JP2017096653A - 核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料棒 - Google Patents

核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料棒 Download PDF

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Abstract

【課題】軽水炉燃料に被覆粒子燃料を用いた場合に、核燃料物質の装荷量を低下させずに可燃性毒物を核燃料物質の近傍に配置することができる核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料コンパクトを被覆管内に積層させて装荷する核燃料棒を提供する。【解決手段】核燃料コンパクト10は、核燃料物質を含む中心核20を、核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆させた粒子状の被覆粒子燃料17と、中性子を吸収して前記核分裂の反応度を調整するための可燃性毒物が混入されて、被覆粒子燃料17を分散して含有するマトリックス18と、備える。【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、核反応を調整するための可燃性毒物を含有する核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料コンパクトを被覆管内に積層させて装荷する核燃料棒に関する。
原子力発電所において大規模な自然災害の被害により電源喪失などの重大事故に至った場合、炉心を冷却する冷却機器が駆動できなければ、制御棒の挿入により原子炉を停止することができた場合であっても、燃料内の核分裂生成物による崩壊熱などにより原子炉の内部が高温状態となる。
冷却材に水を用いる軽水炉の原子炉内構造物において、金属材料が主に用いられてきたが、これら金属材料は、高温の水蒸気と金属―水反応により酸化して、水素を発生させる。
重大事故が発生して原子炉内が高温状態となり、原子炉格納容器内の水蒸気と金属材料との反応により水素が発生すると、原子炉格納容器内の水素濃度が高まり、条件によっては水素燃焼により原子炉格納容器の健全性を損なうおそれがある。
重大事故時においても原子炉の安全性を高めるため、炉内の構造物中で大部分を占める核燃料棒の被覆管を非金属材、例えばSiC長繊維強化SiC複合材料(以下、“SiC/SiC複合材料”と省略する)を用いる構成が検討されている。
このSiC/SiC複合材料は、繊維と繊維を固めているセラミックスとの界面での剥離や滑りにより擬延性を与えて、モノリシックセラミックスの弱点である脆弱性を回避した材料である。一方で、SiC/SiC複合材料を被覆管に適用した場合、材料内部における剥離などの損傷を回避することは難しく、材料内部での破損が発生した場合、核分裂により生成される核分裂生成ガスが被覆管の外部へ漏洩する危険性があった。
そこで、被覆管内の核燃料物質を含む燃料要素そのものに核分裂生成ガスの閉じ込め性能を持たせるため、核分裂生成ガスを閉じ込めるための被覆層で核燃料物質を含有する中心核(カーネル)を覆った被覆粒子燃料を、基材内で分散させて加工成形した核燃料コンパクトを用いる技術の研究開発が行われている。この被覆粒子燃料を用いる技術は、従来高温ガス炉で適用されてきた技術である。
特開2007−127484号公報
ところで、従来の軽水炉燃料では、燃焼初期における燃料体の過剰な反応度を抑制するため、中性子吸収断面積の大きいガドリニウムやホウ素などの可燃性毒物と核燃料物質とを直接混合して、加工成形を行い可燃性毒物入りの燃料ペレットとして用いている。
この場合では、燃料ペレットが積層されて封入される核燃料棒内の大部分に核燃料物質が装荷されるため、可燃性毒物の混合による燃料ペレット中の核燃料物質の閉める割合が減り、核燃料物質の装荷量が極端に低下することはなかった。
一方、軽水炉燃料に被覆粒子燃料から構成される核燃料コンパクトを用いた場合、核燃料物質を含有する中心核に可燃性毒物を混合すると、中心核内に装荷できる核燃料物質の量には制限があるため、可燃性毒物の混合による核燃料物質の装荷量の低下が大きな問題となる。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、軽水炉燃料に被覆粒子燃料を用いた場合に、核燃料物質の装荷量を低下させずに可燃性毒物を核燃料物質の近傍に配置することができる核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料コンパクトを被覆管内に積層させて装荷する核燃料棒を提供する。
