JP2017088659A - 建設機械の表面塗布用塗料組成物、建設機械の製造方法、および、建設機械 - Google Patents

建設機械の表面塗布用塗料組成物、建設機械の製造方法、および、建設機械 Download PDF

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Abstract

【課題】耐汚染性、耐候性および硬さに優れた塗膜を形成できる建設機械の表面塗布用塗料組成物、ならびに、上記塗料組成物を用いた建設機械の製造方法および建設機械を提供する。
【解決手段】フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、ならびに、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位(A2)を有する含フッ素重合体(A)と、金属アルコキシド(B)と、を含有する建設機械の表面塗布用塗料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、建設機械の表面塗布用塗料組成物、建設機械の製造方法、および、建設機械に関する。
従来、建設機械の表面に塗布して塗膜を形成するために使用される塗料組成物(建設機械の表面塗布用塗料組成物)が開発されている(例えば、特許文献1)。
特開2010−90323号公報
過酷な状況下で使用される建設機械は、レンタルされる場合がある。貸主は、借主から返却された建設機械の表面を、次のレンタルに備えてクリーニングするため、レンタル品となる建設機械の表面は、特に耐汚染性に優れることが求められる。
また、貸主は、返却された建設機械の表面の塗膜の塗り直しを行なう場合がある。この塗り直し回数を減らす等の観点から、塗膜の耐候性に対する要求がより高まっている。
さらに、建設機械の使用時における傷付きを抑制するために、塗膜の硬さも求められている。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、耐汚染性、耐候性および硬さに優れた塗膜を形成できる建設機械の表面塗布用塗料組成物、ならびに、上記塗料組成物を用いた建設機械の製造方法および建設機械を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、塗料組成物に特定の成分を配合することで所望の効果が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の態様は、フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、ならびに、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位(A2)を有する含フッ素重合体(A)と、金属アルコキシド(B)と、を含有する建設機械の表面塗布用塗料組成物である。
また、第1の態様において、上記金属アルコキシド(B)が、後述する式(2)で表される化合物であることが好ましい。
また、第1の態様において、さらに、酸化チタンを含有することが好ましい。
また、第1の態様において、さらに、赤色または赤茶色の有機顔料または無機顔料を含有することが好ましい。
本発明の第2の態様は、建設機械を準備する工程と、第1の態様の建設機械の表面塗布用塗料組成物を用いて上記建設機械の表面に塗膜を形成する工程と、を備える建設機械の製造方法である。
本発明の第3の態様は、第1の態様の建設機械の表面塗布用塗料組成物を用いて形成された塗膜を表面に有する、建設機械である。
本発明によれば、耐汚染性、耐候性および硬さに優れた塗膜を形成できる建設機械の表面塗布用塗料組成物、ならびに、上記塗料組成物を用いた建設機械の製造方法および建設機械を提供することができる。
以下、本発明の建設機械の表面塗布用塗料組成物について説明した後、これを用いた、本発明の建設機械の製造方法、および、本発明の建設機械について説明を行なう。
以下の説明では、「建設機械の表面塗布用塗料組成物」を単に「塗料組成物」と記載する場合がある。
なお、本明細書においては、モノマーが重合することで直接形成される繰り返し単位と、モノマーの重合によって形成される繰り返し単位の一部を化学変換することで得られる繰り返し単位とを総称して「単位」という。
本明細書において、モノマーは、重合性の二重結合を有する化合物を表す。
また、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[建設機械の表面塗布用塗料組成物]
本発明の建設機械の表面塗布用塗料組成物(本発明の塗料組成物)は、フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、ならびに、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位(A2)を有する含フッ素重合体(A)と、金属アルコキシド(B)と、を含有する建設機械の表面塗布用塗料組成物である。
本発明の塗料組成物によれば、耐汚染性、耐候性および硬さに優れた塗膜が得られる。この理由は明らかではないが、含フッ素重合体(A)に由来するフッ素樹脂のネットワークと、金属アルコキシド(B)に由来するネットワーク(例えば、シロキサン骨格のネットワーク)との両方を含む塗膜が得られること、塗膜中に含フッ素重合体(A)に由来するフッ素樹脂が存在し、このフッ素樹脂の持つ機能が担保されること、金属アルコキシド(B)の態様によっては塗膜表面に親水性であるシラノール基が存在し、汚れを水で洗い流しやすくなること等が考えられる。
次に、本発明の塗料組成物に含有される各成分について、詳述する。
〔含フッ素重合体(A)〕
本発明における含フッ素重合体(A)は、フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、ならびに、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位(A2)を有する含フッ素重合体である。
含フッ素重合体(A)は、架橋性基を有し、後述する金属アルコキシド(B)と反応して架橋構造が形成されることで、硬化して塗膜を形成できる。
なお、含フッ素重合体(A)は、任意成分として、単位(A1)および単位(A2)以外のその他の単位(A3)を有していてもよい。
以下、各単位について説明する。
〈単位(A1)〉
単位(A1)は、フルオロオレフィンに基づく単位である。フルオロオレフィンの炭素数は、2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。フルオロオレフィンにおけるフッ素原子の数(以下、「フッ素付加数」という。)は、2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素付加数が2以上であれば、フルオロオレフィンにおいて、フッ素原子で置換されていない水素原子の1以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンとしては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンおよびフッ化ビニルからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンがより好ましい。
フルオロオレフィンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
フルオロオレフィンに基づく単位(A1)としては、フルオロオレフィンを重合することで直接形成される単位が好ましい。
〈単位(A2)〉
単位(A2)は、架橋性基を有する単位であり、より詳細には、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位である。架橋性基は、水酸基またはアルコキシシリル基が好ましい。
