JP2017094950A - インホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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康人 渡邊
早織 杉浦
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Abstract

【課題】 電動モータの冷却構造の簡素化およびコスト低減を図ると共に、電動モータの出力低下および効率悪化を未然に防止する。【解決手段】 電動モータ26で構成された駆動部Aと、複数の歯車30〜33からなる平行軸歯車減速機39で構成された減速部Bと、車輪用軸受46で構成された軸受部Cとを備え、駆動部Aおよび減速部Bをケーシング22に収容したインホイールモータ駆動装置21であって、電動モータ26は、ケーシング60,61に固定されたステータ23を備え、ステータ23を構成する磁性体コア56の絶縁性部材59の筒状部62をケーシング60,61の外部に露呈させた構造を具備する。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば、電動モータの出力軸と車輪用軸受とを減速機を介して連結したインホイールモータ駆動装置に関する。
従来のインホイールモータ駆動装置は、例えば、特許文献1に開示された構造のものがある。この特許文献1のインホイールモータ駆動装置は、駆動力を発生させる電動モータと、その電動モータの回転を減速して出力する平行軸歯車減速機と、その平行軸歯車減速機からの出力を車輪に伝達する車輪ハブとで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置は、電動モータと平行軸歯車減速機との間に中間プレートを設け、その中間プレートのインボード側に、電動モータを収容するモータハウジングを設けると共に、中間プレートのアウトボード側に、平行軸歯車減速機を収容するギヤハウジングを設けた構造を具備する。
電動モータは、モータハウジングに固定されたステータと、そのステータの内側で回転自在に支持されたロータ軸とで構成されている。また、平行軸歯車減速機は、電動モータのロータ軸に同軸的に連結されたモータ入力歯車と、ギヤハウジングに回転自在に支持されてモータ入力歯車と噛合する第1カウンタ歯車と、第1カウンタ歯車と同軸的に支持された第2カウンタ歯車と、車輪ハブの車軸に設けられて第2カウンタ歯車と噛合する出力歯車とで構成されている。
このインホイールモータ駆動装置では、電動モータの冷却と、平行軸歯車減速機の冷却および潤滑とを目的として、電動モータおよび平行軸歯車減速機に潤滑油を供給する必要がある。この電動モータおよび平行軸歯車減速機の潤滑構造としては、回転ポンプを内蔵させ、回転ポンプから吐出される潤滑油を軸心給油構造でもって電動モータおよび平行軸歯車減速機に供給し、回転ポンプへ還流させる循環構造が可能である。
特開2014−46742号公報
ところで、特許文献1で開示されたインホイールモータ駆動装置では、小型でありながら高速回転および高トルクを備えた電動モータを必要とする。この電動モータを高速回転させる場合はステータおよびロータ軸での発熱が顕著であり、電動モータを高負荷(高トルク)状態で駆動する場合はコイル部での発熱が顕著である。この発熱により、電動モータを構成する磁性体コアの磁力を低下させ、その結果、電動モータの出力低下および効率悪化を招くことになる。
そのため、このインホイールモータ駆動装置において、電動モータを冷却することが重要となる。この電動モータの潤滑構造において、電動モータのステータおよびロータ軸の冷却を軸心給油構造でもって行う構造を採用した場合、電動モータのロータ軸に油路を形成しなければならない。
このように、電動モータのロータ軸に油路を形成するには、その軸に対して油路径が細い場合、ドリルによる軸孔加工が必要となる。また、このような軸心給油構造では、油路に潤滑油を圧送するための回転ポンプを設置する必要がある。
以上のような油路形成のための軸孔加工や、回転ポンプの設置は、インホイールモータ駆動装置の構造を複雑にすると共に、製品コストの低減を困難にする。また、回転するロータ軸に潤滑油が供給されることから、潤滑油による撹拌抵抗などにより、電動モータの出力低下および効率悪化を招くおそれもある。
そこで、本発明は前述の課題に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、電動モータの冷却構造の簡素化およびコスト低減を図ると共に、電動モータの出力低下および効率悪化を未然に防止し得るインホイールモータ駆動装置を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、電動モータで構成された駆動部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速部と、車輪用軸受で構成された軸受部とを備え、駆動部および減速部をケーシングに収容したインホイールモータ駆動装置であって、電動モータは、ケーシングに固定されたステータを備え、ステータを構成する磁性体コアの一部をケーシングの外部に露呈させた構造を具備することを特徴とする。
