JP2017088762A - 自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法 - Google Patents

自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法を提供すること。
【解決手段】本発明の自己組織化用高分子材料は、特定構造を有する構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、特定構造を有する構成単位を主体とする第2重合体ブロックとが連結されてなるマルチブロック共重合体を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法に関し、詳しくは、半導体製造用レジストなどに好適に用いられる自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法に関する。
近年、ブロック共重合体の誘導自己組織化(DSA:Directed Self-Assembly)技術を用いた微細パターン形成技術が脚光を浴びている(例えば、特許文献1〜特許文献7参照)。この誘導自己組織化技術では、従来の光リソグラフィー技術(例えば、ArF液浸法)を用いて作製したガイドパターンよりさらに数段縮小したガイドパターンを作製することが可能となる。誘導自己組織化技術によれば、究極的な微細加工技術と言われている電子ビーム(EB:electron beam)及び極端紫外線(EUV:Extreme Ultra-Violet)より微細なパターンを形成することが可能となる。
特開2005−7244号公報 特開2005−8701号公報 特開2005−8882号公報 特開2003−218383号公報 特開2010−269304号公報 特開2011−129874号公報 特開2012−108369号公報
ところで、フォトニクス結晶、有機薄膜太陽電池のドメインサイズ制御方法、薬物送達用高分子ミセル及びバイオマテリアルなどの分野では、10nm以下の微細なライン/スペース(以下、「L/S」ともいう)及び微小なホール(以下、「CH」ともいう)などのパターンの形成が望まれている。しかしながら、従来の光リソグラフィー、エレクロトンビーム及び極端紫外線の技術などでは、ミクロ相分離形成能が十分ではなく、また相構造形成不良に起因する欠陥が生じて10nm以下のパターンの形成が困難であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定構造の構成単位を主体とする第1重合体ブロック及び第2重合体ブロックが連結されてなるマルチブロック共重合体により、微細なミクロ相分離構造を保持しつつ、高分子物性を維持することが可能となり、10nm以下のパターンを容易に形成でき、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減して微細及び微小な繰り返しパターンを形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の自己組織化用高分子材料は、下記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、下記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとが連結されてなるマルチブロック共重合体を含有することを特徴とする。

(一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基を示す。mは、1以上1000以下の整数である。)

(一般式(2)中、Z及びZは、それぞれ炭素原子又は窒素原子を表し、Z及びZのいずれか一方が窒素原子の場合には、いずれか他方が炭素原子である。Yは、Zが窒素原子の場合には存在せず、Zが炭素原子の場合には、水素原子又はORを表す。Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を表し、Rは、水素原子、ビニル基又は炭素原子2以上5以下のビニリデン基を表し、Rは、炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。lは、1以上1000以下の整数である。)
この自己組織化用高分子材料によれば、一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、一般式(2)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックとは異なる極性を有する第2重合体ブロックとが繰り返されるので、相互の反発力が促進される。これにより、ミクロ相分離性が向上してミクロ相分離不良に基づく欠陥を低減することが可能となり、より微細な繰り返しパターンを形成することが可能となる。したがって、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる自己組織化用高分子材料を実現できる。
本発明の自己組織化用高分子材料においては、前記マルチブロック共重合体は、トリブロック共重合又はテトラブロック共重合体であることが好ましい。
本発明の自己組織化用高分子材料においては、前記マルチブロック共重合体は、リビングアニオン重合により共重合されてなることが好ましい。
本発明の自己組織化用高分子材料においては、前記マルチブロック共重合体は、重量平均分子量が3,000以上50,000以下であることが好ましい。
本発明の自己組織化膜は、上記自己組織化用高分子材料を用いて得られたことを特徴とする。
本発明の自己組織化膜においては、表面にトップコート剤が塗布されてなることが好ましい。
本発明の自己組織化膜の製造方法は、上記自己組織化用高分子材料を用いて自己組織化膜を形成することを特徴とする。
本発明の自己組織化膜の製造方法においては、ガイドパターン内で自己組織化膜を形成することが好ましい。
本発明の自己組織化膜の製造方法においては、前記自己組織化膜上にトップコート剤を塗布する工程を含むことが好ましい。
本発明のパターンは、上記自己組織化膜がエッチングされてなることを特徴とする。
本発明のパターンの形成方法は、上記自己組織化膜をエッチングしてパターンを形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる自己組織化用高分子材料、自己組織化膜、自己組織化膜の製造方法、パターン及びパターンの形成方法を実現できる。
図1は、2成分の高分子成分を含む高分子材料のミクロドメイン構造を示す図である。 図2Aは、球状構造のミクロドメイン構造を示す図である。 図2Bは、シリンダー構造のミクロドメイン構造を示す図である。 図2Cは、ジャイロイド構造のミクロドメイン構造を示す図である。 図2Dは、ラメラ構造のミクロドメイン構造を示す図である。 図3は、ブロック共重合体の分子鎖の模式図である。 図4は、マルチブロック共重合体の例を示す図である。 図5Aは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図5Bは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図5Cは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図5Dは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図6Aは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図6Bは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図6Cは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図6Dは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。 図7は、テトラブロック共重合体(1−1)のGPCチャートを示す図である。 図8は、テトラブロック共重合体(1−1)のH−NMRの測定結果を示す図である。 図9は、テトラブロック共重合体(1−1)及びテトラブロック共重合体(1−2)のH−NMRの測定結果を示す図である。 図10は、切片の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。 図11は、トリブロック共重合体(2)を用いて得られたパターンのSAXS観測結果を示す図である。
