JP2017098343A - 可変容量デバイス及びアンテナ回路 - Google Patents

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大基 石井
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Abstract

【課題】交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を抑制すること。【解決手段】第1端子電極50及び第2端子電極52と、前記第1端子電極と前記第2端子電極との間に直列に接続され、交流信号の電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する誘電体層24と前記誘電体層を挟む下部電極22及び上部電極26とを有し、直流電圧が印加されることで容量が変化するする複数のキャパシタ20a〜20hと、を備え、前記複数のキャパシタは、初期容量C1の1又は複数のキャパシタ20a、20hと、第1初期容量C1とは異なる初期容量C2の1又は複数のキャパシタ20b〜20gと、を含む可変容量デバイス。【選択図】図4

Description

本発明は、可変容量デバイス及びアンテナ回路に関する。
例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)モジュールや無線給電モジュールでは、アンテナに用いられるコイルの電気特性のばらつきや使用環境などにより予め定められた共振周波数が変化することが生じている。近年の携帯端末などの小型化に伴いアンテナも小さくなっているため、共振周波数の変化が回路設計では許容できなくなってきている。そこで、共振周波数を調整するために、直流バイアス電圧によって容量が変化する可変容量デバイスを用いることが知られている。
また、可変容量デバイスを用いて共振周波数を変化させることで、アンテナに過大な受信電圧が入力されることにより後段の集積回路が破壊されることを抑制することが知られている(例えば、特許文献1)。また、耐圧性の向上や交流電力処理能力の向上のために、複数の可変容量デバイスを交流信号に対して直列に接続させることが知られている(例えば、特許文献2、3)。
特開2010−55570号公報 特開2011−119482号公報 特表2005−508096号公報
可変容量デバイスは、直流バイアス電圧に対して容量の変化が大きく、かつ入力される交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化が小さいことが望ましい。しかしながら、従来の可変容量デバイスでは、この点に関して改善の余地が残されている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化が抑制された可変容量デバイス及びアンテナ回路を提供することを目的とする。
本発明は、第1端子電極及び第2端子電極と、前記第1端子電極と前記第2端子電極との間に直列に接続され、交流信号の電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する誘電体層と前記誘電体層を挟む下部電極及び上部電極とを有し、直流電圧が印加されることで容量が変化する複数のキャパシタと、を備え、前記複数のキャパシタは、第1初期容量の1又は複数のキャパシタと、前記第1初期容量とは異なる1又は複数の初期容量の1又は複数のキャパシタと、を含むことを特徴とする可変容量デバイスである。
上記構成において、前記第1初期容量の1又は複数のキャパシタは、前記誘電体層を挟んで前記下部電極と前記上部電極とが対向する面積、前記誘電体層の厚さ、及び前記誘電体層の材料の少なくとも1つが前記第1又は複数の初期容量の1又は複数のキャパシタと異なる構成とすることができる。
上記構成において、前記複数のキャパシタは、第1初期容量を有する1又は複数の第1キャパシタと、前記第1初期容量と異なる第2初期容量を有し、前記第1キャパシタと同数の第2キャパシタと、で構成されている構成とすることができる。
上記構成において、直流電圧の印加に用いられる、第3端子電極及び第4端子電極を備え、前記複数のキャパシタは、前記第3端子電極と前記第4端子電極との間に並列に接続されている構成とすることができる。
上記構成において、前記複数のキャパシタは、同じ大きさの前記直流電圧が印加される構成とすることができる。
上記構成において、前記複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタに印加される前記直流電圧の大きさは、他のキャパシタに印加される前記直流電圧の大きさと異なる構成とすることができる。
上記構成において、前記複数のキャパシタのうちの少なくとも2つのキャパシタは積層されている構成とすることができる。
上記構成において、積層された前記少なくとも2つのキャパシタは、初期容量が異なる構成とすることができる。
上記構成において、前記複数のキャパシタの容量は、前記誘電体層を挟んで前記下部電極と前記上部電極とが対向する一続きの領域で決定される構成とすることができる。
本発明は、上記のいずれかに記載の可変容量デバイスを備えることを特徴とするアンテナ回路である。
本発明によれば、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を抑制することができる。
図1は、初期容量が同じキャパシタを直列接続させた可変容量デバイスにおける、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化の実験結果を示す図である。 図2は、図1の実験結果を、横軸を直列接続されたキャパシタの個数、縦軸を交流信号の電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲での容量の変化量として表した図である。 図3は、実施例1に係る可変容量デバイスの回路図である。 図4は、実施例1に係る可変容量デバイスの上面図である。 図5は、図4のA−A間の断面図である。 図6は、Ba0.5Sr0.5TiOを用いた可変容量デバイスにおいて、製膜温度が異なった場合又は製膜される基板の種類が異なった場合での、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化率を示す図である。 図7(a)は、図4のB−B間の断面図、図7(b)は、図4のC−C間の断面図である。 図8は、実施例1及び比較例1の可変容量デバイスにおける、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。 図9(a)から図9(c)は、キャパシタに印加する直流バイアス電圧の大きさを変えたときの、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図である。 図10は、実施例1の可変容量デバイスにおいて、交流信号の振幅(電圧)に対する初期容量C1のキャパシタの容量変化及び初期容量C2のキャパシタの容量変化の測定結果を示す図である。 図11(a)は、実施例1〜実施例1の変形例1〜5の可変容量デバイスにおいて、初期容量C1、C2の容量比を変えた場合での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図、図11(b)は、図11(a)の一部を拡大した図である。 図12(a)から図12(c)は、実施例1の変形例1において、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくならなかった理由を説明するための図(その1)である。 図13(a)から図13(c)は、実施例1の変形例1において、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくならなかった理由を説明するための図(その2)である。 図14は、各種材料を誘電体層に用いたキャパシタを交流信号の入出力端子間に1個接続させた場合における、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。 図15は、実施例2に係る可変容量デバイスの断面図である。 図16は、実施例3に係る可変容量デバイスの断面図である。 図17は、実施例4に係る可変容量デバイスの断面図である。 図18は、実施例5に係る可変容量デバイスの上面図である。 図19は、実施例5の変形例1に係る可変容量デバイスの上面図である。 図20は、実施例6に係る可変容量デバイスの回路図である。 図21は、実施例6に係る可変容量デバイスの上面図である。 図22は、図21のA−A間の断面図である。 図23(a)は、図21のB−B間の断面図、図23(b)は、図21のC−C間の断面図、図23(c)は、図21のD−D間の断面図である。 図24は、実施例6及び比較例2の可変容量デバイスにおける、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。 図25は、実施例6の可変容量デバイスにおいて、交流信号の振幅(電圧)に対する初期容量C1のキャパシタの容量変化及び初期容量C2のキャパシタの容量変化の測定結果を示す図である。 図26(a)は、実施例6〜実施例6の変形例1〜5の可変容量デバイスにおいて、初期容量C1、C2の容量比を変えた場合での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図、図26(b)は、図26(a)の一部を拡大した図である。 図27は、実施例7に係る可変容量デバイスの断面図である。 図28は、実施例8に係る可変容量デバイスの必要部の回路図である。 図29は、実施例9に係るアンテナ回路を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
