JP2017091806A - 非水電解液、リチウムイオン二次電池 - Google Patents

非水電解液、リチウムイオン二次電池 Download PDF

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将人 村上
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Abstract

【課題】本発明は、リチウムイオン二次電池の入出力特性を向上させる非水電解液、及び該非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。【解決手段】式(1a)で表されるトリフルオロアルカン、及び式(1b)で表されるヘキサフルオロアルカンからなる群から選ばれる1種以上の化合物と、非水溶媒と、電解質塩とを含有することを特徴とする、非水電解液、及び該非水電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極及び負極とを備えることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。【選択図】なし

Description

本発明は、トリフルオロメチル部位を有する鎖状アルカンを用いた非水電解液、及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度や耐久性等に優れるため、携帯電話やノート型パソコン等のモバイル電子機器用電源として汎用されている。近年では、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車用電源としても使用され始めており、入出力特性に優れるリチウムイオン電池が求められている。
リチウムイオン二次電池は、主に、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極及び負極、並びに非水電解液から構成される。リチウムイオン二次電池の正極の正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が用いられており、用いられる遷移金属の例としては、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄等が挙げられる。一方、負極の負極活物質としては、主に、炭素材料が用いられており、炭素材料の例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等が挙げられる。非水電解液としては、環状カーボネートであるエチレンカーボネート等の高解離性溶媒と、鎖状カーボネートであるジエチルカーボネート等の低粘性溶媒とを特定比率で混合した混合溶媒に、LiPF6等の電解質塩を溶解させたものが用いられている。
非水電解液のリチウムイオン伝導度は、リチウムイオン電池の入出力特性に対して、大きな影響を与えることが知られている。リチウムイオン伝導度は、主に、電解質の濃度及び解離度・輸率・粘度等の要素から決まるため、非水電解液の溶媒は、高解離性又は低粘性であることが望ましく、更に、高沸点・低融点・電解液に対する相溶性・電解液中における安定性・耐酸化性・耐還元性等の諸特性を全て併せ持つ必要がある。これらの諸特性を同時に満たすことは、決して容易ではないが、これまでに幾つかの新規溶媒が提案されてきた。
例えば、特許文献1では、リチウム塩の溶解性を高めるために、電解液の溶媒としてテトラグライム等のグライムを用いることが提案されている。また、特許文献2では、リチウムイオン二次電池の出力特性を高めるために、電解液の溶媒として含フッ素エーテル等を用いることが開示されている。更に、特許文献3には、電解液の溶媒としてプロピオン酸エチル等のカルボン酸エステルを用いることで、電池の出力特性を高められると記載されている。
国際公開2009/133899号公報 特開2008−192504号公報 米国公開2014/0205913号公報
しかしながら、特許文献1に記載のテトラグライムを溶媒として使用した場合、リチウム電解質の濃度を高めることができるが、テトラグライムの粘度が高すぎるため、電解液のイオン伝導度を向上させることは難しい。また、特許文献2に記載の含フッ素エーテルの粘度は、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートと比較して大幅に高く、電池の出力特性を向上させる効果は不十分である。更に、特許文献3に記載のプロピオン酸エチルは、粘度は十分に低く、電池の出力特性は向上するが、プロピオン酸エチルの耐酸化性は不十分であるため、電圧の高いリチウムイオン電池に適用すると、充放電サイクル特性等の電池特性を大きく損なうという課題がある。
このように、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートと比較して、十分に粘度が低い上に、高沸点・低融点・電解液に対する相溶性・電解液中における安定性・耐酸化性・耐還元性等の諸特性を併せ持った溶媒の開発が求められていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、リチウムイオン二次電池の入出力特性を向上させることが可能な非水電解液、及び該非水電解液を備え入出力特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、トリフルオロメチル部位を有する鎖状アルカンを非水溶媒として用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]下記式(1a)
CF3n2n+1・・・・・(1a)
(式(1a)中、nは、3以上14以下の整数を表す。)
で表されるトリフルオロアルカン、及び
下記式(1b)
CF3m2mCF3・・・・・(1b)
(式(1b)中、mは、2以上13以下の整数を表す。)
で表されるヘキサフルオロアルカン
からなる群から選ばれる1種以上の化合物と、
非水溶媒と、
電解質塩と
を含有することを特徴とする、非水電解液。
[2]前記化合物の含有量が、前記非水電解液100体積%に対して、1体積%以上50体積%以下である、[1]に記載の非水電解液。
[3]前記非水溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上の環状構造を有する溶媒を含有する、[1]又は[2]に記載の非水電解液。
[4]前記電解質塩が、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、Li2PO3F、LiPO22、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiP(C243、LiPF2(C242、LiPF4(C24)からなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の非水電解液。
[5]前記トリフルオロアルカンは、1,1,1−トリフルオロペンタン、1,1,1−トリフルオロヘキサン、1,1,1−トリフルオロヘプタン、1,1,1−トリフルオロオクタンからなる群から選ばれる1種であり、
