JP2017088662A - 炭化水素の製造方法 - Google Patents

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五百里 嶋田
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透 高塚
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晴久 太田
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Kengo Suzuki
健吾 鈴木
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Abstract

【課題】植物などのバイオマス等の含酸素有機原料から、高付加価値な炭化水素を直接、低コストで製造可能とする、炭化水素の製造方法を提供する。【解決手段】出力X線の波長が0.15406nmのCuKα−X線源を有するローターフレックス型X線回折分析装置によって測定される、(533)面のピークの反射角(θ1)及び(642)面のピークの反射角(θ2)と、X線の波長(λ)0.154060nm(CuKα1)と、から次式(1)及び(2)でそれぞれ算出される2つの格子面間隔定数dhkl1及びdhkl2を用いて、次式(3)及び(4)により算出される2つの単位結晶格子サイズ(nm)UCS1及びUCS2の算術平均値が2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトを少なくとも有する炭化水素製造用触媒を用いて、接触分解反応によって含酸素有機原料から炭化水素を生成させる炭化水素の製造方法。[数1]dhkl1=λ/(2sinθ1) ……(1)dhkl2=λ/(2sinθ2) ……(2)UCS1={(dhkl1)2(h2+k2+l2)}1/2……(3)ただし、式(3)中、(h2+k2+l2)の値は43UCS2={(dhkl2)2(h2+k2+l2)}1/2……(4)ただし、式(4)中、(h2+k2+l2)の値は56【選択図】なし

Description

本発明は炭化水素の製造方法に関する。
近年、石油等の化石資源の枯渇が懸念されていることや、エネルギー需要が増大していることを背景として、代替資源の開発が求められており、例えば、植物等のバイオマスを原料として、石油に代替する輸送用燃料の合成手法が種々提案されている。
その中で、水素化分解処理が研究・開発されている(特許文献1)。しかし、水素化分解処理は高圧水素を用いる高コストなプロセスであることや、生成する炭化水素が飽和炭化水素であるために高オクタン価ガソリン基材や化学品原料として用いるには更なる改質が必要となる。
特開2007−153928号公報
本発明の課題は、植物などのバイオマス等の含酸素有機原料から、高付加価値な炭化水素を直接、低コストで製造可能とする、炭化水素の製造方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明の炭化水素の製造方法は、出力X線の波長が0.15406nmのCuKα−X線源を有するローターフレックス型X線回折分析装置によって測定される、(533)面のピークの反射角(θ1)及び(642)面のピークの反射角(θ2)と、X線の波長(λ)0.154060nm(CuKα1)と、から次式(1)及び(2)でそれぞれ算出される2つの格子面間隔定数dhkl1及びdhkl2を用いて、次式(3)及び(4)により算出される2つの単位結晶格子サイズ(nm)UCS1及びUCS2の算術平均値が2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトを少なくとも有する炭化水素製造用触媒を用いて、接触分解反応によって含酸素有機原料から炭化水素を生成させることを特徴とする。
[数1]
hkl1=λ/(2sinθ1) ……(1)
hkl2=λ/(2sinθ2) ……(2)
UCS1={(dhkl12(h2+k2+l2)}1/2 ……(3)
ただし、式(3)中、(h2+k2+l2)の値は43
UCS2={(dhkl22(h2+k2+l2)}1/2 ……(4)
ただし、式(4)中、(h2+k2+l2)の値は56
また、前記含酸素有機原料を、高級脂肪酸グリセリド、及び/または、高級脂肪酸と高級アルコールとのワックスエステルとすることができる。
また、前記含酸素有機原料を、ユーグレナ由来のワックスエステルとすることができる。
また、前記炭化水素製造用触媒が、前記FAU型ゼオライトに加えてMFI型ゼオライトを有することができる。
また、前記炭化水素製造用触媒のマトリックス中にアルミナを配することができる。
含酸素有機原料の接触分解では分解反応によりオレフィンが生成し、さらに生成したオレフィンの環化脱水素反応により単環芳香族が生成するが、このとき同時に進行する水素移行反応により含酸素化合物は水素化脱酸素される。この水素移行反応では触媒の酸密度が高すぎると分解生成物であるオレフィンの水素化も引き起こす、このために、高オクタン価ガソリンの製造、あるいは石油化学製品としてのオレフィンを得ようとする場合には困難があった。
しかし、本発明の炭化水素の製造方法によれば、植物などのバイオマス等の含酸素有機原料から、高付加価値な炭化水素を直接、低コストで製造することが可能となる。
また、高級脂肪酸グリセリド、及び/または、高級脂肪酸と高級アルコールとのワックスエステルの有機原料から、高付加価値な炭化水素を直接、低コストで製造することが可能となる。
また、前記有機原料としてユーグレナ由来のワックスエステルを用いることで、高付加価値でカーボンニュートラルな炭化水素を直接、低コストで製造することができる。
水熱劣化処理によるUCSの経時変化を示す図である。 マイクロ型FCC特定検定装置を示すモデル図である。 触媒付近のモデル拡大図である。 トリラウリンの接触分解における接触時間の炭化水素成分の収率への影響を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における接触時間の炭化水素の各成分の収率への影響を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における炭素数別の直鎖パラフィン成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における接触時間とnウンデカン収率との関係を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における炭素数が5〜9の各成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における炭素数が5〜9の各パラフィン成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における炭素数が5〜9の各オレフィン成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における炭素数が10〜15の各成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における形質ガスの収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解におけるCO及びCO2の収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における含酸素化合物成分の酸素基準収率を示すグラフである。 トリラウリンの接触分解における酸素バランスを示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における炭化水素成分の収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における各炭化水素成分の収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における炭素数別の直鎖パラフィン成分の収率を示すである。 トリカプリリンの接触分解における各含酸素化合物成分の収率を示す bグラフである。 トリカプリリンの接触分解における各含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における原料の収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解におけるCO及びCO2の収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における含酸素化合物成分の酸素収率を示すグラフである。 トリカプリリンの接触分解における酸素バランスを示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における炭化水素成分の収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における各炭化水素成分の収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における炭素数別の直鎖パラフィン成分を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における含酸素化合物成分の収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解におけるCO及びCO2の収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における含酸素化合物成分の酸素基準収率を示すグラフである。 トリパルミチンの接触分解における酸素バランスを示すグラフである。 異なる原料の接触分解における炭化水素成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるn−Cm-1の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるパラフィン成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるオレフィン成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解における単環芳香族成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解における多香族成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解における含酸素化合物の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるアルデヒド(炭素数m)の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるカルボン酸(炭素数m)の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるケトン(炭素数2m-1)の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるCO及びCO2の酸素基準収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解における酸素バランスを示すグラフである。 