JP2017092640A - 車載通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】車種の違いなどで各スレーブ制御部の取り付け位置が変化する場合であっても、特別な調整作業や部品の交換を必要とせず、構成が共通のマスタ制御部を採用可能にすること。【解決手段】ワイヤハーネスに含まれるID割り当て用電線(W3)の抵抗値(Rw)に基づいてマスタ制御部から各スレーブ制御部までの線長を把握すると共に、最下流スレーブ位置での線長を基準として線長の比率または抵抗値比率を算出し、比率で各スレーブの取り付け位置をマスタ制御部が把握する。ワイヤハーネスの長さや各スレーブ取り付け位置の線長が異なる場合でも、比率が同じ場合は共通のIDを各スレーブに割り当てる。【選択図】図8

Description

本発明は、車載通信システムに関し、特に、マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とを有し、これらがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続されている車載通信システムに関する。
車両においては、制御すべき多数の負荷、すなわちランプ、ヒータ、電気モータ等が様々な部位に分散した状態で配置されている。これらの負荷を制御するために、電子制御ユニット(ECU)などの制御部も多数設けられている。そして多数の制御部が互いに通信できるように、これらは車両上の通信ネットワークを介して接続されている。実際には、車両上の各部を接続するワイヤハーネスに設けられた通信線を利用して通信ネットワークを構成する。
このように通信ネットワークで互いに接続された多数の制御部により通信システムを構成する場合には、特許文献1に示されているように、システム全体を管理するためのマスタ制御部と、その配下に接続される多数のスレーブ制御部とを設けるのが一般的である。また、このような通信システムにおいては、各々の制御部がネットワーク上で複数の通信相手を区別して通信できるように、それぞれの制御部に固有のIDを事前に割り当てる必要がある。
特許文献1においては、各々のスレーブ制御部を接続するコネクタ内に、2つの抵抗器を直列に接続して構成した分圧回路を配置してあり、この分圧回路の分圧比により接続先のスレーブ制御部に割り当てるIDが決定される。
特開2005−229561号公報
ところで、車両においては、車種の違い、グレードの違い、仕向地の違い、ユーザの希望する各種オプション装備の有無等に応じて、システムに接続される車載電装機器(例えばランプ、電気モータなど)の数や種類が変化する。また、車種の違いにより車体の大きさが変化するため、システムに接続される車載電装機器の間の距離も変化する。したがって、上記のような車両の通信システムにおいては、実際のシステムの構成や車種に合わせて、各スレーブ制御部のIDを適切に定める必要がある。
そのため、特許文献1の技術を採用する場合には、予め固有のIDが割り当てられた多種類の車載コネクタを事前に用意しておき、最初にネットワークを構築する場合や、構築したネットワークに新たな機能の追加を行う場合にコネクタの種類を変更する必要があった。したがって、各車載コネクタ内の基板の種類数や品番が増えてしまうという問題があり、部品の交換作業も必要になる。
そこで、抵抗体により構成される特別な電線(ID割り当て用電線)をワイヤハーネスに組み込み、マスタ制御部からスレーブ制御部までの前記ID割り当て用電線の長さにより定まる抵抗値を、IDを決定する分圧回路の一方の抵抗器として代用することが考えられる。このようにすると、各コネクタに組み込む分圧回路の抵抗器の抵抗値を共通化することができ、部品数や品番数の削減が可能になる。また、ワイヤハーネス上の取り付け位置が異なる複数のスレーブ制御部に対して、それぞれ異なるIDを自動的に割り当てることが可能になる。
しかしながら、上記のID割り当て用電線を用いる場合には、各スレーブ制御部のワイヤハーネス上の取り付け位置が変化すると、その取り付け位置からマスタ制御部までのID割り当て用電線の長さが変わり、前記分圧回路の分圧比が変化して、割り当てられるIDも変化してしまう。例えば、大型車と小型車の違いのような車種の違いにより、スレーブ制御部を取り付けるワイヤハーネス上の位置が変化する。また、ワイヤハーネス上にスレーブ制御部を取り付ける際の製造公差により、取り付け位置が変化する。
上記のような取り付け位置の変化により各スレーブ制御部に割り当てたIDが変化すると、マスタ側の制御を変更しなければならない。つまり、車種の違いや個体差により制御対象のIDが変わる可能性があるので、適切に制御できるようにマスタ側のプログラムや制御用のパラメータを変更しなければならない。この変更をしない場合には、例えばマスタ制御部がホーンを鳴動させようとした時に、実際にはフォグランプを点灯させる動作が行われてしまうような状況になる。したがって、車種の違いに対してマスタ制御部を共通化することができず、個体差の調整も必要になる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車種の違いなどの影響により各スレーブ制御部の取り付け位置が変化する場合であっても、特別な調整作業や部品の交換を必要とせず、構成が共通のマスタ制御部を採用することが可能な車載通信システムを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載通信システムは、下記(1)〜(2)を特徴としている。
(1) マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに基づき前記各スレーブ制御部の初期状態のIDが決定される車載通信システムであって、