単位(A2)としては、例えば、下記単位(A2−1)および単位(A2−2)が挙げられる。
単位(A2−1):架橋性基を有するモノマー(a2)に基づく単位。
単位(A2−2):重合体の官能基変換により形成される、架橋性基を有する単位。すなわち、重合体中の反応性官能基を有する単位における上記反応性官能基に、上記反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物を反応させて、上記反応性官能基を架橋性基に変換する方法で形成される単位である。
単位(A2−1):
単位(A2−1)を形成するモノマー(a2)は、重合性反応基と共に、架橋性基を有する化合物である。重合性反応基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のエチレン性不飽和基が好ましい。すなわち、モノマー(a2)としては、架橋性基とエチレン性不飽和基とを有する化合物が好ましい。
モノマー(a2)の炭素数は、2〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。
モノマー(a2)は、エチレン性不飽和結合の二重結合以外の炭素−炭素結合間に、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、アミド結合を有していてもよい。また、モノマー(a2)は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
モノマー(a2)としては、例えば、下記モノマー(a2−1)〜(a2−5)が挙げられる。
モノマー(a2−1):水酸基含有モノマー。
モノマー(a2−2):カルボキシ基含有モノマー。
モノマー(a2−3):アルコキシシリル基含有モノマー。
モノマー(a2−4):アミノ基含有モノマー。
モノマー(a2−5):イソシアネート基含有モノマー。
モノマー(a2−1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ−2−メチルブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルなどのエチレングリコールモノビニルエーテル類;ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシエチルビニルエステル、ヒドロキシブチルビニルエステルなどのヒドロキシアルキルビニルエステル類;ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエステルなどのヒドロキシアルキルアリルエステル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;等が挙げられる。
モノマー(a2−1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2−2)としては、例えば、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、2−ヘキセン酸、3−ヘキセン酸、5−ヘキセン酸、2−へプテン酸、3−へプテン酸、6−ヘプテン酸、3−オクテン酸、7−オクテン酸、2−ノネン酸、3−ノネン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸または10−ウンデセン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、桂皮酸などの不飽和カルボン酸類;ビニルオキシ吉草酸、3−ビニルオキシプロピオン酸3−(2−ビニルオキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−ビニルオキシエトキシカルボニル)プロピオン酸などの飽和カルボン酸ビニルエーテル類;
アリルオキシ吉草酸、3−アリルオキシフロピオン酸、3−(2−アリロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸、3−(2−アリロキシエトキシカルボニル)プロピオン酸などの飽和カルボン酸アリルエーテル類;3−(2−ビニロキシエトキシカルボニル)フロピオン酸、3−(2−ビニロキシブトキシカルボニル)プロピオン酸などのカルボン酸ビニルエーテル類;アジピン酸モノビニル、こはく酸モノビニル、フタル酸ビニル、ピロメリット酸ビニルなどの飽和多価カルボン酸モノビニルエステル類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物などの不飽和ジカルボン酸類またはその分子内酸無水物;イタコン酸モノエステル、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステルなどの不飽和カルボン酸モノエステル類;等が挙げられる。
また、モノマー(a2−2)としては、酸無水物基を有する化合物を、モノマー(a2−1)と反応させることで得られるモノマーが挙げられる。
モノマー(a2−2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2−3)としては、例えば、CH=CHCO(CHSi(OCH、CH=CHCO(CHSi(OC、CH=C(CH)CO(CHSi(OCH、CH=C(CH)CO(CHSi(OC、CH=CHCO(CHSiCH(OC、CH=C(CH)CO(CHSiC(OCH、CH=C(CH)CO(CHSi(CH(OC)、CH=C(CH)CO(CHSi(CHOH、CH=CH(CHSi(OCOCH、CH=C(CH)CO(CHSiC(OCOCH、CH=C(CH)CO(CHSiCH(N(CH)COCH、CH=CHCO(CHSiCH[ON(CH)C、CH=C(CH)CO(CHSiC[ON(CH)Cなどのアクリル酸エステル類またはメタクリル酸エステル類;CH=CHSi[ON=C(CH)(C)]、CH=CHSi(OCH、CH=CHSi(OC、CH=CHSiCH(OCH、CH=CHSi(OCOCH、CH=CHSi(CH(OC)、CH=CHSi(CHSiCH(OCH、CH=CHSiC(OCOCH、CH=CHSiCH[ON(CH)C、ビニルトリクロロシランまたはこれらの部分加水分解物などのビニルシラン類;トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルブチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;等が挙げられる。
また、モノマー(a2−3)としては、水酸基と反応する官能基と、アルコキシシリル基を有する化合物を、モノマー(a2−1)と反応させることで得られるモノマーが挙げられる。例えば、モノマー(a2−1)の水酸基と、下式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」という。)との反応により得られる、アルコキシシリル基を有するモノマー(a2−3A)が挙げられる。
OCN(CHSiX 3−p (1)
(上記式(1)中、Rは水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基であり、Xは炭素数1〜5のアルコキシ基、pは1〜3の整数、qは1〜5の整数を示す。)
モノマー(a2−1)が有する水酸基と、化合物(1)との反応により、ウレタン結合(−NHC(=O)−)が形成され、式−NHC(=O)(CHSiX3−pで表される基を有するモノマー(a2−3A)となる。
化合物(1)におけるRは、水素原子または炭素数1〜10の1価の炭化水素基である。Rは炭素数1〜10の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の1価の炭化水素基が好ましく、メチル基またはエチル基が好ましい。
Xは炭素数1〜5のアルコキシ基であり、工トキシ基またはメトキシ基が好ましい。
pは1〜3の整数であり、3が好ましい。
qは1〜5の整数であり、2〜4がより好ましい。
