JP2017088993A - 防食用水処理剤及び防食方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液性がアルカリ性でも液の安定性が高い上に、各防食剤成分の相互作用により相対的に低い配合量で、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することのできる防食用水処理剤を提供すること。【解決手段】(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%と、(b)アゾール化合物を0.5〜2質量%と、(c)アルカリ金属水酸化物と、(d)水と、を含有し、水で10倍に希釈した際のpHが、9以上である防食用水処理剤。また、前記防食用水処理剤は、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%を更に含有することが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、防食用水処理剤及び防食方法に関する。
従来、冷却塔等の循環水を循環させる水系システムにおいて、配管、弁及び熱交換器等を構成する金属として、鉄系金属及び銅系金属が共存している。鉄系金属は、安価なため水系システムにおいて配管や弁として広く使用される。一方、銅系金属は、熱伝導性が高いため熱交換器の伝熱管等に使用される。
このような水系システムの循環水に対して、金属材料の腐食を抑えるために防食剤を含有する防食用水処理剤が添加されることが知られている(例えば、特許文献1参照)。鉄系金属の防食のためには、例えばアクリル酸系化合物の共重合体や、ホスホノカルボン酸や亜鉛化合物等が防食剤として用いられる。一方、銅系金属の防食のためには、アゾール化合物等が防食剤として用いられる。
特開2012−41606号公報
上記に記載の通り、鉄系金属の防食のためには、例えばアクリル酸系化合物の共重合体や、ホスホノカルボン酸、重合リン酸化合物、亜鉛化合物等が防食剤として用いられる。一方、銅系金属の防食のためには、アゾール化合物等が防食剤として用いられる。このため、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を持つ水処理剤とするためには、各防食剤をそれぞれ個別に必要量配合する必要がある。
ところで、アルカリ金属水酸化物の防食用水処理剤を用いれば、水のpHを、腐食の生じ難い、高いpH領域に維持しやすくなる。しかし、アルカリ金属水酸化物を含有する防食用水処理剤は、上記に記載の防食剤、即ちアクリル酸系化合物の共重合体、ホスホノカルボン酸、亜鉛化合物、アゾール化合物等を防食のために必要量同時に配合すると、水処理剤としての液安定性が不安定となり、沈殿等を生じやすい。
このように、アルカリ金属水酸化物を含有し液性がアルカリ性である上に、液の安定性が高く沈殿など発生せず、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することができる防食用水処理剤が求められている。また、防食用水処理剤に配合される各防食剤成分の配合量は、十分な防食性を付与する限り少量であることが望ましい。
本発明は、液性がアルカリ性である上に、各防食剤成分の相互作用により相対的に低い配合量で、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することのできる防食用水処理剤を提供することを目的とする。
本発明は、(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%と、(b)アゾール化合物を0.5〜2質量%と、(c)アルカリ金属水酸化物と、(d)水と、を含有し、体積が10倍となるように水で希釈した際のpHが、9以上である防食用水処理剤に関する。
また、前記防食用水処理剤は、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%を更に含有することが好ましい。
また、本発明は、冷却塔に用いられる循環水に対して、本発明の防食用水処理剤を、前記防食用水処理剤が120〜400mg/Lとなる量添加する防食方法に関する。
また、本発明は、冷却塔に用いられる循環水に対して、本発明の防食用水処理剤を、前記防食用水処理剤が100〜200mg/Lとなる量添加する防食方法に関する。
本発明によれば、液性がアルカリ性である上に、各防食剤成分の相互作用により相対的に低い配合量で、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することのできる防食用水処理剤を提供できる。