前記マスタ制御部が、前記スレーブ制御部の各々が検出した前記ID割り当て用電線の抵抗値に対応する特性値をそれぞれ取得し、取得した前記特性値の複数の組み合わせに基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々に割り当てるIDを自動的に修正するID修正制御部、を備え、
前記ID修正制御部は、前記複数のスレーブ制御部の中で、前記ワイヤハーネスの最下流の位置に接続された第1のスレーブ制御部の前記特性値を基準値とし、前記基準値に対する前記特性値の比率に基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々の接続位置を把握する、
ことを特徴とする。
(2) 上記(1)に記載の車載通信システムであって、
前記ID修正制御部は、前記特性値が互いに異なる場合であっても、前記特性値の比率がほぼ同じである場合には、前記スレーブ制御部に対して共通のID値を割り当てる、
ことを特徴とする。
上記(1)の構成の車載通信システムによれば、車種の違いなどの影響により各スレーブ制御部の取り付け位置が変化する場合であっても、前記特性値の比率に基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々の接続位置を把握することにより、各スレーブ制御部に割り当てるべき適切なIDの特定が容易になる。すなわち、制御対象車載機器の種類や数が変化せず、車体の大きさの変化に対応して各スレーブ制御部の取り付け位置だけが変化するような状況では、取り付け位置が変化しても前記比率の変化は小さいので、同じシステムとして扱うことが可能になる。また、同じ種類の制御対象車載機器を共通のIDを割り当てたスレーブ制御部で制御可能になるため、車種等の変化に対して、前記マスタ制御部の構成や動作を変更する必要がなくなり、前記マスタ制御部の共通化が可能になる。
上記(2)の構成の車載通信システムによれば、例えばこれを搭載する車両の車体の大きさが変化して、各スレーブ制御部の取り付け位置が変化した場合でも、前記比率に大きな変化がない限り、共通のIDを各スレーブ制御部に割り当てることができる。つまり、システムを構成する制御対象車載機器の種類や組み合わせなどが変化しない場合には、車種が変化した場合でも、前記マスタ制御部は複数車種に共通のIDを用いて各制御対象車載機器を制御できるので、前記マスタ制御部の構成および動作を変更する必要がない。
本発明の車載通信システムによれば、車種の違いなどの影響により各スレーブ制御部の取り付け位置が変化する場合であっても、特別な調整作業や部品の交換を必要とせず、構成や品番が共通のマスタ制御部を採用することが可能になる。また、前記特性値の比率に基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々の接続位置を把握することにより、各スレーブ制御部に割り当てるべき適切なIDの特定が容易になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態における車載通信システムの構成の概要を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施形態における車載通信システムの一部分を詳細に示すブロック図である。 図3(A)および図3(B)は、それぞれ大きさの異なる車両に搭載した車載通信システムの主要な構成要素のレイアウトを上面から視た状態を表す結線図である。 図4(A)および図4(B)は、それぞれ図3(A)および図3(B)に示した車載通信システムにおける各部の線長を表すブロック図である。 図5は、スレーブ位置テーブルTB1の構成例を示す模式図である。 図6(A)は、車種毎のスレーブ構成および線長比率の関係の一覧を示す模式図、図6(B)は線長比率・スレーブ番号テーブルTB2の構成例を示す模式図である。 図7(A)は、車種毎のスレーブ構成および各スレーブに割り当てるべきIDの一覧を示す模式図、図7(B)は、スレーブ番号・IDテーブルTB3の構成例を示す模式図である。 図8は、マスタ制御部の主要な動作を示すフローチャートである。
本発明の車載通信システムに関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<システムの概要の説明>
本発明の実施形態における車載通信システムの構成の概要を図1に示す。また、この車載通信システムの一部分の詳細な構成例を図2に示す。
図1に示した車載通信システム100は、オプション装備を含む様々な種類の電装品を車両に搭載する際に、電源電力の供給を行ったり、負荷の通電のオンオフ等を制御する制御信号を伝送するための電気接続を実現するための構成を含んでいる。
図1に示した例では、補機40(1)、40(2)、及び40(3)として、3つの電装品を接続する場合を想定しているが、実際に接続される電装品の数、種類、接続位置などについては、このシステムを搭載する車両の仕様、すなわち車種の違い、仕向地の違い、グレードの違いなどにより変化する。補機40(1)、40(2)、及び40(3)の代表例としては、エアコン、ヘッドランプ等の照明装置、パワーウインドゥ装置、ドアロック装置、パワースライドドア装置、ドアクローザー装置、ドアミラー装置、サンシェード装置などがある。
上記のような補機は、例えば電気モータ、ランプ、リレーのような電気的に駆動可能な負荷を内蔵しているので、車両側から電源電力を供給すると共に、通電のオンオフ等を外部から制御する必要がある。
また、上記のような補機は、例えば車種の違いに応じて搭載の有無が決まったり、ユーザの選択可能なオプション装備として用意される場合がある。したがって、図1に示した補機40(1)、40(2)、及び40(3)の各々は、実際には搭載されない場合もあるし、種類の異なる補機が必要に応じて接続される場合もある。
