JP2017089765A - パーキングロック装置 - Google Patents

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Hiroki Yamaura
広己 山浦
克洋 小森
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克洋 小森
昌弘 松下
Masahiro Matsushita
昌弘 松下
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Shohei Uchibayashi
昇平 内林
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Abstract

【課題】パーキングロック装置に関し、手動解除構造を簡素化するとともに、車両の盗難防止性能を高める。
【解決手段】車両の動力を伝達する動力伝達装置30に設けられたパーキングロック装置10であって、車両の走行を禁止するロック状態と車両の走行を許容するアンロック状態とを回転することで切り替えるシャフト3と、動力伝達装置30を収容するケース34の上面部34aに固定され、シャフト3を回転させる電動のアクチュエータ4と、を備える。シャフト3は、上下方向に延びるとともにケース34の下面部34bを貫通して設けられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両の動力伝達装置に設けられたパーキングロック装置に関する。
従来、車両の動力伝達装置において、駆動軸の回転を阻止することにより車両の走行を禁止するパーキングロック装置が知られている。パーキングロック装置は、例えば、駆動軸に固定されたパーキングギヤにパーキングスプラグを係合させることで駆動軸の回転を阻止し、このパーキングギヤからパーキングスプラグを離脱させることで駆動軸の回転を許容する。駆動軸の回転が阻止された状態(ロック状態)では、車両の走行が禁止される。また、駆動軸の回転が許容された状態(アンロック状態)では、車両の走行が許容される。
パーキングロック装置は、これらのロック状態とアンロック状態とを切り替える電動のアクチュエータを備える。すなわち、アクチュエータがパーキングギヤに対するパーキングスプラグの係合,離脱を切り替えることで、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられる。アクチュエータは、車載のバッテリを電力源とし、その作動状態が車載の電子制御装置によって制御される。
しかしながら、例えば、バッテリの残量が不足していたり、アクチュエータ,電子制御装置といった電気系統が故障していたりした場合には、アクチュエータが作動しない虞がある。これらの場合にパーキングロック装置がロック状態であると、車両を移動させることができないという課題がある。この課題に対し、例えば特許文献1〜3には、手動でロック状態をアンロック状態に切り替えるための構造(以下、手動解除構造という)を備えたパーキングロック装置が開示されている。
特許第3053384号公報 特開2013-127264号公報 特開2013-170699号公報
一方、手動解除構造を備えたパーキングロック装置は、手動解除構造の分だけ部品点数が増加するため、構造が複雑化しやすいという課題がある。例えば特許文献1に記載の手動解除構造は、手動ロック解除レバー,ボーデンケーブル,手動操作力伝達アーム,シフトアームといった多数の部品で構成されている。そのため、構造が複雑になって装置コストが増大する虞がある。さらに、部品点数が増えるほど、それらの部品を配置するためのスペースが必要となり、装置が大型化する虞がある。
また、パーキングロック装置がロック状態であれば車両の走行が禁止されるため、パーキングロック装置は車両の盗難防止装置としても機能する。しかしながら、パーキングロック装置のロック状態を手動で解除するための操作部が、例えば車室内やエンジンルーム内といった比較的アクセスしやすい位置に設けられていては、盗難防止装置としての機能は十分に発揮しえない。そのため、ロック状態を手動で解除するための操作部へのアクセスは適度に困難であることが望ましい。
