JP2017095292A - 窒化ホウ素ナノチューブ及び熱硬化性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導性を高めることができる窒化ホウ素ナノチューブを提供する。【解決手段】本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブでは、外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH3、C2H3、C2H5、C3H5、及びC3H7の分析において、(CH3+C2H3+C2H5+C3H5+C3H7)/(10B+11B)の値が0.15以下であるか、又は、外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO2、及び11BO2の分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO2+11BO2)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、窒化ホウ素ナノチューブに関する。また、本発明は、上記窒化ホウ素ナノチューブを用いた熱硬化性材料に関する。
近年、電気機器の小型化及び高性能化が進行している。これに伴って、電子部品の実装密度が高くなってきており、電子部品から発生する熱を放散させる必要が高まっている。熱を放散させるために、熱伝導性フィラーを含む熱伝導性組成物が用いられている。
下記の特許文献1には、絶縁性樹脂、平均粒子径15μm〜30μmの窒化アルミニウム粒子、及び平均粒子径0.5μm〜2μmの略球状アルミナ粒子を含有する熱伝導性接着剤が開示されている。この熱伝導性接着剤では、上記窒化アルミニウム粒子と上記略球状アルミナ粒子との混合比率(体積比)が70:30〜80:20である。上記窒化アルミニウム粒子と上記略球状アルミナ粒子との合計量が、上記絶縁性樹脂、上記窒化アルミニウム粒子、及び上記アルミナ粒子の合計量に対して60〜70体積%である。
下記の特許文献2には、脂環式エポキシ樹脂と、硬化剤であるフェノール類ノボラック樹脂と、充填材である二酸化チタンと、充填材である熱伝導率20W/m・K以上の高熱伝導率材とを含有するエポキシ樹脂組成物が開示されている。
また、下記の特許文献3では、(A)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン:100質量部と、(B)ケイ素原子に直接結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:ケイ素原子に直接結合した水素原子のモル数が(A)成分由来のアルケニル基のモル数の0.1〜5.0倍となる量と、(C)熱伝導性充填材:1,200〜6,500質量部と、(D)白金族金属系硬化触媒:(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1〜2,000ppmとを含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されている。この熱伝導性シリコーン組成物では、(C)成分の熱伝導性充填材が、(C−i)平均粒子径10〜30μmである不定形アルミナを500〜1,500質量部と、(C−ii)平均粒子径30〜85μmである球状アルミナを150〜4,000質量部と、(C−iii)平均粒子径0.1〜6μmである絶縁性無機フィラー500〜2,000質量部とを含む。
一方で、熱伝導率が高い熱伝導性フィラーとしては、窒化ホウ素ナノチューブがある。下記の特許文献4には、アルミナに担持されたニッケル硼化物を触媒として、ホウ素と、窒素ガス及びアンモニアガスの少なくともいずれかを反応性ガスとして加熱反応させる窒化ホウ素ナノチューブが開示されている。
特開2008−258254号公報 特開2011−241279号公報 特開2013−147600号公報 特開2004−231455号公報
特許文献1,2では、硬化物の熱伝導性を高める場合には、フィラーを高密度に充填する必要がある。しかし、特許文献1,2では、フィラーの配合量を多くできる範囲に限界があり、フィラーの形状に起因して、硬化物中で接したフィラー間に樹脂成分が多く存在する。また、フィラーを高密度に充填したとしても、硬化物の熱伝導性が十分に高くならないことがある。また、フィラーを高密度に充填すると、組成物の粘度が高くなり、塗布性及び成型加工性が悪くなり、硬化物の機械的強度も低下する。
特許文献3では、フィラーの形状に起因して、硬化物中で接したフィラー間に他のフィラーをある程度配置させることができる。しかしながら、特許文献3でも、硬化物の熱伝導性を効果的に高めることは困難である。
一方で、窒化ホウ素ナノチューブを用いれば、熱伝導性を効果的に高めることができる。但し、特許文献4に記載のような従来の窒化ホウ素ナノチューブでは、熱伝導性を高めるには限界がある。従来の窒化ホウ素ナノチューブよりも熱伝導性に優れた窒化ホウ素ナノチューブは、窒化ホウ素ナノチューブの用途を大幅に拡大させる可能性がある。
本発明の目的は、熱伝導性を高めることができる窒化ホウ素ナノチューブを提供することである。また、本発明は、上記窒化ホウ素ナノチューブを用いた熱硬化性材料を提供することも目的とする。
本発明の広い局面では、外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下であるか、又は、外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である、窒化ホウ素ナノチューブが提供される。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブのある特定の局面では、外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下である。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブのある特定の局面では、外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブのある特定の局面では、平均直径が2nm以上、300nm以下である。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブのある特定の局面では、前記窒化ホウ素ナノチューブは、単管又は多重管である。
本発明の広い局面によれば、熱硬化性化合物と、熱硬化剤と、上述した窒化ホウ素ナノチューブとを含む熱硬化性材料が提供される。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、前記熱硬化性材料は、ナノチューブではない絶縁性フィラーを含む。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、前記絶縁性フィラーが、10W/m・K以上の熱伝導率を有する。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、前記絶縁性フィラーの材質が、アルミナ、合成マグネサイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムである。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、熱硬化性材料100体積%中、前記窒化ホウ素ナノチューブの含有量が0.1体積%以上、40体積%以下である。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、熱硬化性材料100体積%中、前記絶縁性フィラーの含有量が25体積%以上、90体積%以下である。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、熱硬化性材料100体積%中での前記窒化ホウ素ナノチューブの含有量の、熱硬化性材料100体積%中での前記絶縁性フィラーの含有量に対する比が、0.001以上、1.6以下である。