そこで、図1の車載通信システム100においては、各補機40(1)、40(2)、及び40(3)を、ワイヤハーネスW/Hの任意の箇所に後付けで接続できるように構成してある。実際には、ワイヤハーネスW/Hにスレーブ制御部30(1)を接続し、このスレーブ制御部30(1)の配下に補機40(1)を接続してある。また、ワイヤハーネスW/Hの別の箇所にスレーブ制御部30(2)を接続し、このスレーブ制御部30(2)の配下に補機40(2)を接続してある。更に、ワイヤハーネスW/Hの別の箇所にスレーブ制御部30(3)を接続し、このスレーブ制御部30(3)の配下に補機40(3)を接続してある。各スレーブ制御部30は、ワイヤハーネス端部のコネクタに内蔵された電子回路である。
したがって、接続対象の補機毎に幹線から分岐した特別なサブハーネスを用意しておかなくても各補機40をワイヤハーネスW/Hに直接的に接続できるので、ワイヤハーネスの構成を簡素化することができる。また、補機を接続しない場合に、付け捨てになる部品(サブハーネス等)が増えることもない。
図1に示した車載通信システム100の例では、接続に用いるワイヤハーネスW/Hは、電源線W1、通信線W2、及びID割り当て用電線W3の3本の電線で構成されている。なお、アース線をワイヤハーネスW/Hに含める場合もあるが、アース接続については、各Eコネクタの近傍や、各補機の近傍で車体アースと接続することが可能であるため、必ずしもワイヤハーネスW/Hにアース線を含める必要はない。
ワイヤハーネスW/Hの電源線W1には、車両上の主電源であるバッテリー等の出力から、ジャンクションボックス10の内部で分配された1つの系統の電源電力、例えば+12Vの直流電圧が供給される。
ワイヤハーネスW/Hの通信線W2は、マスタ制御部20と各スレーブ制御部30(1)、30(2)、30(3)との間でデータ通信を行うための伝送路を形成する。例えば、CAN (Controller Area Network)のような通信規格に従って通信するためのインタフェースをマスタ制御部20及び各スレーブ制御部30が内蔵しており、これらが通信線W2を経由して相互にデータ通信を行うことができる。
ID割り当て用電線W3は、通常の導電体よりも抵抗率が大きい抵抗体で構成される特別な電線であり、ID割り当てのために特別に設けられている。つまり、長さに応じてID割り当て用電線W3の抵抗値が変化する。また、長さによる抵抗値の違いを各スレーブ制御部30が把握することも容易である。
ID割り当て用電線W3は、マスタ制御部20側の一端がアース25に接続されており、ID割り当て用電線W3の途中の接続点Pe1、Pe2、およびPe3の各位置でスレーブ制御部30(1)、30(2)、および30(3)の各々と接続されている。
したがって、スレーブ制御部30(1)は、アース点Pgndから接続点Pe1までの距離に相当する抵抗体長Lw1に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。また、スレーブ制御部30(2)は、アース点Pgndから接続点Pe2までの距離に相当する抵抗体長Lw2に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。スレーブ制御部30(3)は、アース点Pgndから接続点Pe3までの距離に相当する抵抗体長Lw3に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。
例えば、補機40(1)に内蔵される負荷を駆動するために前記負荷に通電する場合には、スレーブ制御部30(1)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、前記負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。前記スイッチング回路のオンオフを制御するための指示については、マスタ制御部20から通信線W2を経由してスレーブ制御部30(1)に送ることができる。
同様に、スレーブ制御部30(2)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(2)内の負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。また、スレーブ制御部30(3)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(3)内の負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。
尚、ワイヤハーネスW/Hと後付けする各スレーブ制御部30の内部回路との現実の電気接続については、「圧接」、「接着」、「溶着」などの物理的接続形態で実現することができる。また、スレーブ制御部30と補機40との接続形態については、専用の電線を用いて電線同士を接続する形態(WtoW)で接続しても良いし、スレーブ制御部30と補機40とを物理的及び電気的に直結しても良いし、ワイヤハーネスW/H上の短い電線を経由して接続する形態(ピックテールW/H)を用いても良い。また、スレーブ制御部30及び補機40をワイヤハーネスW/Hに直接取り付ける形態も考えられる。
<詳細な構成の具体例>
図1に示したマスタ制御部20及びスレーブ制御部30の詳細な構成例を図2に示す。
<マスタ制御部20の構成>
図2の構成例においては、マスタ制御部20は、マイクロコンピュータ(CPU)21、データ通信用トランシーバ22、およびシステム管理情報保持部23を内蔵している。システム管理情報保持部23は、例えば不揮発性メモリ上に配置される。また、マイクロコンピュータ21が実現する機能として、図2に示すようにデータ通信制御機能21a、負荷制御機能21b、およびシステム管理部21cが存在する。
