JP6568454B2 - Id割り当て修正方法および車載通信システム - Google Patents

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本発明は、車両に搭載される通信システムにおいて、スレーブ制御部のIDの割り当てを修正するためのID割り当て修正方法および車載通信システムに関する。
車両においては、制御すべき多数の負荷、すなわちランプ、ヒータ、電気モータ等が様々な部位に分散した状態で配置されている。これらの負荷を制御するために、電子制御ユニット(ECU)などの制御部も多数設けられている。そして多数の制御部が互いに通信できるように、これらは車両上の通信ネットワークを介して接続されている。実際には、車両上の各部を接続するワイヤハーネスに設けられた通信線を利用して通信ネットワークを構成する。
このように通信ネットワークで互いに接続された多数の制御部により通信システムを構成する場合には、特許文献1に示されているように、システム全体を管理するためのマスタ制御部と、その配下に接続される多数のスレーブ制御部とを設けるのが一般的である。また、このような通信システムにおいては、各々の制御部がネットワーク上で複数の通信相手を区別して通信できるように、それぞれの制御部に固有のIDを事前に割り当てる必要がある。
特許文献1においては、各々のスレーブ制御部を接続するコネクタ内に、2つの抵抗器を直列に接続して構成した分圧回路を配置してあり、この分圧回路の分圧比により接続先のスレーブ制御部に割り当てるIDが決定される。
特開2005−229561号公報
ところで、車両においては、車種の違い、グレードの違い、仕向地の違い、ユーザの希望する各種オプション装備の有無等に応じて、システムに接続される車載電装機器(例えばランプ、電気モータなど)の数や種類が変化する。したがって、上記のような車両の通信システムにおいては、実際のシステムの構成に合わせて、各スレーブ制御部のIDを適切に定める必要がある。
そのため、特許文献1の技術を採用する場合には、予め固有のIDが割り当てられた多種類の車載コネクタを事前に用意しておき、最初にネットワークを構築する場合や、構築したネットワークに新たな機能の追加を行う場合にコネクタの種類を変更する必要があった。したがって、各車載コネクタ内の基板の種類数や品番が増えてしまうという問題があり、部品の交換作業も必要になる。
そこで、抵抗体により構成される特別な電線(ID割り当て用電線)をワイヤハーネスに組み込み、マスタ制御部からスレーブ制御部までの前記ID割り当て用電線の長さにより定まる抵抗値を、IDを決定する分圧回路の一方の抵抗器として代用することが考えられる。このようにすると、各コネクタに組み込む分圧回路の抵抗器の抵抗値を共通化することができ、部品数や品番数の削減が可能になる。また、ワイヤハーネス上の取り付け位置が異なる複数のスレーブ制御部に対して、それぞれ異なるIDを自動的に割り当てることが可能になる。
しかしながら、上記のID割り当て用電線を用いる場合には、各スレーブ制御部のワイヤハーネス上の取り付け位置が変化すると、その取り付け位置からマスタ制御部までのID割り当て用電線の長さが変わり、前記分圧回路の分圧比が変化して、割り当てられるIDも変化してしまう。例えば、大型車と小型車の違いのような車種の違いにより、スレーブ制御部を取り付けるワイヤハーネス上の位置が変化する。また、ワイヤハーネス上にスレーブ制御部を取り付ける際の製造公差により、取り付け位置が変化する。
上記のような取り付け位置の変化により各スレーブ制御部に割り当てたIDが変化すると、マスタ側の制御を変更しなければならない。つまり、車種の違いや個体差により制御対象のIDが変わる可能性があるので、適切に制御できるようにマスタ側のプログラムや制御用のパラメータを変更しなければならない。この変更をしない場合には、例えばマスタ制御部がホーンを鳴動させようとした時に、実際にはフォグランプを点灯させる動作が行われてしまうような状況になる。したがって、車種の違いに対してマスタ制御部を共通化することができず、個体差の調整も必要になる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スレーブ制御部の取り付け位置の変化に対して、各スレーブ制御部のIDを適切に割り当てることが可能なID割り当て修正方法および車載通信システムを提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係るID割り当て修正方法は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車両上の通信システムにおいて、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正するためのID割り当て修正方法であって、
前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
ことを特徴とする。
(2) 上記(1)の構成のID割り当て修正方法において、
前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
ことを特徴とする。
(3) 上記(1)の構成のID割り当て修正方法において、
前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報、および車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
ことを特徴とする。
(4) 上記(3)の構成のID割り当て修正方法において、
前記マスタ制御部は、車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各機器に割り当てるIDの基準値とが事前に登録された機器管理テーブルを利用する、
ことを特徴とする。
(5) 上記(1)の構成のID割り当て修正方法において、
前記マスタ制御部は、未登録の新たな機器が前記通信システムに追加される場合には、それまでに割り当てられていない新たなIDを、追加される前記機器に割り当てる、
ことを特徴とする。
上記(1)の構成のID割り当て修正方法によれば、前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握しているので、通信システムを搭載する車両の車種が変化した場合であっても、同じ種類の機器を制御するスレーブ制御部に対して、共通のIDを割り当てるように、IDを修正することができる。これにより、複数の車種に搭載する通信システムについてマスタ制御部の制御を共通化することができ、プログラムや制御パラメータを変更する必要もなくなり、製造コストや調整作業に伴うコストを低減できる。
上記(2)の構成のID割り当て修正方法によれば、通信システムを搭載する車両の車種が変化した場合であっても、同じ種類の機器を制御するスレーブ制御部に対して、共通のIDを割り当てるように、IDを修正することができる。すなわち、ワイヤハーネスに接続する様々な機器の並び順が、全ての車種について共通である状況を想定した場合には、各スレーブ制御部の取り付け位置の違いによりID値が変化したとしても、各機器に最初に付与されるID値の変化順序は同じである。したがって、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序に基づいて、車種によりIDの違いが生じないように、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正することができる。
上記(3)の構成のID割り当て修正方法によれば、通信システムを搭載する車両の車種が変化した場合であっても、同じ種類の機器を制御するスレーブ制御部に対して、共通のIDを割り当てるように、IDを修正することができる。すなわち、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類、および車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順が既知の場合には、各スレーブ制御部の取り付け位置の違いによりID値が変化したとしても、既知の情報と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づいて、車種によりIDの違いが生じないように、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正することができる。