前記ヘキサフルオロアルカンは、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン、1,1,1,8,8,8−ヘキサフルオロオクタンからなる群から選ばれる1種である、
[1]〜[4]のいずれかに記載の非水電解液。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載の非水電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極及び負極とを備えることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の入出力特性を向上させる非水電解液、及び該非水電解液を備え入出力特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
(非水電解液)
本実施形態に係る非水電解液は、トリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンからなる群から選ばれる1種以上の化合物と、非水溶媒と、電解質塩とを含有し、必要に応じて、添加剤等をさらに含有する。
ここで、本実施形態に係る非水電解液で用いられる上記化合物は、
下記式(1a)
CF3n2n+1・・・・・(1a)
(式(1a)中、nは、3以上14以下の整数を表す。)
で表されるトリフルオロアルカン、及び
下記式(1b)
CF3m2mCF3・・・・・(1b)
(式(1b)中、mは、2以上13以下の整数を表す。)
で表されるヘキサフルオロアルカン
からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする。
−化合物−
本実施形態における非水電解液に含まれるトリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンについて記載する。
−−トリフルオロアルカン−−
トリフルオロアルカンとしては、具体的には、1,1,1−トリフルオロブタン、2−トリフルオロメチルプロパン、1,1,1−トリフルオロペンタン、2−トリフルオロメチルブタン、1,1,1−トリフルオロヘキサン、2−トリフルオロメチルペンタン、3−トリフルオロメチルペンタン、1,1,1−トリフルオロヘプタン、2−トリフルオロメチルヘキサン、3−トリフルオロメチルヘキサン、1,1,1−トリフルオロオクタン、2−トリフルオロメチルヘプタン、3−トリフルオロメチルヘプタン、4−トリフルオロメチルヘプタン、1,1,1−トリフルオロノナン等が挙げられる。
上記式(1a)中のnは、原料の入手性の観点から、3以上14以下としてよく、沸点及び粘度の観点から、3以上10以下が好ましく、3以上7以下がより好ましい。
上記式(1a)で表されるトリフルオロアルカンは、直鎖構造又は枝分かれ構造をとることができるが、原料の入手性、及び製造の容易性・操作性の観点から、直鎖構造をとることが好ましい。
直鎖構造のトリフルオロアルカンとしては、1,1,1−トリフルオロペンタン、1,1,1−トリフルオロヘキサン、1,1,1−トリフルオロヘプタン、1,1,1−トリフルオロオクタンが好ましく、より好ましくは1,1,1−トリフルオロヘキサン、1,1,1−トリフルオロヘプタンである。
また、前述のトリフルオロアルカンの中でも、沸点及び粘度の観点から、好ましくは、1,1,1−トリフルオロペンタン、2−トリフルオロメチルブタン、1,1,1−トリフルオロヘキサン、2−トリフルオロメチルペンタン、3−トリフルオロメチルペンタン、1,1,1−トリフルオロヘプタン、2−トリフルオロメチルヘキサン、3−トリフルオロメチルヘキサン、であり、より好ましくは、1,1,1−トリフルオロヘキサン、2−トリフルオロメチルペンタン、3−トリフルオロメチルペンタン、1,1,1−トリフルオロヘプタンであり、更により好ましくは、1,1,1−トリフルオロヘキサン、1,1,1−トリフルオロヘプタンである。
−−ヘキサフルオロアルカン−−
ヘキサフルオロアルカンとしては、具体的には、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチルプロパン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−メチルブタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2−メチルペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチルペンタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2−メチルヘキサン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−メチルヘキサン、1,1,1,8,8,8−ヘキサフルオロオクタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロ−2−メチルヘプタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロ−3−メチルヘプタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロ−4−メチルヘプタン、1,1,1,9,9,9−ヘキサフルオロノナンが挙げられる。
上記式(1b)中のmは、原料の入手性の観点から、2以上13以下としてよく、沸点及び粘度の観点から、2以上9以下が好ましく、2以上6以下がより好ましい。
上記式(1b)で表されるヘキサフルオロアルカンは、直鎖構造又は枝分かれ構造をとることができるが、原料の入手性、及び製造の容易性・操作性の観点から、直鎖構造をとることが好ましい。
直鎖構造のヘキサフルオロアルカンとしては、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン、1,1,1,8,8,8−ヘキサフルオロオクタンが好ましく、より好ましくは1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタンである。
また、前述のヘキサフルオロアルカンの中でも、沸点及び粘度の観点から、好ましくは、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−メチルブタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2−メチルペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチルペンタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−2−メチルヘキサン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロ−3−メチルヘキサンであり、より好ましくは、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2−メチルペンタン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−3−メチルペンタン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタンであり、更に好ましくは、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタンである。