データ通信用トランシーバ22は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ21は、予め組み込まれた基本プログラムを実行することにより、データ通信制御機能21a、負荷制御機能21b、およびシステム管理部21cの各機能を実現する。
データ通信制御機能21aは、データ通信用トランシーバ22及び通信線W2を利用して、ワイヤハーネスW/Hに接続された各スレーブ制御部30との間でデータ通信を行うための制御を実施する。
負荷制御機能21bは、ワイヤハーネスW/Hの各位置に接続されているスレーブ制御部30を経由して、その配下に接続された補機40内部の負荷のオンオフ等を制御する機能である。例えば、負荷を制御するためのユーザのスイッチ操作や、図示しない上位の電子制御ユニット(ECU)からの指示を負荷制御機能21bが検出すると、データ通信制御機能21aが目的の負荷を管理しているEコネクタに対して通信線W2を介して制御情報を送信し、負荷のオンオフを切り替えることができる。
図1に示した車載通信システム100においては、複数のスレーブ制御部30(1)、30(2)、および30(3)が共通の通信線W2に接続されているので、マスタ制御部20および複数のスレーブ制御部30のそれぞれが通信線W2に送出する信号の送信元を受信側で識別したり、複数の信号が通信線W2上で衝突しないように管理する必要がある。そのため、固有の識別番号であるIDを、マスタ制御部20および各スレーブ制御部30に割り当てる必要がある。マスタ制御部20のIDについては固定でよいが、各スレーブ制御部30については適切なIDを割り当てる必要がある。
図1に示した車載通信システム100においては、ID割り当て用電線W3を用いているので、各スレーブ制御部30の接続点におけるID割り当て用電線W3の抵抗値の違いに基づき、各スレーブ制御部30にIDを自動的に割り当てることができる。
しかし、例えばシステムの構成が同じ場合であっても、車種の違いによりID割り当て用電線W3に各スレーブ制御部30を取り付ける位置が変化し、各スレーブ制御部30に割り当てるIDが変化すると、マスタ制御部20の動作を変更しなければならない。そのため、複数車種に搭載する車載通信システム100について共通のマスタ制御部20を採用しようとする場合は、各スレーブ制御部30に割り当てるIDを修正しなければならない。また、車種の違いによってワイヤハーネスW/Hに接続するスレーブ制御部30の数や、各スレーブ制御部30の配下に接続する補機40の種類が変化する場合がある。
システム管理部21cは、ワイヤハーネスW/Hに接続されている複数のスレーブ制御部、すなわちスレーブ制御部30の各々に割り当てるIDを自動的に修正するID修正制御部の機能を備えている。また、システム管理部21cは車載通信システム100のシステム種別を自動的に識別することができる。
システム管理情報保持部23は、システム管理部21cが制御を行う上で必要とする様々なシステム管理情報を保持している。システム管理情報保持部23が保持する情報の具体例については後で詳細に説明する。
<スレーブ制御部30の構成>
図2の構成例においては、スレーブ制御部30はマイクロコンピュータ(CPU)31、データ通信用トランシーバ32、スイッチング素子33、および基準抵抗器34を内蔵している。また、マイクロコンピュータ31が実現する機能として、図2に示すようにデータ通信制御機能31aおよび負荷制御機能31bがある。更に、マイクロコンピュータ31にはA/D変換器31cが内蔵されている。
尚、スレーブ制御部30(1)〜30(3)のそれぞれは、基準抵抗器34の抵抗値Rsも含めて、全て共通の構成を有している。動作の内容も共通である。このような構成の共通化により、スレーブ制御部30のコストを低減できる。
データ通信用トランシーバ32は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ31は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、データ通信制御機能31aおよび負荷制御機能31bを実現する。
図2に示した構成例では、基準抵抗器34は、一端が電源線W1と接続され、他端がID割り当て用電線W3と接続されている。したがって、基準抵抗器34とID割り当て用電線W3の抵抗(抵抗値がRw)との直列回路は、電源線W1の電位(+B)とアース25の電位との間の電圧を分圧する分圧回路を構成する。なお、電源線W1の電位(+B)の代わりに、スレーブ制御部30内で生成した安定した直流電位(例えばA/D変換器31cのリファレンス電圧)を基準抵抗器34の一端に印加してもよい。
そして、この分圧回路から出力される分圧回路出力電圧VadがA/D変換器31cのアナログ信号入力ポートに印加される。基準抵抗器34の抵抗値Rsは全てのスレーブ制御部30に共通であるので、分圧回路出力電圧Vadは、ID割り当て用電線W3の抵抗値Rw、すなわち各スレーブ制御部30の取り付け位置(Pe1、Pe2、Pe3)に応じて変化する。そして、この分圧回路出力電圧Vadが最初のID割り当てに利用される。
本実施形態では、スイッチング素子33としてIPD(Intelligent Power Device)を採用している。このIPDは、パワーMOSFETのようなスイッチング素子と、ゲートドライバ、電流検出回路、及び各種保護回路を含んでいる。スイッチング素子33は、図2に示すように補機40内の負荷と接続され、前記負荷の通電を制御するためのスイッチング回路として動作する。
データ通信制御機能31aは、データ通信用トランシーバ32及び通信線W2を利用して、ワイヤハーネスW/Hの上流側に接続されているマスタ制御部20との間、および他のスレーブ制御部30との間でそれぞれデータ通信を行うための制御を実施する。