化合物(1)の具体例としては、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、p=3、q=3)、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、p=3、q=3)、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン(X=メトキシ基、R=メチル基、p=2、q=3)、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン(X=エトキシ基、R=メチル基、p=2、q=3)、3−イソシアネートプロピルジメチルメトキシシラン(X=メトキシ基、R=メチル基、p=1、q=3)、3−イソシアネートプロピルジメチルエトキシシラン(X=エトキシ基、R=メチル基、p=1、q=3)、4−イソシアネートブチルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、p=3、q=4)、4−イソシアネートブチルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、p=3、q=4)、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン(X=メトキシ基、p=3、q=2)、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン(X=エトキシ基、p=3、q=2)等が挙げられる。
化合物(1)としては、入手性の点から、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが好ましい。
化合物(1)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2−3A)は、化合物(1)のイソシアネート基と反応する活性水素を有していない溶剤(例えば、酢酸工チル、メチルエチルケトン、キシレン等。)中で、モノマー(a2−1)と化合物(1)を反応させることにより得られる。
モノマー(a2−1)に対する化合物(1)の割合は、水酸基1モルに対して、化合物(1)が0.1〜10モルであることが好ましく、0.5〜5モルであることがより好ましい。
モノマー(a2−1)の水酸基と化合物(1)のイソシアネート基との反応は、ほぼ100%の収率で実施できるが、より反応率を高めるために、化合物(1)が過剰な状況で反応させることができる。その場合には、反応生成物から化合物(1)を除去した後に、重合反応を行なって含フッ素重合体(A)を製造してもよく、反応生成物が未反応の化合物(1)を含んだままの状態で重合反応を行なって含フッ素重合体(A)を製造してもよい。
モノマー(a2−1)と化合物(1)との反応の反応温度は、室温〜100℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。また、この反応は、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下で行なうことが好ましい。反応時間は、反応進行状況に応じて適宜変更でき、1〜24時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。この反応の系中には、反応を促進させる目的で、有機錫化合物、有機アルミニウム化合物、有機ジルコニウム化合物、有機チタネート化合物などの有機金属触媒を存在させることが好ましい。
また、モノマー(a2−3)としては、カルボキシ基と反応する官能基と、アルコキシシリル基を有する化合物を、モノマー(a2−2)と反応させることで得られるモノマーが挙げられる。例えば、化合物(1)のイソシアネート基を水酸基、アミノ基に代えた化合物を、モノマー(a2−2)と反応させたモノマー等が挙げられる。
モノマー(a2−3)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2−4)としては、例えば、CH=C−O−(CH−NH(x=0〜10)で示されるアミノビニルエーテル類;CH=CH−O−CO(CH−NH(y=1〜10)で示されるアリルアミン類;アミノメチルスチレン、ビニルアミン、アクリルアミド、ビニルアセトアミド、ビニルホルムアミド;等が挙げられる。
モノマー(a2−4)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2−5)としては、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、2−イソシアネートエチルエトキシメタクリレート、2−イソシアネート工チルビニルエーテル等が挙げられる。
モノマー(a2−5)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(a2)としては、フルオロオレフィンとの交互共重合性に優れる等の理由から、モノマー(a2−1)、モノマー(a2−3)が好ましく、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、エチレングリコールモノビニルエーテル類、モノマー(a2−3A)がより好ましく、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、モノマー(a2−3A)がさらに好ましい。
単位(A2−2):
単位(A2−2)は重合体の官能基変換により形成される単位である。反応性官能基を有するモノマーをフルオロオレフィン等と共重合させて反応性官能基を有する重合体を製造した後、重合体中の反応性官能基に、この反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物を反応させて、この反応性官能基を架橋性基に変換する方法で、単位(A2−2)を有する重合体が得られる。
反応性官能基を有するモノマーの反応性官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、イソシアネート基が好ましい。そのうちでも、水酸基とカルボキシ基が好ましく、水酸基が特に好ましい。反応性官能基を有するモノマーとしては、上記モノマー(a2−1)、モノマー(a2−2)、モノマー(a2−4)、モノマー(a2−5)等が挙げられる。
反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物における官能基としては、反応性官能基が水酸基の場合はイソシアネート基、カルボキシ基やその反応性誘導基(ハロカルボニル基など)などが挙げられる。反応性官能基がカルボキシ基の場合はイソシアネート基、アミノ基などが挙げられる。反応性官能基がアミノ基の場合は、イソシアネート基、カルボキシ基などが挙げられる。反応性官能基がイソシアネート基の場合は、水酸基、カルボキシ基、アミノ基などが挙げられる。反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物における架橋性基としては、上記の架橋性基が挙げられる。ただし、反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とは、反応しない組み合わせであることが必要である。
反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物は、重合体の反応性官能基と反応して新たに架橋性基を生じる化合物であってもよい。例えば、ジカルボン酸無水物は水酸基などと反応してカルボキシ基(架橋性基)を生成する化合物である。
例えば、架橋性基としてアルコキシシリル基を有する重合体を水酸基を有する重合体からの官能基変換で製造する場合、アルコキシシリル基とイソシアネート基を有する化合物を反応させて製造することができる。アルコキシシリル基とイソシアネート基を有する化合物としては、上記化合物(1)が好ましい。この官能基変換の反応は、上記の、モノマー(a2−1)の水酸基と化合物(1)との反応と同様に行なうことができる。また、上記化合物(1)のイソシアネート基の代わりに、カルボキシ基やその反応性誘導基などの水酸基と反応性の官能基を有する化合物を反応させて、同様にアルコキシシリル基を有する重合体を製造できる。