本発明の一実施形態に係る防食用水処理剤を用いる冷却システムの構成を示す模式図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る防食用水処理剤を用いる冷却システム1について図面を参照しながら説明する。図1は、冷却システム1の構成を示す模式図である。図1に示すように、冷却システム1は、冷却塔120と、被冷却装置131と、循環水ポンプ132と、薬注部150と、を主要な構成として備える。また、冷却システム1は、循環水供給ラインL111及び循環水回収ラインL112からなる循環ラインL110と、補給水ラインL120と、を主要なラインとして備える。以下、冷却システム1の各構成について説明する。
冷却塔120は、塔本体121と、散水槽145と、散水部146と、充填材147と、ルーバ148と、ファン149と、貯留部116と、給水部137と、を備える。
塔本体121は、冷却塔120の外郭を形成する筐体である。この塔本体121に、冷却塔120の各構成要素が設けられる。
散水槽145は、塔本体121の上部に設けられる。散水槽145は、循環ラインL110の循環水回収ラインL112によって被冷却装置131と接続される。冷却塔120の稼動時には、被冷却装置131で使用された循環水W2が循環水回収ラインL112を通じて散水槽145に送られる。
散水部146は、散水槽145の下方に設けられる。散水部146は、複数のノズルから構成され、冷却塔120の稼動時に、散水槽145に貯留される循環水W2を塔本体121の内部に散布する。なお、散水槽145に貯留される循環水W2は、散水部146によって散水されるので、冷却塔120の稼動時(即ち、循環水ポンプ132の駆動時)のみ散水槽145に貯留された状態となる。
充填材147は、塔本体121の内部における散水部146の下方であって、貯留部116の上方に設けられる。充填材147は、散水部146から散布された循環水W2を滴状(又は液膜状)にして、循環水W2と外気との接触面積及び接触時間を長くする。これにより、循環水W2の冷却が効率的に行われる。
ルーバ148は、塔本体121の内部に外気を導入するための通気孔である。ルーバ148を通じて塔本体121の外部の空気が、塔本体121の内部へ流入可能になっている。
ファン149は、塔本体121の中央上部に形成される開口部141に設けられる。ファン149の回転駆動によって、ルーバ148から塔本体121の内部に外気が流入するとともに、開口部141を通じて塔本体121内部の空気が外部に流出する気流が生じる。
貯留部116は、塔本体121の下部に設けられる下部水槽である。散水部146から散布された循環水W2は、塔本体121の内部を落下する過程において冷却されて貯留部116に貯留される。貯留部116は、循環ラインL110の循環水供給ラインL111によって被冷却装置131と接続される。冷却塔120の稼動時には、貯留部116の循環水W2が循環水供給ラインL111を通じて被冷却装置131に供給される。
給水部137は、貯留部116内の循環水W2の水位(即ち、水量)を管理するものである。給水部137には、補給水W1を補給する補給水ラインL120が接続されており、循環水W2の蒸発及び飛散等により貯留部116の水位が所定水位よりも低下すると貯留部116に補給水W1を供給する。
本実施形態の給水部137は、浮き玉138と、給水弁139と、を備えるボールタップ式の給水装置である。貯留部116の水位が所定水位よりも低下すると、給水部137の浮き玉138が下方に動いて給水弁139が開き、給水弁139から補給水W1が貯留部116に流れる。
以上説明したように、本実施形態の冷却塔120は、いわゆる開放式冷却塔である。
被冷却装置131は、循環水W2による冷却が必要な熱交換器等の各種装置である。被冷却装置131は、例えば、各種工場のターボ冷凍機や吸収式冷凍機、建築物の空調用設備、食品工場の冷水製造機や真空冷却機等である。
循環水ポンプ132は、循環水供給ラインL111に設けられる。循環水ポンプ132は、循環ラインL110(循環水供給ラインL111、循環水回収ラインL112)の上流側から下流側へ向けて、循環水W2を送り出す循環駆動源である。この循環水ポンプ132の駆動によって循環ラインL110を循環水W2が流通する。
薬注部150は、循環水供給ラインL111を流通する循環水W2に後述の防食用水処理剤を添加する。
本実施形態に係る防食用水処理剤は、(a)ホスホノカルボン酸と、(b)アゾール化合物と、(c)アルカリ金属水酸化物と、(d)水と、を含有する。
(a)ホスホノカルボン酸は、一般的に鉄防食剤として用いられる。(a)ホスホノカルボン酸は、分子中に1以上のホスホノ基と1以上のカルボキシル基を有する化合物である。(a)ホスホノカルボン酸としては、例えば、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ヒドロキシホスホノ基、ホスホノポリマレイン酸、ホスホノコハク酸等を挙げることができる。