本実施形態のトリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンの製造方法は、特に限定されないが、対応するモノカルボン酸又はジカルボン酸を、SF4、(C252NSF4、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニルサルファートリフルオリド等のフッ素化剤で処理する方法が挙げられる。
例えば、1,1,1−トリフルオロヘキサンは、1−ヘキサン酸とSF4とを反応させることで合成することができる。また、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサンは、アジピン酸とSF4とを反応させることで合成することができる。
ここで、本実施形態の非水電解液における、上記化合物の含有量は、非水電解液100体積%に対して、1体積%以上50体積%以下が好ましく、2体積%以上30体積%以下がより好ましく、4体積%以上15体積%以下が更に好ましい。
トリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンからなる群から選らばれる1種以上の化合物が一定量以上含有されることで、電解液の粘度が低下して、電池の入出力特性が改善する。また、一定量以内含有されることで、リチウム電解質の濃度が維持される。
−非水溶媒−
本実施形態に係る非水溶媒としては、特に限定されないが、非プロトン性極性溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2,3−ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状ラクトン;スルホラン等のスルホン;エチレンサルファイト等の亜硫酸エステル;1,3−プロパンスルトン等のスルホン酸エステル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロビルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルトリフルオロエチルカーボネート等の鎖状カーボネート;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル;ジメチルエーテル、ジメトキシエタン等の鎖状エーテル;酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のカルボン酸エステル等が挙げられ、中でも、環状カーボネート、鎖状カーボネート等のカーボネート系溶媒が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本実施形態では、非水溶媒としては、充放電サイクル特性をより高める観点から、環状構造を有する溶媒が好ましく、より具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンから選ばれる1種以上が好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートから選ばれる1種以上がより好ましく、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートから選ばれる1種以上が更に好ましい。
また、上記カーボネート系溶媒としては、充放電サイクル特性及び入出力特性の両面を考慮して、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせて併用したものが好ましい。
この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合比は、充放電サイクル特性及び入出力特性の両面を考慮して、体積比で、1:10〜5:1であることが好ましく、1:5〜3:1であることが更に好ましい。
また、かかる混合系において用いられる環状カーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートから選ばれる1種以上と、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートから選ばれる1種以上との組み合わせが好ましい。
−電解質塩−
本実施形態に係る電解質塩としては、リチウム塩が挙げられ、かかるリチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、LiFSO3、LiCF3SO3、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiN(SO2CF3)(SO2CF2CF3)、LiPO22、Li2PO3F、LiPF3(C373、LiB(CF34、LiB(CN)4、Li2(C24)、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiAl(C242、LiAlF2(C24)、LiP(C243、LiPF2(C242、LiPF4(C24)等が挙げられ、これらの中でも、充放電サイクル特性をより高める観点から、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、Li2PO3F、LiPO22、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiP(C243、LiPF2(C242、LiPF4(C24)からなる群より選ばれる1種以上が好ましく、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32からなる群より選ばれる1種以上が更に好ましく、LiPF6が特に好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
ここで、本実施形態の非水電解液における電解質塩の含有量は、入出力特性をより高める観点から、非水電解液100質量%に対して、3質量%以上25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、7質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
−添加剤−
本実施形態に係る非水電解液は、任意選択的に、電池性能を更に向上させるため、添加剤を含有していてもよい。