本発明に係る熱硬化性材料のある特定の局面では、前記熱硬化性材料は、熱硬化性シートである。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブでは、外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C5、、及びCの分析において、(CH+C+C5++C)/(10B+11B)の値が0.15以下であるか、又は、外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下であるので、熱伝導性を高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱硬化性材料の硬化物を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(窒化ホウ素ナノチューブ)
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブ(Boron Nitride NanotubeもしくはBNNTと記載することがある)では、(構成1)外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下であるか、又は、(構成2)外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である。
本発明では、上記の構成が備えられているので、絶縁性を高く維持しつつ、熱伝導性を高めることができる。本発明では、窒化ホウ素ナノチューブにおける外表面部分の構成によって、熱伝導性を高めることができる。
なお、本発明では、上記の構成1を満足していてもよく、上記の構成2を満足していてもよく、上記の構成1及び上記の構成2の双方を満足していてもよい。
窒化ホウ素ナノチューブにおける熱伝搬は、ホウ素原子Bと窒素原子Nから構成されるBN結晶格子の振動(フォノン振動)によって起こるため、他の元素の混入が少ないBN結晶格子では、フォノン振動の乱れや散乱が抑えられ、熱伝導性を高めることができる。また、ナノチューブの熱伝搬には外表面のフォノン振動が最も支配的に影響するため、ナノチューブの外表面で結晶格子を構成するBN元素の純度を高めることによって、熱伝導率を高めることができる。
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)では、例えば、窒化ホウ素ナノチューブの外表面から内側に向かって厚み3nmの領域でのイオンが検出される。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブは、上記の構成1を満足することが好ましい。この場合には、熱伝導性を高めることができる。
また、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上である。一般的に絶縁性の窒化ホウ素ナノチューブにおいては、熱伝搬は結晶格子の振動(フォノン振動)によって起こるため、BN結晶格子の整列を乱す他の元素の混入は少ない方が良いと考えられていた。これに対して、本発明者はCやHである他の元素は、溶剤や樹脂への馴染みや分散性を確保する役割を担うことも見出した。CやHである他の元素は、窒化ホウ素ナノチューブと樹脂との界面の密着性が良いので、硬化物の強度を向上させることができる。例えば、温度サイクル試験で発生する応力においても硬化物の強度を保持し、高い信頼性を維持することができる。更に、窒化ホウ素ナノチューブの樹脂への分散状態が良好であると、硬化物の放熱特性が向上するので、温度サイクル試験において熱の影響を受けにくい。以上から、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱伝導率の向上と、温度サイクル試験における信頼性の向上とを両立させることができる。(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が上記下限以上であると、温度サイクル試験における信頼性も向上する。
上記構成1において、外表面の炭素原子及び水素原子は、C(xは1〜3の整数、yは3〜7の整数)の形態で存在することが好ましい。
熱伝導性及び分散性をより一層高める観点からは、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値は、好ましくは0.13以下、より好ましくは0.1以下である。
本発明に係る窒化ホウ素ナノチューブは、上記の構成2を満足することが好ましい。この場合には、絶縁性及び熱伝導性を高めることができるだけでなく、窒化ホウ素ナノチューブがバインダーに分散された熱硬化性材料の硬化物において、馴染みや分散性を高めることもできる。
また、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上である。一般的に絶縁性の窒化ホウ素ナノチューブにおいては、熱伝搬は結晶格子の振動(フォノン振動)によって起こるため、BN結晶格子の整列を乱す酸素などの他の元素の混入は少ない方が良いと考えられていた。また、窒化ホウ素ナノチューブを分散させた熱硬化性材料を高温下で硬化させる際に、BOやBOの酸化物が樹脂中の水素と反応して水蒸気を生成しボイドを形成するおそれがあるため、酸素元素の混入は少ない方が良いと思われていた。これに対して、本発明者は窒化ホウ素ナノチューブの表面に存在するBOやBOの酸化物が樹脂中に存在する水素などと配位しやすく、溶剤や樹脂への馴染みや分散性を確保する役割を担うことも見出した。以上から、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が上記下限以上及び上記上限以下であると、熱伝導率の向上と、温度サイクル試験における信頼性の向上とを両立させることができる。(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が上記下限以上であると、温度サイクル試験における信頼性も向上する。
上記構成2において、外表面の酸素原子及びホウ素原子は、BxO(xは1〜2の整数、yは1〜2の整数)の形態で存在することが好ましい。
熱伝導性及び分散性をより一層高める観点からは、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値は、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.4以下である。
熱伝導性及び分散性をより一層高める観点からは、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値は、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下である。好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。
外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下であり、及び、外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下であることが好ましい。
上記窒化ホウ素ナノチューブは、アーク放電法、レーザー加熱法及び化学的気相成長法等を用いて合成できる。また、ホウ化ニッケルを触媒として使用し、ボラジンを原料として合成する方法も知られている。また、カーボンナノチューブを鋳型として利用して、酸化ホウ素と窒素を反応させて合成する方法も知られている。上記窒化ホウ素ナノチューブは、これらの合成方法により得られるものに限定されない。
