JP2017093964A - プレフィルドシリンジ用ガスケット - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスケットをシリンジに打栓する時のガスケットの傾きを防止すると共にガスケットの密封性を確保する。【解決手段】 薬液側に凸の(円錐面から成る)薬液側斜面を有する傘部と、プランジャの先端のねじ部に対応する雌ねじ部を備え外筒の内周面と接触して少なくとも一つのシール面を形成する胴部とを備え、傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面側斜面の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)であり、前記傘部の厚みが2.5mm〜5.0mmの範囲にあることを特徴とするプレフィルドシリンジ用ガスケット。【選択図】図1
Description
本発明は、医療用の注射器に使用されるシリンジ用ガスケットに関する。更に詳述すると、本発明は、薬液等が予め充填されたプレフィルドシリンジ用ガスケットに関する。
加硫ゴムまたは熱可塑性エラストマー等の弾性材料で構成されているシリンジ用ガスケットの場合、外筒(シリンジバレルとも呼ばれる)の内周面との摺動抵抗が極めて大きくなるため、ガスケット外周面と外筒内周面との間に潤滑剤を付与し、ガスケット外周面と外筒内周面との摺動抵抗を小さくする必要がある。しかし、薬液等があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジにおいては、薬液中の薬効成分に潤滑剤が作用(反応)して、活性低下を引き起こす場合がある。また、収納空間内に収納された薬液中の薬効成分が、潤滑剤に吸着(結合)し、薬液中の薬効成分の濃度低下により、十分な量の薬効成分を供給できない場合がある。
そこで、従来のプレフィルドシリンジ用ガスケット101は、弾性材料の嵌合代により密封性を確保し、薬液と接触する部位102及び外筒内周面と接触する部位103に樹脂フィルム105を積層することで、耐薬品性及び慴動性を確保している(特許文献1)。尚、図中の符号104はガスケット本体である。
しかしながら、このプレフィルドシリンジ用ガスケットにおいて、シール性と摺動性とは相反する機能であり、両立させることは難しい。
例えば、ガスケットの摺動抵抗を低くすると、高圧蒸気又は熱水の吹き付けによる滅菌処理時の薬液の温度上昇に伴う薬液の圧力上昇によってガスケットが移動し、さらには傾いてしまうことがある。ガスケットの傾きは、ガスケットに因るシール性を低下させ、薬液の漏洩を招く虞れがある。また、ガスケットが傾いてしまうと、ガスケットに形成されたねじ孔にプランジャ先端の雄ねじをねじ込む作業が難しくなり、ガスケットにプランジャを装着する作業が難しくなる問題が生ずる。このことは、感染の危険の軽減、正確な投与量の担保、救急時の迅速な投与を可能にするなどの、薬剤管理をより簡便にするという、プレフィルドシリンジのメリットを損なう虞がある。
そこで、従来のプレフィルドシリンジにおいては、滅菌工程時におけるガスケットの傾きを防止するため、注射器として使用する際の摺動性を犠牲にしてもガスケットの摺動抵抗を高める必要がある。したがって、従来のガスケットでは、ガスケットを外筒に打栓するときにガスケットの摺動抵抗が高い。また、円周上の真円度にもばらつきが生じ易い。
このため、ガスケットを外筒に打栓するときにガスケットと外筒との接触部には、円周上摺動抵抗が高い部位と低い部位とが顕著に生じ易い。このような場合、胴部の摺動抵抗の低い方から外筒へ打栓されてしまうため、ガスケットが傾いたまま挿入されてしまうことがある。
そして、ガスケットが傾いたまま外筒に打栓されてしまうと、ガスケットのシール性が低下し、薬液が漏れてしまう危険性がある。また、ガスケットが傾いてしまうため、ガスケットのプランジャ装着溝へのプランジャ装着が困難になる危険性がある。
なお、ガスケットの外筒に対する締代を低減し、ガスケットの摺動抵抗を低減させることでガスケットを外筒に打栓する時のガスケットの傾きを防止することも考えられる。しかしながら、締代を低減させる場合には、ガスケットの外径と外筒の内径との差が小さいものになってしまう。このような場合には、ガスケットと外筒の寸法管理が非常にシビアなものになってしまう。また、ガスケットもしくは外筒の寸法誤差によってガスケットと外筒との間に隙間ができてしまう可能性が高くなり、ガスケットの密封性が低下し、外筒内に密封している薬液が漏れてしまう危険性が高まる。
つまり、従来のプレフィルドシリンジのガスケットにおいては、外筒へガスケットを挿入する時及び注射器として用いる際のガスケットの摺動抵抗を低くすることと、高圧蒸気滅菌工程時におけるガスケットの摺動抵抗を高めてガスケットの移動並びに傾きを防止することとは二律背反の関係にあり、両立し難いものである。
