JP2017099050A - 転動モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体の最大偏心量やステータの極数に関係なく十分なトルクを確保可能な転動モータを提供する。
【解決手段】転動モータ10は、ステータコア部20とバックヨーク部24との間に軸方向に空いた隙間40が形成され、軸中心O回りに複数の励磁磁極を有するステータ12と、軸中心Oに対して同一中心で配置される転動リング50と、隙間40に挿入される、励磁磁極の励磁で軸中心Oに対して偏心しかつ外周面の一部が転動リング50の内周面に接しながら転動する転動体14と、を備える。ステータコア部20は、隙間40に面する端面に軸中心Oに対して同心円に形成される、隙間40側に向けて突出した突部68を有する。転動体14は、突部68と向かい合う端面に軸中心Cに対して同心円に形成される、突部68側へ突出しかつ励磁磁極の励磁で突部68に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向する突部78を有する。
【選択図】図2
【解決手段】転動モータ10は、ステータコア部20とバックヨーク部24との間に軸方向に空いた隙間40が形成され、軸中心O回りに複数の励磁磁極を有するステータ12と、軸中心Oに対して同一中心で配置される転動リング50と、隙間40に挿入される、励磁磁極の励磁で軸中心Oに対して偏心しかつ外周面の一部が転動リング50の内周面に接しながら転動する転動体14と、を備える。ステータコア部20は、隙間40に面する端面に軸中心Oに対して同心円に形成される、隙間40側に向けて突出した突部68を有する。転動体14は、突部68と向かい合う端面に軸中心Cに対して同心円に形成される、突部68側へ突出しかつ励磁磁極の励磁で突部68に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向する突部78を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、電磁力を利用して転動体を転動させるうえで好適な転動モータに関する。
従来、転動モータが知られている(例えば、特許文献1参照)。この転動モータは、軸中心回りに複数の励磁磁極を有する固定子と、円柱状の転動体と、を備えている。各励磁磁極は、円環状の固定子コア本体の内周面から軸中心側に向けて突出している。転動体は、励磁磁極の内周側に配置されており、その転動体の軸中心は、励磁磁極の内周側において固定子の軸中心に対して偏心可能である。
上記の転動モータにおいては、複数の励磁磁極が一つずつ所定の軸回りに順次通電される。かかる励磁磁極への通電が行われると、その通電されている励磁磁極に転動体が吸引されることで、転動体の外周面とその励磁磁極の内周面との間の空隙が小さくなり、転動体の外周面がその励磁磁極の内周面に接する。また、通電される励磁磁極が順次切り替わると、転動体が固定子の軸中心に対して偏心しながら転動運動を行う。従って、この転動モータによれば、電磁力を利用して転動体を転動させることができる。
しかしながら、上記した転動モータの構造は、転動体とステータの励磁磁極とが径方向に空隙を空けて対向している構造であって、転動体を電磁力を利用してその空隙を埋めるように吸引することで転動させるものである。かかる構造では、転動体の外周面と励磁磁極の内周面との間の空隙が大きいほど、励磁磁極の励磁によって転動体をその励磁磁極に吸引する力が小さくなる。このため、転動モータとして十分なトルクを確保することができないおそれがある。従って、転動モータとして十分なトルクを確保するのに、転動体の外周円と固定子の励磁磁極側の内周円との曲率差(すなわち、転動体の軸中心と固定子の軸中心との偏心を許容する最大偏心量)を大きくすることができず、また、固定子における軸回りの極数を減らすことができないなどの構造設計上の制約があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、転動体の最大偏心量や固定子の極数に関係なく、十分なトルクを確保することが可能な転動モータを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するためになされた請求項1記載の転動モータは、励磁コイル(22)が巻かれたステータコア部(20)とバックヨーク部(24)との間に軸方向に空いた隙間(40)が形成されると共に、軸中心回りに複数の励磁磁極(A,B,C,D)を有するステータ(12)と、前記ステータの軸中心に対して同一中心で配置される円環状の転動リング(50)と、前記ステータコア部と前記バックヨーク部とで挟み込まれるように前記隙間に挿入されていると共に、前記励磁磁極の励磁に伴って前記ステータの軸中心に対して偏心しかつ外周面の一部が前記転動リングの内周面に接しながら転動運動を行う円盤状の転動体(14)と、前記転動体の転動運動を回転運動に変換して出力する出力軸(16)と、を備え、前記ステータコア部及び前記バックヨーク部の少なくとも一方が、前記隙間に面する端面に前記ステータの軸中心に対して同心円に形成される、前記隙間側に向けて突出した第1突部(68,72)を有すると共に、前記転動体が、前記第1突部と向かい合う端面に該転動体の軸中心に対して同心円に形成される、前記第1突部側に向けて突出しかつ前記励磁磁極の励磁に伴って前記第1突部に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向する第2突部(78,80)を有するものである。
この構成によれば、ステータコア部(20)とバックヨーク部(24)との間に軸方向に空いた隙間(40)に挿入される転動体(14)が、その軸中心に対して同心円に形成される、ステータコア部及びバックヨーク部の少なくとも一方の第1突部(68,72)に向けて突出する第2突部(78,80)を有する。そして、励磁磁極(A,B,C,D)の励磁に伴って転動体がステータ(12)の軸中心回りに転動運動される際、その第2突部が、ステータコア部又はバックヨーク部の第1突部に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向される。かかる構造においては、転動体が偏心して転動運動している状態でも、転動体とステータの励磁磁極とを大きな空隙を空けることなく軸方向で対向させて、その間の空隙を常に小さく抑えることができる。このため、励磁磁極の励磁によって転動体をその励磁磁極に確実に吸引することができ、これにより、転動体の外周面とステータ側の転動リングの内周面との間の空隙の大きさに関係なく転動モータとして十分なトルクを発生させることができる。従って、転動体の最大偏心量や固定子の極数に関係なく、転動モータとして十分なトルクを確保することができる。