本件は、上述のような課題に鑑み創案されたものであり、パーキングロック装置に関し、手動解除構造を簡素化するとともに、車両の盗難防止性能を高めることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的として位置づけることができる。
(1)ここで開示するパーキングロック装置は、車両の動力を伝達する動力伝達装置に設けられたパーキングロック装置であって、前記車両の走行を禁止するロック状態と前記走行を許容するアンロック状態とを回転することで切り替えるシャフトと、前記動力伝達装置を収容するケースの上面部に固定され、前記シャフトを回転させる電動のアクチュエータと、を備え、前記シャフトが、上下方向に延びるとともに前記ケースの下面部を貫通して設けられたことを特徴としている。
(2)前記シャフトは、所定の工具が係合する下端部を有し、前記工具により回転することが好ましい。言い換えると、前記シャフトは前記工具を使用しなければ回転しないものであることが好ましい。
(3)本パーキングロック装置は、前記ケースに対して着脱自在に固定されるとともに前記シャフトの下端部を覆うカバー部材を備えることが好ましい。
(4)前記シャフトの下端部には、前記ロック状態に対応する前記シャフトの回転位置と、前記アンロック状態に対応する前記シャフトの回転位置とを示すマークが設けられたことが好ましい。
(5)前記シャフトの外周面には、周方向に亘って溝部が凹設されたことが好ましい。この場合、前記ケースには、前記溝部に係合するピンが固定されたことが好ましい。
ロック状態とアンロック状態とを切り替えるシャフトを上下方向に延ばし、ケースの下面部を貫通させて設けるという簡素な構造によって、シャフトを手動で直接的に回転させることができ、ロック状態とアンロック状態とを切り替えることができる。また、シャフトへのアクセスは、ケースの下方にスペースが確保されない限り困難であるため、ロック状態をアンロック状態に切り替える操作の困難性を適度に確保することができ、車両の盗難防止性能を高めることができる。
実施形態に係るパーキングロック装置が設けられたトランスアクスルの側面図であり、このトランスアクスルが搭載された車両を二点鎖線で示す。 図1のトランスアクスルの部分断面図である。 図2のA部を拡大した図である。 実施形態に係るパーキングロック装置の要部の下面図であり、プラグが取り外された状態を示す。 実施形態に係るパーキングロック装置の作用を説明するための図であり、(a)はロック状態を示し、(b)はアンロック状態を示す。
図面を参照して、実施形態としてのパーキングロック装置について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。
以下の説明では、本パーキングロック装置が適用された車両を基準にして上下方向を定める。
[1.構成]
[1−1.動力伝達装置]
本実施形態に係るパーキングロック装置は、図1に示す車両20のトランスアクスル30に設けられる。このトランスアクスル30は、車両20の前部に設けられた空間(エンジンルーム)内において、図示しない車体フレームに固定されている。本実施形態のトランスアクスル30は、ディファレンシャルギヤ(差動装置)を含むファイナルギヤ(終減速機)とトランスミッション(変速機)とを一体に形成した動力伝達装置であり、駆動源と被駆動装置との間の動力伝達を担う複数の機構を内蔵する。
図2に示すように、トランスアクスル30は、車両20の駆動源(エンジンやモータ)に接続された入力軸31と、車輪を回転させる駆動軸に接続された出力軸32と、入力軸31と出力軸32との間に配置されたカウンタ軸33とを有する。これらの軸31〜33は、何れも車幅方向に延設される。すなわち、これらの軸31〜33は、互いに平行に配列される。なお、図2には各軸31〜33の回転中心を黒丸で示す。
各軸31〜33には、動力を伝達するギヤが固定される。入力軸31には入力ギヤ31aが固定され、出力軸32にはデフドライブギヤ32aが固定される。また、カウンタ軸33にはカウンタギヤ33aとアウトプットギヤ33bとが固定される。入力ギヤ31aは、カウンタギヤ33aと噛合し、カウンタ軸33に動力を伝達する。また、アウトプットギヤ33bは、デフドライブギヤ32aと噛合し、出力軸32に動力を伝達する。図2には、各ギヤ31a,32a,33a,33bのピッチ円を二点鎖線で示す。