本発明は、ガスケットを外筒に打栓する時のガスケットの傾きを防止すると共にガスケットの密封性を確保することができるプレフィルドシリンジ用ガスケットを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載のプレフィルドシリンジ用ガスケットは、薬液側に凸の円錐面から成る薬液側斜面を有する傘部と、外筒の内周面と接触して少なくとも一つのシール面を形成する胴部とを備え、傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面の反薬液側斜面の傾斜角度θ2との関係が
θ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)であり、且つ傘部の厚みが2.5mm〜5.0mmの範囲にあるようにしている。
θ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)であり、且つ傘部の厚みが2.5mm〜5.0mmの範囲にあるようにしている。
請求項1記載のプレフィルドシリンジ用ガスケットによれば、薬液側に凸の傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面の反薬液側斜面の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)であり、且つ傘部の厚みが2.5mm〜5.0mmの範囲にあるようにしているので、傘部にかかる力とその方向によって傘部の角度が変化して、傘部の周辺の胴部の径が縮まったり、あるいは広がったりする変形を伴う。
つまり、ガスケットを外筒へ打栓する時には、ガスケットの内部空間に挿入された打栓機の打栓ロッドによって傘部の裏側の反薬液側斜面が押されるので、傘部の一部が変形して傘が畳まれるような逃げる動きをすることで径が縮まる方向に変形し、打栓時の摺動抵抗を減少させることができる。これによって、ガスケットの摺動抗低が低減し、円周方向における摺動抵抗のばらつきを小さいものにできるため、ガスケットを外筒に打栓する時には、ガスケットに傾きが生じる程の摺動抵抗の差が生じない。したがって、本発明のガスケットであれば、ガスケットの締代は従来と同様のものであっても、ガスケットの打栓時の摺動抵抗を低減でき、ガスケットが傾きながら打栓されてしまうことを防ぐことができる。また、外筒へのガスケットの挿入が容易になることから、プレフィルドシリンジの組み立て作業が簡単になる。
また、打栓後の高圧蒸気又は熱水の吹き付けによる滅菌処理時には、ガスケットの内部は空洞であることから、滅菌処理時の薬液の温度上昇に伴う薬液の圧力上昇によって傘部が反薬液密封側に押され、傘部により胴部が拡径されて、径が広がる方向に変形する。これによって、傘部周縁の胴部が外筒の内周面に密着するため、摺動抵抗が高まり、液漏れの虞がなくなる。さらには、ガスケットが移動し、さらには傾いてしまうことを防ぐことができる。
また、注射器として使用するときには、ガスケット内にプランジャがねじ込まれてガスケットの内部空間がなくなるため、薬液の圧力を受けても傘部が反薬液側へ変形することがなくなり、あるいは変形し難くなり、傘部の変形に伴う摺動抵抗値の上昇が抑制されるので、軽い摺動抵抗でガスケットが押し込み可能となる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1〜図2に、本発明のプレフィルドシリンジ用ガスケットの実施形態の一例を示す。プレフィルドシリンジ1は、図2に示すように、薬液等(図示省略)があらかじめ充填された注射器であり、一般に、円筒形の筒(外筒あるいはシリンジバレルと呼ばれる。以下、外筒と呼ぶ。)2と、図示していない可動式のプランジャ(押子とも呼ばれる。)と、プランジャの先端に在って外筒2内で気密を保ちながら摺動し得るガスケット3とで構成されている。
外筒2は、例えば底部21を有する有底円筒形の筒であり、底部21の中央部に縮径部22が一体的に形成されている。この縮径部22には、例えば、薬液投与用、採血用等の針管のハブ、各種コネクタ、チューブ、カテーテル等(図示せず)が装着されて使用される。尚、外筒2には、ガスケット3との間で囲まれる薬液収納空間24が形成され、この薬液収納空間24は、縮径部22の内腔23と連通している。図中の符号25は内周面、26はトップキャップである。
収納空間24内には、例えば、血液、ブドウ糖等の糖質注射液、塩化ナトリウムや乳酸カリウム等の電解質補正用注射液、ビタミン剤、ワクチン、抗生物質注射液、造影剤、ステロイド剤、蛋白質分解酵素阻害剤、脂肪乳剤、抗癌剤、麻酔薬のような各種薬液、あるいは、蒸留水、消毒薬、流動食、アルコール等の液体(本明細書においてはこれらを総称して薬液等と呼ぶ)が収納される。
