JP2017095380A - アルミニウム化合物、乾燥剤、封止構造、及び有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】充分な捕水性を示し、且つ乾燥剤として用いたときに気泡の発生を抑制し得る化合物、並びにこの化合物を用いた乾燥剤、封止構造及び有機EL素子の提供。【解決手段】式(1)で表されるアルミニウム化合物。[R1、R2及びR3は夫々独立にC6以上のアルキル基又は、のうち少なくとも1つは式(2)で表されるアルキル基(RA、RB及びRCは夫々独立にH又はアルキル;式(2)のアルキはCの合計が6〜10)]【選択図】図1

Description

本発明は、アルミニウム化合物、乾燥剤、封止構造、及び有機EL素子に関する。
近年、有機EL(Electroluminescence)素子を用いた発光デバイスである有機ELディスプレイ、有機EL照明等についての研究開発が活発に行われている。有機EL素子は、有機発光材料を含む薄膜である有機層を一対の電極の間に挟んだ構造を有している。有機EL素子は、薄膜に正孔(ホール)及び電子を注入して再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際の光の放出(蛍光又は燐光)を利用する自発光素子である。
有機EL素子の最大の課題は耐久性の改善であり、中でもダークスポットと呼ばれる有機層の非発光部の発生とその成長の防止が最も大きな課題となっている。ダークスポットの主原因としては、水分及び酸素の影響が大きく、特に水分は極めて微量でも大きな影響を及ぼすことが知られている。
そこで、有機EL素子への水分及び酸素の浸入を防止する方法が種々検討されている。例えば、有機EL素子の気密容器内に充填剤を充填する充填封止構造が提案されており、さらには充填剤として乾燥剤を含むものも提案されている。例えば、特許文献1では、捕水成分として、所定の構造を有する補水成分としての有機金属化合物とシリコーン等の粘性置換材料とを含む乾燥剤が開示されている。
特開2013−176751号公報
しかしながら、従来の乾燥剤を用いて有機EL素子を作製し、高温高湿評価を行うと、乾燥剤に由来するアルコールが蒸発して有機EL素子内のパネル等の基板に気泡が発生することがあった。基板に気泡が発生すると、有機EL素子内の内圧上昇によるシール不良、又は乾燥剤の分布が偏ることによる発光シュリンクが発生するおそれがある。また、乾燥剤を有機EL素子等の封止構造内部に容易に設けるために、乾燥剤の補水成分は室温(例えば25℃)で液状であることが望ましい。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、充分な捕水性を示し、且つ乾燥剤として用いたときに気泡の発生を抑制することが可能な、液状である、又は液状化し易いアルミニウム化合物を提供することを主な目的とする。
本発明の一側面は、下記式(1)で表されるアルミニウム化合物を提供する。
Figure 2017095380

式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数6以上のアルキル基、アリール基、複素環基、又は炭素数2以上のアシル基を示し、R、R、及びRのうち、少なくとも1つは下記式(2)で表されるアルキル基である。
Figure 2017095380

式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、式(2)で表されるアルキル基の炭素数の合計は、6〜10である。
上記アルミニウム化合物は、充分な捕水性を示し、且つ乾燥剤として用いたときに気泡の発生を抑制することができる。この理由は、式(1)で表される化合物が、式(2)で表される分岐アルキル基を含むアルコキシ基を有することにより、充分な捕水容量を保ちつつ、捕水した際に生じるアルコールが高温下(例えば、85℃)においても、気体とならないような高い沸点を有するためだと考えられる。さらには、このアルミニウム化合物は、室温で液状となる傾向にあるため、有機溶媒、粘度調整剤等を添加しなくとも乾燥剤として用いることができる。
別の側面において、本発明は、上記アルミニウム化合物を含む乾燥剤を提供する。乾燥剤は、粘度調整剤をさらに含有してもよい。
さらに別の側面において、本発明は、対向配置された一対の基板と、一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で一対の基板の間に設けられた上記乾燥剤と、を備える封止構造を提供する。