上記(4)の構成のID割り当て修正方法によれば、前記マスタ制御部が、事前に登録された情報を前記機器管理テーブルから取り出すことにより、前記IDの修正に必要な情報を容易に取得できる。
上記(5)の構成のID割り当て修正方法によれば、未登録の新たな機器をシステムに追加することができる。しかも、車種の違いによりIDが変化するのを避けることができるため、前記マスタ制御部の制御を共通化できる。
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載通信システムは、下記(6)を特徴としている。
(6) マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車載通信システムであって、
前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する修正制御部を備える、ことを特徴とする。
上記(6)の構成の車載通信システムによれば、前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握しているので、通信システムを搭載する車両の車種が変化した場合であっても、同じ種類の機器を制御するスレーブ制御部に対して、共通のIDを割り当てるように、IDを修正することができる。
本発明のID割り当て修正方法によれば、スレーブ制御部の取り付け位置の変化に対して、各スレーブ制御部のIDを適切に割り当てることが可能である。これにより、複数の車種に搭載する通信システムについてマスタ制御部の制御を共通化することができ、プログラムや制御パラメータを変更する必要もなくなり、製造コストや調整作業に伴うコストを低減できる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態における車載通信システムの構成の概要を示すブロック図である。 図2は、本発明の実施形態における車載通信システムの一部分を詳細に示すブロック図である。 図3(A)および図3(B)は、車種の異なる車両にそれぞれ搭載される車載通信システムの構成例を示すブロック図である。 図4は、マスタ制御部が利用可能な機器テーブルの構成例を示す模式図である。 図5は、マスタ制御部が各スレーブ制御部のIDを修正するための制御(1)を示すフローチャートである。 図6(A)、図6(B)、および図6(C)は、各スレーブに接続される機器の並び順が車種により変化しない場合を想定した各位置およびID割り当て状態を表すブロック図であり、図6(A)は、A車種に搭載するシステムのID割り当てを示し、図6(B)は、B車種に搭載するシステムの修正前のID割り当てを示し、図6(C)は、B車種に搭載するシステムの修正後のID割り当てを示す。 図7(A)、図7(B)、および図7(C)は、各スレーブに接続される機器の並び順が車種により変化する場合を想定した各位置およびID割り当て状態を表すブロック図であり、図7(A)は、A車種に搭載するシステムのID割り当てを示し、図7(B)は、B車種に搭載するシステムの修正前のID割り当てを示し、図7(C)は、B車種に搭載するシステムの修正後のID割り当てを示す。 図8は、各スレーブに接続される機器の並び順が車種により変化する場合に使用する機器テーブルの構成例を示す模式図である。 図9は、マスタ制御部が各スレーブ制御部のIDを修正するための制御(2)を示すフローチャートである。 図10(A)および図10(B)は、システムに未登録の機器を追加する場合を想定した各位置およびID割り当て状態を表すブロック図であり、図10(A)は機器追加前かつ修正前のIDの状態を表し、図10(B)は機器追加後に修正されたIDの割り当て状態を表す。 図11は、A車からB車に変化する場合の変化前後の各位置およびID割り当て状態を表すブロック図である。
本発明のID割り当て修正方法および車載通信システムに関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<システムの概要の説明>
本発明の実施形態における車載通信システムの構成の概要を図1に示す。また、この車載通信システムの一部分の詳細な構成例を図2に示す。
図1に示した車載通信システム100は、オプション装備を含む様々な種類の電装品を車両に搭載する際に、電源電力の供給を行ったり、負荷の通電のオンオフ等を制御する制御信号を伝送するための電気接続を実現するための構成を含んでいる。
図1に示した例では、補機40(1)、40(2)、及び40(3)として、3つの電装品を接続する場合を想定しているが、実際に接続される電装品の数、種類、接続位置などについては、このシステムを搭載する車両の仕様、すなわち車種の違い、仕向地の違い、グレードの違いなどにより変化する。補機40(1)、40(2)、及び40(3)の代表例としては、エアコン、ヘッドランプ等の照明装置、パワーウインドゥ装置、ドアロック装置、パワースライドドア装置、ドアクローザー装置、ドアミラー装置、サンシェード装置などがある。
上記のような補機は、例えば電気モータ、ランプ、リレーのような電気的に駆動可能な負荷を内蔵しているので、車両側から電源電力を供給すると共に、通電のオンオフ等を外部から制御する必要がある。
また、上記のような補機は、例えば車種の違いに応じて搭載の有無が決まったり、ユーザの選択可能なオプション装備として用意される場合がある。したがって、図1に示した補機40(1)、40(2)、及び40(3)の各々は、実際には搭載されない場合もあるし、種類の異なる補機が必要に応じて接続される場合もある。
そこで、図1の車載通信システム100においては、各補機40(1)、40(2)、及び40(3)を、ワイヤハーネスW/Hの任意の箇所に後付けで接続できるように構成してある。実際には、ワイヤハーネスW/Hにスレーブ制御部30(1)を接続し、このスレーブ制御部30(1)の配下に補機40(1)を接続してある。また、ワイヤハーネスW/Hの別の箇所にスレーブ制御部30(2)を接続し、このスレーブ制御部30(2)の配下に補機40(2)を接続してある。更に、ワイヤハーネスW/Hの別の箇所にスレーブ制御部30(3)を接続し、このスレーブ制御部30(3)の配下に補機40(3)を接続してある。各スレーブ制御部30は、ワイヤハーネス端部のコネクタに内蔵された制御用の電子回路である。
したがって、接続対象の補機毎に幹線から分岐した特別なサブハーネスを用意しておかなくても各補機40をワイヤハーネスW/Hに直接的に接続できるので、ワイヤハーネスの構成を簡素化することができる。また、補機を接続しない場合に、付け捨てになる部品(サブハーネス等)が増えることもない。
図1に示した車載通信システム100の例では、接続に用いるワイヤハーネスW/Hは、電源線W1、通信線W2、及びID割り当て用電線W3の3本の電線で構成されている。なお、アース線をワイヤハーネスW/Hに含める場合もあるが、アース接続については、各Eコネクタの近傍や、各補機の近傍で車体アースと接続することが可能であるため、必ずしもワイヤハーネスW/Hにアース線を含める必要はない。
ワイヤハーネスW/Hの電源線W1には、車両上の主電源であるバッテリー等の出力から、ジャンクションボックス10の内部で分配された1つの系統の電源電力、例えば+12Vの直流電圧が供給される。
ワイヤハーネスW/Hの通信線W2は、マスタ制御部20と各スレーブ制御部30(1)、30(2)、30(3)との間でデータ通信を行うための伝送路を形成する。例えば、CAN (Controller Area Network)のような通信規格に従って通信するためのインタフェースをマスタ制御部20及び各スレーブ制御部30が内蔵しており、これらが通信線W2を経由して相互にデータ通信を行うことができる。
ID割り当て用電線W3は、通常の導電体よりも抵抗率が大きい抵抗体で構成される特別な電線であり、ID割り当てのために特別に設けられている。つまり、長さに応じてID割り当て用電線W3の抵抗値が変化する。また、長さによる抵抗値の違いを各スレーブ制御部30が把握することも容易である。
ID割り当て用電線W3は、マスタ制御部20側の一端がアース25に接続されており、ID割り当て用電線W3の途中の接続点Pe1、Pe2、およびPe3の各位置でスレーブ制御部30(1)、30(2)、および30(3)の各々と接続されている。