トランスアクスル30は、扁平な形状のケース34に収容される。
[1−2.パーキングロック装置]
パーキングロック装置10は、トランスアクスル30の少なくとも何れかの軸31〜33の回転を阻止することで、車両20の走行を禁止するものである。本実施形態に係るパーキングロック装置10は、入力軸31に固定されたパーキングギヤ1と、パーキングギヤに係合可能なパーキングスプラグ2とを有し、パーキングスプラグ2をパーイングギヤ1に係合させることで入力軸31の回転を阻止する。
パーキングギヤ1は、その外周部に形成された複数の歯1aと、隣接する歯1aと歯1aとの間に設けられた窪み1bとを有する。パーキングスプラグ2は、パーキングギヤ1の窪み1bに係合可能な凸形状に形成された鉤部2aと、この鉤部2aをパーキングギヤ1の窪み1bに対して接近,離隔させるためのアーム部2bとを有する。パーキングスプラグ2は、入力軸31と平行に設けられたピン2cを介してケース34に回動可能に支持されている。また、パーキングスプラグ2には、鉤部2aを窪み1bから離隔する方向Dに常時付勢する付勢部材(図示略)が設けられる。パーキングスプラグ2は、アーム部2bが揺動すると、ピン2cを中心に回動し、鉤部2aをパーキングギヤ1の窪み1bに係合させ、あるいは鉤部2aを窪み1bから離脱させる。
以下、パーキングスプラグ2の鉤部2aがパーキングギヤ1の窪み1bに係合した状態を「ロック状態」といい、鉤部2aが窪み1bから離脱した状態を「アンロック状態」という。ロック状態では、パーキングスプラグ2によってパーキングギヤ1の回転が阻止されることから、入力軸31の回転が禁止される。すなわち、ロック状態では車両20の走行が禁止される。一方、アンロック状態では、パーキングギヤ1の回転が許容されることから、入力軸31の回転が許容される。すなわち、アンロック状態では車両20の走行が許容される。
パーキングロック装置10は、ロック状態とアンロック状態とを切り替えるための構成として、シャフト3,ディテントプレート5,パーキングロッド6,カム7,カムホルダ8を備える。シャフト3は、その周方向に回転することでロック状態とアンロック状態とを切り替えるものである。本実施形態のシャフト3は、ロック状態とアンロック状態とで、周方向の回転位置が異なるように設けられている。
以下、ロック状態に対応するシャフト3の回転位置を「ロック位置」といい、アンロック状態に対応するシャフト3の回転位置を「アンロック位置」という。シャフト3は、少なくともロック位置とアンロック位置とに変位するように、周方向に回転可能に設けられる。本実施形態では、シャフト3のロック位置とアンロック位置との回転角の差が約60°に設定されている。シャフト3の具体的な形状については後述する。
ディテントプレート5は、シャフト3の回転位置を調節するための板状の部材である。ディテントプレート5は、ケース34の内部に設けられ、シャフト3に固定されている。すなわち、ディテントプレート5は、シャフト3が回転すると、ケース34の内部においてシャフト3とともに回転する。ディテントプレート5の縁部には、シャフト3のロック位置とアンロック位置とにそれぞれ対応する二つの溝が形成される。ディテントプレート5は、これらの溝の何れか一方に、ケース34に固定された板ばねが係合することにより、その回転位置が調節される。これによって、シャフト3の回転位置がロック位置とアンロック位置との何れかに調節される。
パーキングロッド6は、ディテントプレート5の回転に応じて進退する棒状の部材である。パーキングロッド6は、その一端部6aがディテントプレート5に固定され、その他端部6bがパーキングスプラグ2のアーム部2bに近接して設けられる。パーキングロッド6の他端部6bには、カム7が固定されている。
カム7は、パーキングロッド6の進退に応じてパーキングスプラグ2を回動させるものである。カム7は、パーキングロッド6の他端部6bを上下に挟んで互いに対向配置された当接部7aとガイド部7bとを有する。当接部7aは、パーキングスプラグ2のアーム部2bに接触した状態に設けられる。また、ガイド部7bは、カムホルダ8に当接した状態に設けられる。