尚、この欄及び特許請求の範囲に記載した各構成要素の後に書かれた括弧内の符号は、それらの各構成要素と後述する実施形態記載の構成要素との対応関係を示すものである。
以下、本発明の転動モータの具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る転動モータ10は、電磁力を利用して転動体を転動させる電磁式の転動モータである。転動モータ10は、特に、ロボットの関節などの高トルクを必要とするものやクラッチ作用を必要とするものに用いるのが有効である。転動モータ10は、図1、図2、図3、図4、及び図5に示す如く、ステータ(すなわち、固定子)12と、転動体14と、出力軸16と、を備えている。
ステータ12は、ステータコア部20と、励磁コイル22と、バックヨーク部24と、を有している。転動モータ10は、ステータコア部20、励磁コイル22、及びバックヨーク部24が軸中心O回りに複数配置される構造を有している。すなわち、ステータ12は、軸中心O回りに複数の励磁磁極を有している。以下、本実施形態においては、ステータ12の励磁磁極が軸中心O回りに90°間隔で設けられるものとし、励磁磁極の数を4つとする。すなわち、複数の励磁磁極のうちには、ステータ12の軸中心Oを挟んで180°対向する位置に対となる2つの励磁磁極が含まれる。また、適宜、4つの励磁磁極を励磁磁極A,B,C,Dとし、4つの励磁コイル22を励磁コイル22a,22b,22c,22dとする。
各励磁磁極A,B,C,Dを構成するバックヨーク部24は、軸方向に向いた面(以下、軸方向面と称す)を有する下板部26と径方向に向いた面(以下、径方向面と称す)を有する側板部28とが下板部26の外周側端部で接するようにL字状に形成されている。下板部26の軸方向面は、ステータ12の軸に直交する方向に広がっている。また、側板部28の径方向面は、ステータ12の軸に平行な方向に広がっている。各バックヨーク部24は、下板部26と側板部28とが接する部位(すなわち、L字の付け根部分)においてベース30にボルト32にて固定されている。バックヨーク部24は、ベース30上において軸中心O回りに90°間隔で配置されている。
各ステータコア部20は、本体部34とフランジ部36とが本体部34の軸方向端部で接するようにL字状に形成されている。本体部34は、励磁コイル22が巻かれる部材であって、箱状に形成されており、軸方向面を有している。励磁コイル22は、本体部34にステータ12の軸と平行な軸の回りに環状に巻かれている。フランジ部36は、本体部34から径方向外側に向けて延びる板状の部材である。ステータコア部20は、そのL字がバックヨーク部24のL字に対して180°点対称の逆L字となるようにバックヨーク部24に対して配置されている。
ステータ12は、各励磁磁極A,B,C,Dにおいて、ステータコア部20のフランジ部36の外周側端部とバックヨーク部24の側板部28の軸方向端部とが接すると共に、ステータコア部20の本体部34とバックヨーク部24の下板部26との間に軸方向に空いた隙間40が形成されるように構成されている。すなわち、ステータ12は、各励磁磁極A,B,C,Dにおいて、内周側に開口部である隙間40が形成されるように断面コの字状に構成されている。
ステータコア部20のフランジ部36の外周側端部とバックヨーク部24の側板部28の軸方向端部とは、ボルト42にて互いに固定されている。また、ステータ12の各ステータコア部20は、上部プレート44にボルト46にて固定されている。ステータコア部20は、上部プレート44上において軸中心O回りに90°間隔で配置されている。
ベース30には、円環状の転動リング50がボルト52にて固定されている。転動リング50は、ステータ12のバックヨーク部24の側板部28の内径と略同じ外径を有している。転動リング50は、バックヨーク部24の下板部26と側板部28とが接する交差部に接する位置に取り付けられている。転動リング50は、ステータ12の軸中心Oに対して同一中心で配置されている。転動リング50は、軸方向の位置が、上記した隙間40が形成されている軸方向の位置に重なるようにステータ12に対して配置されている。
転動体14は、円盤状に形成されている。転動体14は、転動リング50の内径に比して小さい外径を有していると共に、ステータ12のステータコア部20とバックヨーク部24との隙間40に対して同じ或いは僅かに小さい板厚を有している。転動体14は、隙間40に挿入されるように配置されている、すなわち、ステータコア部20とバックヨーク部24とで挟み込まれるように隙間40に挿入されている。転動体14は、ステータ12に対して径方向に向けて自在にスライド移動可能であって、ステータ12の軸中心Oに対して偏心可能である。尚、転動体14とステータコア部20との間、及び、転動体14とバックヨーク部24との間には、転動体14が偏心可能となるのに必要な隙間しか空いていない。
転動体14は、その外周面が転動リング50の内周面に接することが可能である。転動体14の外周面及び転動リング50の内周面はそれぞれ、滑りを防止するために高摩擦材或いはギア(トロコイド)で構成されることが望ましい。転動体14は、ステータ12のステータコア部20との間に大きな空隙を空けることなく軸方向で隣接すると共に、バックヨーク部24との間に大きな空隙を空けることなく軸方向で隣接する。
ステータ12の何れかの励磁コイル22が通電されることでその励磁コイル22に対応する励磁磁極A,B,C,Dが励磁されると、その励磁磁極A,B,C,Dのステータコア部20と転動体14とその励磁磁極A,B,C,Dのバックヨーク部24とを通る環状の磁束が流れる。かかる磁束が流れると、転動体14を径方向外側へ押し出す吸引力が発生する。この場合、転動体14は、励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴って、ステータ12の軸中心Oに対して偏心して、その外周面の一部が転動リング50の内周面に接するものとなる。