したがって、スレーブ制御部30(1)は、アース点Pgndから接続点Pe1までの距離に相当する抵抗体長Lw1に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。また、スレーブ制御部30(2)は、アース点Pgndから接続点Pe2までの距離に相当する抵抗体長Lw2に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。スレーブ制御部30(3)は、アース点Pgndから接続点Pe3までの距離に相当する抵抗体長Lw3に応じたID割り当て用電線W3の抵抗値を検出できる。
例えば、補機40(1)に内蔵される負荷を駆動するために前記負荷に通電する場合には、スレーブ制御部30(1)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、前記負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。前記スイッチング回路のオンオフを制御するための指示については、マスタ制御部20から通信線W2を経由してスレーブ制御部30(1)に送ることができる。
同様に、スレーブ制御部30(2)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(2)内の負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。また、スレーブ制御部30(3)に内蔵されたスイッチング回路を導通状態にすることで、電源線W1、前記スイッチング回路、補機40(3)内の負荷を経由して、アースに電流が流れ、前記負荷が動作する。
尚、ワイヤハーネスW/Hと後付けする各スレーブ制御部30の内部回路との現実の電気接続については、「圧接」、「接着」、「溶着」などの物理的接続形態で実現することができる。また、スレーブ制御部30と補機40との接続形態については、専用の電線を用いて電線同士を接続する形態(WtoW)で接続しても良いし、スレーブ制御部30と補機40とを物理的及び電気的に直結しても良いし、ワイヤハーネスW/H上の短い電線を経由して接続する形態(ピックテールW/H)を用いても良い。また、スレーブ制御部30及び補機40をワイヤハーネスW/Hに直接取り付ける形態も考えられる。
<詳細な構成の具体例>
図1に示したマスタ制御部20及びスレーブ制御部30の詳細な構成例を図2に示す。
<マスタ制御部20の構成>
図2の構成例においては、マスタ制御部20は、マイクロコンピュータ(CPU)21、データ通信用トランシーバ22、および機器テーブル23を内蔵している。機器テーブル23は、例えば不揮発性メモリ上に配置される。また、マイクロコンピュータ21が実現する機能として、図2に示すようにデータ通信制御機能21a、負荷制御機能21b、およびID修正制御部21cが存在する。
データ通信用トランシーバ22は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ21は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、データ通信制御機能21a、負荷制御機能21b、およびID修正制御部21cを実現する。
データ通信制御機能21aは、データ通信用トランシーバ22及び通信線W2を利用して、ワイヤハーネスW/Hに接続された各スレーブ制御部30との間でデータ通信を行うための制御を実施する。
負荷制御機能21bは、ワイヤハーネスW/Hの各位置に接続されているスレーブ制御部30を経由して、その配下に接続された補機40内部の負荷のオンオフ等を制御する機能である。例えば、負荷を制御するためのユーザのスイッチ操作や、図示しない上位の電子制御ユニット(ECU)からの指示を負荷制御機能21bが検出すると、データ通信制御機能21aが目的の負荷を管理しているEコネクタに対して通信線W2を介して制御情報を送信し、負荷のオンオフを切り替えることができる。
図1に示した車載通信システム100においては、複数のスレーブ制御部30(1)、30(2)、および30(3)が共通の通信線W2に接続されているので、マスタ制御部20および複数のスレーブ制御部30のそれぞれが通信線W2に送出する信号の送信元を受信側で識別したり、複数の信号が通信線W2上で衝突しないように管理する必要がある。そのため、固有の識別番号であるIDを、マスタ制御部20および各スレーブ制御部30に割り当てる必要がある。マスタ制御部20のIDについては固定でよいが、各スレーブ制御部30については適切なIDを割り当てる必要がある。
図1に示した車載通信システム100においては、ID割り当て用電線W3を用いているので、各スレーブ制御部30の接続点におけるID割り当て用電線W3の抵抗値の違いに基づき、各スレーブ制御部30にIDを自動的に割り当てることができる。
しかし、ID割り当て用電線W3上の取り付け位置に応じて決定されるIDについては、修正を必要とする場合がある。修正が必要な理由については後で説明する。この修正を自動的に行うために、ID修正制御部21cが設けてある。つまり、ID修正制御部21cは、ID割り当て用電線W3上の取り付け位置に応じて決定されたIDをより適切なIDに自動的に修正する機能を有している。
<スレーブ制御部30の構成>
図2の構成例においては、スレーブ制御部30はマイクロコンピュータ(CPU)31、データ通信用トランシーバ32、スイッチング素子33、および基準抵抗器34を内蔵している。また、マイクロコンピュータ31が実現する機能として、図2に示すようにデータ通信制御機能31aおよび負荷制御機能31bがある。更に、マイクロコンピュータ31にはA/D変換器31cが内蔵されている。
尚、スレーブ制御部30(1)〜30(3)のそれぞれは、基準抵抗器34の抵抗値Rsも含めて、全て共通の構成を有している。動作の内容も共通である。このような構成の共通化により、スレーブ制御部30のコストを低減できる。
データ通信用トランシーバ32は、CANのような所定の通信規格に適合する信号を送信及び受信する機能を搭載している。マイクロコンピュータ31は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、データ通信制御機能31aおよび負荷制御機能31bを実現する。
基準抵抗器34は、一端がマイクロコンピュータのA/D変換用基準電圧出力端子と接続され、他端がID割り当て用電線W3と接続されている。したがって、基準抵抗器34とID割り当て用電線W3の抵抗(抵抗値がRw)との直列回路は、A/D変換用基準電位Vrとアース25の電位との間の電圧を分圧する分圧回路を構成する。
そして、この分圧回路から出力される分圧回路出力電圧VadがA/D変換器31cのアナログ信号入力ポートに印加される。基準抵抗器34の抵抗値Rsは全てのスレーブ制御部30に共通であるので、分圧回路出力電圧Vadは、ID割り当て用電線W3の抵抗値Rw、すなわち各スレーブ制御部30の取り付け位置(Pe1、Pe2、Pe3)に応じて変化する。そして、この分圧回路出力電圧VadがIDの割り当てに利用される。
本実施形態では、スイッチング素子33としてIPD(Intelligent Power Device)を採用している。このIPDは、パワーMOSFETのようなスイッチング素子と、ゲートドライバ、電流検出回路、及び各種保護回路を含んでいる。スイッチング素子33は、図2に示すように補機40内の負荷と接続され、前記負荷の通電を制御するためのスイッチング回路として動作する。
データ通信制御機能31aは、データ通信用トランシーバ32及び通信線W2を利用して、ワイヤハーネスW/Hの上流側に接続されているマスタ制御部20との間、および他のスレーブ制御部30との間でそれぞれデータ通信を行うための制御を実施する。
また、本実施形態では、スレーブ制御部30が検出したID割り当て用電線W3の抵抗値Rwの情報を、スレーブ制御部30からマスタ制御部20に送信する必要がある。この機能もデータ通信制御機能31aに含まれている。
ここで分圧回路出力電圧Vadは次式で表される。
Vad=Vr・Rw/(Rs+Rw) ・・・(1)
Vr:A/D変換用基準電位とアース25との間の電位差[V]
また、基準抵抗器34の抵抗値Rsは既知であるので、分圧回路出力電圧VadをA/D変換器31cで計測した結果を用いて、前記第(1)式からID割り当て用電線W3の抵抗値Rwを算出できる。例えば、Vr=10[V]、Rs=1[kΩ]の条件でVad=1[V]の時は、Rw=111[Ω]として算出される。この抵抗値Rwをデータ通信制御機能31aが算出してマスタ制御部20に送信する。