カムホルダ8は、カム7が移動する方向を規定するものである。カムホルダ8は、ケース34に固定されている。カムホルダ8は、パーキングロッド6の進退に応じてカム7がパーキングスプラグ2のアーム部2bを揺動させるように、カム7を案内する機能を有する。つまり、カム7は、シャフト3の回転に応じてパーキングロッド6が進退すると、カムホルダ8によって案内されることでパーキングスプラグ2のアーム部2bを揺動させる。これにより、パーキングスプラグ2がピン2cを中心に回動し、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられる。
パーキングロック装置10は、シャフト3を回転させる電動のアクチュエータ4を備える。すなわち、アクチュエータ4は、ロック状態とアンロック状態とを電力により自動で切り替えるものである。アクチュエータ4は、車載のバッテリを電力源とし、その作動状態が車載の電子制御装置で制御される。アクチュエータ4は、例えば、車両20の運転席に設けられたシフトレバーがパーキング(P)レンジに操作された場合に、シャフト3をロック位置まで回転させるように制御される。また、アクチュエータ4は、シフトレバーがPレンジ以外のレンジに操作された場合に、シャフト3をアンロック位置まで回転させるように制御される。アクチュエータ4は、路面から飛散する石や砂などが当たらないように、ケース34の上面部34aの上面(すなわちケース34の外部)に固定されている。
パーキングロック装置10は、アクチュエータ4によってシャフト3を回転させることで、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられる。しかしながら、例えば、アクチュエータ4を駆動するバッテリの残量不足や、アクチュエータ4と電子制御装置とを接続する電気系統の故障等によりアクチュエータ4が作動しない場合には、ロック状態を解除することができない虞がある。
パーキングロック装置10は、アクチュエータ4が作動しない場合にもロック状態を解除できるように、手動でロック状態とアンロック状態とを切り替えるための構造(以下、手動解除構造という)を備えている。パーキングロック装置10の手動解除構造は、シャフト3で構成される。
シャフト3は、上下方向に延びるとともに、ケース34の下面部34bを貫通して設けられている。すなわち、シャフト3の下端部3bは、ケース34の外部(下面部34bの下方)に突出し、整備士や乗員などのオペレータ(ロック状態とアンロック状態とを切り替える操作をする者)がケース34の下方から直接的にアクセスできる位置に設けられている。これにより、アクチュエータ4が作動しない場合であっても、オペレータが手動でシャフト3を回転させることで、ロック状態とアンロック状態とが切り替えられる。
シャフト3は、その上端部3aがアクチュエータ4に接続され、その下端部3bがケース34の下面部34bに貫設された孔部34hよりも下方に突出して設けられる。図3に示すように、本実施形態のシャフト3の下端部3bは、所定の工具(例えば、ソケットレンチ)が係合可能な六角形状に形成されている。シャフト3は、この工具によって下端部3bに周方向の回転力が加えられることで回転する。すなわち、シャフト3は工具を使用しないと回転しない。
また、シャフト3の下端部3bよりも上側の外周面には、周方向に亘って二つの溝部3c,3dが凹設されている。第一溝部3cは、シャフト3の上下方向の動きを規制するためのものである。第一溝部3cは、その内面が曲面状に形成され、ケース34の内部(下面部34bの上方)に位置するように設けられる。第二溝部3dは、Oリング12を装着するためのものである。第二溝部3dは、その内面が角形状に形成され、ケース34の孔部34h内に位置するように設けられる。
本実施形態のケース34は、シャフト3の下端部3bの外周を覆う筒部34dと、シャフト3の第一溝部3cに係合するピン11が固定される固定部34cとを有する。筒部34dは、下面部34bから下方へ延出した円筒状の部位である。筒部34dは、その内周面とシャフト3の下端部3bとの間に隙間が確保される大きさに形成され、孔部34hと同軸上に設けられる。筒部34dの内周面には、雌ねじが加工される。固定部34cは、下面部34bから上方へ延出した板状の部位である。固定部34cは、ピン11が嵌め込まれる貫通孔を有する。ピン11は、円柱状に形成され、上下方向と直交する方向に延びた姿勢でケース34の固定部34cに固定される。
