JP2017093353A - ソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置 - Google Patents

ソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置 Download PDF

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Abstract

【課題】脱皮した甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化させてソフトシェルの取り損じを防いで効率よく高品質なソフトシェルを生産することができるソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置を提供する。
【解決手段】ソフトシェルの生産方法は、脱皮監視工程および硬化鈍化工程を含んでいる。脱皮監視工程は、ノコギリガザミなどからなる甲殻類Crが自発的な脱皮が可能な水温に調整された飼育水102内で飼育する甲殻類Crの脱皮を所定時間ごとに監視する。硬化鈍化工程は、脱皮した甲殻類Crを外骨格が軟らかいうちに冷飼育水121内に移す。冷飼育水121は、甲殻類Crが生存可能でかつ摂食温度以下の温度に調節されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カニやエビなどの甲殻類が脱皮した直後の外骨格が軟らかい状態の個体を食用のソフトシェルクラブやソフトシェルシュリンプとして得るためのソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置に関する。
従来から、カニやエビなどの甲殻類のうち、甲羅が硬く加熱しても甲羅ごと食することが困難な中型以上の甲殻類においては、脱皮によって一時的に甲羅などの外骨格が軟らかい状態になった所謂ソフトシェルクラブやソフトシェルシュリンプ(以下、単に「ソフトシェル」という)が食用として珍重されている。これらのソフトシェルは、外骨格が硬化する前、理想的には脱皮直後に採取して加工する必要がある。
このため、例えば、下記特許文献1には、甲殻類を飼育する水槽の外周壁を硝子材やプラスチック材などの透明な材料で構成することで脱皮直後の甲殻類が見つけ易くなる養殖装置が開示されている。また、下記特許文献2には、甲殻類を金網からなる籠体内で個別飼育することにより脱皮した甲殻類を水槽内から取り出し易くする蓄養方法が開示されている。
特開昭61−185138号公報 特開昭62−115223号公報
しかしながら、上記特許文献1,2にそれぞれ記載された養殖装置や蓄養方法においては、脱皮した甲殻類を発見しても加工(活き〆)前に外骨格の硬化が進んでソフトシェルとしての商品価値が低下するという問題があった。すなわち、従来の養殖装置や蓄養方法においては、夜間に脱皮が行なわれた場合には翌朝には硬化がかなり進んでしまうとともに、大量に脱皮が行なわれた場合には加工前にも硬化が進んでしまうという問題があった。
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、脱皮した甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化させてソフトシェルの取り損じを防いで効率よく高品質なソフトシェルを生産することができるソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、飼育槽内で飼育する甲殻類の脱皮を監視する脱皮監視工程と、脱皮した甲殻類の飼育環境を脱皮した甲殻類の外骨格が軟らかいうちに甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の水温または気温の冷飼育環境に変えて脱皮した甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化させる硬化鈍化工程とを含むことにある。
この場合、飼育環境を冷飼育環境に変える手法としては、甲殻類が存在する飼育水の温度を下げる方法のほか、甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の水温に調整した冷飼育水が貯留された冷飼育槽または甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の気温に調整された冷飼育槽に甲殻類を移す方法がある。また、摂食温度とは、甲殻類が摂食を停止するかまたは摂食量が通常の飼育環境の場合に比べて低下する温度であり、甲殻類の種類ごとに異なるものである。また、甲殻類の外骨格の硬化の進行速度の鈍化には、硬化の停止も含まれるものである。また、甲殻類の外骨格が軟らかいうちにとは、甲殻類の外骨格が脱皮前の外骨格の硬さに戻る前までの硬さであり、より好ましくは、ソフトシェルとして食用されるに適した軟らかさを維持する間で、ノコギリガザミなどソフトシェルとして好まれる多くの甲殻類は脱皮後3時間以内程度である。
このように構成した本発明の特徴によれば、ソフトシェルの生産方法は、甲殻類の脱皮後外骨格が軟らかい間に甲殻類の飼育環境を甲殻類が生存可能な範囲で摂食温度以下の水中または空気中の冷飼育環境に変えている。これにより、本発明者の実験によれば、甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化できることを確認した。この結果、本発明に係るソフトシェルの生産方法によれば、脱皮が夜間に行われたり大量に行われたりした場合においても、脱皮した甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化させることができるため、硬化が進んでいない高品質なソフトシェルを漏れなく生産することができる。また、本発明によれば、脱皮した甲殻類の飼育水を冷飼育環境に変えるタイミング、冷飼育環境での飼育時間または冷飼育環境の温度を適宜調整することで外骨格の硬化の程度を調整することができるため、甲殻類の脱皮のタイミングに関係なく種々の硬度のソフトシェルを生産することもできる。