まず、発明者が行った実験について説明する。発明者は、厚さ90nmのBa0.5Sr0.5TiOが誘電体層に用いられ且つ初期容量が同じキャパシタを直列に接続させた可変容量デバイスに対して、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化について実験を行った。実験は、交流信号の入出力端子間に1個、2個、4個、6個、又は8個のキャパシタを直列に接続させ、各キャパシタに印加する直流バイアス電圧を0Vとして行った。なお、初期容量とは、キャパシタに直流バイアス電圧が印加されていない状態で交流信号電圧の実効値が1Vrmsを印加して測定したときの容量である。
図1は、初期容量が同じキャパシタを直列接続させた可変容量デバイスにおける、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化の実験結果を示す図である。図1の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、交流信号電圧の実効値が1Vrmsのときの容量値を基準(100%)とした容量変化率である。図1のように、Ba0.5Sr0.5TiOのような直流バイアス電圧によって容量が大きく変化する材料を誘電体層に用いた場合、交流信号電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する場合があることが分かる。
図2は、図1の実験結果を、横軸を直列接続されたキャパシタの個数、縦軸を交流信号電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲での容量の変化量(最大容量−最小容量)として表した図である。図2のように、直列接続されるキャパシタの個数を増やすことで交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化量を小さくできるが、キャパシタの個数を増やすほど容量の変化量が小さくなる訳ではなく、ある個数(図2では6個)より多くしても容量の変化量はほとんど変わらないことが分かる。
このように、複数のキャパシタを直列に接続させるだけでは、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を小さくすることに限界がある。そこで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化をより小さくすることが可能な実施例を以下に説明する。
図3は、実施例1に係る可変容量デバイス100の回路図である。図3のように、実施例1の可変容量デバイス100は、高周波(例えば100kHz以上(例えば13.56MHz)の周波数)の交流信号が入出力される、第1端子10と第2端子12との間に複数のキャパシタ20a〜20hが直列に接続されている。第1端子10及び第2端子12に近い2つのキャパシタ20a、20hの初期容量C1は、その他のキャパシタ20b〜20gの初期容量C2よりも大きくなっている。なお、交流信号の周波数は上記の値(例えば13.56MHz)に限定されるものではない。
複数のキャパシタ20a〜20hは、直流バイアス電圧の印加に用いられる、第3端子14と第4端子16との間に並列に接続されている。複数のキャパシタ20a〜20hの一端は、交流除去用の抵抗Rを介して第3端子14に接続されている。複数のキャパシタ20a〜20hの他端は、交流除去用の抵抗Rを介して第4端子16に接続されている。全ての抵抗Rは、例えば同じ大きさの抵抗値を有する。第4端子16は、例えばグランドに接続される。第3端子14と第4端子16との間に印加される直流バイアス電圧の大きさに応じて、複数のキャパシタ20a〜20hの容量が変化する。
図4は、実施例1に係る可変容量デバイス100の上面図である。図5は、図4のA−A間の断面図である。なお、図4においては、図の明瞭化のために配線層44を破線で示し且つ絶縁膜の図示は省略している。図4及び図5のように、実施例1の可変容量デバイス100は、上面に絶縁膜32が形成された支持基板30上に、複数のキャパシタ20a〜20hが形成されている。支持基板30は、例えば厚さ200μmのシリコン(Si)基板である。絶縁膜32は、例えば厚さ1μmの酸化シリコン(SiO)膜である。なお、支持基板30として、例えば石英基板、アルミナ基板、サファイア基板、又はガラス基板などの絶縁性基板を用いてもよいし、例示のようにSiなどの導電性基板(好ましくは高抵抗基板)を用いてもよい。絶縁性基板を用いる場合は、上面の絶縁膜を省略することができる。導電性基板を用いる場合は、上面に絶縁膜が形成されることが好ましい。
複数のキャパシタ20a〜20hは、絶縁膜32上に密着層34を介して形成された下部電極22と、下部電極22上に形成された誘電体層24と、誘電体層24上に形成された上部電極26と、で構成されている。なお、密着層34は形成されていない場合でもよい。キャパシタ20aとキャパシタ20bとは、互いの下部電極22が接続されて一体となっている。同様に、キャパシタ20cとキャパシタ20d、キャパシタ20eとキャパシタ20f、及びキャパシタ20gとキャパシタ20hも、互いの下部電極22が接続されて一体となっている。なお、下部電極22が接続されずに分離されていて、別の配線などによって電気的に接続されている場合でもよい。
下部電極22及び上部電極26は、例えば厚さ250nmの白金(Pt)である。誘電体層24は、例えば厚さ90nmで、マンガン(Mn)が添加されたBST(BaSrTiO)層であり、組成比はBa0.5Sr0.5TiOである。なお、リーク特性を改善する目的で、Mn以外の、例えばニオブ(Nb)などを添加してもよいし、耐圧特性など他の特性の改善のために、その他の微量添加物を添加してもよい。また、BaとSrの組成比は0.5:0.5の場合に限られず、後述の0056段落や図14のように、その他の組成比に適宜変更することができる。
誘電体層24は、図1のように、交流信号電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有するように作製した。誘電体層が同一組成であっても、製膜温度や製膜される基板などにより極大値を取らないものもあるため、適宜選択すればよく組成条件や製膜条件については限定しない。同一組成であっても製膜条件が異なれば交流信号の電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性が変化する。図6は、Ba0.5Sr0.5TiOを用いた可変容量デバイスにおいて、製膜温度が異なった場合又は製膜される基板の種類が異なった場合での、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化率を示す図である。図6の横軸は、デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、交流信号電圧の実効値が1Vrmsのときの容量値を基準(100%)とした容量変化率である。図6のように、SiO膜付きSi基板上に製膜温度500℃(実施例1で作製したときの条件)でBa0.5Sr0.5TiOを製膜した場合が、低温製膜条件である製膜温度350℃で製膜したときよりも適した特性となっている。また、製膜される基板では、SiO膜付きSi基板よりも、MgO基板を使用した方がより適した特性となっている。実施例1では、交流信号電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する誘電体層を選択して用いることに特徴がある。
密着層34は、例えばチタン(Ti)層や酸化チタン(TiO)層である。なお、下部電極22及び上部電極26として、例えばイリジウム(Ir)又はルテニウム(Ru)などの貴金属や、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化イリジウム(IrO)などの導電性酸化物を用いてもよい。
キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとは、誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積が異なっている。キャパシタ20a、20hにおいて誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積は、キャパシタ20b〜20gにおいて誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積よりも大きくなっている。このため、キャパシタ20a、20hの初期容量C1は、キャパシタ20b〜20gの初期容量C2よりも大きくなっている。また、キャパシタ20a、20hは、誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積は同じになっているため、それぞれの初期容量C1は同じになっている。同様に、キャパシタ20b〜20gは、誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積は同じになっているため、それぞれの初期容量C2は同じになっている。
絶縁膜32上に、上部電極26の上面を露出させ且つ他の領域を覆う絶縁膜36が形成されている。絶縁膜36は、例えば酸化チタン(TiO)などの密着層38を介して形成されているが、密着層38が形成されていない場合でもよい。絶縁膜36は、例えば厚さ100nmの酸化アルミニウム(Al)膜である。なお、絶縁膜36として、Al膜以外にも、例えば窒化シリコン(SiN)膜、酸化タンタル(Ta)膜、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO)膜などを用いてもよい。また、絶縁膜36は、これらの単層膜であってもよいし、積層膜であってもよい。
絶縁膜36上に、上部電極26の上面を露出させる開口を有する絶縁膜40が形成されている。絶縁膜40の開口には、シード層42を介して、配線層44が埋め込まれている。なお、シード層42は形成されていない場合でもよい。絶縁膜40及び配線層44上に、絶縁膜46が形成されている。絶縁膜36、40、46は、保護膜としての機能を有する。複数のキャパシタ20a〜20hは、配線層44によって、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列に接続されている。また、複数のキャパシタ20a〜20hは、配線層44によって、第3端子電極54と第4端子電極56との間に並列に接続されている。第1端子電極50から第4端子電極56は、例えば厚さ10μmで、Cu、Ni、錫(Sn)がこの順に積層された積層膜である。なお、第1端子電極50から第4端子電極56は、金(Au)や半田を用いてもよい。第1端子電極50は図3の第1端子10に対応し、第2端子電極52は図3の第2端子12に対応する。第3端子電極54は図3の第3端子14に対応し、第4端子電極56は図3の第4端子16に対応する。
絶縁膜40、46は、例えば厚さ3μmのポリイミド膜である。配線層44は、例えば厚さ4μmの銅(Cu)メッキである。シード層42は、例えば窒化タンタル(TaN)とタンタル(Ta)とCuの積層膜である。なお、絶縁膜40、46として、例えばSiO膜やSiN膜などの無機絶縁膜や、BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂などの有機絶縁膜を用いてもよい。配線層44として、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金(AlSiやAlCuなど)などの導電性材料を用いてもよい。シード層42として、TaN、Ta、Cuの積層膜以外にも、TaNの代わりに、窒化チタン(TiN)、珪化窒化チタン(TiSiN)、珪化窒化タンタル(TaSiN)などの窒化物やSrRuO、IrOなどの酸化物を用いてもよい。
図7(a)は、図4のB−B間の断面図、図7(b)は、図4のC−C間の断面図である。図4及び図7(a)のように、絶縁膜36上に、抵抗膜48が形成されている。抵抗膜48は、配線層44を介して、第3端子電極54と下部電極22との間に接続されている。抵抗膜48は、図3の第3端子14と複数のキャパシタ20a〜20hとの間に接続された抵抗Rに対応する。図4及び図7(b)のように、絶縁膜36上に、抵抗膜49が形成されている。抵抗膜49は、配線層44を介して、第4端子電極56と上部電極26との間に接続されている。抵抗膜49は、図3の第4端子16と複数のキャパシタ20a〜20hとの間に接続された抵抗Rに対応する。抵抗膜48、49は、例えば厚さ80nmのTaSiN膜である。なお、抵抗膜48、49として、Ni−Cu合金やFe−Cr−Al合金などの高抵抗膜を用いてもよい。また、抵抗膜48、49は、絶縁膜36上に形成される場合に限られず、その他の場所に形成されてもよい。
次に、図4、図5、図7(a)、及び図7(b)を用い、実施例1に係る可変容量デバイス100の製造方法について説明する。まず、絶縁膜32付きの支持基板30上に、下部電極22、誘電体層24、及び上部電極26を、例えばスパッタリング法を用いてこの順に成膜する。次いで、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、下部電極22、誘電体層24、及び上部電極26を所望の形状にパターニングする。これにより、複数のキャパシタ20a〜20hが形成される。この際、キャパシタ20a、20hにおいて下部電極22と上部電極26とが誘電体層24を挟んで対向する面積が、キャパシタ20b〜20gにおいて下部電極22と上部電極26とが誘電体層24を挟んで対向する面積よりも大きくなるようにパターニングする。
次いで、複数のキャパシタ20a〜20hを覆うように、例えばスパッタリング法を用いて、密着層38及び絶縁膜36を成膜する。次いで、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、上部電極26の上面に形成された密着層38及び絶縁膜36を除去する。次いで、絶縁膜36上に、例えばスパッタリング法を用いて抵抗膜48、49を成膜した後、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて所望の形状にパターニングする。
次いで、絶縁膜36上に、抵抗膜48、49の一部と下部電極22の一部と上部電極26の上面とが露出する開口を有する絶縁膜40を形成する。次いで、例えばスパッタリング法を用いて、絶縁膜40の表面にシード層42を形成する。次いで、例えば電解めっき法を用いて、絶縁膜40の開口内に埋め込まれるように配線層44を形成する。次いで、絶縁膜40及び配線層44上に絶縁膜46を形成した後、例えばフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて絶縁膜46に形成した開口内に埋め込まれるように第1〜第4端子電極50〜56を形成する。これにより、実施例1の可変容量デバイス100が形成される。
ここで、発明者が行った実験について説明する。発明者は、実施例1の可変容量デバイス100を作製し、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を測定した。作製した可変容量デバイス100の誘電体層24は、後述の図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜とした。図8は、実施例1の可変容量デバイス100における、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。図8の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、デバイス全体の容量値である。なお、60pF用に設計され、キャパシタ20a、20hの初期容量C1とキャパシタ20b〜20gの初期容量C2との容量比(C2/C1)を0.2とした可変容量デバイス100を作製し、複数のキャパシタ20a〜20hに印加される直流バイアス電圧は0Vとして測定を行った。なお、図8では、比較のために、キャパシタ20a〜20hの初期容量が全て同じであること以外は、実施例1の可変容量デバイス100と同じにした比較例1の可変容量デバイスの測定結果も示している。
