図1には、本発明の実施形態に係る情報処理システムとしてのデザイン作成システムの一例が示されている。デザイン作成システムは、情報処理装置としてのデザイン作成装置10と端末装置12とを含む。デザイン作成装置10と端末装置12は、ネットワーク等の通信経路Nに接続されている。図1に示す例では、1つの端末装置12が通信経路Nに接続されているが、複数の端末装置12が通信経路Nに接続されてもよい。
デザイン作成装置10は、対象物のデザインであって要求に応じたテイスト(印象)を有するデザインを作成し、その対象物のデザインを表すデータ(例えば対象物の画像データやテンプレートデータ等)を出力物として提供する機能を備えている。対象物は、例えば、名刺、チラシ、広告、ダイレクトメール(DM)、ポスター、はがき、カタログ、その他の文書、衣服、車、建物、橋、等である。また、デザイン作成装置10は、他の装置との間でデータを送受信する機能を備えている。
端末装置12は、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話等の装置であり、他の装置との間でデータを送受信する機能を備えている。端末装置12は、例えば、デザインを作成するときに使用される。
本実施形態では、デザインの作成時に、デザイン作成の基礎となる情報が端末装置12からデザイン作成装置10に送信され、デザイン作成装置10において、その情報に基づいてデザインが作成される。
なお、端末装置12がデザイン作成装置10に組み込まれて、デザイン作成装置10と端末装置12が物理的に一体化された装置であってもよい。
以下、図2を参照して、デザイン作成装置10の構成について詳しく説明する。図2には、デザイン作成装置10の構成が示されている。
通信部14は通信インターフェースであり、通信経路Nを介して、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置からデータを受信する機能を備えている。例えば、通信部14により、対象物のデザインを表すデータが端末装置12に送信され、端末装置12から送信された情報(例えばデザイン作成の基礎となる情報)が受信される。
感性評価DB(データベース)16はハードディスク等の記憶装置であり、感性スコアローデータを記憶する。感性スコアローデータは、デザイン作成の対象物毎及びテイスト毎に予め作成されたデータであり、デザインのテイスト(印象)を示す感性情報と、そのテイストに対する各デザイン要素の適合度(関連度)を示す感性スコア(評価値)と、の対応付けを示すデータである。テイストは、例えば、ある対象に対して人が有する印象を類型化した嗜好モデルに基づいて予め決定される。デザイン作成の対象物は、例えば複数のデザインカテゴリ(デザイン部分、デザインアイテム)により構成され、デザイン要素は、その対象物を構成する各デザインカテゴリ(各デザイン部分、各デザインアイテム)のデザインを規定する要素である。個々のデザインカテゴリ毎に複数のデザイン要素が定義され、テイストに対する各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。感性スコアは、例えば、数量化1類に従った感性評価実験により得られた値である。例えば、デザイン要素の持つテイスト(印象)がデザインのテイストに合致するほど、そのデザイン要素の適合度(関連度)は高くなる。
また、感性評価DB16には、感性評価データが記憶されている。感性評価データは、デザイン作成の対象物毎及びテイスト毎に予め作成されたデータであり、デザインのテイストを示す感性情報と、そのテイストに適合(関連)する適合デザイン要素と、の対応付けを示すデータである。適合デザイン要素は、それに対応するテイストを有するデザイン要素であると評価される。対象物を構成する個々のデザインカテゴリ毎に、デザインのテイストに適合する適合デザイン要素が予め特定されており、適合デザイン要素が感性評価データに示されている。例えば、対象物を構成する個々のデザインカテゴリ毎に、当該デザインカテゴリに属する複数のデザイン要素の中から、感性スコア(適合度)に基づいて、適合デザイン要素が決定される。具体的には、対象物を構成する個々のデザインカテゴリ毎に、感性スコアの最も高いデザイン要素が適合デザイン要素として採用される。感性評価データは、例えば、上記の感性スコアローデータから求められる。
関係性DB(データベース)18はハードディスク等の記憶装置であり、各感性情報間の関係性を示す関係性データを記憶する。その関係性データは予め作成されたデータであり、各感性情報間において、それらが示す各テイストの近さを示すデータである。感性情報は例えばテイストを示す感性語であり、関係性データには、各感性語間における意味の近さが規定されている。この関係性データを参照することにより、各感性語間の意味の近さが特定される。
印象マップDB(データベース)20はハードディスク等の記憶装置である。感性情報が示すテイストが数値化されており、その数値が印象マップDB20に記憶されている。例えば、印象マップDB20には、印象マップデータ(テイストマップデータ)が記憶されている。印象マップは、テイスト(印象)の分布を示す1次元又は多次元のマップである。感性情報が示すテイストが、その印象マップ上の座標として定義されている。
類義語DB(データベース)22はハードディスク等の記憶装置であり、類義語データを記憶する。その類義語データは予め作成されたデータであり、感性語とその感性語の類義語(同義語)との対応付けを示すデータである。
感性評価データに規定されている感性情報(例えば感性語)の数Aと、関係性データに規定されている感性情報の数Bと、類義語データに規定されている感性情報の数Cと、を比較すると、C>B>Aの関係が成立するものとする。もちろん、この関係は一例に過ぎず、他の関係(任意の関係)が成立してもよい。
テイスト算出部24は、デザイン作成の対象物に対するテイストを示す対象物感性情報を受け、その対象物のデザインを作成するためのテイストを算出する機能を備えている。具体的には、テイスト算出部24は、対象物を構成する個々のデザインカテゴリ毎に、その対象物のデザインを作成するためのデザイン要素を決定する。
例えば、対象物感性情報が感性評価DB16に記憶されている場合、つまり、その対象物感性情報が感性評価データに含まれている場合、テイスト算出部24は、その対象物感性情報が示すテイストを、対象物のデザインを作成するためのテイストとして採用する。具体的には、テイスト算出部24は、その対象物感性情報に対応付けられている適合デザイン要素を、対象物のデザインを作成するためのデザイン要素として採用する。
対象物感性情報が感性評価DB16に記憶されていない場合、つまり、その対象物感性情報が感性評価データに含まれていない場合、テイスト算出部24は、関係性DB18内を検索する。対象物感性情報が関係性DB18に記憶されている場合、つまり、その対象物感性情報が関係性データに含まれている場合、テイスト算出部24は、その対象物感性情報との関係が定義されている別の感性情報が示すテイストにより補間して、対象物のデザインを作成するためのテイストを算出する。具体的には、テイスト算出部24は、別の感性情報に対応付けられている適合デザイン要素により補間して、対象物のデザインを作成するためのデザイン要素を算出する。
対象物感性情報が感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、つまり、その対象物感性情報が感性評価データと関係性データのいずれにも含まれていない場合、テイスト算出部24は、類義語DB22内を検索する。対象物感性情報が類義語DB22に記憶されている場合、つまり、その対象物感性情報が示す感性語が類義語データに含まれている場合、テイスト算出部24は、その類義語データから類義語を取得し、その類義語を用いて、上記の別の感性情報を決定し、その別の感性情報が示すテイストにより補間して、対象物のデザインを作成するためのテイストを算出する。
デザイン作成部26は、テイスト算出部24により採用又は算出されたテイストに従って、デザイン作成の対象物のデザインを表すデータ(例えば対象物の画像データやテンプレートデータ等)を出力物として作成する機能を備えている。具体的には、デザイン作成部26は、テイスト算出部24により採用又は算出されたデザイン要素を用いて、対象物のデザインを表すデータを作成する。
制御部28は、デザイン作成装置10の各部の動作を制御する機能を備えている。
図3を参照して、端末装置12の構成について詳しく説明する。図3には、端末装置12の構成が示されている。
通信部30は通信インターフェースであり、通信経路Nを介して、他の装置にデータを送信する機能、及び、他の装置からデータを受信する機能を備えている。例えば、通信部30により、デザイン作成の基礎となる情報がデザイン作成装置10に送信され、デザイン作成装置10から送信されたデザインを表すデータが受信される。記憶部32はハードディスク等の記憶装置であり、プログラムやデータ等を記憶する。UI部34はユーザインターフェースであり、表示部と操作部を含む。表示部は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置であり、操作部は、例えばキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置である。制御部36は端末装置12の各部の動作を制御する機能を備えている。