さらに別の側面において、本発明は、素子基板と、素子基板に対して対向配置された封止基板と、素子基板及び封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で素子基板上に設けられた、有機層及びこれを挟持する一対の電極を有する積層体と、前記封止シール剤の内側で素子基板及び封止基板の間の積層体以外の空間を充填する上記乾燥剤と、を備える有機EL素子を提供する。
本発明によれば、充分な捕水性を示し、且つ乾燥剤として用いたときに気泡の発生を抑制することが可能な、液状である、又は液状化し易いアルミニウム化合物、並びにこのアルミニウム化合物を用いた乾燥剤、封止構造及び有機EL素子を提供することができる。
一実施形態に係る有機EL素子を示す模式断面図である。 一実施形態に係る有機EL素子の製造工程を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
アルミニウム化合物
一実施形態のアルミニウム化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2017095380
式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数6以上のアルキル基、アリール基、複素環基、又は炭素数2以上のアシル基を示す。
、R、及びRのうち、少なくとも1つは下記式(2)で表されるアルキル基である。R、R、及びRのすべてが下記式(2)で表されるアルキル基であってもよい。
Figure 2017095380
式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示す。式(2)で表されるアルキル基の炭素数の合計は、6〜10であり、7〜9であってもよい。アルキル基の炭素数が6以上であることによって、アルミニウム化合物を含有する乾燥剤が捕水したときに、高温(例えば、85℃)においても、気泡の発生が抑制される傾向にある。一方、アルキル基の炭素数が10以下であると、気泡の発生の程度と捕水容量とのバランスに優れる傾向にある。
、R又はRとしてのアルキル基は、炭素数3〜7の直鎖又は分岐のアルキル基であってよい。このアルキル基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、及びn−ヘプチル基が挙げられる。
式(2)で表されるアルキル基の具体例としては、例えば、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−オクチル基、3−オクチル基、4−オクチル基、2−ノニル基、3−ノニル基、4−ノニル基、5−ノニル基、2−デシル基、3−デシル基、4−デシル基、5−デシル基が挙げられる。
式(2)で表されるアルキル基のように、酸素原子に結合する炭素原子の位置で分岐するアルキル基を少なくとも1つ有する式(1)のアルミニウム化合物は、液状となる傾向がある。液状のアルミニウム化合物は、有機溶媒、粘度調整剤等を添加しなくとも乾燥剤として用いることができる。
、R及びRのうち1つ又は2つは、式(2)で表されるアルキル基とは異なる炭素数6以上のアルキル基であってもよい。この炭素数6以上のアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、その具体例としては、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デカニル基、ドデカニル基、テトラデカニル基、及びヘキサデカニル基が挙げられる。このアルキル基の炭素数は、特に制限されないが、20以下、16以下、又は12以下であってもよい。
、R又はRとしてのアリール基としては、例えば、置換基を有してもよいフェニル基が挙げられる。ここで、置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、ビニル基、メルカプト基、アミノ基、ニトロ基、及びシアノ基が挙げられる。
、R又はRとしての複素環基は、複素環式化合物から水素原子1つを除いた残基である1価の基である。この複素環基は置換基を有していてもよい。複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、及びトリアジニル基が挙げられる。ここで、置換基としては、アリール基で例示した基と同様の基が例示できる。