本実施形態のパーキングロック装置10は、ケース34の筒部34dに対して着脱自在に固定されたプラグ9(カバー部材)を備える。プラグ9は、雄ねじが加工された螺子部9aと、螺子部9aに固定された平板状のカバー部9bとを有する。螺子部9aは、ケース34の筒部34dの雌ねじに螺合する形状に形成される。また、カバー部9bは、筒部34dの下端の開口を閉塞する大きさに形成される。プラグ9は、螺子部9aが筒部34dに螺合した状態では、カバー部9bが筒部34dの下端の開口を閉塞してシャフト3の下端部3bを覆う。
図4に示すように、本実施形態のシャフト3の下端部3bには、ドット状のマーク3eが設けられる。このマーク3eは、シャフト3のロック位置とアンロック位置とを示すものである。本実施形態のマーク3eは、シャフト3の下端部3bがなす六角形の一つの角部に設けられている。シャフト3が回転すると、これに応じてシャフト3の回転中心に対するマーク3eの位置が変化する。そのため、オペレータはマーク3eの位置に基づいてシャフト3の回転位置を把握することができる。
また、本実施形態では、筒部34dの下端にドット状のアンロックマーク34eが設けられている。このアンロックマーク34eは、シャフト3の回転位置がアンロック位置であるときにマーク3eと一致する位置に設けられる。すなわち、アンロックマーク34eは、アンロック状態ではシャフト3のマーク3eと一致し、ロック状態ではシャフト3のマーク3eと一致しない。これにより、オペレータはシャフト3のマーク3eが筒部34dのアンロックマーク34eと一致しているか否かに基づいてロック状態とアンロック状態とを把握することができる。
[2.作用,効果]
次に、図5(a),(b)を参照して、上述のパーキングロック装置10の作用を説明する。
図5(a)に示すように、パーキングスプラグ2の鉤部2aがパーキングギヤ1の窪み1bに係合している場合、パーキングロック装置10はロック状態であり、車両20の走行が禁止される。この状態から、例えば車両20を搬送するには、パーキングスプラグ2の鉤部2aをパーキングギヤ1の窪み1bから離脱させ、パーキングロック装置10をアンロック状態に切り替えて車両20の走行を許容させる必要がある。
しかしながら、この場合にアクチュエータ4が何らかの理由で作動しなくなると、アクチュエータ4でロック状態をアンロック状態に切り替えることができない。そこで、オペレータが手動でロック状態をアンロック状態に切り替える作業(以下、切替作業という)を以下のように行う。
まず、車両20をジャッキアップして、ケース34の下方に十分な作業スペースを確保する。次に、プラグ9をケース34の筒部34dから取り外す。続いて、所定の工具をシャフト3の下端部3bに係合させ、この工具を操作することによりシャフト3の下端部3bを回転させる。このとき、シャフト3のマーク3eを筒部34dのアンロックマーク34eに近づけるように、シャフト3を回転させる。そして、シャフト3のマーク3eが筒部34dのアンロックマーク34eと一致する位置まできたら、シャフト3の回転を止める。
以上の作業により、シャフト3とともにディテントプレート5が回転し、ディテントプレート5に連動してパーキングロッド6及びカム7が移動することで、パーキングスプラグ2のアーム部2bが揺動する。これにより、パーキングスプラグ2の鉤部2aがパーキングギヤ1の窪み1bから離脱し、パーキングロック装置10が図5(b)に示すアンロック状態に切り替わる。