図4を参照して、印象マップ(テイストマップ)について詳しく説明する。図4には、印象マップの一例が示されている。印象マップ38は、例えば、2つの軸(x軸、y軸)で規定された2次元マップである。印象マップ38上の各座標には、感性情報が予め対応付けられている。印象マップ38上の座標を指定することにより、その座標に対応するテイスト(印象)が特定される。印象マップ38においては、横軸(x軸)がテイストの指標「WARM」と「COOL」を規定する指標軸であり、縦軸(y軸)がテイストの指標「HARD」と「SOFT」を規定する指標軸である。例えば、右側の領域ほど「COOL」の印象が強くなっている。つまり、右側の領域ほど「COOL」感が強く感じられるテイストが対応付けられている。一方、左側の領域ほど「WARM」の印象が強くなっている。つまり、左側の領域ほど「WARM」感が強く感じられるテイストが対応付けられている。また、上側の領域ほど「SOFT」の印象が強くなっている。つまり、上側の領域ほど「SOFT」感が強く感じられるテイストが対応付けられている。一方、下側の領域ほど「HARD」の印象が強くなっている。つまり、下側の領域ほど「HARD」感が強く感じられるテイストが対応付けられている。
図4に示す例では、印象マップ38は複数の領域に分割されており、各領域に感性情報(例えば符号40で示すテイスト「ロマンチック」等)が対応付けられている。印象マップ38は予め作成され、そのデータは印象マップDB20に予め記憶されている。対象物毎に異なる印象マップが定義されてもよいし、複数の対象物に対して共通の印象マップが定義されてもよい。なお、印象マップは、3次元以上の次元を有するマップであってもよいし、1次元のマップであってもよい。
以下、デザイン作成装置10に記憶されている各データの構造について説明する。図5及び図6には、感性スコアローデータの一例が示されている。感性スコアローデータは、デザイン作成の対象物毎及びデザインのテイスト毎に予め作成されたデータであり、感性評価DB16に記憶されている。感性スコアローデータにおいては、デザインカテゴリ(デザインアイテム)42とデザイン要素44と感性スコア46とが対応付けられている。デザインカテゴリは、対象物を構成する個々のデザイン部分である。各デザインカテゴリには1又は複数のデザイン要素が定義されている。各デザイン要素は、そのデザインカテゴリのデザインを規定する要素である。感性スコアは、テイストに対するデザイン要素の適合度を示す値であり、例えば、数量化1類の分析により得られた値である。
図5及び図6に示す例では、対象物は「名刺」であり、デザインのテイストは「ダイナミック」である。つまり、図5及び図6に示されている感性スコアローデータは、対象物を「名刺」として、テイスト「ダイナミック」に対する各デザイン要素の適合度を示すデータである。一例として、「紙方向」、「カラーモード」、「背景のテンプレート」、「文字要素の分布」、等が、対象物「名刺」のデザインカテゴリである。デザインカテゴリ毎に1又は複数のデザイン要素が定義され、テイスト「ダイナミック」に対する各デザイン要素の適合度が求められている。一例として、感性スコアの高いデザイン要素ほど、そのデザイン要素が持つテイスト(印象)がテイスト「ダイナミック」に合致しており、テイスト「ダイナミック」に適していると評価される。
例えば、デザインカテゴリ「紙方向」については、デザイン要素「1:横」の感性スコアは「0.05」であり、デザイン要素「2:縦」の感性スコアは「−0.05」である。つまり、デザイン要素「2:縦」よりもデザイン要素「1:横」の方が、対象物「名刺」の「紙方向」に関して、テイスト「ダイナミック」をより適切に表現していると評価されている。すなわち、デザイン要素「2:縦」よりもデザイン要素「1:横」の方が、よりダイナミックな印象を与えると評価されている。
また、デザインカテゴリ「背景のテンプレート」については、デザイン要素「太い斜線」の感性スコアが最も高くなっている。つまり、対象物「名刺」の「背景のテンプレート」に関して、他のデザイン要素と比べて、デザイン要素「7:太い斜線」がテイスト「ダイナミック」をより適切に表現していると評価されている。すなわち、デザイン要素「7:太い斜線」が他のデザイン要素と比べて、よりダイナミックな印象を与えると評価されている。
対象物「名刺」に関して、テイスト「ダイナミック」以外のテイストについても、図5及び図6に示されているデザインカテゴリ及びデザイン要素と同一のデザインカテゴリ及びデザイン要素が定義されており、各デザイン要素の感性スコアが求められている。対象物「名刺」に関して、各テイストについての感性スコアローデータが予め作成されて、感性評価DB16に記憶されている。
なお、図5及び図6に示す例では、対象物が「名刺」の場合について説明したが、他の対象物についても同様にテイスト毎に感性スコアローデータが予め作成されて、感性評価DB16に記憶されている。例えば、広告、チラシ、ポスター、はがき、その他の文書、衣服、車、建物、橋、等について、それぞれの感性スコアローデータが予め作成されて感性評価DB16に記憶されている。対象物毎にデザインカテゴリとデザイン要素が定義され、各デザイン要素の感性スコアが求められる。例えば、「名刺」と「広告」とでは、異なるデザインカテゴリとデザイン要素が定義される。
上記の感性スコアローデータに基づいて、感性評価データが求められる。図7には、感性評価データとしての感性評価テーブルの一例が示されている。この感性評価テーブルは、対象物「名刺」に関する感性スコアローデータに基づいて予め作成された「名刺」に関する感性評価テーブルであり、そのデータは感性評価DB16に記憶されている。感性評価テーブルにおいては、感性ID、感性語、デザインカテゴリ(デザイン部分)毎の適合デザイン要素、及び、適合デザイン要素の感性スコアが対応付けられている。感性語は、テイストを示す感性情報の一例である。図7に示す例では、感性語として、「プリティ」、「カジュアル」、等が感性評価テーブルに含まれている。デザインカテゴリは、上述したように、対象物「名刺」を構成するデザイン部分であり、図7に示す例では、デザインカテゴリとして、「背景(のテンプレート)」、「(文字の)レイアウト」、「氏名のフォント」、等が感性評価テーブルに含まれている。適合デザイン要素は、それが属するデザインカテゴリに対して定義された複数のデザイン要素の中で、感性スコア(適合度)が最も高いデザイン要素である。
テイスト「プリティ」について説明すると、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「1.渦状の木」の感性スコア(0.7727)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「1.渦状の木」が、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関する適合デザイン要素として選択されている。また、デザインカテゴリ「(文字の)レイアウト」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「1.前揃え」の感性スコア(0.0912)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「1.前揃え」が、デザインカテゴリ「(文字の)レイアウト」に関する適合デザイン要素として選択されている。また、デザインカテゴリ「氏名のフォント」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「7.えるまー」の感性スコア(0.1419)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「7.えるまー」が、デザインカテゴリ「氏名のフォント」に関する適合デザイン要素として選択されている。
他のテイスト(感性語)及び他のデザインカテゴリについても同様に、感性スコアが最も高いデザイン要素が適合デザイン要素として選択されている。また、「名刺」以外の他の対象物についても同様に、適合デザイン要素が選択されて感性評価テーブルが作成される。
感性評価テーブルには、デザインカテゴリ毎に感性スコアが最も高いデザイン要素が含まれている。それ故、指定されたテイスト(感性語)に対応する適合デザイン要素を感性評価テーブルから取得し、適合デザイン要素を用いて対象物のデザインを作成することにより、指定されたテイストを有するデザインが作成される。
図8を参照して、関係性データについて説明する。図8には、関係性データとしての関係性テーブルの一例が示されている。この関係性テーブルは、対象物「名刺」に関して予め作成されたテーブルであり、そのデータは関係性DB18に記憶されている。関係性テーブルにおいては、関係ID、感性語、意味の近い感性語、及び、距離が対応付けられている。意味の近い感性語は、テイストを示す感性情報の一例であり、対応する感性語が有する意味に近い意味を有する感性語、つまり、対応する感性語が示すテイストに近いテイストを示す感性語である。距離は、各感性語間において、それらが有する各意味(テイスト)の近さを示す指標値であり、例えば印象マップ上の距離である(図4参照)。この関係性テーブルを参照することにより、ある感性語との間で意味(テイスト)の近い感性語が特定される。
例えば、感性語「美しい」に対して、意味の近い感性語として感性語「プリティ」が対応付けられている。印象マップ上において、テイスト「美しい」の座標とテイスト「プリティ」の座標との間の距離は、0.0263である。この値が小さいほど、両感性語の意味(テイスト)が近いことになる。
図9を参照して、印象マップテーブルについて説明する。図9には、その印象マップテーブルの一例が示されている。この印象マップテーブルは、対象物「名刺」用の印象マップ上における各感性語(テイスト)の座標を示すテーブルであり、そのデータは予め作成されて印象マップDB20に記憶されている。図9に示す例では、感性語「プリティ」、「美しい」等について、印象マップ上におけるそれらの座標(x、y)が印象マップテーブルに含まれている。