添加剤としては、充放電サイクル特性をより高める観点から、ビニレンカーボネート、ビニルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、スクシノニトリル、アジポニトリル、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリス(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート、トリス(トリエチルシリル)ホスフェート、ポリリン酸トリメチルシリル、及びポリリン酸トリエチルシリルからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましく、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、スクシノニトリル、アジポニトリル、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリス(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート、トリス(トリエチルシリル)ホスフェート、ポリリン酸トリメチルシリル、及びポリリン酸トリエチルシリルからなる群より選ばれる1種以上であることが更に好ましく、1,3−プロペンスルトン、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、トリス(トリエチルシリル)ホスファイト、トリス(トリメチルシリル)ホスフェート、トリス(トリエチルシリル)ホスフェート、ポリリン酸トリメチルシリル、及びポリリン酸トリエチルシリルからなる群より選ばれる1種以上であることが特に好ましい。
本実施形態の非水電解液は、非水蓄電デバイス用電解液として好適に用いられる。
なお、「非水蓄電デバイス」とは、蓄電デバイス中の電解液として水溶液を用いない蓄電デバイスの総称であり、特に限定されないが、例えば、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、ナトリウム二次電池、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウム二次電池、マグネシウムイオン二次電池、カルシウム二次電池、カルシウムイオン二次電池、アルミニウム二次電池、アルミニウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等が挙げられ、これらの中でも、実用性の観点から、リチウム二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタが好ましく、リチウムイオン二次電池が更に好ましい。
(リチウムイオン二次電池)
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、上記式(1a)で表されるトリフルオロアルカン及び上記式(1b)で表されるヘキサフルオロアルカンからなる群から選ばれる1種以上の化合物を含有する本実施形態の非水電解液と、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極及び負極と、必要に応じて、セパレータと、外装体とを備える。
−正極−
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いられる正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極活物質を含むことが好ましく、必要に応じて、集電材料、導電助剤、結着剤を含んでよい。
特に、正極活物質としては、満充電時における正極のリチウム基準の電位を4.2V以上という十分高い水準の値を確保する観点、電池の高容量化の観点から、正極のリチウム基準の電位を4.2V以上としたときにリチウムイオンを吸蔵及び放出することができるものが好ましい。
−−正極活物質−−
正極活物質としては、特に限定されないが、正極活物質の構造安定性の観点から、
下記式(2)で表される層状酸化物;
LiNixCoyMa1-x-y2・・・(2)
(式中、Maは、Mn、及びAlからなる群より選ばれる1種以上を示し、0≦x≦1であり、0≦y≦1であり、x+y≦1である。)
下記式(3)で表されるスピネル型酸化物;
LiMn2-xMbx4・・・(3)
(式中、Mbは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、0.2≦x≦0.7である。)
下記式(4a)で表される酸化物と、
Li2McO3・・・(4a)
(式中、Mcは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。)
下記式(4b)で表される酸化物と
LiMdO2・・・(4b)
(式中、Mdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。)
の複合酸化物であって、下記式(4)で表されるLi過剰層状酸化物;
zLi2McO3−(1−z)LiMdO2・・・(4)
(式中、Mcは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、Mdは、各々独立に、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示し、0.05≦z≦0.95である。)
下記式(5)で表されるオリビン型酸化物;
LiMe1-xFexPO4・・・(5)
(式中、Meは、Mn、及びCoからなる群より選ばれる1種以上を示し、0≦x≦1である。)
下記式(6)で表される酸化物;
Li2MfPO4F・・・(6)
(式中、Mfは、遷移金属からなる群より選ばれる1種以上を示す。)
からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
特に、上記式(2)で表される層状酸化物としては、構造安定性の観点、及びサイクル特性の観点から、
下記式(2a)で表される酸化物、
LiNixCoyMn1-x-y2・・・(2a)
(式中、0≦x≦1であり、0≦y≦1であり、x+y≦1である。)
下記式(2b)で表される酸化物、
LiNixCoyAl1-x-y2・・・(2b)
(式中、0.7≦x≦1であり、0≦y≦0.3であり、x+y≦1である。)
が好ましく、
下記式(2a1)で表される酸化物、
LiCoO2・・・(2a1)
下記式(2a2)で表される酸化物、
LiNixCoyMn1-x-y2・・・(2a2)
(式中、0.3≦x≦1であり、0≦y≦0.4であり、x+y≦1である。)
下記式(2b1)で表される酸化物、
LiNi0.85Co0.1Al0.052・・・(2b1)
が更に好ましい。
リチウムイオン二次電池を構成するための正極は、特に限定されないが、例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、アセチレンブラック等の導電助剤や、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤を、適量加えて、正極合剤を調製し、この正極合剤をアルミニウム箔等の集電材料に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、その後、それを加圧することによって、正極を作製することができる。