異なる原料の接触分解における炭化水素成分の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるCO及びCO2の酸素基準収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるn−Cm-1の収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるコークの収率を示すグラフである。 異なる原料の接触分解におけるアクロレインの収率を示すグラフである。 カオリン含有率と生成物の収率との関係を示すグラフである。 アルミナ含有率と生成物の収率との関係を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭化水素成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における各炭化水素成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における無機ガスの収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数別の直鎖パラフィン成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数別のオレフィン成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数が5〜9の各成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数が5〜9のパラフィン成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数が5〜9のオレフィン成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数が10〜15の喀痰か水素成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における各酸素化合物の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数別のアルデヒド成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における各カルボン酸成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数別のケトン成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解における炭素数別のエステル成分の収率を示すグラフである。 ユーグレナワックスの接触分解試験(WHSV=32hr-1)により得られた生成液の写真である。 ユーグレナワックスの接触分解試験(WHSV=12hr-1)により得られた生成液の写真である。 ココナッツ油の反応温度と炭化水素収率の関係を示すグラフである。 ココナッツ油の各反応温度におけるパラフィン成分及びオレフィン成分の収率を示すグラフである。 ココナッツ油の各反応温度における単環芳香族成分及び多環報告属性分のパラフィン成分の収率を示すグラフである。 ココナッツ油から生成したパラフィン成分の炭素数別の収率を示すグラフである。 ココナッツ油から生成したオレフィン成分の炭素数別収率を示すグラフである。 ココナッツ油から生成した芳香族炭化水素成分の炭素数別収率を示すグラフである。 大豆油から生成したパラフィン成分の炭素数別収率を示すグラフである。 大豆油から生成したオレフィン成分の炭素数別収率を示すグラフである。 大豆油から生成した芳香族炭化水素成分の炭素数別収率を示すグラフである。 ゼオライトの配合比率の異なる触媒のC16+転化率を示すグラフである。 WHSV32における生成物の収率を示すグラフである。 WHSV24における生成物の収率を示すグラフである。 WHSV16における生成物の収率を示すグラフである。 WHSV32における分岐別パラフィン成分の収率を示すグラフである。 WHSV24における分岐別パラフィン成分の収率を示すグラフである。 WHSV16における分岐別パラフィン成分の収率を示すグラフである。 ゼオライトの配合比率の異なる触媒の多環芳香族成分の収率を示すグラフである。 ゼオライトの配合比率の異なる触媒の単環芳香族成分の収率を示すグラフである。 生成した芳香族成分中の単環芳香族成分の割合を示すグラフである。 ココナッツ油と大豆油との混合物から生成した各酸素化合物の収率を示すグラフである。 ヒマワリ油の混合比と炭素数15以下の炭化水素収率の関係を示すグラフである。 ヒマワリ油の混合比とパラフィン成分、オレフィン成分、単環芳香族成分、多環芳香族の収率の関係を示すグラフである。
本発明の炭化水素の製造方法は、上記のように、出力X線の波長が0.15406nmのCuKα−X線源を有するローターフレックス型X線回折分析装置によって測定される、(533)面のピークの反射角(θ1)及び(642)面のピークの反射角(θ2)と、X線の波長(λ)0.154060nm(CuKα1)と、から次式(1)及び(2)でそれぞれ算出される2つの格子面間隔定数dhkl1及びdhkl2を用いて、次式(3)及び(4)により算出される2つの単位結晶格子サイズ(nm)UCS1及びUCS2の算術平均値が2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトを少なくとも有する炭化水素製造用触媒を用いて、接触分解反応によって含酸素有機原料から炭化水素を生成させる。
[数2]
hkl1=λ/(2sinθ1) ……(1)
hkl2=λ/(2sinθ2) ……(2)
UCS1={(dhkl12(h2+k2+l2)}1/2 ……(3)
ただし、式(3)中、(h2+k2+l2)の値は43
UCS2={(dhkl22(h2+k2+l2)}1/2 ……(4)
ただし、式(4)中、(h2+k2+l2)の値は56
上記の(533)面のピーク及び(642)面のピークはそれぞれ24.0° 2θ付近及び27.5° 2θ付近に検出される。ここで、精度の高い反射角数値を得るために、約28.5° 2θに得られるシリコンピークのピークトップ角度から「28.443° 2θ(CuKα1におけるシリコンピークトップ角度の理論値)−(シリコンピークトップ角度の測定値)+(それぞれのゼオライトピーク角度の測定値)」を算出し、約24.0° 2θに位置する(533)面のピークの検出角度値及び約27.5° 2θに位置する(642)面のピークの検出角度値と比較し、これら算出された検出ピーク位置値と検出ピーク位置値とにずれが生じていた場合には、それぞれ、算出された検出ピーク位置値への補正(以下、「シリコンピークトップ角度による補正」と表記する。)を行うことが好ましい。
本発明者は、X線回折分析装置として、理学電機社製RINT 2550H/PCを用い、UCS算出についての測定手順、算出方法はASTM D3906−03及びASTM D3942−03に準拠した。
上記の、単位結晶格子サイズ(nm)(UCS1及びUCS2)の算術平均値が2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトは例えば次のようにして得ることができる。
<FAU型ゼオライト>
単位結晶格子サイズ(以下、「UCS」とも表記する。)を調整する前の原料のFAU型ゼオライトを含む触媒(通常、FAU型ゼオライト、アルミナ等のバインダー成分、その他、カオリンなどの副次成分から構成される。以下、「触媒原料」と表記する。)としては、流動接触分解(FCC)装置用に、東ソー社等で工業的に製造され、市販されているもの(以下、「FCC触媒」と表記する。)をそのまま、あるいは、適宜加工して用いることができる。なお、本発明では触媒の、ゼオライト以外の部分をマトリックスと表記する。このマトリックスは、サブミクロンサイズの細孔を有している。
<単位結晶格子サイズの調整方法>
UCSを2.42以上2.45以下に調整したFAU型ゼオライト(以下、「UCS調整FAUゼオライト」とも云う。)を有する触媒(以下、「UCS調整触媒」と表記する。)は、例えば、市販のFAU型ゼオライトを含む触媒を、水蒸気(100%)内で、750〜850℃で8時間以上(ただし、処理時間が長すぎても処理によるUCS調整効果は飽和する。)、熱処理(以下、「水熱劣化処理」と表記する。)を行う、または、FCC装置への新触媒の供給と廃触媒の抜出の速度(トン/日)とを調整することで得ることができる。なお、本発明はこの限りでなく、UCSが2.42以上2.45以下となったFAU型ゼオライトやそれを含む触媒があればそのまま使用することもできる。
<本発明の炭化水素製造用触媒による炭化水素の製造>
上記のように調製した炭化水素製造用触媒により、例えば高級脂肪酸トリグリセリドからなる植物油や高級脂肪酸と高級アルコールからなるワックスエステル等の含酸素有機原料から接触分解反応により、原料中に含まれる酸素が除去され、炭化水素が生成する。このとき、原料中の酸素は一酸化炭素、二酸化炭素、水として取り除かれる。生成物にはプロピレン等の低級オレフィンやベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素など、高オクタン価ガソリン基材や化学品製造の基幹化合物として用いることができる有用物質が含まれる。
植物油及びワックスエステル等の接触分解では、まず触媒を構成するマトリックス部でエステル結合がベータ開裂をすると考えられる。生成した含酸素化合物(カルボン酸、アルデヒド、ケトン等)は触媒の主要成分であるゼオライト細孔内に拡散し接触分解が進行すると考えられている(ポイント(a))。
接触分解では分解反応によりオレフィン成分が生成し、さらに生成したオレフィンの環化脱水素反応により単環芳香族が生成するが、このとき同時に進行する水素移行反応により含酸素化合物は水素化脱酸素される。この水素移行反応では触媒の酸密度が高すぎると分解生成物であるオレフィンの水素化も引き起こすので、高オクタン価ガソリンの製造、あるいは石油化学製品としてオレフィンを得ようとために、分解能力とゼオライトの水素移行反応性のバランスをとるために、上記のようにFAU型ゼオライトのUCS(nm)を2.42以上2.45以下に調整することが必要である(ポイント(b))。なお、好ましいUCSの範囲は2.42以上2.44以下である。
エステル結合部のベータ開裂及び含酸素化合物の脱酸素化のために、触媒のマトリックスにアルミナが含まれていることが好ましい。FCC触媒のバインダーは一般に、シリカあるいはアルミナが用いられるが、植物油及びユーグレナワックスから高オクタンガソリンあるいは石油化学基材となる炭化水素類を生産する目的ではアルミナをバインダーに用いることが好ましい。一方で、アルミナだけを用いて処理を行っても含酸素化合物の脱酸素は十分には進行せず、ゼオライトを併用して接触分解を進めたときに脱酸素化が進行するので、アルミナはゼオライトの水素移行反応による脱酸素反応を補佐する役割を持つものと考えられる。すなわち、アルミナは環化脱水素反応で生成するプロトンの反応場を広げて含酸素化合物の脱酸素化を加速していると推定される。すなわち、水素化触媒にて分子水素から生成したプロトンを触媒上にスピルオーバーさせて水素化反応を助長させているのと同じ効果を持つと考えられる(ポイント(c))。
植物油とワックスエステルの接触分解における脱酸素反応機構は、触媒のマトリックス部におけるベータ開裂から開始すると考えられる。このとき、植物油は複数回のベータ開裂によりカルボン酸とアクロレインとを生成するのに対し、ワックスエステルからは1回のベータ開裂によりカルボン酸と高級オレフィンとが生成される。高級オレフィンは接触分解反応場で高い反応性を持つために速やかに分解されるとともに、分解過程で生成するカルベニウムイオンは反応場中の他の分子の分解も促進すると考えられる。このため、ワックスエステルの接触分解は同程度の炭素数の飽和脂肪酸を側鎖に有する植物油よりも高速に進行させることが可能となる(ポイント(d))。