図10を参照して、類義語データについて説明する。図10には、類義語データとしての類義語テーブルの一例が示されている。この類義語テーブルは、対象物「名刺」に関して予め作成されたテーブルであり、そのデータは類義語DB22に記憶されている。類義語テーブルにおいては、感性語ID、感性語、及び、類義語(又は同義語)が対応付けられている。類義語は、対応する感性語が有する意味に近い意味を有する感性語、つまり、対応する感性語が示すテイストに近いテイストを示す感性語である。対応する感性語の同義語も、類義語群に含まれてもよい。
以下、図11から図14を参照して、「名刺」以外の対象物に関するデータについて説明する。図11から図14に示す例では、対象物は「衣服」である。対象物「衣服」についても、テイスト毎に感性スコアローデータが予め作成されて感性評価DB16に記憶されている。また、印象マップとして、対象物「衣服」用の印象マップが定義されてもよいし、対象物「名刺」と同じ印象マップが用いられてもよい。
対象物「衣服」に関する感性スコアローデータに基づいて、対象物「衣服」に関する感性評価データが求められる。図11には、その感性評価データとしての感性評価テーブルの一例が示されている。この感性評価テーブルは、対象物「衣服」に関する感性スコアローデータに基づいて作成された「衣服」に関する感性評価テーブルであり、そのデータは感性評価DB16に記憶されている。「衣服」に関する感性評価テーブルにおいても、感性ID、感性語、デザインカテゴリ毎の適合デザイン要素、及び、適合デザイン要素の感性スコアが対応付けられている。図11に示す例では、感性語として、「プリティ」、「カジュアル」、等が感性評価テーブルに含まれている。デザインカテゴリは、対象物「衣服」を構成するデザイン部分であり、図11に示す例では、デザインカテゴリとして、「輪郭線」、「襟」、「ウエストライン」、等が感性評価テーブルに含まれている。適合デザイン要素は、それが属するデザインカテゴリに対して定義された複数のデザイン要素の中で、感性スコア(適合度)が最も高いデザイン要素である。
テイスト「プリティ」について説明すると、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「3.Xライン」の感性スコア(0.5241)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「3.Xライン」が、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に関する適合デザイン要素として選択されている。また、デザインカテゴリ「襟」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「2.立襟」の感性スコア(0.2820)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「2.立襟」が、デザインカテゴリ「襟」に関する適合デザイン要素として選択されている。また、デザインカテゴリ「(衣服の)ウエストライン」に属する複数のデザイン要素の中で、デザイン要素「1.High」の感性スコア(0.1401)が最も高い。それ故、そのデザイン要素「1.High」が、デザインカテゴリ「(衣服の)ウエストライン」に関する適合デザイン要素として選択されている。他のテイスト(感性語)及び他のデザインカテゴリについても同様に、感性スコアが最も高いデザイン要素が適合デザイン要素として選択されている。
図12を参照して、対象物「衣服」に関する関係性データについて説明する。図12には、その関係性データとしての関係性テーブルの一例が示されている。この関係性テーブルは、対象物「衣服」に関して予め作成されたテーブルであり、そのデータは関係性DB18に記憶されている。例えば、感性語「スポーティ」に対して、意味の近い感性語として感性語「カジュアル」が対応付けられている。印象マップ上において、テイスト「スポーティ」の座標とテイスト「カジュアル」の座標との間の距離は、0.0203である。
図13を参照して、対象物「衣服」に関する印象マップテーブルについて説明する。図13には、その印象マップテーブルの一例が示されている。この印象マップテーブルは、対象物「衣服」用の印象マップ上における各感性語(テイスト)の座標を示すテーブルであり、そのデータは予め作成されて印象マップDB20に記憶されている。図13に示す例では、感性語「プリティ」、「楽な」等について、印象マップ上におけるそれらの座標(x、y)が印象マップテーブルに含まれている。
図14を参照して、対象物「衣服」に関する類義語データについて説明する。図14には、その類義語データとしての類義語テーブルの一例が示されている。この類義語テーブルは、対象物「衣服」に関して予め作成されたテーブルであり、そのデータは類義語DB22に記憶されている。
以下、図15を参照して、本実施形態に係るデザイン作成装置による処理について説明する。図15には、その処理を示すフローチャートが示されている。
まず、ユーザにより、デザイン作成の対象物に対するテイスト(印象)を示す対象物感性語が入力される(S01)。対象物感性語は対象物感性情報の一例に相当する。例えば、端末装置12にて対象物感性語が入力されると、その対象物感性語を示す情報が、通信経路Nを介して、端末装置12からデザイン作成装置10に送信される。もちろん、デザイン作成装置10にて対象物感性語が直接入力されてもよい。
次に、テイスト算出部24は、感性評価DB16を対象として対象物感性語を検索する。対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されている場合(S02,Yes)、テイスト算出部24は、その対象物感性語に対応付けられている適合デザイン要素を、対象物のデザインを作成するためのデザイン要素として採用する。デザイン作成部26は、対象物感性語に対応付けられている適合デザイン要素を用いて、対象物のデザインを表すデータ(例えば対象物の画像データやテンプレートデータ等)を作成する(S03)。そのデータは、通信経路Nを介してデザイン作成装置10から端末装置12に送信される。端末装置12のUI部34には、そのデータに基づき、対象物の画像やテンプレート等が表示される。
例えば、対象物「名刺」のデザインを作成する場合において、対象物感性語として「プリティ」が入力されたものとする。図7に示すように、この対象物感性語は感性評価テーブルに含まれている。つまり、この対象物感性語を示す情報は感性評価DB16に記憶されている。この場合、デザイン作成部26は、対象物感性語「プリティ」に対応付けられている適合デザイン要素を用いて、「名刺」のデザインを表すデータを作成する。図7に示す例では、名刺の背景のデザインとして適合デザイン要素「1.渦状の木」が用いられ、文字のレイアウトとして適合デザイン要素「1.前揃え」が用いられ、氏名のフォントとして適合デザイン要素「7.えるまー」が用いられる。これにより、「名刺」のデザインとして、ユーザにより指定されたテイスト「プリティ」を有するデザインが作成される。そのデザインを有する名刺の画像やテンプレートが、端末装置12のUI部34に表示される。
一方、対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されていない場合(S02,No)、テイスト算出部24は、関係性DB18を対象として対象物感性語を検索する(S04)。対象物感性語を示す情報が関係性DB18に記憶されている場合(S05,Yes)、テイスト算出部24は、その対象物感性語が示す印象の隣接範囲に含まれる印象を有する隣接感性語を関係性DB18から取得する(S06)。隣接感性語は、対象物感性語が有する意味に近い意味を有する感性語である。つまり、対象物感性語が示すテイストに近いテイストを示す感性語が、隣接感性語に相当する。例えば、テイスト算出部24は、図8に示されている関係性テーブルを参照し、対象物感性語に対応付けられている隣接感性語(意味の近い感性語)を関係性テーブルから取得する。
次に、テイスト算出部24は、隣接感性語の感性スコアローデータを感性評価DB16から取得する(S07)。複数の隣接感性語が抽出された場合、各隣接感性語の感性スコアローデータが取得される。
次に、テイスト算出部24は、対象物感性語が示すテイストと隣接感性語が示すテイストとの差、つまり、印象マップ上における対象物感性語の座標と隣接感性語の座標との間の距離を演算する。そして、テイスト算出部24は、その距離と、隣接感性語に対応付けられているデザイン要素の感性スコアと、を用いて、デザインカテゴリ毎に、対象物感性語が示すテイストに対する各デザイン要素の感性スコアを演算する(S08)。そして、テイスト算出部24は、感性スコアに基づいて、対象物感性語が示すテイストに適合する適合デザイン要素を決定する(S09)。テイスト算出部24は、例えば、デザインカテゴリ毎に、当該デザインカテゴリに属する複数のデザイン要素の中から感性スコアが最も大きいデザイン要素を適用デザイン要素として選択する。この適用デザイン要素を用いて、対象物のデザインを表すデータが作成される(S03)。そのデータは端末装置12に送信され、端末装置12に対象物の画像やテンプレートが表示される。
一方、対象物感性語を示す情報が関係性DB18に記憶されていない場合(S05,No)、テイスト算出部24は、類義語DB22を対象として対象物感性語を検索し(S10)、対象物感性語の類義語を類義語DB22から取得する(S11)。例えば、テイスト算出部24は、図10に示されている類義語テーブルを参照し、対象物感性語の類義語(同義語)を抽出する。次に、テイスト算出部24は、印象マップ上において、抽出された類義語の座標を用いて対象物感性語の仮座標を決定する(S12)。一例として、類義語テーブルから3つの類義語が抽出され、感性マップ上において、各類義語の座標を含む円が形成され、その円の中心座標が特定される。次に、類義語テーブルに含まれる類義語群の中から、その中心座標から最も遠い座標に対応する類義語が抽出される。抽出された類義語の座標が円内に含まれる場合、その中心座標が対象物感性語の仮座標として特定される。抽出された類義語の座標が円内に含まれない場合、3つの類義語の中の1つが、最も遠い座標に対応する類義語に置き換えられて、置き換え後の3つの類義語を対象として上記の処理が行われる。最も遠い座標に対応する類義語の座標が円内に含まれるまで、上記の処理が繰り返される。対象物感性語の仮座標が特定された場合、テイスト算出部24は、その仮座標に隣接する感性語(隣接感性語)を特定する(S13)。次に、ステップS07以降の処理が実行される。