ここで、直流バイアス電圧を0Vとして測定を行った理由を以下に説明する。発明者は、図1のときと同じ可変容量デバイスを用い、キャパシタに印加する直流バイアス電圧を1V、2V、3Vとして実験を行った。なお、この際の誘電体層は、後述の図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜である。図9(a)から図9(c)は、キャパシタに印加する直流バイアス電圧の大きさを変えたときの、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図である。図9(a)から図9(c)の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、直流バイアス電圧が0Vで、交流信号電圧の実効値が1Vrmsのときの容量値を基準(100%)とした場合の容量変化率である。
図9(a)から図9(c)のように、キャパシタに印加する直流バイアス電圧が大きくなる程、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなることが分かる。つまり、直流バイアス電圧0Vのときが、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が最も大きくなると言える。したがって、直流バイアス電圧0Vのときの交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化を抑えることが望ましいことから、図8では直流バイアス電圧を0Vとして測定を行った。
図8のように、交流信号電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲において、実施例1は、比較例1に比べて、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなっていることが分かる。なお、交流信号電圧の実効値の下限を0.1Vrmsとしたのは、交流信号の振幅を入れるためには0Vよりも大きくする必要があるためである。上限を15Vrmsとしたのは、NFCモジュールなどで受信する信号を考慮したものである。
実施例1の可変容量デバイス100で、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなったのは以下の理由によるものと考えられる。すなわち、実施例1の可変容量デバイス100では、キャパシタ20a、20hの初期容量C1とキャパシタ20b〜20gの初期容量C2とが異なっている。このため、キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとで、交流信号電圧のかかり具合が変わる。これにより、可変容量デバイス100全体にかかる交流信号電圧に対して、キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとで容量の変化具合が変わる。このことを、図10を用いて説明する。
図10は、実施例1の可変容量デバイス100において、交流信号の振幅(電圧)に対する初期容量C1のキャパシタの容量変化及び初期容量C2のキャパシタの容量変化の測定結果を示す図である。なお、可変容量デバイス100の誘電体層24には、後述の図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜を用いた。図10の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。左側縦軸は、初期容量C1のキャパシタ20a、20hの容量値、右側縦軸は、初期容量C2のキャパシタ20b〜20gの容量値である。なお、測定は、図7の場合と同じ条件で行った。図10のように、初期容量が異なるキャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとでは、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の軌跡が異なることが分かる。例えば、交流信号電圧のある範囲において、初期容量C1のキャパシタ20a、20hの容量は交流信号電圧の増加に対して大きくなり、初期容量C2のキャパシタ20b〜20gの容量は交流信号電圧の増加に対して小さくなることが生じる。
キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとで容量変化の軌跡が異なることで、交流信号の振幅(電圧)に対するキャパシタ20a〜20hの合成容量の変化が小さくなると考えられる。これにより、実施例1の可変容量デバイス100は、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなったものと考えられる。なお、キャパシタ単体での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の変化形状やキャパシタの直列数により、初期容量C1とC2の比の最適比率は変化するため、容量比率の最適値を規定することは難しい。その上で、実施例1の構造の場合では、可変容量デバイス100の交流信号振幅に対する容量変化を抑える点から、キャパシタ20a、20hの容量が最大となる交流信号電圧は、キャパシタ20b〜20gの容量が最大となる交流信号電圧の1.5倍以上且つ3.0倍以下の場合が好ましく、1.5倍以上且つ2.5倍以下の場合がより好ましく、1.5倍以上且つ2.0倍以下の場合がさらに好ましい。
次に、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列に接続されるキャパシタの個数を変えた場合での、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化について説明する。発明者は、実施例1の可変容量デバイス100と、実施例1とはキャパシタの個数を変えた実施例1の変形例1〜変形例5の可変容量デバイスと、に関して、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化について実験した。実施例1の変形例1は4個のキャパシタが、変形例2は6個のキャパシタが、変形例3は10個のキャパシタが、変形例4は14個のキャパシタが、変形例5は18個のキャパシタが、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列に接続されている。そして、実施例1の変形例1〜変形例5においても、実施例1と同じく、第1端子電極50と第2端子電極52に近い2個のキャパシタ(以下、外側キャパシタと称する)の初期容量C1を、外側キャパシタの間に接続された内側キャパシタの初期容量C2よりも大きくした。
図11(a)は、実施例1〜実施例1の変形例1〜5の可変容量デバイスにおいて、初期容量C1、C2の容量比を変えた場合での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図、図11(b)は、図11(a)の一部を拡大した図である。なお、可変容量デバイスの誘電体層24には、後述の図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜を用いた。図11(a)及び図11(b)の横軸は、外側キャパシタの初期容量C1と内側キャパシタの初期容量C2との容量比(C2/C1)である。縦軸は、交流信号電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲での容量の変化量(即ち、0.1Vrms〜15Vrmsの範囲での容量の最大値と最小値の差分の絶対値)である。なお、比較のために、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列接続された複数のキャパシタの初期容量が全て同じ(C2/C1=1)場合の結果も示している。
図11(a)及び図11(b)のように、実施例1、実施例1の変形例2〜変形例5では、初期容量の容量比(C2/C1)を1よりも小さくすることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなる結果が得られた。このように、直列に接続されたキャパシタの個数が8個以外の場合であっても、初期容量の容量比を1から変えることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化を小さくできることが分かる。なお、実施例1の変形例1(4個のキャパシタを直列に接続)では、初期容量の容量比を1から変えても交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくならなかったのは以下の理由によるものと考えられる。