なお、甲殻類としては、主にカニおよびエビである。この場合、カニとしては、ワタリガニ、モクズガニ、毛ガニ、ズワイガニ、上海ガニ(中国モクズガニ)、タラバガニ、ハナサキガニ、タイザガニ、ベニズワイガニ、アサヒガニ、シマイシガニ、イバラガニ、ヒラツメガニ、ガザミ、ノコギリガザミ、タイワンガザミ、ジャノメガザミ、イボガザミ、サワガニ、イシガニ、フタホシイシガニ、タカアシガニ、ヤシガニなどがある。また、エビとしては、イセエビ類、ロブスター、オマールエビなどのザリガニ、シャコのほか、アカザエビ、甘エビ、芝エビ、車エビ、川エビ、ボタンエビ、手長エビなどがある。
また、本発明の他の特徴は、前記ソフトシェルの生産方法において、硬化鈍化工程は、冷飼育環境が甲殻類が静止状態となる温度であることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ソフトシェルの生産方法は、硬化鈍化工程において冷飼育環境が甲殻類が静止状態となる水温または気温であるため、本発明者の実験によれば、甲殻類の外骨格の硬化進度をより効果的に鈍化または停止させることができる。この場合、甲殻類が静止状態とは、甲殻類がじっとして動かず、外力などの刺激を与えても動かないまたは動いたとしても動きが緩慢な状態であり、甲殻類が低水温または低気温によって死亡する直前の温度(死亡する温度より高い温度)までが含まれる。
また、本発明の他の特徴は、前記ソフトシェルの生産方法において、硬化鈍化工程は、冷飼育環境の冷飼育槽内に脱皮した甲殻類を移し替えることにある。
このように構成した本発明の他の特徴によれば、ソフトシェルの生産方法は、硬化鈍化工程において冷飼育環境の冷飼育槽内に脱皮した甲殻類を移し替えるため、同一の飼育槽内で飼育する他の甲殻類に水温変化による影響を与えないとともに冷飼育槽内に移す際に甲殻類に付着した脱皮殻やゴミなどの異物を除去することができる。また、本発明の他の特徴によれば、ソフトシェルの生産方法は、冷飼育槽内に脱皮した甲殻類が溜まるため、次の工程が行い易く作業性が向上する。
なお、冷飼育槽内の冷飼育環境は、甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の冷飼育水を貯留することにより、または冷飼育槽内の気温を甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の温度に設定することで実現できる。この場合、冷飼育水は、水を氷、ドライアイス、冷蔵または冷凍用の固形冷却剤またはチラーなどの水温調節装置を用いて冷却して生成することができる。また、冷飼育水は、冷飼育槽の周囲の気温が低い場合には、氷、各種冷却剤または冷却装置を使用しなくても生成することができる。また、冷飼育槽内の気温は、氷、ドライアイス、冷蔵または冷凍用の固形冷却剤または空調装置を用いて冷却することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記ソフトシェルの生産方法において、脱皮監視工程は、日没から翌朝までの間に行なわれることにある。
このように構成した本発明の特徴によれば、ソフトシェルの生産方法は、脱皮監視工程が日没から翌朝までの間に行なわれるため、夜間から早朝にかけて行われ易い甲殻類の脱皮を効果的に発見して脱皮後の甲殻類を効率的に収穫することができる。
また、本発明はソフトシェルの生産方法の発明として実施できるばかりでなく、ソフトシェルの生産装置の発明としても実施できるものである。
具体的には、ソフトシェルの生産装置は、飼育対象となる甲殻類が脱皮可能な水温の飼育水を貯留して同飼育水内で甲殻類を飼育するための飼育槽と、甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の水温または気温の冷飼育環境に設定されて脱皮した甲殻類を外骨格が軟らかいうちに収容するための冷飼育槽とを備えるとよい。これによれば、上記ソフトシェルの生産方法と同様の作用効果が期待できる。
この場合、ソフトシェルの生産装置は、さらに、飼育槽内の甲殻類を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像情報を用いて前記甲殻類の脱皮を判定する脱皮判定手段と、甲殻類の脱皮が判定されたとき、甲殻類の脱皮を報知する報知手段とを備えるとよい。
これによれば、ソフトシェルの生産装置は、撮像手段および脱皮判定手段によって甲殻類の脱皮を検出したとき報知手段によって報知するためソフトシェルの生産者は自身が監視していなくてもソフトシェルを確認して冷飼育槽に移すことができソフトシェルを収穫する作業負担を軽減することができる。この場合、報知手段としては、音、光、映像または機械的振動によって生産者に甲殻類の脱皮を知らせることができる機器、例えば、ブザー、スピーカ、点滅灯、照明、表示装置、携帯電話やスマートフォンなどへの通報装置が相当する。
また、この場合、ソフトシェルの生産装置は、さらに、飼育槽内の甲殻類を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像情報を用いて甲殻類の脱皮を判定する脱皮判定手段と、甲殻類の脱皮が判定されたとき、飼育槽内の甲殻類を捕獲して冷飼育槽に移す捕獲手段とを備えるとよい。