以下、図16を参照して、上記ステップS06〜S09の処理について詳しく説明する。図16には、印象マップの一例が示されている。符号48は、対象物感性語(例えばテイスト「かわいい」)に対応する座標を示している。符号50は、感性語の抽出範囲を示している。抽出範囲は、例えば、対象物感性語の座標を中心とする円状の範囲である。その範囲の大きさ、形状は、予め決定されており、それらが任意に変更されてもよい。対象物感性語が感性評価DB16に記憶されていない場合、抽出範囲内の座標に対応する感性語が隣接感性語として抽出される。例えば、符号52,54,56で示す各座標に対応する感性語が、隣接感性語として抽出される。符号52で示す座標はテイスト「若々しい」に対応しており、符号54で示す座標はテイスト「プリティ」に対応しており、符号56で示す座標はテイスト「遊び心のある」に対応している。
上述したステップS08の処理(対象物感性語が示すテイストに対する各デザイン要素の感性スコアの演算処理)は、具体的には、以下の手順に従って行われる。以下の処理は、テイスト算出部24によって行われる。
まず、以下の式(1)に従って、印象マップ38上における対象物感性語の座標と隣接感性語の座標との間の距離が演算される。
(xt,yt)は、対象物感性語の座標である。
(x1,y1)は、符号52で示す座標(隣接感性語の座標)である。
(x2,y2)は、符号54で示す座標(隣接感性語の座標)である。
(xn,yn)は、符号56で示す座標(隣接感性語の座標)である。
nは、抽出範囲内に含まれる隣接感性語の数である。
Dist1は、対象物感性語「かわいい」と隣接感性語「若々しい」との間の距離である。
Dist2は、対象物感性語「かわいい」と隣接感性語「プリティ」との間の距離である。
Distnは、対象物感性語「かわいい」と隣接感性語「遊び心のある」との間の距離である。
次に、以下の式(2)に従って、距離の総和に対する各距離の割合が演算される。
対象物感性語との間の距離が短い隣接感性語ほど、つまり、対象物感性語が示すテイストとの差が小さい隣接感性語ほど、距離の総和に対する距離の割合(Rate0fDist)が小さくなる。
次に、以下の式(3)に従って、対象物感性語が示すテイストに対する各隣接感性語の寄与度が演算される。nは、隣接感性語の数である。
対象物感性語との間の距離が短い隣接感性語ほど、つまり、対象物感性語が示すテイストとの差が小さい隣接感性語ほど、寄与度(Rate)が大きくなる。
次に、以下の式(5)に従って、対象物感性語が示すテイストに対する各デザイン要素の感性スコアが演算(推定)される。
kは、デザイン要素を識別するための番号である。
Ki_CScorekは、隣接感性語に対応付けられているデザイン要素kの感性スコアである。
Kt_CScorekは、対象物感性語が示すテイストに対応するデザイン要素kの感性スコアである。
上記の式(5)に従って、対象物感性語が示すテイストに対する各デザイン要素の感性スコアが演算されると、デザインカテゴリ毎に、複数のデザイン要素の中から、感性スコアが最も大きいデザイン要素が適用デザイン要素として選択される。この適用デザイン要素を用いて、対象物のデザインが作成される。
以下、具体例を挙げて、本実施形態に係るデザイン作成装置10による処理について説明する。一例として、「名刺」のデザインを作成するものとする。そのデザインを作成する際に、端末装置12において、ユーザにより、名刺に表示される名刺情報(ユーザの個人情報)と対象物感性語(テイスト)が入力される。それらの情報は、通信経路Nを介して端末装置12からデザイン作成装置10に送信される。もちろん、それらの情報はデザイン作成装置10に直接入力されてもよい。
ここで、図17を参照して、名刺情報を入力するための画面について説明する。図17には、その画面の一例が示されている。名刺情報登録画面58は、名刺情報を入力するための画面であり、例えば、端末装置12のUI部34に表示される。名刺情報登録画面58には入力欄60が含まれており、その入力欄60に、氏名等の名刺情報(個人情報)が入力されるようになっている。入力欄60に名刺情報が入力されると、その名刺情報が表示された名刺の画像62が、名刺情報登録画面58に表示される。その画像62は、デフォルトのデザインを有する名刺の画像である。
対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されている場合、その対象物感性語に対応付けられている各適合デザイン要素、つまり、各デザインカテゴリにおいて最大の感性スコアを有するデザイン要素を用いて、対象物「名刺」のデザインが作成される。
図18には、適合デザイン要素を用いて作成された対象物「名刺」のデザインの一例が示されている。一例として、対象物感性語「ダイナミック」がユーザにより指定されたものとする。この場合、対象物感性語「ダイナミック」に対応付けられている各適合デザイン要素を用いてデザインが作成される。例えば図5及び図6に示すように、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」の適合デザイン要素は「7:太い斜線」であり、デザインカテゴリ「文字要素の分布」の適合デザイン要素は「6:放射」である。他のデザインカテゴリについても適合デザイン要素が決定されている。これらの適合デザイン要素を用いて、「ダイナミック」な印象を与えるデザインを有する名刺の画像64が作成される。この画像64には、ユーザにより入力された名刺情報が表されている。画像64のデータは、例えばデザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、画像64が表示される。画像64は、例えばテンプレートとして機能し、ユーザにより編集されてもよい。例えば、フォントの種類、文字の配置、色、デザイン、名刺情報、等が、ユーザにより編集される。
以下、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されていない場合について説明する。
(実施例1)
以下、実施例1について説明する。実施例1では、対象物「名刺」のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されているものとする。
まず、端末装置12において、ユーザにより、名刺に表示される名刺情報(ユーザの個人情報)と対象物感性語(テイスト)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「名刺」が指定される。それらの情報は、通信経路Nを介して端末装置12からデザイン作成装置10に送信される。もちろん、それらの情報はデザイン作成装置10に直接入力されてもよい。実施例1では、対象物感性語として感性語「美しい」がユーザにより指定されたものとする。
図19には、入力された個人情報(名刺情報)の一例が示されている。例えば、氏名、会社名、部署、肩書、住所、電子メール、電話番号、等が、個人情報として入力される。
対象物感性語「美しい」を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されている場合、テイスト算出部24は、対象物感性語「美しい」の意味に近い意味を有する隣接感性語を関係性DB18から抽出する。例えば、テイスト算出部24は、図8に示されている関係性テーブルを参照し、対象物感性語「美しい」に対応付けられている隣接感性語(意味の近い感性語)を関係性テーブルから抽出する。対象物感性語との間の距離が基準距離以下となる感性語が、隣接感性語として抽出されてもよい。その基準距離は、予め設定された値であり、ユーザ等により任意の値に変更されてもよい。図20には、抽出された隣接感性語の一例が示されている。一例として、対象物感性語「美しい」との間の距離が0.1以下となる感性語、例えば、感性語「プリティ」、「ロマンチック」及び「若々しい」が、隣接感性語として抽出されている。
次に、テイスト算出部24は、隣接感性語「プリティ」、「ロマンチック」及び「若々しい」のそれぞれの感性スコアローデータを感性評価DB16から取得する。図21には、その感性スコアローデータの一例が示されている。各隣接感性語の感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。背景1,2,3,・・・は、デザインカテゴリ「背景のテンプレート」に属するデザイン要素であり、各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。
次に、テイスト算出部24は、上記の式(4)に従って、各隣接感性語の寄与度Rateを演算する。下記の式(6)は、各寄与度の具体的な計算式である。Rate
1は隣接感性語「プリティ」の寄与度であり、Rate
2は隣接感性語「ロマンチック」の寄与度であり、Rate
3は隣接感性語「若々しい」の寄与度である。Dist
1は、対象物感性語「美しい」と隣接感性語「プリティ」との間の距離であり、Dist
2は、対象物感性語「美しい」と隣接感性語「ロマンチック」との間の距離であり、Dist
3は、対象物感性語「美しい」と隣接感性語「若々しい」との間の距離である。