半導体における誘導自己組織化(以下、「DSA」ともいう)技術は、互いに非相溶な2種類の高分子鎖が共重合により一点で連結されたときに発現するミクロ相分離形成能を利用した技術である。共有結合で連結されたジブロック共重合体などのマルチブロック共重合体は、同じ高分子成分同士が分子間集合することでミクロ相分離を起こす際に、2つの高分子成分間の体積分率比(f)に応じて分子集合時の界面曲率が変化してミクロドメイン構造が変化する。
図1は、2成分の高分子成分を含む高分子材料のミクロドメイン構造を示す図であり、図2Aは、球状構造のミクロドメイン構造を示す図であり、図2Bは、シリンダー構造のミクロドメイン構造を示す図であり、図2Cは、ジャイロイド構造のミクロドメイン構造を示す図であり、図2Dは、ラメラ構造のミクロドメイン構造を示す図である。図3は、ブロック共重合体の分子鎖の模式図である。なお、図1においては、縦軸に相互作用パラメーターχと高分子の重合度Nとの積χNと示し、横軸に第1成分と第2成分との組成fを示している。
図1に示すように、2成分の高分子成分を含む高分子材料のミクロドメイン構造は、組成の変化に応じて、図1の領域S中では球状構造1A(図2A参照)となり、図1の領域C中ではシリンダー構造1B(図2B参照)となり、図1の領域G中ではジャイロイド構造1C(図2C参照)となり、図1の領域L中ではラメラ構造1D(図2D参照)となる規則的なモルフォロジーを与える。また、図1の点Pでは、無秩序な状態となる。高分子材料を用いてより小さなミクロ相分離構造を得るためには、図3に示すブロック共重合体の第1重合体ブロック11及び第2重合体ブロック12の組成を維持して分子量を小さくすればよい。しかしながら、第1重合体ブロック11及び第2重合体ブロック12の分子量をただ単に小さくするだけでは、やがては相分離しない領域に達してしまうことが分かる。
下記表1に、高分子材料の一例として、ポリエチレンの分子量と沸点、融点、及び外観との物性との関係を示す。表1に示すように、ポリエチレンは、重合度(n)の低下と共に分子量も低下し、沸点も低下する。また、ポリエチレンは、分子量が3000以下のオリゴマー領域では、ロウ状及びもろい固体となり、堅牢な固体、高いガラス転移温度及び強靭なフィルム形成能を有するなどの基本的な高分子物性を満たさなくなる。このため、高分子材料では、微細なミクロ層分離構造を得るためにブロック共重合体の分子量を小さくすると、やがてミクロ層分離しない領域に達すると共に、オリゴマー又はオリゴマー以下の分子量の領域となり、高分子材料としての性質が失われて高分子としての物性が得られなくなることが分かる。
高分子材料としての性質を維持しつつ、より小さなミクロ層分離構造を得るためには、ジブロック共重合体を構成する2つの第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とを繰り返し導入したマルチブロック共重合体を用いることが考えられる。図4は、マルチブロック共重合体の例を示す図である。図4に示すように、マルチブロック共重合体としては、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とが連結されてなるジブロック共重合体と、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11とが連結されたトリブロック共重合体と、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とが連結されたテトラブロック共重合体とがある。なお、トリブロック共重合体としては、図4に示す例の他、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11及び第2重合体ブロック12以外の第3重合体ブロックとが連結されたものであってもよい。このようにマルチブロック共重合体とすることにより、マルチブロック共重合体を構成する重合体ブロックの分子鎖の鎖長が短い場合であっても、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とのシーケンスを繰り返すことで分子量の総和を大きくすることができるので、高分子物性を付与することが可能になる。
図5A〜図5D及び図6A〜図6Dは、マルチブロック共重合体が形成するミクロ層分離構造の一例としてのラメラ構造の模式図である。図5A及び図6Aに示すように、ジブロック共重合体の第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とが連結されたブロック鎖がドメイン中で取りうる構造は、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12のドメインの界面14を貫通する構造の1種類となる。図5B及び図6Bに示すように、トリブロック共重合体の第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11とが連結されたブロック鎖がドメイン中で取りうる構造は、第1重合体ブロック11、第2重合体ブロック12及び第1重合体ブロック11−1のドメインの界面14を貫通する構造と、第1重合体ブロック11の界面14を貫通し、第2重合体ブロック12内で折り返して第1重合体ブロック11のドメインを貫通する構造との2種類となる。また、図5C及び図6Cに示すように、トリブロック共重合体の第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第3重合体ブロック13とが連結されたブロック鎖がドメイン中で取りうる構造は、第1重合体ブロック11、第2重合体ブロック12及び第3重合体ブロック13のドメインの界面14を貫通する構造の1種類となる。
図5D及び図6Dに示すように、テトラブロック共重合体の第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11−1と第2重合体ブロック12−1とが連結されたブロック鎖がドメイン中で取りうる構造は、第1重合体ブロック11、第2重合体ブロック12、第1重合体ブロック11−1及び第2重合体ブロック12−1のドメインの界面14を貫通する構造と、第1重合体ブロック11及び第2重合体ブロック12の界面14を貫通し、第1重合体ブロック11−1内で折り返して第2重合体ブロック12のドメインに至る構造と、第1重合体ブロック11の界面14を貫通し、第2重合体ブロック12内で折り返した後、第1重合体ブロック11内で再び折り返して第2重合体ブロック12のドメインに至る構造との3種類となる。このようなブロック共重合体の機械的強度は、図6B及び図6Dの上段に示すような一般的に高分子鎖が多くのドメインを貫く構造の方が高いことが知られている(文献:Macromolecules, Vol.16, No1, 1983)。また、図6B及び図6Dの下段に示すループ構造は、少ない方がよく、ブロック鎖が取りうる形態の多い図6Bの上段に示すトリブロック共重合体のようなマルチブロック共重合体の方がジブロック共重合体よりも高い強度を示す。