また、本実施形態では、スレーブ制御部30が検出したID割り当て用電線W3の抵抗値Rwの情報を、スレーブ制御部30からマスタ制御部20に送信する必要がある。この機能もデータ通信制御機能31aに含まれている。
ここで分圧回路出力電圧Vadは次式で表される。
Vad=Vb・Rw/(Rs+Rw) ・・・(1)
Vb:電源線W1とアース25との間の電位差[V]
また、基準抵抗器34の抵抗値Rsは既知であるので、分圧回路出力電圧VadをA/D変換器31cで計測した結果を用いて、前記第(1)式からID割り当て用電線W3の抵抗値Rwを算出できる。例えば、Vb=10[V]、Rs=1[kΩ]の条件では、Vad=1[V]の時に、Rw=111[Ω]として算出される。この抵抗値Rwをデータ通信制御機能31aが算出してマスタ制御部20に送信する。
尚、本実施形態では、スレーブ制御部30が抵抗値Rwの情報を送信する場合を想定しているが、スレーブ制御部30が分圧回路出力電圧Vadの情報を送信し、マスタ制御部20側で分圧回路出力電圧Vadから抵抗値Rwを算出することも可能である。つまり、マスタ制御部20の位置から当スレーブ制御部30の取り付け位置までのID割り当て用電線W3の長さ(図1中のLw1、Lw2、Lw3に相当)を認識するために利用可能な計測値の情報を各スレーブ制御部30からマスタ制御部20に送信できればよい。
負荷制御機能31bは、マスタ制御部20側から送信された指示に従って、スイッチング素子33の制御を実施する。通常はスイッチング素子33のオンオフにより負荷の通電状態と非通電状態との切り替えを行う。また、負荷に流す電流の調整が必要な場合には、パルス幅変調(PWM)信号を用いてスイッチング素子33のオンオフを周期的に繰り返す。そして、パルス幅又はオンオフデューティの調整により、負荷に流れる電流の平均値を調整することができる。
<現実的なシステムの構成例>
車両に搭載した車載通信システム100の主要な構成要素のレイアウトを上面から視た状態を図3(A)および図3(B)にそれぞれ示す。また、図3(A)および図3(B)に示した車載通信システムにおける各部の線長を図4(A)および図4(B)に示す。
図3(A)および図4(A)に示す車載通信システム100Aと、図3(B)および図4(B)に示す車載通信システム100Bとでは、搭載する車両の車体サイズの違いに対応して、僅かだけ構成が異なっている。すなわち、車体幅WvA、WvB等のサイズに違いがあるので、車載機器K01、K02の各々は、車体上の配置位置および間隔が異なっている。そのため、ワイヤハーネスW/Hの全長の長さが異なり、スレーブ制御部SL01、SL02を接続する位置も異なっている。
図3(A)および図3(B)に示した車載通信システム100は、図1に示した各補機40に相当する2つの車載機器K01、K02を含んでいる。具体的には、車載機器K01は車体フロント側の右上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_RH)である。また、車載機器K02は車体フロント側の左上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_LH)である。車体幅WvA、WvBが異なるので、図3(A)における車載機器K01、K02の間隔と、図3(B)における車載機器K01、K02の間隔とは異なっている。
図3(A)および図3(B)に示す構成例では、同じワイヤハーネスW/Hに、マスタ制御部20と、2つのスレーブ制御部SL01、およびSL02とが接続されている。スレーブ制御部SL01、SL02の各々は、図1に示したスレーブ制御部30に相当する。
そして、図3(A)および図3(B)に示すようにスレーブ制御部SL01の配下に車載機器(H−LP_RH)K01が接続され、スレーブ制御部SL02の配下に車載機器(H−LP_LH)K02が接続されている。
また、図1の構成と同様に、ワイヤハーネスW/HのID割り当て用電線W3は、マスタ制御部20の近傍でアース25と接続されている。また、スレーブ制御部SL01、SL02の各々は、各々の取り付け位置で通信線W2およびID割り当て用電線W3と接続されている。
図4(A)に示したように、ID割り当て用電線W3の接地位置(マスタ制御部20近傍のアース点Pgnd)から、各スレーブ制御部SL01、SL02の接続点Pe1(A)、Pe2(A)までの距離に相当する線長Lw1(A)およびLw2(A)はそれぞれ異なっている。また、図4(A)に示した車載通信システム100Aにおける前記線長Lw1(A)およびLw2(A)と、図4(B)に示した車載通信システム100Bにおける線長Lw1(B)およびLw2(B)とは異なっている。つまり、車載機器K01、K02の位置の違いにより、スレーブ制御部SL01、SL02の位置が変わり、線長Lw1およびLw2も変わる。
図4(A)に示した車載通信システム100A、および図4(B)に示した車載通信システム100Bにおいては、各線長Lw1、Lw2に応じてスレーブ制御部SL01、SL02が検出可能な抵抗値Rwおよび分圧回路出力電圧Vadが変化する。
各スレーブ制御部SL01、SL02の初期状態では、分圧回路出力電圧Vad、すなわち抵抗値Rwに応じてIDが定まる。しかし、図4(A)に示した車載通信システム100Aの環境と、図4(B)に示した車載通信システム100Bの環境とでは、各スレーブ制御部SL01、SL02における抵抗値Rwが異なるので、システムの構成にほとんど違いがないにもかかわらず、環境毎に異なるIDが割り当てられることになる。