窒化ホウ素ナノチューブを合成する反応式としては、例えば以下の反応式が挙げられる。
2MgO+2B→B+2Mg
2FeO+2B→B+2Fe
+2NH→2BN+2HO+H
上記の構成1を満足する窒化ホウ素ナノチューブを得るために、例えば、上記窒化ホウ素ナノチューブの合成時において、一酸化炭素及び二酸化炭素がそれぞれ低濃度(例えば0.1ppm以下)に制御された窒素ガス(例えば濃度99.99995%程度)又はアルゴンガス(例えば濃度99.9999%程度)を用いることができる。上記構成1をより一層容易に満足するために、窒化ホウ素ナノチューブを合成した後、窒素プラズマを用いたドライエッチングにより残存炭素を除去することができる。
本発明においては、上記の構成1を満足するために、例えば窒素プラズマの照射時間によって残存炭化物の量を制御することができる。
本発明においては、上記の構成2を満足するために、例えば、窒化ホウ素ナノチューブを合成した後、水素プラズマを照射することによって表面の酸化層を取り除くことが出来る。取り除く酸化層はプラズマ照射時間によって制御することができる。
上記窒化ホウ素ナノチューブは、ナノチューブである。上記窒化ホウ素ナノチューブの材質は、窒化ホウ素である。上記窒化ホウ素ナノチューブの形状は、チューブ状である。理想的な形状としては、6角網目の面がチューブ軸に平行に管を形成し、単管又は多重管になっている形状である。
熱伝導性が高い窒化ホウ素ナノチューブを容易に得る観点からは、窒化ホウ素ナノチューブが多重管である場合に、管数は好ましくは50以下である。窒化ホウ素ナノチューブは、単管又は管数50以下の多重管であることが好ましい。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は好ましくは2nm以上、より好ましくは6nm以上、更に好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。
平均直径とは、単管の場合には平均外径を示し、多重管の場合には最も外側に位置する管の平均外径を意味する。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記窒化ホウ素ナノチューブの平均長さは、好ましくは1μm以上、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下である。
上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比は好ましくは3以上である。上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比の上限は特に限定されない。上記窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比は100000以下であってもよい。
上記平均直径、上記平均長さ及び上記アスペクト比は、電子顕微鏡による観察から求めることができる。例えばTEM(透過型電子顕微鏡)による測定を行い、得られた画像から直接、上記窒化ホウ素ナノチューブの直径、長さを測定することが可能である。また熱硬化性材料中の上記窒化ホウ素ナノチューブの形態は、例えば軸と平行に切断した繊維断面のTEM(透過型電子顕微鏡)測定により把握することができる。上記平均直径、上記平均長さ及び上記アスペクト比は、電子顕微鏡の画像中の任意の50個の算術平均により求めることが好ましい。
(熱硬化性材料)
本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素ナノチューブとを含む。
(A)〜(C)成分を含む組成の採用によって、硬化物の放熱性をかなり高めることができる。
機械的強度を高める観点からは、本発明に係る熱硬化性材料は、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素ナノチューブと、(D)ナノチューブではない絶縁性フィラー(単に、(D)絶縁性フィラーと記載することがある)とを含むことが好ましい。
(A)〜(D)成分を含む組成の採用によって、硬化物の放熱性をかなり高めることができ、かつ、硬化物の機械的強度も高めることができる。例えば、(A)熱硬化性化合物と、(B)熱硬化剤と、(C)窒化ホウ素ナノチューブと、(D)絶縁性フィラーとを併用することで、これらを併用していない場合と比べて、放熱性及び機械的強度が効果的に高くなる。本発明では、従来両立することが困難であった高い放熱性と高い機械的強度との効果を両立することができる。
上記のような効果が得られるのは、(D)絶縁性フィラー間に(C)窒化ホウ素ナノチューブを配置することができ、更に、(D)絶縁性フィラーを(C)窒化ホウ素ナノチューブを介して他の(D)絶縁性フィラーに間接的に接するようにすることができるためであると考えられる。
以下、本発明に係る熱硬化性材料に含まれる成分を先ず説明する。
((A)熱硬化性化合物)
(A)熱硬化性化合物としては、スチレン化合物、フェノキシ化合物、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。(A)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A)熱硬化性化合物として、(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A1)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物(単に、(A2)熱硬化性化合物と記載することがある)を用いてもよく、(A1)熱硬化性化合物と、(A2)熱硬化性化合物との双方を用いてもよい。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分は、熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分であり、熱硬化性材料が溶剤を含む場合には、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分である。
(A1)10000未満の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A1)熱硬化性化合物としては、環状エーテル基を有する熱硬化性化合物が挙げられる。上記環状エーテル基としては、エポキシ基及びオキセタニル基等が挙げられる。上記環状エーテル基を有する熱硬化性化合物は、エポキシ基又はオキセタニル基を有する熱硬化性化合物であることが好ましい。(A1)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(A1)熱硬化性化合物は、(A1a)エポキシ基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1a)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよく、(A1b)オキセタニル基を有する熱硬化性化合物(単に、(A1b)熱硬化性化合物と記載することがある)を含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A1)熱硬化性化合物は芳香族骨格を有することが好ましい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高める観点からは、ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。
