JP2017091743A - 正極、及び非水電解液蓄電素子 - Google Patents

正極、及び非水電解液蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】容量を高水準に維持しつつ負荷充電特性が向上した非水電解液蓄電素子に用いられる正極の提供。【解決手段】正極集電体と、前記正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層と、を有し、1.0mA/cm2で5.2V(vs.Li/Li+)まで充電し、1.0mA/cm2で3.0V(vs.Li/Li+)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であり、前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔である正極である。【選択図】図1

Description

本発明は、正極、及びこれを用いた非水電解液蓄電素子に関する。
近年、携帯機器の小型化、高性能化に伴い、高いエネルギー密度を持つ非水電解液蓄電素子としての非水電解液二次電池が普及している。また、電気自動車への応用展開を目指して非水電解液二次電池の質量エネルギー密度を向上させる試みが進められている。
従来より、リチウムコバルト複合酸化物等の正極と、炭素の負極と、非水溶媒にリチウム塩を溶解させた非水電解液とを有するリチウムイオン二次電池が多く使用されている。
一方、正極に導電性ポリマー、炭素質材料等の材料を用い、非水電解液中のアニオンを、正極へ挿入したり脱離させたりし、非水電解液中のカチオンを、負極へ挿入したり脱離させたりして充放電を行う非水電解液二次電池(以下、「デュアルカーボン電池」と称することがある)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
前記デュアルカーボン電池の放電容量は、正極のアニオン吸蔵量、正極のアニオン放出可能量、負極のカチオン吸蔵量、負極のカチオン放出可能量、非水電解液中のアニオン量及びカチオン量で決まる。このため、前記デュアルカーボン電池の放電容量を増加させるためには、正極活物質及び負極活物質以外にも、リチウム塩を含む非水電解液の量も増やす必要がある。
前記デュアルカーボン電池は、5V以上の高電圧充電が可能であるが、高電圧下では非水電解液の分解が多くなりガス発生が多くなる。ガス発生が多ければ非水電解液の分解が進み結果としてサイクル性能が悪くなり、電池そのものが破裂するなどの危険を伴う。前記ガス発生は非水電解液と電極が接する表面積を小さくすれば、非水電解液の反応面積が小さくなりガス発生を抑制することができる。前記反応面積を小さくする方法としては、例えば、表面積が小さい活物質を選択すること、電極内の導電助剤の量を減らすこと、集電体を粗面化処理することなどが考えられる。例えば、正極集電体に粗面化処理されたアルミニウム箔を用い、正極活物質としてオリビン型リン酸リチウムを用いた非水電解液電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、容量を高水準に維持しつつ負荷充電特性が向上した非水電解液蓄電素子の製造に用いられる正極を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための本発明の正極は、正極集電体と、前記正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層と、を有し、
1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であり、
前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔である。
本発明によると、容量を高水準に維持しつつ負荷充電特性が向上した非水電解液蓄電素子に用いられる正極を提供することができる。
図1は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略図である。 図2は、実施例1〜3及び比較例1の各サイクルにおける放電容量を示す図である。 図3は、実施例1〜3及び比較例1の1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の容量維持率を示す図である。 図4は、実施例1〜3及び比較例1の1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の容量維持率を示す図である。
(正極)
本発明の正極は、正極集電体と、前記正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層と、を有し、
1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であり、
前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔であり、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
本発明の正極は、正極集電体と、該正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層とを有し、前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔であるので、従来の正極に比べて、正極活物質と正極集電体の接触面積が増えることにより蓄電素子抵抗が下がる。また、前記正極材層は、導電性に優れている正極活物質であるグラファイト及び導電助剤の含有量が8割程度を占めているため、集電体と活物質間の導電パスが蓄電素子抵抗に大きく影響し、非水電解液蓄電素子の負荷特性を向上させることができるという知見に基づくものである。