本発明のインホイールモータ駆動装置では、電動モータのステータを構成する磁性体コアの一部をケーシングの外部に露呈させたことにより、磁性体コアの一部が外気に晒されることで、電動モータのステータを空冷する。このような空冷構造を採用することで、従来の軸心給油構造で必要であった油路形成のための軸孔加工や回転ポンプの設置が不要となる。また、潤滑油による撹拌抵抗もなくなる。
本発明における磁性体コアは、導電性部材と絶縁性部材とを交互に積層した環状体構造をなし、絶縁性部材の外周部をケーシングの外部に露呈させた構造が望ましい。このような構造を採用すれば、絶縁性部材が外気に晒されることで、ステータの磁性体コアを空冷することができる。
本発明における磁性体コアは、絶縁性部材の外周部を径方向外側に延在させてケーシングの外部へ突出するフィン構造が望ましい。このような構造を採用すれば、磁性体コアがさらに外気に晒されることで、ステータの磁性体コアを効率よく空冷することができる。
本発明によれば、電動モータのステータを構成する磁性体コアの一部をケーシングの外部に露呈させた空冷構造を採用したことにより、従来の軸心給油構造で必要であった油路形成のための軸孔加工や回転ポンプの設置が不要となる。このことから、電動モータの冷却構造の簡素化およびコスト低減を図れる。また、潤滑油による撹拌抵抗もないので、電動モータの出力低下および効率悪化を未然に防止することができる。その結果、駆動部の冷却性能の向上が図れ、信頼性の高い長寿命のインホイールモータ駆動装置を提供することができる。
本発明の実施形態で、インホイールモータ駆動装置の全体構成を示す断面図である。 図1の平行軸歯車減速機を構成する歯車のみをアウトボード側から見た概要図である。 図1の電動モータのステータの一例を示す斜視図である。 図3のステータおよびケーシングを示す斜視図である。 図1の電動モータのステータの他例を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態で、インホイールモータ駆動装置の全体構成を示す断面図である。 インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略構成を示す平面図である。 図7の電気自動車を示す後方断面図である。
本発明に係るインホイールモータ駆動装置の実施形態を図面に基づいて詳述する。図7は、インホイールモータ駆動装置21を搭載した電気自動車11の概略平面図、図8は、電気自動車11を後方から見た概略断面図である。
電気自動車11は、図7に示すように、シャシー12と、操舵輪としての前輪13と、駆動輪としての後輪14と、後輪14に駆動力を伝達するインホイールモータ駆動装置21とを装備する。後輪14は、図8に示すように、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、独立懸架式の懸架装置(サスペンション)16を介してシャシー12の下部に固定されている。
電気自動車11は、ホイールハウジング15の内部に、左右それぞれの後輪14を駆動するインホイールモータ駆動装置21を設けることによって、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構などを設ける必要がなくなるので、客室スペースを広く確保でき、かつ、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上させるためにばね下重量を抑える必要があり、さらに、広い客室スペースを確保するためにインホイールモータ駆動装置21の小型化が求められる。
図1に示す実施形態のインホイールモータ駆動装置21は、以下の構造を具備する。これにより、コンパクトなインホイールモータ駆動装置21を実現し、ばね下重量を抑えることで、走行安定性およびNVH特性に優れた電気自動車11を得ることができる。
この実施形態の特徴的な構成を説明する前に、インホイールモータ駆動装置21の全体構成を説明する。以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21を車両に搭載した状態で、車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図1の左側)と称し、中央寄りとなる側をインボード側(図1の右側)と称する。
インホイールモータ駆動装置21は、図1に示すように、駆動力を発生させる駆動部Aと、駆動部Aの回転を減速して出力する減速部Bと、減速部Bからの出力を駆動輪としての後輪14(図7および図8参照)に伝達する軸受部Cとを備えている。駆動部Aと減速部Bはケーシング22に収容されて、電気自動車11のホイールハウジング15(図8参照)内に取り付けられる。