植物油やワックスエステルのような含酸素有機原料の接触分解では、水素化脱酸素反応の進行により原料に含まれる酸素の一部が水素と反応して水に変換される。水素化脱酸素反応は原料中の炭素を消費せず水素を消費する反応であるため、含酸素原料の接触分解では通常の炭化水素原料の接触分解プロセスと比較して反応系内の水素/炭素比が減少する。これにより反応生成物である炭化水素において脱水素化が促進されるため、不飽和結合を有するオレフィンやオレフィンがさらに環化脱水素した芳香族化合物が多く生成すると考えられる(ポイント(e))。
側鎖に不飽和脂肪酸を有する植物油(不飽和トリグリセリド)からは初期分解において活性の高い不飽和成分が生成すると考えられ、このため、不飽和トリグリセリドを原料に用いると飽和脂肪酸を側鎖に有するトリグリセリドよりも速やかに脱酸素化を進行させることができる(ポイント(f))。
また、飽和トリグリセリドと不飽和トリグリセリドとを混合した原料の接触分解では、不飽和トリグリセリドから生成する高活性成分が飽和トリグリセリドの脱酸素化反応も促進する。すなわち、反応が遅い飽和トリグリセリドに対して不飽和トリグリセリドを添加することで、脱酸素化の高速化が可能となる(ポイント(g))。
UCSが上記範囲内のFAU型ゼオライトを含有する触媒を用いた飽和トリグリセリドの接触分解反応では、直鎖パラフィンや多環芳香族が多く生成する。一方、このようなFAU型ゼオライトにMFI型ゼオライトを添加した触媒を用いると、直鎖パラフィン成分や多環芳香族成分の収率が抑制され、分岐パラフィン成分や単環芳香族成分の収率が向上する。これは複数種のゼオライトの協奏効果が働いたためである。すなわち、複数種のゼオライトを用いてそれらの協奏効果により、高オクタン価ガソリン基材となる分岐パラフィン成分や化成品原料となる単環芳香族成分の選択的合成が達成可能となる(ポイント(h))。
さらに上記のポイント(g)及び(h)を踏まえると、植物油の接触分解では、原料として飽和トリグリセリドと不飽和トリグリセリドを混合することで原料全体の脱酸素化を促進し、触媒中のFAU型ゼオライトとMFI型ゼオライトの混合比を調整することで直鎖パラフィンや単環芳香族などの高付加価値な成分を選択的に合成することができる(ポイント(i))。
本発明では上述のようにUCSが上記範囲内のFAU型ゼオライトを含有する炭化水素製造用触媒を用いて、接触分解反応によって含酸素有機原料から炭化水素を生成させるが、反応温度として、通常、400℃以上650℃以下、より好ましくは450℃以上600℃以下である。反応温度が低すぎると反応が十分に進行しにくく、高すぎると高付加価値な製品が得られにくくなる。WHSVの好ましい範囲は、用いる反応装置にもよるが、通常10〜200(毎時(hr-1))程度である。
ここで、本発明では用いる含酸素有機原料が、高級脂肪酸グリセリド、及び/または、高級脂肪酸と高級アルコールとのワックスエステルであることが好ましい。
ここで、高級脂肪酸と高級アルコールとを構成する炭素数としては、通常10個以上であり、このような高級脂肪酸グリセリドとして、植物油などが挙げられ、また、ワックスエステルとしては、ユーグレナが生産するユーグレナワックスエステル等が挙げられる。
本発明で用いる炭化水素製造用触媒は、FAU型ゼオライトに加えてMFI型ゼオライトを有することが好ましい。すなわち、この構成により、上記のポイント(h)で述べたように直鎖パラフィン成分や多環芳香族成分の収率が抑制され、分岐パラフィン成分や単環芳香族成分の収率が向上する。
前記炭化水素製造用触媒のマトリックス中にアルミナが配されていることが好ましい。すなわち、上記のポイント(c)で述べたように、アルミナはゼオライトの水素移行反応による脱酸素反応を補佐する役割を有するからである。
以下に、上記の本発明のポイント(a)〜ポイント(i)を具体的に示す実施例について記載する。
<UCSの調整(水熱劣化処理)の検討>
市販の、FAU型ゼオライトを含むRFCC触媒(Grace社製)について水熱劣化処理を行い、そのUCSの調整を行った。具体的には、水蒸気中で800℃の熱処理を行った。そのときのUCSの時間変化を図1に示す。
図1により、処理によりUCSが低下するものの、処理時間が長くなるとUCSの時間変化が少なくなり、10時間から12時間程度の処理で一定値(2.43程度)に達する。なお、特に断りがない限り、以下、FCCプロセスでFCC装置への新触媒の供給と廃触媒の抜出の速度とを調整して、UCSを調整した触媒を用いて検討した。
<マイクロ型FCC特定検定装置>
接触反応は図2にモデル的に示すASTM F−3907に準拠して作製された、マイクロ型FCC特定検定装置(以下、「反応装置」とも云う。)を用いて行った。
図2中、符号1を付して示した原料供給部から供給される含酸素有機原料は、ヒータ3により80〜95℃に保持された導入管2を通じて、原料流れ方向、反応部4の上流から供給されるキャリアガスとしての窒素と共に、耐熱ガラス製の反応部4に導入される。ヒータ5によりに所定の温度に保たれる反応部4内部には触媒6が配置されていて接触反応が生じる。
図3に触媒6付近のモデル拡大図を示す。導入管2により内径15.5mmの反応部6主部に導入された含酸素有機原料は、石英ウール4bを通過して触媒6(この例では充填重量は4gでその層高は25mm。)へ供給される。触媒6は原料流れ方向の上流側と下流側の石英ウール4bにより保持されている。図2中符号4aにより示されているのは、反応部4の温度(以下、「反応温度」と表記する。)を測定するための熱電対である。
反応部6下流側には、液捕集機7、飛散液捕集トラップ8、及び、反応生成物中のガス成分を水上置換により回収するガスビュレット9が配置され、反応部6とこの順で接続されている。
原料供給後、すなわち、反応中、及び、反応終了後、図3中反応部6の上部から下部に向けて供給される窒素ガスにより15分間、窒素パージが行われるが、その最初の4分間では、液捕集機7は0℃に、飛散液捕集トラップ8は−15℃に、それぞれ冷媒により保たれる。その4分の経過後に冷媒をともに常温水に交換して、液捕集機7、及び、飛散液捕集トラップ8中の易揮発性の成分をガスとしてガスビュレット9で回収する。
触媒6の接触反応は吸熱反応であり、反応温度を維持するためにはヒータ5による加熱が必要となる。加熱は、常温で液体の原料を用いる場合には、原料供給開始の10秒後から反応終了の10秒後まで行うが、常温で固体の原料を用いる場合には、原料供給開始直前から反応終了の10秒後まで行う。
<触媒反応条件>
反応試験では、反応温度450〜500℃、触媒重量2〜6g、原料供給量1〜1.4gの範囲で変更した。また、原料供給時間は75秒とした。
《WHSV》
各条件における原料と触媒の接触時間の指標として、重量空間速度(WHSV(Weight hourly space velocity))を用いた。WHSVは式(5)により算出される値である。
式(5)より、WHSVの単位は[hr-1(毎時)](正確には[g(原料油量)/(hr g(触媒重量)]であることがわかる。WHSVの逆数をとると単位が[(hr g(触媒重量)/g(原料油量)]となり、単位原料油量当たりの単位触媒重量における接触時間となり、この値が大きい程、原料がより長時間触媒と接触していることとなる。
《GHSV》
異なるモデル物質を原料とした実験結果の比較を行う際は、原料のモル数をそろえるための指標として気体空間速度(気体空間速度(GHSV(Gas hourly space velocity))を用いた。気相中の原料を理想気体とみなし、式(6)にGHSVを求める式を示す。
式(6)中、触媒の嵩密度ρcatは実測値から0.93[g/mL]とした。
GHSVもWHSV同様、逆数をとると原料の単位体積当たりの単位触媒体積における接触時間となり、この値が大きいほど、原料がより長時間、触媒と接していることとなる。
<反応生成物の分析>
気体生成物の無機成分(水素や窒素、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2))と炭化水素成分の合計量についてはTCD検出器付きのガスクロマトグラフ(GC−TCD)により、気体や液体の生成物の炭化水素成分の分析はFID検出器付きのガスクロマトグラフ(GC−FID)により、それぞれ分析した。この際、必要に応じ、内標準法や標準物質による検量線による補正などの手法を用いた。また、一部の成分はガスクロマトグラフィー質量分析法(GCMS)を用いて、同定を行った。なお、触媒上に付着したコークは窒素・炭素測定装置(NCアナライザー;住化分析センター(株))を用いて分析した。
<反応生成物の分類>
反応生成物は表1に示すように分類し、評価した。なお、分析結果における各成分は表1に併記した略号を用いて示す。また、生成物分析結果の一部では、名称省略形として表2に示す略号を用いた。以下、同じ。)。
<トリラウリンを用いた検討>
接触反応の反応機構を調べるためにモデル物質としてトリラウリンを原料として用いて検討を行った。トリラウリンはココナッツ油の主成分であるラウリン酸で構成されたトリグリセリドであり、分子式はC39746、分子量は638.98[g/mol]である。融点は47℃で、室温では固体である。
《熱分解の影響の検討》
触媒を用いる実際の検討に先立ち、触媒の代わりに石英砂4.03gを充填した反応装置にトリラウリンを1.33g導入し、トリラウリンの470℃における熱分解反応での生成物を調べた。その結果、熱物性反応生成物の収率は後述する、触媒を用いた場合の結果と比較すると十分に小さいことから、触媒を用いた反応試験結果において、熱分解の影響は事実上無視できることが確認された。
《反応生成物収率の接触時間依存性》
実際のFCCプロセスで使われながら、UCSが2.427(nm)に調整されたUCS調整FAUゼオライトを有するUCS調整触媒(以下、「UCS調整触媒(2.43)」と表記する。)を用いて、表3に示す5つの反応条件で、それぞれ触媒反応試験を行った(表3中、「sec」は「秒」、「hr」は「時」、「hr−1」は「毎時」を、それぞれ示す。以下、同じ。)。なお、UCSの値は、シリコンピークトップ角度による補正を行ったものである(以下、同じ。)。また、試験結果を表4に、1/WHSVと炭化水素成分の収率との関係を図4に、そして、1/WHSVと生成炭化水素種との関係を図5に、それぞれ示す。
なお、表4中、「HC収率」は炭化水素の収率を、「n−C11」はn−ウンデカンを、「n−paraffins」はn−ウンデカン以外の直鎖飽和炭化水素成分をそれぞれ表し、また、表4中、「CO」及び「CO2」は一酸化炭素及び二酸化炭素の重量基準収率を、「CO(O基準)」及び「CO2(O基準)」は酸素を基準とした(酸素基準)、すなわち原料に含まれる酸素のうち、一酸化炭素及び二酸化炭素に添加した割合を、それぞれ示す(以下、同じ。)。
図4によれば、1/WHSVが大きいほど炭化水素成分の収率が増加するものの、1/WHSVが0.08時間以上ではその増加量が減少し、その後、0.12時間付近で65重量%程度と、ほぼ一定値になることが理解される。
また、図5によれば、パラフィン成分は1/WHSVが大きくなるほど、パラフィン成分、単環芳香族成分、及び、多環芳香族成分の収率は増加する。一方、オレフィン成分の収率は1/WHSVが0.08付近までは1/WHSVの増加に伴い、増加するもののその後は若干低下している。