(A1a)熱硬化性化合物としては、ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマー、ナフタレン骨格を有するエポキシモノマー、アダマンタン骨格を有するエポキシモノマー、フルオレン骨格を有するエポキシモノマー、ビフェニル骨格を有するエポキシモノマー、バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマー、キサンテン骨格を有するエポキシモノマー、アントラセン骨格を有するエポキシモノマー、及びピレン骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。これらの水素添加物又は変性物を用いてもよい。(A1a)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビスフェノール骨格を有するエポキシモノマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールS型のビスフェノール骨格を有するエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシモノマーとしては、ジシクロペンタジエンジオキシド、及びジシクロペンタジエン骨格を有するフェノールノボラックエポキシモノマー等が挙げられる。
上記ナフタレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1−グリシジルナフタレン、2−グリシジルナフタレン、1,2−ジグリシジルナフタレン、1,5−ジグリシジルナフタレン、1,6−ジグリシジルナフタレン、1,7−ジグリシジルナフタレン、2,7−ジグリシジルナフタレン、トリグリシジルナフタレン、及び1,2,5,6−テトラグリシジルナフタレン等が挙げられる。
上記アダマンタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン、及び2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)アダマンタン等が挙げられる。
上記フルオレン骨格を有するエポキシモノマーとしては、9,9−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、及び9,9−ビス(4−グリシジルオキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレン等が挙げられる。
上記ビフェニル骨格を有するエポキシモノマーとしては、4,4’−ジグリシジルビフェニル、及び4,4’−ジグリシジル−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル等が挙げられる。
上記バイ(グリシジルオキシフェニル)メタン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,1’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,8’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(2,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,2’−バイ(3,7−グリシジルオキシナフチル)メタン、及び1,2’−バイ(3,5−グリシジルオキシナフチル)メタン等が挙げられる。
上記キサンテン骨格を有するエポキシモノマーとしては、1,3,4,5,6,8−ヘキサメチル−2,7−ビス−オキシラニルメトキシ−9−フェニル−9H−キサンテン等が挙げられる。
(A1b)熱硬化性化合物の具体例としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、及びオキセタン変性フェノールノボラック等が挙げられる。(A1b)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物は、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
硬化物の耐熱性をより一層良好にする観点からは、(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、100重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物100重量%中、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物の含有量は10重量%以上、100重量%以下であってもよい。また、(A1)熱硬化性化合物の全体が、環状エーテル基を2個以上有する熱硬化性化合物であってもよい。
(A1)熱硬化性化合物の分子量は、10000未満である。(A1)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは200以上、好ましくは1200以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは550以下である。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物の表面の粘着性が低くなり、硬化性組成物の取扱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、硬化物の接着性がより一層高くなる。さらに、硬化物が固くかつ脆くなり難く、硬化物の接着性がより一層高くなる。
なお、本明細書において、(A1)熱硬化性化合物における分子量とは、(A1)熱硬化性化合物が重合体ではない場合、及び(A1)熱硬化性化合物の構造式が特定できる場合は、当該構造式から算出できる分子量を意味し、(A1)熱硬化性化合物が重合体である場合は、重量平均分子量を意味する。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A1)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下、特に好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、硬化物の接着性及び耐熱性がより一層高くなる。(A1)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料の作製時の塗工性が高くなる。
(A2)10000以上の分子量を有する熱硬化性化合物:
(A2)熱硬化性化合物は、分子量が10000以上である熱硬化性化合物である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上であるので、(A2)熱硬化性化合物は一般にポリマーであり、上記分子量は、一般に重量平均分子量を意味する。
硬化物の耐熱性及び耐湿性をより一層高める観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物がポリマーであり、(A2)熱硬化性化合物が芳香族骨格を有する場合には、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格をポリマー全体のいずれかの部分に有していればよく、主鎖骨格内に有していてもよく、側鎖中に有していてもよい。硬化物の耐熱性をより一層高くし、かつ硬化物の耐湿性をより一層高くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、芳香族骨格を主鎖骨格内に有することが好ましい。(A2)熱硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記芳香族骨格としては特に限定されず、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びビスフェノールA型骨格等が挙げられる。ビフェニル骨格又はフルオレン骨格が好ましい。この場合には、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性がより一層高くなる。
