JP2017097110A - 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
前記位相差フィルムに含まれる前記1種類以上の残留溶媒の、下記式(1)で表される合計双極子モーメントが1.3以下であり、且つ前記残留溶媒の合計含有量が30〜700ppmであり、下記式(2a)で表される、波長450nmにおける面内方向の位相差をRo(450)、波長630nmにおける面内方向の位相差をRo(630)としたとき、Ro(450)/Ro(630)が0.82〜1.0であり、且つ引張弾性率が1.7〜3.0GPaである、位相差フィルム。
riは、前記位相差フィルムに含まれる前記残留溶媒の全質量に対する残留溶媒iの重量分率であり、
Miは、前記残留溶媒iの双極子モーメントであり、
nは、前記位相差フィルムに含まれる前記残留溶媒の種類の数であり、1以上の整数である)
nxは、前記位相差フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、前記面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
dは、前記位相差フィルムの厚み(nm)を表す)
[2] 前記針状無機粒子の長軸の平均長さが150nm以下であり、且つ平均アスペクト比が1.5以上である、[1]に記載の位相差フィルム。
[3] 前記双極子モーメントが1.5以下の残留溶媒を2種類以上含む、[1]又は[2]に記載の位相差フィルム。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の位相差フィルムの製造方法であって、1)シクロオレフィン系樹脂と、長軸と短軸とを有し、且つ前記長軸方向の屈折率が前記短軸方向の屈折率よりも小さい針状無機粒子とを、双極子モーメントが1.5以下の溶媒を含む1種類以上の溶媒に溶解させてドープを得る工程と、2)前記ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、3)前記膜状物を乾燥させる工程と、
を含む、位相差フィルムの製造方法。
[5] 前記2)の工程と前記3)の工程との間に、4)前記膜状物を延伸する工程をさらに含む、[4]に記載の位相差フィルムの製造方法。
[6] 偏光子と、[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差フィルムとを含む、偏光板。
[7] 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、前記保護フィルムF1、F2、F3及びF4の少なくとも一つが、[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差フィルムである、液晶表示装置。
[8] 前記保護フィルムF1が、[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差フィルムである、[7]に記載の液晶表示装置。
また、位相差フィルム中に溶媒が適度に残留していると、適度な柔軟性を有するので、引張弾性率が過剰に高まりすぎず、折り曲げによる破断等を抑制できると考えられる。
本発明の位相差フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、針状無機粒子とを含む。
本発明の位相差フィルムに含まれるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と(メタ)アクリレートとの交互共重合体
本発明の位相差フィルムに含まれる針状無機粒子は、長軸と短軸とを有し、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率よりも小さい無機粒子である。針状無機粒子において、長軸とは、針状無機粒子の絶対最大長を有する軸をいい、短軸とは、長軸に対して直交する方向の軸をいう。
1)位相差フィルムをTHF溶媒に溶解させた後、濾過して濾過物を採取する。それにより、位相差フィルムから針状無機粒子を分離する。
2)分離された針状無機粒子のうち、任意の20個の針状無機粒子の形状を、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察及びコンピュータソフトによる画像解析により測定する。具体的には、後述の実施例と同様にして、2-1)針状無機粒子を前処理した後、TEM観察を行い、2-2)スキャナーで読み取った画像から解析を行うために粒子の画像のコントラストを強調するフィルター処理を行い、2-3)画像上のノイズを除去する選別を行い、2-4)計測した絶対最大長やアスペクト比等の粒子のデータを、データ処理ソフトに取り込み、粒子の分布状態を計算するデータ処理を行う。
本発明の位相差フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤の例には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、熱安定剤、マット剤、界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び剥離助剤等が含まれる。
(残留溶媒量)
位相差フィルムに含まれる1種類以上の残留溶媒の合計双極子モーメントは、1.3以下であることが好ましい。位相差フィルムに残留する溶媒の合計双極子モーメントが1.3以下であると、フィルムの強度低下を抑制できる。これは、位相差フィルムの製造時(流延工程)において、流延膜中でシクロオレフィン系樹脂の高分子鎖が溶媒に対して広がりやすく、高分子同士の絡み合いが促進されるためであると考えられる。位相差フィルムに残留する溶媒の合計双極子モーメントは、1.1以下であることが好ましく、0.8以下であることがより好ましい。位相差フィルムに残留する溶媒の合計双極子モーメントの下限値は、特に制限されず、例えば0としうる。
riは、位相差フィルムに含まれる残留溶媒の全質量に対する残留溶媒iの重量分率であり、
Miは、残留溶媒iの双極子モーメントであり、
nは、位相差フィルムに含まれる残留溶媒の種類の数であり、1以上の整数である)