例えば、図4(A)に示した車載通信システム100Aにおいて、車載機器K01を制御するために必要なスレーブ制御部SL01のIDと、図4(B)に示した車載通信システム100Bにおいて、車載機器K01を制御するために必要なスレーブ制御部SL01のIDとが初期状態では異なる。したがって、そのままでの状態では、同じマスタ制御部20を車載通信システム100Aおよび100Bに共通に使用することができない。
但し、本実施形態では、マスタ制御部20の内部に備わっているシステム管理部21cの制御により、各スレーブ制御部SL01、SL02に対するIDの割り当てを自動的に修正することができる。そして、図3(A)、図3(B)に示すように車体サイズの異なる車両に搭載する複数の車載通信システム100A、100Bであっても、マスタ制御部20を共通化することができる。
マスタ制御部20は、スレーブ制御部SL01、SL02の各々から検出した抵抗値Rw、または分圧回路出力電圧Vadの情報を取得することにより、線長Lw1、Lw2を把握することが可能である。
<システム管理情報保持部23が保持する情報の具体例>
<スレーブ位置テーブルTB1>
システム管理情報保持部23が保持しているスレーブ位置テーブルTB1の構成例を図5に示す。図5に示したスレーブ位置テーブルTB1は、最大で5個のスレーブ制御部SL01〜SL05を管理できるように構成されている。また、このスレーブ位置テーブルTB1は、スレーブ制御部毎の抵抗値Rwの計測値と、抵抗値比率との関係を表すデータを保持する。
スレーブ位置テーブルTB1における各抵抗値Rwの計測値については、マスタ制御部20が各スレーブ制御部から取得した抵抗値Rw、または分圧回路出力電圧Vadから算出した抵抗値Rwを登録する。図5に示した例では、スレーブ制御部SL01、SL02、SL03、SL04、およびSL05の検出した抵抗値がそれぞれRw001、Rw002、Rw003、Rw004、およびRw005の場合を想定している。
スレーブ位置テーブルTB1における「抵抗値比率」は、基準位置の抵抗値Rwに対する各スレーブ制御部の位置における抵抗値Rwの比率を表す。また、ID割り当て用電線W3の抵抗値Rwはその長さに比例するので、この「抵抗値比率」は、ID割り当て用電線W3の長さの比率と同じ意味を持つ。
ここで、基準位置は、ワイヤハーネスW/Hの最も下流側の端部に接続されたスレーブ制御部の位置であって、図5におけるスレーブ制御部SL01の位置に相当する。また、抵抗値Rw001、Rw002、Rw003、Rw004、およびRw005の中の最大値、つまりRw001が、基準位置の抵抗値Rwに相当する。
スレーブ制御部SL01の位置が基準位置であるので、SL01に対応付けられた抵抗値比率Lr001は「1」である。他のスレーブ制御部SL02〜SL05に対応付けられた抵抗値比率Lr002〜Lr005は、それぞれ次式により算出される。
Lr002=Rw002/Rw001
Lr003=Rw003/Rw001
Lr004=Rw004/Rw001
Lr005=Rw005/Rw001 ・・・(2)
したがって、図5のスレーブ位置テーブルTB1を利用することにより、各スレーブ制御部SL01〜SL05の取り付け位置の違いを表すID割り当て用電線W3上の線長を、ワイヤハーネスW/Hの全長を基準とする抵抗値比率(Lr001〜Lr005)として把握することが可能になる。この抵抗値比率は線長の比率と同じである。
例えば、図4(A)および図4(B)に示した線長(抵抗体長)Lw1(A)、Lw1(B)、Lw2(A)、Lw2(B)は互いに異なる値である。しかし、「車体の大きさに比例して各線長が定まる」場合を想定すれば、車種が変化しても、線長の比率には大きな違いが生じない。つまり、次式により算出される線長の比率Lr2(A)、Lr2(B)はほぼ等しい値になる。
Lr2(A)=Lw2(A)/Lw1(A)
Lr2(B)=Lw2(B)/Lw1(B) ・・・(3)
また、図4(A)の車載通信システム100Aと図4(B)の車載通信システム100Bとで各スレーブ制御部の位置における線長の比率が変わらないので、この比率に基づいて各スレーブ制御部のIDを修正すれば、これらの車載通信システム100A、100Bに対して共通のIDを割り当てることが可能になる。システム管理部21cは、このスレーブ位置テーブルTB1を利用し、抵抗値比率(線長の比率)に基づいて各スレーブ制御部に割り当てるIDを修正する。そして、車種の異なる車載通信システム100A、100Bについて共通のIDを割り当てることができるので、マスタ制御部20の構成および動作も共通化できる。
<線長比率・スレーブ番号テーブルTB2>
車種毎のスレーブ構成および線長比率の関係の一覧を図6(A)に示す。また、システム管理情報保持部23が保持している線長比率・スレーブ番号テーブルTB2の構成例を図6(B)に示す。
図6(A)に示したように、車種の違いによりシステムに含まれるスレーブ制御部の数が多少変化するが、各スレーブ位置の線長比率に関しては、現状では車種による違いがほとんどない。したがって、車種の違いとは無関係に、線長比率のみに基づき各スレーブの位置を特定可能である。そこで、図6(B)に示した線長比率・スレーブ番号テーブルTB2は、各線長比率1、Lr12、Lr13、Lr14、Lr15と、各スレーブ番号SL01、SL02、SL03、SL04、SL05との対応関係を表す定数データを保持している。つまり、テーブルTB2を利用すれば、線長比率からスレーブ番号を簡単に特定できる。
図6(B)に示す例では、線長比率1、Lr12、Lr13、Lr14、およびLr15のそれぞれに、スレーブ番号SL01、SL02、SL03、SL04、およびSL05が対応付けてある。なお、図6(A)に示した例では車種(A)および車種(B)にはスレーブ制御部SL05が存在しないので、このようなシステムにおいて線長比率Lr15が検出されることはなく、SL05のスレーブ番号が割り当てられることもない。なお、図6(A)および図6(B)において、各線長比率の大小関係は次のようになっている。