尚、本実施形態では、スレーブ制御部30が抵抗値Rwの情報を送信する場合を想定しているが、スレーブ制御部30が分圧回路出力電圧Vadの情報を送信し、マスタ制御部20側で分圧回路出力電圧Vadから抵抗値Rwを算出することも可能である。
負荷制御機能31bは、マスタ制御部20側から送信された指示に従って、スイッチング素子33の制御を実施する。通常はスイッチング素子33のオンオフにより負荷の通電状態と非通電状態との切り替えを行う。また、負荷に流す電流の調整が必要な場合には、パルス幅変調(PWM)信号を用いてスイッチング素子33のオンオフを周期的に繰り返す。そして、パルス幅又はオンオフデューティの調整により、負荷に流れる電流の平均値を調整することができる。
<ID割り当て修正の必要性の説明>
車種の異なる車両にそれぞれ搭載される車載通信システムの構成例を図3(A)および図3(B)に示す。つまり、図3(A)に示す車載通信システムは、車種(A)の車両に搭載され、図3(B)に示す車載通信システムは、車種(B)の車両に搭載される。
ここで、車種(A)の車両は例えば軽自動車のような小型車、車種(B)の車両は例えばトラックのような大型車を想定しており、車種(A)と車種(B)とでは車体の幅が大きく異なる状況である。
図3(A)および図3(B)のどちらの車載通信システムも、マスタ制御部20と2つのスレーブ制御部51および52を含み、通信線W2およびID割り当て用電線W3を含むワイヤハーネスを介して、マスタ制御部20とスレーブ制御部51および52とが接続されている。また、スレーブ制御部51の配下に補機61が接続され、スレーブ制御部52の配下に補機62が接続されている。
また、補機61は車体の左上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_LH)を負荷として含み、補機62は車体の右上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_RH)を負荷として含んでいる。
図3(A)に示す車載通信システムの中で、マスタ制御部20とスレーブ制御部51との間を接続する領域をAW1で示し、スレーブ制御部51とスレーブ制御部52との間を接続する領域をAW2で示してある。また、図3(B)に示す車載通信システムの中で、マスタ制御部20とスレーブ制御部51との間を接続する領域をBW1で示し、スレーブ制御部51とスレーブ制御部52との間を接続する領域をBW2で示してある。
図3(A)に示す車載通信システムと、図3(B)に示す車載通信システムとはほぼ同じ構成である。但し、車種の違いにより車体の幅が大きく異なるため、ワイヤハーネスの領域AW1と領域BW1とは長さが大きく異なり、領域AW2と領域BW2とも長さが大きく異なっている。
また、図3(A)に示す車載通信システムにおいて、スレーブ制御部51に割り当てられるIDは、ID割り当て用電線W3の領域AW1の長さにより定まり、スレーブ制御部52に割り当てられるIDは、ID割り当て用電線W3の領域(AW1+AW2)の長さにより定まる。また、図3(B)に示す車載通信システムにおいて、スレーブ制御部51に割り当てられるIDは、ID割り当て用電線W3の領域BW1の長さにより定まり、スレーブ制御部52に割り当てられるIDは、ID割り当て用電線W3の領域(BW1+BW2)の長さにより定まる。
したがって、図3(A)、図3(B)に示すように、車体の幅が大きく異なる環境では、ID割り当て用電線W3の領域AW1と、領域BW1との長さの違いにより、スレーブ制御部51に割り当てられるIDが変化する。また、ID割り当て用電線W3の領域(AW1+AW2)と、領域(BW1+BW2)との長さの違いにより、スレーブ制御部52に割り当てられるIDが変化する。
したがって、マスタ制御部20が通信線W2を介した通信により、スレーブ制御部51の配下に接続された補機61の負荷を制御しようとする場合に、図3(A)の車載通信システムと図3(B)の車載通信システムとでは、相手先のスレーブ制御部51のIDが異なる。また、マスタ制御部20が通信線W2を介した通信により、スレーブ制御部52の配下に接続された補機62の負荷を制御しようとする場合に、図3(A)の車載通信システムと、図3(B)の車載通信システムとでは、相手先のスレーブ制御部52のIDが異なる。
そのため、図3(A)の車載通信システムに搭載するマスタ制御部20と、図3(B)の車載通信システムに搭載するマスタ制御部20とでは互いに動作が異なることになり、これらを共通化することができない。つまり、基本的な構成が同一であるにもかかわらず、車載通信システムを搭載する車種毎に、動作および品番が異なるマスタ制御部20を用意しなければならず、コスト低減の妨げになる。
本実施形態においては、図2に示したように、マスタ制御部20の内部に機器テーブル23を設け、マイクロコンピュータ21にID修正制御部21cの機能を設けることにより、車種の違いにかかわらずマスタ制御部20を共通化するためのID修正を自動的に行うことができる。
<ID割り当て修正動作の説明>
<修正制御(1)の場合>
<前提条件の説明>
各スレーブ制御部に接続される機器の並び順が車種により変化しない場合を想定した各位置およびID割り当て状態の例を図6(A)、図6(B)、および図6(C)に示す。図6(A)は車種(A)に搭載するシステムのID割り当てを示し、図6(B)は車種(B)に搭載するシステムの修正前のID割り当てを示し、図6(C)は車種(B)に搭載するシステムの修正後のID割り当てを示す。
ここでは、図6(B)に示すように、通信線W2およびID割り当て用電線W3を含むワイヤハーネス上に、マスタ制御部20と、最大で5つのスレーブ制御部51〜55とが接続される車載通信システムを想定している。また、車種(A)のシステムの場合は、図6(A)に示すように3つのスレーブ制御部51、53、および55が接続され、車種(B)のシステムの場合は、図6(B)に示すように5つのスレーブ制御部51、52、53、54、および55が接続される。
図6(B)に示すように、マスタ制御部20に近い最も上流側の1番目のスレーブ制御部51に接続される補機61は、車体の左上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_LH)を負荷として含む。また、2番目のスレーブ制御部52に接続される補機62は、車体の左上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_LH)を負荷として含む。また、3番目のスレーブ制御部53に接続される補機63は、車体の中央近傍に配置される標準仕様のホーン(HORN)を負荷として含む。4番目のスレーブ制御部54に接続される補機64は、車体の右上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_RH)を負荷として含む。5番目のスレーブ制御部55に接続される補機65は、車体の右上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_RH)を負荷として含む。
また、車種(A)の仕様では、左右のフォグランプは搭載しないので、図6(A)に示すシステムの場合は、図6(B)に示すスレーブ制御部52および54が存在しない。つまり、車種の違いに応じて、ワイヤハーネスに接続するスレーブ制御部51〜55の数が変化する。
ただし、ワイヤハーネスの流れの方向に対する各補機61〜65の並び順については、車種の違いの影響を受けない。つまり、図6(A)、図6(B)のどちらの車載通信システムについても、スレーブ制御部51および補機61が最も上流側に位置し、スレーブ制御部55および補機65が最も下流側に位置する。また、補機61、補機62、補機63、補機64、及び補機65の順番で並んでいる。図6(A)の車載通信システムの場合は補機62および64が存在しないが、補機63が補機61よりも下流側にあり、補機63が補機65より上流側にある点では図6(B)の構成と同様である。
しかし、図3(A)、図3(B)に示した例の場合と同様に、車種が違うと補機61〜65を取り付ける位置が変化し、スレーブ制御部51〜55をワイヤハーネスに取り付ける位置も変化する。
<初期状態のID割り当ての説明>
図6(A)、図6(B)に示すように、これらの車載通信システムでは車種の違いによりスレーブ制御部51〜55のワイヤハーネス上の取り付け位置が異なっている。したがって、接地位置から取り付け位置までのID割り当て用電線W3の長さの違いにより、異なるIDが各スレーブ制御部51〜55に割り当てられる。