ガスケット3は、外筒2の内周面25と接触する少なくとも一つのシール面35を形成する胴部36と、該胴部36の先端附近から薬液側に凸の円錐面から成る傘部34と、胴部36と傘部34とから囲まれたプランジャをねじ込むためのねじ孔37を有する内部空間39とを備える。傘部34は、薬液側に凸の円錐面から成る薬液側斜面32と、その背面の反薬液側斜面33とで構成され、薬液側斜面32の傾斜角度θ1とその背面の反薬液側斜面33の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)となるように設けられている。また、傘部34の厚みt1は2.5mm〜5.0mmの範囲に設定され、好ましくは3.5〜4.5mmの範囲とされている。傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面側斜面の傾斜角度θ2との関係おいて、θ2の角度がθ1の角度よりも−3°よりも小さくなると、ガスケットの摺動抵抗が高くなってしまいガスケットの斜め組み込みが発生し易くなってしまう。また、傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面側斜面の傾斜角度θ2との関係おいて、θ2の角度がθ1の角度よりも+5°よりも大きくなると、ガスケットを外筒へ打栓する時には、摺動抵抗を低減することができるが、ガスケット打栓時に外筒と接触している胴部が変形してしまいガスケットの密封性が低下した状態で外筒に組付けられてしまう不具合が生じる。尚、傘部の薬液側傾斜面32の傾斜角度θ1及び背面側斜面33の傾斜角度θ2は、好ましくは同じ角度とすること、即ち傘部の肉厚t1を一定とすることである。
このガスケット3は、弾性材料製のガスケット本体4と、ガスケット本体4の外面を被覆する樹脂フィルム5とで構成されている。そして、ガスケット本体4は、通常、弾性材料で形成され、ガスケット3としての最大外径部分が外筒2の内径より若干大きく設定されることにより、ガスケット本体4の弾性力によってガスケット外周が外筒2の内周面25と圧接して液密性が保たれるように設けられる。
ガスケット本体4を構成する弾性材料としては、特定の弾性材料に限定されるものではないが、例えば、エチレン系エラストマー、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム等のうちの、1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。例えば、本実施形態では、スケット本体4を構成する弾性材料としてブチルゴムを使用している。また、弾性材料は、ゴム硬さが40〜60(IRHD(国際ゴム硬さ)。JIS K 6253準拠)であり、好ましくは45〜54である。これは、ゴム硬さが40未満だと過大変形するためそもそも製品機能として成り立たなくなる。また、ゴム硬さが60を超えると、組み込み性に大きく影響する(変形し難くなるため、組み込み難くなる)。このため、本実施形態では、中間のゴム硬さ45〜54にすることが好ましい。尚、本実施形態例では、ブチルゴムを使用したが、スチレン系エラストマー、ハロゲン化ブチルゴム、シリコーンゴム等の他のゴム材料を使用しても良いことは言うまでもない。
本実施形態におけるガスケット3は、図1に示すように、少なくとも外筒2の内周面25と接する部分即ち外周面31、好ましくは外筒2の内周面25と接する部分たる外周面31及び傘部34の薬液と接触する円錐面(本明細書においては薬液側斜面と呼ぶ)32が慴動性に優れる液密性の樹脂フィルム5で覆われている。本実施形態では、ガスケット本体4のプランジャ(図示省略)が接続される大気側7の後端面38を除いて、ガスケット本体4の薬液側斜面32と外周面31とが樹脂フィルム5で被覆されている。この樹脂フィルム5は、高い摺動性に加えて、高い液密性も要求されることから、少なくとも摺動性に優れる摩擦係数の小さい不透水性の材料で構成されることが必要であるが、充填する液体によってはその他の性質例えば薬剤等であれば耐薬品性を有することが必要となる。したがって、樹脂フィルム5としては、好ましくは摺動性に優れると共に耐薬品性に優れる材質、例えばポリテトラフルオロエチレンまたはその共重合体、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、四フッ化エチレン、PFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(例えば、四フッ化エチレンと、アルコキシル基の炭素数が1〜5のパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体))、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、TFE(テトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)等のフッ素系樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。勿論、樹脂フィルム5の構成材料としては、上述に例示したものに特に限定されない。尚、本実施形態では、PTFEフィルムを使用している。