ここで、分子量が小さなジブロック共重合体を想定すると、第2重合体ブロック12のドメインでは第2重合体ブロック12の分子鎖同士の絡み合いが少ないので、横方向に力が掛かった場合、比較的簡単にラメラ構造が壊れてしまう。一方、トリブロック共重合体及びテトラブロック共重合体の場合には、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11とのドメイン又は第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12と第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とのドメインを貫く構造が存在するので、より強い凝集力が働く。これにより、トリブロック共重合体及びテトラブロック共重合体によれば、ジブロック共重合体よりもより小さなミクロ相分離構造を形成することができるので、より優れた高分子物性を付与することが可能となる。
ところで、DSA技術では、従来の光リソグラフィー技術及び電子ビームリソグラフィー(EB:Electron Beam Lithography)及び極端紫外線リソグラフィー(EUV:Extreme ultraviolet lithography)では困難であった微細加工の検討がなされている。しかしながら、従来のDSA技術に用いられていたスチレン−メタアクリル酸メチル系ジブロック共重合体では、14nm付近からミクロ層分離構造を形成しなくなり、10nm以下のライン/スペース及びホールを形成得ることが困難である。また、スチレンーメタクリル酸メチル系以外のブロック鎖からなるジブロック共重合体も検討されているが、いずれも10nm付近あるいはそれ以下の領域ではミクロ相分離形成能が失われるものが多く、所望の相構造が得られない場合及び相構造形成不良に起因する欠陥が生じてしまう場合がある。
本発明者らは、上述した高分子材料の特性に着目し、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ジブロック共重合体の各ブロック鎖の鎖長を変えることなくマルチブロック化することで、上記課題が解決できることに着目した。すなわち、本発明者らは、第1重合体ブロック11と第2重合体ブロック12とを有するジブロック共重合体を用いることにより、微細なミクロ相分離構造を保持しつつ、高分子物性が維持できることを見出した。さらに、本発明者らは、ジブロック共重合体に、新たな第三成分となる第1重合体ブロック11(又は第3重合体ブロック13)を加えることにより、全体の分子量を大きくしたABA型(又はABC型)トリブロック共重合体、又は更に第3重合体ブロック及び第4重合体ブロックを加えたABAB型(又はABCA型など)テトラブロック共重合体を用いることにより、更に微細なミクロ相分離構造を保持しつつ、高分子物性が維持できることを見出した。そして本発明者らは、上述したジブロック共重合体、トリブロック共重合体及びテトラブロック共重合体などのマルチブロック共重合体により、10nm以下のL/SやCHが容易に形成でき、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減して微細・微小な繰り返しパターンを形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る自己組織化用高分子材料は、下記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、下記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとが共重合により連結されてなるマルチブロック共重合体を含有する。

(一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基を示す。mは、1以上1000以下の整数である。)

(一般式(2)中、Z及びZは、それぞれ炭素原子又は窒素原子を表し、Z及びZのいずれか一方が窒素原子の場合には、いずれか他方が炭素原子である。Yは、Zが窒素原子の場合には存在せず、Zが炭素原子の場合には、水素原子又はORを表す。Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を表し、Rは、水素原子、ビニル基又は炭素原子2以上5以下のビニリデン基を表し、Rは、炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。lは、1以上1000以下の整数である。)
この自己組織化用高分子材料によれば、一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、一般式(2)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックとは極性が異なる第2重合体ブロックとが繰り返されることにより、相互の反発力が促進されるので、ミクロ相分離性が向上してミクロ相分離不良に基づく欠陥を低減することが可能となり、より微細な繰り返しパターンを形成することが可能となる。したがって、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる自己組織化用高分子材料を実現できる。
上記一般式(1)中のRとしては、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基であれば特に制限はない。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記一般式(1)中のRとしては、水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基であれば特に制限はない。炭素数1以上5以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル、n−ブチル基、s−ブチル基、又はt−ブチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
上記一般式(2)中のZ及びZとしては、それぞれ炭素原子又は窒素原子を表し、Z及びZのいずれか一方が窒素原子の場合には、いずれか他方が炭素原子である。この場合、Z及びZとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、Zが窒素原子であり、Zが炭素原子であることが好ましい。
上記一般式(2)中のRとしては、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基であれば特に制限はない。炭素数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びイソプロピル基などが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記一般式(2)中のRとしては、ビニル基又は炭素原子2以上5以下のビニリデン基であれば特に制限はない。炭素数2以上5以下のビニリデン基としては、例えば、ビニレン基、ビニリデン基、プロピリデン基、ブチリデン基及びペンチリデン基などが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、ビニル基、ビニレン基及びプロピリデン基が好ましく、ビニル基がより好ましい。