これによれば、ソフトシェルの生産装置は、撮像手段および脱皮判定手段によって甲殻類の脱皮を検出したとき捕獲手段によって甲殻類を捕獲するため、ソフトシェルの生産者は自身が監視および捕獲しなくても冷飼育槽内にソフトシェルを集めることができ作業負担を軽減することができる。この場合、捕獲手段としては、トングや網で構成することができる。
また、これらの場合、ソフトシェルの生産装置は、脱皮した甲殻類を吸引して保持する吸引装置を備えて構成することもできる。この場合、吸引装置は、吸引孔を備えた筒状の吸引管を機械装置によってまたは人手によって操作して甲殻類を吸引して着脱自在に保持することができる。これによれば、ソフトシェルの生産装置は、脱皮した甲殻類を傷付けることなく効率的に捕獲することができる。
また、これらの場合、ソフトシェルの生産装置は、冷飼育槽を冷飼育水で満たした場合には、冷飼育水の深さが甲殻類の体高の3倍以上の深さであるとよい。
これによれば、ソフトシェルの生産装置は、冷飼育槽に移された甲殻類が冷飼育槽内を沈降する際に甲殻類に付着している脱皮殻やゴミなどの異物が離脱して除去することができ生産者による異物の除去作業を軽減することができる。
本発明の一実施形態に係るソフトシェルの生産装置の外観構成の概略を示す斜視図である。 図1に示すソフトシェルの生産装置の作動を制御する制御システムのブロック図である。 図1に示すソフトシェルの生産装置における個室内において脱皮した甲殻類(ノコギリガザミ)の様子を示した平面図である。 図3に示す甲殻類および脱皮殻に対するパターンフィッティング処理を説明するための説明図である。 本発明の変形例に係る捕獲手段としての吸引装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明に係るソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るソフトシェルの生産方法に用いるソフトシェルの生産装置100の外観構成の概略を示した斜視図である。また、図2は、ソフトシェルの生産装置100の作動を制御する制御システムのブロック図である。このソフトシェルの生産装置100は、複数の甲殻類Crを同時に飼育しながらこれらの甲殻類Crのうちで脱皮した甲殻類Crを自動的に検出して採取することができる飼育装置である。なお、本実施形態における甲殻類Crは、カニの一種であるノコギリガザミである。
(ソフトシェルの生産装置100の構成)
ソフトシェルの生産装置100は、飼育槽101を備えている。飼育槽101は、飼育水102を貯留して甲殻類Crを飼育するためのFRP(繊維強化樹脂)製の水槽であり、上方が開口するとともに所定の深さを有した平面視で方形の箱状に形成されている。この飼育槽101は、内部が樹脂製の板体で格子状に区画されて個室101aが形成されており、複数の甲殻類Crを個別に飼育することができるように構成されている。本実施形態においては、個室101aは、12個の同じ大きさで形成されているが、甲殻類Crの大きさに応じて各個室101aを互いに異なる大きさに形成することもできる。
また、飼育槽101は、各個室101aの下方に各個室101aに共通して連通する1つの水路(不図示)が形成されており、各個室101aごとに生じる甲殻類Crの排泄物や食べ残したエサが前記水路に導かれるようになっている。つまり、飼育槽101は、二重底構造に形成されている。また、飼育槽101には、前記水路に連通して図示しない浄化槽を備えている。浄化槽は、飼育槽101内の飼育水102を生物濾過によって浄化するための部分であり、硝化細菌を有した濾材(培地)で構成されている。この浄化槽によって浄化された飼育水102は、送水ポンプ103によって再び飼育槽101内の各個室101aごとにそれぞれ供給される。
また、飼育槽101には、飼育槽101内における飼育水102の水位を一定に保つためのオーバーフロー排水管、飼育槽101に酸素を供給するエアレーション設備および飼育槽101内を照らす照明装置などをそれぞれ備えるほか、飼育水102のpH(ペーハ)、飼育水102の塩分、温度およびアンモニア濃度などの水質情報を検出する機器など甲殻類Crを飼育するために一般的に必要な他の設備が設けられている。この場合、オーバーフロー排水管は、個室101a内の水深が個室101aの上方から甲殻類Crが視認や撮像が可能な深さ、例えば、甲殻類Crの体高(甲殻類Cr上下方向の高さ)の2倍の深さを維持するように設けられている。
飼育水102は、甲殻類Crを飼育するための水であり、甲殻類Crの生息環境に応じて甲殻類Crが健全に生育することができる水質(例えば、塩分やpHなど)および温度に調整されている。飼育槽101の上方には、第1カメラ111、第2カメラ112およびキャッチャ114がそれぞれ設けられている。第1カメラ111は、飼育槽101内の甲殻類Crの様子を飼育水102の上方から撮像して制御装置130に出力する撮像装置であり、CCD素子やCMOS素子によって構成されている。この第1カメラ111は、光軸を飼育槽101に向けた姿勢で支持機構116に支持されている。
第2カメラ112は、飼育槽101内の甲殻類Crの様子を飼育水102の中から撮像して制御装置130に出力する撮像装置であり、照明装置を備えたファイバスコープによって構成されている。この第2カメラ112は、光軸を飼育槽101に向けた下垂した姿勢で上下動アクチュエータ113を介して支持機構116に支持されている。上下動アクチュエータ113は、第2カメラ112を飼育水102の中に出し入れするために昇降させる駆動装置であり、制御装置130によって作動制御される電動モータで構成されている。