本発明においては、1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電したときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量が100mAh/g以上が好ましく、120mAh/g以上がより好ましい。
前記初回充電容量が、100mAh/g以上であると、容量が大きくなるので蓄電素子として使用するアプリケーションの範囲が広がり、更に、負荷充電特性の向上を図ることができる。
1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量は、50mAh/g以上であり、60mAh/g以上が好ましく、70mAh/g以上がより好ましい。
前記2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であると、容量が大きくなるので蓄電素子として使用するアプリケーションの範囲が広がり、更に、負荷充電特性の向上を図ることができる。
ここで、前記初回充電容量及び2回目以降の平均放電容量は、例えば、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、充放電試験を行うことにより測定することができる。
前記正極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状、などが挙げられる。
<正極材層>
前記正極材層は、アニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質と導電助剤を含み、更に必要に応じてバインダ、増粘剤などを含む。
−正極活物質−
正極活物質としては、アニオンを挿入乃至脱離可能な炭素質材料を用いる。
前記炭素質材料としては、グラファイト及びソフトカーボンの少なくともいずれかが好ましく、グラファイトがより好ましい。
前記グラファイトとしては、X線回折法で測定した(002)面の面間隔であるd(002)が0.33nm以上0.34nm以下であることが好ましい。前記d(002)が0.33nm以上0.34nm以下であると、アニオンの挿入が起こりやすく、容量の高い蓄電素子が得られる。
前記d(002)が0.34nmより大きいと、一般的にソフトカーボンの性質を示し、表面官能基の影響でガス発生が多くなる。また、前記d(002)が0.33nmより小さいと、アニオンの挿入は起こりにくく、容量が大きいものが得られない。
前記(002)面の面間隔であるd(002)は、例えば、粉末X線回折法(XRD)により求めることができる。
前記ソフトカーボンは、例えば、不活性雰囲気下での熱処理によって炭素原子で構成される六角網面が、規則的な積層構造を形成しやすいカーボンの総称である。
前記ソフトカーボンの原料としては、例えば、石油ピッチ、石炭系ピッチ、コークス、アントラセン等の易黒鉛化コークス類などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
−導電助剤−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、ケッチェンブラック、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アセチレンブラックが好ましい。
前記正極活物質である炭素質材料及び前記導電剤の含有量は、正極材層に対して80質量%以上であることが好ましい。前記正極活物質である炭素質材料及び前記導電剤の含有量が80質量%以上であると、容量が大きくなるので蓄電素子として使用するアプリケーションの範囲が広がり、更に、負荷充電特性の向上を図ることができる。
−バインダ−
前記バインダとしては、正極作製時に使用する溶媒や電解液、印加される電位に対して安定な材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
その例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ポリアクリル酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−増粘剤−
前記増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼインなどが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<正極集電体>
前記正極集電体の材質としては、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、チタン、タンタルなどが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチール、アルミニウムが好ましく、製箔が容易で安価なアルミニウムが特に好ましい。
前記正極集電体は、表面が粗化されたものを用いる。前記粗化としては、例えば、正極集電体表面に粒子を噴射する方法、エッチング処理を行う、正極集電体に微細孔を開けるなどが挙げられる。これらの中でも、電極作製プロセスがプレーン正極集電体と同等にできるエッチング処理した正極集電体が好ましく、エッチング処理したアルミニウム箔がより好ましい。
前記正極集電体の形状については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記正極集電体の大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−正極の作製方法−
前記正極は、前記正極活物質、及び前記導電助剤、更に必要に応じて前記バインダ、前記増粘剤、溶媒等を加えてスラリー状とした正極材組成物を正極集電体上に塗布し乾燥することにより製造できる。導電助剤のみからなる層や導電助剤の含有量が異なる層を形成する場合は、適宜導電助剤の含有量を変えた正極材組成物を用意すればよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系溶媒、有機系溶媒などが挙げられる。前記水系溶媒としては、例えば、水、アルコールなどが挙げられる。前記有機系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、トルエンなどが挙げられる。