Lr14<Lr13<Lr12<「1」 ・・・(4)
車種などの違いによりシステム種別が変化する場合であっても、単に車体のサイズのみが異なる場合には、各スレーブ制御部の取り付け位置が変化しても、線長比率およびその組み合わせが変化しない。したがって、図6(B)のテーブルTB2を利用する場合には車種の違いに対して車載通信システム100は同じシステム種別として認識する。
<スレーブ番号・IDテーブルTB3>
車種毎のスレーブ構成および各スレーブ制御部に割り当てるべきIDの一覧を図7(A)に示し、システム管理情報保持部23が保持しているスレーブ番号・IDテーブルTB3の構成例を図7(B)に示す。
図7(A)に示すように、車種が異なる場合であっても、同じ番号のスレーブ制御部には同じIDを割り当てることができる。したがって、スレーブ番号が特定できれば、車種の違いとは無関係にIDを割り当てることができる。そこで、図7(B)に示したスレーブ番号・IDテーブルTB3は、スレーブ番号SL01、SL02、SL03、SL04、SL05と、割り当てるIDとの対応関係を示す定数データを保持している。
つまり、車種(A)、車種(B)、車種(C)、車種(D)のいずれであっても、番号がSL01のスレーブ制御部には(ID=5)を割り当てる。また、番号がSL02、SL03、SL04、およびSL05のスレーブ制御部には、それぞれ(ID=4)(ID=3)(ID=2)(ID=6)を割り当てる。
なお、本実施形態では、最小値の(ID=1)はマスタ制御部20にのみ割り当てることを想定しているので、各スレーブ制御部に割り当てられることはなく、スレーブ番号・IDテーブルTB3には含まれていない。
なお車種の違いによってスレーブ制御部SL03の配下に接続する補機40と、スレーブ制御部SL04の配下に接続する補機40との並び順が入れ替わるような可能性も考えられるその場合には、IDを割り当てる際のSL03、SL04の並び順を入れ替えるだけで、マスタ制御部20の制御の内容を変更しなくても、各補機40を適切に制御することが可能になる。つまり、スレーブ番号・IDテーブルTB3の内容に従って各スレーブ制御部にそれぞれIDを割り当てることにより、補機40の並び順の変更に対してIDの割り当て変更だけで対応可能になる。
<マスタ制御部20の動作>
マスタ制御部20の主要な動作を図8に示す。図8の動作を実行することにより、車載通信システム100を搭載する車両の車種などが変化した場合に、マスタ制御部20の構成を変更しなくても、適切な制御を行うことが可能になる。つまり、様々な種類のシステムにおいて同一のマスタ制御部20を共通に利用でき、コストダウンが可能になる。
ステップS11では、マスタ制御部20のマイクロコンピュータ21は、データ通信制御機能21aにより、各スレーブ制御部、すなわち各スレーブ制御部30が検出したID割り当て用電線W3の抵抗値Rwの情報を取得する。また、取得した各抵抗値Rwの情報を前述のスレーブ位置テーブルTB1の該当する領域に計測値として保存する。
ステップS12では、マイクロコンピュータ21のシステム管理部21cは、スレーブ位置テーブルTB1上に保存された抵抗値Rwの計測値について、次のように処理する。すなわち、線長最大のスレーブ位置の抵抗値Rwを基準とし、各スレーブ位置の抵抗値Rwの比率をそれぞれ算出し、その結果をスレーブ位置テーブルTB1に保存する。
例えば、図5に示したスレーブ位置テーブルTB1において、スレーブ制御部SL03のデータを処理する場合には、抵抗値比率Lr003を次式により算出する。
Lr003=Rw003/Rw001 ・・・(5)
ステップS13では、マイクロコンピュータ21のシステム管理部21cは、システム管理情報保持部23に保持されている前述の線長比率・スレーブ番号テーブルTB2を参照し、S12で特定した抵抗値比率(線長比率)の各々について、対応するスレーブ番号を特定する。
例えば、図6(A)に示す車種(A)のシステムの場合には、線長比率Lr14、Lr13、Lr12、および1のそれぞれに対して、スレーブ番号SL04、SL03、SL02、およびSL01を特定する。なお、車種(A)のように線長比率Lr15が検出されない状況では、スレーブ番号SL05が割り当てられることはない。
ステップS15では、マイクロコンピュータ21のシステム管理部21cは、ワイヤハーネスW/Hに接続されている各スレーブ制御部を、これ以降のS16、S17での処理対象として1つずつ順番に選択する。
ステップS16では、システム管理部21cは、前のS15で選択した1つのスレーブ制御部に対して、S13で特定したスレーブ番号に基づき、テーブルTB3を用いて適切なIDを自動的に割り当てる。また、割り当てたIDの情報を、マスタ制御部20上で保持し管理する。更に、システム管理部21cは、データ通信制御機能21aを利用して該当するスレーブ制御部であるスレーブ制御部30に対してIDの情報を送信すると共に、IDの更新をスレーブ制御部30に指示する。
マイクロコンピュータ21のシステム管理部21cは、ワイヤハーネスW/Hに接続されている各スレーブ制御部を順番に選択し、全てのスレーブ制御部に対するS15〜S17の処理が終了すると、図8に示す処理を完了する。つまり、電源投入時のシステム全体の初期化(イニシャライズ)が完了する。
<車載通信システム100の利点>
上述の車載通信システム100においては、マスタ制御部20が図8に示した動作を実行することにより、同じワイヤハーネスW/Hに接続されている各スレーブ制御部に対して適切なIDを自動的に割り当てることができる。