キャッチャ114は、飼育槽101の個室101a内の甲殻類Crを掴んで飼育槽101内から搬出するための機械装置であり、制御装置130による作動制御によって開閉するトングを備えて構成されている。このキャッチャ114は、飼育槽101にトングを向けた下垂した姿勢で回動アクチュエータ115を介して支持機構116に支持されている。回動アクチュエータ115は、キャッチャ114を図示Z軸方向回りに回転させて位置決めするために回転する駆動装置であり、制御装置130によって作動制御される電動モータで構成されている。
支持機構116は、第1カメラ111、第2カメラ112およびキャッチャ114を飼育槽101の上方で支持しつつ飼育槽101に対して互いに直交する3軸方向(図示X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)にそれぞれ変位させるための機械装置である。この場合、支持機構116は、3軸方向に対応する3つの駆動モータ(不図示)を備えており、これら3つの駆動モータの各作動を制御装置130がそれぞれ制御することにより第1カメラ111、第2カメラ112およびキャッチャ114をそれぞれ3軸方向に変位させる。
この支持機構116は、架台117に支持されている。
架台117は、支持機構116および搬送装置118を支持するための台であり、飼育槽101の周囲に起立する4つの脚部材上に飼育槽101の周囲を囲む方形状のフレームが取り付けられて構成されている。この架台117は、脚部材の下端部にキャスタ117aが設けられており、飼育槽101とは独立して移動できるように構成されている。したがって、飼育槽101を複数設けた場合には、架台117は各飼育槽101に移動させて使用することができる。
搬送装置118は、支持機構116によって搬送される甲殻類Crを冷飼育槽120に搬送するための機械装置であり、制御装置130によって作動が制御される電動のベルトコンベアによって構成されている。この搬送装置118は、飼育槽101に隣接して配置されている。
冷飼育槽120は、冷飼育水121を貯留して搬送装置118によって搬送された甲殻類Crを冷飼育水121中で一時的に保管するためのFRP(繊維強化樹脂)製の水槽であり、上方が開口するとともに所定の深さを有した平面視で方形の箱状に形成されている。この冷飼育槽120は、搬送装置118による甲殻類Crの搬送方向の前端部側に開口した状態で配置されている。また、この冷飼育槽120は、架台117に取り付けられて架台117と一体的に移動させることができる。
冷飼育水121は、冷飼育槽120に搬送された甲殻類Crを外骨格の硬化を抑制しつつ生きた状態を維持するための水であり、甲殻類Crの生存が可能で外骨格の硬化を抑制または停止させることできる温度に設定されている。この場合、冷飼育水121の温度は、甲殻類Crの種類に応じて設定されることは当然である。本実施形態においては、冷飼育水121は、ノコギリガザミである甲殻類Crが摂食をしなくなる温度である17℃以下で静止状態となる13℃以上の温度範囲に調整される。なお、冷飼育水121は、甲殻類Crの生息環境に応じて甲殻類Crが生存可能な水質(例えば、塩分やpHなど)に調整されることは当然である。この冷飼育水121は、冷飼育水121内において甲殻類Crの体高の3倍以上の深さとなる量で冷飼育槽120内に貯留されている。
冷飼育槽120には、冷飼育槽120に隣接して水温調整装置122が設けられている。水温調整装置122は、冷飼育槽120内の冷飼育水121の温度を甲殻類Crの外骨格の硬化を抑制可能な温度に維持するための機械装置であり、制御装置130によって作動が制御される。本実施形態においては、水温調整装置122は、チラーによって構成されている。
制御装置130は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されており、ソフトシェルの生産者からの指示に従って図示しない制御プログラムを実行することによりソフトシェルの生産装置100の作動を総合的に制御する。この場合、制御装置130は、甲殻類Crの飼育に必要な機器の制御のほかに、図示しないソフトシェル収穫プログラムを実行することにより送水ポンプ103、第1カメラ111、第2カメラ112、上下動アクチュエータ113、キャッチャ114、回動アクチュエータ115、支持機構116、搬送装置118および水温調整装置122の各作動をそれぞれ制御する。この制御装置130は、生産者からの指示を入力する図示しない入力装置131および制御装置130の作動状態を表示する図示しない表示装置132をそれぞれ備えている。なお、制御装置130は、甲殻類Crの飼育に必要な他の機器、例えば、飼育槽101内の甲殻類Crに定期的に給餌する給餌装置(不図示)の作動も制御する。
このように構成されたソフトシェルの生産装置100は、屋外に設置してもよいが、屋内に設置することが好ましい。この場合、ソフトシェルの生産装置100は、外光が入って昼夜の明るさが反映される建屋内に設置するとよい。また、ソフトシェルの生産装置100が設置される建屋内には、甲殻類Crの気温および飼育水102の温度を甲殻類Crの健全な飼育に適した温度にそれぞれ維持するための空調設備を備えているとよい。なお、飼育水102は、飼育水102を直接加温または冷却する水温調節装置を用いて水温調節してもよいことは当然である。
(ソフトシェルの生産装置100の作動)
次に、このように構成したソフトシェルの生産装置100によるソフトシェルの収穫過程について説明する。まず、ソフトシェルを収穫する生産者は、飼育槽101内に飼育水102を導入して送水ポンプ103を作動させつつ飼育槽101内における飼育環境(水質、水温および塩分など)を甲殻類Crを飼育可能な環境に整える。この場合、飼育槽101の各個室101aの水深は、個室101aの上方から甲殻類Crが視認や撮像が可能な深さ、例えば、甲殻類Crの体高の2倍の深さに設定される。また、飼育槽101内の飼育水102の水温は、甲殻類Crが自発的な摂食および脱皮がそれぞれ行なわれる温度、本実施形態においては18℃〜25℃に調整される。