本発明の実施形態に係る核燃料コンパクトにおいて、核燃料物質を含む中心核を、核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆させた粒子状の被覆粒子燃料と、中性子を吸収して前記核分裂の反応度を調整するための可燃性毒物が混入されて、前記被覆粒子燃料を分散して含有するマトリックスと、を備えることを特徴とする。
本発明の実施形態に係る核燃料コンパクトの製造方法において、核燃料物質を含む中心核を核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆して粒子状の被覆粒子燃料を形成するステップと、粉末状の基材と粉末状の可燃性毒物とを混合するステップと、前記基材と前記可燃性毒物との混合粉末と、被覆粒子燃料とを混合して、焼結助剤を添加して焼結処理するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明の実施形態により、軽水炉燃料に被覆粒子燃料を用いた場合に、核燃料物質の装荷量を低下させずに可燃性毒物を核燃料物質の近傍に配置することができる核燃料コンパクト、核燃料コンパクトの製造方法、及び核燃料コンパクトを被覆管内に積層させて装荷する核燃料棒を提供する。
本実施形態に係る核燃料コンパクトが装荷される核燃料棒の概略構成図。 (A)は第1実施形態に係る核燃料コンパクトの構成を説明する図、(B)は本実施形態に係る被覆粒子燃料の断面図。 酸化アルミニウム−酸化イットリウムにおける状態図。 酸化アルミニウム−酸化ガドリニウムにおける状態図。 本実施形態に係る核燃料コンパクトの製造方法を示すフローチャート。 (A)は第2実施形態に係る核燃料コンパクトの構成を説明する図、(B)はマトリックスにおける表面の部分拡大図。 (A)は第3実施形態に係る核燃料コンパクトの構成を説明する図、(B)はマトリックス内に含有される、被覆粒子燃料と可燃性毒物粒子の配置の一例を示す図。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る核燃料棒11の縦断面図を示している。
核燃料棒11は、中空円筒状の被覆管12内に複数の核燃料コンパクト10が積層して装荷されている。被覆管12の上端及び下端には、上端端栓13及び下端端栓14が設けられており、両端栓により核燃料コンパクト10は被覆管12内に封止される。
被覆管12には、ジルカロイ合金やステンレス合金、あるいはSiC/SiC複合材料など、高温条件で十分な安定性を持つ材料が用いられる。特に、SiC/SiC複合材を用いることで、高温の水との酸化反応による水素および酸化熱発生を抑制でき、炉心溶融などを引き起こす重大事故時にその進展を遅らせることができる。
被覆管12内の上部には、核燃料コンパクト10を積層しない一定の空間としてプレナム15が設けられている。プレナム15は、核燃料コンパクト10から放出される核分裂生成ガスを収容するガス溜めとなる。
プレナム15内にはバネ状のプレナムスプリング16が設けられており、プレナムスプリング16の一端は上端端栓13に接続され、他端は核燃料コンパクト10に係止されることで、核燃料コンパクト10は被覆管12内で固定されている。
図2(A)は第1実施形態に係る核燃料コンパクト10の構成を説明する図であり、(B)は被覆粒子燃料17の断面図である。
本実施形態に係る核燃料コンパクト10は、核燃料物質を含む中心核20を、核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆させた粒子状の被覆粒子燃料17と、中性子を吸収して核分裂の反応度を調整するための可燃性毒物が混入されて、被覆粒子燃料17を分散して含有するマトリックス18と、を備える。
被覆粒子燃料17は、同心球状の複数領域から構成される粒子状の核燃料要素であり、中心部分に核燃料物質を含む中心核20(カーネル)が形成され、中心核20を覆うように複数の被覆層が形成されている。
核燃料物質には、ウラン235を濃縮した酸化ウラン(UO)、プルトニウムなどを用いる。また、核燃料物質を含む中心核20の成形は、乾式法や湿式法などの高温ガス炉用の燃料で使用される既存の方法を用いることができる。なお、核燃料物質の化学形は、酸化物に限定されず、窒化物、炭化物など、中心核20を安定的に形成できる状態を用いる。
中心核20を覆う複数の被覆層は、中心核20における核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する(閉じ込める)ためのものであり、中心核20から外側に向かって順に、低密度炭素から成るバッファ層21、熱分解炭素層22、SiC層23、及び熱分解炭素層24で構成されている。これらの被覆層は、例えば流動床中で蒸着ガスの熱分解により中心核20を中心に蒸着、被覆されて形成される。