さらに、化合物(1)を使用して、カルボキシ基を有する重合体、アミノ基を有する重合体などから、上記と同様に官能基変換によりアルコキシシリル基を有する重合体を製造できる。
また、上記化合物(1)の代わりにアルコキシシリル基以外の架橋性基を有する反応性化合物を使用して、官能基変換を行なうことができる。例えば、水酸基を有する重合体に多価カルボン酸無水物を反応させて、水酸基をカルボキシ基に変換することができる。
上記官能基変換は、重合体中の反応性官能基の全てを変換してもよく、一部を変換してもよい。例えば、水酸基を有する重合体の水酸基の一部をカルボキシ基に変換して、水酸基とカルボキシ基を有する重合体を製造することができる。
単位(A2)は、フッ素原子を有していてもよい。すなわち、単位(A2)を構成する炭素原子に結合する水素原子の1以上がフッ素原子に置換されていてもよい。
含フッ素重合体(A)中に含まれる単位(A2)は1種でもよく、2種以上でもよい。
〈単位(A3)〉
本発明における含フッ素重合体(A)は、単位(A1)と単位(A2)に加えて、単位(A1)および単位(A2)以外の単位である単位(A3)が任意で含有されていてもよい。単位(A3)を形成しうるモノマー(a3)は、上記フルオロオレフィン、モノマー(a2)以外のモノマーである。モノマー(a3)としては、上記架橋性基や反応性官能基を有しないモノマーが好ましい。
モノマー(a3)としては、フルオロオレフィンおよびモノマー(a2)と共重合可能なモノマー(a3−1)が好ましい。
上記モノマー(a3−1)としては、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエーテル類が好ましい。
具体的に好ましいモノマー(a3−1)としては、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテルなどのアリルエーテル類;等が挙げられる。
また、モノマー(a3−1)以外のモノマー(a3)としては、溶媒への溶解性を向上させる等の観点から、エチレン、イソブチレン等のオレフィン類が好ましい。
モノマー(a3)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
含フッ素重合体(A)は、単位(A1)および単位(A2)を必須の単位として含有し、必要に応じて単位(A3)を任意で含む重合体である。すなわち、含フッ素重合体(A)としては、単位(A1)および単位(A2)からなる重合体、または単位(A1)、単位(A2)および単位(A3)からなる重合体のいずれか一方または両方を使用できる。
含フッ素重合体(A)中の単位(A1)の含有量は、単位(A1)と単位(A2)の含有量の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましい。
含フッ素重合体(A)中の単位(A2)の含有量は、単位(A1)と単位(A2)の含有量の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましい。
含フッ素重合体(A)中の単位(A1)の含有量は、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、5〜95モル%が好ましく、10〜90モル%がより好ましく、15〜85モル%がさらに好ましい。
また、含フッ素重合体(A)中の単位(A2)の含有量は、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、1〜80モル%が好ましく、3〜70モル%がより好ましく、5〜60モル%がさらに好ましい。
含フッ素重合体(A)中の単位(A3)の含有量は、含フッ素重合体(A)における全単位の合計に対して、0〜60モル%が好ましく、0〜50モル%がより好ましい。単位(A3)は任意成分であり、単位(A3)の含有量が0モル%であるとは、単位(A3)を含まないことを意味する。単位(A3)を含む場合の含有量の下限は0モル%超であり、0.5モル%が好ましい。
含フッ素重合体(A)における各単位の含有量は、含フッ素重合体(A)を得るための重合反応における、各モノマーの仕込み量および反応条件により制御できる。
〈含フッ素重合体(A)の製造方法〉
含フッ素重合体(A)の製造方法としては、下記方法(α1)および(α2)が好ましい。方法(α1)が単位(A2−1)を有する含フッ素重合体(A)の製造方法であり、方法(α2)が単位(A2−2)を有する含フッ素重合体(A)の製造方法である。
(α1):フルオロオレフィンと、モノマー(a2)と、必要に応じて用いるモノマー(a3)とを共重合させる方法。
(α2):モノマー(a2−1)、モノマー(a2−2)、モノマー(a2−4)およびモノマー(a2−5)からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、フルオロオレフィンと、必要に応じて用いるモノマー(a3)とを共重合させた後、得られた重合体に、重合体中の反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物を反応させる方法。
方法(α1):
方法(α1)における共重合は、公知のラジカル重合法が採用でき、その重合形態としては、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が採用できる。
重合時の反応温度は、用いるラジカル重合開始剤によっても異なるが、0〜130℃が好ましい。反応時間は1〜50時間が好ましい。
溶媒としては、例えば、イオン交換水;エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール系溶剤;n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの飽和炭化水素系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;等が使用できる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t−ヘキシルパーオキシ−n−ブチルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−n−プロピルカーボネートなどのパーオキシカーボネートエステル類;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;等が使用できる。
乳化重合の場合には、水中で、かつアニオン系、ノニオン系の乳化剤の存在下で、水溶性過酸化物、過硫酸塩、水溶性アゾ化合物等の開始剤を用いて重合させることができる。
重合反応中に微量の塩酸またはフッ酸が生成する場合があるため、重合時にバッファをあらかじめ添加しておくことが好ましい。
方法(α2):
方法(α2)は、下記工程(α2−1)および工程(α2−2)を有する。
工程(α2−1):モノマー(a2−1)、モノマー(a2−2)、モノマー(a2−4)およびモノマー(a2−5)からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーと、フルオロオレフィンと、必要に応じて用いるモノマー(a3)とを共重合する工程。
工程(α2−2):工程(α2−1)で得られた反応性官能基を有する重合体に、この反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物を反応させる工程。
工程(α2−1)においてフルオロオレフィンと共重合させるモノマーとしてはモノマー(a2−1)またはモノマー(a2−2)が好ましい。重合体中の反応性官能基と反応して結合しうる官能基と架橋性基とを有する化合物としては上記化合物(1)が好ましい。