位相差フィルムは、その用途に応じて種々の位相差値をとり得る。例えば、位相差フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、30nm≦Ro≦300nmを満たすことが好ましく、50nm≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。厚み方向の位相差Rthは、−200nm≦Rth≦200nmを満たすことが好ましく、−150nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rth≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、位相差フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、位相差フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、位相差フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、位相差フィルムの厚み(nm)を表す。)
1)位相差フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この位相差フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の位相差フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的な測定手順や測定条件は、後述の実施例と同様である。
位相差フィルムの波長分散Ro(450)/Ro(630)は、0.82〜1.0であることが好ましく、0.82〜0.98であることがより好ましい。位相差フィルムのRo(450)/Ro(630)が上記範囲内であると、それを含む液晶表示装置の色味を良好としうる。
位相差フィルムの引張弾性率は、1.7〜3.0GPaであることが好ましく、2.0〜2.8GPaであることがより好ましく、2.5〜2.8GPaであることがさらに好ましい。位相差フィルムの引張弾性率が1.7GPa以上であると、位相差フィルムが十分な引っ張り強度を有するので、例えば針状無機粒子のスタック構造に亀裂(クラック)が入ってもその亀裂が広がるのを抑制し、位相差フィルムや偏光板の製造工程における位相差フィルムの破断を抑制できる。位相差フィルムの引張弾性率が3.0GPa以下であると、位相差フィルムの曲げ強度が損なわれないので、折り曲げ耐性が損なわれにくく、それによる位相差フィルムの製造工程や偏光板の製造工程における割れを抑制できる。
位相差フィルムの厚みは、RoとRthが前述の範囲を満たし、且つ薄型化する観点から、例えば10〜200μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。特に、本発明の位相差フィルムは、薄型化しても良好な強度を有しうる。
本発明の位相差フィルムは、溶液流延製膜法で製造される。即ち、本発明の位相差フィルムの製造方法は、1)少なくともシクロオレフィン系樹脂と針状無機粒子とを1種類以上の溶媒に溶解させてドープを得る工程と、2)ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、3)膜状物を乾燥させる工程とを含む。本発明の位相差フィルムの製造方法は、前記2)と前記3)の間に4)膜状物を延伸する工程や、前記3)の後に5)得られたフィルムを巻取る工程をさらに含むことが好ましい。
少なくともシクロオレフィン系樹脂と針状無機粒子とを1種類以上の溶媒に溶解させてドープを得る。シクロオレフィン系樹脂と針状無機粒子を溶媒に同時に混合及び溶解させてドープを得てもよいし、シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液と、針状無機粒子を溶媒に溶解させた粒子溶液とを混合してドープを得てもよい。
得られたドープを流延ダイから吐出させて金属支持体上に流延し、得られた流延膜を乾燥及び剥離して膜状物を得る。流延幅は、例えば1〜4mとすることができる。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(Mは、位相差フィルムの製造工程における膜状物の質量を示し、Nは、当該膜状物を150℃で1時間の加熱した後の質量を示す)
剥離して得られた膜状物を延伸して位相差を調整することが好ましい。
前記2)又は4)で得られた膜状物を乾燥させて、位相差フィルムを得る。位相差フィルムの残留溶媒量は、主に本工程で調整されうる。従って、乾燥温度及び乾燥時間は、得られる位相差フィルムにおける残留溶媒量が前述の範囲となるように調整されうる。
得られた位相差フィルムを、巻き取り機で巻き取る。巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等でありうる。
本発明の偏光板は、偏光子と、2つの保護フィルムとを含み、保護フィルムの少なくとも一つが本発明の位相差フィルムである。本発明の位相差フィルムが偏光子の一方の面にのみ配置される場合は、偏光子の他方の面には、他の位相差フィルムが配置されうる。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
本発明の位相差フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置される。本発明の位相差フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、本発明の位相差フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。
偏光子の他方の面には、他の位相差フィルムが配置されうる。他の位相差フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC4CT、KC6UA以上コニカミノルタオプト(株)製)等が含まれる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
(1)シクロオレフィン系樹脂
G7810:ARTON−G7810(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(式(A−2)で表される単量体と他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量=140000)