また、ガスケット3の外周面31には、ガスケット3の最大外径部分となる少なくとも一つのシール面35が径方向外側に突出するように形成される。ここで、シール面35は、一つのシール面で外筒の内周面に接触させるよりも複数のシール面を形成してシール箇所を複数にする方が好ましい。この場合、一方のシール面から漏れてしまっても、他方のシール面でシールができるためシール性を確保することが容易である。また、シール面を分散させることでも、摺動し易くなるので、シール面を2つ以上形成したものが好ましい。そこで、本実施形態の場合には、軸断面形状が台形状の薬液側斜面32寄りの第1のシール面35aと大気側7となる後端面33寄りの第2のシール面35bとの2つのシール面を備えている。
ガスケット3は、本実施形態の場合、図示していないプランジャの先端の雄ねじ部に内部空間39に形成したねじ孔37を螺合させることによって、使用時にプランジャと一体化されるように設けられている。ここで、プランジャの先端(雄ねじの先端)と傘部34の背面側斜面33とが接触する構造とし、ねじ山と傘部34とでプランジャの押す力を同時に受ける構造とすることが好ましい。この場合、ねじ部37と傘部34とでプランジャの押す力を同時に受けてガスケット3を押し出すことができるため、ガスケット3が先細り形状になることなく押し出せる。したがって、プランジャを使ってガスケット3を押し込む際に、ガスケット3のシール面35が外筒2の内周面25に対し離間することがなく、ガスケット3の周囲から薬剤が漏れ出ることがない。尚、プランジャとガスケット3との連結構造は、上述のねじ締結に限られず、例えば特開2004−24768号、特開平5−131029号公報に記載のプランジャとガスケットとの関係のように、ホックのような凹凸の嵌め込み式としても良い。この場合、特開2004−24768号のように、ガスケットの胴部後端面にプランジャロッドの肩部が当接しなくとも良いし、特開平5−131029号のようにしても良い。
以上のように構成されたプレフィルドシリンジ用ガスケット3によれば、図示していない真空打栓機などで外筒2にガスケット3を挿入する打栓工程においては、打栓機の打栓ロッドにガスケット3を挿入した状態で外筒2に嵌め込まれる際に、外筒2内が真空にされているのと、打栓機の打栓ロッドがガスケット3の傘部34の胴部36に囲まれた内側の部分(ガスケットの先端部分)が押されるため、傘部34が薬液側に凸となるように変形する(傘が畳まれるような逃げる動きをする)ことで径が縮まる方向に変形し、打栓時の摺動抵抗を減少させて、ガスケット3の傾きを防ぐ。即ち、ガスケット挿入時の摺動抵抗値の高いところと低いところとの差を抑えることで、ガスケット3の傾き易さを軽減する。
他方、ガスケット挿入後の高圧蒸気又は熱水の吹き付けによる滅菌処理時に薬液の圧力が上昇しても、ガスケット3の内部空間39にはプランジャはねじ込まれておらず、空洞となっているので、薬液の圧力で傘部34が反薬液側に押されて、円錐形の傘部34の径が広がる方向に変形する。傘部34は薬液側に凸のアーチ構造であるため、上から圧力を受けると、胴部36の径を拡げる方向に変形し、これによって傘部34の周縁附近の胴部36が外筒2の内周面25に密着するため、摺動抵抗値が高まり、ガスケットの移動並びに傾きを抑制することができると共に液漏れの虞もなくなる。
また、注射器として使用するときには、ガスケット3の内部空間39に図示していないプランジャがねじ込まれて内部空間39が塞がれるため、薬液の圧力を受けても傘部34の変形がほとんど無く、摺動抵抗値を高めずに軽い摺動抵抗でガスケット3の押し込みを可能とする。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態のガスケットは、弾性部材(ゴム・熱可塑性樹脂等のエラストマー)のガスケット本体4を摺動性・耐薬品性に富む樹脂フィルム5で覆うようにしているがこれに特に限られず、弾性部材のガスケット本体4のみで構成されているガスケット即ちフィルム5の被覆のないガスケット、あるいは耐薬品性のみを確保するために傘部にのみフィルムが被覆されるようにしたものであっても良い。また、樹脂フィルム5で覆うタイプのガスケット3であっても、ガスケット3の樹脂フィルム5は、図示の構成のものに限られず、外筒2の内周面25との十分な摺動性および液密性を有していれば、いかなるものであっても良く、ガスケット本体4の少なくとも外周面及び薬液側斜面32の周縁部分にかけて被覆するものであってもよい。