これら結果より、原料が触媒に接触が長いほど、原料が炭化水素成分により多く転化されることが確認された。また、炭化水素成分中ではパラフィン成分が最も多く生成されていて、反応の進行とともに収率が上昇し、単環芳香族成分や多環芳香族成分の収率も同様に反応の進行に伴って上昇することが理解される。
直鎖パラフィン成分の収率について検討を行った。図6に炭素数別の各直鎖パラフィン(図中、「C」の右側の数字は各直鎖パラフィンの炭素数を表す。)の収率を示す。なお、凡例の“w”とはWHSVの略であり、その右の数字はWHSVの値(毎時)である。さらに、図7にWHSVの逆数に対する炭素数11の直鎖パラフィンの収率変化を示す。
図6から、炭素数が11であるウンデカン(undecane。C1124;以下、「n−C11」と表記する。)が他の直鎖パラフィンよりも多く生成されていることがわかる。トリラウリンの側鎖炭素数が12であることから、トリラウリンを構成している脂肪酸よりも1つ炭素数の少ない直鎖パラフィンが生じている。また、図7から、反応の途中(1/WHSVが0.06(時)付近)まではn−C11の収率が上昇しているが、それ以降では減少していることがわかる。これは原料からn−C11が生成される量よりもn−C11の2次分解反応によるn−C11の消費量が上回っているためにn−C11の収率が減少したためであると考えられる。
n−C11の2次分解反応を検討するためにn−C11よりも炭素数の少ない炭素数が5〜9の直鎖パラフィン成分と、炭素数が同等もしくはそれ以上である炭素数が10〜15の直鎖パラフィン成分の収率とを比較した。図8から図10に、それぞれ横軸を1/WHSVとして、炭素数が5〜9の各成分の収率、パラフィン成分の詳細、及び、オレフィン成分の詳細収率を示し、図11にn−C11の収率を除く炭素数が10〜15の各成分の収率を示す。
図8と図11とからパラフィン成分の収率と芳香族成分の収率とがともに反応の進行とともに増加していることがわかる。また、図9と図10とからパラフィン成分、オレフィン成分ともに一分岐した成分が多く生成されていることがわかる。しかし、オレフィン成分の収率は反応の途中からは減少に転じている。これはオレフィンの持つ二重結合の反応性の高さによって分解されたためと考えられる。これらオレフィン成分の分解先として軽質ガスや図8や図11に示す芳香族成分への重合が考えられる。図12に炭素数が1〜3である軽質ガスの収率を示す。図12により軽質ガス成分の収率が反応の進行に伴って増加していることが確認される。
以上のことから、n−C11の2次分解反応は下記の反応機構(A)で示される経路で進行していると考えられる。まず、n−C11から主に分岐したパラフィン成分とオレフィン成分とが生成される。パラフィン成分は安定して存在するが、オレフィンはパラフィンよりも不安定であるため、より軽質な成分へ分解、もしくは単環芳香族に重合、さらにその単環芳香族成分は多環芳香族成分やコークになると考えられる。
《含酸素化合物の収率》
表5にトリラウリンの触媒反応で生成された含酸素化合物成分と各成分の収率を示す。また、図13から図15に横軸を1/WHSVとして、各含酸素化合物成分の収率変化を示す。表5によれば、トリラウリンからは側鎖脂肪酸の炭素数に近い含酸素化合物が生成されていることが理解される。特に、図13に示したアルデヒド成分であるドデカナール(dodecanal)、カルボン酸成分であるラウリン酸(lauric acid)、ケトン成分の12−トリコサノン(12−tricosanone)(以下、特に断りがない限り、原料側鎖の炭素数の2倍より1つ少ない炭素数を有する直鎖ケトン成分を「ケトン」と表記する。)の3つが含酸素化合物中で大きな割合を占める。他にも2−トリデカノン(2−tridecanone)などが生成されているが、そのほとんどは0.2%以下の収率で少ない。また、炭素数の小さい含酸素化合物成分として、接触時間が短い条件において微量のアクロレイン(acrolein)が検出された。アクロレインは炭素数3の不飽和アルデヒドである。アクロレインはグリセリンの脱水により得られることが知られており、トリラウリンの接触分解においても側鎖の脂肪酸が脱離した後のグリセリン主鎖から生成されたと考えられる。ここで、図13から図15に収率を示すいずれの含酸素化合物も接触時間の増加とともに収率が減少していることから、これらの含酸素化合物は反応中間体であると考えられる。すなわち、反応が十分に進行すれば含酸素化合物は消失することが示された。この結果より、接触分解反応により植物油から高品位な炭化水素燃料を製造することが可能であることが確認された。
次に酸素のバランスについて検討した。表6に酸素基準の各成分の収率を示し、図16から図18に横軸を1/WHSVとして、酸素基準のCO及びCO2の収率の変化、ドデカナール(dodecanal 化学式(I)参照)、ラウリン酸(lauric acid 化学式(II)参照)、及び、12−トリコサノン(12−tricosanone 化学式(III)参照)の収率の変化、そして、全体の酸素収率の変化をそれぞれ示す。図18ではCO及びCO2収率のほかに、含酸素化合物で最も収率の高かったカルボン酸(ラウリン酸)についてもその収率を記載した。
表6から、酸素を含む反応生成物には、気体として生成されるCO及びCO2と、反応中間体と考えられる含酸素化合物と、があることがわかる。図16と図17とからCOとCO2は反応の進行とともに収率が増加していくのに対して、カルボン酸等の含酸素有機化合物の収率は減少していくことが理解される。これは反応の進行に伴い含酸素化合物が分解し、その際にCOとCO2が放出されるためだと考えられる。このことは図18に示された全体の酸素収率が反応の進行に伴って、COとCO2との収率の和に近づいていることからも裏付けられる。反応が最も進行したときの全体の酸素収率は約36%であるが、残りの大部分の酸素は水として反応系から放出されていると考えられる。このように、この接触反応では酸素の大部分は水素と反応して水となるため、酸素による炭素の損失量が少ない。
《トリグリセリドの接触分解による脱酸素反応機構》
上記で検討したトリグリセリドの接触分解反応機構から、以下のようなことが明らかになった。
・多く生成される直鎖パラフィンの炭素数は側鎖脂肪酸の炭素数よりも1つ少ない。
・反応中間体として多く生成されるアルデヒド成分とカルボン酸成分の炭素数は側鎖脂肪酸の炭素数と等しい。
・ケトン成分の炭素数は側鎖脂肪酸の炭素数を2倍して1引いた値と同じになる。・カルボン酸成分の減少がアルデヒド成分やケトン成分に比べ大きい。
・2−ケトン(2−ketone)成分やビニルエステル(vinyl ester)成分も生成する。
・グリセリン由来であるアクロレインが生成する。
・全体の酸素収率は反応を進行させるとその大部分がCO及びCO2収率となる。
なお、これらの知見は後に示すトリカプリリンやトリパルミチンを原料に用いた反応試験でも共通して観察された。これらのことと既往の知見より、次の反応機構(B)に示すような脱酸素の反応経路を予測した。なお、今回検出されなかった酸無水物や不飽和の、グリコールと2つの脂肪酸とのエステル(Unsaturated Glycol Difatty acid Ester 以下、「UGDE」とも云う。)、アルドケテンといった化合物も中問体として接触反応に関与しているのではないかと考えられる。
上記の反応機構(B)より、反応の進行によってカルボン酸成分の収率の低下が大きかったことから、まず、原料であるトリグリセリドからβ−水素脱離(β−elimination)によりカルボン酸成分とUGDEとが生成する。このうちカルボン酸はアルデヒド成分やケトン成分などを経由してパラフィン成分やオレフィン成分になると考えられる。このときにカルボン酸成分からCOもしくはCO2が脱離するために炭素数が1つ減るために、原料を構成する脂肪酸成分よりも炭素数が1つ少ない直鎖パラフィン成分が生成される。また、UGDEから酸無水物成分とアクロレインとが生成し、この酸無水物成分からカルボン酸成分やアルドケテン成分を経て、パラフィン成分やオレフィン成分が生成する。一方、アクロレインは反応性が高いため、生成後、直ちにプロピレンや芳香族化合物等へ転化すると考えられる。そして、パラフィン成分やオレフィン成分からは炭化水素の接触分解反応により、有用な、分岐を有するパラフィン成分やオレフィン成分、芳香族成分が生成されていると考えられる(ポイント(a))。
<原料の分子径と接触分解反応機構の関係>
上記のように、トリグリセリドの接触分解反応経路が明らかになった。ここで、接触分解反応は触媒中に含まれるゼオライトが主活性点となっている。しかし、実際の接触分解で原料として用いる植物油の分子径は20〜50nmとゼオライトの細孔径に対して非常に大きいことから、植物油の接触分解反応では原料の触媒中での拡散に対して立体障害が生じていると考えられる。そのため、側鎖脂肪酸の炭素数の違いにより分子径が異なるトリグリセリドを原料とした触媒反応試験を行うことで、触媒中での原料拡散に対する立体障害の影響を検討した。実験には、上記で用いたトリラウリン(側鎖炭素数12)に加え、トリカプリリン(側鎖炭素数8)とトリパルミチン(側鎖炭素数16)を用いた。
《トリカプリリンの接触分解》
トリカプリリンは炭素数が8の脂肪酸であるカプリン酸で構成されたトリグリセリドである。分子式はC27506、分子量は470.67[g/mol]である。融点は9℃で、室温では液体である。
〔接触時間依存性〕
表7にトリカプリリンでの触媒試験条件、表8に反応生成物分析の結果を示し、図19と図20に横軸を1/WHSVとして、炭化水素成分の収率と、その他の成分の収率を示す。また、図21に炭素数別の各直鎖パラフィンの収率を示す。
表8、図19、及び、図20により、トリカプリリンの接触分解反応でも反応の進行に伴い、炭化水素の収率が増加していることが理解される。また、図21からヘプタン(Heptane C716 以下、「n−C7」と表記する。)の収率が他に比べて高いことがわかる。トリカプリリンを構成する脂肪酸の炭素数は8であることから、その脂肪酸よりも炭素数が1つ小さな直鎖パラフィンが多く生成されている。これらのことから、トリカプリリンにおける炭化水素の反応にはトリラウリンの場合と同様に進行していると考えられる。
〔含酸素化合物の定性・定量分析結果と酸素バランス〕
表9にトリカプリリンの触媒反応で得られた含酸素化合物成分と各成分の収率を示す。また、図22と図23に横軸を1/WHSVとして、各含酸素化合物の収率の変化を、図24には横軸を1/WHSVとして、原料であるトリカプリリンの収率の変化を示す。
図22からトリカプリリンで得られた含酸素化合物も主たる成分はアルデヒド、カルボン酸、ケトンであることが確認される。特に、カルボン酸成分はWHSVが25hr-1のときに最大40%近くまで生成されていることがわかる。その他の含酸素化合物成分もWHSVが34hr-1よりもWHSVが25hr-1の場合の方が収率が高いことがわかる。これはWHSVが34hr-1の場合では原料からこれらの含酸素化合物が生成するまでの触媒接触時間が不足していると考えられる。また、トリラウリンではわずかしか生成していなかったアクロレインが最大1.7%生成されていることが確認できる。また、図19、図22、及び、図23を総合すると、炭化水素の収率は反応の進行に伴って増加するが、含酸素化合物の収率は減少していることから、トリラウリンを原料とした場合と同様に、含酸素化合物は反応中間体であると考えられる。
また、表10に酸素基準による各含酸素化合物の収率を示し、図25から図27にそれぞれ反応の進行による、酸素基準のCO及びCO2の収率の変化、オクタナール(octanal)、カプリン酸(caprylic acid)の収率の変化、及び、8−ペンタデカノン(8−pentadecanone)の収率の変化、そして、全体の酸素収率の変化を示す。