上記一般式(2)中のYは、Zが窒素原子の場合には存在せず、Zが炭素原子の場合には、水素原子又はORを表す。上記一般式(2)中のRとしては、炭素数1以上10以下のアルキル基であれば特に制限はない。Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、炭素数1以上7以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上5以下のアルキル基がより好ましい。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基などのアルキル基などが挙げられる。これらの中でも、Rとしては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基及びヘプチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基及びネオペンチル基がより好ましい。
マルチブロック共重合体の第1重合体ブロックとしては、上記一般式(1)で表される同一の構成単位が繰り返さして重合してなる第1重合体ブロックA又は上記一般式(1)で表される構成単位と、上記一般式(1)とは異なる構成単位と、が繰り返し重合してなる第1重合体ブロックBを用いることができる。また、マルチブロック共重合体の第2重合体ブロックとしては、上記一般式(2)で表される同一の構成単位が繰り返して重合してなる第2重合体ブロックC又は上記一般式(2)で表される構成単位と、上記一般式(2)とは異なる構成単位と、が繰り返し重合してなる第2重合体ブロックDを用いることができる。トリブロック共重合体としては、上述した重合体ブロックA−Dが、ACA、ACB、ADA、ADBのように任意に配列したものを用いることができる。これらの中でも、トリブロック共重合体としては、より一層ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、ACA、ADAの配列が好ましい。テトラブロック共重合体としては、ACAC、ACBC、ADAD、ADBCというように任意に配列したものを用いることができる。これらの中でも、テトラブロック共重合体としては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、ACAC、ADADが好ましい。
マルチブロック共重合体としては、上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとのトリブロック共重合体を用いてもよく、テトラブロック共重合体を用いてもよい。また、マルチブロック共重合体としては、第1重合体ブロックと第2重合体ブロックとが共重合により複数連結されてなるペンタブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体を用いることもできる。これらの中でも、マルチブロック共重合体としては、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、トリブロック共重合体又はテトラブロック共重合体が好ましい。また、高分子化合物としてトリブロック共重合体及びテトラブロック共重合体を用いる場合の構成単位の比率については特に制限はなく、自己組織化によって形成するミクロドメイン構造の種類に応じて適宜選択することができる。
マルチブロック共重合体の構成単位の比率としては、上記一般式(1)で表される構成単位(m)と、上記一般式(2)で表される構成単位(l)との組成の比率(m:l)としては、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、m:l=8:2〜2:8の範囲内が好ましい。また、例えば、自己組織化によってラメラ構造を形成する場合には、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、上記一般式(1)で表される構成単位(m)と、上記一般式(2)で表される構成単位(l)との比率(m:l)をm:l=4:6〜6:4の範囲にすることが好ましく、m:l=5:5とすることがより好ましい。また、自己組織化によってシリンダー構造を形成する場合には、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、上記一般式(1)で表される構成単位(m)と、上記一般式(2)で表される構成単位(l)との比率(m:l)をm:l=3:7〜7:3の範囲にすることが好ましい。この場合、少ない比率の構成単位がシリンダー構造の内部膜を形成する。
また、第1重合体ブロック及び第2重合体ブロックの平均分子数としては、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、それぞれ10個以上1000個以下が好ましく、15個以上100個以下がより好ましく、20個以上50個以下が更に好ましく、25個以上40個以下がより更に好ましい。
また、第2重合体ブロックの平均分子数としては、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、それぞれ10個以上1000個以下が好ましく、30個以上500個以下がより好ましく、50個以上200個以下が更に好ましく、70個以上100個以下がより更に好ましい。
マルチブロック共重合体の数平均分子量(Mn)は、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する観点から、3,000以上が好ましく、5,000以上がより好ましく、6,000以上が更に好ましく、また100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下が更に好ましい。数平均分子量(Mn)が3,000以上であれば、自己組織化が進行してミクロドメイン構造が形成された自己組織化膜が得られる。また、数平均分子量(Mn)が50,000以下であれば、高分子化合物の親水性基の有する水素結合が適度に作用するので、各ブロック共重合体間のχパラメーターが不足することなく自己組織化が起こってミクロドメイン構造が形成され、パターンサイズを10nm以下にすることが容易となる。なお、本発明に係る自己組織化用高分子材料は、本発明の効果を奏する範囲で数平均分子量(Mn)が10,000以下のものを含むものとする。
また、マルチブロック共重合体の分子量分布(PDI:Mw/Mn=PDI)は、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できる観点から、1.0以上が好ましく、1.02以上がより好ましく、また1.1以下が好ましく、1.06以下がより好ましい。PDIが1.0以上1.1以下であれば、低分子量のポリマー及び高分子量のポリマーの混入が殆どないので、自己組織化により形成されたミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性が向上する。
上述した数重量平均分子量(Mn)及びPDIは、ポリスチレンを標準物質として換算したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。GPC法による重量平均分子量は、例えば、GPC測定装置(商品名:HLC−8220GPC、東ソー社製)、カラム(商品名:GPCカラムTSKgel Super HZ2000 HZ3000 東ソー社製)及び移動相(THF)を用いて、カラム温度30℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出する。
また、マルチブロック共重合体の組成比は、核磁気共鳴(NMR)法によって求めることができる。NMR法による組成比は、例えば、NMR測定装置(商品名:Bruker TopSpin 3.2, 500MHz)、温度25℃、溶媒(CDCl3)、内部標準:テトラメチルシラン(TMS:Tetramethylsilane)、積算回数128回の条件で測定することができる。