(1)上述のパーキングロック装置10によれば、シャフト3がケース34の下面部34bを貫通して設けられているため、アクチュエータ4が作動しない場合であっても、オペレータが手動でシャフト3を回転させることができ、ロック状態とアンロック状態とを切り替えることができる。また、上述のパーキングロック装置10によれば、シャフト3を上下方向に延ばし、ケース34の下面部34bを貫通させて設けるという簡素な構造によって、オペレータがシャフト3を直接的に回転させることができる。このため、シャフト3を間接的に操作する(例えば、シャフト3と連結された他の部材を手動で操作する)構造と比べて、手動解除構造を簡素化することができ、コスト削減に寄与することができる。また、シャフト3へのアクセスは、ケース34の下方にスペースが確保されない限り困難であるため、オペレータがシャフト3へアクセスするためには、例えば車両20をジャッキアップして、ケース34の下方に作業用のスペースを確保する必要がある。つまり、上述のパーキングロック装置10によれば、切替作業の困難性を適度に確保することができ、車両20の盗難防止性能を高めることができる。
また、オペレータがシャフト3を直接的に回転させることにより、シャフト3を間接的に回転させるものと比べてシャフト3をより確実に回転させることができる。そのため、手動解除構造の信頼性を高めることができる。
さらに、手動解除構造がケース34の下面部34bを貫通したシャフト3により構成されるため、既存のトランスアクスル30やエンジンルーム内の構造,レイアウトを変更する必要がない。このため、既存のトランスアクスル30やエンジンルームに対する適用容易性を高めることができる。
また、切替作業がケース34の下方(車両20の下方)から行われるため、例えば車両20をジャッキアップすれば、エンジンルーム内で作業する場合よりも広い作業スペースを確保することができ、作業性を高めることができる。つまり、ケース34の下方は、ジャッキアップを行えば、エンジンルーム内に比べて作業用のスペースを確保しやすいため、切替作業を容易に行うことができる。
(2)シャフト3は、所定の工具が係合する下端部3bを有するため、この工具を用いることでシャフト3を容易に回転させることができ、切替作業を容易に行うことができる。一方で、所定の工具を用いないとシャフト3を回転させることができないことから、車両20の盗難防止性能をより高めることができる。
(3)上述のパーキングロック装置10は、シャフト3の下端部3bがケース34の外部に突出して設けられるが、この下端部3bを覆うプラグ9を設けることによって、路面から飛散する石や砂に対してシャフト3の下端部3bを保護することができる。また、プラグ9によりシャフト3の下端部3bを車両20の下方から目視できなくすることで、車両20の盗難防止性能をより高めることができる。さらに、例えばプラグ9のカバー部9bに特殊な凹凸形状を設け、この凹凸形状に嵌合する特殊な工具によりプラグ9を着脱する構造とすれば、車両20の盗難防止性能を更に高めることができる。このように、プラグ9を設けることで、車両20の盗難防止性能を容易に高めることができる。
(4)シャフト3の下端部3bにロック位置とアンロック位置とを示すマーク3eを設けることにより、オペレータがマーク3eに基づいてロック状態とアンロック状態とを把握することができる。これにより、切替作業を容易に且つ確実に行うことができる。また、ケース34にもアンロックマーク34eを設ければ、ケース34に対するシャフト3の回転位置を示すことができることから、ロック状態とアンロック状態とをより把握しやすくすることができる。
(5)ケース34に固定されたピン11がシャフト3の第一溝部3cに係合することにより、シャフト3の上下方向の動きを規制することができる。そのため、シャフト3の下端部3bの位置を安定させることができ、シャフト3を手動で回転させやすくすることができる。
[3.変形例]
上述した実施形態に関わらず、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。本実施形態の各構成は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
上述の実施形態ではパーキングロック装置10がトランスアクスル30に設けられる場合を例示したが、パーキングロック装置10が設けられる対象は上述のトランスアクスル30に限定されない。パーキングロック装置10は、車両20の駆動源と被駆動装置との間で動力を伝達する動力伝達装置に設けられればよく、例えば、差動装置とは別体で設けられた変速機に設けられてもよい。
また、上述の実施形態ではトランスアクスル30が車両20の前部のエンジンルーム内に設けられる場合を例示したが、トランスアクスル30が設けられる位置はこれに限られない。トランスアクスル30は、ケース34が車両20の下方からアクセスできるように設けられればよく、例えば車両20の後部に設けられてもよい。