これらより、トリカプリリンの場合でもトリラウリンの場合と同様に、酸素を基準とした収率において、CO及びCO2は反応の進行とともに増加し、反応中間体は減少する傾向がみられる。反応の進行過程で一旦、反応中間体の収率が増加したため、酸素の収率は75%近くまで上がったが、さらに反応を進行させると38%近傍でほぼ平衡に達する。そして、この38%の収率の大部分はCOとCO2によるものであることが確認された。
《トリパルミチンの接触分解》
トリパルミチンは炭素数が16の脂肪酸であるパルミチン酸から構成されたトリグリセリドである。分子式はC51986、分子量は807.29[g/mol]である。融点は66℃で、室温では固体である。
〔接触時間依存性〕
表11にトリパルミチンでの触媒試験条件、表12に反応生成物の分析結果を示す。また、図28から図30にそれぞれ、反応の進行による炭化水素収率の変化、淡化水素の各成分の収率の変化、及び、炭素別直鎖パラフィンの収率の変化を示す。
トリパルミチンの接触分解反応でも、反応の進行に伴い炭化水素の収率が増加する。図30からペンタデカン(Pentadecane C1566 以下、「n−C15」と表記する。)の収率が他に比べて高いことがわかる。ここで、トリパルミチンを構成する脂肪酸の炭素数は16であることから、この脂肪酸よりも1つ炭素数の小さい直鎖パラフィンが多く生成されていることが確認される。このため、トリパルミチンでもトリラウリンやトリカプリリンでの場合と同様な反応が生じていると考えられる。また、これら3つの脂肪酸の炭素数にそれぞれ対応したパラフィン成分が生成されることがわかる。
〔含酸素化合物の定性・定量分析と酸素バランス〕
表13にトリパルミチンの触媒反応で得られた含酸素化合物とそれら各成分の収率を示す。また、図31と図32に1/WHSVを横軸として各含酸素化合物の収率を示す。
表1と図31からトリパルミチンから多く生成される含酸素化合物はアルデヒド成分、カルボン酸成分、ケトン成分であることが確認される。図28と図31、及び、図32により、炭化水素成分は反応の進行に伴って収率が増加しているが、含酸素化合物成分は減少していることがわかる。このため、トリパルミチンの場合もトリラウリンやトリカプリリンの場合と同様に、含酸素化合物成分は反応中間体であると考えられる。
表14に酸素基準による各含酸素化合物の収率を示し、図33から図35にそれぞれ1/WHSVを横軸として、酸素基準のCO及びCO2の収率、ヘキサデカナール(hexadecanal)、パルミチン酸(palmitic acid)、及び、16−ヘントリアコンタノン(16−hentriacontanone)の収率、及び、全体の酸素収率の変化を示す。
トリパルミチンを原料とした場合も、酸素を基準とした収率においてトリラウリンやトリカプリリンを原料とした場合と同じように、反応の進行とともにCO及びCO2は増加し、含酸素化合物成分は減少している。また、反応が進行すると全体の酸素収率がCO及びCO2収率とほぼ同じ値になることも他のモデル物質と同じ傾向である。
《分子径による反応生成物の違い》
異なる原料を比較する際、重量基準であるWHSVに加え、エステル結合の数(モル数)をそろえた指標としてGHSVを用いた。また、異なる原料を用いた時、それぞれの現良好を構成する脂肪酸の炭素数に対応した直鎖パラフィン成分や中間体が検出されるので、以下、これら脂肪酸の炭素数を「m」と表記する。すなわち、トリラウリンならm=12、トリカプリリンならm=8、トリパルミチンならm=16である。
〔WHSVでの比較〕
炭化水素成分の収率について、図36から図41に、横軸を1/WHSVとして、炭化水素、n−Cm-1(炭素数がm−1個の直鎖パラフィン)、パラフィン成分、オレフィン成分、単環芳香族、及び、多環芳香族の収率をそれぞれ示す。これらの図から収率は異なるものの、どの原料を用いても、おおむね似た挙動となっており、炭化水素の分解では炭素数が異なる場合でも同じように反応が進行していることがここでも確認される。
次に、含酸素化合物成分の収率について、図42から図47にそれぞれ、横軸を1/WHSVとして、含酸素化合物成分の収率、アルデヒド成分の収率、カルボン酸収率、ケトン成分収率、酸素を基準にしたCOとCO2収率、及び、全体の酸素収率を示す。
このうち、図42から図45によれば、中間体の収率はトリパルミチンのように分子径の大きな原料では他の原料を用いた場合に比べて小さいことが理解される。これは分子径の大きい方が触媒の酸点に触れる確率が相対的に大きく、分解が速く進行したのではないかと考えられる。また、図46と図47によれば、反応が進行すると全ての原料で酸素を基準にしたCO及びCO2収率がある一定値(約35%)となるように見える。これは原料の分子径の影響ではなく、今回使用した触媒の活性では酸素基準で約35%のCO及びCO2収率が得られ、残りの酸素は主に水として脱酸素化されたと考えられる。
《GHSVでの比較》
図48と図49にそれぞれ横軸を1/GHSVとして、炭化水素の収率、及び、酸素基準としたCO+CO2の収率を示す。また、同じ温度で行ったココナッツ油及び大豆油での結果も掲載する(これらの原料、及び、不飽和脂肪酸から構成される大豆油による接触反応については後述する。)。
これらの図によれば、飽和脂肪酸からなるトリグリセリドであるトリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、ココナッツ油では、原料の分子径や混合物であることに関わらず炭化水素の収率やCO+CO2の収率がほぼ同一線上にのっていることが確認される。このことは、全ての原料で脱酸素反応が同じような速度で進行していることを示している。ここで、触媒中での原料の拡散に立体障害が働くならば分子径が異なる3種のトリグリセリド原料の脱酸素反応速度には違いが生じるはずであるが。しかし、図48に示されるように、原料による反応速度の違いが見られなかったということは、植物油の脱酸素反応に立体障害が働いていないことを意味する。また、トリグリセリドの分子径はおおむね2〜5nm(20〜50Å)であるのに対してFAU型ゼオライトの細孔径は0.74nm(7.4Å)であることから、原料のトリグリセリドは直接ゼオライト内に拡散することはできないと考えられる。以上のことから、植物油の脱酸素反応は触媒中のゼオライト細孔内ではなく、マトリックスでのメソ孔(細孔径:5〜200nm(50〜2000Å))内で行われていることが示唆される。
図50と図51に横軸を1/GHSVとして、トリカプリリン、トリラウリン、及び、トリパルミチンを原料としたときのn−Cm-1収率とコーク収率を、それぞれ示す。図50から、mの大きな原料を用いたときの直鎖パラフィンの収率が高く、mの小さい原料の場合では収率が小さいことがわかる。前述の反応機構(B)において、n−Cm-1は脱酸素反応の最終生成物であり、かつ、炭化水素の接触分解の開始成分である。この結果から、脱酸素反応では立体障害が働かないのに対して、炭化水素の接触分解反応では立体障害が生じていることが示唆される。すなわち、脱酸素反応が立体障害の生じないマトリックス領域で進行するのに対し、炭化水素の分解反応はゼオライト領域(ミクロ細孔内)で進行すると考えられる。このとき、細孔径の小さいゼオライト細孔内では立体障害が生じるために小さい分子の方が拡散しやすい。そのため、植物油から生成される直鎖パラフィンの炭素数が少ないトリカプリリンでは直鎖パラフィン(n−C7)の収率がトリパルミチンでの直鎖パラフィン(n−C15)の収率よりも小さくなったと考えられる。
また、図51からは原料の分子径が小さいトリカプリリンでのコーク収率がトリラウリンやトリパルミチンを原料とした場合に比べて大きいことがわかる。これについては、アクロレインの生成がコーク収量に影響を与えている可能性が考えられる。図52に横軸を1/GHSVとして、アクロレインの収率を示すが、原料の分子径が小さいほど多く生成していることが確認できる。これは原料の仕込み量がほぼ1.33gに固定され(WHSVが小さいときは1.0g程度とした。)、分子量の小さなトリカプリリンのモル数が相対的に多くなり、グリセリン由来のアクロレインが多く生成されたと考えられる。
<トリグリセリド接触分解反応における触媒の各成分の寄与>
上記において、トリグリセリドの接触分解反応では、触媒のマトリックス部において脱酸素反応が進行することが示唆された。ここで、マトリックス部での反応活性点として、マトリックスを構成する成分であるカオリンやアルミナが考えられる。そこで、これらの成分がトリグリセリドの脱酸素反応にどのように寄与しているのかを調べるために、これら成分を単独で用いた触媒反応試験を行い、反応生成物を分析した。なお、ここでFCC触媒の組成はゼオライト約30wt%、カオリン約50wt%、アルミナ約20wt%である。そこで、カオリン及びアルミナを石英砂と混合して希釈した後に、触媒を用いた場合と同程度の重量で触媒層に充填し、その触媒活性を調べた。
ここで、原料としてはココナッツ油(coconuts oil)を用いた。ココナッツ油は脂肪酸とグリセリンとがエステル結合したトリグリセリドを形成している。ココナッツ油に含まれる脂肪酸の組成を表15に示す。ココナッツ油の主成分は炭素数12の飽和脂肪酸であるラウリン酸である。表15から、ココナッツ油の分子量を数式(5)で算出した678.35とした。
[数3]
12.01×41.85十1.008×79.1十16.00×6=678.35[g/mol] ……(5)
カオリン及びアルミナを触媒として用いたココナッツ油の接触分解反応の反応条件を表16に示し、反応生成物分析結果を表17に示す。また、図53にカオリンの充填量(含有量)と炭化水素、原料トリグリセリド、及び、含酸素化合物の各収率との関係を示す。同様に図54にアルミナ充填量と炭化水素、原料トリグリセリド、及び、含酸素化合物の各収率との関係を示す。
図53から理解されるように、UCS調整触媒中のカオリン組成はおよそ50wt%であるが、それに対応する条件での実験結果では、トリグリセリドはほぼ分解されたものの含酸素化合物は多く検出されており、また炭化水素収率は25wt%程度に留まった。また、アルミナを用いた場合においても同様の結果となった。これら結果は、同様の条件でUCS調整触媒を用いた際の炭化水素収率(後述する図69に示される。)と比較して低い値となった。このことから、UCS調整触媒マトリックスにおける植物油の脱酸素反応活性はカオリンのみでは説明できないことが理解される(ポイント(c))。
以上の結果から、触媒のマトリックスにおける植物油の脱酸素反応活性はマトリックス中のカオリンやアルミナだけでは説明することができないことがわかった。すなわち、カオリンやアルミナだけでなく、ゼオライトも存在することによって脱酸素反応がより進行した。その機構としては、ゼオライトが共存することにより炭化水素の接触分解反応が平衡して進行し、その反応によって生成する水素がマトリックス部における脱酸素反応に寄与している可能性などが考えられる(ポイント(c))。
<ユーグレナワックスエステルの接触分解反応>
ユーグレナワックスエステルから接触分解反応によって炭化水素燃料を合成することを目指し、反応試験を行った。さらに、ワックスエステルの接触分解反応の特徴について調べた。
《ユーグレナワックスエステル(euglena wax ester)》
