよく、アルミ等の金属が蒸着されてもよい。第二の包装フィルム40は、両面粘着テープ30を密封できればよく、そのサイズ、平面形状は特に限定されない。
第二の包装フィルム40の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は200μmである。第一の包装フィルム10の厚みが10μm未満であると、バリア性が低下したり、外部からの衝撃から両面粘着テープ30を保護することが困難となることがあり、200μmを超えると、第二の包装フィルム40のコシが強すぎたり、硬すぎて剥がし難いことがある。第一の包装フィルム10の厚みと第二の包装フィルム40の厚みとは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第三の剥離層41としては、第一の剥離層34と同様のものを用いることができる。
実施形態1の両面粘着テープ包装体100の製造方法としては、第一の包装フィルム10上に粘着剤組成物を塗工し、第一の粘着剤層20を形成する。第一の粘着剤層20上に、両面粘着テープ30を配置し、第二の包装フィルム40を重ね、両面粘着テープ30を囲んで、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とを第一の粘着剤層20介して接着することで得られる。第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40との接着方法は、特に限定されないが、例えば、第二の包装フィルム40をローラーやスキージー等でラミネートしながら押さえつけることで接着することができる。
(実施形態2)
実施形態2に係る両面粘着テープ包装体は、更に、上記第二の包装フィルムと上記両面粘着テープとの間に第二の粘着剤層を有する点以外は、実施形態1の両面粘着テープ包装体と同様の構成を有する。
実施形態2に係る両面粘着テープ包装体は、第二の包装フィルム40と両面粘着テープ30との間に第二の粘着剤層50を有する。第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とは、第一の粘着剤層20及び第二の粘着剤層50を介して接着されていてもよい。図11は、第一の包装フィルムと第二の包装フィルムとが、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層を介して接着される場合の実施形態2に係る両面粘着テープ包装体の断面模式図である。平面模式図は、図2と同様である。第一の粘着剤層20及び第二の粘着剤層50を介して、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とを接着することで、より密封性を高めることができると共に、第二の包装フィルム40と第二の離型フィルム33を同時に剥がし易くすることができる。
第二の粘着剤層50の面積は、第二の離型フィルム33の面積よりも大きく、かつ、第二の包装フィルム40の面積よりも小さくてもよい。また、第一の粘着剤層20と第二の粘着剤層50とが接していなくてもよい。図12及び図13は、第一の粘着剤層と第二の粘着剤層とが接していない場合の実施形態2に係る両面粘着テープ包装体の模式図である。図12は、断面模式図であり、図13は、平面模式図である。図13中、ハッチングを付した領域は、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とが、接着されている領域を表す。図12に示したように、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とは、第一の粘着剤層20を介して接着される。図12及び図13に示したように、第二の粘着剤層50の面積を、第二の離型フィルム33の面積よりも大きく、かつ、第二の包装フィルム40の面積よりも小さくすることで、第二の包装フィルム40と第二の離型フィルム33を同時に剥がし易くすることができる。また、第一の粘着剤層20と第二の粘着剤層50とが接しないことで、空隙21が形成され易くなるため、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とをよりスムーズに剥がすことができる。
第二の粘着剤層50の面積は、第二の離型フィルム33の面積よりも大きく、かつ、第二の包装フィルム40の面積よりも小さい場合に、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40とは、第一の粘着剤層20及び第二の粘着剤層50を介して接着されていてもよい。図14は、第一の粘着剤層及び第二の粘着剤層の面積を変えた場合の実施形態2に係る両面粘着テープ包装体の断面模式図である。平面模式図は、図5と同様である。図14に示したように、第二の粘着剤層50の面積を、第二の離型フィルム33の面積よりも大きく、かつ、第二の包装フィルム40の面積よりも小さくすることで、第二の包装フィルム40に取り代を形成することができるため、上記図3の(c)で、第二の包装フィルム40を剥離し易くすることができる。
第二の粘着剤層50としては、第一の粘着剤層20で挙げたものを用いることができる。第一の粘着剤層20と第二の粘着剤層50とは、同じ組成の樹脂からなるフィルムであってもよいし、異なる組成の樹脂からなるフィルムであってもよい。
第二の粘着剤層50の厚みの好ましい下限は10μmであり、好ましい上限は100μmである。第二の粘着剤層50の厚みが10μm未満であると、第一の包装フィルム10と第二の包装フィルム40との接着が不充分となることがあり、100μmを超えると、粘着シート32の端部(断面)と接着する可能性が高くなる。第一の粘着剤層20の厚みと第二の粘着剤層50の厚みとは、同じであってもよいし、異なってもよい。
第一の粘着剤層20と第二の粘着剤層50との剥離力は、0.5N/25mm以上、15N/25mm以下であることが好ましい。
<熱硬化性ポリウレタン組成物>
上記熱硬化性ポリウレタン組成物としては、例えば、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含有するものが挙げられる。上記熱硬化性ポリウレタン組成物を加熱し、硬化させることで、厚膜の光学用透明粘着シートを得ることができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物は、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。アクリル変性されると疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じ易くなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起し、光学特性を損なう。したがって、アクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。