(A2)熱硬化性化合物としては特に限定されず、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂、オキセタン樹脂、エポキシ樹脂、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
硬化物の酸化劣化を抑え、硬化物の耐冷熱サイクル特性及び耐熱性をより一層高め、更に硬化物の吸水率をより一層低くする観点からは、(A2)熱硬化性化合物は、スチレン樹脂、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることが好ましく、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂であることがより好ましく、フェノキシ樹脂であることが更に好ましい。特に、フェノキシ樹脂又はエポキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。また、フェノキシ樹脂の使用により、硬化物の弾性率がより一層低くなり、かつ硬化物の耐冷熱サイクル特性がより一層高くなる。なお、(A2)熱硬化性化合物は、エポキシ基などの環状エーテル基を有していなくてもよい。
上記スチレン樹脂として、具体的には、スチレン系モノマーの単独重合体、及びスチレン系モノマーとアクリル系モノマーとの共重合体等が使用可能である。スチレン−メタクリル酸グリシジルの構造を有するスチレン重合体が好ましい。
上記スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレン等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂は、具体的には、例えばエピハロヒドリンと2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂、又は2価のエポキシ化合物と2価のフェノール化合物とを反応させて得られる樹脂である。
上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有することが好ましい。上記フェノキシ樹脂は、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F混合型骨格、ナフタレン骨格、フルオレン骨格又はビフェニル骨格を有することがより好ましく、フルオレン骨格及びビフェニル骨格の内の少なくとも1種の骨格を有することが更に好ましい。これらの好ましい骨格を有するフェノキシ樹脂の使用により、硬化物の耐熱性が更に一層高くなる。
上記エポキシ樹脂は、上記フェノキシ樹脂以外のエポキシ樹脂である。上記エポキシ樹脂としては、スチレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、アダマンタン骨格を有するエポキシ樹脂、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ樹脂、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ樹脂等が挙げられる。
(A2)熱硬化性化合物の分子量は10000以上である。(A2)熱硬化性化合物の分子量は、好ましくは30000以上、より好ましくは40000以上、好ましくは1000000以下、より好ましくは250000以下である。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記下限以上であると、硬化物が熱劣化し難い。(A2)熱硬化性化合物の分子量が上記上限以下であると、(A2)熱硬化性化合物と他の成分との相溶性が高くなる。この結果、硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(A2)熱硬化性化合物の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料の取扱性が良好になる。(A2)熱硬化性化合物の含有量が上記上限以下であると、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーの分散が容易になる。
((B)熱硬化剤)
(B)熱硬化剤は特に限定されない。(B)熱硬化剤として、(A)熱硬化性化合物を硬化させることができる適宜の熱硬化剤を用いることができる。また、本明細書において、(B)熱硬化剤には、硬化触媒が含まれる。(B)熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
硬化物の耐熱性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、芳香族骨格又は脂環式骨格を有することが好ましい。(B)熱硬化剤は、アミン硬化剤(アミン化合物)、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤(フェノール化合物)又は酸無水物硬化剤(酸無水物)を含むことが好ましく、アミン硬化剤を含むことがより好ましい。上記酸無水物硬化剤は、芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むか、又は、脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物を含むことが好ましい。
上記アミン硬化剤としては、ジシアンジアミド、イミダゾール化合物、ジアミノジフェニルメタン及びジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられる。硬化物の接着性をより一層高める観点からは、上記アミン硬化剤は、ジシアンジアミド又はイミダゾール化合物であることがより一層好ましい。硬化性組成物の貯蔵安定性をより一層高める観点からは、(B)熱硬化剤は、融点が180℃以上である硬化剤を含むことが好ましく、融点が180℃以上であるアミン硬化剤を含むことがより好ましい。
上記イミダゾール硬化剤としては、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール及び2−フェニル−4−メチル−5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
上記フェノール硬化剤としては、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック、p−クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ−o−ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ−m−ヒドロキシフェニル)メタン、及びポリ(ジ−p−ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。硬化物の柔軟性及び硬化物の難燃性をより一層高める観点からは、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、又はアリル基を有するフェノール樹脂が好ましい。