なお、図2(B)は、被覆層の一例を示したものであり、4層で構成される被覆層に限定されるものでは無く、さらに熱分解炭素層などの被覆層を追加しても良いし、3層以下の被覆層で構成しても良い。
マトリックス18は、中性子を吸収して核分裂の反応度を調整するための可燃性毒物が混入されて、被覆粒子燃料17を分散して含有する金属セラミックスである。マトリックス18の基材として、炭化ケイ素、チタン合金、酸化アルミニウムなどが例示される。
マトリックス18は、粉末状の基材と粉末状の可燃性毒物とを均一となるように混合して混合粉末を作り、この混合粉末の中に被覆粒子燃料17を加える。そして、この混合物に焼結助剤を添加して、焼結処理することで円柱状に成形されたものである。被覆粒子燃料17は、マトリックス18内で分散されるように焼結処理される。なお、マトリックス18を成形するための焼結方法は、液相焼結法などセラミックスを形成する既存の方法を用いる。
可燃性毒物としては、中性子吸収断面積の大きい元素を用いられ、例えば熱中性子吸収断面積の大きいガドリニウムまたはホウ素など、あるいはガドリニウムまたはホウ素の化合物が用いられる。ガドリニウムの化合物として酸化ガドリニウム(Gd)、ホウ素の化合物として二ホウ化ジルコニウム(ZrB)が例示される。
特にガドリニウムの中性子吸収反応は、主としてガドリニウム155、ガドリニウム157の(n,γ)反応によるものとなる。反応後のガドリニウム156、ガドリニウム158は安定核種であり、反応前のガドリニウムと同種元素となる。
このため、燃焼中は強い放射線場にあるため格子欠陥の形成などの損傷は起こりうるものの、可燃性毒物の燃焼におけるマトリックス18の化学的な性質の変化は最低限に抑制され、核燃料コンパクト10を安定的に維持できる。
また、焼結助剤は、マトリックス18の基材よりも融点が低い材料が選択されて、例えば酸化アルミニウム(Al)と酸化イットリウム(Y)の混合材料を用いることができる。
図3は、AlとYにおける2成分系の状態図を示している。なお、図中において、α―Alは三方晶Al多形を意味しており、C及びHのそれぞれは、立方晶、六方晶Y多形を意味する。また、図中のE〜Eは共晶点(eutectic)を、Pは包晶点(peritectic)を示す。
AlとYの混合比を調整することで融点を下げることができるため、焼結処理の温度を下げることができる。例えば、物質量比でおおよそAl:Y=4:1が選定された場合、融点を1829℃(共晶点E)まで下げることができる。
図3の状態図によれば、物質量比でAl:Y=4:1が選定された場合、焼結処理後で成形されたマトリックス18内にはAlとYAl12(YAG)が混合して存在することになる。
具体的には、共晶点EでのY、YAGそれぞれのモル分率は、19.5mol%、37.5mol%となる。これを重量分率に換算すると、Y、YAGそれぞれは、35.6wt%、57.0wt%となる。さらに、てこの原理を用いてAlの相の重量比を計算すると、Alは焼結助剤中の重量比で38%存在する。
Alは高温水との共存性が悪いため、焼結助剤としてAlとYを用いることで焼結温度を下げられる一方で、高温水環境中ではマトリックス18の耐食性を下げてしまうおそれがある。
核燃料コンパクト10は、被覆管12内に積層されるため、直接高温の炉水と通常時には接触しないが、破損時など異常時は高温水と接触する場合が考えられる。このため、高温水に対する耐食性をマトリックス18が有することが望ましく、マトリックス18中のAlの存在量を低減することが望ましい。
そこで、可燃性毒物としてGdを用いて、Alとの状態遷移を利用してマトリックス18中のAlの存在量を低減する方法を検討する。
図4は、AlとGdにおける2成分系の状態図を示している。なお、H、A、及びBのそれぞれは、高温六方晶、A型六方晶、B型単斜晶Gdを意味する。
図4の状態図によると、Alのモル分率を100%から低下させていくと、Alのモル分率が62.5%のときに、GdAl12の固相に変化して、Alの固相が存在しなくなることが分かる。
GdAl12の組成に基づいて、GdAl12の固相に変化させるために必要なGdの添加量を検討する。GdとAlの比率は、Gd/(Gd+Al)=3/8=0.6/1.6となり、物質量比でGd:Al=0.6:1.0となる。つまり、AlとGdの物質量比で、GdがAlの0.6倍以上であれば、Alの固相が存在しなくなる。
共晶点E(図3)でのAlは、焼結助剤1gにつき0.003682molと計算される。この物質量の0.6倍(=0.002209mol)のGdが、AlをGdAl12の固相に変化させるために必要な物質量となる。これを焼結助剤1gに対して換算すると0.8gのGdが必要な重量と計算できる。
つまり、焼結助剤の重量を基準とすると、Gdの重量が焼結助剤の0.8倍以上であれば、耐食性を低下させるAlの固相の発生を抑制することができる。