なお、前記正極活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とすることもできる。
(非水電解液蓄電素子)
本発明の非水電解液蓄電素子は、本発明の前記正極、負極、非水電解液、セパレータを有し、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
<負極>
前記負極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、負極集電体上に負極活物質を有する負極材層を形成した負極などが挙げられる。
前記負極の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平板状などが挙げられる。
<<負極材層>>
前記負極材層は、負極活物質を少なくとも含み、更に必要に応じてバインダ、導電助剤などを含む。
−負極活物質−
前記負極活物質としては、少なくとも非水溶媒系で機能する物質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、人造黒鉛や天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、ハードカーボン、ソフトカーボン、コークス、チタン酸リチウム、スピネル化合物などが挙げられる。これらの中でも、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンが特に好ましい。
−バインダ−
前記バインダとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系バインダ、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、PVDF、PTFE等のフッ素系バインダとCMCが好ましく、他のバインダに比べて繰り返し充放電回数が向上する点からCMCが特に好ましい。
−導電助剤−
前記導電助剤としては、例えば、銅、アルミニウム等の金属材料、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質材料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<負極集電体>>
前記負極集電体の材質、形状、大きさ、構造などには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の材質は、導電性材料で形成されたものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステンレススチール、ニッケル、アルミニウム、銅などが挙げられる。これらの中でも、ステンレススチールや銅が特に好ましい。
前記負極集電体の形状には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記負極集電体の大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−負極の作製方法−
前記負極は、前記負極活物質に、必要に応じて前記バインダ、前記導電助剤、溶媒等を加えてスラリー状とした負極材組成物を、前記負極集電体上に塗布し乾燥することにより製造できる。
前記溶媒としては、前記正極の作製方法の場合と同様の溶媒を用いることができる。
また、負極活物質にバインダ、導電助剤等を加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極としたり、蒸着、スパッタ、メッキ等の手法で負極集電体上に負極活物質の薄膜を形成することもできる。
<非水電解液>
非水電解液は、非水溶媒、及び電解質塩を含有する電解液である。
−非水溶媒−
前記非水溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性有機溶媒が好適である。
前記非プロトン性有機溶媒としては、鎖状カーボネート、環状カーボネート等のカーボネート系有機溶媒が用いられ、低粘度な溶媒が好ましい。これらの中でも、低粘度で電解質塩の溶解力が高い点から、鎖状カーボネートが好ましい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などが挙げられ、適宜混合して使用することができる。
前記鎖状カーボネートの含有量には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
前記環状カーボネートと、前記鎖状カーボネートの混合溶媒を用いる場合の混合割合には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記非水溶媒としては、必要に応じて、環状エステル、鎖状エステル等のエステル系有機溶媒、環状エーテル、鎖状エーテル等のエーテル系有機溶などが挙げられる。
前記環状エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン(γBL)、2−メチル−γ−ブチロラクトン、アセチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどが挙げられる。
前記鎖状エステルとしては、例えば、プロピオン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、酢酸アルキルエステル(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ギ酸アルキルエステル(ギ酸メチル、ギ酸エチル等)などが挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、アルキルテトラヒドロフラン、アルコキシテトラヒドロフラン、ジアルコキシテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、アルキル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキソランなどが挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジメトシキエタン(DME)、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテルなどが挙げられる。