−負極−
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いられる負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる負極活物質を含むことが好ましく、必要に応じて、集電材料、増粘剤、結着剤を含んでよい。
特に、負極活物質としては、電池の高容量化の観点から、正極のリチウム基準の電位を4.2V以上としたときにリチウムイオンを吸蔵及び放出することができるものが好ましい。
−−負極活物質−−
負極活物質としては、特に限定されないが、例えば、Al、Si、Sn等を含む合金化合物、CuO、CoO等の金属酸化物、チタン酸リチウム等のリチウム含有化合物、炭素材料等が挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて併用してもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池における負極活物質としては、電池のエネルギー密度を向上させる観点から、低電位でリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能である炭素材料が好ましい。
このような炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、グラファイト、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、有機天然物の焼成体、炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、カーボンブラック等が挙げられる。
コークスとしては、特に限定されないが、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等が挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体とは、フェノール樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して、炭素化したものを指し、有機天然物の焼成体とは、コーヒー殻等の天然由来材料を適当な温度で焼成して、炭素化したものを指す。
炭素材料の(002)面の層間距離d002の上限値は、0.37nm以下であることが好ましく、0.35nm以下であることが更に好ましく、0.34nm以下であることが特に好ましく、下限値は、特に限定されないが、理論的には、約0.335nmである。
また、炭素材料のc軸方向の結晶子の大きさの下限値は、3nm以上であることが好ましく、8nm以上であることが更に好ましく、25nm以上であることが特に好ましく、上限値は、特に限定されないが、通例、200nm程度である。
そして、炭素材料の平均粒径は、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることが更に好ましく、また、15μm以下であることが好ましく、13μm以下であることが更に好ましい。
また、炭素材料の純度は、99.9%以上であることが好ましい。
リチウムイオン二次電池を構成するための負極は、特に限定されないが、例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、カルボキシメチルセルロース等の増粘剤や、スチレンブタジエンゴム等の結着剤を、適量加えて、負極合剤を調製し、この負極合剤を銅箔等の集電材料に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、その後、それを加圧することによって、負極を作製することができる。
−セパレータ−
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、必要に応じて、正負極の短絡を防止する等により安全性を付与する観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。
セパレータとしては、特に限定されないが、従来公知のリチウムイオン二次電池で採用されているものと同様のものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリアラミド等のポリアミド樹脂に代表される樹脂類を成形してなる、微多孔膜、不織布が好適に用いられる。
セパレータの厚みは、安全性付与の観点から、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。また、セパレータが必要以上に厚い場合、電池の入出力特性が低下するため、セパレータの厚みは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
−外装体−
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、必要に応じて、外装体を備えることが好ましい。外装体としては、例えば、金属製の缶容器、金属箔ラミネートフィルムからなるラミネート容器が好適に用いられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、前述の、本実施形態の非水電解液添加剤含有する本実施形態の非水電解液と、正極と、負極と、必要に応じて、セパレータと、外装体とを用いて、公知の方法により作製することができる。
例えば、正極と負極とをその間にセパレータを介して重ね合わせて、必要に応じて、巻回して、積層電極体又は巻回電極体を形成し、次いで、これを外装体に装填し、続いて、正負極と外装体の正負極端子とをリード体等を介して接続し、更に、上記本実施形態の非水電解液を外装体内に注入し、その後、外装体を封止することによって、本実施形態のリチウムイオン二次電池を作製することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えば、円筒形、角型、コイン型、扁平形、シート状等の形状が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、実用上の耐久性に優れることから、携帯電話等のモバイル電子機器用電源としてのみならず、自動車用電源等の様々な機器の電源として幅広く利用することができる。
以下、本発明について、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用された分析方法及び評価方法は、以下の通りである。
(1)化合物の粘度
後述の実施例及び比較例における各化合物について、粘度計(μVISC、RheoSense社製)を、25℃大気下にて用いて、その粘度(mPa・s、25℃)を測定した。
(2)化合物の非水電解液中における相溶性
後述の実施例及び比較例における各化合物について、非水溶媒や電解質塩を含む非水電解液中における相用性を目視にて観察して、相溶性を評価した。
(3)非水電解液の保存安定性