また、生産者は、冷飼育槽120内に冷飼育水121を導入して水温調整装置122を作動させつつ飼育槽101内における飼育環境(水質、水温および塩分など)を甲殻類Crを飼育可能な環境に整える。この場合、冷飼育槽120の水深は、冷飼育水121内において甲殻類Crの体高の3倍以上の深さとなる深さに調整される。また、冷飼育槽120内の冷飼育水121の水温は、ノコギリガザミである甲殻類Crが摂食をしなくなる温度である17℃以下で静止状態となる13℃以上の温度範囲に調整される。
次に、生産者は、飼育槽101内の各個室101a内に一匹ずつ甲殻類Crを収容した後、入力装置131を操作して制御装置130に対して甲殻類Crの飼育の開始を指示する。この指示に応答して、制御装置130は、前記制御プログラムを実行することにより、飼育水102の循環、飼育槽101内への定期的な給餌、照明装置の点灯(日中)または消灯(夜間)など甲殻類Crの飼育に必要な各機器の作動を制御する。
また、制御装置130は、ソフトシェル収穫プログラムを実行することにより甲殻類Crが脱皮して外骨格が軟らかい状態のソフトシェルの収穫作業を実行する。この場合、制御装置130は、ソフトシェル収穫プログラムを実行することにより、例えば、以下の工程でソフトシェルの収穫作業を実行する。
工程1:甲殻類Crの脱皮監視工程
制御装置130は、図3に示すように、支持機構116の作動を制御して定期的(例えば、2時間ごと)に個室101a上に第1カメラ111および/または第2カメラ112を位置決めして個室101a内を上方から撮像して甲殻類Crを写した撮像情報を取得する。この場合、制御装置130は、第1カメラ111を用いて取得した撮像情報では甲殻類Crを特定することが不十分である場合には、送水ポンプ103を一時的に停止させて飼育水102の水面を静止させた状態で再度第1カメラ111で撮像を行なったり、上下動アクチュエータ113の作動を制御して第2カメラ112を飼育水102中に挿し込んで第2カメラ112で水中から撮像を行ったりして甲殻類Crを含む撮像情報を取得することができる。また、甲殻類Crの脱皮監視工程を実行するに際して予め送水ポンプ103を一時的に停止させて飼育水102の水面を静止させた状態で甲殻類Crの脱皮監視工程を実行することもできる。
工程2:甲殻類Crの脱皮検出工程
制御装置130は、前記甲殻類Crの監視工程で取得した画像情報を画像処理することにより個室101a内の甲殻類Crが脱皮したか否かを検出する。具体的には、制御装置130は、監視工程で取得した画像情報(静止画像)を白黒画像に二値化した二値化データから所定のサイズ以下のノイズデータを除去して所定サイズ以上の黒色画像データの塊の輪郭データを抽出する。
次いで、制御装置130は、図4に示すように、輪郭データに対して甲殻類Crの外形に応じて設定した基準形状(楕円、方形、ひし形、台形、三角形など)BPをパターンフィッティング処理を行って寸法、面積、重心位置などの情報を算出する。この場合、甲殻類Crは脱皮後は水底に腹ばいの姿勢で伏せて静止しているため、甲殻類Crの平面画像をパターンフィッティング処理することができる。なお、甲殻類Crがノコギリガザミの場合には平面視で楕円形状でパターンフィッティング処理することができるとともに、他のカニ類も平面視で楕円形状、方形状または台形状パターンフィッティング処理することができる。また、イセエビなどのエビ類は長方形状でパターンフィッティング処理することができる。なお、図4においては、甲殻類Crおよび脱皮殻Dgの各画像情報を細線の破線で示しており、パターンフィッティング処理した基準形状BPを太線の破線で示している。
次いで、制御装置130は、パターンフィッティング処理によって基準形状BP(例えば、ノコギリガザミの場合には楕円形状)にパターンフィッティングできた画像情報の数が2つ存在しており、一方の画像情報が他方の画像情報に比べて面積が大きい場合には脱皮が行なわれたと判定する。このような脱皮の有無判定は、甲殻類Crが個室101aに一匹のみ収容されており、甲殻類Crが脱皮した場合には脱皮殻Dgよりも脱皮した甲殻類Crの方が大きさが大きくなることを利用している。したがって、制御装置130は、脱皮が行なわれたと判定した場合には工程3に進み、脱皮が行なわれたと判定できなかった場合にはこの工程2を終了して、前記工程1を前記所定時間(例えば、2時間)経過後に再び実行する。すなわち、制御装置130が本発明に係る脱皮判定手段に相当する。
工程3:甲殻類Crの収穫可否判定工程
制御装置130は、前記パターンフィッティング処理によって基準形状BP(例えば、ノコギリガザミの場合には楕円形状)にパターンフィッティングできた2つの画像情報のうちの面積が大きい方の画像情報に基づく基準形状BPの面積(または寸法)が所定の大きさ以上である場合に、甲殻類Crが収穫可能な大きさに育ったものとして収穫可能であると判定して工程4に進む。
一方、制御装置130は、前記パターンフィッティング処理によって基準形状BP(例えば、ノコギリガザミの場合には楕円形状)にパターンフィッティングできた2つの画像情報のうちの面積が大きい方の画像情報に基づく基準形状BPの面積(または寸法)が所定の大きさ未満である場合に、甲殻類Crが収穫可能な大きさに育っておらず収穫不適であると判定してこの工程3を終了して、前記工程1を前記所定時間(例えば、2時間)経過後に再び実行する。この場合、制御装置130は、甲殻類Crが脱皮を行った旨を記録、生産者に通報または表示装置132に表示することができる。
工程4:甲殻類Crの収穫工程(硬化鈍化工程)