つまり、図6(A)の車載通信システムの場合は、スレーブ制御部51に(ID=1)が割り当てられ、スレーブ制御部53に(ID=3)が割り当てられ、スレーブ制御部55に(ID=5)が割り当てられる。
また、図6(B)の車載通信システムの場合は、スレーブ制御部51に(ID=2)が割り当てられ、スレーブ制御部52に(ID=3)が割り当てられ、スレーブ制御部53に(ID=5)が割り当てられる。また、補機の数が最大で「5」の場合を想定しているので、(ID=5)が割り当てられたスレーブ制御部53よりも下流側のスレーブ制御部54および55については、IDが未定になる。したがって、図6(B)の場合は取り付け位置を考慮して、暫定的に、(ID=6)をスレーブ制御部54に割り当て、(ID=7)をスレーブ制御部55に割り当てることになる。
図6(A)、図6(B)のようなID割り当てのままでは、マスタ制御部20の制御の内容を車種によって変更しなければならない。したがって、マスタ制御部20の制御の内容を車種によらず共通化するために、ID割り当てを修正する必要がある。
<使用する機器テーブルの構成例>
マスタ制御部20が利用可能な機器テーブルTB1の構成例を図4に示す。つまり、図6(A)、図6(B)に示したような前提条件において、図6(B)に示したID割り当てを、図6(C)に示すように修正するために、図2に示したID修正制御部21cが、機器テーブル23として、図4の機器テーブルTB1を使用する。
図4に示すように、この機器テーブルTB1は、5つの機器K01〜K05のそれぞれの情報を保持している。ここで、機器K01〜K05の各々は、図6(B)に示した補機61〜65に相当する。つまり、機器K01は(H−LP_LH)の負荷に対応し、機器K02は(FOG−LP_LH)の負荷に対応し、機器K03は(HORN)の負荷に対応し、機器K04は(FOG−LP_RH)の負荷に対応し、機器K05は(H−LP_RH)の負荷に対応する。
また、図4に示す機器テーブルTB1は、5つの機器K01〜K05のそれぞれについて、「基準ID」の情報と、車種毎に独立した「基準抵抗値」の情報と、「車種Aにおける存在の有無」と、「車種Bにおける存在の有無」とを保持している。基準抵抗値の情報R01〜R05の各々は、基準状態の機器K01〜K05の取り付け位置におけるID割り当て用電線W3の抵抗値Rwを表している。機器テーブルTB1上の基準IDは、機器K01〜K05が基準状態の取り付け位置にある場合に各スレーブ制御部51〜55に割り当てるべきIDを表している。また、車種Aにおける機器K01〜K05の存在の有無は、図6(A)に示した車載通信システムの構成と対応している。また、車種Bにおける機器K01〜K05の存在の有無は、図6(B)に示した車載通信システムの構成と対応している。
<制御手順の具体例>
上記の前提条件の下で、図2に示したマスタ制御部20が各スレーブ制御部、すなわち各スレーブ制御部30のIDを修正するための制御(1)の処理手順を図5に示す。図5の処理手順について以下に説明する。
ステップS11では、ID修正制御部21cは、通信線W2を用いたデータ通信により、各スレーブ制御部、すなわち各スレーブ制御部30からID割り当て用電線W3の抵抗値Rwの情報を取得する。この抵抗値Rwは、各スレーブ制御部30が取り付けられた位置に応じて変化する。
ステップS12では、ID修正制御部21cは、この車載通信システム100が搭載される車両の種類を特定する。例えば、車種(A)と車種(B)との2種類が存在する場合には、車種(A)と車種(B)とのいずれであるかを識別する。例えば、図示しないスイッチの状態により車種を特定する。
ステップS13では、ID修正制御部21cは、機器テーブル23、つまり図4に示した機器テーブルTB1を参照し、ワイヤハーネスの上流側から順番にn番目の機器(K01〜K05の各々)を選択する。そして、ステップS14を通りステップS15に進む。
ステップS15では、ID修正制御部21cは、S13で選択したn番目の機器(K01〜K05の各々)が当車種に存在するか否かを機器テーブルTB1により識別し、「有」の場合は、S17に進み、「無」の場合はS16に進む。
例えば、車種(A)であって、機器K02を選択している場合は、当該機器が「無」であることが機器テーブルTB1から分かるので、その場合はS15からS16に進む。また、車種(B)であって、機器K02を選択している場合は、この機器が「有」であることが機器テーブルTB1から分かるので、その場合はS15からS17に進む。
ステップS16では、ID修正制御部21cは、現在選択しているn番目の機器のIDを欠番として扱う。例えば、図6(A)に示す構成のように、補機61と補機63との間に補機62が存在しない場合には、(ID=1)が割り当てられたスレーブ制御部51の次の(ID=2)を欠番とし、下流側の次のスレーブ制御部53には(ID=3)を割り当てる。
ステップS17では、ID修正制御部21cは、S11で取得した抵抗値Rwが小さい上流側のスレーブ制御部から順番に、m番目のスレーブ制御部を選択する。なお、処理済みのスレーブ制御部については、S17の処理の対象外として、次のスレーブ制御部を選択する。
また、次のステップS18では、ID修正制御部21cは、S17で選択したm番目のスレーブ制御部の抵抗値Rwと、機器テーブルTB1上の該当する基準抵抗値とを比較して選択中のm番目のスレーブ制御部のIDを特定する。
ステップS19では、ID修正制御部21cは、S18で特定したIDがn番目の機器の基準IDと同じか否かを識別し、同じであればS13に戻り、異なる場合はS20に進む。
ステップS20では、ID修正制御部21cは、現在選択しているm番目のスレーブ制御部のIDを、現在選択しているn番目の機器に機器テーブルTB1上で対応付けられた「基準ID」に修正する。
機器テーブルTB1上の機器K01〜K05の全てについて処理が終了した場合には、ID修正制御部21cはステップS14を通りこの処理を終了する。
<動作例の説明>
例えば、図6(B)に示した最も上流のスレーブ制御部51については、ID割り当て用電線W3に接続した位置により定まる抵抗値Rwに従い、初期状態で(ID=2)が割り当てられる。つまり、この場合のスレーブ制御部51の抵抗値Rwは、機器テーブルTB1上の2番目の基準抵抗値R02と同等の値になる。しかし、この場合のスレーブ制御部51は最も上流側の1番目の機器K01に対応している。したがって、マスタ制御部20を共通化するためには、マスタ制御部20が1番目の機器K01に対応する(ID=1)で図6(B)のスレーブ制御部51を認識する必要がある。
そして、図5に示した処理手順をID修正制御部21cが実行する際には、図6(B)のスレーブ制御部51をS17で選択し、次のS18で特定されるスレーブ制御部51のIDが基準抵抗値R02に対応する(ID=2)であり、1番目の機器K01の基準IDである(ID=1)と一致しないので、次のS19からS20に進む。したがって、S20でスレーブ制御部51のIDが1番目の機器K01の基準ID(ID=1)に修正される。つまり、この修正の結果として、図6(C)に示すように、スレーブ制御部51に(ID=1)が割り当てられる。
上記の場合と同様に、図5に示した処理手順をID修正制御部21cが実行することにより、図6(B)に示す車載通信システムにおける各IDの割り当てが、図6(B)の状態から図6(C)の状態に修正される。つまり、図6(B)のスレーブ制御部52は(ID=3)から(ID=2)に修正され、図6(B)のスレーブ制御部53は(ID=5)から(ID=3)に修正され、図6(B)のスレーブ制御部54は(ID=6)から(ID=4)に修正され、図6(B)のスレーブ制御部55は(ID=7)から(ID=5)に修正される。
したがって、マスタ制御部20が図6(A)に示す車載通信システムの補機61、63、および65をそれぞれ制御する場合の相手先のスレーブ制御部のIDと、図6(C)に示す車載通信システムの補機61、63、および65をそれぞれ制御する場合の相手先のスレーブ制御部のIDとが同一になる。そのため、スレーブ制御部51〜55の取り付け位置が異なる場合であっても、車種の異なる車両に搭載する車載通信システム100に、構成および動作が共通のマスタ制御部20を利用できることになり、コストの低減が可能になる。
<修正制御(2)の場合>
<前提条件の説明>
各スレーブ制御部に接続される機器の並び順が車種により変化する場合を想定した各位置およびID割り当て状態の例を図7(A)、図7(B)、および図7(C)に示す。図7(A)は車種(A)に搭載するシステムのID割り当てを示し、図7(B)は車種(B)に搭載するシステムの修正前のID割り当てを示し、図7(C)は車種(B)に搭載するシステムの修正後のID割り当てを示す。