そして、通電される励磁コイル22がステータ12の軸中心O回りに順次切り替わると、磁束が流れる励磁磁極A,B,C,Dがその軸中心O回りに順次移動されることで、転動体14が吸引される方向がその励磁磁極A,B,C,Dの移動に伴って変化する。従って、励磁コイル22への通電が順次切り替わることで電磁力を利用して、転動体14を、その外周面の一部が転動リング50の内周面に接しながら転動運動させることができる。
転動体14には、軸方向に空いた貫通穴54が形成されている。貫通穴54は、転動体14の軸中心Cを中心にして所定径を有する丸穴である。転動体14には、複数(本実施形態においては4つとする。)のピン56が嵌め込まれている。ピン56は、転動体14の軸方向に向けて延びている。ピン56は、転動体14の軸中心C回りに90°間隔で設けられている。
出力軸16は、棒状に形成されている。出力軸16は、ステータ12の軸方向に向けて延びている。出力軸16は、ベース30に軸受け58により支持されていると共に、上部プレート44に軸受け60により支持されている。出力軸16は、軸受け58,60を介してステータ12に対して、ステータ12すなわち転動リング50の軸中心Oを中心にして回転可能である。
出力軸16には、ステータ12の径方向に向けて広がるフランジ部62が形成されている。フランジ部62には、軸方向に空いた貫通穴64が形成されている。貫通穴64は、所定径を有する丸穴である。貫通穴64は、転動体14のピン56の数と同じ数だけ設けられている。貫通穴64は、その径が転動体14のピン56の外径に比して大きくなるように構成されている。出力軸16と転動体14とは、貫通穴64にピン56が挿入されるように配置されている。転動体14は、ピン56が貫通穴64内で移動できる範囲で径方向に向けて自在にスライド移動可能であると共に、また、径方向に向けてスライド移動可能である範囲でピン56が貫通穴64内で移動することができる。
転動体14が上述の如くステータ12の励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴って転動運動すると、ピン56が貫通穴64内を移動することで、出力軸16が転動体14の自転分だけ回転する。従って、転動モータ10によれば、転動体14の転動運動を出力軸16の回転運動に変換して出力することができる。
また、転動モータ10において、転動体14は、ステータコア部20の本体部34とバックヨーク部24の下板部26との間に挟み込まれるように隙間40に挿入されている。ステータコア部20の本体部34には、溝66が設けられている。溝66は、隙間40に面する端面に凹むように形成されている。溝66は、断面矩形状に形成されており、本体部34の端面上で円弧状にかつステータ12の軸中心Oに対して同心円に形成されている。溝66は、本体部34に複数(本実施形態においては3つ)設けられている。これら複数の溝66は、ステータ12の軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。
ステータコア部20(具体的にはその本体部34)は、溝66の存在により隙間40側に向けて突出した突部68を有している。すなわち、ステータコア部20は、溝66及び突部68を有している。突部68は、隙間40に面する端面に溝66の底部から突出するように形成されている。突部68は、断面矩形状に形成されており、本体部34の端面上で円弧状にかつステータ12の軸中心Oに対して同心円に形成されている。突部68は、溝66を挟んで径方向に複数存在している。これら複数の突部68は、ステータ12の軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。また、ステータ12の軸中心O回りの各ステータコア部20の突部68同士は、その軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。
バックヨーク部24の下板部26には、溝70が設けられている。溝70は、隙間40に面する端面に凹むように形成されている。溝70は、断面矩形状に形成されており、下板部26の端面上で円弧状にかつステータ12の軸中心Oに対して同心円に形成されている。溝70は、下板部26に複数(本実施形態においては3つ)設けられている。これら複数の溝70は、ステータ12の軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。また、これら複数の溝70は、上記したステータコア部20の溝66と軸方向に対向するように配置されている。
バックヨーク部24(具体的にはその下板部26)は、溝70の存在により隙間40側に向けて突出した突部72を有している。すなわち、バックヨーク部24は、溝70及び突部72を有している。突部72は、隙間40に面する端面に溝70の底部から突出するように形成されている。突部72は、断面矩形状に形成されており、下板部26の端面上で円弧状にかつステータ12の軸中心Oに対して同心円に形成されている。突部72は、溝70を挟んで径方向に複数存在している。これら複数の突部72は、ステータ12の軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。これら複数の突部72は、上記したステータコア部20の突部68と軸方向に対向するように配置されている。また、ステータ12の軸中心O回りの各バックヨーク部24の突部72同士は、その軸中心Oにおいて互いに同心円となるように配置されている。
転動体14には、溝74,76が設けられている。溝74は、ステータコア部20に面する端面に凹むように形成されている。溝74は、断面矩形状に形成されており、その端面上で円弧状にかつ転動体14の軸中心Cに対して同心円に形成されている。溝74は、転動体14に複数(本実施形態においては3つ)設けられており、ステータコア部20の溝66の数と同数だけ設けられている。これら複数の溝74は、転動体14の軸中心Cにおいて互いに同心円となるように配置されている。
転動体14は、溝74の存在によりステータコア部20に面する端面に突部68側に向けて突出した突部78を有している。すなわち、転動体14は、ステータコア部20に面する端面に溝74及び突部78を有している。突部78は、ステータコア部20の突部68と向かい合う端面に溝74の底部から突出するように形成されている。突部78は、断面矩形状に形成されており、その端面上で円弧状にかつ転動体14の軸中心Cに対して同心円に形成されている。突部78は、径方向端部の溝74に対して径方向に隣接する突部を含んでおり、溝74を挟んで径方向に複数存在している。これら複数の突部78は、転動体14の軸中心Cにおいて互いに同心円となるように配置されている。転動体14は、各溝74の径方向幅がステータコア部20の各溝66の径方向幅に一致し、かつ、各突部78の径方向幅がステータコア部20の各突部68の径方向幅に一致するように形成されている。