図12(a)から図13(c)は、実施例1の変形例1において、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくならなかった理由を説明するための図である。図12(a)は、図1から初期容量が同じ4個のキャパシタを直列接続させた場合の結果を抜き出した図、図13(a)は、図1から初期容量が同じ8個のキャパシタを直列接続させた場合の結果を抜き出した図である。図12(b)及び図12(c)は、実施例1の変形例1(4個のキャパシタを直列に接続)において、初期容量の容量比(C2/C1)を0.2とした場合での、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を示した図である。図13(b)及び図13(c)は、実施例1(8個のキャパシタを直列に接続)において、初期容量の容量比(C2/C1)を0.2とした場合での、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を示した図である。なお、比較のために、図12(c)では、初期容量が同じ4個のキャパシタを直列に接続させたデバイスの容量変化率(図12(a)に示した容量変化率)を、図13(c)では、初期容量が同じ8個のキャパシタを直列に接続させたデバイスの容量変化率(図13(a)に示した容量変化率)を、デバイスの容量(比較例)として示している。図12(b)、図12(c)、図13(b)、及び図13(c)の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。図12(b)及び図13(b)の左側縦軸は、直列に接続されたキャパシタの合成容量値及び初期容量C2のキャパシタの容量値、右側縦軸は、初期容量C1のキャパシタの容量値である。図12(c)及び図13(c)の縦軸は、交流信号電圧の実効値が1Vrmsのときの容量値を基準(100%)とした容量変化率である。
図12(a)のように、初期容量が同じキャパシタを4個直列に接続させた可変容量デバイスでは、交流信号電圧が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲において、最大交流電圧(15Vrms)のときの容量が最小交流電圧(0.1Vrms)のときの容量に比べて小さくなっている。一方、図13(a)のように、初期容量が同じキャパシタを8個直列に接続させた可変容量デバイスでは、交流信号電圧が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲において、最大交流電圧(15Vrms)のときの容量が最小交流電圧(0.1Vrms)のときの容量に比べて大きくなっている。
図13(a)のように最大交流電圧のときの容量が最小交流電圧のときの容量に比べて大きい場合、図13(b)及び図13(c)のように、初期容量の容量比(C2/C1)を変化させると、合成容量の振る舞いを律則する初期容量C2(C1>C2)の交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化量が小さくなる。このため、初期容量C1、C2の容量比を変えることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化が小さくなると考えられる。一方、図12(a)のように最大交流電圧のときの容量が最小交流電圧のときの容量に比べて小さい場合、図12(b)及び図12(c)のように、初期容量の容量比(C2/C1)を変化させても合成容量の振る舞いを律則する初期容量C2(C1>C2)の交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化量が小さくならない。このため、初期容量C1、C2の容量比を変えたとしても、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化が小さくならないと考えられる。このような理由から、実施例1の変形例1(4個のキャパシタを直列に接続)では、初期容量の容量比を1から変えても交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化が小さくならなかったものと考えられる。なお、交流信号の電圧範囲を範囲内の最大振幅電圧のときの容量が最小振幅電圧のときの容量に比べて大きい範囲に限定すれば、4個のキャパシタを直列に接続させた場合でも、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化を小さくすることができる。
実施例1によれば、図4、図5のように、第1端子電極50と第2端子電極52との間に、交流信号の電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性の誘電体層24を有する複数のキャパシタ20a〜20hが直列に接続されている。複数のキャパシタ20a〜20hは、初期容量C1の1又は複数のキャパシタ20a、20hと、初期容量C1とは異なる初期容量C2の1又は複数のキャパシタ20b〜20gと、を含む。言い換えると、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの少なくとも1つのキャパシタ20a、20hの初期容量C1は、他のキャパシタ20b〜20gの初期容量C2と異なっている。これにより、図8、図10から図11(b)で説明したように、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を抑制することができる。
また、実施例1によれば、図4のように、複数のキャパシタ20a〜20hは、直流バイアス電圧の印加に用いられる第3端子電極54と第4端子電極56との間に並列に接続されている。これにより、直流バイアス電圧が複数のキャパシタ20a〜20hに印加されるため、より低い直流バイアス電圧によって複数のキャパシタ20a〜20hの容量を調整することが可能となる。この結果、直流バイアス電圧の印加による複数のキャパシタ20a〜20hの容量変化量を大きくすることができる。
また、実施例1によれば、図3における複数の抵抗Rの抵抗値は全て同じ大きさとなっている。このため、複数のキャパシタ20a〜20hは、同じ大きさの直流バイアス電圧が印加される。これにより、直流バイアス電圧の印加による複数のキャパシタ20a〜20hの容量変化を同等にすることができる。
なお、実施例1では、誘電体層24が、Ba0.5Sr0.5TiOからなる場合を例に示したが、この場合に限られるわけではない。誘電体層24として、交流信号電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する材料を用いることができる。図14は、各種材料を誘電体層に用いたキャパシタを交流信号の入出力端子間に1個接続させた場合における、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。図13の横軸は、デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、交流信号電圧の実効値が1Vrmsのときの容量値を基準(100%)とした場合の容量変化率である。なお、測定は、誘電体層が厚さ90nmのBa0.3Sr0.7TiO、Ba0.4Sr0.6TiO、Ba0.5Sr0.5TiO、又はPbTiOのいずれかで形成され、キャパシタに印加される直流バイアス電圧を0Vとして行った。
図14のように、誘電体層がBa0.3Sr0.7TiO、Ba0.4Sr0.6TiO、Ba0.5Sr0.5TiO、及びPbTiOのいずれで形成されている場合でも、交流信号電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じることが分かる。したがって、誘電体層24は、BST(BaSrTiO)や、PbTiO、PZT(PbZrTiO)などのペロブスカイト型酸化物などを用いることができ、常誘電体及び強誘電体のいずれも用いることができる。
なお、実施例1では、第1端子電極50と第2端子電極52に近いキャパシタの初期容量が、他のキャパシタの初期容量と異なる場合を例に示したが、この場合に限られる訳ではない。複数のキャパシタのうちの中央付近に接続されたキャパシタの初期容量をその他のキャパシタよりも大きく又は低くするような場合でもよい。すなわち、複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタの初期容量が他のキャパシタの初期容量と異なるようにすればよい。
なお、図11(a)及び図11(b)から、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列接続されるキャパシタの個数は、6個以上且つ18個以下の場合が好ましく、6個以上且つ10個以下の場合がより好ましく、6個以上且つ8個以下の場合がさらに好ましい。また、上述したように、キャパシタ単体での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の変化形状やキャパシタの直列数により、初期容量C1とC2の比の最適比率は変化するため、容量比率の最適値を規定することは難しい。その上で、実施例1の構造の場合では、初期容量C1と初期容量C2との比(C2/C1)は、直列に接続されたキャパシタの個数が8個以上では、0.1以上且つ1.0未満の場合が好ましく、0.1以上且つ0.6以下の場合がより好ましく、0.2以上且つ0.4以下の場合がさらに好ましい。直列に接続されたキャパシタの個数が6個の場合は、0.7以上1.0未満の場合が好ましく、0.7以上且つ0.9以下の場合がより好ましく、0.7以上且つ0.8以下の場合がさらに好ましい。