駆動部Aは、ケーシング22に固定されたステータ23と、ステータ23の径方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータ24と、ロータ24の径方向内側に配置されてロータ24と一体回転するモータ回転軸25とを備えたラジアルギャップ型の電動モータ26で構成されている。モータ回転軸25は、毎分一万数千回転程度で高速回転可能である。ステータ23は、磁性体コア56にコイル57を巻回することによって構成されている。ロータ24は、永久磁石または磁性体が内部に配置されている。
モータ回転軸25は、径方向外側へ一体的に延びるホルダ部27によりロータ24を保持している。ホルダ部27は、ロータ24が嵌め込み固定された凹溝を環状に形成した構成としている。モータ回転軸25は、その軸方向一方側端部(図1の右側)が転がり軸受28に、軸方向他方側端部(図1の左側)が転がり軸受29によって、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
減速部Bは、入力歯車である第1歯車30と、中間歯車である第2歯車31および第3歯車32と、出力歯車である第4歯車33とからなる平行軸歯車減速機39で構成されている。この平行軸歯車減速機39では、第1歯車30と第2歯車31とが噛合し、第3歯車32と第4歯車33とが噛合することにより、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する。ケーシング22のスペースなどを考慮すると、第1歯車30と第2歯車31からなる第1段の減速比は2〜4程度とし、第3歯車32と第4歯車33からなる第2段の減速比は3〜5程度とすることが好ましい。
第1歯車30は、インボード側に延びる軸部34をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車31は、中間軸35に取り付け固定されている。第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成されている。第4歯車33は、その軸部36を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車30の軸部34は、転がり軸受40によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車31が取り付け固定され、第3歯車32が一体的に形成された中間軸35は、転がり軸受41,42によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37が取り付け固定された第4歯車33の軸部36は、転がり軸受43,44によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。減速機出力軸37のアウトボード側軸部45は、軸受部Cのハブ輪47にスプライン嵌合で連結され、減速部Bの出力を後輪14(図7および図8参照)に伝達する。
第1歯車30〜第4歯車33および各歯車の回転軸を図2に基づいて説明する。図2は、図1の平行軸歯車減速機39を構成する第1歯車30〜第4歯車33のみをアウトボード側から見た概要図である。
第1歯車30は、モータ回転軸25(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C1を中心にして回転する。第2歯車31は、中間軸35(図1参照)に取り付け固定され、第3歯車32は、中間軸35に一体的に形成され、その軸心C2を中心にして回転する。第4歯車33は、減速機出力軸37(図1参照)に取り付け固定され、その軸心C3を中心にして回転する。なお、モータ回転軸25と減速機出力軸37は同軸上に配置されていることから、それぞれの軸心C1と軸心C3は一致している。
この実施形態では、モータ回転軸25、中間軸35および減速機出力軸37の各軸心C1,C2,C3が直線E−E上に配置され、減速部Bの径方向のコンパクト化を図っている。ただし、各軸心C1,C2,C3の配置は、この実施形態のような配置に限らず、各歯車30〜33の噛合いを維持した状態で、ケーシング22のスペースなどを考慮して適宜ずらしてもよい。
ここで、第1歯車30〜第4歯車33には、はすば歯車を用いている。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が増え、歯当たりが分散されるので音が静かで、トルク変動が少ない点で有効である。歯車のかみあい率や限界の回転数などを考慮して、モジュールは1〜3程度が好ましい。このように、平行軸歯車減速機39にはすば歯車を用いることで、製造が容易でコストの低減が図れ、性能面でも、静粛かつ効率のよいインホイールモータ駆動装置21を実現することができる。