−電解質塩−
前記電解質塩としては、ハロゲン原子を含み、非水溶媒に溶解し、高いイオン伝導度を示すものであれば特に制限はないが、リチウムと種々のアニオンからなる塩が好ましい。
前記アニオンとしては、例えば、Cl、Br、I、ClO 、BF 、PF 、SbF 、CFSO 、(CFSO、(CSOなどが挙げられる。
前記リチウム塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その例としては、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ弗化リチウム(LiBF)、六弗化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)、リチウムビストリフルオロメチルスルホニルイミド〔LiN(CSO〕、リチウムビスファーフルオロエチルスルホニルイミド〔LiN(CFSO〕などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素電極中へのアニオンの吸蔵量の大きさの観点から、LiPF及びLiBFが特に好ましい。
本発明の非水電解液蓄電素子ではアニオンとカチオンの共挿入により充電を行う。したがって、電解質塩の濃度は、エネルギー密度向上の点から、非水溶媒中に2mol/L以上とすることが好ましい。また、非水電解液の粘度が高くなってイオン伝導度が大きくなり高抵抗化することがないように5mol/L以下が好ましい。特に蓄電素子の容量と出力の両立の点から、2.5mol/L〜4mol/Lが好ましい。
例えば、セパレータの気孔率が限りなく0に近いと仮定した場合、活物質比容量180mAh、直径16mm、平均厚み150μmの電極において、正極の気孔率0.5、負極の気孔率0.6としたときに、正極に保持できる電解液は0.01mL、負極に保持できる電解液は0.016mLとなり、正極と負極に保持している電解液から蓄電素子の充電時必要な電解質67μmolを得るには、最低2.6mol/Lの電解質濃度の電解液が必要である。
−添加剤−
前記添加剤としては、ハロゲン原子を含むアニオンを化学的に結合可能な部位を有する化合物であるトリスヘキサフルオロイソプロピルボレート(THFIPB)やトリスペンタフルオロフェニルボラン(TPFPB)が好ましい。また、負極表面に相間固体電解質(SEI)を形成する化合物としては、環状カーボネートが好ましく、特に負極に良好なSEIを形成するフルオロエチレンカーボネート(FEC)やECが好ましい。
前記ハロゲン原子を含むアニオンを結合可能な部位を有する化合物の含有量は、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、非水電解液蓄電素子の内部にハロゲン原子を含むアニオンを結合可能な部位を有する化合物が含まれているか否かは、非水電解液蓄電素子を分解し、非水電解液をガスクロマトグラフィーなどで分析することにより確認できる。
<セパレータ>
前記セパレータは、正極と負極の短絡を防ぐために正極と負極の間に設けられる。
前記セパレータの材質、形状、大きさ、構造などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの材質としては、例えば、クラフト紙、ビニロン混抄紙、合成パルプ混抄紙等の紙、セロハン、ポリエチレングラフト膜、ポリプロピレンメルトブロー不織布等のポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布などが挙げられる。
前記セパレータの形状としては、例えば、シート状などが挙げられる。
前記セパレータの大きさは、非水電解液蓄電素子に使用可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記セパレータの構造は、単層構造でも積層構造でもよい。
<その他の部材>
前記その他の部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電池缶、電極取り出し線などが挙げられる。
<非水電解液蓄電素子の製造方法>
本発明の非水電解液蓄電素子は、前記正極、前記負極、前記非水電解液と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造できる。更に必要に応じて電池外装缶等の他の構成部材を用いることも可能である。
前記組み立て方法には特に制限はなく、通常採用されている方法の中から適宜選択することができる。
ここで、図1は、本発明の非水電解液蓄電素子の一例を示す概略図である。この非水電解液蓄電素子10は、外装缶4内に、アニオンを可逆的に蓄積乃至放出可能な正極活物質を含む正極1と、カチオンを可逆的に蓄積乃至放出可能な負極活物質を含む負極2と、正極1と負極2の間にセパレータ3とを収容してなり、これら正極1、負極2、及びセパレータ3は、非水溶媒に電解質塩を溶解してなる非水電解液(不図示)に浸っている。なお、5は負極引き出し線、6は正極引き出し線である。
前記非水電解液蓄電素子の形状としては、特に制限はなく、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。
その例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、シート電極及びセパレータを積層したラミネートセルタイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。