炭素数2以上のアシル基は、R−(CO)−で表されることができ、Rは、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。炭素数2以上のアシル基としては、例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、及びプロピルカルボニル基が挙げられる。このようなアシル基の炭素数は、特に制限されないが、20以下、16以下、又は12以下であってもよい。
一実施形態のアルミニウム化合物によれば、乾燥剤の捕水容量を、例えば、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、又は12質量%以上とすることができる。補水容量の決定方法に関しては後述の実施例において説明される。
アルミニウム化合物の製造方法
式(1)のアルミニウム化合物は、例えば、アルミニウム及びこれに結合したアルコキシ基を有する化合物を、式(2)で表されるアルキル基を有する分岐アルコールと、場合によって他のアルコール及び/又はカルボン酸とともに反応させることを含む方法によって得ることができる。
式(1)のアルミニウム化合物を合成するための原料として用いられ得る化合物の例は、アルミニウム トリ−n−ブトキシド、アルミニウム トリ−sec−ブトキシド、アルミニウム トリ−tert−ブトキシド、アルミニウム トリ−n−オクトキシド、アルミニウム トリ−sec−オクトキシド、アルミニウム トリ−n−ドデコキシド、アルミニウム トリ−sec−ドデコキシド、及びメチルジメトキシアルミニウムを含む。
これらアルミニウム化合物は、1種を単独で、2種以上を組み合わせて用いられ得る。
式(2)で表されるアルキル基を有する分岐アルコールとしては、例えば、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−ノナノール、3−ノナノール、4−ノナノール、5−ノナノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、及び5−デカノールが挙げられる。
式(2)で表されるアルキル基を有する分岐アルコール以外のアルコールは、アルキルアルコール、アリールアルコール又は水酸基で置換された複素環化合物であってもよい。アルキルアルコールとしては、例えば、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、及びヘキサデカノールが挙げられる。
アリールアルコールとしては、例えば、置換基を有してもよいフェノールが挙げられる。ここで、置換基としては、アリール基で例示した基と同様の基が例示できる。
水酸基で置換された複素環化合物としては、例えば、チエニルアルコール、ピロリルアルコール、フリルアルコール、ピリジルアルコール、ピリダジニルアルコール、ピリミジニルアルコール、ピラジニルアルコール、及びトリアジニルアルコールが挙げられる。
式(2)で表されるアルキル基を有する分岐アルコールとともに用いられ得るカルボン酸は、R−COOHで表され、Rが直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示すカルボン酸であってもよい。このカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸が挙げられる。
原料の化合物と、分岐アルコールを含むアルコールとを反応させるとき、アルミニウム化合物1モルに対する、式(2)で表されるアルキル基を含む分岐アルコールの割合が1モル以上であってもよい。これにより、式(2)で表されるアルキル基を含む式(1)のアルミニウム化合物を容易に得ることができる。
反応条件は、用いる原料に合わせて適宜選択することができるが、無溶媒下、又は溶媒存在下、室温(例えば、25℃)〜150℃で0.5〜48時間撹拌することができる。また、反応終了後、生成した揮発成分を減圧留去することができる。
乾燥剤
一実施形態の乾燥剤は、式(1)で表されるアルミニウム化合物を含有する。
一実施形態の乾燥剤は、粘度調整剤をさらに含有してもよい。粘度調整剤によって粘度を調整することで、封止構造内への充填が容易な乾燥剤が得られ易い。
粘度調整剤は、例えば、シリコーンであってもよい。シリコーンの例として、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、及びフルオロシリコーンが挙げられる。
粘度調整剤の含有割合は、例えば、式(1)で表されるアルミニウム化合物の質量に対して、0.05〜20倍であってもよい。乾燥剤中のアルミニウム化合物及び粘度調整剤の合計の含有量は、乾燥剤の質量を基準として、20〜100質量%であってもよい。