制御装置130は、支持機構116の作動を制御してキャッチャ114を脱皮した甲殻類Cr上に位置決めした後、支持機構116、回動アクチュエータ115およびキャッチャ114の各作動を制御してキャッチャ114を下降させて甲殻類Crを捕獲する。この場合、制御装置130は、前記パターンフィッティング処理によって基準形状BP(例えば、ノコギリガザミの場合には楕円形状)にパターンフィッティングできた2つの画像情報のうちの面積が大きい方の画像情報に基づく基準形状に基づいて算出した重心位置によってキャッチャ114の位置決め位置を特定できるとともに、同画像情報に基づいて算出した寸法を用いてキャッチャ114の向き(回動アクチュエータ115による回動角)を特定することができる。
次いで、制御装置130は、支持機構116の作動を制御して脱皮した甲殻類Crを捕獲したキャッチャ114を上昇させて飼育水102から取り出して搬送装置118上に位置決めしてこの搬送装置118上に甲殻類Crを載置する。次いで、制御装置130は、搬送装置118の作動を制御して搬送装置118を駆動することにより搬送装置118上に載置された脱皮した甲殻類Crを冷飼育槽120側に搬送して冷飼育槽120内に投入する(硬化鈍化工程)。そして、制御装置130は、甲殻類Crを冷飼育槽120に投入した旨を記録、生産者の携帯電話などに通報または表示装置132に表示することができる。すなわち、携帯電話や表示装置132が本発明に係る報知手段に相当する。
これにより、制御装置130は、1つの個室101aに対する脱皮した甲殻類Crの収穫作業を終了して、次の個室101aに対する脱皮した甲殻類Crの収穫作業、または所定時間経過後の次回の各個室101aに対する脱皮した甲殻類Crの収穫作業を実行する。この脱皮した甲殻類Crの収穫作業は、生産者による作業停止の指示が入力装置131を介して制御装置130に入力されるまでの間、繰り返し実行される。
冷飼育槽120内に投入された甲殻類Crは、冷飼育槽120内を沈降して水底に静止する(硬化鈍化工程)。この場合、甲殻類Crは、冷飼育槽120内の冷飼育水121の温度が甲殻類Crが摂食をしなくなる温度以下に設定されているため、本発明者の実験によれば、外骨格の軟らかさがソフトシェルとしての価値を維持できる軟らかさより硬くなるまでの時間であるソフトシェル維持時間が飼育水102中で過ごした場合に比べて長くなる(本発明者の実験によれば、1.3倍以上長くなる)。この場合、本発明者の実験によれば、冷飼育水121の温度が低くなるほどソフトシェル維持時間は長くなる。これにより、生産者は、常に甲殻類Crの監視をしなくても定期的にまたは制御装置130からの通報に応じて冷飼育槽120内を確認することで脱皮して外骨格が軟らかい状態の甲殻類Crを得ることができる。
次に、生産者は、冷飼育槽120内の甲殻類Cr、すなわち、ソフトシェル状態の甲殻類Crを冷飼育槽120内から取り出して冷凍などの手法を用いて活き〆する。この場合、生産者は、甲殻類Crの体に付着した糞、エサ、脱皮殻Dgまたはゴミなどの異物が冷飼育槽120内を沈降する際に剥がれ落ちて除去されるため、冷飼育槽120内から取り出した甲殻類Crをそのまま活き〆することができる。
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、ソフトシェルの生産方法は、甲殻類Crの脱皮後外骨格が軟らかい間、具体的には2時間以内に甲殻類Crの飼育水102の水温を甲殻類Crが生存可能な範囲で脱皮時の水温より低い水温の冷飼育水121に変えている。これにより、本発明に係るソフトシェルの生産方法およびソフトシェルの生産装置100によれば、脱皮が夜間に行われたり大量に行われたりした場合においても、脱皮した甲殻類Crの外骨格の硬化の進行速度を鈍化させることができるため、硬化が進んでいない高品質なソフトシェルを漏れなく生産することができる。また、本発明によれば、脱皮した甲殻類Crを冷飼育水121に移し変えるタイミング、冷飼育水121での浸漬時間または冷飼育水121の温度を適宜調整することで外骨格の硬化の程度を調整することができるため、甲殻類Crの脱皮のタイミングに関係なく種々の軟らかさ(硬度)のソフトシェルを生産することもできる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、冷飼育水121の温度をノコギリガザミである甲殻類Crが摂食をしなくなる温度である17℃以下で静止状態となる13℃以上の温度範囲に調整した。しかし、冷飼育水121の温度は、甲殻類Crが生存可能で摂食温度以下の温度であればよい。したがって、冷飼育水121の温度は、例えば、甲殻類Crが静止状態(上記実施形態においては13℃以下)となる温度に設定することができる。この場合、甲殻類Crが静止状態とは、甲殻類Crがじっとして動かず、外力などの刺激を与えても動かないまたは動いたとしても動きが緩慢ですぐに静止しようとするような状態であり、甲殻類Crが低水温によって死亡する直前の温度(死亡する温度より高い温度)までが含まれる。
したがって、例えば、甲殻類Crがノコギリガザミである場合、冷飼育水121の温度を10℃〜13℃の範囲の温度に設定することにより、脱皮した甲殻類Crの外骨格の硬化を略止めることができる。また、甲殻類Crは、冷飼育槽120内でじっとして動かないため、生産者による活き〆加工が行ない易くなる。なお、冷飼育水121の温度は、甲殻類Crの種類に応じて異なることは当然である。また、飼育水102の水温についても甲殻類Crが自発的な摂食および脱皮がそれぞれ行なわれる温度であればよく、甲殻類Crの種類に応じて異なることは当然である。