マルチブロック共重合体としては、リビングアニオン重合法により共重合された上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとのマルチブロック共重合体が好ましい。高分子化合物は、リビングアニオン重合によって共重合されることにより、PDIを極めて狭くできると共に、所望の重量平均分子量の高分子化合物を精度良く得ることが可能となる。これにより、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造のパターンの均一性及び規則性を向上することが可能となる。
マルチブロック共重合体である高分子化合物の製造方法としては、上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとを共重合できるものであれば特に制限はない。高分子化合物を得るための重合方法としては、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合、リビングラジカル重合、及び有機金属触媒を用いた配位重合などが挙げられる。これらの中でも、重合の失活及び副反応が少なく、リビング重合が可能なリビングアニオン重合が好ましい。
リビングアニオン重合においては、脱酸素及び脱水処理を行った重合用モノマー及び有機溶媒を用いる。有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、ジエチルエーテル、及びテトラヒドロフランなどが挙げられる。リビングアニオン重合では、これらの有機溶媒にアニオン種を必要量添加した後、モノマーを随時添加することで重合を行う。アニオン種としては、例えば、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド、ナフタレンナトリウム、及びアルキル化ランタノイド系化合物などの有機金属が挙げられる。本発明においては、モノマーとして置換スチレンを共重合するので、これらの中でも、アニオン種としては、s−ブチルリチウム及びブチルマグネシウムクロライドが好ましい。リビングアニオン重合の重合温度としては、−100℃以上50℃以下の範囲内が好ましく、重合の制御を容易にする観点から、−70℃以上40℃以下がより好ましい。
マルチブロック共重合体の製造方法としては、例えば、p−(1−エトキシエチル)スチレン又は4−t−ブトキシスチレンなどのフェノール性水酸基を保護した置換スチレンのモノマーを上述した条件下でリビングアニオン重合によりブロック共重合を行ってブロック共重合体を合成する。このブロック共重合体は、シュウ酸などの酸触媒などを用いて得られた高分子化合物のフェノール性水酸基を脱保護することができる。重合時のフェノール性水酸基に対する保護基としては、t−ブチル基及びトリアルキルシリル基などが挙げられる。なお、高分子化合物中に他のエーテル部位、エステル部位を有するモノマーを共重合する場合は、脱保護反応時の酸性度の調整及びアルカリ性条件下での脱保護反応により、選択的に脱保護してフェノール性水酸基を得ることも可能である。
本発明に係る自己組織化膜は、上記自己組織化用高分子材料を有機溶剤に溶解させて塗布することにより得られる。自己組織化用高分子材料を溶解する有機溶剤としては、自己組織化膜が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3−メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、3−エトキシエチルプロピオネート、3−エトキシメチルプロピオネート、3−メトキシメチルプロピオネート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジアセトンアルコール、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、及びテトラメチレンスルホンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
自己組織化用高分子材料を溶解する有機溶剤としては、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、及び乳酸アルキルエステルが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、アルキル基の炭素数が1以上4以下のものが挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、及びエチル基が好ましい。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、1,2置換体と1,3置換体とを含む置換位置の組み合わせにより3種の異性体があるが、これらの異性体を単独で用いてもよく、2種以上の異性体を併用してもよい。
乳酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1以上4以下ものが挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基が挙げられる。これらの中でも、メチル基、及びエチル基が好ましい。
有機溶剤の濃度としては、例えば、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを用いる場合には、有機溶剤の全質量に対してプロピレングリコールアルキルエーテルアセテートが50質量%以上となるようにすることが好ましい。また、乳酸アルキルエステルを用いる場合には、有機溶剤の全質量に対して50質量%以上となるようにすることが好ましい。また、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルエステルとの混合溶剤を有機溶剤として用いる場合には、混合溶剤の合計量が有機溶剤の全質量に対して50質量%以上となるようにすることが好ましい。また、この混合溶媒を用いる場合には、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60質量%以上95質量%以下、乳酸アルキルエステルを5質量%以上40質量%以下の割合とすることが好ましい。プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートを60質量%以上とすることにより自己組織化用高分子材料の塗布性が良好となり、95質量%以下とすることにより自己組織化用高分子材料の溶解性が向上する。
自己組織化用高分子材料の有機溶剤の溶液は、従来公知の成膜方法で自己組織化膜が得られる濃度であれば特に制限はなく、例えば、自己組織化用高分子材料の固形分100質量部に対して、有機溶剤を5000質量部以上50000質量部以下が好ましく、7000質量部以上30000質量部以下がより好ましい。
自己組織化用高分子材料の塗布方法としては、自己組織化膜が得られるものであれば特に制限はなく、例えば、スピン塗布法、浸漬法、フレキソ印刷法、インクジェット印刷法、吹き付け法、ポッティング法、及びスクリーン印刷法などが挙げられる。
自己組織化膜は、当該自己組織化膜上にトップコート剤を塗布してもよい。これにより、自己組織化膜が封止及び保護されるので、自己組織化膜のハンドリング性及び耐候性が向上する。トップコート剤としては、例えば、ポリエステル系トップコート剤、ポリアミド系トップコート剤、ポリウレタン系トップコート剤、エポキシ系トップコート剤、フェノール系トップコート剤、(メタ)アクリル系トップコート剤、ポリ酢酸ビニル系トップコート剤、ポリエチレンアルイハポリプロピレンなどのポリオレフィン系トップコート剤、セルロース系トップコート剤などが挙げられる。トップコート剤のコーティング量(固形分換算)は、3g/m以上7g/m以下が好ましい。トップコート剤は、従来公知の塗布方法で自己組織化膜上に塗布することができる。