図5は、本実施形態に係る核燃料コンパクト10の製造手順を示すフローチャートである(適宜、図2参照)。ここでは、マトリックス18の基材として、SiCを用いる場合を例に説明する。
粒子形成ステップS10では、核燃料物質を含む中心核20を、複数の被覆層で被覆して粒子状の被覆粒子燃料17を形成させる。
混合ステップS11では、粉末状の可燃性毒物と炭化ケイ素の基材とを均一となるように混合させる。
焼結処理ステップS12では、可燃性毒物と炭化ケイ素の混合粉末と、被覆粒子燃料17とを混合する。そして、焼結助剤を添加して焼結処理が行われて、円柱状のマトリックス18に成形される。このとき、被覆粒子燃料17はマトリックス18内で分散されるように焼結処理される。
このように、粉末状の可燃性毒物を混入させてマトリックス18を成形することにより、中心核20に核燃料物質を添加する場合や被覆粒子燃料17の周囲に可燃性毒物を含む被覆層(オーバーコート層)を設ける場合と比較して、核燃料コンパクト10における核燃料物質の装荷量を低下させずに可燃性毒物を核燃料物質の近傍に配置することができる。
また、マトリックス18内に可燃性毒物が均質に分布するため、燃焼の偏りを低減することができる。
(第2実施形態)
図6(A)は、第2実施形態に係る核燃料コンパクト10の構成を説明する図であり、(B)はマトリックス18における表面の部分拡大図である。なお、第1実施形態と共通の構成又は機能については、重複する説明を省略する。
第2実施形態では、マトリックス18の気孔率を調整して、核分裂によって生成されるガスをマトリックス18の外部に排出して被覆管12(図1)の自由空間に逃すことを特徴とする。ここでは、マトリックス18の基材としてSiCを用いて、可燃性毒物としてホウ素を用いる場合について検討する。
ホウ素は、可燃性毒物としての役割を有するとともに、SiCの焼結助剤として一般に広く用いられるものであり、マトリックス18の焼結を補助する。
一方で、ホウ素による中性子吸収は、主としてホウ素10の(n,α)反応による。αはヘリウム原子核であるため、中性子吸収にともないヘリウムガス(Heガス)が発生する。ホウ素は主にSiCの粒界に存在するため、(n,α)反応により発生するHeガスは粒界ガスバブルとして存在する。
ホウ素による中性子吸収により発生するHeガスが核燃料コンパクト10内に蓄積すると、ガススウェリング(ガス膨張)が発生するおそれがある。
核燃料コンパクト10が膨張すると、被覆管12(図1)と核燃料コンパクト10との間には一定のクリアランスが確保されているものの、被覆管12と核燃料コンパクト10が接触して、被覆管12にかかる負荷を増加させてしまう危険性がある。
そこで、図6(B)に示すように、ホウ素による中性子吸収により発生するHeガスをマトリックス18の外部に排出するための気孔を、SiC結晶粒の境界である結晶粒界に与える。
長軸/短軸比3〜4程度の扁平楕円体形状の気孔を考えた場合、気孔によるパーコレーション(浸透)の閾値は、体積比で20%程度となる。このため、気孔率がマトリックス18の体積比で20%以上であれば連結なクラスタが存在することができ、このとき気孔がマトリックス18の全体に渡って生じる。
したがって、マトリックス18の気孔率を調整して20%以上とすることで、マトリックス18の内部でHeガスが発生した場合であっても、このHeガスを、気孔を介して被覆管12の自由空間に通じて逃すことができる。なお、気孔率の調整法は、多孔質SiCセラミックスの気孔率を調整するための既存の方法を用いる。
このように、発生したHeガスを核燃料コンパクト10から被覆管内の自由空間内に逃す構成とすることにより、核燃料コンパクト10におけるマトリックス18のガススウェリングを低減でき、核燃料コンパクト10の安定性を向上することができる。
また、α粒子そのものは非放射性なので、被覆管12の微小亀裂などから万が一ヘリウムガスが漏れ出しても、放射能の漏洩にはつながることは無い。
(第3実施形態)
図7(A)は、第3実施形態に係る核燃料コンパクト10の構成を説明する図であり、(B)は被覆粒子燃料17と可燃性毒物粒子25の配置の一例を示す図。なお、第1実施形態と共通の構成又は機能については、重複する説明を省略する。
第3実施形態では、マトリックス18に混入される可燃性毒物の一部が、被覆粒子燃料17の直径より小さい可燃性毒物粒子25であり、この可燃性毒物粒子がマトリックス18の中で分散して含有されていることを特徴とする。
焼結助剤とともに混入させた粉末状の可燃性毒物のみでは、核設計の条件によっては可燃性毒物の量として不十分である場合がある。この場合、可燃性毒物をホウ素10やガドリニウム155、ガドリニウム157など中性子吸収断面積の大きい同位体に濃縮することで、化学的な組成を変えずに中性子吸収断面積を高めることも考えられるが、これは技術的な観点、製造コストなどから容易ではない。