上記フェノール硬化剤の市販品としては、MEH−8005、MEH−8010及びMEH−8015(以上いずれも明和化成社製)、YLH903(三菱化学社製)、LA−7052、LA−7054、LA−7751、LA−1356及びLA−3018−50P(以上いずれもDIC社製)、並びにPS6313及びPS6492(以上いずれも群栄化学社製)等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、例えば、スチレン/無水マレイン酸コポリマー、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、フェニルエチニルフタル酸無水物、グリセロールビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、及びトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記芳香族骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、SMAレジンEF30、SMAレジンEF40、SMAレジンEF60及びSMAレジンEF80(以上いずれもサートマー・ジャパン社製)、ODPA−M及びPEPA(以上いずれもマナック社製)、リカシッドMTA−10、リカシッドMTA−15、リカシッドTMTA、リカシッドTMEG−100、リカシッドTMEG−200、リカシッドTMEG−300、リカシッドTMEG−500、リカシッドTMEG−S、リカシッドTH、リカシッドHT−1A、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMT−500、リカシッドDSDA及びリカシッドTDA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにEPICLON B4400、EPICLON B650、及びEPICLON B570(以上いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物は、多脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物もしくは該酸無水物の変性物、又はテルペン系化合物と無水マレイン酸との付加反応により得られる脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物であることが好ましい。これらの硬化剤の使用により、硬化物の柔軟性、並びに硬化物の耐湿性及び接着性がより一層高くなる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物としては、メチルナジック酸無水物、ジシクロペンタジエン骨格を有する酸無水物又は該酸無水物の変性物等も挙げられる。
上記脂環式骨格を有する酸無水物、該酸無水物の水添加物又は該酸無水物の変性物の市販品としては、リカシッドHNA及びリカシッドHNA−100(以上いずれも新日本理化社製)、並びにエピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H及びエピキュアYH309(以上いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
(B)熱硬化剤は、メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸であることも好ましい。メチルナジック酸無水物又はトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸の使用により、硬化物の耐水性が高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを除く成分100重量%中、(B)熱硬化剤の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。(B)熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(B)熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化に関与しない余剰な(B)熱硬化剤が発生し難くなる。このため、硬化物の耐熱性及び接着性がより一層高くなる。
((C)窒化ホウ素ナノチューブ)
(C)窒化ホウ素ナノチューブは、上述したTOF−SIMS分析における特定の値を満足する窒化ホウ素ナノチューブである。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記窒化ホウ素ナノチューブの平均長さの、(D)絶縁性フィラーの平均粒子径に対する比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.2以上、好ましくは200以下、より好ましくは10以下である。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、及び硬化物100体積%中、(C)窒化ホウ素ナノチューブの含有量は好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、好ましくは40体積%以下、より好ましくは20体積%以下である。(C)窒化ホウ素ナノチューブの含有量が上記下限以上であると、放熱性及び機械的強度が効果的に高くなる。(C)窒化ホウ素ナノチューブの含有量が上記上限以下であると、熱硬化性材料を充分に硬化させることが容易である。(C)窒化ホウ素ナノチューブの含有量が上記上限以下であると、硬化物による熱伝導率及び接着性がより一層高くなる。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分は、熱硬化性材料が溶剤を含まない場合には、熱硬化性材料であり、熱硬化性材料が溶剤を含む場合には、溶剤を除く成分である。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、熱硬化性材料100体積%中での(C)窒化ホウ素ナノチューブの含有量の、熱硬化性材料100体積%中での(D)絶縁性フィラーの含有量に対する比は、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.02以上、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.0以下である。
((D)ナノチューブではない絶縁性フィラー)
(D)絶縁性フィラーは絶縁性を有する。(D)絶縁性フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーは、無機フィラーであることが好ましい。放熱性を効果的に高める観点から、(D)絶縁性フィラーは、10W/m・K以上の熱伝導率を有することが好ましい。(D)絶縁性フィラーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、絶縁性とは、フィラーの体積抵抗率が10Ω・cm以上であることを意味する。
硬化物の放熱性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの熱伝導率は好ましくは10W/m・K以上、より好ましくは15W/m・K以上、更に好ましくは20W/m・K以上である。(D)絶縁性フィラーの熱伝導率の上限は特に限定されない。熱伝導率が300W/m・K程度である無機フィラーは広く知られており、また熱伝導率が200W/m・K程度である無機フィラーは容易に入手できる。
(D)絶縁性フィラーの材質は、アルミナ、合成マグネサイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることが好ましく、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムであることがより好ましい。これらの好ましい絶縁性フィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。
(D)絶縁性フィラーは、球状粒子、又は、独立した絶縁性フィラーが凝集した球状粒子であることが好ましい。これら絶縁性フィラーの使用により、硬化物の放熱性がより一層高くなる。球状粒子のアスペクト比は、2以下である。
(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度は、好ましくは12以下、より好ましくは9以下である。(D)絶縁性フィラーの材質の新モース硬度が9以下であると、硬化物の加工性がより一層高くなる。