なお、含フッ素重合体(A)の製造方法は、前述した方法(α1)および(α2)には限定されない。例えば、商品名「ルミフロン」(旭硝子社製)、商品名「フルオネート」(大日本インキ化学工業社製)、商品名「セフラルコート」(セントラル硝子社製)、商品名「ザフロン」(東亜合成社製)、商品名「ゼッフル」(ダイキン工業社製)等の市販のフッ素樹脂を用いてもよく、これに、例えば、化合物(1)を反応させて、アルコキシシリル基を有する含フッ素重合体(A)を製造してもよい。
〔金属アルコキシド(B)〕
金属アルコキシド(B)は、含フッ素重合体(A)の架橋性基と反応して架橋構造を形成することで、塗料組成物を塗布して形成した塗布層を硬化させて塗膜とする役割を果たす。
金属アルコキシド(B)としては、下式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)が好ましい。
SiX 4−a (2)
(上記式(2)中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基、aは2〜4の整数を示す。)
の1価炭化水素基は、置換基を有していてもよい。すなわち、Rの1価炭化水素基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。この置換基はハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
は、メチル基、エチル基、ヘキシル基、デシル基、フェニル基、トリフルオロプロピル基が好ましい。化合物(2)中にRが複数存在する場合、原料の供給性の点から、複数のRが互いに同じであることが好ましい。ただし、複数のRは互いに異なっていてもよい。
は、炭素数1〜10のアルコキシ基であり、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。化合物(2)中に複数存在するXは、アルコキシ基の反応性が同じになって塗膜を均一に形成しやすい点から、複数のXが互いに同じであることが好ましい。ただし、複数のXは互いに異なっていてもよい。
化合物(2)におけるaは2〜4の整数であり、3〜4が好ましい。
化合物(2)の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;等が挙げられる。なかでも、硬化速度、および得られる塗膜の物性の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
化合物(2)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(2)は、部分的に加水分解されて縮合した部分加水分解縮合物として使用してもよい。この部分加水分解縮合物は、上記化合物(2)を、分子中に2以上の加水分解性基(−X基)が残るように、部分的に加水分解して縮合することで得られる化合物である。この部分加水分解縮合物の全体構造は明らかではないが、−Si−O−結合からなる骨格とアルコキシ基からなるポリ珪酸エステルであって、その骨格は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造であってもよい。
化合物(2)の部分加水分解縮合物は、縮合度が低いほど好ましい。部分加水分解縮合物の縮合度が低いほど、含フッ素重合体(A)との相溶性が向上する。
化合物(2)の部分加水分解縮合物を製造する方法は、特に限定されず、公知の部分加水分解縮合物の製造方法を採用できる。例えば、化合物(2)に、水、酸、および溶剤の少なくとも1種を加え、部分的に加水分解縮合させる方法が挙げられる。
化合物(2)の部分加水分解縮合物としては、縮合度、構造、アルコキシ基の種類が異なるものが市販されており、例えば、商品名「MKCシリケートMS51」、「MKCシリケートMS56」(以上、三菱化学社製)、商品名「Mシリケート51」、「エチルシリケート40」、「エチルシリケート45」(以上、多摩化学工業社製)等の有効シリカ分が28〜52質量%程度である縮合物、または、この縮合物をエタノールもしくはイソプロパノールに溶解した商品名「HAS−1」、「HAS−6」、「HAS−10」(以上、コルコート社製)等が挙げられる。上記「有効シリカ分」とは、製品中に含まれるポリアルキルシリケートを100質量%としたときの、SiO換算としてのシリカの含有量を示す値である。
化合物(2)の部分加水分解縮合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属アルコキシド(B)として、例えば、アルミニウムイソプロポキシド(Al[O−CH(CH)などのアルミニウムアルコキシド;チタニウムブトキサイド(Ti(O−C)などのチタニウムアルコキシド;等を使用することもできる。
本発明の塗料組成物は、まずは金属アルコキシド(B)を含まない組成物とし、塗膜を形成する直前に金属アルコキシド(B)を加える2液型の塗料組成物としてもよいし、含フッ素重合体(A)と金属アルコキシド(B)とを共に含む1液型の塗料組成物としてもよい。
本発明の塗料組成物において、含フッ素重合体(A)の含有量は、含フッ素重合体(A)と金属アルコキシド(B)との含有量の合計に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
〔硬化剤(C)〕
本発明の塗料組成物は、さらに、イソシアネート系硬化剤(C1)、ブロック化イソシアネート系硬化剤(C2)、および、アミノ樹脂(C3)からなる群より選択される少なくとも1種の硬化剤(C)を含有していてもよい。
〈イソシアネート系硬化剤(C1)〉
イソシアネート系硬化剤(C1)としては、例えば、無黄変ポリイソシアネート、無黄変ポリイソシアネート変性体などが挙げられる。
無黄変ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)などの脂環族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)などの脂肪族ポリイソシアネート;等が挙げられる。
無黄変ポリイソシアネート変性体としては、例えば、下記変性体(c1)〜(c4)が挙げられる。
(c1)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートのイソシアヌレート体。
(c2)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートをポリオールまたはポリアミンで変性した、−X−C(=O)−NH−で表される構造を有する変性体。
(c3)脂肪族ジイソシアネートまたは脂環族ジイソシアネートのイソシアヌレート体の一部のイソシアネート基をポリオールで変性した、−X−C(=O)−NH−で表される構造を有する変性体。
(c4)変性体(c1)と変性体(c2)との混合物からなる変性体。
ただし、−X−C(=O)−NH−におけるXは、水酸基を有する化合物またはアミノ基を有する化合物に由来する有機基である。上記水酸基を有する化合物またはアミノ基を有する化合物が有する官能基数は2〜3が好ましい。
〈ブロック化イソシアネート系硬化剤(C2)〉
ブロック化イソシアネート系硬化剤(C2)
ブロック化イソシアネート系硬化剤(C2)としては、上記イソシアネート系硬化剤(C1)のイソシアネート基がブロック化されたブロック化イソシアネート系硬化剤である。イソシアネート基のブロック化は、イプシロンカプロラクタム(E−CAP)、メチルエチルケトンオキシム(MEK−OX)、メチルイソブチルケトンオキシム(MIBK−OX)、ピラリジン、トリアジン(TA)等によって行なえる。
〈アミノ樹脂(C3)〉