<非水電解液蓄電素子の使用方法>
本発明の非水電解液蓄電素子の使用電圧は、2.5V〜5.5V(vs.Li/Li)が好ましい。前記使用電圧が、2.5V(vs.Li/Li)未満であると、十分な蓄電素子の容量を得ることができず、5.5V(vs.Li/Li)を超えると、非水電解液の分解反応が優勢となり、蓄電素子が壊れてしまうことがある。
<非水電解液蓄電素子の用途>
前記非水電解液蓄電素子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、非水電解液二次電池、非水電解液キャパシタなどが挙げられる。
本発明の非水電解液蓄電素子の用途については、特に制限はなく、各種用途に用いることができる。その例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の電源、バックアップ電源などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(比較例1)
<正極Aの作製>
前記正極Aは、正極集電体として平均厚み20μmのプレーンアルミニウム箔(粗化処理をしていない)を用いた例である。
−正極材組成物A−
増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースCMC2200(ダイセルファインケム株式会社製)2質量%水溶液19g、導電助剤としての20質量%アセチレンブラック水分散液(御国色素株式会社製)3.75g、正極活物質としての炭素粉末(MTカーボン株式会社製、KGN330、グラファイト)10g、及びアクリレート系バインダ(JSR株式会社製、TRD202A)0.746gに、純水2gを加えて混練し、スラリー状の正極材組成物A(スラリーA)を作製した。
<粉末X線回折測定>
前記正極活物質としてのグラファイト(MTカーボン株式会社製、KGN330)を、めのう乳鉢によりすり潰し試料粉体を作製し、試料ホルダーに均一に塗布した。その後、粉末X線回折装置内に試料ホルダーをセットし、以下の条件で測定を行った。その結果、d(002)は0.336nmであった。
−測定条件−
・CuKα線
・Scanning Mode:2θ/θ
・Scanning Type:continuous
・X−Ray:50kV/120mA
・発散スリット:1deg.
・散乱スリット:1deg.
・受光スリット:0.15mm
・Start:6°
・Stop:50°
・Step:0.01°
−正極材層A及び正極Aの作製−
前記スラリーAを、平均厚み20μmのプレーンアルミニウム箔上に塗布し、室温(25℃)で2時間乾燥させ、更に120℃で5分間温風乾燥させて、正極材層Aを形成した。
次いで、得られた積層体を直径16mmの丸型に打ち抜き加工して正極Aを作製した。
<非水電解液>
ジメチルカーボネート(DMC)とエチレンカーボネート(EC)とフルオロエチレンカーボネート(FEC)の混合物[DMC/EC/FEC=96/2/2(vol%)]に、2.0mol/LのLiPFを溶解させた非水電解液を作製した。
<セパレータ>
ガラス製セパレータ、GA−100 GLASS FIBER(GF) FILTER(ADVANTEC社製)を用意した。
<正極Aを使用した非水電解液蓄電素子Aの作製>
コイン型蓄電素子作製用の缶(2032型、宝泉株式会社製)に、前記正極A、前記セパレータ、前記非水電解液、及び負極としてリチウム金属を入れ、非水電解液蓄電素子Aを作製した。
<充電容量及び放電容量の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Aについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、以下の充放電試験を行った。
非水電解液蓄電素子Aに、室温(25℃)下、1.0mA/cm:2mAの定電流で充電終止電圧5.2V(vs.Li/Li)まで充電した。このときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量を求めた。結果を表1に示した。
次いで、1.0mA/cm:2mAの定電流で放電終止電圧3.0V(vs.Li/Li)まで放電した。これを1サイクルとして、10サイクル充放電を行った。各サイクルにおける放電容量を図2に示す。図2から、正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量を求めたところ、69mAh/gであった。結果を表1に示した。
<5C負荷充電特性の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Aについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、以下の負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Aに、室温(25℃)下、1.0mA/cm:2mAの定電流で充電終止電圧5.2V(vs.Li/Li)まで充電した。次いで、1.0mA/cm:2mAの定電流で放電終止電圧3.0V(vs.Li/Li)まで放電した。これを1C放電容量とする。
次いで、蓄電素子Aに、室温(25℃)下、5.0mA/cm:10mAの定電流で充電終止電圧5.2V(vs.Li/Li)まで充電した。次いで、1.0mA/cm:2mAの定電流で放電終止電圧3.0V(vs.Li/Li)まで負荷放電した。これを5C充電時放電容量とする。
前記1C充電時放電容量に対する前記5C充電時放電容量の維持率を、図3に示す。
<10C負荷充電特性の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Aについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、以下の負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Aに、室温(25℃)下、1.0mA/cm:2mAの定電流で充電終止電圧5.2V(vs.Li/Li)まで充電した。次いで、1.0mA/cm:2mAの定電流で放電終止電圧3.0V(vs.Li/Li)まで放電した。この放電時の容量を1C放電容量とする。