硬化物の加工性をより一層高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの材質は、合成マグネサイト、結晶シリカ、酸化亜鉛、又は酸化マグネシウムであることが好ましい。これらの無機フィラーの材質の新モース硬度は9以下である。
放熱性を効果的に高める観点からは、(D)絶縁性フィラーの平均粒子径は、好ましくは1μm以上、好ましくは100μm以下である。平均粒子径が上記下限以上であると、(D)絶縁性フィラーを高密度で容易に充填できる。平均粒子径が上記上限以下であると、硬化物の耐電圧性がより一層高くなる。
上記「平均粒子径」とは、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定した体積平均での粒度分布測定結果から求められる平均粒子径である。
熱硬化性材料に含まれる成分のうち、溶剤を除く成分100体積%中、及び硬化物100体積%中、(D)絶縁性フィラーの含有量は好ましくは25体積%以上、より好ましくは30体積%以上、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。(D)絶縁性フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、硬化物の放熱性及び機械的強度が効果的に高くなる。
(他の成分)
上記熱硬化性材料は、上述した成分の他に、分散剤、キレート剤、酸化防止剤等の熱硬化性組成物及び熱硬化性シートに一般に用いられる他の成分を含んでいてもよい。
(熱硬化性材料及び硬化物の他の詳細)
熱硬化性材料は、熱硬化性ペーストであってもよく、熱硬化性シートであってもよい。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記熱硬化性材料において、(D)絶縁性フィラーの全個数の1%以上(好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上)が、(D)絶縁性フィラーの表面に接している(C)窒化ホウ素ナノチューブを有することが好ましい。同様の観点から、上記熱硬化性材料において、(D)絶縁性フィラーの全個数の90%以下(好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下)が、(D)絶縁性フィラーの表面に接している(C)窒化ホウ素ナノチューブを有していることが好ましい。(D)絶縁性フィラーの表面に接している(C)窒化ホウ素ナノチューブの量を多くするために、(D)絶縁性フィラーに(C)窒化ホウ素ナノチューブを付着させた後に、(C)窒化ホウ素ナノチューブ及び(D)絶縁性フィラーを、他の成分と配合することが好ましい。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記熱硬化性シートにおいて、(D)絶縁性フィラーの全個数の1%以上(好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上)が、他の上記絶縁性フィラーと直接接しているか、又は、上記窒化ホウ素ナノチューブを介して他の上記絶縁性フィラーと間接的に接していることが好ましい。同様の観点から、上記熱硬化性シートにおいて、(D)絶縁性フィラーの全個数の90%以下(好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下)が、他の上記絶縁性フィラーと直接接しているか、又は、上記窒化ホウ素ナノチューブを解して他の上記絶縁性フィラーと間接的に接していることが好ましい。絶縁性フィラーや窒化ホウ素ナノチューブが接しているか否かの判断は、エネルギー分散型X線分析装置(SEM−EDS)による元素マッピング法で行うことができる。
上記熱硬化性シートを厚み方向に3等分した3つの領域を第1の表面側の領域、中央の領域、及び第2の表面側の領域とする。硬化物全体での放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、第1の表面側の領域における窒化ホウ素ナノチューブの含有量の中央の領域における窒化ホウ素ナノチューブの含有量に対する比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。
放熱性、機械的強度及び接着性を効果的に高める観点からは、上記熱硬化性シートの表面のX線光電子分光法による元素分析において、Bの存在量のCの存在量に対する比は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、好ましくは4.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.2以下である。
本発明に係る硬化物は、上記熱硬化性材料の硬化物であり、上記熱硬化性材料を硬化させることにより得られる。
放熱性、機械的強度及び接着性を効果的に高める観点からは、上記硬化物の表面のX線光電子分光法による元素分析において、Bの存在量のCの存在量に対する比は、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、好ましくは4.5以下、より好ましくは2.0以下、更に好ましくは1.2以下である。
図1は、本発明の一実施形態に係る熱硬化性材料の硬化物を模式的に示す断面図である。なお、図1では、図示の便宜上、実際の大きさ及び厚みとは異なっている。
図1に示す硬化物1は、硬化物部11と、窒化ホウ素ナノチューブ12と、絶縁性フィラー13とを含む。絶縁性フィラー13は、ナノチューブではない。硬化物部11は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含む熱硬化性成分が硬化した部分であり、熱硬化性成分を硬化させることにより得られる。
上記熱硬化性材料及び上記硬化物は、放熱性及び機械的強度などが高いことが求められる様々な用途に用いることができる。上記硬化物は、例えば、電子機器において、発熱部品と放熱部品との間に配置されて用いられる。
放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、上記硬化物において、(D)絶縁性フィラーの全個数の1%以上(好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上)が、他の上記絶縁性フィラーと直接接しているか、又は、上記窒化ホウ素ナノチューブを介して他の上記絶縁性フィラーと間接的に接していることが好ましい。同様の観点から、上記硬化物において、(D)絶縁性フィラーの全個数の90%以下(好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下)が、他の上記絶縁性フィラーと直接接しているか、又は、上記窒化ホウ素ナノチューブを解して他の上記絶縁性フィラーと間接的に接していることが好ましい。
上記硬化物を厚み方向に3等分した3つの領域を第1の表面側の領域、中央の領域、及び第2の表面側の領域とする。硬化物全体での放熱性及び機械的強度を効果的に高める観点からは、第1の表面側の領域における窒化ホウ素ナノチューブの含有量の中央の領域における窒化ホウ素ナノチューブの含有量に対する比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
(窒化ホウ素ナノチューブの製造)