また、上述の実施形態で示したロック状態とアンロック状態とは一例である。すなわち、ロック状態は、車両20の走行を禁止する状態であればよく、上述のパーキングギヤ1にパーキングスプラグ2が係合した状態に限られない。同様に、アンロック状態は、車両20の走行を許容する状態であればよく、上述のパーキングギヤ1からパーキングスプラグ2が離脱した状態に限られない。
また、パーキングスプラグ2を回動させる機構も上述のディテントプレート5,パーキングロッド6,カム7,カムホルダ8で構成されるものに限られない。パーキングロック装置10のロック状態とアンロック状態とは、シャフト3が回転にすることで切り替えられるものであればよい。
また、シャフト3は、下端部3bが六角形状でなくてもよい。例えば、シャフト3は、下端面にプラス形状やマイナス形状の溝が設けられ、ドライバ(ねじ回し)により回転するものであってもよい。あるいは、シャフト3は、下端面に六角穴が設けられ、六角棒スパナにより回転するものであってもよい。
また、ケース34のアンロックマーク34eやシャフト3のマーク3eは、上述のものに限定されない。例えば、ケース34のアンロックマーク34eの他に、シャフト3の回転位置がロック位置であるときにマーク3eと一致する位置に設けられたロックマークを設けてもよい。また、ケース34のアンロックマーク34e及びシャフト3のマーク3eは、ドット状でなくてもよいし、省略されてもよい。また、プラグ9を省略して、切替作業をより容易に行えるようにしてもよい。
上述の実施形態で示したケース34の形状は一例である。ケース34は、筒部34dが省略された形状であってもよいし、固定部34c以外の部位にピン11が固定されてもよい。また、アクチュエータ4はケース34の上面部34aに固定されていればよく、その位置は上面(ケース34の外部)に限られない。
また、パーキングロック装置10が適用される車両20の駆動源は特に限定されない。すなわち、車両20は、エンジン車であってもよいし、電動車両(ハイブリッド車,電気自動車)であってもよい。
3 シャフト
3b 下端部
3c 第一溝部(溝部)
3e マーク
4 アクチュエータ
9 プラグ(カバー部材)
10 パーキングロック装置
11 ピン
20 車両
30 トランスアクスル(動力伝達装置)
34 ケース
34a 上面部
34b 下面部

Claims (5)

  1. 車両の動力を伝達する動力伝達装置に設けられたパーキングロック装置であって、
    前記車両の走行を禁止するロック状態と前記走行を許容するアンロック状態とを回転することで切り替えるシャフトと、
    前記動力伝達装置を収容するケースの上面部に固定され、前記シャフトを回転させる電動のアクチュエータと、を備え、
    前記シャフトが、上下方向に延びるとともに前記ケースの下面部を貫通して設けられた
    ことを特徴とする、パーキングロック装置。
  2. 前記シャフトは、所定の工具が係合する下端部を有し、前記工具により回転する
    ことを特徴とする、請求項1記載のパーキングロック装置。
  3. 前記ケースに対して着脱自在に固定され、前記シャフトの下端部を覆うカバー部材を備えた
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のパーキングロック装置。
  4. 前記シャフトの下端部には、前記ロック状態に対応する前記シャフトの回転位置と、前記アンロック状態に対応する前記シャフトの回転位置とを示すマークが設けられた
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のパーキングロック装置。
  5. 前記シャフトの外周面には、周方向に亘って溝部が凹設され、
    前記ケースには、前記溝部に係合するピンが固定された
    ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載のパーキングロック装置。
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