次いで、蓄電素子Aに、室温(25℃)下、10.0mA/cm:20mAの定電流で充電終止電圧5.2V(vs.Li/Li)まで充電した。次いで、1.0mA/cm:2mAの定電流で放電終止電圧3.0V(vs.Li/Li)まで負荷放電した。この放電時の容量を10C充電時放電容量とする。
前記1C充電時放電容量に対する前記10C充電時放電容量の維持率を、図4に示す。
(実施例1)
−正極Bの作製−
比較例1と同様にして正極材組成物A(スラリーA)を作製し、平均厚み15μmのエッジング処理したアルミニウム集電体(日本蓄電器工業株式会社製、15CB)上に塗布し、室温(25℃)で2時間乾燥させ、更に120℃で5分間温風乾燥させて正極材層Bを形成した。
次いで、得られた積層体を直径16mmの丸型に打ち抜き加工して正極Bを作製した。
<正極Bを使用した非水電解液蓄電素子Bの作製>
コイン型蓄電素子作製用の缶(2032型、宝泉株式会社製)に、前記正極B、前記セパレータ、前記非水電解液、及び負極としてリチウム金属を入れ、非水電解液蓄電素子Bを作製した。
<充電容量及び放電容量の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Bについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、充放電試験を行った。このときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量を求めた。結果を表1に示した。
各サイクルにおける放電容量を図2、及び2回目以降の平均放電容量を表1に示す。図1及び表1から、比較例1の非水電解液蓄電素子Aの2回目以降の平均放電容量69mAh/gに対し、実施例1の非水電解液蓄電素子Bの2回目以降の平均放電容量74mAh/gであり、実施例1は放電容量を同程度以上維持できることがわかった。
<5C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Bについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用い、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Bにおける、1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率を、図3に示す。
図3より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は90%であるのに対し、実施例1の非水電解液蓄電素子Bの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は97%であり、本発明により蓄電素子の負荷充電の容量維持率が7%向上している。
<10C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Bについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用い、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Bにおける、1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率を、図4に示す。
図4より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は46%であるのに対し、実施例1の非水電解液蓄電素子Bの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は96%であり、本発明により蓄電素子の負荷充電の容量維持率が50%向上している。非水電解液蓄電素子Bの5C充電時容量維持率と同等であり、本発明により負荷充電の影響を受けない非水電解液蓄電素子の構築が可能である。
(実施例2)
−正極Cの作製−
比較例1と同様にして正極材組成物A(スラリーA)を作製し、平均厚み20μmのエッジング処理したアルミニウム集電体(日本蓄電池工業株式会社製、20CB)上に塗布し、室温(25℃)で2時間乾燥させ、更に120℃で5分間温風乾燥させて正極材層Cを形成した。
次いで、得られた積層体を直径16mmの丸型に打ち抜き加工して正極Cを作製した。
<正極Cを使用した非水電解液蓄電素子Cの作製>
コイン型蓄電素子作製用の缶(2032型、宝泉株式会社製)に、正極C、前記セパレータ、前記非水電解液、及び負極としてリチウム金属を入れ、非水電解液蓄電素子Cを作製した。
<充電容量及び放電容量の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Cについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、充放電試験を行った。このときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量を求めた。結果を表1に示した。
各サイクルにおける放電容量を図2、及び2回目以降の平均放電容量を表1に示す。図2及び表1から、比較例1の非水電解液蓄電素子Aの2回目以降の平均放電容量69mAh/gに対し、実施例2の非水電解液蓄電素子Cの2回目以降の平均放電容量72mAh/gであり、実施例2は放電容量を同程度以上維持できることがわかった。
<5C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Cについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Cにおける、1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率を、図3に示す。