R5000:ARTON−R5000(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量=50000)
RX4500:ARTON−RX4500(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量=63000)
RH4900:ARTON−RH4900(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量=57000)
粒子1:SrCO3、長径65nm、平均アスペクト比3.0
粒子2:SrCO3、長径160nm、平均アスペクト比1.4
粒子3:SrCO3、長径160nm、平均アスペクト比3.0
粒子4:CaCO3、長径80nm、平均アスペクト比2.0
針状無機粒子の長径及び平均アスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察及びコンピュータソフトによる画像解析により、以下の方法で測定した。
1)まず、観察前の処理として、粒子をエタノールで分散させた後、C膜上に滴下乾燥させた上で、その粒子をTEMで観察した。TEMは、JEM−2000FX(日本電子製)(加速電圧:200kV)を使用した。対象画像は、各試料×10000(直接×5000)の断面TEM像各2枚とした。入力はネガを印画紙にプリントしフラットヘッドスキャナーにて電子化した(入力解像度:300dpi、dpiとは2.54cm当たりのドット数を表す)。
2)次に、スキャナーで読み取った画像から解析を行なうために、粒子の画像のコントラストを強調して、画像ソフトが粒子を認識可能とするフィルター処理を行った。さらに、フィルターの条件を変更してコントラストの最適化を行った。
フィルター処理は、メディアン3×3、次に平坦化20ピクセル、次にハイパス3×3、次にメディアン3×3を使用した。次に、上記コントラストを最適化した画像から粒子を抽出し個々の粒子の形状を画像解析ソフトを用いて、長軸方向の長さと短軸方向の長さを測定した。
3)また、画像上のノイズと考えられるものを除去する選別を行った。さらに、計測した絶対最大長やアスペクト比等の粒子のデータをデータ処理ソフトに取り込み、粒子の分布状態を計算するデータ処理を行った。
フラットヘッドスキャナーは、Sitios9231(コニカミノルタ株式会社製)を使用し、画像解析ソフトはImagePro Plus(Media Cybernetics製)を、データ処理ソフトはExcel(Microsoft社製)を使用した。
[実施例1]
(粒子分散液の調製)
粒子1(炭酸ストロンチウムの粒子)1.0gをエタノール20.0gに分散させ、グリセリンステアレート(花王・エキセルT−95)を0.05g添加し、50℃で10時間攪拌して表面処理を行った。この溶液を濾過し、粒子を乾燥させた。
G7810(シクロオレフィン系樹脂)25質量部と、トルエン522質量部とを混合し、樹脂溶液を得た。
得られた樹脂溶液の一部に、粒子分散液200質量部をゆっくり添加した後、この混合液を超音波分散機UH−300(株式会社エスエムテー製)において出力目盛り10で容器のまわりを冷水で冷やしながら、連続10分間再分散させた。再分散させた液をよく攪拌しながら、残りの樹脂溶液をゆっくり添加し、完全に溶解させてドープを得た。
得られたドープを40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。この流延膜を、残留溶媒量が80%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が20%となるまで40℃で乾燥させた後、膜状物の幅方向に対して45°の方向に延伸倍率1.5倍で斜め延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃で15分間さらに乾燥させて、厚み22μm、幅1.3mの位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの面内遅相軸を、自動複屈折計アクソスキャン(アクソメトリックス社製)により確認したところ、面内遅相軸の方向は、フィルムの幅方向に対して45°であった。
乾燥温度と乾燥時間を調整して、位相差フィルムの残留溶媒量を表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
ドープの溶媒の組成を表1に示されるように変更して、位相差フィルムの残留溶媒の組成を表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
針状無機粒子の種類を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
位相差フィルムの厚みを表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
シクロオレフィン系樹脂の種類を表1に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
針状無機粒子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして位相差フィルムを得た。
得られた位相差フィルム中の残留溶媒の定性及び定量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより行った。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでは、試料を容器に封入して加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行った。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線を予め作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して得ることができる。
(測定条件)
ヘッドスペース装置:HP7694 Head Space Sampler(ヒューレットパッカード社製)
温度条件:トランスファーライン200℃、ループ温度200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
GC:HP5890(ヒューレットパッカード社製)