<評価試験>
(試験1)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2が異なる6種類(8°,9°,11°,14°,17°,18°)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。尚、試験に用いたガスケットの傘部直近における胴部の厚みt2は5.5mm(角ねじの山部分を含めた胴部の厚みは6.4mm)である。
(試験1)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2が異なる6種類(8°,9°,11°,14°,17°,18°)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。尚、試験に用いたガスケットの傘部直近における胴部の厚みt2は5.5mm(角ねじの山部分を含めた胴部の厚みは6.4mm)である。
試験条件
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の厚みt1 :4.5mm
(5)雰囲気温度 :23℃
(6)n数 :5
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の厚みt1 :4.5mm
(5)雰囲気温度 :23℃
(6)n数 :5
評価試験は、外筒2の所定位置にガスケット3をセットし、内部に水を入れた。そして、ガスケット表面に気泡が発生しないように、プレフィルドシリンジ1を図2に示すようにガスケットを下にしてその上の水を封止するようにして、図示していない机の上に設置した。因みに、トップキャップは被されておらず、大気圧が内部空間39に入れた水にかかるようにした。この状態で、24時間放置した。24時間経過後、第1密封面に水のにじみ、漏れがないかを顕微鏡(倍率50)で確認した。評価試験の結果を、それぞれ表1に示す。
(表1)
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
上記試験において、θ1よりもθ2が6°大きい場合(比較例1)及びθ1よりもθ2が4°小さい場合(比較例2)の双方において、薬液漏れが生じた。また、比較例1においては、3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう打栓の結果が、比較例2においては、3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう打栓結果がそれぞれ得られた。つまり、傘部34の薬液側斜面32の傾斜角度θ1とその背面側斜面33の傾斜角度θ2との関係おいて、θ2の角度がθ1の角度よりも−3°よりも小さくなると、ガスケットの摺動抵抗が高くなってしまいガスケットの斜め組み込みが発生し易くなってしまう。また、θ2の角度がθ1の角度よりも+5°よりも大きくなると、ガスケット3を外筒2へ打栓する時には、摺動抵抗を低減することができるが、ガスケット打栓時に外筒2と接触している胴部36が変形してしまいガスケット3の密封性が低下した状態で外筒2に組付けられてしまう不具合が生じた。
これに対し、θ1よりもθ2が2°小さい場合(実施例1)、θ1とθ2とが同じ場合(実施例2)、θ1よりもθ2が2°大きい場合(実施例3)及びθ1よりもθ2が3°大きい場合(実施例4)の全てにおいて、全てのガスケットに薬液漏れが起きなかった。また、実施例1から実施例4の全てにおいて、全てのシリンジへの斜め組み込みが生じなかった。
このことから、傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面側斜面の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°の範囲内であれば、ガスケットをシリンジに打栓する時のガスケットの傾きを防止すると共にガスケットの密封性を確保することができることが判明した。
(試験2)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の厚みt1が異なる6種類(2.0mm,2.5mm,3.5mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。尚、試験に用いたガスケットの傘部直近における胴部の厚みt2は5.5mm(角ねじの山部分を含めた胴部の厚みは6.4mm)である。
