JP4277064B2 - 一液型水処理剤およびそれを用いた水処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一液型水処理剤およびそれを用いた水処理方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、殺菌性、スケール防止、防食性を有し、かつ保存安定性を有する一液型水処理剤およびそれを用いた水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
空調設備用の冷却水や産業機器用の冷却水は、通常、熱交換によって温められた後に、冷却塔のような冷却装置において空気との接触により冷やされて、再び冷却水として循環使用される。したがって、冷却水に含まれる塩類は次第に濃縮されて高濃度になり、微生物の増殖およびスライムの形成が誘発され、このスライムによって様々な障害が引き起こされる。
【0003】
スライムは、細菌や真菌のような微生物が冷却水系内の管壁や器壁に付着し、粘着性物質を分泌することにより形成される。このスライムが管壁や器壁、特に熱交換器に付着して熱交換性能を低下させたり、管壁や器壁を腐食させたりするばかりでなく、病原菌の飛散など、衛生上の問題を引き起こしたりもする。
したがって、冷却水に種々の薬剤を添加して、上記のような障害を防止することが従来から行われてきた。
【0004】
冷却水に添加する薬剤は、大別して殺菌のための薬剤と防食・スケール防止のための薬剤とがあり、それぞれ別々に添加するのが一般的であるが、薬注設備の簡素化や作業の効率化を図るためには一液型の薬剤であるのが望ましい。
【0005】
このような観点から、一液型の冷却水処理用製剤組成物が提案されている(例えば、特開平2−85381号公報参照)。上記公報記載の発明によると、製剤の長期的な安定性を得るために、硝酸マグネシウムまたは硝酸亜鉛等の塩の含有量は、15〜30重量%であることが必要であるが、当該組成物中に15〜30重量%という多量の硝酸マグネシウム等を含有するため、低温保存時における結晶析出が危惧される。
【0006】
また、小規模の冷却装置においては、固形状の薬剤を冷却水と接触するように保持し、薬剤を徐々に溶解させて、殺菌や防食・スケール防止を行う方法があるが、水に対する溶解性の調整が困難であるために必ずしも実用的ではない。
したがって、取り扱いが容易でしかも安定性の高い一液型水処理剤の開発が望まれている。
【0007】
この発明の有効成分であるイソチアゾロン化合物は、工業用防腐・防カビ剤として広く用いられており、工業製品、重合体懸濁液、機械加工用切削油、燃料等に添加されている。また、ビル、一般工場、石油化学プラント、火力発電所等の冷却水においてもスライム障害防止を目的として使用されている。これらの分野では、スライム障害と同様に、機器・設備へのスケールの付着や腐食が大きな問題であり、冷却水として海水を用いている分野や比較的硬度の高い冷却水を使用している分野では特に深刻である。これまでは、このような問題を解決するために、冷却水用の防腐・防カビ剤と共にスケール防止・防食剤を添加していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の発明者らは、殺菌性の機能をもつイソチアゾロン化合物と、スケール防止や防食の機能をもつベンゾトリアゾール系化合物や有機ホスホン酸等の薬剤を、一液形態の製剤として用いることを検討した結果、貯蔵時にイソチアゾロン化合物が分解され、薬剤の機能が低下して有効な処理ができなかった。
そこで、この発明は、殺菌性、スケール防止、防食性を有し、かつ保存安定性を有する一液型水処理剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、イソチアゾロン化合物とベンゾトリアゾール系化合物および/または有機ホスホン酸とを含有する薬剤に、特定の2種の親水性有機溶剤を添加することにより、イソチアゾロン化合物が分解しない事実を見出した。
すなわち、この発明の発明者らは、(A)イソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩との混合物、(B)ベンゾトリアゾール系化合物および/または有機ホスホン酸、(C)グリコール系親水性有機溶剤およびアミド系親水性有機溶剤ならびに(D)水を含有することを特徴とする一液型水処理剤を見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
かくしてこの発明によれば、(A)一般式(I):
【0011】
【化4】
【0012】
(式中、XおよびYは同一または異なって、水素原子または塩素原子、Zは炭素数1〜8のアルキル基を示す)
で表わされるイソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩との混合物、
(B)一般式(II):
【0013】
【化5】
【0014】
[式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、低級アルキル基または低級アルコキシ基を示し、R2は水素原子または
【0015】
【化6】
【0016】
(式中、R3およびR4は同一または異なって、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基を示す)で表わされる基を示す]
で表わされるベンゾトリアゾール系化合物および/または有機ホスホン酸、
(C)グリコール系親水性有機溶剤およびアミド系親水性有機溶剤ならびに
(D)水
を含有することを特徴とする一液型水処理剤が提供される。
【0017】