また、上記実施形態においては、冷飼育槽120内の冷飼育水121の温度を水温調整装置122によって冷却するように構成した。しかし、冷飼育水121は、甲殻類Crが生存可能で摂食温度以下に冷却されていれば、必ずしも水温調整装置122を使用する必要はない。したがって、具体的には、冷飼育水121は、氷、ドライアイス、冷蔵または冷凍用の固形冷却剤によって冷却するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、冷飼育槽120は冷飼育水121を貯留して構成した。しかし、冷飼育槽120は、甲殻類Crが生存可能でかつ摂食温度以下の水温または気温(つまり、水中または空気中)の冷飼育環境であればよい。したがって、冷飼育槽120は、冷飼育水121に代えてまたは加えて冷飼育槽120内の気温を甲殻類Crが生存可能でかつ摂食温度以下に設定して構成することもできる。この場合、冷飼育槽120内の気温は、氷、ドライアイスまたは空調機によって冷却することができる。
なお、この場合、冷飼育槽120内全体の温度を下げる必要はなく、甲殻類Cr外骨格の硬化の進行速度を鈍化させることができれば冷飼育槽120内の一部の温度を下げてもよい。したがって、冷飼育槽120は、例えば、トレー状に形成するとともにこのトレー上に氷やドライアイスを設けておき、この氷やドライアイスの上または多数の氷やドライアイスの中に脱皮した甲殻類Crを配置するようにしてもよい。このように、冷飼育槽120における冷飼育環境の生成に冷飼育水121を用いないことにより、冷飼育槽120の構成を簡単化することができる。
また、上記実施形態においては、甲殻類Crの脱皮監視工程は、2時間ごとに実行した。しかし、甲殻類Crの脱皮監視工程は、脱皮した甲殻類Crを脱皮後の甲殻類Crの外骨格が軟らかいうち、好ましくは外骨格の軟らかさがソフトシェルとしての価値(外骨格の軟らかさ)を維持するソフトシェル維持時間内に冷飼育槽120内に移すことが出来ればよい。したがって、甲殻類Crの脱皮監視工程の実行間隔は、甲殻類Crの生態に応じて設定されるものであるが、ノコギリガザミなどの多くの甲殻類Crで脱皮後3時間以内に行うことが好ましい。
なお、脱皮した甲殻類Crは、脱皮後ソフトシェル維持時間内に冷飼育槽120内に移すことが出来ればよく、必ずしも甲殻類Crの脱皮監視工程の直後に行う必要はない。つまり、甲殻類Crの脱皮を検出してから暫く間(例えば、1時間程度)甲殻類Crが落ち着くのを待って、または外骨格の硬さが収穫工程に十分に耐えられる程度まで硬化するのを待って冷飼育槽120内に移すようにしてもよい。すなわち、硬化鈍化工程は、甲殻類Crの脱皮後ソフトシェル維持時間内に行なわれればよい。
また、上記実施形態においては、制御装置130は、第1カメラ111および第2カメラ112を用いて個室101a内を撮像して甲殻類Crを含む撮像情報を得た。すなわち、第1カメラ111および第2カメラ112が本発明に係る撮像手段に相当する。しかし、撮像手段は、飼育槽101内の甲殻類Crを撮像した撮像情報を得ることができればよいため、第1カメラ111および第2カメラ112のうちの少なくとも一方で構成することもできる。また、撮像手段は、飼育槽101内における複数の個室101aを一度に撮像して複数の甲殻類Crを含む撮像情報を得ることもできる。
また、上記実施形態においては、支持機構116、キャッチャ114および搬送装置118によって個室101a内の甲殻類Crを捕獲して冷飼育槽120内に移すように構成した。すなわち、支持機構116、キャッチャ114および搬送装置118が本発明に係る捕獲手段に相当する。しかし、捕獲手段は、飼育槽101内の脱皮した甲殻類Crを捕獲して冷飼育槽120内に移すように構成されていればよい。したがって、捕獲手段は、例えば、支持機構116およびキャッチャ114で構成してキャッチャ114が捕獲した甲殻類Crを直接冷飼育槽120内に移すように構成することもできる。
また、捕獲手段は、例えば、図5に示すように、吸引装置140で構成することができる。この吸引装置140は、主として、吸引管141、ホース142、気液分離槽143および吸引ポンプ145で構成されている。
吸引管141は、脱皮した甲殻類Crを負圧によって着脱自在に保持する器具であり、樹脂製の筒体で構成されている。この吸引管141は、一方(図示下方)の端部が開口するとともに他方の端部がホース142を介して気液分離槽143に繋がっている。この場合、吸引管141の開口した先端部は、甲殻類Crの甲羅よりも小さい大きさで開口するとよい。また、吸引管141の開口した先端部は、網のほか、スポンジなどの多孔質性弾性体を設けておくと甲殻類Crの身体の一部やゴミなどの異物の吸い込みを防止することができる。
ホース142は、吸引管141と気液分離槽143とを連結する可撓性を有する樹脂製の管である。これにより、吸引管141は、気液分離槽143に対して自由に位置や向きを変化させて甲殻類Crを保持および保持の解除を行うことができる。
気液分離槽143は、吸引管141を介して吸引された飼育水102が吸引ポンプ145に流入することを阻止するための槽である。この気液分離槽143は、槽内の上部に設けられた配管144を介して吸引ポンプ145に連結されている。吸引ポンプ145は、吸引管141の先端部に負圧を発生させるための機械装置である。
この吸引装置140は、吸引管141をキャッチャ114に代えて支持機構116に支持させるとともに吸引ポンプ145を制御装置130によって作動制御することによって制御装置130によるコンピュータ制御によって自動的に甲殻類Crを保持して冷飼育槽120に回収するように構成することができる。また、この吸引装置140は、吸引管141および吸引ポンプ145を生産者自身が手動操作して甲殻類Crを保持して冷飼育槽120に回収するように構成することができる。