なお、(a)ホスホノカルボン酸は、ローディア社からBRICORR288の商品名、またBWA社からBELCOR585の商品名で市販されている。ホスホノカルボン酸は、例えば、中性〜アルカリ性の水性溶媒中で亜リン酸とモノエチレン性不飽和カルボン酸とを遊離ラジカル開始剤の存在下で加熱することにより製造することができる。また、ホスホノカルボン酸は、次亜リン酸とカルボニル化合物やイミン化合物との反応物を反応開始剤の存在下で不飽和カルボン酸と反応させることによっても得ることができる。
防食用水処理剤は、(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%含有する。防食用水処理剤が、(a)ホスホノカルボン酸を5質量%未満含有する場合、防食用水処理剤の鉄及び銅に対する防食性が低下する。一方、防食用水処理剤が、(a)ホスホノカルボン酸を7.5質量%超含有する場合、防食用水処理剤の液安定性が低下する。
(b)アゾール化合物は、一般的に銅防食剤として用いられる。(b)アゾール化合物としては、例えば、ベンゾイミダゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール(以下、単に「ベンゾトリアゾール」と言う場合がある)、トリルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール等を挙げることができる。防食用水処理剤は、(b)アゾール化合物として、ベンゾトリアゾールを含有することが好ましい。
防食用水処理剤は、(b)アゾール化合物を0.5〜2質量%含有する。防食用水処理剤が、(b)アゾール化合物を0.5質量%未満含有する場合、防食用水処理剤の鉄及び銅に対する防食性が低下する。一方、防食用水処理剤が、(b)ベンゾアゾール化合物を2質量%超含有する場合、防食用水処理剤の液安定性が低下する。
(c)アルカリ金属水酸化物は、pH調整剤である。(c)アルカリ金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を挙げることができる。防食用水処理剤は、(c)アルカリ金属水酸化物として、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも一方を含有することが好ましい。
防食用水処理剤は、(c)アルカリ金属水酸化物を、体積が10倍となるように防食用水処理剤を水で希釈した際のpHが9以上となる量含有する。防食用水処理剤を水で希釈した際のpHが9未満の場合、防食用水処理剤の液安定性が低下する。
(d)水としては、純水と水道水のいずれを用いてもよい。
また、本実施形態に係る防食用水処理剤は、(e)水溶性亜鉛化合物を更に含有するのが好ましい。(e)水溶性亜鉛化合物は、一般的に鉄防食剤として用いられる。(e)水溶性亜鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、グルコン酸亜鉛等を挙げることができる。防食用水処理剤は、(e)水溶性亜鉛化合物として、塩化亜鉛、硫酸亜鉛及び硝酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも一種の亜鉛化合物を含有するのが好ましい。
防食用水処理剤は、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%含有するのが好ましい。防食用水処理剤が、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25質量%未満含有する場合、防食用水処理剤の鉄及び銅に対する防食性が低下する傾向がある。一方、防食用水処理剤が、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で1質量%超含有する場合、防食用水処理剤の液安定性が低下する傾向にある。
本実施形態に係る防食用水処理剤は、必要に応じて殺菌剤及びスケール防止剤等を含有してもよい。殺菌剤としては、例えば、トリクロロイソシアヌル酸、1−ブロモ−3−クロロ−5,5−ジメチルヒダントイン等のハロゲン系殺菌剤や、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−(t−ブチルアミノ)−4−クロロ−6−エチルアミノ−1,3,5−トリアジン等の有機系殺菌剤を挙げることができる。また、スケール防止剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸塩等を挙げることができる。
続いて、本実施形態に係る防食方法について説明する。本実施形態に係る防食方法では、循環水W2に対して、防食用水処理剤を、防食用水処理剤が120〜400mg/Lとなる量添加するのが好ましい。循環水W2に対して、防食用水処理剤が120mg/L未満となる量の防食用水処理剤を添加した場合、防食性が低下する傾向にある。一方、循環水W2に対して、防食用水処理剤が400mg/L超となる量の防食用水処理剤を添加した場合、防食用水処理剤添加による水処理コストが高くなり過ぎる傾向にある。
