JP2017092670A - パルス発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はスイッチングノイズが増大した場合であっても短絡電流を高速に検出することが可能なパルス発生装置の提供を目的とする。
【解決手段】パルス発生装置100は、パルス発生回路100aと、保護回路100bと、を備え、保護回路100bは、パルス発生回路100aに短絡電流が流れるとパルス発生回路100aを停止させ、保護回路100bは、互いに近接して配置される第1、第2の電流検出回路21a,21bと、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力の差分を演算する差分演算回路23と、短絡電流が発生したか否かを判定する判定回路25と、を備え、第1の電流検出回路21aはパルス発生回路100aの出力電流を被検出電流とし、第2の電流検出回路21bは被検出電流を有せず、判定回路25は、差分演算回路23の出力に基づいて短絡電流が発生したか否かの判定を行う。
【選択図】図1

Description

本発明はパルス発生装置に関し、特にパルス発生回路を短絡電流から保護するための保護回路を備えるパルス発生装置に関する。
出力端子に接続した被試験装置(以下DUTとも記載する)に矩形波の電圧(即ちパルス)を印加するパルス発生装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。パルス発生装置は、IGBT、MOSFETなどのパワーデバイスをスイッチング素子として備える。このスイッチング素子のスイッチングを行うことでパルスを発生する。パルスが発生する際に、矩形波の電圧変化が原因となりdv/dtノイズ(スイッチングノイズとも記載する)が発生する。
パルス発生装置を動作させてDUTに電圧を印加すると、DUTが破壊してパルス発生装置に短絡電流が流れることがある。その時に二次破壊として、パルス発生装置の内部のパワーデバイスも破壊されてしまう可能性がある。そこで、パルス発生装置は短絡電流を検出する回路と保護回路を備えていて、DUT破壊時にパルスの発生を安全に停止するようにしている。しかしながら、前述したスイッチングノイズが原因となり、短絡電流検出回路が誤作動を起こすことがあった。
特開2013−219885号公報
パルス発生装置に使用するスイッチング素子を、シリコン(Si)を材料としたIGBTから、シリコンカーバイド(SiC)を材料としたMOSFETに替えれば、より高速なスイッチングが可能になる。これにより、パルス発生装置の性能を改善できると共に消費電力を低減できる。しかし同時に、高速なスイッチングによりスイッチングノイズも増大する。従来のパルス発生装置においては、増大したスイッチングノイズで誤動作を起こさないように保護回路を設計し直すと、保護の応答時間(短絡電流を検出するのに要する時間)は遅れる問題があった。その分だけ破壊耐量に余裕のあるスイッチング素子を選定しなければならなくなり、スイッチング素子のコストおよびパルス発生装置のコストが上昇する。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、スイッチングノイズが増大した場合であっても短絡電流を高速に検出することが可能なパルス発生装置の提供を目的とする。
本発明に係るパルス発生装置は、パルス発生回路と、保護回路と、を備え、前記パルス発生回路は、被試験装置に印加するパルスを発生させ、前記保護回路は、前記被試験装置が破壊されて前記パルス発生回路に短絡電流が流れると前記パルス発生回路を停止させ、前記保護回路は、互いに近接して配置される第1、第2の電流検出回路と、前記第1、第2の電流検出回路の出力の差分を演算する差分演算回路と、前記短絡電流が発生したか否かを判定する判定回路と、を備え、前記第1の電流検出回路は前記パルス発生回路の出力電流を被検出電流とし、前記第2の電流検出回路は被検出電流を有せず、前記判定回路は、前記差分演算回路の出力に基づいて前記短絡電流が発生したか否かの判定を行う。
本発明に係るパルス発生装置において、第1の電流検出回路はパルス発生回路の出力電流を被検出電流とし、第2の電流検出回路は被検出電流を有さない。これにより、第1の電流検出回路はスイッチングノイズを含む出力電流を検出し、第2の電流検出回路はスイッチングノイズのみを検出することになる。従って、差分演算回路において、第1、第2の電流検出回路の出力の差分を演算ことにより、スイッチングノイズの影響を相殺して、被検出電流を精度良く検出することが可能となる。よって、判定回路は、スイッチングノイズが低減された信号に基づいて短絡電流が発生したか否かの判定を行うことが可能となる。よって、第1、第2のスイッチング素子としてパワーデバイスを用いてより高速なスイッチングを行いうことでスイッチングノイズが増大した場合であっても、保護回路の誤作動の発生を抑制し、かつ短絡電流の高速な検出が可能である。