ここでは、図7(B)に示すように、通信線W2およびID割り当て用電線W3を含むワイヤハーネス上に、マスタ制御部20と、最大で5つのスレーブ制御部51〜55とが接続される車載通信システムを想定している。また、車種(A)のシステムの場合は、図7(A)に示すように3つのスレーブ制御部51、53、および55が接続され、車種(B)のシステムの場合は、図7(B)に示すように5つのスレーブ制御部51、52、53、54、および55が接続される。
図7(B)に示すように、マスタ制御部20に近い最も上流側の1番目のスレーブ制御部53に接続される補機63は、標準仕様のホーン(HORN)を負荷として含む。また、2番目のスレーブ制御部51に接続される補機61は、車体の左上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_LH)を負荷として含む。また、3番目のスレーブ制御部52に接続される補機62は、車体の左上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_LH)を負荷として含む。4番目のスレーブ制御部54に接続される補機64は、車体の右上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_RH)を負荷として含む。5番目のスレーブ制御部55に接続される補機65は、車体の右上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_RH)を負荷として含む。
また、車種(A)の仕様では、左右のフォグランプは搭載しないので、図7(A)に示すシステムの場合は、図7(B)に示すスレーブ制御部52および54が存在しない。つまり、車種の違いに応じて、ワイヤハーネスに接続するスレーブ制御部51〜55の数が変化する。
また、ワイヤハーネスの流れの方向に対する各補機61〜65の並び順も、車種に応じて変化する。つまり、図7(A)の車載通信システムの場合には、補機63が補機61よりも下流側に位置するのに対し、図7(B)の車載通信システムの場合には、補機63が最も上流側に配置され、補機61は補機63よりも下流側に接続されている。
つまり、図7(A)の車載通信システムの場合には、補機61、補機63、補機65の順番に並ぶようにワイヤハーネスに接続され、図7(B)の車載通信システムの場合には、補機63、補機61、補機62、補機64、補機65の順番に並ぶようにワイヤハーネスに接続される。
また、図3(A)、図3(B)に示した例の場合と同様に、車種が違うと補機61〜65を取り付ける位置が変化し、スレーブ制御部51〜55をワイヤハーネスに取り付ける位置も変化する。
図7(A)、図7(B)に示すように補機61〜65の並び順が変化する車載通信システムの場合には、図4に示した機器テーブルTB1および図5に示した処理手順では正しく対応できない。
<初期状態のID割り当ての説明>
図7(A)、図7(B)に示すように、これらの車載通信システムでは車種の違いによりスレーブ制御部51〜55のワイヤハーネス上の取り付け位置および並び順が異なっている。したがって、接地位置から取り付け位置までのID割り当て用電線W3の長さの違いにより、異なるIDが各スレーブ制御部51〜55に割り当てられる。
つまり、図7(A)の車載通信システムの場合は、スレーブ制御部51に(ID=1)が割り当てられ、スレーブ制御部53に(ID=3)が割り当てられ、スレーブ制御部55に(ID=5)が割り当てられる。
また、図7(B)の車載通信システムの場合は、1番目のスレーブ制御部53に(ID=1)が割り当てられ、2番目のスレーブ制御部51に(ID=2)が割り当てられ、スレーブ制御部52に(ID=3)が割り当てられる。また、補機の数が最大で「5」の場合を想定しているので、(ID=5)が割り当てられる位置よりも下流側のスレーブ制御部54および55については、IDが未定になる。したがって、図7(B)の場合は取り付け位置を考慮して、暫定的に、(ID=6)をスレーブ制御部54に割り当て、(ID=7)をスレーブ制御部55に割り当てることになる。
図7(A)、図7(B)のようなID割り当てのままでは、マスタ制御部20の制御の内容を車種によって変更しなければならない。したがって、マスタ制御部20の制御の内容を車種によらず共通化するために、ID割り当てを修正する必要がある。
<使用する機器テーブルの構成例>
マスタ制御部20が利用可能な機器テーブルTB2の構成例を図8に示す。この機器テーブルTB2は、機器の並び順の変更に対応するために必要な情報を含んでいる。つまり、図7(A)、図7(B)に示したような前提条件において、図7(B)に示したID割り当てを、図7(C)に示すように修正するために、図2に示したID修正制御部21cが、機器テーブル23として、図8の機器テーブルTB2を使用する。
図8に示すように、この機器テーブルTB2は、5つの機器K01〜K05のそれぞれの情報を保持している。ここで、機器K01〜K05の各々は、図7(B)に示した補機61〜65に相当する。つまり、機器K01は(H−LP_LH)の負荷に対応し、機器K02は(FOG−LP_LH)の負荷に対応し、機器K03は(HORN)の負荷に対応し、機器K04は(FOG−LP_RH)の負荷に対応し、機器K05は(H−LP_RH)の負荷に対応する。
また、図8に示す機器テーブルTB2は、5つの機器K01〜K05のそれぞれについて、「基準ID」の情報と、車種毎に独立した「基準抵抗値」の情報と、「車種Aにおける存在の有無および並び順」と、「車種Bにおける存在の有無および並び順」とを保持している。基準抵抗値の情報R01〜R05の各々は、基準状態の機器K01〜K05の取り付け位置におけるID割り当て用電線W3の抵抗値Rwを表している。機器テーブルTB2上の基準IDは、機器K01〜K05が基準状態の取り付け位置にある場合に各スレーブ制御部51〜55に割り当てるべきIDを表している。
また、車種Aにおける機器K01〜K05の存在の有無および並び順は、図7(A)に示した車載通信システムの構成および位置関係と対応している。また、車種Bにおける機器K01〜K05の存在の有無および並び順は、図7(B)に示した車載通信システムの構成および位置関係と対応している。
<制御手順の具体例>
上記の前提条件の下で、図2に示したマスタ制御部20が各スレーブ制御部、すなわち各スレーブ制御部30のIDを修正するための制御(2)の処理手順を図9に示す。なお、図9において、図5の処理手順と共通の処理ステップについては、同一の番号を付けて示してある。図9の処理手順について以下に説明する。
既に説明した図5の処理手順と同様に、ID修正制御部21cは図9のステップS11で各スレーブ制御部における抵抗値Rwの情報を取得する。また、図9のステップS12でID修正制御部21cは、この車載通信システム100が搭載される車両の種類を特定する。
次のステップS13Bでは、ID修正制御部21cは、機器テーブル23、つまり図8に示した機器テーブルTB2を参照し、当車種における各機器の並び順に従い、ワイヤハーネスの上流側から順番にn番目の機器(K01〜K05の各々)を選択する。そして、ステップS14を通りステップS15に進む。
図9のステップS17では、ID修正制御部21cは、S11で取得した抵抗値Rwが小さい上流側のスレーブ制御部から順番に、m番目のスレーブ制御部を選択する。なお、処理済みのスレーブ制御部については、S17の処理の対象外として、次のスレーブ制御部を選択する。
また、次のステップS18では、ID修正制御部21cは、S17で選択したm番目のスレーブ制御部の抵抗値Rwと、機器テーブルTB2上の該当する基準抵抗値とを比較して選択中のm番目のスレーブ制御部のIDを特定する。
ステップS19では、ID修正制御部21cは、S18で特定したIDがn番目の機器の基準IDと同じか否かを識別し、同じであればS13Bに戻り、異なる場合はS20に進む。
ステップS20では、ID修正制御部21cは、現在選択しているm番目のスレーブ制御部のIDを、現在選択しているn番目の機器に機器テーブルTB2上で対応付けられた「基準ID」に修正する。
機器テーブルTB2上の機器K01〜K05の全てについて処理が終了した場合には、ID修正制御部21cはステップS14を通りこの処理を終了する。
<動作例の説明>