インホイールモータ駆動装置21は、ホイールハウジング15(図8参照)の内部に収められ、ばね下荷重となるため、小型軽量化が必須である。例えば、第1歯車30と第2歯車31の第1段での減速比を1/2.5、第3歯車32と第4歯車33の第2段での減速比を1/4.5とすれば、平行軸歯車減速機39の減速比は約1/11となる。このように、大きな減速比を持つ平行軸歯車減速機39を用いた場合、毎分一万数千回転程度の高速回転の電動モータ26と組み合わせることで電動モータ26の小型化が図れ、コンパクトで高減速比のインホイールモータ駆動装置21を実現できる。
軸受部Cは、図1に示すように、以下のような構造の車輪用軸受46で構成されている。車輪用軸受46は、減速機出力軸37にトルク伝達可能に連結されたハブ輪47と、ハブ輪47の外周に嵌合された内輪48と、ハブ輪47および内輪48の外側に配置された外輪49と、ハブ輪47および内輪48と外輪49との間に配置された複数の玉50と、複数の玉50を保持する保持器51とを備えた複列アンギュラ玉軸受である。車輪用軸受46の軸方向両端部には、泥水などの侵入防止およびグリースの漏洩防止のためにシール部材52が設けられている。
この車輪用軸受46は、減速機出力軸37のアウトボード側軸部45の端部に形成された雄ねじ部にナット53を螺合させることにより、平行軸歯車減速機39に締め付け固定されている。車輪用軸受46の外輪49は、ケーシング22に取り付け固定されている。車輪用軸受46の内輪48は、減速機出力軸37のフランジ部54に当接することにより抜け止めされている。車輪用軸受46のハブ輪47にハブボルト55で後輪14(図7および図8参照)が連結される。
以上の構成からなるインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動原理を説明する。
図1に示すように、駆動部Aにおいて、ステータ23に交流電流を供給することによって生じる電磁力を受けてロータ24が回転する。減速部Bにおいて、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39の第1歯車30〜第4歯車33によって減速され、減速機出力軸37を介して軸受部Cに伝達される。この時、モータ回転軸25の回転が平行軸歯車減速機39により減速されて減速機出力軸37に伝達されるので、低トルク、高速回転型の電動モータ26を採用した場合でも、後輪14(図7および図8参照)に必要なトルクを伝達することが可能となる。
この実施形態では、駆動部Aとしてラジアルギャップ型の電動モータ26を例示したが、任意の構成を持つモータが適用可能である。例えば、ケーシングに固定されたステータと、ステータの軸方向内側に隙間をもって対向するように配置されたロータとを備えるアキシャルギャップ型の電動モータであってもよい。
このインホイールモータ駆動装置21では、駆動部Aに電動モータ26を冷却するための構造が設けられている。また、減速部Bに平行軸歯車減速機39を冷却および潤滑するための構造が設けられている。例えば、減速部Bでは、第1歯車30〜第4歯車33の回転による潤滑油の跳ね掛けでもって平行軸歯車減速機39を冷却すると共に潤滑する。なお、平行軸歯車減速機39を冷却および潤滑する構造については、種々の構造を適用することが可能であり、その構造は任意である。
この実施形態におけるインホイールモータ駆動装置21の全体構成は、前述のとおりであるが、その特徴的な構成を以下に詳述する。
駆動部Aは、高速回転および高トルクを必要とする小型の電動モータ26を冷却するため、以下の構造を有する。電動モータ26におけるステータ23を構成する磁性体コア56は、図1および図3に示すように、導電性部材58(電磁鋼板)と絶縁性部材59とを交互に積層した環状体構造を具備する。
この磁性体コア56を構成する絶縁性部材59は、ケーシング60,61の外径および内径と略同径の筒状部62と、その筒状部62から径方向内側へ一体的に延びる複数の板状部63とで構成されている。この絶縁性部材59の隣接する板状部63間に板状の導電性部材58が配置されている。図4に示すように、この磁性体コア56のケーシング60,61への組み付けは、その左右に位置する二つのケーシング60,61で挟み込まれたサンドイッチ構造となっている。
この実施形態における電動モータ26の冷却構造では、磁性体コア56の絶縁性部材59の一部である外周部、つまり、筒状部62をケーシング60,61の外部に露呈させている。これにより、磁性体コア56の絶縁性部材59の筒状部62がその全周に亘って外気に晒されることで、電動モータ26のステータ23を空冷する。その結果、発熱による電動モータ26の性能劣化を防止できる。
この空冷機能を発揮させるため、絶縁性部材59としては、熱伝導性および絶縁性に優れた素材、例えば、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム(AlN)セラミックスや窒化ケイ素(Si)セラミックス等の素材で製作することが好ましい。
また、この実施形態では、絶縁性部材59の筒状部62の周方向一部を板状部63と対応させて径方向外側に一体的に延在させ、ケーシング60,61の外部へ突出するフィン64を設けた構造としている。このようなフィン構造を採用することにより、絶縁性部材59が外気と接触する接触面積が増大することで、ステータ23の磁性体コア56を効率よく空冷することができる。