なお、実施例1において、交流除去用の抵抗Rに代えて、交流除去用のインダクタを用いてもよい。
なお、実施例1において、複数のキャパシタ20a〜20hは、誘電体層の下面に接して下部電極が形成され、上面に接して上部電極が形成されている。すなわち、複数のキャパシタ20a〜20hの容量は、誘電体層を挟んで下部電極と上部電極とが対向する一続きの領域で決定されている。
図15は、実施例2に係る可変容量デバイス200の断面図である。図15のように、実施例2の可変容量デバイス200では、複数のキャパシタ20a〜20hにおいて誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積が同じになっている。一方で、キャパシタ20a、20hでの誘電体層24の厚さが、キャパシタ20b〜20gでの誘電体層24の厚さよりも薄くなっている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例2のように、キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとは、誘電体層24の厚さが異なることで初期容量が異なる場合でもよい。
図16は、実施例3に係る可変容量デバイス300の断面図である。図16のように、実施例3の可変容量デバイス300では、複数のキャパシタ20a〜20hにおいて誘電体層24a、24bを挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積が同じになっている。一方で、キャパシタ20a、20hの誘電体層24aとキャパシタ20b〜20gの誘電体層24bとは異なる材料で形成されていて、直流バイアス電圧及び交流信号電圧が印加されていない状態での誘電体層24aの誘電率が誘電体層24bよりも大きくなっている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例3のように、キャパシタ20a、20hとキャパシタ20b〜20gとは、誘電体層24a、24bの材料が異なることで初期容量が異なる場合でもよい。
なお、実施例1〜実施例3を組み合わせ、誘電体層を挟んで下部電極と上部電極とが対向する面積、誘電体層の厚さ、及び誘電体層の材料の少なくとも1つを異ならせることで初期容量を異ならせてもよい。
図17は、実施例4に係る可変容量デバイス400の断面図である。図17のように、実施例4の可変容量デバイス400では、キャパシタ20d、20eにおいて誘電体層24を挟んで下部電極22と上部電極26とが対向する面積が、キャパシタ20b、20c、20f、20gよりも小さくなっている。したがって、キャパシタ20d、20eの初期容量C3は、キャパシタ20b、20c、20f、20hの初期容量C2よりも小さくなっている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例4のように、複数のキャパシタ20a〜20hのうちのキャパシタ20a、20hと、キャパシタ20b、20c、20f、20gと、キャパシタ20d、20eとの初期容量が異なる場合でもよい。すなわち、3つ以上の異なる初期容量のキャパシタで構成されている場合でもよい。
図18は、実施例5に係る可変容量デバイス500の上面図である。図18のように、実施例5の可変容量デバイス500では、第3端子電極54とキャパシタ20e、20fとの間に接続される抵抗膜48aの厚さ、長さ、及び材料の少なくとも1つが、第3端子電極54とキャパシタ20a〜20d、20g、20hとの間に接続される抵抗膜48bと異なっている。すなわち、抵抗膜48aと48bとは、抵抗値が異なっている。したがって、キャパシタ20e、20fにかかる直流バイアス電圧の大きさが、キャパシタ20a〜20d、20g、20hにかかる直流バイアス電圧の大きさと異なる。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例5のように、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの少なくとも1つのキャパシタ20e、20fに印加される直流バイアス電圧の大きさが、他のキャパシタ20a〜20d、20g、20hと異なる場合でもよい。これにより、キャパシタの容量値を別々に変化させることができる。また、図9(a)から図9(c)のように、直流バイアス電圧が異なることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の軌跡が異なることから、これを利用して、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化を小さくさせることもできる。
なお、実施例5において、印加される直流バイアス電圧の大きさが異なるキャパシタは、初期容量が互いに同じ場合でもよいし、異なる場合でもよい。
図19は、実施例5の変形例1に係る可変容量デバイス510の上面図である。図19のように、実施例5の変形例1の可変容量デバイス510では、第3端子電極54a、54bが設けられている。キャパシタ20a〜20dは、第3端子電極54aと第4端子電極56との間に並列に接続され、キャパシタ20e〜20hは、第3端子電極54bと第4端子電極56との間に並列に接続されている。これにより、キャパシタ20a〜20dにかかる直流バイアス電圧の大きさとキャパシタ20e〜20hにかかる直流バイアス電圧の大きさが異なる。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
実施例5の変形例1のように、第3端子電極を2つ以上設けることで、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの少なくとも1つのキャパシタ20a〜20dに印加される直流バイアス電圧の大きさが、他のキャパシタ20e〜20hと異なる場合でもよい。
図20は、実施例6に係る可変容量デバイス600の回路図である。図20のように、実施例6の可変容量デバイス600では、キャパシタ20a、20d、20e、20hは初期容量がC2で、キャパシタ20b、20c、20f、20gは初期容量がC2よりも大きいC1になっている。その他の構成は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
図21は、実施例6に係る可変容量デバイス600の上面図である。図22は、図21のA−A間の断面図である。図21及び図22のように、実施例6の可変容量デバイス600は、キャパシタ20aとキャパシタ20bとが積層されている。同様に、キャパシタ20cとキャパシタ20d、キャパシタ20eとキャパシタ20f、キャパシタ20gとキャパシタ20hとが、それぞれ積層されている。
キャパシタ20b、20c、20f、20gは、第1電極60と、第1電極60上に形成された第1誘電体層62と、第1誘電体層62上に形成された第2電極64と、で構成されている。すなわち、キャパシタ20b、20c、20f、20gにおいては、第1電極60が下部電極に相当し、第2電極64が上部電極に相当する。
キャパシタ20a、20d、20e、20hは、第2電極64と、第2電極64上に形成された第2誘電体層66と、第2誘電体層66上に形成された第3電極68と、で構成されている。すなわち、キャパシタ20a、20d、20e、20hにおいて、第2電極64は下部電極に相当し、第3電極68は上部電極に相当する。
キャパシタ20bとキャパシタ20cとは、互いの第1電極60が接続されて一体となっている。同様に、キャパシタ20fとキャパシタ20gとは、互いの第1電極60が接続されて一体となっている。
第1電極60、第2電極64、及び第3電極68は、例えば厚さ250nmのPtである。第1誘電体層62と第2誘電体層66とは、同じ材料で形成されていて、例えば厚さ90nmで、Mnが添加されたBa0.5Sr0.5TiO層である。なお、第1電極60、第2電極64、及び第3電極68として、実施例1の下部電極22及び上部電極26で挙げた材料を用いてもよい。第1誘電体層62及び第2誘電体層66として、実施例1の誘電体層24で挙げた材料を用いてもよい。