次に、テイスト算出部24は、各隣接感性語の寄与度Rateと、各隣接感性語に対応付けられているデザイン要素の感性スコアと、を用い、上記の式(5)に従って、対象物感性語「美しい」に対する各デザイン要素の感性スコアを演算する。例えば、対象物感性語「美しい」に対するデザイン要素「背景1」の感性スコアは、以下のようにして求められる。
デザイン要素「背景1」の感性スコア=
「プリティ」の「背景1」の感性スコア×「プリティ」の寄与度Rate1+
「ロマンチック」の「背景1」の感性スコア×「ロマンチック」の寄与度Rate2+
「若々しい」の「背景1」の感性スコア×「若々しい」の寄与度Rate3
=0.7727×0.4181+0.6512×0.3885+0.4212×0.1934
=0.6575
以上のようにして、対象物感性語「美しい」について、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが演算(推定)され、これにより、対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータが演算(推定)される。
図22には、演算(推定)された感性スコアローデータの一例が示されている。対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。各感性スコアは、上記の式(5)に従って演算された値である。図22には、デザインカテゴリ「背景のテンプレート」に属するデザイン要素「背景1,2,3,・・・」の感性スコアが示されている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが演算される。
次に、テイスト算出部24は、対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータに基づいて、対象物感性語「美しい」に適合する適合デザイン要素を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、デザインカテゴリ毎に、複数のデザイン要素の中から感性スコアが最も大きいデザイン要素(最大デザイン要素)を選択する。そして、テイスト算出部24は、感性評価DB16に記憶されている各テイスト(感性語)の感性スコアローデータを参照し、デザインカテゴリ毎に、各テイストの感性スコアローデータに規定されている複数のデザイン要素の中で、最大デザイン要素に最も近い感性スコアを有するデザイン要素を、対象物感性語に対する適合デザイン要素として採用する。例えば、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に属する複数のデザイン要素(背景1,2,3,・・・)の中で、デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.6575)が最も高い。それ故、デザイン要素「背景1」が、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関する最大デザイン要素として選択される。そして、各テイスト(感性語)の感性スコアローデータにおいて、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に属する複数のデザイン要素の中で、最大デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.6575)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関する適合デザイン要素として採用される。デザインカテゴリ毎に適合デザイン要素が決定され、これにより、対象物感性語「美しい」についての感性評価データが演算(推定)される。
図23には、演算(推定)された感性評価データとしての感性評価テーブルの一例が示されている。図22に示すように、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関しては、デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.6575)が最大であるため、その感性スコア(0.6575)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、適合デザイン要素として採用されている。具体的には、デザイン要素「1.渦状の木」の感性スコアが0.6575であるため、デザイン要素「1.渦状の木」が適合デザイン要素として採用されている。他のデザインカテゴリについても同様にして適合デザイン要素が決定される。
対象物感性語「美しい」についての感性評価データが演算(推定)されると、デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれている各適合デザイン要素を用いて、対象物「名刺」のデザインを表すデータ(例えば「名刺」の画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、名刺の画像やテンプレート等が表示される。端末装置12において、名刺のデザインや名刺情報が編集されてもよい。
以上の処理により、ユーザにより指定された対象物感性語が感性評価DB16に記憶されていない場合において、その対象物感性語が関係性DB18に記憶されている場合、隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、対象物感性語についての適合デザイン要素が予め決定されていない場合であっても、対象物感性語用の適合デザイン要素が推定され、対象物感性語が示すテイストと同一のテイスト又はそれに近いテイストを有するデザインが作成される。隣接感性語は、他の感性語と比べて、対象物感性語に近い意味(テイスト)を有する。それ故、隣接感性語の適合デザイン要素により補間して対象物のデザインを作成することにより、隣接感性語以外の感性語の適合デザイン要素を用いる場合と比べて、対象物感性語が示すテイストにより近いテイストを有するデザインが作成される。
(実施例2)
以下、実施例2について説明する。実施例2では、対象物「名刺」のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていないものとする。
まず、ユーザにより、名刺情報(ユーザの個人情報)と対象物感性語(テイスト)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「名刺」が指定される。実施例2では、対象物感性語として感性語「ビューティフル」がユーザにより指定されたものとする。ユーザの個人情報(名刺情報)は、例えば図19に示されている情報と同じである。
対象物感性語「ビューティフル」を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、テイスト算出部24は、類義語DB22を対象として対象物感性語「ビューティフル」を検索し、対象物感性語「ビューティフル」の類義語(同義語)を類義語DB22から抽出する。例えば、テイスト算出部24は、図10に示されている類義語テーブルを参照し、対象物感性語「ビューティフル」の類義語(同義語)を抽出する。
図24には、対象物感性語「ビューティフル」の類義語(同義語)の一例が示されている。テイスト算出部24は、その類義語リストの中から複数の類義語を抽出する。一例として、関係性DB18に登録されている3つの類義語(例えば、「美しい」、「きれいな」、「可愛い」)が抽出される。図25には、印象マップ上における類義語の座標が示されている。
次に、テイスト算出部24は、印象マップ上において、3つの類義語を用いて対象物感性語「ビューティフル」の仮座標を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、印象マップ上において、3つの類義語の座標を含む円を形成し、その円の中心座標を対象物感性語「ビューティフル」の仮座標として推定する。次に、テイスト算出部24は、その仮座標に隣接する座標に対応付けられている感性語(隣接感性語)を特定する。例えば、仮座標に最も近い感性語と2番目に近い感性語が、隣接感性語として選択される。一例として、感性語「プリティ」、「ロマンチック」が、隣接感性語として選択されたものとする。図26には、その隣接感性語の座標が示されている。なお、3つ以上の隣接感性語が選択されてもよい。
次に、テイスト算出部24は、上記の実施例1と同様に、各隣接感性語の感性スコアローデータを取得し、上記の式(4)に従って各隣接感性語の寄与度Rateを演算し、上記の式(5)に従って各デザイン要素の感性スコアを演算する。これにより、対象物感性語「ビューティフル」についての感性スコアローデータが演算(推定)される。そして、テイスト算出部24は、その感性スコアローデータに基づいて、対象物感性語「ビューティフル」に適合する適合デザイン要素を決定する。これにより、対象物感性語「ビューティフル」についての感性評価データが演算(推定)される。デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれる各適合デザイン要素を用いて、対象物「名刺」のデザインを表すデータ(画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、名刺の画像やテンプレート等が表示される。