実施の形態1に係るパルス発生装置の回路構成を示す図である。 実施の形態1に係るパルス発生装置が発生するパルスを示す図である。 実施の形態1に係るパルス発生装置の第1の電流検出回路の出力を示す図である。 実施の形態1に係るパルス発生装置の第2の電流検出回路の出力を示す図である。 実施の形態1に係るパルス発生装置の差分演算回路の出力を示す図である。 実施の形態2に係るパルス発生装置の回路構成を示す図である。 前提技術におけるパルス発生装置の回路構成を示す図である。
<前提技術>
本発明の実施形態を説明する前に、本発明の前提となる技術を説明する。図7は、本発明の前提技術におけるパルス発生装置1の回路構成を示す図である。パルス発生装置1は、パルス発生回路1aと保護回路1bを備える。図7に示すように、被試験装置2はパルス発生回路1aの出力端子(OUT端子)とGND端子との間に接続される。パルス発生回路1aは被試験装置2に印加するパルスを発生させる。
パルス発生回路1aは、直流電源11、第1、第2のスイッチング素子12,13、第1、第2のゲート駆動回路15,16および制御回路14を備える。図7に示すように、第1、第2のスイッチング素子12,13は直流電源11とともにハーフブリッジ回路を形成する。第1、第2のゲート駆動回路15,16は、第1、第2のスイッチング素子12,13のそれぞれのゲートを駆動する。制御回路14は、第1、第2のゲート駆動回路15,16を制御する。制御回路14は、端子14aへ入力される制御信号に基づいて、ハーフブリッジ回路の上下アーム(即ち第1、第2のスイッチング素子12,13)を交互にオン、オフさせるように、第1、第2のゲート駆動回路15,16の制御を行う。
上述したように、被試験装置2にパルスを印加すると、被試験装置2が破壊してパルス発生回路1aに短絡電流が流れることがある。保護回路1bは、パルス発生回路1aに短絡電流が流れるとパルス発生回路1aを停止させる。
図7に示すように、保護回路1bは、電流検出回路21、フィルタ回路24および判定回路25を備える。電流検出回路21は、パルス発生回路1aの出力電流をモニターする。電流検出回路21は、例えばホール効果を利用した直流変流器である。また、電流検出回路21はロゴスキーコイル電流計でもよい。
フィルタ回路24は、電流検出回路21の出力に含まれるスイッチングノイズを低減する。フィルタ回路24は、電流検出回路21と判定回路25との間に接続される。フィルタ回路24は、RC(抵抗、コンデンサ)積分回路を基本とする高周波フィルタである。フィルタ回路24は、判定回路25が短絡電流が発生したと誤判定することを抑制するために設けられる。
判定回路25は、フィルタ回路24からの信号に基づいて、入短絡電流が発生したと判定すると、制御回路14の端子14bに停止信号を入力する。ここで、判定回路25は、例えば、判定回路25へ入力される電圧が閾値を超えると、短絡電流が発生したと判定して停止信号を出力する。制御回路14は停止信号を受けると、第1、第2のスイッチング素子の両方をオフにしてスイッチング動作を停止させる。
短絡電流が発生してから制御回路14が停止信号を受けて第1、第2のスイッチング素子12,13の動作を停止させるまでの間の時間、第1、第2のスイッチング素子12,13には短絡電流が流れる。従って、第1、第2のスイッチング素子12,13には、この時間の間、短絡電流に耐え得るだけの短絡耐量が要求される。
ここで、フィルタ回路24(高周波フィルタ)においては、高周波成分であるスイッチングノイズの低減効果とフィルタ回路24の入出力間で遅延する応答時間とは相反する関係がある。つまり、より大きなスイッチングノイズに対応するフィルタ定数(即ち、より大きな時定数)を設定すると、応答時間は長くなる。
なお、フィルタ回路をデジタル回路で構成したり、アクティブな特性を持たせても、同様にノイズ低減と応答時間は相反する。また、短絡検出を電流検出ではなく、電圧検出法に替えても、同様である。
従って、前提技術においては、保護回路1bをスイッチングノイズの増大に対応させた場合に、短絡電流を高速に検出することが困難であった。以下で説明する本発明の実施形態は上記課題を解決する。
<実施の形態1>
<構成>