転動体14の最小径の溝74の径は、ステータコア部20の最小径の溝66の径に比して小さい。転動体14の最大径の溝74の径は、ステータコア部20の最大径の溝66の径に比して小さい。このため、何れかの励磁磁極において転動体14の溝74がステータコア部20の溝66と軸方向に向けて対向しかつ転動体14の突部78がステータコア部20の突部68と軸方向に向けて対向しているとき、転動体14はステータ12に対して偏心状態にある。この際、その励磁磁極以外の励磁磁極においては、転動体14の溝74がステータコア部20の溝66と対向する位置から径方向内側にずれると共に、転動体14の突部78がステータコア部20の突部68と対向する位置から径方向内側にずれる。
尚、転動体14の溝74の軸中心Cからの径及びステータコア部20の溝66の軸中心Oからの径は、転動体14の偏心により転動体14とステータコア部20とが径方向に最大限ずれたときにも、それらの溝74の径方向位置と溝66の径方向位置とがオーバーラップしかつ転動体14の突部78の径方向位置とステータコア部20の突部68の径方向位置とがオーバーラップするように設定されている。
また、溝76は、バックヨーク部24に面する端面に凹むように形成されている。溝76は、断面矩形状に形成されており、その端面上で円弧状にかつ転動体14の軸中心Cに対して同心円に形成されている。溝76は、転動体14に複数(本実施形態においては3つ)設けられており、バックヨーク部24の溝70の数と同数だけ設けられている。これら複数の溝76は、転動体14の軸中心Cにおいて互いに同心円となるように配置されている。
転動体14は、溝76の存在によりバックヨーク部24に面する端面に突部72側に向けて突出した突部80を有している。すなわち、転動体14は、バックヨーク部24に面する端面に溝76及び突部80を有している。突部80は、バックヨーク部24の突部72と向かい合う端面に溝76の底部から突出するように形成されている。突部80は、断面矩形状に形成されており、その端面上で円弧状にかつ転動体14の軸中心Cに対して同心円に形成されている。突部80は、径方向端部の溝76に対して径方向に隣接する突部を含んでおり、溝76を挟んで径方向に複数存在している。これら複数の突部80は、転動体14の軸中心Cにおいて互いに同心円となるように配置されている。これら複数の突部80は、上記した突部78と同じ位置に配置されている。転動体14は、各溝76の径方向幅がバックヨーク部24の各溝70の径方向幅に一致し、かつ、各突部80の径方向幅がバックヨーク部24の各突部72の径方向幅に一致するように形成されている。
転動体14の最小径の溝76の径は、バックヨーク部24の最小径の溝70の径に比して小さい。転動体14の最大径の溝76の径は、バックヨーク部24の最大径の溝70の径に比して小さい。このため、何れかの励磁磁極において転動体14の溝76がバックヨーク部24の溝70と軸方向に向けて対向しかつ転動体14の突部80がバックヨーク部24の突部72と軸方向に向けて対向しているとき、転動体14はステータ12に対して偏心状態にある。この際、その励磁磁極以外の励磁磁極においては、転動体14の溝76がバックヨーク部24の溝70と対向する位置から径方向内側にずれると共に、転動体14の突部80がバックヨーク部24の突部72と対向する位置から径方向内側にずれる。
尚、転動体14の溝76の径及びバックヨーク部24の溝70の径は、転動体14とバックヨーク部24とが最大限ずれたときにも、それらの溝76の径方向位置と溝70の径方向位置とがオーバーラップしかつ転動体14の突部80の径方向位置とバックヨーク部24の突部72の径方向位置とがオーバーラップするように設定されている。
更に、転動モータ10は、図6に示す如く、励磁磁極の励磁を制御する制御回路90を備えている。制御回路90は、マイクロコンピュータを主体に構成されている。制御回路90には、スイッチング素子92が電気的に接続されている。制御回路90は、スイッチング素子92の開閉状態を制御する。
スイッチング素子92は、それぞれの励磁磁極A,B,C,Dに対応して4つ設けられている。各スイッチング素子92は、電源94と励磁コイル22との間に介在している。以下、適宜、各励磁コイル22a,22b,22c,22dに対応するスイッチング素子92をそれぞれ、スイッチング素子92a,92b,92c,92dとする。電源94は、Eボルトの電圧を出力する。各スイッチング素子92は、電源94から対応の励磁コイル22への電力供給を行うときに閉じられ、その電力供給を行わないときに開放される。
次に、本実施形態の転動モータ10の動作について説明する。
制御回路90は、転動モータ10を停止状態から作動させるうえで、図7に示す如く、まず、何れか一の励磁磁極A,B,C,D(本実施形態においては励磁磁極Aとする。)を励磁すべく、その励磁磁極A,B,C,Dに対応するスイッチング素子92を所定時間T0継続して閉じる起動制御を行う。この場合には、励磁コイル22aに矩形波状に時間変化する通電電圧Eが印加される。
励磁磁極A,B,C,Dに対応する励磁コイル22が通電されると、その励磁磁極A,B,C,Dのステータコア部20と転動体14とその励磁磁極A,B,C,Dのバックヨーク部24とを通る環状の磁束Lが流れる。図8に破線で囲まれる領域に示す如く、何れかの励磁磁極A,B,C,Dにおいて転動体14の溝74,76及び突部78,80がステータコア部20の溝66及び突部68並びにバックヨーク部24の溝70及び突部72から径方向内側にずれている状況において、その励磁磁極A,B,C,Dに対応する励磁コイル22が通電されると、磁気抵抗を減らす方向へ転動体14を吸引する吸引力Fが発生する。
具体的には、図9及び図10に示す如く、励磁される励磁磁極A,B,C,Dのステータコア部20の突部68と転動体14の突部78との径方向への相対位置ずれが生じて、上記の磁束Lが突部68と突部78との間及び突部72と突部80との間を流れ難い状態から、上記の相対位置ずれが解消されて、上記の磁束Lが流れ易い状態へ移行するように、吸引力Fが発生する。この吸引力Fは、励磁された励磁磁極A,B,C,Dのステータコア部20の突部68と転動体14の突部78との、径方向への相対位置ずれを無くし、かつ、励磁された励磁磁極A,B,C,Dのバックヨーク部24の突部72と転動体14の突部80との、径方向への相対位置ずれを無くすように、転動体14とステータ12とを引き合わせて吸引する力(すなわち、リラクタンス力)である。