図3より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は90%であるのに対し、実施例2の非水電解液蓄電素子Cの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は99%であり、本発明により蓄電素子の負荷充電の容量維持率が9%向上している。
<10C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Cについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Cにおける、1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率を、図4に示す。
図4より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は46%であるのに対し、実施例2の非水電解液蓄電素子Cの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は97%であり、本発明により蓄電素子の負荷充電の容量維持率が51%向上している。非水電解液蓄電素子Cの5C充電時容量維持率と同等であり、本発明により負荷充電の影響を受けない蓄電素子の構築が可能である。
(実施例3)
−正極Dの作製−
比較例1と同様にして正極材組成物A(スラリーA)を作製し、平均厚み30μmのエッジング処理したアルミニウム集電体(日本蓄電池工業株式会社製、30CB)上に塗布し、室温で2時間乾燥させ、更に120℃で5分間温風乾燥させて正極材層Dを形成した。次いで、得られた積層体を直径16mmの丸型に打ち抜き加工して正極Dを作製した。
<正極Dを使用した非水電解液蓄電素子Dの作製>
次に、コイン型蓄電素子作製用の缶(2032型、宝泉株式会社製)に、前記正極D、前記セパレータ、前記非水電解液、及び負極としてリチウム金属を入れ、非水電解液蓄電素子Dを作製した。
<充電容量及び放電容量の測定>
作製した非水電解液蓄電素子Dについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、充放電試験を行った。このときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量を求めた。結果を表1に示した。
各サイクルにおける放電容量を図2、及び2回目以降の平均放電容量を表1に示す。図2及び表1から、比較例1の非水電解液蓄電素子Aの2回目以降の平均放電容量69mAh/gに対し、実施例3の非水電解液蓄電素子Dの2回目以降の平均放電容量74mAh/gであり、実施例3は放電容量を同程度以上維持できることがわかった。
<5C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Dについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Dにおける、1C放電容量に対する5C放電容量の維持率を、図3に示す。
図3より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は90%であるのに対し、実施例3の非水電解液蓄電素子Dの1C充電時放電容量に対する5C充電時放電容量の維持率は98%であり、本発明により非水電解液蓄電素子の負荷充電の容量維持率が8%向上している。
<10C負荷充電特性の測定>
前記非水電解液蓄電素子Dについて、試験装置としてTOSCAT−3100(東洋システム株式会社製)を用いて、非水電解液蓄電素子Aと同様にして、負荷充電特性試験を行った。
非水電解液蓄電素子Dにおける、1C放電容量に対する10C放電容量の維持率を、図4に示す。
図4より比較例1の非水電解液蓄電素子Aの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は46%であるのに対し、実施例3の非水電解液蓄電素子Dの1C充電時放電容量に対する10C充電時放電容量の維持率は95%であり、本発明により非水電解液蓄電素子の負荷充電の容量維持率が49%向上している。非水電解液蓄電素子Dの5C充電時容量維持率と同等であり、本発明により負荷充電の影響を受けにくい非水電解液蓄電素子の構築が可能である。
以上の結果から、本発明の正極を用いた実施例1〜3の非水電解液蓄電素子は、比較例1の非水電解液蓄電素子に比べて、図2から分かるように放電容量を同程度以上維持でき、図3から分かるように5倍の電流値をかけた負荷充電試験での容量維持率が10%向上し、図4から分かるように10倍の電流値をかけた負荷充電試験での容量維持率が50%向上した。
したがって、本発明の正極を用いると、非水電解液蓄電素子の容量を高水準に維持しつつ負荷充電特性の向上を実現できることがわかった。
これは、正極をエッジング処理したアルミニウム箔を正極集電体として用いることにより、正極集電体界面と電極界面の抵抗が下がることによる効果である。
本発明の正極は、正極活物質が炭素であり抵抗が低い物質であるため、アルミニウム表面の被膜と電極間の抵抗が律速になる。前記界面の抵抗を下げられるため、本発明が有効であるということがわかった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 正極集電体と、前記正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層と、を有し、
1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であり、
前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔であることを特徴とする正極である。