図1は、本実施の形態1におけるパルス発生装置100の回路構成を示す図である。また、図2はパルス発生装置100が出力する電圧波形を示す図である。パルス発生装置100は、パルス発生回路100aと保護回路100bを備える。図1に示すように、被試験装置2はパルス発生回路100aの出力端子(OUT端子)とGND端子との間に接続される。パルス発生回路100aは被試験装置2に印加するパルス(図2)を発生させる。
パルス発生回路100aの構成は、前提技術(図7)におけるパルス発生回路1aの構成と同じため、説明を省略する。本実施形態1におけるパルス発生回路100aに備わる第1、第2のスイッチング素子12,13はパワーデバイスであり、例えばSiCを材料としたMOSFETである。
制御回路14が、ハーフブリッジ回路の上下アームを交互にオン、オフさせたときの、第1、第2のスイッチング素子12,13で発生するパルスを図2(a)、図2(b)にそれぞれ示す。
図1に示すように、保護回路100bは、第1、第2の電流検出回路21a,21b、差分演算回路23、フィルタ回路24および判定回路25を備える。第1、第2の電流検出回路21a,21bは、例えばホール効果を利用した直流変流器である。また、第1、第2の電流検出回路21a,21bはロゴスキーコイル電流計でもよい。第1、第2の電流検出回路21a,21bは同じ回路構造を有するのが好ましい。
第1の電流検出回路21aは、前提技術(図1)と同様に、パルス発生回路100aの出力電流をモニターする。つまり、第1の電流検出回路21aは、パルス発生回路100aの出力電流を被検出電流とする。具体的には、図1に示すように、第2の電流検出回路21bの磁気コア又はクランプの内側には、直流電源11と第1のスイッチング素子12を接続する導線が通される。
一方、第2の電流検出回路21bは、被検出電流を有さない。つまり、第2の電流検出回路21bの磁気コア又はクランプの内側には導線が通されない。
第1、第2の電流検出回路21a,21bは、互いに近接して配置される。つまり、第2の電流検出回路21bの部品や配線パターンは、第1の電流検出回路21aに近接して配置される。ここで、近接して配置とは、第1、第2の電流検出回路21a,21bが、パルス発生回路100aから生じるノイズの影響を同程度に受ける配置である。
第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力は、差分演算回路23に入力される。差分演算回路23は、第1の電流検出回路21aの出力信号から、第2の電流検出回路21bの出力信号の差分を演算する機能を有する。第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力信号をそれぞれIa、Ibとすると、差分演算回路23の出力信号Idetは次の式で表される。
Idet=Ia−k×Ib
ここで、kは0以上1以下の範囲の値をとる差分係数である。前提技術で述べたように、フィルタ回路24は、電流検出回路21の出力に含まれるスイッチングノイズを低減する。フィルタ回路24は、差分演算回路23と判定回路25との間に接続される。フィルタ回路24は、RC(抵抗、コンデンサ)積分回路を基本とする高周波フィルタである。
判定回路25は、短絡電流が発生したと判定すると、制御回路14に停止信号を送る。ここで、判定回路25は、例えば、判定回路へ入力される電圧が閾値を超えると、短絡電流が発生したと判定して停止信号を出力する。制御回路14は停止信号を受けると、第1、第2のスイッチング素子の両方をオフにしてスイッチング動作を停止させる。
<動作>
パルス発生回路100aを動作させると、矩形波のパルス電圧が被試験装置2に印加される。同時にパルス電圧の発生に同期して、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力信号にはスイッチングノイズが現れる。
第1、第2のスイッチング素子12,13のスイッチングによる電圧変化により発生するスイッチングノイズは、配線の寄生容量を介して近傍の回路に伝達する。従って、互いに近接して配置されている第1、第2の電流検出回路21a,21bは、スイッチングノイズの影響を同程度に受ける。
図3は第1の電流検出回路21aの出力信号Iaの時間変化の一例を示す図である。また、図4は第2の電流検出回路21bの出力信号Ibの時間変化の一例を示す図である。図3、4に示すように、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力信号に現れるスイッチングノイズは、互いに似た同相のノイズ波形となる。