窒化ホウ素製のるつぼに、2:1:1のモル比でホウ素、酸化マグネシウム及び酸化鉄を入れ、るつぼを高周波誘導加熱炉で1300℃に加熱した(加熱工程1)。加熱の際、一酸化炭素及び二酸化炭素がそれぞれ0.1ppm以下に制御された窒素ガスで加熱炉を充填させた。生成物にアンモニアガスを導入して、1200℃で4時間加熱した(加熱工程2)。得られた白色固体を濃塩酸で洗浄し、イオン交換水で中性になるまで洗浄した後、乾燥させ、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)を得た。得られたBNNTでは、平均直径が15nm、平均長さが100μmであった。窒化ホウ素ナノチューブを合成した後、窒素プラズマを60分照射することにより残存炭素を除去し、また水素プラズマを90分照射することによって表面の酸化層を除去した。
(硬化物の製造)
ポリマーとしてビスフェノールA型フェノキシ樹脂50重量部と、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂30重量部と、硬化剤として脂環式骨格酸無水物(新日本理化社製「リカシッドMH−700」)及びジシアンジアミドとを合計で15重量部と、添加剤としてエポキシシランカップリング剤5重量部とを配合してマトリックス樹脂を作製した。マトリックス樹脂に、窒化ホウ素ナノチューブ、及び絶縁性フィラーとして熱伝導率60W/m・Kの平均粒子径60μmの球状窒化ホウ素を30:40:30の配合比(単位は体積%)で添加し、ホモディスパー型攪拌機で混練して、ペースト(熱硬化性材料)を得た。
厚み50μmの離型PETシートに、上記熱硬化性材料を厚み200μmになるように塗工し、90℃のオーブン内で30分乾燥して、PETシート上に熱硬化性シートを作製した。
(実施例2)
窒化ホウ素ナノチューブの製造の際、水素プラズマを照射しなかったこと以外は実施例1と同様に窒化ホウ素ナノチューブを作製した。
(実施例3)
窒化ホウ素ナノチューブの製造の際、窒素プラズマを照射しなかったこと以外は実施例1と同様に窒化ホウ素ナノチューブを作製した。
(比較例1)
窒化ホウ素ナノチューブの製造の際、窒素プラズマ及び水素プラズマを照射しなかったこと以外は実施例1と同様に窒化ホウ素ナノチューブを作製した。
(評価)
(1)TOF−SIMS
得られた窒化ホウ素ナノチューブについて、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)により、外表面から内側に向かって厚み3nmの領域の正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析、又は、負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析を行った。測定装置として、ION−TOF社製「TOF−SIMS 5型」を用いた。
(2)熱伝導率の測定
熱硬化性シートを120℃のオーブン内で1時間、その後200℃のオーブン内で1時間加温処理し、熱硬化性シートを硬化させた。硬化物シートの熱伝導率を、京都電子工業社製熱伝導率計「迅速熱伝導率計QTM−500」を用いて測定した。また、比較例1の硬化物シートの熱伝導率を同様にして測定した。比較例1の熱伝導率を1.0として、その他の実施例及び比較例の硬化物シートの熱伝導率を比較した。各実施例における熱伝導率の比較例1における熱伝導率に対する比(熱伝導率比)を求めた。
(3)温度サイクル信頼性(温度サイクル試験)
熱硬化性シートを厚み1.5mmのアルミニウム板と厚み35μmの電解銅箔との間に挟み、真空プレス機で4MPaの圧力を保持しながら120℃で1時間、更に200℃で1時間、熱硬化性シートをプレス硬化させ、銅張り積層板を作製した。得られた銅張り積層板を用いて、−40℃〜125℃を1サイクルとする温度サイクル試験を実施した。温度サイクル試験のヒートプロファイルは、−40℃で10分間保持し、−40℃から125℃まで2分間で昇温させ、125℃で10分間保持し、125℃から−40℃まで2分間で降温させるヒートプロファイルであった。
1000サイクルの温度サイクル試験を実施し、硬化物シートが基板から剥がれているか否かを以下の基準で判定した。
[温度サイクル信頼性の判定基準]
○:面積の10%未満で剥離が発生又は剥離無し
△:面積の10%以上、30%未満で剥離が発生
×:面積の30%以上で剥離が発生
Figure 2017095292
1…硬化物
11…硬化物部(熱硬化性成分の硬化物部)
12…窒化ホウ素ナノチューブ
13…絶縁性フィラー

Claims (13)

  1. 外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下であるか、又は、
    外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、かつ、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である、窒化ホウ素ナノチューブ。
  2. 外表面に炭素原子及び水素原子が存在し、
    外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による正の電荷を帯びたイオン:10B、11B、CH、C、C、C、及びCの分析において、(CH+C+C+C+C)/(10B+11B)の値が0.15以下である、請求項1に記載の窒化ホウ素ナノチューブ。
  3. 外表面に酸素原子及びホウ素原子が存在し、
    外表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による負の電荷を帯びたイオン:10BN、11BN、10BO、11BO、10BO、及び11BOの分析において、(10BO+11BO)/(10BN+11BN)の値が0.5以下、及び、(10BO11BO)/(10BN+11BN)の値が0.25以下である、請求項1又は2に記載の窒化ホウ素ナノチューブ。
  4. 平均直径が2nm以上、300nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒化ホウ素ナノチューブ。
  5. 単管又は多重管である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素ナノチューブ。
  6. 熱硬化性化合物と、
    熱硬化剤と、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化ホウ素ナノチューブとを含む、熱硬化性材料。
  7. ナノチューブではない絶縁性フィラーを含む、請求項6に記載の熱硬化性材料。
  8. 前記絶縁性フィラーが、10W/m・K以上の熱伝導率を有する、請求項7に記載の熱硬化性材料。
  9. 前記絶縁性フィラーの材質が、アルミナ、合成マグネサイト、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化マグネシウムである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
  10. 熱硬化性材料100体積%中、前記窒化ホウ素ナノチューブの含有量が0.1体積%以上、40体積%以下である、請求項6〜9のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
  11. 熱硬化性材料100体積%中、前記絶縁性フィラーの含有量が25体積%以上、90体積%以下である、請求項6〜10のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
  12. 熱硬化性材料100体積%中での前記窒化ホウ素ナノチューブの含有量の、熱硬化性材料100体積%中での前記絶縁性フィラーの含有量に対する比が、0.001以上、1.6以下である、請求項6〜11のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
  13. 熱硬化性シートである、請求項6〜12のいずれか1項に記載の熱硬化性材料。
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