自己組織化膜は、ガイドパターン内で形成してもよい。この場合、例えば、自己組織化膜用高分子材料の溶液をガイドパターン付シリコン基板などに塗布して自己組織化膜を成膜することができる。そして、200℃以上300℃以下で5分以上1時間以下のアニーリング処理によりシリコン基板上に自己組織化ミクロドメイン構造のパターンが得られた。そして、得らえたミクロドメイン構造のパターンを酸素プラズマガスでエッチングすることにより、ハーフピッチ(hp)10 nm以下のL/Sパターン及びhp5nm以下のCHパターンを得ることができる。
マルチブロック共重合体は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察及びX線小角散乱(SAXS)測定により凝集力を評価することができる。凝集力の評価サンプルは、例えば、50mgのマルチブロック共重合体のサンプル膜を調製し、調製したサンプルを1gの無添加THFに溶解させてテフロンシャーレに移し、テフロンシャーレで10日間キャストして真空乾燥することにより作成できる。
TEM観察では、まず、サンプル膜を適当な大きさにカットして包埋型に入れた後、エポキシ樹脂を流し込み、60℃で12時間静置させてエポキシ樹脂を硬化させて包埋処理を実施する。そしてミクロトームを用いて包埋処理を実施したサンプル膜を厚さはおよそ50nmの切片とした後、切片をCuグリッド上に集めCsCOで染色した後、透過型電子顕微鏡装置(商品名:JEOL JEM−1400、加速電圧120kV)で観察することによりhpを測定することができる。
SAXS測定では、サンプル膜を剃刀で5mm×2mmに切り取った後、SAX測定装置(商品名:Photon Factory Beam Line 6A、カメラ長:2.5m、波長:λ=0.15nm、検出器:PILATUS)によりエッジ方向からX線を照射することによりhpを測定することができる。また、シンクロトロン放射光ビームを用いたSAXS測定では、サンプル膜を、シンクロトロン放射光ビームライン(商品名:BL45XU,Spring−8、super photon ring-8GeV、高エネルギー加速器研究機構社製)のX線小角散乱(SAXS:small-angle X-ray scattering)分析装置を用いて、バルク状態でのミクロ相分離性測定を行う。ブロック共重合体のサンプル膜にX線を入射して小角側に現れる散乱の角度依存性をイメージングプレートにより30分測定を実施する。測定データ処理は、空気散乱などのバックグランド補正を行ってq/nm−1を算出し、フーリエ変換解析を実施後、ブロック共重合体の自己組織化によるミクロドメイン構造の平均繰り返しパターンサイズ幅(=D)の半数である自己組織化膜のハーフピッチ(hp)の数値を測定する。
以上説明したように、本発明に係る自己組織化用高分子材料によれば、上記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、上記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとがそれぞれポリスチレン骨格を有するので、ミクロ相分離性が向上してミクロ層分離不良に基づく欠陥を低減することが可能となり、微細な繰り返しパターンを形成することが可能となる。そして、得られた自己組織化用高分子材料の有機溶剤溶液をシリコン基板上などに塗布した後、ベーク処理及びアニーリング処理を行い、自己組織化により形成されるミクロドメイン構造の微細(例えば、hp10nm以下)なL/Sパターンを得ることができる。これにより、本発明に係る自己組織化用高分子材料は、従来のArFエキシマ-レーザー及びEUVリソグラフィでは困難であったhpが10nm以下のL/Sパターンを形成できるので、半導体製造用エッチングマスク材料などとして好適に用いることが可能であり、フォトニクス結晶への応用、有機薄膜太陽電池のドメインサイズ制御方法としての利用、薬物送達用高分子ミセル、及びバイオマテリアルなど様々な分野への展開が可能となる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例及び比較例によって何ら制限されるものではない。
(実施例1)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びアントラセンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して−70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液にs−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)12.2mlを注入した。続いて、反応溶液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行ったスチレン164.0gを滴下し、滴下終了後30分間反応させた。その後、反応溶液に更に蒸留脱水処理を行った4−t−ブトキシスチレン96.6gを滴下して30分間反応させた。次に、スチレン164.0gと4−t−ブトキシスチレン96.6gを順次滴下して重合反応を継続して行った。その後、メタノール30gを投入して重合反応を停止させた。続いて、反応液を20Lのメタノール中に滴下した後、濾過及び乾燥により白色の粉状テトラブロック共重合体(1−1)521.2gを得た。
次に、得られたテトラブロックブロック共重合体(1−1)のジブロックポリマーをアセトン2000gに溶解させて5Lの反応容器に投入した後、塩酸5.0gを添加してアルゴン雰囲気下40℃にて20時間のt-ブチル基のヒドロキシル基への脱保護反応を行った。その後、室温付近まで反応溶液を冷却し、反応溶液を10Lの水中に投入して反応を停止させた。次に得られた白色の粉状のポリマーを濾過、水洗浄及び真空乾燥してテトラブロック共重合体(1−2)465.7gを得た。
<テトラブロック共重合体(1−1)の組成比の測定>
H−NMR測定により得られたテトラブロック共重合体(1−1)の組成比を測定し、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により数平均分子量Mn及び分子量分布(PDI)を測定した。
図7は、テトラブロック共重合体(1−1)のGPCチャートを示す図である。図7に示すように、標準ポリスチレンを基準としてGPCを測定した結果、得られたテトラブロック共重合体(1−1)のMnは21,000g/molであり、PDIは1.02であった。
図8は、テトラブロック共重合体(1−1)のH−NMRの測定結果を示す図であり、図9は、テトラブロック共重合体(1−1)及びテトラブロック共重合体(1−2)のH−NMRの測定結果を示す図である。なお、図9においては、脱保護前のテトラブロック共重合体のH−NMRの測定結果を(a)に示し、脱保護後のテトラブロック共重合体のH−NMRの測定結果を(b)に示している。図8及び図9に示すように、H−NMRの測定結果より、ベンゼン環由来のシグナル5H及び4H(6.0ppm〜7.0ppm)、メチン基及びメチレン基由来のシグナル3HB、3H及び9H(6.2ppm〜7.2ppm)、ヒドロキシル基由来のシグナル(8.7ppm〜9.2ppm)が明らかとなった。また、各シグナルの面積比率よりテトラブロック共重合体(1−1)組成比は、スチレン:4−t−ブトキシスチレン=50:50であることが分かった。