そこで、マトリックス18を焼結成形する際に、粉末状の可燃性毒物とともに粒子状の可燃性毒物粒子25を基材に混入させることで、可燃性毒物粒子25をマトリックス18の中で分散して含有させる。
可燃性毒物粒子25の直径を被覆粒子燃料17の直径より小さい粒子とすることで、被覆粒子燃料17の充填率を大きく下げずに、可燃性毒物粒子25をマトリックス18中に分散させて含有させることができる。
このように、球状の可燃性毒物粒子25をマトリックス18内に分散して含有させることで、同位体濃縮を行うこと無く簡易に可燃性毒物の量を調整することができる。
また、被覆粒子燃料17及び可燃性毒物粒子25の2つの球体を充填する場合、最密充填した球の間隙に内接する小さな球(可燃性毒物粒子25)の半径rは、幾何学的な配置を考慮すると、大きな球(被覆粒子燃料17)の半径Rの0.22倍となる。
可燃性毒物粒子25の半径rを被覆粒子燃料17の半径Rの0.22倍に設定することで、最密充填した被覆粒子燃料17の間隙に可燃性毒物粒子25が存在できることになり、被覆粒子燃料17の充填率、すなわち核燃料物質の装荷量への影響を最小限に抑制することができる。
なお、混入される可燃性毒物粒子25が焼結助剤と反応して化学的なバランスを崩してしまう恐れがある場合には、可燃性毒物粒子25の表面に、反応を抑制する皮膜を形成しても良い。この被膜は、例えばSiCを化学気相成長させて可燃性毒物粒子25の表面に形成させる。
以上述べた各実施形態の核燃料コンパクトによれば、粉末状の可燃性毒物を混入させてマトリックスを成形することにより、軽水炉燃料に被覆粒子燃料を用いた場合に、燃料コンパクトにおける核燃料物質の装荷量を低下させずに可燃性毒物を核燃料物質の近傍に配置することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 核燃料コンパクト
11 核燃料棒
12 被覆管
13 上部端栓
14 下部端栓
15 プレナム
16 プレナムスプリング
17 被覆粒子燃料
18 マトリックス
20 カーネル
21 バッファ層
22 熱分解炭素層
23 SiC層
24 熱分解炭素層
25 可燃性毒物粒子

Claims (9)

  1. 核燃料物質を含む中心核を、核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆させた粒子状の被覆粒子燃料と、
    中性子を吸収して前記核分裂の反応度を調整するための可燃性毒物が混入されて、前記被覆粒子燃料を分散して含有するマトリックスと、を備えることを特徴とする核燃料コンパクト。
  2. 前記可燃性毒物は、ガドリニウム及びホウ素の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の核燃料コンパクト。
  3. 前記マトリックスが、炭化ケイ素のセラミックスから形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の核燃料コンパクト。
  4. 前記マトリックスの気孔率が、20%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の核燃料コンパクト。
  5. 混入される前記可燃性毒物の一部が、前記被覆粒子燃料の直径より小さい可燃性毒物粒子であり、この可燃性毒物粒子が前記マトリックスの中で分散して含有されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の核燃料コンパクト。
  6. 前記可燃性毒物粒子の直径は、前記被覆粒子燃料の直径の0.22倍であることを特徴とする請求項5に記載の核燃料コンパクト。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の前記核燃料コンパクトが被覆管の内部に積層して充填されたことを特徴とする核燃料棒。
  8. 核燃料物質を含む中心核を核分裂により生成する核分裂生成ガスを保持する被覆層で被覆して粒子状の被覆粒子燃料を形成するステップと、
    粉末状の基材と粉末状の可燃性毒物とを混合するステップと、
    前記基材と前記可燃性毒物との混合粉末と、前記被覆粒子燃料とを混合して、焼結助剤を添加して焼結処理するステップと、を含むことを特徴とする核燃料コンパクトの製造方法。
  9. 前記焼結助剤に酸化アルミニウムと酸化イットリウムの混合物を用いて、
    前記可燃性毒物は酸化ガドリニウムを含んで、
    前記酸化ガドリニウムの重量が、前記焼結助剤の重量の0.8倍以上であることを特徴とする請求項8に記載の核燃料コンパクトの製造方法。
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