一実施形態の乾燥剤は、式(1)で表されるアルミニウム化合物、粘度調整剤以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、従来から公知の乾燥剤である酸化カルシウム等の化学吸着剤、ゼオライト、シリカゲル等の物理吸着剤、硬化樹脂、モノマーなどが挙げられる。
乾燥剤の粘度は、25℃において、1〜5000Pa・s、1〜1000Pa・s、1〜300Pa・s、又は0.1〜1Pa・sであってもよい。このような粘度を有する乾燥剤は、ディスペンスによる塗布法、ODF(One Drop Fill)法のような方法によって対象部材に特に容易に適用することができる。特にディスペンスによる塗布法を適用する場合には、乾燥剤の粘度は1〜5000Pa・s、1〜1000Pa・s、又は1〜300Pa・sであることが好ましい。ODF法を適用する場合には、乾燥剤の粘度は0.1〜1Pa・sであることが好ましい。式(1)のアルミニウム化合物が室温で液状であると、このような適切な粘度を有する乾燥剤が得られ易い。
乾燥剤は、各種の対象部材に対して、任意の方法で適用できる。適用方法としては、ディスペンスによる塗布法、ODF、スクリーン印刷法、スプレー法、及びホットメルト法が挙げられる。
封止構造
本実施形態の封止構造は、対向配置された一対の基板と、一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で一対の基板の間に設けられた乾燥剤とを備える。乾燥剤は、上述の実施形態に係る乾燥剤であることができ、封止構造内(封止シール剤によって封止された空間)に配置される。乾燥剤は、封止された空間の一部、例えば基板上の所定の箇所のみに適用されていてもよく、封止された空間を充填していてもよい。
本実施形態の封止構造は、水分の影響を受けやすいデバイスを封入する際に特に好適に利用することができる。このようなデバイスとしては、例えば、有機EL素子、有機半導体、有機太陽電池等の有機電子デバイスが挙げられる。
有機EL素子
図1は、有機EL素子の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す有機EL素子1は、素子基板2と、素子基板2に対して対向配置された封止基板3と、素子基板2上に設けられた、有機層4及び有機層4を挟持する陽極5及び陰極6を有する積層体と、素子基板2及び封止基板3の外周部を封止する封止シール剤8と、封止シール剤8の内側で素子基板2及び封止基板3の間の積層体以外の空間(封止された空間)を充填する充填剤7とから構成される、いわゆる充填封止構造の有機EL素子である。充填剤7は、上記実施形態の乾燥剤であることができる。
有機EL素子1において、充填剤7以外の要素に関しては従来公知のものを適用することができるが、その一例を以下で簡単に説明する。
素子基板2は、絶縁性及び透光性を有する矩形状のガラス基板からなり、この素子基板2上には、透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)によって陽極5(電極)が形成されている。この陽極5は、例えば真空蒸着法、スパッタ法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法により素子基板2上に成膜されるITO膜をフォトレジスト法によるエッチングで所定のパターン形状にパターニングすることにより形成される。電極としての陽極5の一部は、素子基板2の端部まで引き出された駆動回路(図示せず)に接続される。
陽極5の上面には、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱法等のPVD法により、有機発光材料を含む薄膜である有機層4が積層されている。有機層4は、単一の層から形成されていてもよく、機能の異なる複数の層から形成されていてもよい。本実施形態における有機層4は、陽極5側から順に、ホール注入層4a、ホール輸送層4b、発光層4c及び電子輸送層4dが積層された4層構造である。ホール注入層4aは、例えば数10nmの膜厚の銅フタロシアニン(CuPc)から形成される。ホール輸送層4bは、例えば数10nmの膜厚のbis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine(α−NPD)から形成される。発光層4cは、例えば数10nmの膜厚のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)から形成される。電子輸送層4dは、例えば数nmの膜厚のフッ化リチウム(LiF)から形成される。そして、陽極5、有機層4及び後述する陰極6がこの順で積層された積層体により、発光部が形成されている。