<2> 1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が70mAh/g以上である前記<1>に記載の正極である。
<3> 前記炭素質材料が、グラファイト及びソフトカーボンの少なくともいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の正極である。
<4> 前記炭素質材料及び導電剤の含有量が、正極材層に対して80質量%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の正極である。
<5> 1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電したときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量が100mAh/g以上である前記<1>から<4>のいずれかに記載の正極である。
<6> 1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電したときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量が120mAh/g以上である前記<1>から<5>のいずれかに記載の正極である。
<7> 前記グラファイトのX線回折法で測定した(002)面の面間隔であるd(002)が0.33nm以上0.34nm以下である前記<3>から<6>のいずれかに記載の正極である。
<8> 前記表面が粗化された金属箔が、エッチング処理したアルミニウム箔である前記<1>から<7>のいずれかに記載の正極である。
<9> 非水電解液蓄電素子に用いられる前記<1>から<8>のいずれかに記載の正極である。
<10> 正極、負極、及び非水電解液を有する非水電解液蓄電素子であって、
前記正極が、前記<1>から<9>のいずれかに記載の正極であり、
正極活物質に挿入乃至脱離可能なアニオンが、PF 及びBF のいずれかであることを特徴とする非水電解液蓄電素子である。
<11> 前記非水電解液に含まれる電解質塩の濃度が、2mol/L以上である前記<10>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<12> 電解質塩が、LiPFである前記<11>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<13> 前記非水電解液に含まれる非水溶媒が、非プロトン性有機溶媒である前記<10>から<12>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<14> 前記非プロトン性有機溶媒が、カーボネート系有機溶媒である前記<13>に記載の非水電解液蓄電素子である。
<15> 使用電圧範囲が、2.5V〜5.5V(vs.Li/Li)である前記<10>から<14>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
<16> 正極と負極の間にセパレータを有する前記<10>から<15>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子である。
前記<1>から<9>のいずれかに記載の正極、及び前記<10>から<16>のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 負極引き出し線
6 正極引き出し線
10 非水電解液蓄電素子
特許第4286288号公報
Journal of The ElectrochemicalSociety,147(3)899−901(2000)

Claims (10)

  1. 正極集電体と、前記正極集電体上にアニオンを挿入及び脱離可能な炭素質材料を含む正極活物質及び導電助剤を含有する正極材層と、を有し、
    1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が50mAh/g以上であり、
    前記正極集電体が、表面が粗化された金属箔であることを特徴とする正極。
  2. 1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電し、1.0mA/cmで3.0V(vs.Li/Li)まで放電するサイクルを10サイクル行ったときの正極活物質の単位質量当りの2回目以降の平均放電容量が70mAh/g以上である請求項1に記載の正極。
  3. 前記炭素質材料が、グラファイト及びソフトカーボンの少なくともいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の正極。
  4. 前記炭素質材料及び導電剤の含有量が、正極材層に対して80質量%以上である請求項1から3のいずれかに記載の正極。
  5. 1.0mA/cmで5.2V(vs.Li/Li)まで充電したときの正極活物質の単位質量当りの初回充電容量が100mAh/g以上である請求項1から4のいずれかに記載の正極。
  6. 前記グラファイトのX線回折法で測定した(002)面の面間隔であるd(002)が0.33nm以上0.34nm以下である請求項3から5のいずれかに記載の正極。
  7. 前記表面が粗化された金属箔が、エッチング処理したアルミニウム箔である請求項1から6のいずれかに記載の正極。
  8. 正極、負極、及び非水電解液を有する非水電解液蓄電素子であって、
    前記正極が、請求項1から7のいずれかに記載の正極であり、
    正極活物質に挿入乃至脱離可能なアニオンが、PF 及びBF のいずれかであることを特徴とする非水電解液蓄電素子。
  9. 前記非水電解液に含まれる電解質塩の濃度が、2mol/L以上である請求項8に記載の非水電解液蓄電素子。
  10. 使用電圧範囲が、2.5V〜5.5V(vs.Li/Li)である請求項8から9のいずれかに記載の非水電解液蓄電素子。
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