アミノ樹脂(C3)としては、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂などが挙げられる。なかでも、硬化速度が速いという点で、メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂としては、具体的には、例えば、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂などを挙げることができる。なかでも、メトキシ基および/またはブトキシ基で、置換されたメラミン樹脂を好ましく用いることができる。
硬化剤(C)を使用する場合、本発明の塗料組成物は、まずは硬化剤(C)を含まない組成物とし、塗膜を形成する直前に硬化剤(C)を加える2液型の塗料組成物としてもよいし、含フッ素重合体(A)等と共に硬化剤(C)を含む1液型の塗料組成物としてもよい。
本発明の塗料組成物を使用する際の含フッ素重合体(A)の含有量は、含フッ素重合体(A)と硬化剤(B)の含有量の合計に対して、10〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%がさらに好ましい。
〔硬化触媒〕
本発明の塗料組成物は、硬化触媒を含有していてもよい。硬化触媒は、特に金属アルコキシド(B)の硬化反応を促進して、硬化物である塗膜に良好な化学性能および物理性能を付与させる。とりわけ、低温において短時間で硬化させる場合には、硬化触媒を含有させることが好ましい。
硬化触媒としては、例えば、リン酸モノエステル、リン酸ジエステルなどの酸性リン酸エステル類;ホウ酸モノエステル、ホウ酸ジエステルなどの酸性ホウ酸エステル類;酸性リン酸エステルとアミンとの付加反応物、カルボン酸化合物とアミンとの付加反応物などのアミン付加物類;オクチル酸スズ、ジブチルチンジラウレートなどの金属エステル類;トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、テトラキス(アセチルアセトネート)ジルコニウムなどの金属キレート類;アルミニウムイソプロポキサイド、チタニウムブトキサイドなどの金属アルコキシド類;等が挙げられる。なかでも、硬化性、形成される塗膜の平滑性の点から、酸性リン酸エステル類が好ましく、硬化性、形成される塗膜の平滑性および耐水性等の点から、炭素数1〜8のモノアルキルホスフェート、炭素数1〜8のジアルキルホスフェート、またはその混合物がより好ましい。
硬化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化触媒の含有量は、使用時の塗料組成物の固形分の総量に対して、0.00001〜10質量%が好ましい。
〔有機溶剤〕
本発明の塗料組成物は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等の従来からよく用いられている溶剤を使用することができるが、環境負荷低減の点から、弱溶剤が好ましい。
弱溶剤としては、含フッ素重合体(A)の重合または溶剤置換の際に使用可能な弱溶剤種が好ましく、ミネラルスピリット、ミネラルターペンがより好ましい。
塗料組成物中の有機溶剤の含有量は、含フッ素重合体(A)の溶解性、塗料として塗装する際の適度な粘度、塗装方法等を考慮して適宜決定される。
〔顔料成分〕
本発明の塗料組成物には、防錆、着色、補強等を目的として、顔料成分が含有されていることが好ましい。
顔料成分としては、防錆顔料、着色顔料および体質顔料からなる群から選ばれる1種以上の顔料が好ましい。
防錆顔料は、金属反射基板の腐食や変質を防止するための顔料である。環境への負荷が少ない点から無鉛防錆顔料が好ましい。無鉛防錆顔料としては、例えば、シアナミド亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムマグネシウム、モリブデン酸亜鉛、ホウ酸バリウム、シアナミド亜鉛カルシウム等が挙げられる。
着色顔料は、塗膜を着色するための顔料である。着色顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等が挙げられる。酸化チタン顔料を使用する場合には、塗膜の耐候性をさらに向上させる目的で、顔料表面に光触媒作用を抑制するための処理が施されたものが好ましい。D918(製品名、堺化学(株)製)やPFC105(製品名、石原産業(株)製)が、特に推奨できる。
体質顔料は、塗膜の硬度を向上させ、かつ、厚みを増すための顔料である。体質顔料としては、例えば、タルク、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
顔料成分としては、耐候性に優れる点から、酸化チタンが特に好ましい。
また、本発明の塗料組成物は、上記顔料に代えて、または、上記顔料と併用して、赤色または赤茶色の有機顔料または無機顔料(以下、これらを便宜的に「赤系顔料成分」とも表記する)を含有してもよい。
赤系顔料成分の具体例としては、アゾレーキ系、不溶性アゾ系、縮合アゾ系、スレン系、キナクリドン系、酸性染料レーキ系、または、塩基性染料レーキ系の赤色の有機顔料;酸化第二鉄を主成分とする赤茶色の無機顔料;等が挙げられる。
なお、赤系顔料成分を含有する塗料組成物から得られる塗膜は、これを含有しない塗料組成物から得られる塗膜と比較して、耐候性等の特性が劣化しやすい場合があるが、本発明によれば、得られる塗膜の耐候性等が優れることから、本発明は、赤系顔料成分を使用する場合に、特に有効である。
本発明の塗料組成物中の顔料成分の含有量は、使用時の塗料組成物の固形分の総量に対して、50〜500質量%が好ましく、100〜400質量%がより好ましい。
〔他の樹脂〕
本発明の塗料組成物は、含フッ素重合体(A)以外の他の樹脂を含んでいてもよい。
他の樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル変成シリコーン樹脂、シリコーン変成アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂などの非フッ素系樹脂等が挙げられる。他の樹脂は、架橋性基を有し、金属アルコキシド(B)によって架橋されて硬化する樹脂であってもよい。
本発明の塗料組成物に他の樹脂を配合する場合、他の樹脂の含有量は、含フッ素重合体(A)の100質量部に対して1〜200質量部が好ましい。
〔その他の成分〕
本発明の塗料組成物には、前述した成分以外のその他の成分が含まれていてもよい。
その他の成分としては、例えば、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤;ヒンダードアミン系光安定剤などの光安定剤;ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、シアノアクリレート系化合物などの有機系の紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどの無機系の紫外線吸収剤;超微粉合成シリカなどのつや消し剤;ノニオン系、カチオン系、またはアニオン系の界面活性剤;レベリング剤;帯電防止剤;等が挙げられる。
その他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定できる。
以上説明した本発明の塗料組成物によれば、建設機械の表面を保護する塗膜として、耐汚染性、耐候性および硬さに優れた塗膜を形成できる。さらに、この塗膜は、耐腐食性にも優れる。これは、塗膜が強く水の侵入が抑制されるためと考えられる。
本発明の塗料組成物を塗布して形成される塗膜の膜厚は、特に限定されず、適宜選択できるが、例えば、10〜150μmが好適に挙げられる。
[建設機械の製造方法]
本発明の建設機械の製造方法は、建設機械を準備する工程と、上述した本発明の塗料組成物を用いて上記建設機械の表面に塗膜を形成する工程と、を少なくとも備える、建設機械の製造方法である。
より詳細には、上述した本発明の塗料組成物を、建設機械の表面に塗布して塗布層を形成し、形成した塗布層を硬化させることで塗膜を形成する。