図5は、図3、4に示す信号が差分演算回路23に入力された場合の、差分演算回路23の出力信号Idetの一例を示す図である。図5において、差分係数kは1に設定されている。
このように、差分演算回路23において第1の電流検出回路21aの出力信号から第2の電流検出回路21bの出力信号を差分することにより、出力信号に含まれるスイッチングノイズを低減することができる。
従って、本実施の形態1では、前提技術と比較して、フィルタ回路24にはスイッチングノイズが低減された信号が入力される。よって、フィルタ回路24において設定する時定数を、前提技術よりも小さくすることができる。判定回路25は、前提技術と同様に、フィルタ回路24からの信号に基づいて、短絡電流が発生したと判定すると、制御回路14に停止信号を送る。
<効果>
本実施の形態1におけるパルス発生装置100は、パルス発生回路100aと、保護回路100bと、を備え、パルス発生回路100aは、被試験装置2に印加するパルスを発生させ、保護回路100bは、被試験装置2が破壊されてパルス発生回路100aに短絡電流が流れるとパルス発生回路100aを停止させ、保護回路100bは、互いに近接して配置される第1、第2の電流検出回路21a,21bと、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力の差分を演算する差分演算回路23と、短絡電流が発生したか否かを判定する判定回路25と、を備え、第1の電流検出回路21aはパルス発生回路100aの出力電流を被検出電流とし、第2の電流検出回路21bは被検出電流を有せず、判定回路25は、差分演算回路23の出力に基づいて短絡電流が発生したか否かの判定を行う。
本実施の形態1におけるパルス発生装置100において、第1の電流検出回路21aは被検出電流を有し、第2の電流検出回路21bは被検出電流を有さない。これにより、第1の電流検出回路21aはスイッチングノイズを含む被検出電流を検出し、第2の電流検出回路21bはスイッチングノイズのみを検出することになる。従って、差分演算回路23において、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力の差分を演算ことにより、スイッチングノイズの影響を相殺して、被検出電流を精度良く検出することが可能となる。よって、判定回路25は、スイッチングノイズが低減された信号に基づいて短絡電流が発生したか否かの判定を行うことが可能となる。よって、第1、第2のスイッチング素子12,13としてパワーデバイスを用いてより高速なスイッチングを行いうことでスイッチングノイズが増大した場合であっても、保護回路100bの誤作動の発生を抑制し、かつ短絡電流の高速な検出が可能である。
また、本実施の形態1におけるパルス発生装置100において、第1、第2の電流検出回路21a,21bは、パルス発生回路100aから生じるノイズの影響を同程度に受けるように配置される。
第1、第2の電流検出回路21a,21bを、パルス発生回路100aから生じるノイズの影響を同程度に受けるように配置することにより、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力信号には同位相、同波形のノイズが含まれ易くなり、差分演算回路23においてノイズの相殺が行い易くなる。
また、本実施の形態1におけるパルス発生装置100において、第1、第2の電流検出回路21a,21bは、同一の回路構造を有する。
第1、第2の電流検出回路21a,21bを同一の回路構造とすることにより、第1、第2の電流検出回路21a,21bの出力信号には同位相、同波形のノイズが含まれ易くなり、差分演算回路23においてノイズの相殺が行い易くなる。
また、本実施の形態1におけるパルス発生装置100において、保護回路100bは、判定回路25の前段に接続されたフィルタ回路24をさらに備え、フィルタ回路24は、差分演算回路23の出力に含まれるノイズを低減する。
フィルタ回路24によってノイズを除去しようとすると、フィルタ回路24の時定数をより大きく設定する必要があるが、時定数を大きくするとフィルタ回路24における遅延時間が増大する。本実施の形態1では、フィルタ回路24に入力される信号のノイズが差分演算回路23により低減されているため、フィルタ回路24において時定数を大きく設定する必要がない。従って、フィルタ回路24における遅延時間の増大を抑制することが可能であり、短絡電流の発生に対して保護回路100bをより高速に反応させることが可能となる。よって、第1、第2のスイッチング素子12,13に要求される短絡耐量が軽減される。短絡耐量の要求が軽減されることにより、第1、第2のスイッチング素子12,13のコストを抑制することが可能である。