MS:HP5971(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−624(30m×内径0.25mm)
オーブン温度:初期温度40℃(保持時間3分)、昇温速度10℃/分、到達温度200℃(保持時間5分)
測定モード:SIM(セレクトイオンモニター)モード
位相差フィルムのRo及びRthは、以下の方法で測定した。
1)位相差フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿した。得られた位相差フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定した。また、位相差フィルムの厚みdを、市販のマイクロメーターを用いて測定した。
2)調湿後の位相差フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折計アクソスキャン(アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定した。具体的には、
i)フィルム面の法線方向に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRoを、アクソスキャンにて測定した。
ii)さらに、アクソスキャンにより、試料片の面内遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、試料片の表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときの位相差R(θ)を測定した。位相差R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で10°毎に6点行った。試料片の面内遅相軸は、アクソスキャンにより確認した。
iii)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と厚みとから、アクソスキャンがnx、ny及びnzを算出し、上記式(2b)に基づいて測定波長590nmでのRthを算出した。
iv)測定波長を450nm又は630nmに変えて、上記i)及びii)と同様の測定を行い、各測定波長におけるRoを測定し、波長分散Ro(450)/Ro(630)を求めた。
位相差フィルムを1.0cm(MD方向)×10.0cm(TD方向)に切り出して試験片とし、25℃60%RHの環境下で24時間調湿した。得られた試験片の引張弾性率を、JIS K7127に記載の引張り試験方法により測定した。具体的には、試料片を、引張試験装置(株)オリエンテック製テンシロンにセットし、チャック間距離50.0mm、引張り速度50mm/minの条件で引張試験を行ったときの引張弾性率を測定した。測定は、25℃60%RH下で行った。
得られた位相差フィルムを、25℃60%RH下、搬送速度50m/minの条件でロール搬送したときの破断の有無を評価した。△以上を実用上問題ないレベルと判断した。
◎:張力75Nでも破断を生じない
〇:張力70Nで破断を生じないが、張力75Nでは破断を生じることがある
△:張力65Nでは破断を生じないが、張力70Nでは破断を生じることがある
×:張力65N未満で破断が生じる
位相差フィルムを、1.5cm(MD方向)×10cm(TD方向)の大きさに切り出して試料片とした。この試料片を、25℃60%RH下、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製)にセットし、折り曲げ速度170rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径(折り曲げクランプの先端半径)0.35mm、及び荷重4.9Nの条件で、折り曲げたときの割れの有無を、以下の基準で評価した。△以上を実用上問題ないレベルと判断した。
◎:2500回折り曲げても割れを生じない
〇:2000回折り曲げても割れを生じないが、2500回折り曲げると割れを生じることがある
△:1500回折り曲げても割れを生じないが、2000回折り曲げると割れを生じることがある
×:1500回未満で割れを生じた
一方、比較例3〜5及び7の位相差フィルムは、フィルム搬送試験において破断が生じた。比較例3の位相差フィルムは、残留溶媒量が多すぎることから、引張弾性率が低くなり過ぎたためであると考えられる。比較例4及び7の位相差フィルムは、残留溶媒の合計双極子モーメントが1.3を超えることから、樹脂の分子鎖の絡み合いが十分に生じず、引張弾性率が低くなり過ぎたためであると考えられる。また、比較例5の位相差フィルムは、針状無機微粒子を多く含むことから、波長分散が低くなり過ぎることがわかる。
<実施例17>
(偏光子の作製)
厚み120μmのポリビニルアルコールフィルムを、フィルムの長手方向に一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して、厚み20μmの偏光子を得た。偏光子の吸収軸は、その長手方向に平行であった。
次いで、下記工程1〜4に従って、上記作製した偏光子の一方の面に実施例1で作製した位相差フィルム(λ/4板)を貼り合わせ、他方の面にコニカミノルタ社製KC4CT(光学等方性フィルム)を貼り合わせて、偏光板を作製した。
工程1:実施例1の位相差フィルムを、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬した後、水洗及び乾燥させて、偏光子と貼合する側の表面を鹸化した。同様にして、コニカミノルタ社製KC4CT(光学等方性フィルム)の表面を鹸化した。
工程2:偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。次いで、偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除いた後、工程1で鹸化処理した位相差フィルム(λ/4板)上に配置した。
工程3:工程2で得られた位相差フィルム(λ/4板)と偏光子の積層物と、工程1で鹸化処理した光学等方性フィルムとを、圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼り合せて、積層物を得た。
工程4:工程3で得られた積層物を、80℃の乾燥機中で2分間乾燥させて、実施例1の位相差フィルム(保護フィルムF1)/偏光子/KC4CT(保護フィルムF2)の積層構造を有する偏光板1を得た。