<テトラブロック共重合体(1−1)の平均分子数>
上述のように測定した組成比に基づいて、スチレンと4−t−ブトキシスチレンの平均分子数を算出した。その結果、平均分子数は、スチレン:75、−t−ブトキシスチレン:75であった。
<パターンの測定>
(透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察)
テトラブロック共重合体(1−2)50mgをTHFに溶解させてテフロンシャーレに展開した後、10日間キャストして真空乾燥させた。次に、得られた膜を適当な大きさに裁断して包埋型に入れた後、エポキシ樹脂を流し込んで60℃で12時間静置させてエポキシ樹脂を硬化させて包埋処理を実施した。次に、ミクロトームを用いて厚さおよそ50nmのTEM観察用の切片を作製した。続いて、作製した切片をCuグリッド上に集めてCsCOで染色した後、TEM観察を行った。図10は、切片の透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。図10に示すように、ミクロ相分離構造はラメラを示しており、恒等周期は10.6nmであり、hpは5.3nmであった。
(X線小角散乱(SAX:Small-Angle X-ray Scattering)の測定)
上述のテトラブロック共重合体(1−2)の膜を剃刀で5mm×2mmに切り取り、シンクロトロン放射光ビームライン(商品名:BL45XU,Spring−8、super photon ring-8GeV、高エネルギー加速器研究機構社製)のX線小角散乱(SAXS:Small-angle X-ray Scattering)分析装置を用いてバルク状態でのミクロ相分離性測定を行った。ブロック共重合体サンプルにエッジ方向からX線を入射して小角側に現れる散乱の角度依存性をイメージングプレートにより30分測定を実施した。測定データ処理に関しては、空気散乱などのバックグランド補正を行ってq/nm−1を算出し、フーリエ変換解析を実施後、ブロック共重合体の自己組織化によるミクロドメイン構造の平均繰り返しパターンサイズ幅(=D)の半数である自己組織化膜のハーフピッチ(hp)の数値を測定した。その結果、恒等周期は10.8nmであり、hpは5.4nmであった。
(実施例2)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びベンゾフェノンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して−70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液に、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)25.5mlを注入した後、反応溶液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行った4−メトキシスチレン63.8gを注入し、滴下終了後30分間反応させた。次に、4−t−ブトキシスチレン162.4gを滴下して注入して30分間反応させた。その後、もう一度4−メトキシスチレン63.8gを滴下することにより、トリブロック共重合体(1)を重合した。次に、メタノール30gを注入して反応を停止させた後、反応溶液を減圧濃縮した。次に、アセトン335gを注入してトリブロック共重合体(1)を再溶解させた後、超純水18.5Lに加えてトリブロック共重合体(1)を析出させて洗浄を行った。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してトリブロック共重合体(1)の白色粉末固体414.2gを得た。
次に、得られたトリブロック共重合体(1)280.8gをTHF1684.8gに溶解させて5Lの反応容器に注入した後、メタノール982.8g、及びシュウ酸5.62gを添加して、窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン11.2gを加えて中和反応を行った。次に、得られた脱保護反応溶液を減圧濃縮した後、アセトン390g、THF390gを注入して析出したトリブロック共重合体(2)を再溶解させた。次に、脱保護後のトリブロック共重合体(2)溶液を超純水18.5Lに加えてトリブロック共重合体(2)を析出させて洗浄した。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してトリブロック共重合体(2)の白色粉末固体233.8gを得た。
得られたトリブロック共重合体(2)を用いて、上述した測定方法によりトリブロック共重合体(1)の組成比、Mn及びPDIを測定した。測定結果を以下及び下記表2に示す。
・トリブロック共重合体(1)の組成比
4−メトキシスチレン:4−t−ブトキシスチレン=51.2:48.8
・トリブロック共重合体(1)の平均分子数
4−メトキシスチレン:32.2、4−t−ブトキシスチレン:30.7
・Mn=8,000g/mol
・PDI=1.06
次に、上述した方法により作成したパターンの恒等周期及びhpを測定した。図11は、トリブロック共重合体(2)を用いて得られたパターンのSAXS観測結果を示す図である。図11に示すように、恒等周期(d)は、10.27nmであり、hpは5.4であった。測定結果を下記表2に示す。
(実施例3)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びベンゾフェノンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して−70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液に、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)25.5mlを注入した後、反応溶液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行った2−ビニルピリジン64.0gを注入し、滴下終了後30分間反応させた。次に、4−t−ブトキシスチレン162.0gを滴下して注入して30分間反応させた。その後、もう一度2−ビニルピリジン64.0gを滴下した後、4−t−ブトキシスチレン162.0gを滴下することにより、テトラブロック共重合体(2−1)を重合した。次に、メタノール30gを注入して反応を停止させた後、反応溶液を減圧濃縮した。次に、アセトン1397.4を注入してテトラブロック共重合体(2−1)を再溶解させた後、超純水18.5Lに加えてテトラブロック共重合体(2−1)を析出させて洗浄を行った。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してテトラブロック共重合体(2−1)の白色粉末固体280.8gを得た。
次に、得られたテトラブロック共重合体(2−1)280.8gをTHF1684.8gに溶解させて5Lの反応容器に注入した後、メタノール982.8g及びシュウ酸5.62gを添加して、窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン11.2gを加えて中和反応を行った。次に、得られた脱保護反応溶液を減圧濃縮した後、アセトン390g、THF390gを注入して析出したテトラブロック共重合体(2−2)を再溶解させた。次に、脱保護後のテトラブロック共重合体(2−2)溶液を超純水18.5Lに加えてテトラブロック共重合体(2−2)を析出させて洗浄した。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してテトラブロック共重合体(2−2)の白色粉末固体230.2gを得た。