また、本実施の形態1におけるパルス発生装置100において、パルス発生回路100aは、直流電源11と、直流電源11とともにハーフブリッジ回路を形成する第1、第2のスイッチング素子12,13と、第1、第2のスイッチング素子12,13のそれぞれのゲートを駆動する第1、第2のゲート駆動回路15,16と、第1、第2のゲート駆動回路15,16を制御する制御回路14と、を備える。従って、パルス発生回路100aを上記の構成とすることにより、パルスの発生が可能となる。
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態2におけるパルス発生装置200の回路構成を示す図である。また、パルス発生装置200は、パルス発生回路200aと保護回路200bを備える。パルス発生回路200aの構成は、実施の形態1(図1)におけるパルス発生回路100aの構成と同じため、説明を省略する。
本実施の形態2における保護回路200bは、実施の形態1における保護回路100bに対して、スイッチング特性設定回路17をさらに備える。スイッチング特性設定回路17の端子17aには、第1、第2のスイッチング素子12,13のスイッチング特性を設定するための信号が入力される。スイッチング特性設定回路17は、端子17aへの信号入力に応じて、第1、第2のスイッチング素子12,13のスイッチング特性を変化させる。ここで、スイッチング特性とはスイッチング速度を指す。スイッチング速度とは、パルス発生回路200aが発生する電圧パルスの電圧の時間変化(以下では、dv/dtとも記載する)の大きさをいう。例えば、dv/dtが高速な電圧パルスとは、図2(a),(b)の実線で示す電圧パルスを指す。一方、dv/dtが低速な電圧パルスとは、図2(a),(b)の破線で示す電圧パルスを指す。
また、スイッチング特性設定回路17は、端子17aへの入力信号に応じて、差分演算回路23に設定する差分係数kの値を変化させる。つまり、スイッチング特性設定回路17は、スイッチング速度に応じて、差分演算回路23に設定する差分係数kの値を変化させる。例えば、スイッチング特性設定回路17はメモリを備え、メモリには、入力信号に対応した差分係数kの値がルックアップテーブルのデータとして、記憶されている。また、メモリには計算式が記憶されており、スイッチング特性設定回路17は、端子17aへの入力信号に応じて、計算式に基づいて差分係数kを算出してもよい。また、スイッチング特性設定回路17は、スイッチングによる電界の変動を測定する回路を備え、電界の変動に基づいて差分係数kを算出してもよい。
一般に、パルス発生装置200は、試験条件、被試験装置2の特性等によって、印加するパルス波形のdv/dtの設定を変更することがある。例えば、2〜5個の被測定装置2を並列に接続して同時に試験を行う場合を考える。この場合、単一の被試験装置2に対する試験の設定にしたままでは、1個当たりの被試験装置2に印加される電流値が相対的に小さくなり、パルス波形のdv/dtは低速になってしまう。
あるいは、単一の被試験装置2に対して、より高速のdv/dtで試験する場合もある。そこで、一般にパルス発生装置200は、スイッチング特性の速さを高速又は低速に変化させる機能を有する。
試験条件のdv/dtが異なると、第1、第2の電流検出回路21a,21bにおけるスイッチングノイズの影響の大きさ、波形等にずれが生じることがある。つまり、差分演算回路23において、スイッチングノイズを最適に低減しようとすると、dv/dtに応じて差分係数kの値を最適に変化させる必要がある。
そこで、本実施の形態2におけるパルス発生装置200では、dv/dtに応じて差分係数kの値を最適に変化させるスイッチング特性設定回路17を設けた。スイッチング特性設定回路17を設けることにより、全てのdv/dt設定範囲でスイッチングノイズの低減効果が得られる。また、パルスごとにdv/dtが変化するようにパルス発生装置200を使用する場合(即ち、dv/dtを時間変化させながらパルス発生装置200を使用する場合)であっても、差分係数kはdv/dtの変化に自動的に追随するので、最適なノイズ低減が可能になる。
<効果>
本実施の形態2におけるパルス発生装置200において、差分演算回路23は、第1の電流検出回路21aの出力から、第2の電流検出回路21bの出力に差分係数kを乗じたものを減算し、パルス発生回路200aはパルスの電圧の時間変化の大きさを変更可能であり、差分演算回路23の差分係数kの値は、パルスの時間変化の大きさの変更に伴って自動的に変化する。