(試験2)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の厚みt1が異なる6種類(2.0mm,2.5mm,3.5mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。尚、試験に用いたガスケットの傘部直近における胴部の厚みt2は5.5mm(角ねじの山部分を含めた胴部の厚みは6.4mm)である。
試験条件
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2 :12°
(5)胴部全長(A) :16mm
(6)傘部直近における胴部の厚みt2 :5.5mm
(7)雰囲気温度 :23°
(8)n数 :5
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2 :12°
(5)胴部全長(A) :16mm
(6)傘部直近における胴部の厚みt2 :5.5mm
(7)雰囲気温度 :23°
(8)n数 :5
評価試験は、外筒2の所定位置にガスケット3をセットし、内部に水を入れた。そして、ガスケット表面に気泡が発生しないように、プレフィルドシリンジ1を図2に示すようにガスケットを下にしてその上の水を封止するようにして、図示していない机の上に設置した。因みに、トップキャップは被されておらず、大気圧が内部空間39に入れた水にかかるようにした。この状態で、24時間放置した。24時間経過後、第1密封面に水のにじみ、漏れがないかを顕微鏡(倍率50)で確認した。評価試験の結果を、それぞれ表2に示す。
(表2)
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
(試験3)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の厚みt1が異なる6種類(:2.0mm,2.5mm,3.5mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
(試験3)
図1に例示する構造のガスケットについて、傘部の厚みt1が異なる6種類(:2.0mm,2.5mm,3.5mm,4.5mm,5.0mm,5.5mm)の試験品を作製し、次の試験条件下に打栓試験及び密封試験を行った。
試験条件
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2 :12°
(5)胴部全長(A) :20mm
(6)雰囲気温度 :23°
(7)n数 :5
(1)ガスケットのゴム材料 :ブチルゴム
(2)樹脂フィルム :PTFEフィルム
(3)傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1 :12°
(4)傘部の背面側斜面の傾斜角度θ2 :12°
(5)胴部全長(A) :20mm
(6)雰囲気温度 :23°
(7)n数 :5
評価試験は、外筒2の所定位置にガスケット3をセットし、内部に水を入れた。そして、ガスケット表面に気泡が発生しないように、プレフィルドシリンジ1を図2に示すようにガスケットを下にしてその上の水を封止するようにして、図示していない机の上に設置した。因みに、トップキャップは被されておらず、大気圧が内部空間39に入れた水にかかるようにした。この状態で、24時間放置した。24時間経過後、第1密封面に水のにじみ、漏れがないかを顕微鏡(倍率50)で確認した。評価試験の結果を、それぞれ表3に示す。
(表3)
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
試験結果
※打栓の評価
○:全てのシリンジへの斜め組み込みなし
△:3つ未満のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
×:3つ以上のガスケットがシリンジに斜め組み込みしてしまう
※シール性の評価
○:全てのガスケットに薬液漏れなし
×:1つでも薬液漏れあり
上記試験2及び3において、傘部の薬液側傾斜面の傾斜角度θ1及び背面側斜面の傾斜角度θ2の関係が好適な条件のガスケットにおいても、傘部34の厚みt2が2.5mm未満の場合(比較例1)は、シリンジへの斜め組み込みは発生しないものの、シール性が低下してしまった。つまり、傘部34の厚みt2が2.5mm未満の場合は、ガスケット3を外筒2へ打栓する時には、摺動抵抗を低減することができるが、ガスケット打栓時に外筒と接触している胴部36が変形してしまいガスケット3の密封性が低下した状態で外筒2に組付けられてしまう不具合が生じた。これは、ガスケットの傘部34の厚みt2が2.5mm未満の場合は、傘部34の厚みが薄過ぎて剛性が低く変形し易い構造となるため、傘部34が薬液の圧力を受けて内部空間39側へ変形する際に、剛性不足で胴部36を径方向外側へ押し出すことができないものと考えられる。