上記の吸引力Fは、転動体14に径方向外側へスライド移動させる推力Tを発生させる。かかる推力Tが発生すると、その後、転動体14の溝74及び突部78が、励磁された励磁磁極A,B,C,Dのステータコア部20の溝66及び突部68に対して相対位置ずれを起こすことなく軸方向で対向し、かつ、転動体14の溝76及び突部80が、励磁された励磁磁極A,B,C,Dのバックヨーク部24の溝70及び突部72に対して相対位置ずれを起こすことなく軸方向で対向する。この際には、転動体14の外周面の一部が転動リング50の内周面に接する。
尚、何れかの励磁磁極A,B,C,Dにおいて励磁コイル22の通電がなされると、その励磁磁極A,B,C,Dに対応するステータコア部20及びバックヨーク部24では、転動体14との上記した対向が実現されるが、他の励磁磁極B,C,D,Aに対応するステータコア部20及びバックヨーク部24では、転動体14との相対位置ずれが生じる。特に、通電がなされた励磁磁極A,B,C,Dとステータ12の軸中心Oに対して180°対向する励磁磁極C,D,A,Bに対応するステータコア部20及びバックヨーク部24では、転動体14との相対位置ずれが最大となる。
制御回路90が励磁磁極Aに対応するスイッチング素子92aを所定時間T0継続して閉じる起動制御を行うと、励磁コイル22aの通電によって転動体14が転動リング50の励磁磁極A側に引き寄せられることで、転動体14の外周面の一部が転動リング50の内周面に接してその転動体14の位置が確定される。尚、上記の所定時間T0は、転動体14の偏心状態にかかわらず確実に転動体14を励磁磁極A側に引き寄せるのに十分な時間に設定されていればよい。
制御回路90は、上記した起動制御の終了後、励磁される励磁磁極すなわち通電される励磁コイル22をステータ12の軸中心O回り(例えば、図1において反時計回り)に一つずつ順次切り替える。具体的には、起動制御の終了後、励磁磁極Bに対応するスイッチング素子92bを所定時間T1継続して閉じ、その励磁磁極Bへの励磁終了後、励磁磁極Cに対応するスイッチング素子92cを所定時間T1継続して閉じ、その励磁磁極Cへの励磁終了後、励磁磁極Dに対応するスイッチング素子92dを所定時間T1継続して閉じ、それ以降は、励磁磁極A→励磁磁極B→励磁磁極C→励磁磁極D→励磁磁極Aの順でスイッチング素子92の開閉を繰り返し行う回転制御を行う。
かかる回転制御が行われると、各励磁コイル22に順に矩形波状に時間変化する通電電圧Eが印加される。尚、上記の所定時間T1は、転動体14を一の励磁磁極側に引き寄せられている位置から一つだけ軸中心O回りに隣接する励磁磁極側に引き寄せるのに十分な時間に設定されていればよい。
通電される励磁コイル22がステータ12の軸中心O回りに順次切り替わると、磁束の流れる励磁磁極A,B,C,Dがその軸中心O回りに順次移動されることで、すなわち、転動体14が引き寄せられて対向するステータコア部20及びバックヨーク部24が順次切り替わることで、転動体14が転動リング50の内周側において転動運動する。例えば、励磁コイル22aが通電されているときは、転動体14が図11に実線で示す如く励磁磁極A側に引き寄せられた位置Saに達し、また、励磁コイル22bが通電されているときは、転動体14が図11に二点鎖線で示す如く励磁電極B側に引き寄せられた位置Sbに達する。
このように、転動モータ10においては、転動体14とステータ12の励磁磁極A,B,C,Dとが径方向に空隙を空けて対向配置されるものでない一方で、転動体14とステータ12の励磁磁極A,B,C,Dとがその間に大きな空隙を空けることなく軸方向で隣接して配置される。上記の如く、転動体14の偏心により転動体14とステータコア部20とが径方向に最大限ずれても、両者の溝74,66の径方向位置は互いにオーバーラップしかつ両者の突部78,68の径方向位置は互いにオーバーラップする。また同様に、転動体14の偏心により転動体14とバックヨーク部24とが径方向に最大限ずれても、両者の溝76,70の径方向位置は互いにオーバーラップしかつ両者の突部80,72の径方向位置は互いにオーバーラップする。
かかる転動モータ10の構造においては、転動体14が偏心して転動運動している状態でも、転動体14とステータ12の励磁磁極A,B,C,Dとを大きな空隙を空けることなく軸方向で対向させて、その間の空隙を常に小さく抑えることができる。このため、励磁磁極A,B,C,Dの励磁によって転動体14をその励磁磁極A,B,C,Dに確実に吸引することができ、これにより、転動モータ10として十分なトルクを発生させることができると共に、この効果を、転動体14の外周面とステータ12側の転動リング50の内周面との間の空隙の大きさに関係なく実現することができる。
従って、本実施形態によれば、転動モータ10として十分なトルクを確保するのに、転動体14の外周円と転動リング50の内周円との曲率差(すなわち、転動体14の軸中心Cとステータ12の軸中心Oとの偏心を許容する最大偏心量)を小さくすることは不要であり、また、ステータ12の軸中心O回りの励磁磁極A,B,C,Dの極数を増やすことは不要である。すなわち、転動体14の最大偏心量やステータ12の極数に関係なく転動モータ10として十分なトルクを確保することができる。
また、転動体14を吸引力により転動させるうえで、ステータコア部20と転動体14との関係において、溝66と溝74とがそれぞれ同数の複数本(具体的には3つ)設けられていると共に、突部68と突部78とがそれぞれ同数の複数本(具体的には、径方向端部の溝に対して径方向に隣接する突部を含めて4つ)設けられている。更に、バックヨーク部24と転動体14との関係において、溝70と溝76とがそれぞれ同数の複数本(具体的には3つ)設けられていると共に、突部72と突部80とがそれぞれ同数の複数本(具体的には、径方向端部の溝に対して径方向に隣接する突部を含めて4つ)設けられている。
このため、転動モータ10の構成においては、溝66,70,74,76や突部68,72,78,80の数が本実施形態の数よりも少ない構成(例えば溝が一本しか設けられていない構成或いは突部が2本しか設けられていない構成)に比べて、転動体14を引き寄せる吸引力を増加させることができるので、発生させるトルクを増大させることができる。