また、この発明によれば、上記の一液型水処理剤を、成分(A)および成分(B)の有効成分濃度として5〜500mg/lを冷却水に添加することを特徴とする水処理方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の成分(A)としてのイソチアゾロン化合物は、一般式(I)で表され、式中、Zで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどの直鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0019】
イソチアゾロン化合物として、具体的には、5−クロロ−2−メチル−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2−エチル−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、中でも、MITが殺菌効果の点で特に好ましい。
【0020】
上記のイソチアゾロン化合物と混合されるべきアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩としては、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどが挙げられる。
【0021】
イソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩とは、混合によりコンプレックスを形成する。したがって、この発明の成分(A)としては、例えばローム・アンド・ハース社製のKATHON WT PLUS(登録商標)のような市販のイソチアゾロン化合物の塩を用いることもできる。
【0022】
成分(A)におけるイソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩との重量比は、それらの組み合わせにもよるが、好ましくは20:1〜1:50である。
【0023】
この発明の成分(B)としてのベンゾトリアゾール系化合物は、一般式(II)で表される。R1で示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが挙げられ、低級アルキルとしては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチルのような炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、低級アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシのような炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。
【0024】
R3およびR4で示される低級アルキル基としては、上記のR1と同じものが挙げられ、ヒドロキシ低級アルキル基としては、一つまたはそれ以上のヒドロキシ基で置換された上記のような低級アルキル基が挙げられる。
【0025】
ベンゾトリアゾール系化合物の具体例としては、ベンゾトリアゾール(BT)、トルエノトリアゾール(トリルトリアゾールまたはメチルベンゾトリアゾール、TT)、5−エチルベンゾトリアゾール、5−n−プロピルベンゾトリアゾール、5−イソブチルベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール、5−クロロベンゾトリアゾール、4−ニトロベンゾトリアゾール、5−メトキシベンゾトリアゾール、5−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−(アミノメチル)−トルエノトリアゾールなどが挙げられ、中でも、BT、TTおよび1−(アミノメチル)−トルエノトリアゾールが銅系金属を腐食させない点で特に好ましい。
そして、1−(アミノメチル)−トルエノトリアゾールとしては、チバ・カイギーアクチエンゲゼルシャフトから商品名「IRGAMET(登録商標)42」として市販されているものを用いることができる。
【0026】
この発明の成分(B)としての有機ホスホン酸は、スケール分散・防食剤として公知の化合物であり、具体的には、エチルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1,1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、1,1−アミノエタンジホスホン酸、1,1−ヒドロキシプロパンジホスホン酸、1,1−ヒドロキシブタンジホスホン酸、1,1−アミノブタンジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチルホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチルホスホン酸、ジエチレントリアミン−ペンタメチルホスホン酸、2−ホスホノ酢酸、2−ホスホノプロピオン酸、2−ホスホノスクシン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(PBTC)などが挙げられる。中でも、HEDPおよびPBTCが鉄系金属を腐食させず、スケール防止効果を有する点で特に好ましい。
【0027】
この発明の一液型水処理剤は、成分(B)として、ベンゾトリアゾール系化合物と有機ホスホン酸のいずれか一方を含有していればよいが、これらの併用はいずれか一方を単独で用いる場合に比べて、殺菌効果、スケール防止効果の点で好ましい。また、ベンゾトリアゾール系化合物および有機ホスホン酸は、いずれも2種以上を併用してもよい。