パルス発生装置200において、スイッチング速度(パルス発生回路200aが発生するパルスの電圧の時間変化の大きさ、dv/dtとも記載する)が、変化した場合、差分演算回路23において最適なノイズ除去を行うためには差分係数kをスイッチング速度に応じて変化させる必要がある。本実施の形態2では、パルス発生装置200が、スイッチング速度に応じて差分演算回路23の差分係数kを最適な値に自動的に変化させる。よって、様々なスイッチング速度で被試験装置2の試験を行う場合であっても、保護回路200bにおいて高速、高精度な短絡電流の検出が可能となる。
また、実施の形態1、2におけるパルス発生装置100,200において、第1、第2のスイッチング素子12,13はシリコンカーバイドを材料とするMOSFET(SiC−MOSFETとも記載する)であってもよい。
SiC−MOSFETはIGBTと比較して、高耐圧と高速スイッチングを両立ことができる。そこで、パルス発生装置100,200にSiC−MOSFETを適用することにより、高速スイッチングに伴うスイッチングノイズ増加の影響を低減しつつ、スイッチング時の低損失を実現することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1,100,200 パルス発生装置、1a,100a,200a パルス発生回路、1b,100b,200b 保護回路、2 被試験デバイス、11 直流電源、12 第1のスイッチング素子、13 第2のスイッチング素子、14 制御回路、14a,14b,17a 端子、15 第1のゲート駆動回路、16 第2のゲート駆動回路、17 スイッチング特性設定回路、21 電流検出回路、21a 第1の電流検出回路、21b 第2の電流検出回路、23 差分演算回路、24 フィルタ回路、25 判定回路。

Claims (7)

  1. パルス発生回路と、
    保護回路と、
    を備え、
    前記パルス発生回路は、被試験装置に印加するパルスを発生させ、
    前記保護回路は、前記被試験装置が破壊されて前記パルス発生回路に短絡電流が流れると前記パルス発生回路を停止させ、
    前記保護回路は、
    互いに近接して配置される第1、第2の電流検出回路と、
    前記第1、第2の電流検出回路の出力の差分を演算する差分演算回路と、
    前記短絡電流が発生したか否かを判定する判定回路と、
    を備え、
    前記第1の電流検出回路は前記パルス発生回路の出力電流を被検出電流とし、
    前記第2の電流検出回路は被検出電流を有せず、
    前記判定回路は、前記差分演算回路の出力に基づいて前記短絡電流が発生したか否かの判定を行う、
    パルス発生装置。
  2. 第1、第2の電流検出回路は、前記パルス発生回路から生じるノイズの影響を同程度に受けるように配置される、
    請求項1に記載のパルス発生装置。
  3. 第1、第2の電流検出回路は、同一の回路構造を有する、
    請求項1又は請求項2に記載のパルス発生装置。
  4. 前記保護回路は、
    前記判定回路の前段に接続されたフィルタ回路をさらに備え、
    前記フィルタ回路は、前記差分演算回路の出力に含まれるノイズを低減する、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパルス発生装置。
  5. 前記差分演算回路は、前記第1の電流検出回路の出力から、前記第2の電流検出回路の出力に差分係数を乗じたものを減算し、
    前記パルス発生回路は前記パルスの電圧の時間変化の大きさを変更可能であり、
    前記差分演算回路の前記差分係数の値は、前記パルスの時間変化の大きさの変更に伴って自動的に変化する、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパルス発生装置。
  6. 前記パルス発生回路は、
    直流電源と、
    前記直流電源とともにハーフブリッジ回路を形成する第1、第2のスイッチング素子と、
    前記第1、第2のスイッチング素子のそれぞれのゲートを駆動する第1、第2のゲート駆動回路と、
    前記第1、第2のゲート駆動回路を制御する制御回路と、
    を備える、
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパルス発生装置。
  7. 前記第1、第2のスイッチング素子はシリコンカーバイドを材料とするMOSFETである、
    請求項6に記載のパルス発生装置。
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