なお、防食用水処理剤が(e)水溶性亜鉛化合物を含有する場合には、(e)水溶性亜鉛化合物を含有しない場合に比べて防食用水処理剤の添加量を少なくできる。これは、防食用水処理剤が少ない量であっても、(e)水溶性亜鉛化合物によって金属に防食性が付与されるためである。
防食用水処理剤が(e)水溶性亜鉛化合物を含有する場合、具体的には、循環水W2に対して、防食用水処理剤を、防食用水処理剤が100〜200mg/Lとなる量添加するのが好ましい。循環水W2に対して、防食用水処理剤が100mg/L未満となる量の防食用水処理剤を添加した場合、防食性が低下する傾向にある。一方、循環水W2に対して、防食用水処理剤が200mg/L超となる量の防食用水処理剤を添加した場合、防食用水処理剤添加による水処理コストが高くなり過ぎる傾向にある。
上記実施形態に係る防食用水処理剤及び防食方法によれば、以下の効果が奏される。
(1)上記実施形態では、防食用水処理剤が、(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%と、(b)ベンゾアゾール化合物を0.5〜2質量%と、(c)アルカリ金属水酸化物と、(d)水と、を含有するものとした。更に、防食用水処理剤を体積が10倍となるように水で希釈した際のpHが、9以上であるものとした。
これにより、液性がアルカリ性でも液の安定性が高い上に、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することのできる防食用水処理剤を提供できる。
(2)上記実施形態では、防食用水処理剤が、(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%を更に含有するものとした。
これにより、上記実施形態に係る防食用水処理剤によって、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することができる。
(3)上記実施形態では、循環水W2に対して、上記実施形態の防食用水処理剤を、防食用水処理剤が120〜400mg/Lとなる量添加した。
これにより、冷却システム1を構成する鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することができる。
(4)上記実施形態では、循環水W2に対して、上記実施形態の防食用水処理剤を、防食用水処理剤が100〜200mg/Lとなる量添加した。
これにより、冷却システム1を構成する鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与することができる。
以上、本発明の一実施形態に係る防食用水処理剤及び防食方法について説明したが、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
本実施形態においては、循環水供給ラインL111を流通する循環水W2に防食用水処理剤を添加したが、本発明においては、防食用水処理剤を添加する位置については特に限定されない。本発明に係る防食用水処理剤は、冷却塔120と被冷却装置131との間を循環する循環水に対して添加されていればよく、例えば、循環水回収ラインL112を流通する循環水W2や貯留部116内の循環水W2に添加してもよいし、補給水ラインL120に添加してもよい。
対象となる冷却塔も、開放式冷却塔に限られるものではなく、密閉式冷却塔に適用されてもよい。
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
ホスホノカルボン酸、重合リン酸化合物、ベンゾトリアゾール、硝酸亜鉛及び水酸化ナトリウムを、それぞれ表1に示した含有量(単位:質量%)となるように純水(25℃)に溶解させることで、実施例及び比較例の各防食用水処理剤を調製した。なお、水酸化ナトリウムについては、防食用水処理剤を体積が10倍となるように水で希釈した際のpHが、表1に示したpHとなる量、防食用水処理剤に含有させた。
ホスホノカルボン酸については、BELCOR585(BWA社製、有効成分濃度50%)を用いた。重合リン酸化合物については、ヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた。
[防食性]
実施例及び比較例の防食用水処理剤について、JIS K 0100−1990(工業用水腐食性試験方法)に規定の回転法に準じて腐食試験を行った。即ち、鉄試験片2枚と銅試験片2枚とを試験片保持器に交互に取付け、1Lビーカーに満たした試験水中に浸漬した。ビーカーを恒温槽中に入れて、試験水の温度を37℃に保った。試験片保持器をモーター回転軸に取り付け、上記試験片を150rpmで回転させた。6日間、マイクロチューブポンプを用いて流速50mL/時で連続的に試験水を上記ビーカーに補給した。試験前後の試験片の重量減少量より腐食量(mdd、単位:mg・dm−2・day−1)を下記式:
腐食量(mdd)=X/(Y×Z)