また、転動体14を吸引力により転動させるうえで、ステータコア部20と転動体14との関係において、溝66,74及び突部68,78が設けられていると共に、バックヨーク部24と転動体14との関係において、溝70,76及び突部72,80が設けられている。すなわち、ステータコア部20及びバックヨーク部24がそれぞれ溝66,70及び突部68,72を有すると共に、転動体14がステータコア部20の溝66及び突部68と向かい合う端面及びバックヨーク部24の溝70及び突部72と向かい合う端面の双方に形成される溝74,76及び突部78,80を有する。このため、転動モータ10の構成においては、ステータコア部20及びバックヨーク部24の何れか一方しか溝及び突部を有さずかつ転動体14の一方の端面しか溝及び突部を有さない構成に比べて、転動体14を引き寄せる吸引力を増加させることができるので、発生させるトルクを増大させることができる。
以上、説明したことから明らかなように、転動モータ10は、励磁コイル22が巻かれたステータコア部20とバックヨーク部24との間に軸方向に空いた隙間40が形成されると共に、軸中心O回りに複数の励磁磁極A,B,C,Dを有するステータ12と、ステータ12の軸中心Oに対して同一中心で配置される円環状の転動リング50と、ステータコア部20とバックヨーク部24とで挟み込まれるように隙間40に挿入されていると共に、励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴ってステータ12の軸中心Oに対して偏心しかつ外周面の一部が転動リング50の内周面に接しながら転動運動を行う円盤状の転動体14と、転動体14の転動運動を回転運動に変換して出力する出力軸16と、を備え、ステータコア部20及びバックヨーク部24の少なくとも一方が、隙間40に面する端面にステータ12の軸中心Oに対して同心円に形成される、隙間40側に向けて突出した突部68,72を有すると共に、転動体14が、その突部68,72と向かい合う端面に該転動体14の軸中心Cに対して同心円に形成される、突部68,72側に向けて突出しかつ励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴って突部68,72に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向する突部78,80を有するものである。
この構成によれば、ステータコア部20とバックヨーク部24との間に軸方向に空いた隙間40に挿入される転動体14が、その軸中心Cに対して同心円に形成される、ステータコア部20及びバックヨーク部24の少なくとも一方の突部68,72に向けて突出する突部78,80を有する。そして、励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴って転動体14がステータ12の軸中心O回りに転動運動される際、その突部78,80が、ステータコア部20又はバックヨーク部24の突部68,72に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向される。かかる構造においては、転動体14が偏心して転動運動している状態でも、転動体14とステータ12の励磁磁極A,B,C、Dとを大きな空隙を空けることなく軸方向で対向させて、その間の空隙を常に小さく抑えることができる。このため、励磁磁極A,B,C、Dの励磁によって転動体14をその励磁磁極A,B,C、Dに確実に吸引することができ、これにより、転動体14の外周面とステータ12側の転動リング50の内周面との間の空隙の大きさに関係なく転動モータ10として十分なトルクを発生させることができる。従って、転動体14の最大偏心量や固定子の極数に関係なく、転動モータ10として十分なトルクを確保することができる。
また、転動モータ10は、ステータコア部20及びバックヨーク部24がそれぞれ、突部68,72を有すると共に、転動体14が、ステータコア部20の突部68と向かい合う端面及びバックヨーク部24の突部72と向かい合う端面の双方に形成される突部78,80を有するものである。従って、ステータコア部20及びバックヨーク部24の何れか一方しか突部を有さずかつ転動体14の一方の端面しか突部を有さない構成に比べて、転動体14を引き寄せる吸引力を増加させることができるので、発生させるトルクを増大させることができる。
また、転動モータ10は、突部68,72が、互いに同心円となるように複数本設けられると共に、突部78,80が、互いに同心円となるように上記の突部68,72の数と同数だけ複数本設けられるものである。従って、各突部68,72,78,80の数が比較的少ない構成に比べて、転動体14を引き寄せる吸引力を増加させることができるので、発生させるトルクを増大させることができる。
また、転動モータ10は、それぞれの励磁磁極A,B,C,Dに対応して設けられる、電力供給を行うために開閉されるスイッチング素子92と、そのスイッチング素子92の開閉状態を制御する制御回路90と、を備えている。従って、スイッチング素子92の制御により各励磁磁極A,B,C,Dの励磁に伴って転動体14を転動させることができる。
ところで、上記の実施形態においては、ステータコア部20の突部68及びバックヨーク部24の突部72が特許請求の範囲に記載した「第1突部」に、転動体14の突部78,80が特許請求の範囲に記載した「第2突部」に、それぞれ相当している。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
上記の実施形態においては、転動体14を吸引力により転動させるうえで、ステータコア部20及びバックヨーク部24がそれぞれ溝66,70及び突部68,72を有すると共に、転動体14がステータコア部20の溝66及び突部68と向かい合う端面及びバックヨーク部24の溝70及び突部72と向かい合う端面の双方に形成される溝74,76及び突部78,80を有する。また、ステータコア部20と転動体14との関係において、溝66と溝74とがそれぞれ同数の複数本(具体的には3つ)設けられていると共に、バックヨーク部24と転動体14との関係において、溝70と溝76とがそれぞれ同数の複数本(具体的には3つ)設けられている。しかし、溝や突部を設ける部位や本数に応じて転動体14を引き寄せる吸引力が変化するため、転動モータ10として必要なトルクや製造コストなどを考慮して、溝や突部を設ける部位や数を決めることとすればよい。