【0028】
成分(B)としてベンゾトリアゾール系化合物と有機ホスホン酸とを併用する場合、それらの重量比は、それらの組み合わせにもよるが、10:1〜1:300、好ましくは1:1〜1:200、より好ましくは1:10〜1:100である。
【0029】
この発明における成分(C)は、グリコール系親水性有機溶剤とアミド系親水性有機溶剤との混合溶剤からなり、これらの各溶剤は、いずれも2種以上のものを併用してもよい。
【0030】
この発明で用いられるグリコール系親水性有機溶剤としては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0031】
また、アミド系親水性有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)などが挙げられる。
【0032】
この発明の一液型水処理剤における有効成分となる成分(A)および成分(B)中の各化合物の含量は、それぞれイソチアゾロン化合物が0.1〜30重量%、アルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩が0.1〜14重量%、ベンゾトリアゾール系化合物が0.1〜10重量%、有機ホスホン酸が1〜30重量%の範囲内であるのが好ましい。
【0033】
これらの各成分の配合量が上記の範囲より多いと、水処理剤の安定性が低下するので好ましくない。例えば、アルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩の配合割合が14重量%より多いと、低温で沈澱が生じ易くなり、低温での保存安定性が低下する。また、各成分の配合量が上記の範囲より少ないと、水処理効果を確保するために水処理剤を多量に使用することとなるので、薬注設備の簡素化や作業の効率化の点で好ましくない。
【0034】
この発明の一液型水処理剤における成分(C)の親水性有機溶剤の配合割合は、グリコール系親水性有機溶剤が1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%であり、アミド系親水性有機溶剤が0.01〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0035】
この発明の一液型水処理剤は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を残部の水と混合することにより得られる。
【0036】
この発明の一液型水処理剤は、保存安定性をさらに向上させるために、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールなどを含んでいてもよい。これらの保存安定剤は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
この発明の方法では、一液型水処理剤の成分(A)および成分(B)が有効成分濃度として10〜1000mg/l、好ましくは10〜500mg/l、より好ましくは5〜500mg/lとなるように、冷却水に添加する。この添加量により、この発明の一液型水処理剤は優れた殺菌効果およびスケール防止効果を発揮するが、添加量は冷却水の状態や有効成分の種類により適宜増減することができる。
【0038】
【実施例】
この発明を製剤例、比較製剤例および試験例により具体的に説明するが、この発明はこれらの製剤例および試験例により限定されるものではない。
【0039】
製剤例および比較製剤例に用いた化合物をそれらの略号と共に以下に示す。
MIT :2−メチル−イソチアゾリン−3−オン
BT :ベンゾトリアゾール
TT :トルエノトリアゾール
HEDP:1,1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸
PBTC:2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸
EG :エチレングリコール
DEG :ジエチレングリコール
PEG :ポリエチレングリコール
PG :プロピレングリコール
DMAC:N,N−ジメチルアセトアミド
製剤例および比較製剤例を表1および表2に示す。表中の各化合物の配合割合はすべて重量部である。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
試験例1(貯蔵安定性試験)
製剤例1〜25および比較製剤例1〜6の各薬剤について貯蔵(保存)安定性試験を行った。
各薬剤について、容量100mlのガラス容器を2個準備し、各ガラス容器に薬剤を約100mlずつ入れ、1つを50℃の条件下に、もう1つを−5℃の条件下に静置した。経日的に薬剤の状態を目視により観察すると共に、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で薬剤中のMIT濃度を測定した。
【0043】
試験前のMIT濃度C0と試験後のMIT濃度(測定値)CからMITの分解率(%)を算出した。
MITの分解率(%)=[1−(C/C0)]×100
目視観察の結果およびMITの分解率から、以下に示す評価基準に基づいて、貯蔵安定性を評価した。
○:外観の変化がなく、MITの分解が認められないもの
×:結晶が多量に析出して白濁し、MITの分解率が5%以上であったもの
【0044】
試験温度50℃における各薬剤の7日後、14日後、30日後および60日後の貯蔵安定性を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