第1誘電体層62を挟んで第1電極60と第2電極64とが対向する面積は、第2誘電体層66を挟んで第2電極64と第3電極68とが対向する面積よりも大きくなっている。このため、キャパシタ20b、20c、20f、20gの初期容量C1は、キャパシタ20a、20d、20e、20hの初期容量C2よりも大きくなっている。また、キャパシタ20b、20c、20f、20gは、第1誘電体層62を挟んで第1電極60と第2電極64とが対向する面積が同じになっているため、それぞれの初期容量C1は同じになっている。同様に、キャパシタ20a、20d、20e、20hは、第2誘電体層66を挟んで第2電極64と第3電極68とが対向する面積が同じになっているため、それぞれの初期容量C2は同じになっている。
配線層44は、絶縁膜36の開口に露出された第3電極68の上面に接続されている。キャパシタ20aを構成する第3電極68の上面に接続された配線層44は、第1端子電極50に接続されている。キャパシタ20hを構成する第3電極68の上面に接続された配線層44は、第2端子電極52に接続されている。その他の構成は、実施例1と同様であるため説明を省略する。
図23(a)は、図21のB−B間の断面図、図23(b)は、図21のC−C間の断面図、図23(c)は、図21のD−D間の断面図である。図21及び図23(a)のように、絶縁膜36上に、抵抗膜48が形成されている。抵抗膜48は、配線層44を介して、第3端子電極54と第2電極64との間に接続されている。抵抗膜48は、図20の第3端子14と複数のキャパシタ20a〜20hとの間に接続された抵抗Rに対応する。
図21及び図23(b)のように、絶縁膜36上に、抵抗膜49aが形成されている。抵抗膜49aは、配線層44を介して、第4端子電極56と第1電極60との間に接続されている。図21及び図23(c)のように、絶縁膜36上に、抵抗膜49bが形成されている。抵抗膜49bは、配線層44を介して、第4端子電極56と第3電極68との間に接続されている。抵抗膜49a、49bは、図20の第4端子16と複数のキャパシタ20a〜20hとの間に接続された抵抗Rに対応する。なお、抵抗膜49a、49bは説明上において符号を分けただけであり、同一形状をしていて同じ抵抗値を有している。
ここで、発明者が行った実験について説明する。発明者は、実施例6の可変容量デバイス600を作製し、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化を測定した。作製した可変容量デバイス600の誘電体層24は、図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜とした。図24は、実施例6の可変容量デバイス600における、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の測定結果を示す図である。図24の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。縦軸は、デバイス全体の容量値である。なお、測定は、60pF用に設計され、キャパシタ20b、20c、20f、20gの初期容量C1とキャパシタ20a、20d、20e、20hの初期容量C2との容量比(C2/C1)を0.4とした可変容量デバイス600を作製し、複数のキャパシタ20a〜20hに印加される直流バイアス電圧は0Vとして行った。なお、図24では、比較のために、キャパシタ20a〜20hの初期容量が全て同じであること以外は、実施例6の可変容量デバイス600と同じにした比較例2の可変容量デバイスの測定結果も示している。
図24のように、交流信号電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲において、実施例6は、比較例2に比べて、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなっていることが分かる。
図25は、実施例6の可変容量デバイス600において、交流信号の振幅(電圧)に対する初期容量C1のキャパシタの容量変化及び初期容量C2のキャパシタの容量変化の測定結果を示す図である。なお、可変容量デバイス600の誘電体層24には、図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜を用いた。図25の横軸は、可変容量デバイス全体に入力される交流信号電圧の実効値である。左側縦軸は、初期容量C1のキャパシタ20b、20c、20f、20gの容量値、右側縦軸は、初期容量C2のキャパシタ20a、20d、20e、20hの容量値である。なお、測定は、図24の場合と同じ条件で行った。図25のように、初期容量が異なるキャパシタ20b、20c、20f、20gとキャパシタ20a、20d、20e、20hとでは、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の軌跡が異なることが分かる。したがって、実施例6においても実施例1の場合と同じ理由によって、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなったものと考えられる。
図26(a)は、実施例6〜実施例6の変形例1〜5の可変容量デバイスにおいて、初期容量C1、C2の容量比を変えた場合での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の実験結果を示す図、図26(b)は、図26(a)の一部を拡大した図である。なお、可変容量デバイスの誘電体層24には、図14に示すような特性を有するBa0.5Sr0.5TiO膜を用いた。なお、実施例6の変形例1〜変形例5は、実施例6とはキャパシタの個数が異なっている。すなわち、実施例6の変形例1は4個のキャパシタが、変形例2は6個のキャパシタが、変形例3は10個のキャパシタが、変形例4は14個のキャパシタが、変形例5は18個のキャパシタ、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列に接続されている。そして、実施例6の変形例1〜変形例5においても、実施例6と同じく、初期容量C1のキャパシタと初期容量C2(C2<C1)のキャパシタとが積層されていて、初期容量C1のキャパシタの個数と初期容量C2のキャパシタの個数とは同じになっている。
図26(a)及び図26(b)の横軸は、初期容量C1とC2の容量比(C2/C1)である。縦軸は、交流信号電圧の実効値が0.1Vrms〜15Vrmsの範囲での容量の変化量である。また、比較のために、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列接続された複数のキャパシタの初期容量が全て同じ(C2/C1=1)場合についての結果も示している。図26(a)及び図26(b)のように、実施例6、実施例6の変形例2〜変形例5では、初期容量の容量比(C2/C1)を1より小さくすることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくなる結果が得られた。なお、実施例6の変形例1(4個のキャパシタが直列に接続)で、初期容量の容量比を1から変えても交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化が小さくならなかったのは、実施例1で説明した理由と同じ理由によるものと考えられる。
実施例6によれば、図21、図22のように、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの少なくとも2つのキャパシタが積層されている。この場合でも、キャパシタ20b、20c、20f、20gの初期容量C1とキャパシタ20a、20d、20e、20hの初期容量C2とが異なることで、図24から図26(b)で説明したように、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を抑制することができる。また、少なくとも2つのキャパシタを積層することで、可変容量デバイスを小型化することができる。
また、実施例6によれば、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの半分のキャパシタ20b、20c、20f、20gは同じ初期容量C1で、残りの半分のキャパシタ20a、20d、20e、20hは同じ初期容量C2で、初期容量C1とC2とは異なっている。すなわち、複数のキャパシタ20a〜20hは、初期容量C1を有する1又は複数のキャパシタ20b、20c、20f、20gと、初期容量C2を有し、初期容量C1のキャパシタと同数のキャパシタ20a、20d、20e、20hと、で構成されている。これにより、図26(a)及び図26(b)のように、実施例1に比べて、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化をより小さくすることができる。