ワックスエステルは高級脂肪酸と高級アルコールからなるエステルであり、常温で固体の黄色ないし榿色の物質である。ユーグレナが生産するユーグレナワックスエステルは、ミリスチン酸(炭素数14)とミリスチルアルコール(炭素数14)からなるミリスチルミリステートを主成分としており、炭素数13や15の奇数鎖の脂肪酸と脂肪アルコールとからなるワックスエステルも多く存在している。一般に、他の微細藻類や油糧植物の生産する主要な脂肪酸炭素鎖は炭素数16や18であることから、炭素数14の脂肪酸を大量に生産可能な点は非常に有用である。表18にユーグレナワックスエステルの組成を示す。この表より、一分子あたりの分子量を次の数式(6)から429.76とする。
[数4]
12.01×28.359十1.O08×56.718十16.00×2=429.76[g/mol] ……(6)
《反応生成物収率の接触時間依存性》
表19にユーグレナワックスエステルでの触媒試験の反応条件を示し、表20に反応生成物の分析結果を示す。また、図55から図57にそれぞれWHSVの逆数に対し、炭化水素収率、それぞれの成分の収率、及び、無機ガス(H2、CO、CO2)収率を示す。
表20や図55より、ユーグレナワックスの接触分解反応でもトリグリセリドの場合と同様に反応の進行に伴って、炭化水素成分が多く生成されていることが理解される。また、図56からもパラフィン成分や芳香族成分の収率が増加しているのに対し、オレフィン成分の収率が減少していることもトリグリセリドを用いた場合と同じである。しかし、反応初期のオレフィン収率が約25%と多いことも確認できる。図57から無機ガス成分収率は反応の経過と共に途中までは上昇しているが、その後、減少に転じていることがわかる。ガスの収率もトリグリセリドを用いた場合と同様に反応の進行とともに上昇するものであると考えられるが、このように減少に転じた理由は、原料が反応管までの経路で固化し、キャリアガスが流れにくくなったためにガス量が減少したためである。
《炭化水素生成物の炭素数分布》
図58と図59にそれぞれ、1/WHSVとユーグレナワックス分解反応生成物中の炭素数別の直鎖パラフィン成分、及び、オレフィン成分の収率との関係を示す。
図58から、直鎖パラフィン成分は炭素数が6以下と10以上(特に13,14,15)で多く生成されていることが理解される。また、図59からは、オレフィン成分も同様に炭素数が5付近と14付近で多く生成されていることが確認される。ユーグレナワックスエステルは上記したように、主として炭素数が14のカルボン酸と炭素数14のアルコールのエステルから構成されている。このことから、炭素数の小さな直鎖パラフィン成分やオレフィン成分は分解によって生成されたものであり、C14付近の成分は原料の初期分解でできた炭化水素成分であると考えられる。このことを評価するために、図60から図62に、1/WHSVの増加に伴う、素数が5〜9までの各成分の収率、パラフィン成分の詳細、及び、オレフィン成分の詳細収率をそれぞれ示し、図63に炭素数が10〜15の各成分の収率を示す。
図60及び図63からパラフィン成分や芳香族成分の収率増加がわかり、図61と図62からはパラフィンやオレフィンの一分岐した成分が多く生成されているが理解され、これらから、炭化水素の反応ではトリグリセリドの場合と同様の反応が生じ低いると考えられる。また、オレフィン成分の収率に注目すると、炭素数が大きなオレフィン成分の収率の反応の進行に伴う減少が、炭素数の小さいオレフィン成分の減少よりも大きいことがわかる。これらの結果から、ユーグレナワックスエステルは初期分解により炭素数13〜15のパラフィン成分及びオレフィン成分が生成し、それが2次分解することで低分子量の反応生成物が生成することが確かめられた。さらに、図58及び図59において、直鎖パラフィン類の収率のピークが炭素数13にあるのに対し、オレフィン類の収率のピークが炭素数14にあることから、初期に生成するオレフィン成分は原料のユーグレナワックスエステルを構成する脂肪酸またはアルコールの側鎖と同じ炭素数のものが多く、一方でパラフィン成分では原料を構成する脂肪酸の炭素数が1つ小さいものが多く生成していると考えられる(ポイント(d))。
〔含酸素化合物の収率〕
表21に触媒反応試験で得られた含酸素化合物とその収率を示す。また、図64に1/WHSVの増加に伴う、炭素数が14のアルデヒド(テトラでカナール(tetradecanal))とカルボン酸(ミリスチン酸(myristic acid))の収率変化を、図65から図68に1/WHSVの増加に伴う、炭素数別の各成分の収率変化を示す。
表21より、ユーグレナワックスエステルを接触分解反応させたときの含酸素化合物の多くはアルデヒド、カルボン酸、ケトンの形をしており、トリグリセリドの時と同じような成分が生成されている。さらに、アルデヒドとカルボン酸の炭素数に注目すると、12,14,16のような偶数のほかにも13や15といった奇数のものも存在している。どの含酸素化合物も反応の進行に伴い、収率が減少していることからこれらの成分は反応中間体であることが示唆される。
図55や図68から、反応の進行とともに炭化水素成分の生成や原料の分解が進行していることが理解される。なお、液体生成物の色からも反応が進行していることが確認できる。WHSVが32[hr-1]での液体生成物(図69に写真を示す。)は橙色であるが、WHSVが32[hr-1]での液体生成物(図70に写真を示す。)は薄黄色でより澄んだ色をしている。
〔ユーグレナワックスエステルの接触分解反応機構〕
ユーグレナワックスエステルから生成された中間体は、トリグリセリドの場合と同様のものであり、このため、ユーグレナワックスエステルの接触分解の反応経路はトリグリセリドと反応経路が大きく違うとは考えにくい。しかし、ユーグレナワックスエステルはグリセリンではなく高級脂肪酸と高級アルコールとからなるワックスエステルであるため、アルコール部分でトリグリセリドと異なった反応経路となっていると考えられる。炭素数が14程度のオレフィンが多く生成されていることから、次に示すような経路を想定した。カルボン酸以降の反応経路は反応機構(C)に示した(反応経路(B)とほぼ同じなので、検出できた成分のみを抜粋した。)。
原料であるユーグレナワックスエステルは、まず、カルボン酸及びオレフィンヘと分解し、このうち、オレフィンは炭化水素へと分解し、カルボン酸からは、トリグリセリドの場合と同様な経路を経由してパラフィン成分やオレフィン成分が生成すると考えられる。ユーグレナワックスは炭素数が14のカルボン酸と炭素数が14のアルコールのエステルが多いため、図58や図59に示されたように、直鎖パラフィン成分としては炭素数13のものが、オレフィン成分では炭素数14が、それぞれ多く生成されたことと一致する。
なお、上記ではUCSが2.427のUCS調整触媒(2.43)を用いたが、FCCプロセスでの新触媒の供給と廃触媒の抜出の速度とを変えて得た、USCが2.422、及び、2.445の2種類のUCS調整触媒について、表19の2MTeug03サンプルと同じ条件でユーグレナワックスの触媒分解反応を行った。
ただし、UCSが2.422のUCS調整触媒では水熱劣化により触媒活性が低下しているので、これを補うために反応温度を470℃ではなく480℃に上げて触媒反応実験を行った。その結果、UCS調整触媒(2.43)での結果とほぼ同等の結果が得られた。
一方、UCSが2.445のUCS調整触媒は触媒活性が高いので、過分解を抑制するために反応温度を440℃に下げて触媒反応させた。その結果、UCS調整触媒(2.43)を用いた場合と同様の生成物は得られたが、ガソリンやジェット燃料などの成分となる液生成物の収率が低下し、コークとガス生成物との収率が増加した。これはUCSが2.445と高く、水素移行反応活性が高いのでコークが増えたものと考えられる。また、反応温度が低いので液生成物が触媒に吸着されて脱着せずに上記のようにコークになったと考えられる。なお、反応温度を470℃のまま反応させたところ、過分解により液生成物はほとんど得られなかったが、プロピレンやブテン類などの石油化学製品が高収率で得られた。これらのことから、UCSはガソリンやジェット燃料などの成分を効率よく得るためには、2.42以上2.45以下の範囲であることが必要であると判断される。
<植物油の接触分解反応生成物>
バイオマス実原料であるココナッツ油及び大豆油を原料に用いて接触分解反応試験を行い、反応生成物の分析を行った。ここで、ココナッツ油の側鎖は主に飽和脂肪酸から構成されるのに対し、大豆油の側鎖には不飽和脂肪酸が多く含まれる。そこで、ココナッツ油での反応と大豆油での反応とを比較することにより、側鎖中の不飽和結合の有無による違いについても検討を行った。
《大豆油(soybean oil)》
大豆油に含まれる脂肪酸の組成を表22に示す。主成分は炭素数18の不飽和脂肪酸であるオレイン酸及びリノール酸である。表22より、大豆油の平均分子量を数式(7)で算出した860.23とした。
[数5]
12.01×55.41十1.008×97.97十16.00×6=860.23[g/mol] ……(7)
《異なる反応温度でのココナッツ油の反応生成物》
温度を変えてココナッツ油の接触分解反応試験を行った。表23に触媒反応試験の条件、表24に反応生成物の分析結果を示す。また、図71に各反応温度における炭化水素収率を示す。図71から、反応温度が高くなると炭化水素成分が多く生成されていることが理解される。これは反応温度の上昇に伴って、原料の分解がより進行しているためであると考えられる。さらに、表24に示すように生成物中にCOやCO2が検出されたことから脱酸素反応も進行していると考えられる。なお、本実験では反応温度を470℃とした実験を2回行い再現性の確認をとった。その結果、2回ともほぼ同じ炭化水素収率(56.1%,54.5%)を示した。以降は、反応温度を470℃で行った得た反応生成物である、2MTBio oil03について、分析を行った結果について記載する。
図72と図73とにそれぞれ反応温度におけるパラフィン成分及びオレフィン成分の収率と単環・多環芳香族成分の収率とをそれぞれ示す。
これらの結果から、植物油の接触分解によりオレフィン成分や芳香族成分が生成されることがわかる。これらの化合物は、ガソリン燃料として用いられたときに高いオクタン価を示すことや、様々な化学品を合成するための基幹化合物であることなどから有用な反応生成物である。一方で、植物油の水素化分解処理ではこのような不飽和結合を含む生成物の合成は困難であることから、植物油の接触分解処理を行うことで水素化分解処理よりも高付加価値な生成物への転換の達成が可能となる。また、図72と図73に示されるように、パラフィン成分や芳香族成分は反応温度が高くなると収率が高くなった。しかし、オレフィンは他と比較して大きくは変化していないことがわかる。これはオレフィンが反応性の高い二重結合を持っているために、反応が進行して多く生成されてもその分多く消費されることによることと考えられる。
《炭化水素生成物の炭素数分布》
ココナッツ油の接触分解反応生成物についてさらに詳細に分析を行った。図74、図75、図76に、470℃における反応生成物中のパラフィン成分、オレフィン成分、及び、芳香族成分について、炭素数別の収率をそれぞれ示す。
図74より、反応生成物中には炭素数が11、13、15の直鎖パラフィン成分が多量に含まれることがわかる。一方、表21に示したように、原料であるココナッツ油を構成する脂肪酸では、炭素数12、14、16のものが多い。この結果から、トリグリセリドを構成している脂肪酸よりも炭素数が1つ少ない直鎖パラフィンが選択的に生成されていることが理解される。また、図75に示したように、オレフィン収率の中ではC3オレフィン(プロピレン)の収率が高い。プロピレンは化学品原料として近年特に需要が拡大している化合物であり、今回得られた高プロピレン収率は接触分解反応の利点の一つとなると考えられる。
《含酸素化合物の定性分析結果》