例えば、図7(B)に示した最も上流のスレーブ制御部53については、ID割り当て用電線W3に接続した位置により定まる抵抗値Rwに従い、初期状態で(ID=1)が割り当てられる。つまり、この場合のスレーブ制御部53の抵抗値Rwは、機器テーブルTB2上の1番目の基準抵抗値R01と同等の値になる。しかし、図7(B)の構成では最も上流の位置に接続されているスレーブ制御部53の配下には、補機63が接続されている。また、この補機63は機器テーブルTB2における3番目の機器K03に対応しているので、機器テーブルTB2上で機器K03に対応付けられている基準IDの(ID=3)にスレーブ制御部53のIDを修正する必要がある。
ID修正制御部21cは、車種(B)に相当する図7(B)の構成に対して図9に示した処理手順を実行する際には、S13Bで最初に、並び順が1番の機器K03を選択する。
そして、図7(B)の最も上流の位置にあるスレーブ制御部53を最初にS17で選択し、次のS18で特定されるスレーブ制御部53のIDが基準抵抗値R01に対応する(ID=1)であり、並び順が先頭の機器K03の基準IDである(ID=3)と一致しないので、次のS19からS20に進む。したがって、S20でスレーブ制御部53のIDが、並び順が1番目の機器K03の基準ID(ID=3)に修正される。つまり、この修正の結果として、図7(C)に示すように、スレーブ制御部53に(ID=3)が割り当てられる。
上記の場合と同様に、図9に示した処理手順をID修正制御部21cが実行することにより、図7(B)に示す車載通信システムにおける各IDの割り当てが、図7(B)の状態から図7(C)の状態に修正される。つまり、図7(B)のスレーブ制御部51は(ID=2)から(ID=1)に修正され、図7(B)のスレーブ制御部52は(ID=3)から(ID=2)に修正され、図7(B)のスレーブ制御部54は(ID=6)から(ID=4)に修正され、図7(B)のスレーブ制御部55は(ID=7)から(ID=5)に修正される。
したがって、マスタ制御部20が図7(A)に示す車載通信システムの補機61、63、および65をそれぞれ制御する場合の相手先のスレーブ制御部のIDと、図7(C)に示す車載通信システムの補機61、63、および65をそれぞれ制御する場合の相手先のスレーブ制御部のIDとが同一になる。そのため、スレーブ制御部51〜55の取り付け位置および並び順が異なる場合であっても、車種の異なる車両に搭載する車載通信システム100に、構成および動作が共通のマスタ制御部20を利用できることになり、コストの低減が可能になる。
<修正制御(3)の場合>
<車種が変わらない場合>
車載通信システム100に未登録の新規機器を追加する場合を想定した各位置およびID割り当て状態を図10(A)および図10(B)に示す。また、図10(A)は機器追加前かつ修正前のIDの状態を表し、図10(B)は機器追加後に修正されたIDの割り当て状態を表す。
ここでは、図10(A)に示すように、通信線W2およびID割り当て用電線W3を含むワイヤハーネス上に、マスタ制御部20と、最大で5つのスレーブ制御部51〜55とが接続される車載通信システムを想定している。また、車種(B)のシステムの場合は、図10(A)に示すように5つのスレーブ制御部51、52、53、54、および55が順番に並んた状態で接続される。
図10(A)に示すように、マスタ制御部20に近い最も上流側の1番目のスレーブ制御部51に接続される補機61は、車体の左上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_LH)を負荷として含む。また、2番目のスレーブ制御部52に接続される補機62は、車体の左上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_LH)を負荷として含む。また、3番目のスレーブ制御部53に接続される補機63は、車体の中央近傍に配置される標準仕様のホーン(HORN)を負荷として含む。4番目のスレーブ制御部54に接続される補機64は、車体の右上部に配置されるフォグランプ(FOG−LP_RH)を負荷として含む。5番目のスレーブ制御部55に接続される補機65は、車体の右上部に配置されるヘッドライトのランプ(H−LP_RH)を負荷として含む。
ところで、未登録の新規機器を車載通信システム100に追加する場合がある。図10(B)に示した車載通信システムは、図10(A)の車載通信システムに、更にスレーブ制御部56および補機66を追加した構成を有している。つまり、補機66を新たにシステムに追加する場合を想定している。補機66としては、例えば特別仕様のホーン(S−HORN)が想定される。スレーブ制御部56は、補機66をワイヤハーネスに接続するために追加されるスレーブ制御部30に相当する。
図10(B)に示す車載通信システムにおいては、スレーブ制御部56が、スレーブ制御部53とスレーブ制御部54との間の位置に接続されている。したがって、スレーブ制御部56が検出するID割り当て用電線W3の抵抗値Rwは、スレーブ制御部53が検出する抵抗値Rwよりも大きく、スレーブ制御部54が検出する抵抗値Rwよりも小さくなる。
したがって、初期状態のままであると、追加するスレーブ制御部56に割り当てられるIDは、スレーブ制御部53よりも大きく、スレーブ制御部54よりも小さい値になる。しかし、スレーブ制御部56および補機66の影響で各スレーブ制御部51〜55のIDが変化してしまうと、マスタ制御部20の制御の内容を変更しなければならず、マスタ制御部20の共通化ができなくなる。
そこで、図10(B)のように新たな機器(66)を追加する場合には、マスタ制御部20は、先に登録されている機器を優先的に扱い、追加する機器の影響でIDが修正されないように制御する。そして、追加する機器に対しては、前記マスタ制御部は、それまでに割り当てられていない新たなIDを割り当てる。
つまり、図10(A)に示す構成のように、マスタ制御部20に登録されている機器(61〜65)に対してID割り当てを修正する場合には、図5に示した処理手順または図9に示した処理手順を適用し、優先的にIDを割り当てる。その結果、図10(B)に示すように、スレーブ制御部51、52、53、54、および55に、それぞれ(ID=1)、(ID=2)、(ID=3)、(ID=4)、および(ID=5)が割り当てられる。そして、既に割り当てられているIDの最大値(ID=5)よりも大きい(ID=6)を、追加する補機66を制御するスレーブ制御部56に対してマスタ制御部20が割り当てる。
これにより、先に登録されている機器(61〜65)を制御するためのマスタ制御部20の動作については変更を加える必要がなく、追加する補機66を制御するための機能だけをマスタ制御部20に追加すればそのまま使用できる。つまり、新規機能の追加に関して、変更が必要な箇所を減らすことができる。
<車種が変化する場合>
A車からB車に変化する場合の変化前後の各位置およびID割り当て状態を図11に示す。すなわち、マスタ制御部20にワイヤハーネスを介して接続されるシステムの種類が図11の上側に示すA車から下側に示すB車に変化する場合には、図11に示すようにようにIDの割り当てが変化する。
マスタ制御部20が最初にA車のシステムを認識している場合には、図11の上側に示すように順番に並んだ各位置のスレーブ制御部51、52、53、54、および55にそれぞれ(ID=1)、(ID=2)、(ID=3)、(ID=4)、および(ID=5)が割り当てられる。但し実際にはスレーブ制御部52、54は存在していない。
マスタ制御部20に接続されるシステムが図11の上側の構成から下側の構成のように変化した直後には、図11の上側の時と同じ位置関係に基づき、各スレーブ制御部52、53、54、および55にそれぞれ(ID=2)、(ID=3)、(ID=4)、および(ID=5)が割り当てられる(補正前)。
そして、システムの構成がB車に変化したことをマスタ制御部20が認識すると、B車のシステムに合わせてマスタ制御部20がID割り当てを自動的に補正する。つまり、A車に付く機能と、B車に付く機能とをマスタ制御部20が事前に把握しており、且つA車に付く機能の順序と、B車に付く機能の順序が同じであることを前提として、ID割り当てを正しく補正できる。
つまり、図11の上側に示すシステムのスレーブ制御部51、52、53、54、および55と、図11の下側に示すシステムのスレーブ制御部52、53、54、56、および57の並び順が同じであるので、下側のB車のシステムについては、スレーブ制御部52のIDを(ID=2)から(ID=1)に補正し、スレーブ制御部53のIDを(ID=3)から(ID=2)に補正し、スレーブ制御部54のIDを(ID=4)から(ID=3)に補正し、スレーブ制御部56のIDを(ID=4)に補正し、スレーブ制御部57のIDを(ID=5)に補正する。また、追加されたスレーブ制御部55にはそれまでに割り当てられていない(ID=6)を割り当てる。