また、実施例6によれば、積層された2つのキャパシタ(例えばキャパシタ20aと20b)は初期容量が異なっている。このように、積層されたキャパシタの初期容量を異ならせることは、例えば誘電体層を挟んで下部電極と上部電極とが対向する面積を異ならせるなどによって、容易に行うことができる。なお、実施例6においても、実施例2、3のように、誘電体層の厚さ、誘電体層の材料を異ならせることで、積層されたキャパシタの初期容量を異ならせるようにしてもよい。すなわち、積層された2つのキャパシタは、誘電体層を挟んで下部電極と上部電極とが対向する面積、誘電体層の厚さ、及び誘電体層の材料の少なくとも1つが異なることで、初期容量が異なる場合でもよい。
なお、実施例6において、図26(a)及び図26(b)から、第1端子電極50と第2端子電極52との間に直列接続されるキャパシタの個数は、6個以上且つ18個以下の場合が好ましく、8個以上且つ18個以下の場合がより好ましく、8個以上且つ14個以下の場合がさらに好ましい。また、上述したように、キャパシタ単体での交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化の変化形状やキャパシタの直列数により、初期容量C1とC2の比の最適比率は変化するため、容量比率の最適値を規定することは難しい。その上で、実施例6の構造の場合では、初期容量C1と初期容量C2との比(C2/C1)は、直列に接続されたキャパシタの個数が10個以上では、0.1以上且つ1.0未満の場合が好ましく、0.1以上且つ0.6以下の場合がより好ましく、0.2以上且つ0.4以下の場合がさらに好ましい。直列に接続されたキャパシタの個数が8個の場合は、0.3以上1.0未満の場合が好ましく、0.3以上且つ0.8以下の場合がより好ましく、0.3以上且つ0.6以下の場合がさらに好ましい。直列に接続されたキャパシタの個数が6個の場合は、0.7以上且つ1.0未満の場合が好ましく、0.7以上且つ0.9以下の場合がより好ましく、0.8の場合がさらに好ましい。
なお、実施例6では、初期容量C1のキャパシタと初期容量C2のキャパシタとが同数設けられている場合を例に示したが、異なる個数設けられている場合でもよい。また、実施例6では、積層されたキャパシタの初期容量が互いに異なる場合を例に示したが、初期容量が同じ場合でもよい。
なお、実施例1のように複数のキャパシタが積層されていない場合においても、複数のキャパシタのうちの半分のキャパシタの初期容量を同じにし、残りの半分のキャパシタの初期容量を同じにし、且つ上記半分のキャパシタと上記残りの半分のキャパシタの初期容量を異ならせてもよい。この場合でも、交流信号の振幅(電圧)に対する容量変化をより小さくすることができる。
図27は、実施例7に係る可変容量デバイス700の断面図である。図27のように、実施例7の可変容量デバイス700では、複数のキャパシタ20a〜20fのうちのキャパシタ20a〜20cが積層され、キャパシタ20d〜20fが積層されている。キャパシタ20c、20dは、第1電極70と第1誘電体層72と第2電極74とで構成されている。キャパシタ20b、20eは、第2電極74と第2誘電体層76と第3電極78とで構成されている。キャパシタ20a、20fは、第3電極78と第3誘電体層80と第4電極82とで構成されている。第1電極70、第2電極74、第3電極78、及び第4電極82は、実施例1の下部電極22及び上部電極26で挙げた材料を用いることができる。第1誘電体層72、第2誘電体層76、及び第3誘電体層80は、実施例1の誘電体層24で挙げた材料を用いることができる。その他の構成は、実施例6と同様であるため説明を省略する。
実施例7のように、3つ以上のキャパシタが積層されている場合でもよい。この場合、積層された3つ以上のキャパシタは、初期容量が異なる場合が好ましい。
図28は、実施例8に係る可変容量デバイス800の必要部の回路図である。図28のように、実施例8の可変容量デバイス800では、複数のキャパシタ20a〜20hは、第3端子14と第4端子16との間に並列に接続されていない。複数のキャパシタ20a〜20hには直流バイアス電圧が印加されるが、印加方法はどのような場合であってもよい。例えば1つの例として、第1端子10と第2端子12との間に交流信号に重畳して直流バイアス電圧を印加するなどが挙げられる。他にも直流バイアス電圧を印加するための回路が付与されているなど、直流バイアス電圧の印加方法にはどのような場合があってもよい。
実施例8のように、複数のキャパシタ20a〜20hに印加される直流バイアス電圧の印加方法がどのような場合であっても、複数のキャパシタ20a〜20hのうちの少なくとも1つのキャパシタ20a、20hの初期容量C1が、他のキャパシタ20b〜20gの初期容量C2と異なることで、交流信号の振幅(電圧)に対する容量の変化を抑制することができる。
図29は、実施例9に係るアンテナ回路900を示す図である。図29のように、実施例9のアンテナ回路900は、回路90と、回路90に並列に接続されたアンテナコイル92、可変容量デバイス94、及び直流除去用のキャパシタ96と、を備える。回路90は、アンテナコイル92を介して受信された受信信号の処理を行う。また、回路90は、可変容量デバイス94への直流バイアス電圧の供給を制御する。可変容量デバイス94を、実施例1から実施例8で説明した可変容量デバイスとすることができる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 第1端子
12 第2端子
14 第3端子
16 第4端子
20a〜20h キャパシタ
22 下部電極
24 誘電体層
26 上部電極
30 支持基板
32、36、40、46 絶縁膜
44 配線層
48、49、49a、49b 抵抗膜
50 第1端子電極
52 第2端子電極
54 第3端子電極
56 第4端子電極
60、70 第1電極
62、72 第1誘電体層
64、74 第2電極
66、76 第2誘電体層
68、78 第3電極
80 第3誘電体層
82 第4電極
90 回路
92 アンテナコイル
94 可変容量デバイス
96 キャパシタ
100〜800 可変容量デバイス
900 アンテナ回路

Claims (10)

  1. 第1端子電極及び第2端子電極と、
    前記第1端子電極と前記第2端子電極との間に直列に接続され、交流信号の電圧が高くなるに従い容量が増大して極大値を取った後に減少に転じる特性を有する誘電体層と前記誘電体層を挟む下部電極及び上部電極とを有し、直流電圧が印加されることで容量が変化する複数のキャパシタと、を備え、
    前記複数のキャパシタは、第1初期容量の1又は複数のキャパシタと、前記第1初期容量とは異なる1又は複数の初期容量の1又は複数のキャパシタと、を含むことを特徴とする可変容量デバイス。
  2. 前記第1初期容量の1又は複数のキャパシタは、前記誘電体層を挟んで前記下部電極と前記上部電極とが対向する面積、前記誘電体層の厚さ、及び前記誘電体層の材料の少なくとも1つが前記第1又は複数の初期容量の1又は複数のキャパシタと異なることを特徴とする請求項1記載の可変容量デバイス。
  3. 前記複数のキャパシタは、前記第1初期容量を有する1又は複数の第1キャパシタと、前記第1初期容量と異なる第2初期容量を有し、前記第1キャパシタと同数の第2キャパシタと、で構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の可変容量デバイス。
  4. 直流電圧の印加に用いられる、第3端子電極及び第4端子電極を備え、
    前記複数のキャパシタは、前記第3端子電極と前記第4端子電極との間に並列に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の可変容量デバイス。
  5. 前記複数のキャパシタは、同じ大きさの前記直流電圧が印加されることを特徴とする請求項4記載の可変容量デバイス。
  6. 前記複数のキャパシタのうちの少なくとも1つのキャパシタに印加される前記直流電圧の大きさは、他のキャパシタに印加される前記直流電圧の大きさと異なることを特徴とする請求項4記載の可変容量デバイス。
  7. 前記複数のキャパシタのうちの少なくとも2つのキャパシタは積層されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の可変容量デバイス。
  8. 積層された前記少なくとも2つのキャパシタは、初期容量が異なることを特徴とする請求項7記載の可変容量デバイス。
  9. 前記複数のキャパシタの容量は、前記誘電体層を挟んで前記下部電極と前記上部電極とが対向する一続きの領域で決定されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の可変容量デバイス。
  10. 請求項1から9のいずれか一項記載の可変容量デバイスを備えることを特徴とするアンテナ回路。
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