有機層4(電子輸送層4d)の上面には、真空蒸着法等のPVD法により、金属薄膜である陰極6(電極)が積層されている。金属薄膜の材料としては、例えばAl、Li、Mg、In等の仕事関数の小さい金属単体やAl−Li、Mg−Ag等の仕事関数の小さい合金などが挙げられる。陰極6は、例えば数10nm〜数100nm(好ましくは50nm〜200nm)の膜厚で形成される。陰極6の一部は、素子基板2の端部まで引き出されて駆動回路(図示せず)に接続される。
封止基板3は、有機層4を挟んで素子基板2と対向するように配置され、素子基板2及び封止基板3の外周部は、封止シール剤8により封止されている。封止シール剤としては例えば紫外線硬化樹脂を用いることができる。さらに、封止された空間には、本実施形態の乾燥剤である充填剤7が充填されている。これにより、有機層4等が保護されている。
上記有機EL素子は、素子基板側から光を取り出すボトムエミッション型の有機EL素子であるが、本発明の有機EL素子は封止基板側から光を取り出すトップエミッション型の有機EL素子であってもよい。トップエミッション型の有機EL素子も、従来公知の方法により製造することができるが、封止基板3として透光性を有するものを用いるとともに、陰極6として透明電極を用いる、又は陽極5と陰極6の位置を入れ替える等といった変更が必要となる。本実施形態の乾燥剤は透光性に優れ、且つ捕水後もひび割れを起こさず非透明化しないため、このトップエミッション型の有機EL素子に特に好適に使用することができる。
有機EL素子の製造方法
図2は、有機EL素子の製造工程、特に封止工程の一実施形態を示す模式断面図である。この方法では、まず、素子基板2上に有機層4等(電極は図示せず)が積層された積層体を準備する(図2(a))。
次に、別途準備した封止基板3上に、封止される空間に充填可能な容量の本実施形態の乾燥剤を、ディスペンサで塗布する。さらに、封止基板3上に塗布した乾燥剤を囲むように封止シール剤8をディスペンサで塗布する(図2(b))。これらの作業は、露点−76℃以下の窒素で置換されたグローブボックス中で行うことが好ましい。
次に、有機層4等が積層された素子基板2と封止基板3とを貼り合わせる(図2(c))。貼り合わせた基板をUV照射及び80℃程度の加熱により封止することにより、本実施形態の有機EL素子が製造される(図2(d))。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(捕水容量)
本実施例において、以下の式に基づいて捕水容量の理論値を算出した。
捕水容量[質量%]=捕水量[g]/乾燥剤の全質量[g]×100
捕水量は、アルミニウム原子を有する化合物の物質量[mol]と水の分子量[g/mol]と中心原子の価数との積から求めることができる。
例えば、実施例1における捕水容量は以下の式に基づいて算出した。
捕水量[g]=アルミニウム トリ−sec−ブトキシドの物質量[mol]×水の分子量[g/mol]×アルミニウムの価数
=0.483mol×18.0g/mol×3
=26.1g
捕水容量[質量%]=26.1g/200.3g×100=13.0質量%
本実施例において、以下の方法により、捕水容量の実測値を算出した。
含水率5質量%の含水エタノールに、サンプル濃度が10質量%となるようにサンプルを加えた。これを1分間攪拌した後に、さらに2000rpm、10分間の条件で遠心分離を行った。KF法水分計(CA−100、VA−100:気化法)を用いて、遠心分離後のエタノール含水率の変化を捕水量として計算し、以下の式に基づいて捕水容量を算出した。
捕水容量[質量%]=捕水量[mg]/サンプル量[mg]×100
(実施例1)
ナスフラスコに、アルミニウム トリ−sec−ブトキシド119.0g及び2−オクタノール209.2gを投入し、室温で30分間撹拌した。その後、150℃、450Paの条件で減圧留去して200.3gの透明液体(液状物)のアルミニウム トリ−2−オクトキシドを得た。捕水容量の理論値は13.0質量%であり、実測値は12.4質量%であった。アルミニウム トリ−2−オクトキシドは、式(1)中のR〜Rのすべてが、式(2)中のRがn−ペンチル基で、R及びRが水素原子のアルキル基であるアルミニウム化合物である。