後述の実施例及び比較例における各非水電解液を、25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存し、保存後の非水電解液の様子を目視で観察して、保存安定性を評価した。
(4)リチウムイオン二次電池の電池性能評価
(4−1)10C高率放電特性試験
後述の実施例及び比較例におけるシート状リチウムイオン二次電池を、25℃に設定した恒温槽(二葉科学社製、商品名:PLM−73S)に収容し、充放電装置(アスカ電子社製、商品名:ACD−01)に接続した。次いで、その電池を、0.05Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電して、4.35Vの定電圧で2時間充電した。その後、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電するという充放電サイクルを、3回繰り返した。なお、1Cとは、電池の全容量を1時間で放電させる場合の電流値を表し、0.05Cとは、その1/20の電流値を表す。
25℃環境下にて、0.33Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電して、4.35Vの定電圧で1時間充電し、その後、0.33Cの定電流で3.0Vまで放電を行い、このとき得られた放電容量を「初期放電容量」とした。次に、0.33Cの定電流で4.35Vの電圧に達するまで充電して、4.35Vの定電圧で1時間充電し、その後、10Cの定電流で3.0Vまで放電を行い、このとき得られた放電容量を「10C高率放電容量」とした。各電池の初期放電容量に対する10C高率放電容量の割合を、「10C高率放電特性」(10C高率放電特性(%)=高率放電容量/初期放電容量×100)として算出した。
(4−2)高温サイクル特性試験
上記10C高率放電特性試験後、50℃に設定した恒温槽に上記電池を収容し、その電池を、1Cの定電流で充電して、電圧が4.35Vに到達してから4.35Vの定電圧で1時間充電した後、1Cの定電流で3.0Vまで放電するという充放電サイクルを、更に99サイクル繰り返すことによって、合計で100サイクルの充放電サイクルを行った。
1サイクル目の正極活物質単位質量当たりの放電容量に対する、100サイクル目の正極活物質単位質量当たりの放電容量の割合を、「100サイクル後の容量維持率」(100サイクル後の容量維持率(%)=100サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100)として算出した。
[実施例1]
化合物として、1,1,1−トリフルオロヘキサン(Synquest Laboratories社製)(沸点:90℃)を用いた。前述の(1)に記載の通り粘度を測定したところ、粘度は0.43mPa・sであり、非常に低粘度であることが分かった。
次に、25℃アルゴン雰囲気下にて、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比3:7で混合した非水溶媒に、電解質塩としてのLiPF6を1mol/L含有させた溶液を作製し、該溶液と1,1,1−トリフルオロヘキサンとを体積比9:1で混合して、実施例1の非水電解液を作製した。
前述の(2)に記載の通り化合物の相溶性を評価したところ、1,1,1−トリフルオロヘキサンは電解液中において相溶しており、電解液は無色透明であった。また、前述の(3)に記載の通り非水電解液の保存安定性を評価したところ、25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存後の非水電解液は保存前と同様に無色透明なままであり、保存安定性が良好であることが分かった。
正極活物質としてLiNi1/3Mn1/3Co1/32(式(2a2))と、導電助剤としてアセチレンブラック粉末(電気化学工業社製)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン溶液(クレハ社製)とを、90:6:4の固形分質量比で混合し、分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分40質量%となるように添加し、更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmの集電材料としてのアルミニウム箔の両面に塗布し、溶剤を乾燥除去し、その後、塗布されたアルミニウム箔をロールプレスで圧延して、正極シートを得た。
負極活物質としてグラファイト粉末(大阪ガスケミカル社製)及びグラファイト粉末(TIMCAL社製)と、結着剤としてスチレンブタジエンゴム及びカルボキシメチルセルロース水溶液を、90:10:1.5:1.8の固形分質量比で混合し、分散溶媒として水を固形分45質量%となるように添加し、更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μmの集電材料としての銅箔の両面に塗布し、溶剤を乾燥除去し、その後、塗布された銅箔をロールプレスで圧延して、負極シートを得た。
上述のようにして作製した正極シートと負極シートとを、ポリプロピレン製の微多孔膜からなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、アルミニウム箔(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋(外装体)内に正負極の端子を突設させながら挿入した。その後、上述のようにして作製した非水電解液を袋内に注入し、袋に真空封止を行うことによって、シート状リチウムイオン二次電池を作製した。
実施例1のシート状リチウムイオン二次電池について、前述の(4−1)に記載の通り10C高率放電特性試験を行った結果、10C高率放電特性(%)は64%となり、高い出力特性を示した。
実施例1のシート状リチウムイオン二次電池について、前述の(4−2)に記載の通り高温サイクル特性試験を行った結果、100サイクル後の容量維持率(%)は82%となり、高温サイクル特性が維持された。
[実施例2]
非水電解液を、実施例1における組成のものから、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートと1,1,1−トリフルオロヘキサンとを、体積比30:60:10で混合したものに代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
実施例2の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