また、図3(A)、図3(B)に示したように、構成が同じシステムを車体サイズが異なる車両に搭載する場合には、スレーブ制御部毎の取り付け位置やID割り当て用電線W3の線長が変化する。しかし、システム管理部21cが線長の比率に基づいてIDを自動的に修正するので、車体サイズが異なる場合でも共通のIDを各スレーブ制御部に割り当てることが可能になる。したがって、車種の違いの影響により割り当てるIDが変動するのを防止でき、マスタ制御部20の動作を共通化することができる。
また、例えばシステムを搭載する車両の車種の違いにより、同じワイヤハーネスW/Hに接続する補機40の数や種類が変化する場合であっても、線長の比率の組み合わせに基づき、システム種別をマスタ制御部20が認識できるので、システム種別に従い、適切なIDを各スレーブ制御部に割り当てることができる。
<車載通信システム100の変形の可能性>
なお、マスタ制御部20が図8に示した動作を実行するために使用する前述のスレーブ位置テーブルTB1、線長比率・スレーブ番号テーブルTB2、およびスレーブ番号・IDテーブルTB3の構成については、必要に応じて様々な変更を加えることが可能である。
スレーブ位置テーブルTB1については、前述の分圧回路出力電圧Vadと、その比率との関係を表す内容を保持するように構成してもよい。また、例えば各テーブルTB2、TB3を纏めて1つのテーブルに置き換えることも可能である。
ここで、上述した本発明に係る車載通信システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1] マスタ制御部(20)と複数のスレーブ制御部(スレーブ制御部30、SL01〜SL05)とがワイヤハーネス(W/H)を介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線(W3)が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器(34)の抵抗値(Rs)と、前記ID割り当て用電線の抵抗値(Rw)とに基づき前記各スレーブ制御部の初期状態のIDが決定される車載通信システム(100)であって、
前記マスタ制御部が、前記スレーブ制御部の各々が検出した前記ID割り当て用電線の抵抗値に対応する特性値(Rw、Vad等に相当)をそれぞれ取得し、取得した前記特性値の複数の組み合わせに基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々に割り当てるIDを自動的に修正するID修正制御部(システム管理部21c、S11〜S17)、を備え、
前記ID修正制御部は、前記複数のスレーブ制御部の中で、前記ワイヤハーネスの最下流の位置に接続された第1のスレーブ制御部(SL01)の前記特性値を基準値とし、前記基準値に対する前記特性値の比率(Lr001〜Lr005)に基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々の接続位置を把握する、
ことを特徴とする車載通信システム。
[2] 前記ID修正制御部は、前記特性値が互いに異なる場合であっても、前記特性値の比率がほぼ同じである場合には、前記スレーブ制御部に対して共通のID値を割り当てる(S13、S16)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載通信システム。
10 ジャンクションボックス
20 マスタ制御部
21 マイクロコンピュータ
21a データ通信制御機能
21b 負荷制御機能
21c システム管理部(ID修正制御部)
22 データ通信用トランシーバ
23 システム管理情報保持部
25 アース
30 スレーブ制御部
31 マイクロコンピュータ
31a データ通信制御機能
31b 負荷制御機能
31c A/D変換器
32 データ通信用トランシーバ
33 スイッチング素子
34 基準抵抗器
40 補機
100,100A,100B 車載通信システム
W/H ワイヤハーネス
W1 電源線
W2 通信線
W3 ID割り当て用電線
WvA,WvB 車体幅
Vad 分圧回路出力電圧
Lw1,Lw2,Lw3 抵抗体長(線長)
Lw1(A),Lw1(B),Lw2(A),Lw2(B) 検出される線長
Pgnd アース点
Pe1,Pe2,Pe3 接続点
Rs,Rw 抵抗値
TB1 スレーブ位置テーブル
TB2 線長比率・スレーブ番号テーブル
TB3 スレーブ番号・IDテーブル
SL01,SL02,SL03,SL04,SL05 スレーブ制御部
K01,K02 車載機器(補機)

Claims (2)

  1. マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに基づき前記各スレーブ制御部の初期状態のIDが決定される車載通信システムであって、
    前記マスタ制御部が、前記スレーブ制御部の各々が検出した前記ID割り当て用電線の抵抗値に対応する特性値をそれぞれ取得し、取得した前記特性値の複数の組み合わせに基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々に割り当てるIDを自動的に修正するID修正制御部、を備え、
    前記ID修正制御部は、前記複数のスレーブ制御部の中で、前記ワイヤハーネスの最下流の位置に接続された第1のスレーブ制御部の前記特性値を基準値とし、前記基準値に対する前記特性値の比率に基づいて、前記複数のスレーブ制御部の各々の接続位置を把握する、
    ことを特徴とする車載通信システム。
  2. 前記ID修正制御部は、前記特性値が互いに異なる場合であっても、前記特性値の比率がほぼ同じである場合には、前記スレーブ制御部に対して共通のID値を割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の車載通信システム。
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