すなわち、吸引装置140は、吸引ポンプ145を作動させることにより吸引管141の先端部に発生させた負圧(吸引力)によって脱皮した甲殻類Crを保持するとともに、搬送装置118または冷飼育槽120にて吸引ポンプ145の作動を停止させて吸引管141の先端部に発生させた負圧(吸引力)を消滅させることで保持した甲殻類Crの保持を解除することができる。この場合、吸引装置140は、甲殻類Crの甲羅に吸引管141の先端部を当てて吸引保持することで、甲殻類Crを傷付けることなく安定的に保持することができる。
また、上記実施形態においては、硬化鈍化工程は、脱皮した甲殻類Crを飼育槽101から冷飼育槽120に移し替えることにより甲殻類Crの飼育水102から冷飼育水121に変化させた。しかし、硬化鈍化工程は、甲殻類Crの脱皮を検出したとき、飼育槽101内の飼育水102の温度をチラーなどの水温調節装置を用いて低下させて冷飼育水121に変化させることもできる。これによれば、冷飼育槽120は不要となる。
また、上記実施形態においては、冷飼育槽120の水深は、冷飼育水121内において甲殻類Crの体高の3倍以上の深さとなる深さに調整した。しかし、冷飼育槽120の水深は、甲殻類Crの身体全体を浸漬される深さであればよい。したがって、冷飼育槽120の水深は、冷飼育水121内において甲殻類Crの体高以上の深さに調整されていればよい。
また、上記実施形態においては、脱皮監視工程および硬化鈍化工程をそれぞれソフトシェルの生産装置100を用いて実行した。しかし、本発明に係るソフトシェルの生産方法においては、脱皮監視工程および硬化鈍化工程のうちの少なくとも一方を機械装置ではなく人間が行なうこともできる。
また、上記実施形態においては、脱皮監視工程を実行する時間帯は特に限定されるものではない。しかし、甲殻類Crの中には、日中よりも夜間に脱皮を行うものも少なくない。したがって、本発明に係るソフトシェルの生産方法においては、脱皮監視工程を日没から翌朝までの間行うようにすることができる。この場合、翌朝には、甲殻類Crの生態に応じて日の出の直前まで、日の出と同じ時刻、または日の出後3時間後までが相当する。また、この場合、脱皮監視工程とともに硬化鈍化工程を直ちに、または所定時間経過後に実行することは当然である。
Cr…甲殻類、Dg…脱皮殻、BP…基準形状、
100…ソフトシェルの生産装置、
101…飼育槽、101a…個室、102…飼育水、103…送水ポンプ、
111…第1カメラ、112…第2カメラ、113…上下動アクチュエータ、114…キャッチャ、115…回動アクチュエータ、116…支持機構、117…架台、118…搬送装置、
120…冷飼育槽、121…冷飼育水、122…水温調節装置、
130…制御装置、131…入力装置、132…表示装置、
140…吸引装置、141…吸引管、142…ホース、143…気液分離槽、144…配管、145…吸引ポンプ。

Claims (8)

  1. 飼育槽内で飼育する甲殻類の脱皮を監視する脱皮監視工程と、
    前記脱皮した甲殻類の飼育環境を前記脱皮した甲殻類の外骨格が軟らかいうちに前記甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の水温または気温の冷飼育環境に変えて前記脱皮した甲殻類の外骨格の硬化の進行速度を鈍化させる硬化鈍化工程とを含むことを特徴とするソフトシェルの生産方法。
  2. 請求項1に記載したソフトシェルの生産方法において、
    前記硬化鈍化工程は、
    前記冷飼育環境が前記甲殻類が静止状態となる温度であることを特徴とするソフトシェルの生産方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載したソフトシェルの生産方法において、
    前記硬化鈍化工程は、
    前記冷飼育環境の冷飼育槽内に前記脱皮した甲殻類を移し替えることを特徴とするソフトシェルの生産方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載したソフトシェルの生産方法において、
    前記脱皮監視工程は、
    日没から翌朝までの間に行なわれることを特徴とするソフトシェルの生産方法。
  5. 飼育対象となる甲殻類が脱皮可能な水温の飼育水を貯留して同飼育水内で前記甲殻類を飼育するための飼育槽と、
    前記甲殻類が生存可能でかつ摂食温度以下の水温または気温の冷飼育環境に設定されて前記脱皮した甲殻類を外骨格が軟らかいうちに収容するための冷飼育槽とを備えたことを特徴とするソフトシェルの生産装置。
  6. 請求項5に記載したソフトシェルの生産装置において、さらに、
    前記飼育槽内の前記甲殻類を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段によって撮像された画像情報を用いて前記甲殻類の脱皮を判定する脱皮判定手段と、
    前記甲殻類の脱皮が判定されたとき、前記甲殻類の脱皮を報知する報知手段とを備えたことを特徴とするソフトシェルの生産装置。
  7. 請求項5に記載したソフトシェルの生産装置において、さらに、
    前記飼育槽内の前記甲殻類を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段によって撮像された画像情報を用いて前記甲殻類の脱皮を判定する脱皮判定手段と、
    前記甲殻類の脱皮が判定されたとき、前記飼育槽内の前記甲殻類を捕獲して前記冷飼育槽に移す捕獲手段とを備えたことを特徴とするソフトシェルの生産装置。
  8. 請求項5ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載したソフトシェルの生産装置において、
    前記脱皮した甲殻類を吸引して保持する吸引装置を備えたことを特徴とするソフトシェル生産装置。
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