ココナッツ油の反応試験では多くの含酸素化合物が生成した。表25に含酸素成分とGC−FIDにより検出された保持時間(RetentionTime 以下、「RT」と表記する。)、各反応温度で各成分が検出されているかどうかを示す。
表25から含酸素化合物は、炭素数の異なるアルデヒド成分、カルボン酸成分、ケトン成分であることがわかる。また、反応温度が450℃と470℃の場合には多くの含酸素化合物が検出されたのに対し、反応温度が500℃の場合は検出された含酸素化合物の種類が少なくなっている。これは、反応温度が高いと分解反応や脱酸素反応がより促進されるので、これらの含酸素化合物は他の成分へ分解されたと考えられる。また、RTが143分以降のケトンに注目すると、RTが6〜9分間隔で規則的に検出されていることが確認される。このように規則的に検出されることから、これらのケトンの炭素数には規則性があることが考えられ、すでに同定された8−ペンタデカノン(8−pentadecanone(C15))と12−トリコサノン(12−tricosanone(C23))、16−ヘントリアコンタノン(16−hentriacontanone(C31))のRTの間隔からそれぞれのケトンの炭素数を推定した。すると、それぞれのケトンの炭素数はいずれも奇数になることがわかった。さらに、12−トリコサノンや16−ヘントリアコンタノンのように中央の炭素でカルボニル結合している成分が生成されていることから、同定されていない他のケトンも同様に、中央の炭素、もしくは中央から少しずれた位置の炭素が酸素とカルボニル結合していると考えられる。
《大豆油の接触分解反応生成物》
表26に大豆油の接触分解反応試験の反応条件を示し、反応生成物分析の結果を表27に示す。なお、この実験条件は表23に示したココナッツ油での470℃での反応試験と同じ条件で行っているが、大豆油の接触分解反応生成液中には含酸素化合物は検出されなかった。このことから、大豆油の脱酸素反応は非常に速やかに進行することが確かめられた(ポイント(f))。
次に、大豆油の接触分解反応生成物について、パラフィン成分、オレフィン成分、及び、芳香族成分の炭素数別の収率をそれぞれ、図77から図79に示す。
これらの結果を図74から図76に示したココナッツ油の反応生成物と比較する。
原料植物油の側鎖脂肪酸の炭素数はココナッツ油よりも大豆油の方が大きいにもかかわらず、反応生成物は大豆油の方が低分子化が進行していることがわかる。これはトリグリセリドの側鎖脂肪酸に含まれる不飽和結合の分解が速やかに進行したためと考えられる。不飽和脂肪酸側鎖の速やかな分解は、図77と図78において、原料中の側鎖脂肪酸の炭素数に対応する直鎖パラフィンや直鎖オレフィンの生成が観察されなかったことからも確かめられる。以上の結果より、植物油の側鎖に不飽和脂肪酸が含まれていると、脱酸素反応及び分解反応が速やかに進行することが確認された。
《大豆油及びココナッツ油とトリグリセリドのモデル物質とでの炭化水素の収率、及び、CO及びCO2の収率》
トリグリセリドのモデル物質での接触反応における炭化水素の収率、及び、酸素基準でのCO及びCO2の収率のGHSVの比較結果を示した図48、及び、図49に大豆油での結果を併せて載せたが、これらの図において、トリグリセリドのモデル物質や飽和脂肪酸からなるトリグリセリドであるココナッツ油での収率と比べ、不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドである大豆油では、CO及びCO2の収率がやや低い値となった。ここで、大豆油での反応生成液中には含酸素化合物は検出されなかったことから、不飽和脂肪酸トリグリセリドの反応では原料中の酸素の多くが水に変換された。上記にも示したとおり、不飽和脂肪酸トリグリセリドの接触分解では脱酸素及び分解反応が速やかに進行することがわかっており、この結果からは触媒のマトリックス部分では脱酸素反応だけでなく側鎖の不飽和脂肪酸の分解も進行している可能性が考えられる。このため、図49において、大豆油からのCO及びCO2の生成が少ないことの原因として、グリセリン主鎖のエステル結合よりも側鎖の不飽和脂肪酸が先に分解されることで、エステル結合の脱酸素反応経路が変化した可能性、側鎖の分解に伴って生成した水素がエステルの脱酸素反応に影響した可能性、側鎖の分解に伴って生成した水素とエステル結合の脱炭酸反応によって生成したCO2の間で逆シフト反応(CO2+H2→CO+H20)が進行した可能性などが考えられる。なお、水素化脱酸素反応は原料中の炭素を消費せず水素を消費する反応であるため、反応系内の水素/炭素比が減少し、反応生成物である炭化水素において脱水素化が促進されるため、石油化学基材となる有用な、不飽和結合を有するオレフィンやオレフィンがさらに環化脱水素した芳香族化合物が多く生成される(ポイント(e))。
また、表21に示されているココナッツ油の脂肪酸組成からわかるように、ココナッツ油にはカプリル酸(m=8)やカプリン酸(m=10)がパルミチン酸(m=16)と同量程度入っているのにもかかわらず、図74ではn−C7やn−C9はn−C15に比べて低い収率となっている。これは、炭素数の小さい、つまり分子径の小さいものの方がゼオライト細孔内に拡散しやすく、ゼオライトの酸点によって分解されるために収率が低くなったと考えられる。
<UCS調整FAUゼオライトとMFI型ゼオライトとの併用>
UCS調整FAU型ゼオライトとMFI型ゼオライトとを併用して接触分解を行った。
《一体成形型触媒の作製》
上記のUCSの調整の検討で用いたものと同じFCC用のFAU型触媒(Grace社製。以下、「FCC新触媒」と表記する。)を粉砕したもの、MFI型ゼオライト(東ソー社製。Si/Al比は1500。)、及び、アルミナゾル(日揮触媒化成社Cataloid AP−1)を表28に示した配合比(重量比)で混合した後、蒸留水を少量添加して練り、次いで、成形機を用いて粒状に成形した後、常温で乾燥させた後に粉砕、その後、空気を流通させながら120℃で3時間の乾燥、及び、550℃で3時間での加熱処理を行い、すり鉢で粉砕したのち、粒子径を45〜150μmのものを、篩い分けを行って得た。
《単一成形型触媒の作成》
一体成形型触媒の作製と同様に、ただし、原料は、カオリン、MFIゼオライト、及び、アルミナパウダーを表29に示した配合比(重量比)で用いて造粒し、粒子径を45〜150μmに揃えた。
《MFIゼオライトのイオン交換》
上記で用いたMFI型ゼオライトはプロトンタイプであるが、造粒段階で混合した不純物を除去するために、上記の造粒物、及び、MFI型触媒をそれぞれ、2mol/L(リットル)の硝酸アンモニウム水溶液に減圧下で1晩、浸漬した。その後、上澄み液を捨てた。造粒物1g当たり10mLの2mol/Lの硝酸アンモニウム水溶液を加え80℃で2時間攪拌し、濾過した。この、硝酸アンモニウム水溶液を添加し濾過、の一連の動作を計3回行った後、同様に、蒸留水で洗浄し濾過する、の動作を3回繰り返した。その後、1晩減圧乾燥を行った後、約100mL/分の流速で乾燥空気を流通させながら120℃で3時間の乾燥、及び、550℃での3時間の加熱処理を行った。そして、すり鉢で粉砕したのち、篩い分けを行って粒子径を45〜150μmに揃えた。
《水熱劣化処理》
FCC新触媒、及び、上記でイオン交換を行った触媒に対して、800℃の水蒸気雰囲気下で、12時間の水熱劣化処理を行い、以下で用いる触媒を得た。これらUCSが調整された各触媒、及び、FCC新触媒のUCS(nm)を、表30に示す。
表30中、「FAU」はFCC新触媒を水熱劣化処理によりUCSを調整したもの、また、「F/M=1.6/1」、「F/M=1/1」、及び、「F/M=1/1.6」は、それぞれ一体成形型触媒をイオン交換した後水熱劣化処理したもので、右側の比率はそれぞれ、原料としてのFAU型ゼオライトとMIF型ゼオライトとの配合比を表わす。
表30に示すように、以下の接触反応に用いる触媒中のFAU型ゼオライトのUCSは2.42以上2.45以下に調整されている。
《接触分解、および、反応生成物》
上記で準備した触媒を用いてココナッツ油の接触分解を行った。
反応試験条件、及び、その条件での収率を表31〜35に示す。なお、表中、「MFI/(FAU+MFI)」の値は、原料全ゼオライト中のMFI型ゼオライトの重量比率を示す。また、収率に関して、メタン法での結果を示した。
《C16+転化率》
図80に各反応試験における転化率を示す。C16+転化率とは、原料が炭素数15以下の分子にどれだけ添加したかを割合で示したものである。図の横軸はWHSVの逆数をとったもので、横軸が右へ行くほど滞留時問が長く、反応が進行している。
図80により、MFI/(FAU+MFI)(以下、「触媒配合比」と表記する。)が0のFAU型ゼオライトのみを有する触媒(以下、「FAU単独触媒」と表記する。)、及び、触媒配合比が1のMFI型ゼオライトのみの単一成型の触媒(以下、「MFI単独触媒」と表記する)と、2種のゼオライトを有する一体成型触媒と、を比較すると、いずれのWHSVであっても、FAU単独触媒及びMFI単独触媒のC16+転化率はともに10〜15%低い値を示す。このことから、MFI型ゼオライトとFAU型ゼオライトとを併用することによって、いずれかのゼオライトの単独では分解できなかった成分を分解できるようになったということが示された。
また、2種のゼオライトを有する一体成型触媒同士の転化率を比較すると、WHSVが32(以下、「WHSV32」と表記する。)付近では、両者では転化率に大きな差異は見られない。しかし、WHSVが24のとき(以下、「WHSV24」と表記する。)にはMFI型ゼオライトの含有率が高い順に転化率が高く、WHSVが16のとき(以下、「WHSV16」と表記する。)においてはFAU型ゼオライトの含有率が高いほど転化率が高いことが理解される。WHSV24におけるFAU単独触媒、及び、MFI単独触媒のそれぞれの転化率はほぼ同じ値を示していることから、混合比によって転化率が変化するということは、触媒同士でなんらかの相互作用が起きているということが考えられる。これらのことから、WHSVとゼオライトの混合比とによって反応機構が異なることが示唆される。またWHSV32ではゼオライト混合比による差異が見られないことから、この混合比による差異は、ある程度の接触時問が必要であることが理解される。
《生成収率の比較》
図81から図83にそれぞれ、WHSV32、WHSV24、及び、WHSV16における各生成物の収率を示す。グラフの横軸は全ゼオライト中のMFI型ゼオライトの含有比である。
WHSV32においては転化率の違いによる差はあるものの、触媒による生成物収率に大きな差異が見受けられないことから、C16+転化率に関して述べたように触媒の混合比による生成物への影響は小さいと考えられる。
ここで、FAU単独触媒を除く、他の4つの触媒におけるWHSV32、及び、WHSV24での未同定物質の収率に着目すると、滞留時間をWHSV32からWHSV24へ長くしても各触媒における未同定生成物の収率はほぼ変化しないことがわかる。含酸素化合物である中間体はゼオライトではなくマトリックスで分解が進行すると考えているため、この4つの触媒におけるマトリックスの組成に注目してみると、触媒チュのアルミナ(アルミニウム)の含有率が高いほど未同定生成物の収率が低いことが理解される。よって、このマトリックス中のアルミニウムが酸点となり分解を行っていることが示唆された。また、WHSV16ではさらに脱酸素が進行し、含酸素化合物の生成はほとんど確認できなかった。
次にオレフィン成分について注目してみる。WHSV16におけるMFI単独触媒のオレフィン成分の収率が上記の反応試験結果の中で最も高いことが理解される。また、FAU単独触媒ではオレフィン収率が最も低い。このようにFAU型ゼオライトにMFI型ゼオライトを併用することで、FAU型ゼオライトに比べてオレフィン成分の収率が向上した。