塗料組成物の塗布は、例えば、刷毛、ローラ、スプレー、フローコータ、アプリケータ等を用いて実施できる。塗料組成物の塗布量は、乾燥膜厚が上記範囲内となるように適宜選定すればよい。
塗料組成物を硬化(熱硬化)させる際の温度は、常温〜250℃が好ましい。
塗料組成物が溶媒を含有している場合には、この溶媒は硬化を行なう前または硬化を行なうと同時に加熱、減圧等により揮発させる等して除去することが好ましい。
[建設機械]
本発明の建設機械は、上述した本発明の塗料組成物を用いて形成された塗膜を表面に有する、建設機械である。本発明の塗料組成物を用いて塗膜を形成する方法は、上述したとおりである。
なお、建設機械とは、土木または建築の作業(例えば、建築工事、都市土木工事、山岳トンネル工事、ダム工事、プラント関連、道路工事、基礎または地盤工事、橋梁工事など)に使用される機械の総称である。
建設機械としては、例えば、水中ポンプ、タンク、洗浄機、水処理機械、バキューム機械;発電機、溶接機、照明機器;コンプレッサ、道路メンテナンス用品、送風機、ブロア、エア関連機器、集塵機、集煙機;ハウス、備品、シーズン品、イベント用品;通信機器、計測または測量機器、環境機器;環境関連機器;掘削機械、運搬機械、解体機械、林業機械;道路機械、整地機械、保安用品、鉄道工事用機械;レンタカー、車両関連機器;高所作業車、作業足場、荷取構台、吊り治具;小型揚重機、ジャッキ、荷役または運搬機器、自走式クレーン、タワークレーン;高周波バイブレータ、軽便バイブレータ、振動モータ、バケット、ミキサー、モルタルポンプ、流量計などのコンクリート機器;掃除機、工具類、鉄筋加工機、油圧工具、プラグ、コネクタボディなどの汎用機器;プラント関連機器、検査機器、テスト機器、防爆機器;抗打抜機、地盤改良機;シールド、推進機械;等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の塗料組成物を用いて形成される塗膜は、耐汚染性、耐候性および硬さ等の特性に優れるため、本発明の建設機械は、レンタル品として好適に使用できる。
すなわち、本発明の建設機械は、レンタルされ、過酷な状況下で使用された後に返却された場合であっても、その表面の塗膜は、耐汚染性に優れるため、次のレンタルに備えたクリーニングが容易となる。また、本発明の建設機械の表面の塗膜は、耐候性に優れることから、返却された後に塗膜の塗り直しを行なう回数を低減できる。さらに、本発明の建設機械の表面の塗膜は、硬さに優れるため、建設機械の使用時における傷付きも抑制される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。
<含フッ素重合体(A)の製造>
(例1)
内容積3000mLのステンレス鋼製撹拌機付きオートクレーブに、キシレンの722gと、エタノールの189gと、水酸基を有するモノマーである4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の90.7gと、他のモノマーであるシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)の284.5gおよび2−エチルへキシルビニルエーテル(EHVE)の202.9gと、炭酸カリウムの9.5gとを一括で投入し、窒素により溶存酸素を除去した。
次に、フルオロオレフィンであるクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の505gをオートクレーブ中に導入して徐々に昇温し、温度65℃に達した後、t−ブチルパーオキシピバレートの50%キシレン溶液の7gを7時間かけてオートクレーブ中に導入し、その後さらに15時間撹拌した後に反応を停止した。その後、炭酸カリウムを濾過により除去し、水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液(不揮発分60%、水酸基価36mgKOH/g)を得た。
1Lのナス型フラスコに、上記水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液の600gと、ミネラルスピリットの210gとを加え、エバポレーションしながらミネラルスピリットへの溶剤置換を行ない、水酸基含有含フッ素重合体のミネラルスピリット溶液(不揮発分73.5%)を得た。
温度計、還流冷却器、撹拌器を備えた容量500mLの4つ口フラスコに、上記水酸基含有含フッ素重合体のミネラルスピリット溶液の326.5gと、化合物(1)である3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(IPTES)の38.1gと、2−エチルへキシル酸錫の0.05gとを加え、窒素雰囲気下、50℃で5時間反応を行なった。
得られた重合体の組成をH−NMR(プロトンNMR)により測定したところ、CTFEに基づく単位/CHVEに基づく単位/EHVEに基づく単位/HBVEに基づく単位/HBVEに基づく単位の水酸基とIPTESのイソシアネート基とが反応した単位(モル%)=50/26/15/1/8であった。
反応後、オルトギ酸トリメチル(13.6g)、イソプロパノール(13.6g)をそれぞれ加え、アルコキシシリル基含有含フッ素重合体(含フッ素重合体(A))のミネラルスピリット溶液(不揮発分70.0%)を得た。
<塗料組成物の製造>
(例2)酸化チタン(白)含有塗料組成物の製造
例1で得られた含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の23gに、顔料成分である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の27g、ミネラルスピリットの10gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの40gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行なってガラスビーズを取り除き、計100gの顔料組成物を得た。
次に、この顔料組成物に、含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の49.8g、金属アルコキシド(B)であるフェニルトリメトキシシランの47.04g、硬化触媒であるリン酸触媒(大八化学工業社製、商品名「AP−8」)の0.79g、他の樹脂である水酸基含有シリコーン変性アクリル樹脂(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−Silclean3700」)の1.97g、レベリング剤(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−300」)の0.39gをさらに加えて混合し、塗料組成物を100g得た。
(例3)有機顔料(赤)含有塗料組成物の製造
例1で得られた含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の23.4gに、赤色の有機顔料(顔料成分)であるキナクリドン系有機顔料(DIC社製、FASTOGEN Super Magenta R)の7.5g、顔料成分である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の0.93g、ミネラルスピリットの76.7gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの109gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行なってガラスビーズを取り除き、赤色の顔料組成物を得た。
次に、この顔料組成物46gに、含フッ素重合体(A)のミネラルスピリット溶液(不揮発分70%)の41g、金属アルコキシド(B)であるフェニルトリメトキシシランの5.6g、硬化触媒であるリン酸触媒(大八化学工業社製、商品名「AP−8」)の4.6g、他の樹脂である水酸基含有シリコーン変性アクリル樹脂(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−Silclean3700」)の2.3g、レベリング剤(BYK−Chemie社製、商品名「BYK−300」)の0.46gをさらに加えて混合し、計100gの塗料組成物を得た。