例えば、図12に示す如く、バックヨーク部24のみが溝70及び突部72を有すると共に、転動体14がバックヨーク部24の溝70及び突部72と向かい合う端面に形成される溝76及び突部80のみを有することとしてもよい。またこの際、図13に示す如く、バックヨーク部24と転動体14との関係において、溝70と溝76とがそれぞれ一本ずつ設けられることとしてもよい。
また、図14に示す如く、ステータコア部20のみが溝66及び突部68を有すると共に、転動体14がステータコア部20の溝66及び突部68と向かい合う端面に形成される溝74及び突部78のみを有することとしてもよい。またこの際、図15に示す如く、ステータコア部20と転動体14との関係において、溝66と溝74とがそれぞれ一本ずつ設けられることとしてもよい。
尚、転動体14を吸引力により転動させるうえで、ステータコア部20及びバックヨーク部24がそれぞれ溝66,70及び突部68,72を有すると共に、転動体14がステータコア部20の溝66及び突部68と向かい合う端面及びバックヨーク部24の溝70及び突部72と向かい合う端面の双方に形成される溝74,76及び突部78,80を有する一方で、溝70と溝76とがそれぞれ一本ずつ設けられ、かつ、溝66と溝74とがそれぞれ一本ずつ設けられることとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、制御回路90が励磁コイル22に印加する通電電圧を図7に示す如く矩形波状に時間変化させて形成することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、その通電電圧をPWM制御による平均電圧として図16に示す如く正弦波状に時間変化させて形成することとしてもよい。また、その通電電圧をPWM制御による平均電圧として図17に示す如く三角波状に時間変化させて形成することとしてもよい。かかる変形例の構成によれば、励磁電極の切り替えを滑らかなものとすることができ、転動体14をスムースに転動運動させることが可能となる。
また、上記の実施形態においては、制御回路90が転動モータ10を作動状態から停止させるうえで行う停止制御について規定していないが、その停止制御を行うこととしてもよい。
例えば、制御回路90は、回転制御後の停止制御として、図18に示す如く、何れか一の励磁磁極A,B,C,D(例えば、励磁磁極A)のみの励磁を継続させるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。すなわち、転動モータ14の停止時に一つの励磁磁極A,B,C,Dのみを励磁することにより転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに対して偏心した状態に保持されるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。
一の励磁磁極A,B,C,Dの励磁が継続すると、その励磁磁極A,B,C,Dに対応する励磁コイル22のみが通電されるので、転動体14に、その励磁磁極A,B,C,D側に向いた吸引力が作用する。このため、転動体14の転動停止時、転動体14を、その外周面の一部が転動リング50のその励磁磁極A,B,C,D側の内周面に接した状態、すなわち、転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに対して偏心した状態に保持することができる。従って、かかる変形例によれば、転動体14を転動リング50の何れかの内周面に押し付けた状態で停止させることができるので、転動モータ10の停止時に出力軸16を回転固定させることができる。
また、制御回路90は、上記の停止制御として、2つ以上の励磁磁極A,B,C,D(例えば、励磁磁極A,B)の励磁を同時に継続させるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。かかる変形例によれば、転動体14に作用させる吸引力を任意の方向に定めることができる。
例えば、制御回路90は、上記の停止制御として、ステータ12の軸中心O回りに隣接する2つの励磁磁極A,B,C,D(例えば、励磁磁極A,B)の励磁を同時に継続させるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。この際、2つの励磁コイル22への通電電圧は互いに同じであることが望ましい。このような2つの励磁磁極A,B,C,Dの励磁が同時に継続すると、それらの励磁磁極A,B,C,Dに対応する励磁コイル22が通電されるので、転動体14に、それらの励磁磁極A,B,C,Dの周方向中間の径方向に向いた吸引力が作用する。このため、転動体14の外周面の一部が転動リング50のそれらの励磁磁極A,B,C,Dの周方向中間の内周面に接した状態、すなわち、転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに対して偏心して保持された状態で転動体14の転動が停止される。従って、かかる変形例の停止制御においても、転動体14を転動リング50の何れかの内周面に押し付けた状態で停止させることができるので、出力軸16を回転固定させることができる。
また、制御回路90は、回転制御後の停止制御として、少なくとも2つの励磁磁極A,B,C,Dを同時に励磁することにより転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに保持されるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。例えば、制御回路90は、上記の停止制御として、図19に示す如く、ステータ12の軸中心Oを挟んで180°対向する位置に配置される対となる2つの励磁磁極A,B,C,D(例えば、励磁磁極A,C)を同時に励磁することにより転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに保持されるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。この際、2つの励磁コイル22への通電電圧は、電源94の電圧E以下である互いに同じ電圧E´であることが望ましい。