得られたテトラブロック共重合体(2−2)を用いて、実施例1と同様にして、テトラブロック共重合体(2−1)の組成比、Mn、PDI及びSAXSを測定した。測定結果を以下及び下記表2に示す。
・テトラブロック共重合体(2−1)の組成比
2−ビニルピリジン:4−t―ブトキシスチレン=49.9:50.1
・テトラブロック共重合体(2−1)の平均分子数
2−ビニルピリジン:39.9、4−t―ブトキシスチレン:40.1
・Mn=9,000g/mol
・PDI=1.05
・恒等周期(d)8.2nm
・hp=5.1
(比較例1)
5Lのアニオン重合反応装置を減圧乾燥した後、減圧下、金属ナトリウム及びベンゾフェノンによる蒸留脱水処理を行ったテトラヒドロフラン(THF)溶液4500gを注入して−70℃まで冷却した。次に、冷却したTHF溶液に、s−ブチルリチウム(シクロヘキサン溶液:2.03mol/L)25.5mlを注入し、反応溶液の内温が−60℃以上にならないように滴下速度を調整しながら蒸留精製処理を行った4−トリメチルシリルスチレン108.0gを滴下した後、滴下終了30分間反応させた。次に、4−ヒドロキシスチレン99.1gを滴下注入して30分間反応させてジブロック共重合体(1)を重合した。次に、メタノール30gを注入して反応を停止させた後、反応溶液を減圧濃縮した。次に、アセトン621.3gを注入してジブロック共重合体(1)を再溶解させた後、超純水18.5Lに加えてジブロック共重合体(1)を析出させて洗浄を行った。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してジブロック共重合体(1)の白色粉末固体207.1gを得た。
次に、得られたジブロック共重合体(1)をTHF1242.6gに溶解させて5Lの反応容器に注入した後、メタノール724.9g、及びシュウ酸4.14gを添加して、窒素雰囲気下40℃にて20時間の脱保護反応を行った。次に、室温付近まで反応溶液を冷却した後、ピリジン8.3gを加えて中和反応を行った。次に、得られた脱保護反応溶液を減圧濃縮した後、アセトン270g、THF270gを注入してジブロック共重合体(2)を再溶解させた。次に、脱保護後のジブロック共重合体(2)溶液を超純水18.5Lに加えてジブロック共重合体(2)を析出させて洗浄した。次に、固体成分をフィルターにより濾過した後、50℃で20時間減圧乾燥してジブロック共重合体(2)の白色粉末固体ブロック157.1gを得た。
得られたジブロック共重合体(2)を用いて、実施例1と同様にして、ジブロック共重合体(1)の組成比、Mn、PDI及びSAXSを測定した。測定結果を以下及び下記表2に示す。
・ジブロック共重合体(1)の組成比
・4−トリメチルシリルスチレン:4−ヒドロキシスチレン=57.0:43.0
・Mn=4000g/mol
・PDI=1.05
・SAXS:ミクロ相分離構造は確認されなかった。
表2中、Pは、ポリマーを表し、Stは、スチレンを表し、tBuOStは、4−t−ブトキシスチレンを表し、MeOStは、4−メトキシスチレンを表し、HStは4−ヒドロキシスチレンを表し、2VPは、2−ビニルピリジンを表し、TMSStは、とトラメチルシランスチレンを表し、ETOETOStは、4−エトキシエチルスチレンを表し、す。−b−は、ブロック鎖で結合されていることを示す。また、表1のhpは、テトラブロック共重合体(1−1)、トリブロック共重合体(1)及びテトラブロック共重合体(2−1)のt−ブチル基を加水分解によりヒドロキシル基に変換してテトラブロック共重合体(1−2)、トリブロック共重合体(2)及びテトラブロック共重合体(2−2)とした後にTEM観察で測定した値である。
表2から分かるように、特定構造の構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、特定構造の構成単位を主体とする第2重合体ブロックとが連結されたマルチブロック共重合体によれば、hpが10nm以下のミクロ相分離構造が容易に得られる(実施例1−実施例3)。この結果から、本発明によれば、ミクロ相分離不良部位に基づく欠陥を低減でき、しかも、微細及び微小な繰り返しパターンを形成できることが分かる。これに対して、特定構造の構成単位を有しない場合及び特定構造の構成単位を有してもジブロック共重合体の場合には、いずれもミクロ層分離構造が観察されないことが分かる。この結果は、特定構造の構成単位を主体とする第1重合体ブロック及び第2重合体ブロックが連結されたトリブロック共重合体以上のマルチブロック共重合体ではなかったために、ブロック鎖長が短くなり、ミクロ層分離構造とならなかったためと考えられる。
1A 球状構造
1B シリンダー構造
1C ジャイロイド構造
1D ラメラ構造
11、11−1 第1重合体ブロック
12、12−1 第2重合体ブロック
13 第3重合体ブロック
14 界面

Claims (11)

  1. 下記一般式(1)で表される構成単位を主体とする第1重合体ブロックと、
    下記一般式(2)で表される構成単位を主体とする第2重合体ブロックとが連結されてなるマルチブロック共重合体を含有することを特徴とする、自己組織化用高分子材料。

    (一般式(1)中、Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1以上5以下のアルキル基を示す。mは、1以上1000以下の整数である。)

    (一般式(2)中、Z及びZは、それぞれ炭素原子又は窒素原子を表し、Z及びZのいずれか一方が窒素原子の場合には、いずれか他方が炭素原子である。Yは、Zが窒素原子の場合には存在せず、Zが炭素原子の場合には、水素原子又はORを表す。Rは、水素原子及び炭素数1以上3以下のアルキル基を表し、Rは、水素原子、ビニル基又は炭素原子2以上5以下のビニリデン基を表し、Rは、炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。lは、1以上1000以下の整数である。)
  2. 前記マルチブロック共重合体は、トリブロック共重合又はテトラブロック共重合体である、請求項1に記載の自己組織化用高分子材料。
  3. 前記マルチブロック共重合体は、リビングアニオン重合により共重合されてなる、請求項1又は請求項2に記載の自己組織化用高分子材料。
  4. 前記マルチブロック共重合体は、重量平均分子量が3,000以上50,000以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自己組織化用高分子材料。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自己組織化用高分子材料を用いて得られたことを特徴とする、自己組織化膜。
  6. 表面にトップコート剤が塗布されてなる、請求項5に記載の自己組織化膜。
  7. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の自己組織化用高分子材料を用いて自己組織化膜を形成することを特徴とする、自己組織化膜の製造方法。
  8. ガイドパターン内で自己組織化膜を形成する、請求項7に記載の自己組織化膜の製造方法。
  9. 前記自己組織化膜上にトップコート剤を塗布する工程を含む、請求項7又は請求項8に記載の自己組織化膜の製造方法。
  10. 請求項5又は請求項6に記載の自己組織化膜がエッチングされてなることを特徴とする、パターン。
  11. 請求項5又は請求項6に記載の自己組織化膜をエッチングしてパターンを形成する工程を含むことを特徴とする、パターン形成方法。
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