このフィン構造は、ステータ23の磁性体コア56を効率よく空冷することから、走行風を受け易い部位、つまり、絶縁性部材59の筒状部62の周方向一部に設けているが、図5に示すように、絶縁性部材59の筒状部62の周方向全部にフィン構造を設けるようにしてもよい。このように、筒状部62の周方向全部をフィン構造とすることで、絶縁性部材59が外気と接触する接触面積がさらに増大するため、ステータ23の磁性体コア56をより一層効率よく空冷することができる。
以上のようにして、電動モータ26のステータ23を構成する磁性体コア56の一部をケーシング60,61の外部に露呈させた空冷構造を採用したことにより、磁性体コア56の一部が外気に晒されることで、電動モータ26のステータ23を空冷する。これにより、従来の軸心給油構造で必要であった油路形成のための軸孔加工や潤滑油圧送のための回転ポンプの設置も不要となるので、電動モータ26の冷却構造の簡素化およびコスト低減が図れる。また、潤滑油による撹拌抵抗もないので、電動モータ26の出力低下および効率悪化を未然に防止することができる。
以上の実施形態では、モータ回転軸25の回転運動を2段で減速する平行軸歯車減速機39に適用した場合を例示したが、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する平行軸歯車減速機についても適用可能である。図6は、第1歯車65および第2歯車66で構成された平行軸歯車減速機67を持つインホイールモータ駆動装置21を例示する。なお、図6において、図1と同一部分には同一参照符号を付して重複説明は省略する。
図6の実施形態における減速部Bは、入力歯車である第1歯車65と、出力歯車である第2歯車66とからなる平行軸歯車減速機67で構成されている。この平行軸歯車減速機67では、第1歯車65と第2歯車66とが噛合し、モータ回転軸25の回転運動を1段で減速する。第1歯車65と第2歯車66からなる減速比は10〜11程度とすることが好ましい。
第1歯車65は、インボード側に延びる軸部68をモータ回転軸25にスプライン嵌合で連結することにより、モータ回転軸25に同軸的に取り付け固定されている。第2歯車66は、その軸部69を減速機出力軸37のインボード側軸部38にスプライン嵌合で連結することにより、減速機出力軸37に同軸的に取り付け固定されている。
第1歯車65の軸部68は、転がり軸受70,71によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。第2歯車66の軸部69は、転がり軸受72,73によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。
この実施形態における電動モータ26のステータ23は、図1に示す実施形態における電動モータ26のステータ23と同一の構成をなし、絶縁性部材59の筒状部62およびフィン64を持つ空冷構造を具備し、その具体的構成および作用効果についての重複説明は省略する。
この実施形態では、図7および図8に示すように、後輪14を駆動輪とした電気自動車11を例示したが、前輪13を駆動輪としてもよく、4輪駆動車であってもよい。なお、本明細書中で「電気自動車」とは、電力から駆動力を得る全ての自動車を含む概念であり、例えば、ハイブリッドカー等も含むものである。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置
22 ケーシング
23 ステータ
26 電動モータ
30〜33 歯車
39 平行軸歯車減速機
46 車輪用軸受
56 磁性体コア
58 導電性部材
59 絶縁性部材
60,61 ケーシング
62 外周部(筒状部)
64 フィン
A 駆動部
B 減速部
C 軸受部

Claims (3)

  1. 電動モータで構成された駆動部と、複数の歯車からなる平行軸歯車減速機で構成された減速部と、車輪用軸受で構成された軸受部とを備え、前記駆動部および減速部をケーシングに収容したインホイールモータ駆動装置であって、
    前記電動モータは、前記ケーシングに固定されたステータを備え、前記ステータを構成する磁性体コアの一部をケーシングの外部に露呈させた構造を具備することを特徴とするインホイールモータ駆動装置。
  2. 前記磁性体コアは、導電性部材と絶縁性部材とを交互に積層した環状体構造をなし、前記絶縁性部材の外周部をケーシングの外部に露呈させた構造を具備する請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置。
  3. 前記磁性体コアは、絶縁性部材の外周部を径方向外側に延在させてケーシングの外部へ突出するフィン構造を具備する請求項1又は2に記載のインホイールモータ駆動装置。
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