このように2つの励磁磁極A,B,C,Dの励磁が同時に継続すると、それら2つの励磁磁極A,B,C,Dに対応する励磁コイル22が通電されるので、転動体14に、ステータ12の軸中心Oを挟んで180°相反する吸引力が作用する。このため、転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに保持された状態でその転動が停止される。従って、かかる変形例の停止制御によれば、図20に示す如く、転動体14を転動リング50との間で隙間を空けた状態で保持することができる。
転動体14が転動リング50との間で隙間を空けた状態で保持されると、出力軸16の空回りが可能となる。従って、かかる変形例によれば、転動モータ10にクラッチ機能を持たせることができる。このため、例えば、転動体14と転動リング50とが接する転動面が凹凸のあるギアで構成されている場合においても、転動モータ10の停止時に確実に両者間のギア係合を外すことができ、また、転動モータ10の停止時におけるギアのガタツキなどを防止することができる。
また、この停止制御として、転動体14の軸中心Cがステータ12の軸中心Oに保持されるように、2つ以上の励磁磁極A,B,C,Dの励磁を同時に継続させるように、スイッチング素子92の開閉状態を制御することとしてもよい。例えば、上記した実施形態におけるすべて(4つ)の励磁磁極A,B,C,Dの励磁を同時に継続させることとしてもよい。この際、すべての励磁コイル22への通電電圧は互いに同じであることが望ましい。かかる変形例においても、転動モータ10にクラッチ機能を持たせることができ、これにより、上記の同様の効果を得ることができる。
但し、例えば、本実施形態の如く、ステータ12の励磁磁極A,B,C,Dが軸中心O回りに90°間隔で設けられる構成においては、すべての励磁磁極A,B,C,Dの励磁を同時に継続させることで、転動体14の軸中心Cをステータ12の軸中心Oに保持させることに代えて、上述の如く、ステータ12の軸中心Oを挟んで180°対向する2つの励磁磁極A,B,C,D(例えば、励磁磁極A,C)のみの励磁を同時に継続させることで、転動体14の軸中心Cをステータ12の軸中心Oに保持させることが、省電力の観点から好ましい。
尚、ステータ12の軸中心Oを挟んで180°対向する位置に対となる2つの励磁磁極が存在しない構造(例えば、120°ごとに励磁磁極が設けられる構造)でも、すべての励磁磁極の励磁を同時にかつ同じ通電電圧で継続させること、或いは、各励磁磁極の励磁を同時にかつ適切な通電電圧で継続させることで、転動体14の軸中心Cをステータ12の軸中心Oに保持させることが可能である。
また、上記の実施形態においては、転動体14にピン56を嵌め込み、かつ、出力軸16にそのピン56が挿入される貫通穴64を設けることとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、出力軸16にピンを嵌め込み、かつ、転動体14にそのピンが挿入される貫通穴を設けることとしてもよい。更には、転動体14と出力軸16との接続にギアを用いることとしてもよい。
また、上記の実施形態においては、ステータ12の励磁磁極の数を4つとした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、励磁磁極の数を3つ以上とすればよく、6極や8極の励磁磁極を有するステータ12に適用することとしてもよい。
10 転動モータ、12 ステータ、14 転動体、16 出力軸、20 ステータコア部、22 励磁コイル、24 バックヨーク部、40 隙間、50 転動リング、66,70,74,76 溝、68,72,78,80 突部、90 制御回路、92 スイッチング素子。
Claims (7)
- 励磁コイル(22)が巻かれたステータコア部(20)とバックヨーク部(24)との間に軸方向に空いた隙間(40)が形成されると共に、軸中心回りに複数の励磁磁極(A,B,C,D)を有するステータ(12)と、
前記ステータの軸中心に対して同一中心で配置される円環状の転動リング(50)と、
前記ステータコア部と前記バックヨーク部とで挟み込まれるように前記隙間に挿入されていると共に、前記励磁磁極の励磁に伴って前記ステータの軸中心に対して偏心しかつ外周面の一部が前記転動リングの内周面に接しながら転動運動を行う円盤状の転動体(14)と、
前記転動体の転動運動を回転運動に変換して出力する出力軸(16)と、
を備え、
前記ステータコア部及び前記バックヨーク部の少なくとも一方が、前記隙間に面する端面に前記ステータの軸中心に対して同心円に形成される、前記隙間側に向けて突出する第1突部(68,72)を有すると共に、
前記転動体が、前記第1突部と向かい合う端面に該転動体の軸中心に対して同心円に形成される、前記第1突部側に向けて突出しかつ前記励磁磁極の励磁に伴って前記第1突部に対して径方向への相対位置ずれが解消されるように対向する第2突部(78,80)を有する転動モータ。 - 前記ステータコア部及び前記バックヨーク部がそれぞれ、前記第1突部を有すると共に、
前記転動体が、前記ステータコア部の前記第1突部と向かい合う端面及び前記バックヨーク部の前記第1突部と向かい合う端面の双方に形成される前記第2突部を有する請求項1記載の転動モータ。 - 前記第1突部が、互いに同心円となるように複数本設けられると共に、
前記第2突部が、互いに同心円となるように前記第1突部の数と同数だけ複数本設けられる請求項1又は2記載の転動モータ。 - それぞれの前記励磁磁極に対応して設けられる、電力供給を行うために開閉されるスイッチング素子(92)と、
前記スイッチング素子の開閉状態を制御する制御回路(90)と、
を備える請求項1乃至3の何れか一項記載の転動モータ。 - 前記制御回路は、停止時に一つの前記励磁磁極のみを励磁することにより前記転動体の軸中心が前記ステータの軸中心に対して偏心した状態に保持されるように、前記スイッチング素子の開閉状態を制御する請求項4記載の転動モータ。
- 前記制御回路は、停止時に少なくとも2つの前記励磁磁極を同時に励磁することにより前記転動体の軸中心が前記ステータの軸中心に保持されるように、前記スイッチング素子の開閉状態を制御する請求項4記載の転動モータ。
- 複数の前記励磁磁極のうちに、前記ステータの軸中心を挟んで180°対向する位置に配置される対となる2つの前記励磁磁極が含まれると共に、
前記制御回路は、停止時に該対となる2つの前記励磁磁極を同時に励磁することにより前記転動体の軸中心が前記ステータの軸中心に保持されるように、前記スイッチング素子の開閉状態を制御する請求項6記載の転動モータ。
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