以上の処理により、ユーザにより指定された対象物感性語が感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、対象物感性語の類義語(同義語)に基づいて隣接感性語が選択され、隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、対象物感性語についての適合デザイン要素が予め作成されておらず、その対象物感性語に対する隣接感性語が予め定義されていない場合であっても、対象物感性語が示すテイストと同一のテイスト又はそれに近いテイストを有するデザインが作成される。対象物感性語の類義語(同義語)は、対象物感性語と同一又は類似の意味(テイスト)を有する。それ故、類義語(同義語)を用いることにより、類義語(同義語)以外の感性語を用いる場合と比べて、対象物感性語が示すテイストにより近いテイストを有するデザインが作成される。
(実施例3)
以下、実施例3について説明する。実施例3では、ユーザにより、好ましい対象物感性語と好ましくない対象物感性語が指定される。好ましい対象物感性語は、目標とするデザインのテイストを示しており、好ましくない対象物感性語は、目標とするデザインに適していないテイスト、つまり、除外対象のテイストを示している。実施例3では、対象物「名刺」のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されているものとする。
まず、端末装置12において、ユーザにより、名刺情報(ユーザの個人情報)、好ましい対象物感性語、及び、好ましくない対象物感性語(除外対象感性情報)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「名刺」が指定される。実施例3では、好ましい対象物感性語として「美しい」が指定され、好ましくない対象物感性語として「キュート」が指定されたものとする。ユーザの個人情報(名刺情報)は、例えば図19に示されている情報と同じである。
対象物感性語「美しい」、「キュート」を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されている場合、テイスト算出部24は、好ましい対象物感性語「美しい」の意味に近い意味を有する隣接感性語を関係性DB18から抽出し、好ましくない対象物感性語「キュート」の意味に近い意味を有する隣接感性語を関係性DB18から抽出する。例えば、テイスト算出部24は、図8に示されている関係性テーブルを参照し、好ましい対象物感性語「美しい」に対応付けられている隣接感性語(意味の近い感性語)と好ましくない対象物感性語「キュート」に対応付けられている隣接感性語を、関係性テーブルから抽出する。例えば、対象物感性語との間の距離が基準距離以下となる感性語が、隣接感性語として抽出される。
図27には、好ましい対象物感性語「美しい」の意味に近い意味を有する隣接感性語の一例が示されている。図28には、好ましくない対象物感性語「キュート」の意味に近い意味を有する隣接感性語の一例が示されている。一例として、対象物感性語「美しい」、「キュート」との間の距離が0.1以下となる感性語が、隣接感性語として抽出されている。具体的には、好ましい対象物感性語に関連する隣接感性語として、「プリティ」、「ロマンチック」、「若々しい」が抽出されており、好ましくない対象物感性語に関連する隣接感性語として、「プリティ」、「ロマンチック」、「若々しい」が抽出されている。
テイスト算出部24は、好ましい対象物感性語に関連する隣接感性語群の距離と、好ましくない対象物感性語に関連する隣接感性語群の距離、とを対比し、好ましい対象物感性語「美しい」との間の距離が、好ましくない対象物感性語「キュート」との間の距離よりも短い隣接感性語を、演算用の隣接感性語として抽出する。図27と図28に示す例では、好ましい対象物感性語「美しい」と感性語「プリティ」、「ロマンチック」との間の距離は、好ましくない対象物感性語「キュート」と感性語「プリティ」、「ロマンチック」との間の距離よりも短い。それ故、感性語「プリティ」、「ロマンチック」が、演算用の隣接感性語として抽出される。一方、好ましい対象物感性語「美しい」と感性語「若々しい」との間の距離は、好ましくない対象物感性語「キュート」と感性語「若々しい」との間の距離よりも長い。それ故、感性語「若々しい」は、演算用の隣接感性語として抽出されない。
次に、テイスト算出部24は、演算用の隣接感性語「プリティ」及び「ロマンチック」のそれぞれの感性スコアローデータを感性評価DB16から取得する。図29には、その感性スコアローデータの一例が示されている。各演算用の隣接感性語の感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。背景1,2,3,・・・は、デザインカテゴリ「背景のテンプレート」に属するデザイン要素であり、各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。
次に、テイスト算出部24は、実施例1と同様に、上記の式(4)に従って、各演算用の隣接感性語の寄与度Rateを演算する。下記の式(7)は、各寄与度の具体的な計算式である。Rate
1は隣接感性語「プリティ」の寄与度であり、Rate
2は隣接感性語「ロマンチック」の寄与度である。Dist
1は、好ましい対象物感性語「美しい」と隣接感性語「プリティ」との間の距離であり、Dist
2は、好ましい対象物感性語「美しい」と隣接感性語「ロマンチック」との間の距離である。
次に、テイスト算出部24は、各隣接感性語の寄与度Rateと、各隣接感性語に対応付けられているデザイン要素の感性スコアと、を用い、上記の式(5)に従って、好ましい対象物感性語「美しい」に対する各デザイン要素の感性スコアを演算する。例えば、好ましい対象物感性語「美しい」に対するデザイン要素「背景1」の感性スコアは、以下のようにして求められる。
デザイン要素「背景1」の感性スコア=
「プリティ」の「背景1」の感性スコア×「プリティ」の寄与度Rate1+
「ロマンチック」の「背景1」の感性スコア×「ロマンチック」の寄与度Rate2
=0.7727×0.5765+0.6512×0.4235
=0.7212
以上のようにして、好ましい対象物感性語「美しい」について、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが演算(推定)され、これにより、好ましい対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータが演算(推定)される。
図30には、演算(推定)された感性スコアローデータの一例が示されている。好ましい対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。各感性スコアは、上記の式(5)に従って演算された値である。図30には、デザインカテゴリ「背景のテンプレート」に属するデザイン要素「背景1,2,3,・・・」の感性スコアが示されている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが演算される。
次に、テイスト算出部24は、実施例1と同様に、好ましい対象物感性語「美しい」についての感性スコアローデータに基づいて、好ましい対象物感性語「美しい」に適用する適合デザイン要素を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、デザインカテゴリ毎に、複数のデザイン要素の中から感性スコアが最も大きいデザイン要素(最大デザイン要素)を選択する。そして、テイスト算出部24は、感性評価DB16に記憶されている各テイスト(感性語)の感性スコアローデータを参照し、各テイストの感性スコアローデータに規定されている複数のデザイン要素の中で、デザインカテゴリ毎に、最大デザイン要素に最も近い感性スコアを有するデザイン要素を、好ましい対象物感性語「美しい」の適用デザイン要素として採用する。例えば、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に属する複数のデザイン要素(背景1,2,3,・・・)の中で、デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.7212)が最も高い。それ故、デザイン要素「背景1」が、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関する最大デザイン要素として選択される。そして、各テイスト(感性語)の感性スコアローデータにおいて、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に属する複数のデザイン要素の中で、最大デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.7212)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関する適合デザイン要素として採用される。デザインカテゴリ毎に適合デザイン要素が決定され、これにより、好ましい対象物感性語「美しい」についての感性評価データが演算(推定)される。
図31には、演算(推定)された感性評価データとしての感性評価テーブルの一例が示されている。図30に示すように、デザインカテゴリ「背景(のテンプレート)」に関しては、デザイン要素「背景1」の感性スコア(0.7212)が最大であるため、その感性スコア(0.7212)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、適合デザイン要素として採用されている。他のデザインカテゴリについても同様に適合デザイン要素が決定される。
好ましい対象物感性語「美しい」についての感性評価データが演算(推定)されると、デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれている各適合デザイン要素を用いて、対象物「名刺」のデザインを有するデータ(例えば「名刺」の画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、名刺の画像やテンプレート等が表示される。