以上のように、マスタ制御部20が機器テーブルTB1またはTB2を用いて図5または図9に示した処理手順を実行することにより、各スレーブ制御部に割り当てるIDをより適切な内容に自動的に修正することができる。そして、搭載車種の違いにより各スレーブ制御部の取り付け位置が変化する場合であっても、共通の機器を共通のIDを用いてマスタ制御部20が制御可能になる。その結果、スレーブ制御部30だけでなく、マスタ制御部20の構成および動作も車種の違いとは関係なく共通化できるため、システムを構成する部品の種類数や品番を削減することができ製造コストの低減が可能になる。
ここで、上述した本発明に係るID割り当て修正方法および車載通信システムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] マスタ制御部(20)と複数のスレーブ制御部(スレーブ制御部30)とがワイヤハーネス(W/H)を介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線(W3)が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器(34)の抵抗値(Rs)と、前記ID割り当て用電線の抵抗値(Rw)とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車両上の通信システム(100)において、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正するためのID割り当て修正方法であって、
前記マスタ制御部(20)が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器(K01K〜05)の種類を表す情報(TB1)を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する(図5参照)、
ことを特徴とするID割り当て修正方法。
[2] 前記マスタ制御部(20)が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器(K01K〜05)の種類を表す情報(TB1)を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
ことを特徴とする上記[1]に記載のID割り当て修正方法。
[3] 前記マスタ制御部(20)が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器(K01K〜05)の種類を表す情報、および車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順(TB2)を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する(図9参照)、
ことを特徴とする上記[1]に記載のID割り当て修正方法。
[4] 前記マスタ制御部は、車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各機器に割り当てるIDの基準値とが事前に登録された機器管理テーブル(TB2)を利用する、
ことを特徴とする上記[3]に記載のID割り当て修正方法。
[5] 前記マスタ制御部は、未登録の新たな機器が前記通信システムに追加される場合には、それまでに割り当てられていない新たなIDを、追加される前記機器に割り当てる、
ことを特徴とする上記[1]に記載のID割り当て修正方法。
[6] マスタ制御部(20)と複数のスレーブ制御部(30)とがワイヤハーネス(W/H)を介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線(W3)が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器(34)の抵抗値(Rs)と、前記ID割り当て用電線の抵抗値(Rw)とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車載通信システム(100)であって、
前記マスタ制御部(20)が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器(K01K〜05)の種類を表す情報(TB1)を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する(図5参照)修正制御部(21c)を備える、
ことを特徴とする車載通信システム。
10 ジャンクションボックス
20 マスタ制御部
21 マイクロコンピュータ
21a データ通信制御機能
21b 負荷制御機能
21c ID修正制御部
22 データ通信用トランシーバ
23,TB1,TB2 機器テーブル
25 アース
30 スレーブ制御部
31 マイクロコンピュータ
31a データ通信制御機能
31b 負荷制御機能
31c A/D変換器
32 データ通信用トランシーバ
33 スイッチング素子
34 基準抵抗器
40 補機
51,52,53,54,55,56 スレーブ制御部
61,62,63,64,65,66 補機
100 車載通信システム
W/H ワイヤハーネス
W1 電源線
W2 通信線
W3 ID割り当て用電線
Vad 分圧回路出力電圧
Lw1,Lw2,Lw3 抵抗体長
Pgnd アース点
Pe1,Pe2,Pe3 接続点
Rs,Rw 抵抗値
K01,K02,K03,K04,K05 機器

Claims (6)

  1. マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車両上の通信システムにおいて、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正するためのID割り当て修正方法であって、
    前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
    ことを特徴とするID割り当て修正方法。
  2. 前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のID割り当て修正方法。
  3. 前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報、および車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各スレーブ制御部に割り当てられたID値の順序とに基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のID割り当て修正方法。
  4. 前記マスタ制御部は、車種毎の前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記機器の並び順と、前記各機器に割り当てるIDの基準値とが事前に登録された機器管理テーブルを利用する、
    ことを特徴とする請求項3に記載のID割り当て修正方法。
  5. 前記マスタ制御部は、未登録の新たな機器が前記通信システムに追加される場合には、それまでに割り当てられていない新たなIDを、追加される前記機器に割り当てる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のID割り当て修正方法。
  6. マスタ制御部と複数のスレーブ制御部とがワイヤハーネスを介して互いに通信可能な状態で接続され、抵抗体で構成されるID割り当て用電線が前記ワイヤハーネスに含まれ、前記複数のスレーブ制御部の各々に内蔵された基準抵抗器の抵抗値と、前記ID割り当て用電線の抵抗値とに応じて前記各スレーブ制御部のIDが決定される車載通信システムであって、
    前記マスタ制御部が、車種毎の前記各スレーブ制御部に接続される機器の種類を表す情報を把握し、対象車種における前記ワイヤハーネスの流れに沿った前記各スレーブ制御部の並び順に基づき、前記各スレーブ制御部のIDの割り当てを修正する修正制御部を備える、
    ことを特徴とする車載通信システム。
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