第1の偏光板の作製において、実施例1の位相差フィルム(λ/4板)をKC4UAに変更した以外は同様にして、KC4CT(保護フィルムF3)/偏光子/KC4UA(保護フィルムF4)の積層構造を有する偏光板A(第2の偏光板)を作製した。
携帯用液晶表示装置として、IPS方式のXperia Z2 D6502(Sony株式会社製)を準備した。この装置から2枚の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した偏光板1を、バックライト側の面に上記作製した偏光板Aを、それぞれ粘着剤を介して貼り付けて液晶表示装置1を得た。
偏光板1の貼り付けは、KC4CT(光学等方性フィルム)が液晶セル側となり、偏光子の吸収軸と実施例1の位相差フィルム(λ/4板)の遅相軸とが約45°となるように行った。
偏光板Aの貼り付けは、KC4CTが液晶セル側となるように行った。
液晶表示装置1の作製において、保護フィルムF1の種類を、表3に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置2〜7を得た。
液晶表示装置に画像表示させて、サングラスを着用した被験者により目視観察した。目視観察は、表示画面の法線に対して0°(正面)から90°まで、15°ずつ角度を変えながら行い、以下の基準で評価した。〇以上であれば、良好と判断した。
◎:観察する角度を変えても、画像の見え方に差はない
○:45°未満では見え方に差はないが、45°以上の角度では画面が僅かに暗くなる
△:45°未満の角度でも、観察する角度によって、やや画面が暗くなったり、歪んで見えたりする
×:45°未満の角度でも、観察する角度によって、明らかに画面が暗くなったり、歪んで見えたりする
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト
Claims (8)
- シクロオレフィン系樹脂と、
長軸と短軸とを有し、且つ前記長軸方向の屈折率が前記短軸方向の屈折率よりも小さい針状無機粒子とを含む位相差フィルムであって、
前記位相差フィルムは、1種類以上の残留溶媒を含み、
前記位相差フィルムに含まれる前記1種類以上の残留溶媒の、下記式(1)で表される合計双極子モーメントが1.3以下であり、且つ前記残留溶媒の合計含有量が30〜700ppmであり、
下記式(2a)で表される、波長450nmにおける面内方向の位相差をRo(450)、波長630nmにおける面内方向の位相差をRo(630)としたとき、Ro(450)/Ro(630)が0.82〜1.0であり、且つ
引張弾性率が1.7〜3.0GPaである、位相差フィルム。
riは、前記位相差フィルムに含まれる前記残留溶媒の全質量に対する残留溶媒iの重量分率であり、
Miは、前記残留溶媒iの双極子モーメントであり、
nは、前記位相差フィルムに含まれる前記残留溶媒の種類の数であり、1以上の整数である)
nxは、前記位相差フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、前記面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
dは、前記位相差フィルムの厚み(nm)を表す) - 前記針状無機粒子の長軸の平均長さが150nm以下であり、且つ平均アスペクト比が1.5以上である、請求項1に記載の位相差フィルム。
- 前記双極子モーメントが1.5以下の残留溶媒を2種類以上含む、請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルムの製造方法であって、
1)シクロオレフィン系樹脂と、長軸と短軸とを有し、且つ前記長軸方向の屈折率が前記短軸方向の屈折率よりも小さい針状無機粒子とを、双極子モーメントが1.5以下の溶媒を含む1種類以上の溶媒に溶解させてドープを得る工程と、
2)前記ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、
3)前記膜状物を乾燥させる工程と、
を含む、位相差フィルムの製造方法。 - 前記2)の工程と前記3)の工程との間に、4)前記膜状物を延伸する工程をさらに含む、請求項4に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 偏光子と、請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルムとを含む、偏光板。
- 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、
前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、
前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、
前記保護フィルムF1、F2、F3及びF4の少なくとも一つが、請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルムである、液晶表示装置。 - 前記保護フィルムF1が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルムである、請求項7に記載の液晶表示装置。
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JP2015227912A JP2017097110A (ja) | 2015-11-20 | 2015-11-20 | 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 |
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JP2019028109A (ja) * | 2017-07-26 | 2019-02-21 | 日本ゼオン株式会社 | 複層フィルム及びその製造方法 |
CN113228144A (zh) * | 2018-12-28 | 2021-08-06 | Agc株式会社 | 透明显示装置及移动体 |
-
2015
- 2015-11-20 JP JP2015227912A patent/JP2017097110A/ja active Pending
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