上記ポリオール成分及び上記ポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物を得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。このように、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物によって光学透明粘着シートを作製する場合、溶剤の除去が必要ないので、均一なシートを厚く形成することができる。これにより、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合せに用いた場合に、ベゼルの段差を被覆することができる。また、上記光学透明粘着シートは厚く形成しても光学特性を維持することができるものであり、透明性(ヘイズ)の低下、色付き、発泡(被着体との界面での気泡の発生)を充分に抑制できる。
[ポリオール成分]
上記ポリオール成分としては特に限定されず、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオール、ポリプロピレンテトラオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレントリオール、これらの共重合体等のポリアルキレングリコール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、さらにはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロテクトングリコール、ポリカプロラクトントリオール、ポリカプロラクトンテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、さらにはこれらの混合物等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジアルキルカーボネートとジオールとの反応物が挙げられる。
上記ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記ジオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記ジオールとしては、炭素数が4〜9の脂環族又は脂環族ジオールが好ましく、例えば、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,7−ヘプタンジオ−ル、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及び、1,9−ノナンジオールを単独で又は2種以上併用して使用することが好ましい。上記ジオールとしては、また、1,6−ヘキサンジオールと3−メチル−1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオール、1,6−ヘキサンジオールと1,5−ペンタンジオールとからなるコポリカーボネートジオールも好ましい。
また、上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートグリコール、ポリカーボネートトリオール、ポリカーボネートテトラオール、これらに側鎖を導入したり分岐構造を導入したりした誘導体、変成体、さらにはこれらの混合物等を用いることもできる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ジカルボン酸とグリコール成分とを脱水縮合させたものが挙げられる。
上記ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
上記グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。
以上で例示したジカルボン酸とグリコール成分によって形成されるポリエステルポリオールは、線状の分子構造を有するが、上記ポリエステルポリオールは、3価以上のエステル形成成分を用いた分枝状の分子構造を有するポリエステルであってもよい。上記ジカルボン酸と上記グリコール成分とは、モル比1.1〜1.3にて150〜300℃で反応させればよい。
上記ポリオール成分としては、ポリカーボネートポリオールが好ましい。耐加水分解性、機械的特性及び耐薬品性に優れるからである。また、上記ポリオール成分は、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ポリオール成分は、数平均分子量が300〜5000であることが好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が300未満である場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との反応が速すぎて熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物の硬化物の柔軟性が低下して脆くなったりすることがある。ポリオール成分の数平均分子量が5000を超える場合には、ポリオール成分の粘度が高くなりすぎて熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物の硬化物を均一なシートに成形することが困難になったり、熱硬化性ポリウレタン樹脂組成物の硬化物が結晶化して白濁する等の不具合を生じることがある。より好ましいポリオールの数平均分子量は、500〜2000である。
[ポリイソシアネート成分]
上記ポリイソシアネート成分としては特に限定されず、従来公知のポリイソシアネートを用いることができる。上記ポリイソシアネート成分としては、脂肪族ポリイソシアネート(脂環族ポリイソシアネートを含む)が好ましい。光学透明粘着シートの着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学透明粘着シートの透明性をより確実に確保することができるからである。