また、傘部34の厚みt2が5.0mmを超える場合(比較例2)には、挿入時の摺動抵抗が高く斜め組み込みが起こってしまった上に、シール性が低下してしまった。つまり、ガスケット3の傘部34の厚みt2が5.0mmを超える場合は、ガスケット3の摺動抵抗が高くなってしまいガスケット3の斜め組み込みが発生し易くなった。これは、傘部34の厚みt2が5.0mmを超える場合には、傘部34の剛性が高くなり過ぎ、薬液の圧力では傘部34が変形しない構造となり、傘部34の変形による胴部36の径方向外側への押し出し効果が得られないものと考えられる。
これに対し、傘部の厚みt1が2.0mmよりも大きな2.5mmの場合(実施例1)、3.5mmの場合(実施例2)、4.5mmの場合(実施例3)及び5.5mmよりも小さな5.0mmの場合(実施例4)の全てにおいて、全てのガスケットに薬液漏れが起きなかった。また、実施例1から実施例4の全てにおいて、全てのシリンジへの斜め組み込みが生じなかった。
このことから、傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面側斜面の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°の範囲内であって、ガスケットの傘部の厚みt2が2.5mm〜5.0mmの範囲にある場合には、ガスケットをシリンジに打栓する時のガスケットの傾きを防止すると共にガスケットの密封性を確保することができることが判明した。
1 プレフィルドシリンジ
2 外筒
24 薬液等を収容する薬液収納空間
25 内周面
3 ガスケット
31 外周面(外筒の内周面と接触する面)
32 薬液側斜面
33 反薬液側斜面
34 傘部
35(35a,35b) シール面
36 胴部
39 内部空間
θ1 傘部の薬液側斜面の傾斜角度
θ2 傘部の反薬液側斜面の傾斜角度
t1 傘部の厚み
2 外筒
24 薬液等を収容する薬液収納空間
25 内周面
3 ガスケット
31 外周面(外筒の内周面と接触する面)
32 薬液側斜面
33 反薬液側斜面
34 傘部
35(35a,35b) シール面
36 胴部
39 内部空間
θ1 傘部の薬液側斜面の傾斜角度
θ2 傘部の反薬液側斜面の傾斜角度
t1 傘部の厚み
Claims (1)
- 薬液側に凸の円錐面から成る薬液側斜面を有する傘部と、外筒の内周面と接触して少なくとも一つのシール面を形成する胴部とを備え、
前記傘部の薬液側斜面の傾斜角度θ1とその背面の反薬液側斜面の傾斜角度θ2との関係がθ1−3°≦θ2≦θ1+5°(ただし、θ1>0°,θ2>0°である)であり、且つ前記傘部の厚みが2.5mm〜5.0mmの範囲にあることを特徴とするプレフィルドシリンジ用ガスケット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015231718A JP2017093964A (ja) | 2015-11-27 | 2015-11-27 | プレフィルドシリンジ用ガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015231718A JP2017093964A (ja) | 2015-11-27 | 2015-11-27 | プレフィルドシリンジ用ガスケット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017093964A true JP2017093964A (ja) | 2017-06-01 |
Family
ID=58804459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015231718A Abandoned JP2017093964A (ja) | 2015-11-27 | 2015-11-27 | プレフィルドシリンジ用ガスケット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017093964A (ja) |
-
2015
- 2015-11-27 JP JP2015231718A patent/JP2017093964A/ja not_active Abandoned
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A762 | Written abandonment of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 Effective date: 20170606 |