アルミニウム トリ−2−オクトキシドを、シリコーンと表1に示す割合で混合し、補水容量が8.5質量%の乾燥剤を調製した。得られた乾燥剤をバイアル瓶に加え、さらに全質量の1質量%となるように水を加えて、測定試料を準備した。測定試料を、オイルバスを用いて85℃又は120℃で0.5時間加熱した。加熱により測定試料から放出されたガスを、ガスクロマトグラフィーを用いて分析し、以下の条件で放出ガス量を測定した。
<ガスクロマトグラフィーの測定条件>
装置名:HITACHI G−5000A(株式会社日立製作所製)
・試料導入部:温度85℃
・検出器:温度280℃
・温度プログラム
50℃で1分間ホールド、50℃〜85℃を昇温速度5℃/分で昇温
(比較例1)
市販のアルミニウム トリ−sec−ブトキシド(室温で液状)を、シリコーンと表1に示す割合で混合し、補水容量が8.5質量%の乾燥剤を得た。得られた乾燥剤について、実施例1と同様に測定して放出ガス量を測定した。
Figure 2017095380
表1は、放出ガス量をクロマトグラムのピーク積算値で示す。実施例1の測定試料からは120℃までガスの放出が認められなかった。比較例1の測定試料からは85℃で多量のガスが放出された。比較例1に関しては120℃の加熱試験は行わなかった。
(その他のアルミニウム化合物)
市販のアルミニウム トリメトキシド、アルミニウム トリエトキシド、アルミニウム トリイソプロポキシド、及びアルミニウム トリ−n−ブトキシドを準備した。これらは全て室温で固体であった。
2−オクタノールの代わりに、1−オクタノール(n−オクタノール)を用いた以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム トリ−1−オクトキシドを合成した。アルミニウム トリ−1−オクトキシドは、室温で固体であった。
2−オクタノールの代わりに、2−エチルヘキサノールを用いた以外は、実施例1と同様にして、アルミニウム トリス(2−エチルヘキサノアト)を得た。アルミニウム トリス(2−エチルヘキサノアト)は、室温で固体であった。
このように、実施例1及び比較例1の化合物が液状であったのに対して、直鎖状の炭素数1〜8のアルキル基を含むアルコキシ基を有するアルミニウム化合物は固体であった。また、分岐状の炭素数6以上のアルキル基を含むものの、アルキル基の分岐の位置が式(2)とは異なるアルコキシ基を有するアルミニウム化合物も固体であった。
以上の結果から、式(1)で表されるアルミニウム化合物は、液状で、且つ充分な捕水性を示し、乾燥剤の高温下での気泡の発生を抑制できることが確認された。
1…有機EL素子、2…素子基板、3…封止基板、4…有機層、4a…ホール注入層、4b…ホール輸送層、4c…発光層、4d…電子輸送層、5…陽極、6…陰極、7…充填剤、8…封止シール剤。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるアルミニウム化合物。
    Figure 2017095380

    [式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立に炭素数6以上のアルキル基、アリール基、複素環基、又は炭素数2以上のアシル基を示し、R、R、及びRのうち少なくとも1つは下記式(2)で表されるアルキル基であり、
    Figure 2017095380

    式(2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示し、式(2)で表されるアルキル基の炭素数の合計は、6〜10である。]
  2. 請求項1に記載のアルミニウム化合物を含有する乾燥剤。
  3. 粘度調整剤をさらに含有する、請求項2に記載の乾燥剤。
  4. 対向配置された一対の基板と、
    前記一対の基板の外周部を封止する封止シール剤と、
    前記封止シール剤の内側で前記一対の基板の間に設けられた、請求項2又は3に記載の乾燥剤と、
    を備える封止構造。
  5. 素子基板と、
    前記素子基板に対して対向配置された封止基板と、
    前記素子基板及び前記封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、
    前記封止シール剤の内側で前記素子基板上に設けられた、有機層及びこれを挟持する一対の電極を有する積層体と、
    前記封止シール剤の内側で前記素子基板及び前記封止基板の間の前記積層体以外の空間を充填する、請求項2又は3に記載の乾燥剤と、
    を備える有機EL素子。
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