(式中、Xは、試験前後の試験片の重量減少量(mg)を、Yは、試験片の表面積(dm)を、Zは、試験日数(日)を示す)
により計算した。鉄試験片については腐食速度が22mg・dm−2・day−1未満であれば、銅試験片については腐食速度が2.5mg・dm−2・day−1未満であれば、十分に防食性が高いと評価した。結果を表1に示す。
なお、用いた鉄試験片及び銅試験片の詳細は以下のとおりである。
鉄試験片(SS400、寸法:1.6mm×30mm×30mm、全面#400研磨、主面中心に4mmφの貫通孔)
銅試験片(C1220P、寸法:1.6mm×30mm×30mm、全面#400研磨、主面中心に4mmφの貫通孔)
また、試験水として、以下の水質を有する腐食性の強いものを用いた。
試験水の水質:塩化物イオン300mg/L、硫酸イオン300mg/L、酸消費量(pH4.8)300mgCaCO3/L、ケイ酸5mg/L(SiO2換算)、硬度40mgCaCO3/L
また、実施例及び比較例において、防食用水処理剤維持濃度は、試験水中に100mg/Lとなるように希釈して使用した。
[保存安定性]
実施例及び比較例の各防食用水処理剤について、保存安定性を評価した。保存安定性の評価は、各防食用水処理剤を25℃の環境下で30日間放置することで行った。保存安定性の評価は、放置後に沈殿や濁りが生じない場合には評価結果を「○」とし、放置後に沈殿や濁りが生じた場合には評価結果を「×」とした。結果を表1に示す。
Figure 2017088993
実施例2と比較例1との比較から、実施例2の防食用水処理剤の方が比較例1の防食用水処理剤よりも鉄系金属及び銅系金属に高い防食性を付与できることが分かった。実施例3と比較例2との比較から、実施例3の防食用水処理剤の方が比較例2の防食用水処理剤よりも保存安定性が高いことが分かった。これらの結果から、防食用水処理剤は、(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%含有することで、保存安定性が高い上に鉄系金属及び銅系金属に高い防食性を付与できることが確認された。なお、比較例5の防食用水処理剤のように(a)ホスホノカルボン酸の一部を他の鉄防食剤であるヘキサメタリン酸ナトリウムとした場合には、鉄系金属に対して十分な防食性を付与できない。
実施例4と比較例3との比較から、実施例4の防食用水処理剤の方が比較例3の防食用水処理剤よりも鉄系金属と銅系金属に高い防食性を付与できることが分かった。実施例5と比較例4との比較から、実施例5の防食用水処理剤の方が比較例4の防食用水処理剤よりも保存安定性が高いことが分かった。これらの結果から、防食用水処理剤は、(b)ベンゾアゾール化合物を0.5〜2質量%含有することで、保存安定性が高い上に鉄系金属及び銅系金属に高い防食性を付与できることが確認された。
即ち、各実施例及び比較例の結果から、本発明の防食用水処理剤によれば、(a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%、(b)ベンゾアゾール化合物を0.5〜2質量%含有させることによる相乗効果で、鉄系金属及び銅系金属の両方に対して十分な防食性を付与できることが確認された。更に(e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%を含有させることにより、(a)(b)(e)3成分の相乗効果で、鉄系金属及び銅系金属の両方に対してより十分な防食性を付与できることが確認された。
実施例9と比較例6との比較から、実施例9の防食用水処理剤の方が比較例6の防食用水処理剤よりも保存安定性が高いことが分かった。この結果から、防食用水処理剤は、体積が10倍となるように水で希釈した際のpHが9以上であることで、高い保存安定性を維持できることが確認された。なお、防食用水処理剤は、体積が10倍となるように水で希釈した際のpHとしては、劇物に該当しないことから、取扱上はpHが13以下であることが望ましい。
120…冷却塔
131…被冷却装置
W2…循環水

Claims (4)

  1. (a)ホスホノカルボン酸を5〜7.5質量%と、
    (b)アゾール化合物を0.5〜2質量%と、
    (c)アルカリ金属水酸化物と、
    (d)水と、を含有し、
    体積が10倍となるように水で希釈した際のpHが、9以上である防食用水処理剤。
  2. (e)水溶性亜鉛化合物を亜鉛元素換算で0.25〜1質量%を更に含有する請求項1に記載の防食用水処理剤。
  3. 冷却塔と被冷却装置との間を循環する循環水に対して、請求項1に記載の防食用水処理剤を、前記防食用水処理剤が120〜400mg/Lとなる量添加する防食方法。
  4. 冷却塔と被冷却装置との間を循環する循環水に対して、請求項2に記載の防食用水処理剤を、前記防食用水処理剤が100〜200mg/Lとなる量添加する防食方法。
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