上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルナンジイソシアネート、これらの変性体や多量体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート又はその変性体や、イソホロンジイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート及びその変性体が特に好ましい。なお、上記ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、具体的には、例えばヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性及び/又はウレタン変性したもので、平均官能基数が2.0以上のもの等が挙げられる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、α比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)が1以上であることが好ましい。上記α比が1未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物が硬くなり、光学透明粘着シートに要求される柔軟性を確保するのが困難となる。柔軟性が低いと、特に、タッチパネル等の光学部材の貼り合わせで、貼り合わせ面に存在する凹凸及び段差を被覆することができない。また、高温・高湿下での粘着力を確保することができない。上記α比は、1<α<2.0がより好ましい。上記α比が2.0以上になると、上記熱硬化性ポリウレタン組成物が硬化しないことがある。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有することが好ましい。タッキファイヤーは、粘着性を向上するために添加される添加剤であり、通常分子量が数百〜数千の無定型オリゴマーで、常温で液状又は固形の熱可塑性樹脂である。タッキファイヤーを含有することで、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学透明粘着シートは、その両面において充分な粘着性を有する。
上記タッキファイヤーの含有量は、上記熱硬化性ポリウレタン組成物に対して、1〜20重量%であり、タッキファイヤーの含有量が1重量%未満である場合には、光学透明粘着シートの粘着性を充分に向上できないことがあり、特に高温・高湿下における粘着性が不充分になることがある。タッキファイヤーの含有量が20重量%を超える場合には、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の反応を阻害し、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物中にウレタン架橋が充分に形成されなくなることがある。その結果、高温・高湿下において光学透明粘着シートが溶融(メルト)して形状変化を生じたり、タッキファイヤーの析出(ブリード)が生じたりする。また、ウレタン架橋を充分に形成するためにポリオール成分とポリイソシアネート成分の反応時間を長くすると、生産性が低下する。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1の両面粘着テープ包装体は、実施形態1に係る両面粘着テープ包装体と同様の構成を有する。実施例1の断面図は、図1と同様であり、平面図は、図2と同様である。
まず、第一の離型フィルム、粘着シート、第二の離型フィルムの順に積層された両面粘着テープを準備した。粘着シートは、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなる光学用透明粘着シートであり、縦200mm、横200mm、厚み1000μmであった。第一の離型フィルム、及び、第二の離型フィルムは、ともに表面がシリコーン系剥離剤でコーティングされたPETフィルムであり、縦200mm、横200mm、厚み30μmであった。
次に、縦230mm、横230mm、厚み50μmのPETフィルム(第一の包装フィルム)を用意し、上記第一の包装フィルム上にコーターを用いて、粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1473)を厚みが30μmとなるように塗工し、第一の粘着剤層を形成した。
上記第一の粘着剤層上に、上記両面粘着テープを配置し、表面をシリコーン系剥離剤でコーティングされた縦230mm、横230mm、厚み50μmのPETフィルム(第二の包装フィルム)を重ね、上記第一の包装フィルムの端と上記第二の包装フィルムの端とを接着し、両面粘着テープ包装体を作製した。
上記第一の粘着剤層と上記第一の離型フィルムとの剥離力は、20N/25mmであり、上記粘着シートと上記第一の離型フィルムとの剥離力は、0.1N/25mmであり、上記粘着シートと上記第二の離型フィルムとの剥離力は、0.3N/25mmであった。
(実施例2)
実施例2の両面粘着テープ包装体は、実施形態2に係る両面粘着テープ包装体と同様の構成を有する。実施例2の断面図は、図11と同様であり、平面図は、図2と同様である。
実施例2では、縦230mm、横230mm、厚み50μmのPETフィルム(第二の包装フィルム)を用意し、上記第二の包装フィルム上にコーターを用いて、粘着剤(綜研化学株式会社製、SKダイン1473)を厚みが30μmとなるように塗工し、第二の粘着剤層を形成した。その後、実施例1と同様にして、第一の粘着剤層上に、両面粘着テープを配置した後、上記第二の包装フィルムを重ね、上記第一の包装フィルムの端と上記第二の包装フィルムの端とを貼り合わせ、両面粘着テープ包装体を作製した。
上記第一の粘着剤層と上記第一の離型フィルムとの剥離力は、8N/25mmであり、上記粘着シートと上記第一の離型フィルムとの剥離力は、0.1N/25mmであり、上記粘着シートと上記第二の離型フィルムとの剥離力は、0.3N/25mmであり、上記第一の粘着剤層と上記第二の粘着剤層との剥離力は、12N/25mmであった。
実施例1及び2の両面粘着テープ包装体は、いずれも、両面粘着テープを第一の包装フィルム及び第二の包装フィルムで密封しているため、保管安定性に優れていた。実施例1及び2の両面粘着テープ包装体は、いずれも、第一の包装フィルムを剥離する際に、同時に第一の離型フィルムも剥離することができ、作業性が良好であった。