《パラフィン成分の分岐による比較》
図84から図86に、それぞれWHSV32、WHSV24、及び、WHSV16における分岐別のパラフィン成分の収率を示す。グラフの横軸はゼオライト中のMFI型ゼオライトの含有比である。
WHSVを小さくしていくと、FAU単独触媒、及び、MFI単独触媒では主に直鎖パラフィン成分の収率が向上する。これに対し、2種類のゼオライトを有する一体成型触媒では、WHSVを小さくすると、一分岐パラフィン成分、及び、多分岐パラフィン成分の収率が向上した(ポイント(h)、その1)。また、WHSV32、及び、WHSV24では一体成型触媒における直鎖パラフィン成分の収率はMFI型ゼオライトの増加に従い、増加している。しかし、WHSV16では逆に、MFI型ゼオライトの増加に従い、減少している。
MFI型ゼオライトは異性化効果を持つため、反応が進行すれば、分岐をもつパラフィン成分の収率が向上すると想定していたが、直鎖パラフィン成分の収率が向上した。これは、MFI型ゼオライトの細孔内に被反応物質が入らず、マトリックス部分で反応が進行したため、直鎖パラフィン成分が増加したのだと考えられる。しかし、一体成型触媒では反応の進行とともに、分岐パラフィン成分の生成が直鎖パラフィン成分の生成より優位になることから、FAU型ゼオライトで分解された物質が、異性化効果を持つMFI型ゼオライトの細孔内で反応していることが考えられる。
《芳香族成分の比較》
図87に多環芳香族成分の収率、図88に単環芳香族成分の収率をそれぞれ示した。グラフの横軸はゼオライト中のMFI型ゼオライトの含有比である。
これらの結果より、FAU型ゼオライトのみを有する触媒では多環芳香族成分、単環芳香族成分の、両方の収率が高く、MFI型ゼオライトのみを有する触媒では多環芳香族成分、単環芳香族成分の、両方の収率が低い。FAU型ゼオライトは大きな細孔径を有する、立体障害を受けることなく、多環芳香族成分、及び、単環芳香族成分の両方を生成すると考えられる。MFI型ゼオライトは細孔径が、FAU型ゼオライトと比較して小さく、被反応物質が細孔内に入ることができず、このために芳香族成分が生成されにくいために収率が低いことが考えられる。
一方、両者のゼオライトを有する一体成型触媒では、多環芳香族成分の収率は、FAU型ゼオライトの含有量の減少とともに低下している。この結果に対し、単環芳香族成分ではFAU型ゼオライト単独の触媒での収率とMFI型ゼオライト単独の触媒での収率とを繋いだ直線よりも収率が高く、これら異なるゼオライト間でなんらかの相互作用が起こっているためだと考えられる。
この結果から、触媒を混合することでFAU型ゼオライトによる触媒の単環芳香族成分の収率を大幅に超えるような結果を得ることはできなかった。しかし、芳香族成分の収率の低いMFI型ゼオライトを混合して、単環芳香族成分の収率における触媒間の相互作用を確認することができた。
この収率での結果を踏まえ、一体成型触媒の単環芳香族成分の選択性について検討を行った。芳香族成分中の単環芳香族成分の割合を図89に示した。
図89より、1種類のゼオライトのみ有する触媒に比べ、2種類のゼオライトを有する一体成型触媒の一部での生成物において高い単環芳香族成分組成を示していることから、一体成型を行うことで、単環芳香族成分の選択的生成性能の向上が確認された(ポイント(h)、その2)。ここで、単環芳香族成分は化学品製造の基幹化合物として有用である。
以上のように、UCSが2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトをも有する炭化水素製造用触媒を用いる接触分解反応によって、含酸素有機原料から炭化水素を高収率で得ることが可能となる。
ここで、接触分解では分解反応によりオレフィン成分が生成し、さらに生成したオレフィン成分の環化脱水素反応により単環芳香族成分が生成するが、このとき同時に進行する水素移行反応により含酸素化合物は水素化脱酸素されるが、この水素移行反応では触媒の酸密度が高すぎると分解生成物であるオレフィン成分の水素化も引き起こすので、高オクタン価ガソリンの製造、あるいは石油化学製品としてオレフィン成分を得ようとために、分解能力とゼオライトの水素移行反応性のバランスをとるために、上記のようにFAU型ゼオライトのUCS(nm)を2.42以上2.45以下に調整することが必要である(ポイント(b))
<ココナッツ油と大豆油との混合物の接触分解反応生成物>
飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを主成分とするココナッツ油と、不飽和脂肪酸からなるトリグリセリドを主成分とするヒマワリ油を混合し、接触分解を行った。反応温度は470℃、WHSVは16hr-1とし、触媒にはUCS調整触媒(2.43)を用いた。
図90にヒマワリ油の混合比と反応生成物中に含まれていた含酸素化合物(カルボン酸成分、アルデヒド成分、ケトン成分)及びCO、CO2の収率の関係を示す。
ココナッツ油単独の反応では含酸素化合物が9wt%以上検出されたのに対し、ヒマワリ油単独の反応では含酸素化合物は1wt%以下に抑えられた。これは、ヒマワリ油が有する不飽和結合が接触分解反応場において速やかに分解したためであり、上記した大豆油での結果(ポイント(f))と一致する。一方、ココナッツ油にヒマワリ油を添加した場合の含酸素化合物収率は、ヒマワリ油を10wt%添加することで3wt%まで大幅に低減し、20wt%以上添加した場合にはヒマワリ油単独の試験結果と同程度の1wt%以下の含酸素化合物収率となった。これは、ヒマワリ油の不飽和結合の分解によって生成した分解反応物がココナッツ油の飽和脂肪酸トリグリセリドの脱酸素反応を促進したためと考えられる。すなわち、少量の不飽和脂肪酸トリグリセリドを混合することにより、活性の低い飽和脂肪酸トリグリセリドの脱酸素反応を促進できることが確かめられた。
図90において、ヒマワリ油の混合比の増加に伴い、含酸素化合物、CO、CO2のいずれの収率も減少した。このことから、ヒマワリ油の増加に伴って、植物油に含まれる酸素が水として脱酸素化された割合が高くなることがわかる。これは、ヒマワリ油の有する不飽和結合を活性点とする接触分解反応によって生じた水素が植物油中のエステル結合と反応し、水素化脱酸素を進行させたためだと考えられる。水素化脱酸素反応は原料中の炭素を損失せずに脱酸素化を達成することができることから、この反応が進行することにより植物油原料の効率的な脱酸素化を進めることが可能になる(ポイント(g))。
図91にヒマワリ油の混合比と炭素数15以下の炭化水素収率の関係を示す。混合原料の炭化水素収率はココナッツ油単独の収率とヒマワリ油単独の収率とをつないだ直線よりも高くなっており、この結果からも、ヒマワリ油を混合することでココナッツ油の脱酸素化による炭化水素生成を促進できることが確かめられる。炭化水素の成分については、図92にヒマワリ油の混合比とパラフィン成分、オレフィン成分、単環芳香族成分、多環芳香族の収率の関係を示す。ココナッツ油単独ではパラフィン、オレフィン収率が高く、芳香族収率は低いのに対し、ヒマワリ油単独では芳香族、中でも多環芳香族の収率が高くなっていることがわかる。これはヒマワリ油の有する不飽和結合が活性点となって環化・脱水素反応が進行するためであるが、芳香環の重合が進んだ多環芳香族は有効な用途が少なく、付加価値の低い生成物となってしまう。一方、ココナッツ油にヒマワリ油を20wt%添加した場合には、パラフィン及びオレフィンの収率がココナッツ油またはヒマワリ油単独での反応よりも高い収率となったのに対し、単環芳香族及び多環芳香族収率はココナッツ油とヒマワリ油の間の値となった。すなわち、ヒマワリ油を20wt%添加することにより、ココナッツ油からのパラフィン成分及びオレフィン成分の生成を促進することができたことがわかる。ここで、生成したパラフィン成分中には分岐体が多く含まれていることから、高オクタン価ガソリン基材としての利用が期待できる。また、オレフィンの主成分はプロピレン及びブテンであり、化成品原料の基幹化合物として利用できる。このことから、ヒマワリ油の混合によってココナッツ油の脱酸素化及び分解反応を促進できることに加え、ヒマワリ油単独での反応よりも付加価値の高い生成物を選択的に生産できる可能性が示された。(ポイント(i))
以上の結果から、飽和脂肪酸トリグリセリドに不飽和脂肪酸トリグリセリドを混合して接触分解することにより、飽和脂肪酸トリグリセリドの脱酸素化・分解反応速度を向上するとともに、分岐パラフィン成分や低級オレフィン成分等の高付加価値生成物を選択的に生産することが可能であることが確かめられた。
以上、本発明について、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明の炭化水素の製造方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。
当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の炭化水素の製造方法を適宜改変することができる。このような改変によってもなお本発明の炭化水素の製造方法の構成を具備する限り、もちろん、本発明の範疇に含まれるものである。
1 原料供給部
2 導入管
3、5 ヒータ
4 反応部
4a 熱電対
4b 石英ウール
6 触媒
7 液捕集機
8 飛散液捕集トラップ
9 ガスビュレット

Claims (5)

  1. 出力X線の波長が0.15406nmのCuKα−X線源を有するローターフレックス型X線回折分析装置によって測定される、(533)面のピークの反射角(θ1)及び(642)面のピークの反射角(θ2)と、X線の波長(λ)0.154060nm(CuKα1)と、から次式(1)及び(2)でそれぞれ算出される2つの格子面間隔定数dhkl1及びdhkl2を用いて、次式(3)及び(4)により算出される2つの単位結晶格子サイズ(nm)UCS1及びUCS2の算術平均値が2.42以上2.45以下であるFAU型ゼオライトを少なくとも有する炭化水素製造用触媒を用いて、
    接触分解反応によって含酸素有機原料から炭化水素を生成させることを特徴とする炭化水素の製造方法。
    [数1]
    hkl1=λ/(2sinθ1) ……(1)
    hkl2=λ/(2sinθ2) ……(2)
    UCS1={(dhkl12(h2+k2+l2)}1/2 ……(3)
    ただし、式(3)中、(h2+k2+l2)の値は43
    UCS2={(dhkl22(h2+k2+l2)}1/2 ……(4)
    ただし、式(4)中、(h2+k2+l2)の値は56
  2. 前記含酸素有機原料が、高級脂肪酸グリセリド、及び/または、高級脂肪酸と高級アルコールとのワックスエステルであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の製造方法。
  3. 前記含酸素有機原料が、ユーグレナ由来のワックスエステルであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素の製造方法。
  4. 前記炭化水素製造用触媒が、前記FAU型ゼオライトに加えてMFI型ゼオライトを有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の炭化水素の製造方法。
  5. 前記炭化水素製造用触媒のマトリックス中にアルミナが配されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の炭化水素の製造方法。
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