製剤例1〜23の薬剤は、いずれも試験温度50℃での貯蔵安定性(高温安定性)および試験温度−5℃での貯蔵安定性(低温安定性)が共に良好であった。製剤例24および製剤例25の薬剤は、高温安定性は優れていたが、−5℃では7日後に沈澱が生じ、低温安定性に劣っていた。
【0047】
一方、比較製剤例1〜6の薬剤は、いずれも高温安定性および低温安定性が共に劣っていた。
この試験における50℃での安定性試験の60日(2ヶ月)は、40℃での安定性試験の4ヶ月に相当し、同じく室温での安定性試験の1年以上に相当することが、長年の研究の結果から推認されている。
【0048】
したがって、この発明の一液型水処理剤は、有効成分が長期間に亘り安定であるので、優れた殺菌効果およびスケール防止効果を長期間持続して発揮させることができる。
【0049】
試験例2(スケール防止・防食効果確認試験)
図1に示す装置を用いて、表4に示す試験水Aおよび試験水Bにそれぞれ製剤例1および製剤例2の所定量の薬剤を添加して、次に示す条件でカルシウムスケール防止・防食効果確認試験を行った。なお、比較として薬剤無添加の場合についても同様に試験した。
試験水水温 40℃
伝熱量 60,000Kcal/m2・時間
試験水流速 0.5m/秒
試験期間 5日
テストチューブ材質 鉄:SPTG−38、銅:C1100P
【0050】
【表4】
【0051】
操作については、検水ピット2に試験水11を入れ、マグネットポンプ6により循環させ、温水ピット10には純水12を入れ、マグネットポンプ6により循環させ、循環開始をもって試験開始とした。テストチューブとしては、鉄と銅の2種類を用いてそれぞれ行った。テスト部分8は、チューブの二重構造で、外側に試験水11が流れ、内側に温水12が流れ、チューブ部分が伝熱面となる構造である。試験水11の水温は、冷却水ピット1、温度センサー3、温度調節器4および電磁弁5により調節し、温水12は、温度センサー3およびヒーター9により調節した。図中、13は温度調節器4およびヒーター9の電源(AC100V)である。すなわち、試験水11の熱源は、テスト部分8のテストチューブからの伝熱のみになるようにした。また、試験水11と温水12の流量は、それぞれの流量計7および電磁弁(図示しない)により調節した。
【0052】
試験終了後、鉄のテストチューブを酸洗し、その重量を測定して、この測定値と試験前に予め測定しておいた鉄のテストチューブの重量との重量差Wfを求めた。得られた重量差Wfと次式から腐食速度[MDD(mg/日・dm2)]を求めた。
MDD=[重量差Wf(mg)]/[期間(日)×表面積*(dm2)]
*表面積は、鉄のテストチューブの表面積を意味する。
【0053】
試験終了後、銅のテストチューブを酸洗し、その重量を測定して、この測定値と酸洗前に予め測定しておいた銅のテストチューブの重量との重量差Wcを求めた。得られた重量差Wcと次式からスケール付着速度[MCM(mg/月・cm 2 )]を求めた。
MCM=[重量差Wc(mg)]/[期間(月)×表面積*(cm2)]
*表面積は、銅のテストチューブの表面積を意味する。
【0054】
試験水Aおよび試験水Bにおける供試薬剤およびその添加量に対する腐食速度(MDD)およびスケール速度(MCM)を表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
表5の結果から、この発明の一液型水処理剤が優れたスケール防止効果を有し、かつ金属材料に対する腐食性が低いことがわかる。
【0057】
【発明の効果】
この発明の一液型水処理剤は、優れた殺菌効果およびスケール防止効果を兼ね備え、保存安定性が良好であって、有効成分が高濃度でも鉄系金属材料や銅系金属材料に対する腐食性が低い。
したがって、この発明の一液型水処理剤は、薬注用の機器や配管として鉄または銅系金属材料で形成された装置においても使用でき、装置の運転や保守が容易であるので、経済的であり、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一液型水処理剤のカルシウムスケール防食効果確認試験に用いた装置の概略模式図である。
【符号の説明】
1 冷却水ピット
2 検水ピット
3 温度センサー
4 温度調節器
5 電磁弁
6 マグネットポンプ
7 流量計
8 テスト部分
9 ヒーター
10 温水ピット
11 試験水
12 温水(純水)
13 電源
Claims (5)
- (A)一般式(I):
で表わされるイソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩との混合物、
(B)一般式(II):
で表わされるベンゾトリアゾール系化合物および/または有機ホスホン酸、
(C)グリコール系親水性有機溶剤およびアミド系親水性有機溶剤ならびに
(D)水
を含有することを特徴とする一液型水処理剤。 - 成分(A)におけるイソチアゾロン化合物とアルカリ土類金属硝酸塩またはアルカリ土類金属塩酸塩との重量比が20:1〜1:50である請求項1に記載の一液型水処理剤。
- 成分(B)におけるベンゾトリアゾール系化合物が、ベンゾトリアゾール、トルエノトリアゾールである請求項1または2に記載の一液型水処理剤。
- 成分(B)における有機ホスホン酸が、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸である請求項1〜3のいずれか1つに記載の一液型水処理剤。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の一液型水処理剤を、成分(A)および成分(B)の有効成分濃度として5〜500mg/lを冷却水に添加することを特徴とする水処理方法。
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