以上の処理により、好ましい対象物感性語との間の距離よりも、好ましくない対象物感性語との間の距離が短い隣接感性語が除外され、除外されない隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、好ましくない対象感性語との間の距離が短い隣接感性語を除外しない場合と比べて、好ましい対象物感性語が示すテイストにより近いテイストを有するデザインが作成される。好ましくない対象感性語との間の距離が短い隣接感性語を除外しない場合には、好ましくない対象物感性語に対応付けられているデザイン要素の影響を受け、その分、目標のデザインから離れたテイストを有するデザインが作成され得る。実施例3によると、その影響が除外されるので、目標のデザインにより近いデザインが作成される。
(実施例4)
以下、実施例4について説明する。上記の実施例1〜3では、名刺のデザインが作成されているが、本実施形態は、文書以外の対象物に対して適用されてもよい。実施例4では、その一例として、衣服(具体的にはオーバーコート)のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されているものとする。実施例4に係る処理は、実施例1に係る処理を同じである。
まず、端末装置12において、ユーザにより、対象物感性語(テイスト)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「衣服(オーバーコート)」が指定される。入力された情報は、通信経路Nを介して端末装置12からデザイン作成装置10に送信される。もちろん、それらの情報はデザイン作成装置10に直接入力されてもよい。実施例4では、対象物感性語として感性語「スポーティ」がユーザにより指定されたものとする。
対象物感性語「スポーティ」を示す情報が感性評価DB16に記憶されておらず、関係性DB18に記憶されている場合、テイスト算出部24は、対象物感性語「スポーティ」の意味に近い意味を有する隣接感性語を関係性DB18から抽出する。例えば、テイスト算出部24は、図12に示されている関係性テーブルを参照し、対象物感性語「スポーティ」に対応付けられている隣接感性語を関係性テーブルから抽出する。対象物感性語との間の距離が基準距離以下となる感性語が、隣接感性語として抽出されてもよい。図32には、抽出された隣接感性語の一例が示されている。一例として、対象物感性語「スポーティ」との間の距離が0.1以下となる感性語、例えば、感性語「カジュアル」、「ポップ」及び「ナチュラル」が、隣接感性語として抽出されている。
次に、テイスト算出部24は、隣接感性語「カジュアル」、「ポップ」及び「ナチュラル」のそれぞれの感性スコアローデータを感性評価DB16から取得する。図33には、その感性スコアローデータの一例が示されている。各隣接感性語の感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。輪郭線1,2,3は、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に属するデザイン要素であり、襟1,2,3,・・・は、デザインカテゴリ「(衣服の)襟」に属するデザイン要素である。各デザイン要素の感性スコアは予め求められている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが予め求められている。
次に、テイスト算出部24は、上記の式(4)に従って、各隣接感性語の寄与度Rateを演算する。下記の式(8)は、各寄与度の具体的な計算式である。Rate
1は隣接感性語「カジュアル」の寄与度であり、Rate
2は隣接感性語「ポップ」の寄与度であり、Rate
3は隣接感性語「ナチュラル」の寄与度である。Dist
1は、対象物感性語「スポーティ」と隣接感性語「カジュアル」との間の距離であり、Dist
2は、対象物感性語「スポーティ」と隣接感性語「ポップ」との間の距離であり、Dist
3は、対象物感性語「スポーティ」と隣接感性語「ナチュラル」との間の距離である。
次に、テイスト算出部24は、各隣接感性語の寄与度Rateと、各隣接感性語に対応付けられているデザイン要素の感性スコアと、を用い、上記の式(5)に従って、対象物感性語「スポーティ」に対する各デザイン要素の感性スコアを演算する。例えば、対象物感性語「スポーティ」に対するデザイン要素「輪郭線1」の感性スコアは、以下のようにして求められる。
デザイン要素「輪郭線1」の感性スコア=
「カジュアル」の「輪郭線1」の感性スコア×「カジュアル」の寄与度Rate1+
「ポップ」の「輪郭線1」の感性スコア×「ポップ」の寄与度Rate2+
「ナチュラル」の「輪郭線1」の感性スコア×「ナチュラル」の寄与度Rate3
=0.2152×0.4264+0.5312×0.2895+0.1496×0.2841
=0.2880
以上のようにして、対象物感性語「スポーティ」について、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが演算(推定)され、これにより、対象物感性語「スポーティ」についての感性スコアローデータが演算(推定)される。
図34には、演算(推定)された感性スコアローデータの一例が示されている。対象物感性語「スポーティ」についての感性スコアローデータには、各デザインカテゴリに属する各デザイン要素の感性スコアが含まれている。各感性スコアは、上記の式(5)に従って演算された値である。図34には、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に属するデザイン要素「輪郭線1,2,3」の感性スコアとデザインカテゴリ「(衣服の)襟」に属するデザイン要素「襟1,2,3,・・・」の感性スコアが示されている。他のデザインカテゴリについても同様に、各デザイン要素の感性スコアが演算される。
次に、テイスト算出部24は、対象物感性語「スポーティ」についての感性スコアローデータに基づいて、対象物感性語「スポーティ」に適合する適合デザイン要素を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、デザインカテゴリ毎に、複数のデザイン要素の中から感性スコアが最も大きいデザイン要素(最大デザイン要素)を選択する。そして、テイスト算出部24は、感性評価DB16に記憶されている各テイスト(感性語)の感性スコアローデータを参照し、デザインカテゴリ毎に、各テイストの感性スコアローデータに規定されている複数のデザイン要素の中で、最大デザイン要素に最も近い感性スコアを有するデザイン要素を、対象物感性語「スポーティ」の適合デザイン要素として採用する。例えば、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に属する複数のデザイン要素(輪郭線1,2,3)の中で、デザイン要素「輪郭線2」の感性スコア(0.4121)が最も高い。それ故、デザイン要素「輪郭線2」が、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に関する最大デザイン要素として選択される。そして、各テイスト(感性語)の感性スコアローデータにおいて、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に属する複数のデザイン要素の中で、最大デザイン要素「輪郭線2」の感性スコア(0.4121)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に関する適合デザイン要素として採用される。デザインカテゴリ毎に適合デザイン要素が決定され、これにより、対象物感性語「スポーティ」についての感性評価データが演算(推定)される。
図35には、演算(推定)された感性評価データとしての感性評価テーブルの一例が示されている。図34に示すように、デザインカテゴリ「(衣服の)輪郭線」に関しては、デザイン要素「輪郭線2」の感性スコア(0.412)が最大であるため、その感性スコア(0.412)に最も近い感性スコアを有するデザイン要素が、適合デザイン要素として採用されている。具体的には、デザイン要素「2.Hライン」の感性スコアが0.4121であるため、デザイン要素「2.Hライン」が適用デザイン要素として採用されている。他のデザインカテゴリについても同様にして適合デザイン要素が決定される。
対象物感性語「スポーティ」についての感性評価データが演算(推定)されると、デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれている各適合デザイン要素を用いて、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインを表すデータ(例えば「オーバーコート」の画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、オーバーコートの画像やテンプレート等が表示される。端末装置12において、オーバーコートのデザインが編集されてもよい。
以上の処理により、文書以外の対象物のデザインを作成する場合であっても、隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、対象物感性語についての適合デザイン要素が予め定義されていない場合であっても、対象物感性語が示すテイストと同一のテイスト又はそれに近いテイストを有するデザインが作成される。
なお、対象物感性語が示す情報が感性評価DB16に記憶されている場合、その対象物感性語に対応付けられている各適合デザイン要素(図11参照)、つまり、各デザインカテゴリにおいて最大の感性スコアを有するデザイン要素を用いて、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインが作成される。