(例4)酸化チタン(白)含有塗料組成物の製造
ルミフロンLF200(製品名、AGC旭硝子(株)製の水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液、不揮発分60%)の22.5gに、顔料成分である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の54.2g、キシレンの11.65g、酢酸ブチルの11.65gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの100gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行なってガラスビーズを取り除き、顔料組成物を得た。
次に、この顔料組成物の37.2gに、ルミフロンLF200の55.8gと、硬化剤(C)として、HDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」)の6.9gと、硬化触媒として、ジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とをさらに加えて混合し、塗料組成物を得た。
(例5)有機顔料(赤)含有塗料用組成物の製造
ルミフロンLF200(製品名、AGC旭硝子(株)製の水酸基含有含フッ素重合体のキシレン溶液、不揮発分60%)の83gに、赤色の有機顔料(顔料成分)であるキナクリドン系有機顔料(DIC社製、FASTOGEN Super Magenta R)の7.5g、顔料成分である酸化チタン(堺化学社製、商品名「D−918」)の0.93g、ミネラルスピリットの76.7gを加え、さらに、直径1mmのガラスビーズの109gを加えて、ペイントシェーカーで2時間撹拌した。撹拌後、濾過を行なってガラスビーズを取り除き、赤色の顔料組成物を得た。
次に、この顔料組成物の37.2gに、ルミフロンLF200の55.8gと、硬化剤(C)として、HDIヌレートタイプのポリイソシアネート樹脂(日本ポリウレタン社製、商品名「コロネートHX」)の6.9gと、硬化触媒として、ジブチルチンジラウレート(キシレンで4〜10倍に希釈して3gとしたもの。)とをさらに加えて混合し、塗料組成物を得た。
<塗料組成物により形成した塗膜の評価>
(例6)
例2で得られた塗料組成物を、アルミニウム基板(パルテック社製、AL−1000)の表面に、膜厚が50μmとなるように塗装し、25℃の恒温室中で、1週間養生させた。その後、80℃のオーブン中にて1時間乾燥させることで、塗膜付試験板を作製した。こうして得られた塗膜付試験板について、「塗膜の鏡面光沢度」、「塗膜の硬度」、「下地への密着性」、「塗膜の接触角」、「塗膜のカーボン汚染性」、「塗膜の腐食性」および「塗膜の耐候性」を、下記の試験方法で評価した。評価結果を下記表1に示す。
(例7〜9)
例2で得られた塗料組成物に代えて、例3〜5で得られた塗料組成物を用いた以外は、例6と同様にして、塗料付試験板を作製し、評価を行なった。評価結果を下記表1に示す。
<試験方法>
(1)塗膜の鏡面光沢度
JIS Z 5400−7−6に準拠し測定した。
(2)塗膜の硬度
JIS K 5600−5−4に準拠し測定した。
(3)下地への密着性
JIS Z 5600−5−6に準拠し測定した。
(4)塗膜の接触角
FACE接触角計 CA−A型(協和界面化学社製)を使用して、イオン交換水を0.005ミリリットルに調整して、各試験板の接触角を測定した。
(5)塗膜の耐カーボン汚染性
カーボン懸濁水(デグサ・ヒュルス社製カーボンブラック Color Black FW200)の5質量部と脱イオン水の95質量部にガラスビーズを加え、ペイントシェーカーで2時間分散した分散液)をスポイトにて塗膜付試験板が隠蔽するまで滴下し、直ちに50℃で1時間乾燥させた。乾燥後、室温まで放冷し、試験片の表面を流水下にてガーゼを使用して、汚れ物質が落ちなくなるまで洗浄した。洗浄後、室温で3時間乾燥し、汚れの程度を色差計にて測定して、試験前後における塗膜の明度差(△L*)を求め、以下の3段階で評価した。なお、明度差が小さいものほど、耐汚染性に優れた塗料であることを示している。
明度差(△L*)=[試験後の塗膜明度(L*1)−試験前の塗膜明度(L*0)]
「○」:明度差が−5以上であった。
「△」:明度差が−10以上−5未満であった。
「×」:明度差が−10未満であった。
(6)塗膜の腐食性
塩水噴霧試験にて、塗膜の腐食性の評価を行なった。塩水噴霧試験装置は、容積が0.2mであった。また、JIS K 8150に規定する塩を利用し、5質量%の塩水を調製し、塩水噴霧試験装置に入れた。試験片の表面に「X」の形を削り、試験装置に入れた。塩水噴霧試験装置内に、垂直に置いていた試験片に塩水を噴霧した。一か月噴霧した後、試験片を取り出し、目視より「X」のところの錆の有無を確認した。
「○」:錆なし
「×」:錆あり
(7)塗膜の耐候性
沖縄県那覇市の屋外に、基板がアルミ板である塗膜付試験板を設置し、設置直前と、2年後における塗膜表面の光沢を、PG−1M(光沢計:日本電色工業社製)を用いて測定した。設置直前の光沢の値を100%としたときの、2年後の光沢の値の割合を光沢保持率(単位:%)として算出し、以下の基準に従って耐候性を評価した。
「○」:光沢保持率が80%以上であった。
「△」:光沢保持率が60%以上80%未満であった。
「×」:光沢保持率が60%未満であった。
なお、光沢の値と共に、塗膜の赤み(a*)を色差計にて測定した。値が大きいものほど、赤みが足りている塗料であることを示している。
上記表1に示すように、本発明の塗料組成物を用いて形成された塗膜を有する例6および例7の塗膜付試験板は、従来品の塗膜を有する例8および例9の塗膜付試験板と比較して、硬度が高く、また、耐汚染性(耐カーボン汚染性)が良好であった。耐候性も良好であった。

Claims (6)

  1. フルオロオレフィンに基づく単位(A1)、ならびに、水酸基、カルボキシ基、アルコキシシリル基、アミノ基、および、イソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種の架橋性基を有するモノマーに基づく単位(A2)を有する含フッ素重合体(A)と、
    金属アルコキシド(B)と、
    を含有する建設機械の表面塗布用塗料組成物。
  2. 前記金属アルコキシド(B)が、下式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の建設機械の表面塗布用塗料組成物。
    SiX 4−a (2)
    上記式(2)中、Rは炭素数1〜10の1価炭化水素基、Xは炭素数1〜10のアルコキシ基、aは2〜4の整数を示す。
  3. さらに、酸化チタンを含有する、請求項1または2に記載の建設機械の表面塗布用塗料組成物。
  4. さらに、赤色または赤茶色の有機顔料または無機顔料を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の建設機械の表面塗布用塗料組成物。
  5. 建設機械を準備する工程と、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の建設機械の表面塗布用塗料組成物を用いて前記建設機械の表面に塗膜を形成する工程と、
    を備える建設機械の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の建設機械の表面塗布用塗料組成物を用いて形成された塗膜を表面に有する、建設機械。
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