特に、実施例2のシート状リチウムイオン二次電池について、前述の(4−1)に記載の通り10C高率放電特性試験を行った結果、10C高率放電特性(%)は62%となり、高い出力特性を示した。また、実施例2のシート状リチウムイオン二次電池について、前述の(4−2)に記載の通り高温サイクル特性試験を行った結果、100サイクル後の容量維持率(%)は81%となり、1,1,1−トリフルオロヘキサンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[比較例1]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、ヘキサン(和光純薬工業社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例1の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
特に、ヘキサンの粘度は0.29mPa・sと低粘度であったが、電解液に対してヘキサンは相溶せず二相に分離した。
[比較例2]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、トリフルオロメチルシクロヘキサン(Synquest Laboratories社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例2の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、トリフルオロメチルシクロヘキサンの粘度は0.92mPa・sと高粘度であったが、電解液に対してトリフルオロメチルシクロヘキサンは相溶し、無色透明な電解液が得られた。25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存したトリフルオロメチルシクロヘキサン含有電解液は、保存前と同様に無色透明であり、保存安定性は良好であることが分かった。
[比較例9]
非水電解液を、比較例2における組成のものから、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとトリフルオロメチルシクロヘキサンとを、体積比30:60:10で混合したものに代えたこと以外は、比較例2と同様に実験を行った。
比較例9の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、48%となり、出力特性が大幅に低下した。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、79%となり、トリフルオロメチルシクロヘキサンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[比較例3]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、1−フルオロヘキサン(Synquest Laboratories社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例3の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、1−フルオロヘキサンの粘度は0.47mPa・sであり、電解液に対して1−フルオロヘキサンは相溶した。しかしながら、25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存した電解液は、茶褐色に変化しており、1−フルオロヘキサン含有電解液は、保存安定性が不良であることが分かった。
[比較例4]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、プロピオン酸エチル(キシダ化学社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例4の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、プロピオン酸エチルの粘度は0.50mPa・sであり、電解液に対してプロピオン酸エチルは相溶した。25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存した電解液は、保存前と同様に無色透明であり、プロピオン酸エチル含有電解液は、保存安定性は良好であることが分かった。
[比較例8]
化合物を1,1,1−トリフルオロヘキサンから、プロピオン酸エチル(キシダ化学社製)に代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
比較例8の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、62%となり、高い出力特性を示した。しかしながら、100サイクル後の容量維持率(%)は、64%となり、高温サイクル特性が大幅に低下した。
[比較例5]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、CHF2CF2OCH2CF2CHF2(ダイキン工業社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例5の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、CHF2CF2OCH2CF2CHF2の粘度は1.34mPa・sと高粘度であったが、電解液に対してCHF2CF2OCH2CF2CHF2は相溶した。25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存した電解液は、保存前と同様に無色透明であり、CHF2CF2OCH2CF2CHF2含有電解液は、保存安定性は良好であることが分かった。
[比較例6]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、ジエチルカーボネート(キシダ化学社製)に代えたこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。
比較例6の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、ジエチルカーボネートの粘度は0.75mPa・sと高粘度であったが、電解液に対してジエチルカーボネートは相溶した。25℃アルゴン雰囲気下にて1週間保存した電解液は、保存前と同様に無色透明であり、ジエチルカーボネート含有電解液は、保存安定性が良好であることが分かった。
[実施例3]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、1,1,1−トリフルオロヘプタン(Synquest Laboratories社製)に代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
実施例3の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、60%となり、高い出力特性を示した。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、80%となり、1,1,1−トリフルオロヘキサンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[実施例4]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、1,1,1−トリフルオロオクタン(Synquest Laboratories社製)に代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