(実施例5)
以下、実施例5について説明する。実施例5では、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより指定された対象物感性語を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていないものとする。実施例5に係る処理は、実施例2に係る処理と同じである。
まず、ユーザにより、対象物感性語(テイスト)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「衣服(オーバーコート)」が指定される。実施例5では、対象物感性語として感性語「手軽な」がユーザにより指定されたものとする。
対象物感性語「手軽な」を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、テイスト算出部24は、類義語DB22を対象として対象物感性語「手軽な」を検索し、対象物感性語「手軽な」の類義語(同義語)を類義語DB22から抽出する。例えば、テイスト算出部24は、図14に示されている類義語テーブルを参照し、対象物感性語「手軽な」の類義語(同義語)を抽出する。
図36には、対象物感性語「手軽な」の類義語(同義語)の一例が示されている。テイスト算出部24は、その類義語リストの中から複数の類義語を抽出する。一例として、関係性DB18に登録されている2つの類義語(例えば、「ライトな」、「楽な」)が抽出される。図37には、印象マップ上における類義語の座標が示されている。
次に、テイスト算出部24は、印象マップ上において、2つの類義語を用いて対象物感性語「手軽な」の仮座標を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、印象マップ上において、2つの類義語の座標を含む円を形成し、その円の中心座標を対象物感性語「手軽な」の仮座標として推定する。次に、テイスト算出部24は、その仮座標に隣接する感性語(隣接感性語)を特定する。例えば、仮座標に最も近い感性語と2番目に近い感性語が、隣接感性語として選択される。一例として、感性語「カジュアル」と「ナチュラル」が、隣接感性語として選択されたものとする。図38には、その隣接感性語の座標が示されている。なお、3つ以上の隣接感性語が選択されてもよい。
次に、テイスト算出部24は、上記の実施例4と同様に、各隣接感性語の感性スコアローデータを取得し、上記の式(4)に従って各隣接感性語の寄与度Rateを演算し、上記の式(5)に従って各デザイン要素の感性スコアを演算する。これにより、対象物感性語「手軽な」についての感性スコアローデータが演算(推定)される。そして、テイスト算出部24は、その感性スコアローデータに基づいて、対象物感性語「手軽な」に適合する適合デザイン要素を決定する。これにより、対象物感性語「手軽な」についての感性評価データが演算(推定)される。デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれる各デザイン要素を用いて、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインを表すデータ(画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、衣服(オーバーコート)の画像やテンプレート等が表示される。
以上の処理により、文書以外の対象物のデザインを作成する場合であっても、対象物感性語の類義語(同義語)に基づいて隣接感性語が選択され、隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、対象物感性語についての適合デザイン要素が予め作成されておらず、その対象物感性語に対する隣接感性語が予め定義されていない場合であっても、対象物感性語が示すテイストと同一のテイスト又はそれに近いテイストを有するデザインが作成される。
(実施例6)
以下、実施例6について説明する。実施例6では、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインを作成するものとする。また、ユーザにより複数の対象物感性語が指定され、それらの情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていないものとする。
まず、ユーザにより、対象物感性語(テイスト)が入力される。また、デザイン作成の対象物として「衣服(オーバーコート)」が指定される。実施例6では、対象物感性語として感性語「手軽な」と「女の子らしい」がユーザにより指定されたものとする。
対象物感性語「手軽な」を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、テイスト算出部24は、類義語DB22を対象として対象物感性語「手軽な」を検索し、対象物感性語「手軽な」の類義語を類義語DB22から抽出する。同様に、対象物感性語「女の子らしい」を示す情報が、感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、対象物感性語「女の子らしい」の類義語が類義語DB22から抽出される。例えば、テイスト算出部24は、図14に示されている類義語テーブルを参照し、対象物感性語「手軽な」の類義語(同義語)と対象物感性語「女の子らしい」の類義語(同義語)を抽出する。
図39には、対象物感性語「手軽な」の類義語(同義語)の一例と対象物感性語「女の子らしい」の類義語(同義語)の一例が示されている。テイスト算出部24は、その類義語リストの中から複数の類義語を抽出する。一例として、対象物感性語「手軽な」については、感性語「ライトな」と「楽な」が類義語として抽出され、対象物感性語「女の子らしい」については、感性語「フェミニン」と「女性的な」が類義語として抽出される。これらの類義語は、関係性DB18に登録されている感性語である。図40には、対象物感性語「手軽な」に対応する類義語の座標が示されており、図41には、対象物感性語「女の子らしい」に対応する類義語の座標が示されている。
次に、テイスト算出部24は、印象マップ上において、対象物感性語「手軽な」に対応する2つの類義語を用いて対象物感性語「手軽な」の仮座標を決定する。具体的には、テイスト算出部24は、印象マップ上において、2つの類義語の座標を含む円を形成し、その円の中心座標を対象物感性語「手軽な」の仮座標Aとして推定する。同様に、テイスト算出部24は、対象物感性語「女の子らしい」に対応する2つの類義語の座標を含む円を形成し、その円の中心座標を対象物感性語「女の子らしい」の仮座標Bとして推定する。次に、テイスト算出部24は、印象マップ上において、仮座標A,Bを含む円を形成し、その円の中心座標Cを特定し、その中心座標Cに隣接する感性語(隣接感性語)を特定する。例えば、中心座標Cに最も近い感性語と2番目に近い感性語が、隣接感性語として選択される。一例として、感性語「カジュアル」と「ナチュラル」が、隣接感性語として選択されたものとする。図42には、その隣接感性語の座標が示されている。なお、3つ以上の隣接感性語が選択されてもよい。
次に、テイスト算出部24は、上記の実施例5と同様に、各隣接感性語の感性スコアローデータを取得し、上記の式(4)に従って各隣接感性語の寄与度Rateを演算し、上記の式(5)に従って各デザイン要素の感性スコアを演算する。これにより、テイスト「手軽な」と「女の子らしい」とが合成された合成テイストについての感性スコアローデータが演算(推定)される。そして、テイスト算出部24は、その合成テイストについての感性スコアローデータに基づいて、合成テイスト「手軽な、女の子らしい」に適合する適合デザイン要素を決定する。これにより、合成テイスト「手軽な、女の子らしい」についての感性評価データが演算(推定)される。デザイン作成部26は、その感性評価データに含まれる各デザイン要素を用いて、対象物「衣服(オーバーコート)」のデザインを表すデータ(画像データやテンプレートデータ等)を作成する。そのデータは、デザイン作成装置10から端末装置12に送信され、端末装置12のUI部34には、衣服(オーバーコート)の画像やテンプレート等が表示される。
以上の処理により、ユーザにより指定された複数の対象物感性語が感性評価DB16と関係性DB18のいずれにも記憶されていない場合、各対象物感性語の類義語(同義語)に基づいて隣接感性語が選択され、隣接感性語に対応付けられている各デザイン要素により補間して、対象物のデザインが作成される。これにより、合成テイスト(指定された複数のテイストが合成されたテイスト)と同一のテイスト又はそれに近いテイストを有するデザインが作成される。なお、衣服以外の対象物に対して実施例6に係る処理が適用されてもよい。
上記のデザイン作成装置10は、一例としてハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、デザイン作成装置10は、図示しないCPU等のプロセッサを備えている。当該プロセッサが、図示しない記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、デザイン作成装置10の各部の機能が実現される。上記プログラムは、CDやDVD等の記録媒体を経由して、又は、ネットワーク等の通信経路を経由して、記憶装置に記憶される。または、デザイン作成装置10の各部は、例えばプロセッサや電子回路等のハードウェア資源により実現されてもよい。その実現においてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。別の例として、デザイン作成装置10の各部は、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって実現されてもよい。