実施例4の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、58%となり、高い出力特性を示した。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、79%となり、1,1,1−トリフルオロオクタンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[実施例5]
非水電解液を、実施例2における組成のものから、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートと1,1,1−トリフルオロヘキサンとジエチルカーボネートとを、体積比30:60:5:5で混合したものに代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
実施例5の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、59%となり、高い出力特性を示した。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、80%となり、1,1,1−トリフルオロヘキサンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[実施例6]
化合物を、1,1,1−トリフルオロヘキサンから、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン(Synquest Laboratories社製)に代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
実施例6の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、60%となり、高い出力特性を示した。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、80%となり、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサンを使用しても高温サイクル特性は維持された。
[比較例7]
非水電解液を、実施例2における組成のものから、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを、体積比30:60:3:7で混合したものに代えたこと以外は、実施例2と同様に実験を行った。
比較例7の条件及び各試験の結果は、表1に示す通りである。
その結果、10C高率放電特性(%)は、56%となった。また、100サイクル後の容量維持率(%)は、79%となった。
Figure 2017091806
表1より、本発明の1,1,1−トリフルオロヘキサンは、粘度が低く、電解液に対する相溶性に優れ、電解液中における保存安定性が優れている。
また、本発明のトリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンは、比較例9のトリフルオロメチルシクロヘキサンより低粘性であるため、10C高率放電特性を改善することができる。また、比較例8のプロピオン酸エチルより耐酸化性が高いため、高温サイクル特性を維持することができる。
このように、本発明のトリフルオロアルカン及びヘキサフルオロアルカンは、十分に粘度が低い上に、高沸点・電解液に対する相溶性・電解液中における安定性・耐酸化性・耐還元性等の諸特性を併せ持った溶媒である。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の入出力特性を向上させる非水電解液、及び該非水電解液を備え入出力特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、実用上の耐久性に優れ、携帯電話等のモバイル電子機器用電源としてのみならず、自動車用電源等の様々な機器の電源として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 下記式(1a)
    CF3n2n+1・・・・・(1a)
    (式(1a)中、nは、3以上14以下の整数を表す。)
    で表されるトリフルオロアルカン、及び
    下記式(1b)
    CF3m2mCF3・・・・・(1b)
    (式(1b)中、mは、2以上13以下の整数を表す。)
    で表されるヘキサフルオロアルカン
    からなる群から選ばれる1種以上の化合物と、
    非水溶媒と、
    電解質塩と
    を含有することを特徴とする、非水電解液。
  2. 前記化合物の含有量が、前記非水電解液100体積%に対して、1体積%以上50体積%以下である、請求項1に記載の非水電解液。
  3. 前記非水溶媒が、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1種以上の環状構造を有する溶媒を含有する、請求項1又は2に記載の非水電解液。
  4. 前記電解質塩が、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、Li2PO3F、LiPO22、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiP(C243、LiPF2(C242、LiPF4(C24)からなる群から選ばれる1種以上のリチウム塩を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解液。
  5. 前記トリフルオロアルカンは、1,1,1−トリフルオロペンタン、1,1,1−トリフルオロヘキサン、1,1,1−トリフルオロヘプタン、1,1,1−トリフルオロオクタンからなる群から選ばれる1種であり、
    前記ヘキサフルオロアルカンは、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン、1,1,1,6,6,6−ヘキサフルオロヘキサン、1,1,1,7,7,7−ヘキサフルオロヘプタン、1,1,1,8,8,8−ヘキサフルオロオクタンからなる群から選ばれる1種である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解液。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の非水電解液と、
    リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる正極及び負極と
    を備えることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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