JP2017086267A - 塞栓コイル - Google Patents

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Junichi Koyama
淳一 小山
拓也 小島
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拓也 小島
誠 名取
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誠 名取
裕介 佐藤
Yusuke Sato
裕介 佐藤
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Abstract

【課題】カテーテルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを導入して充填する際に、該塞栓コイルを動脈瘤内に操作性良く充填できるようにすること。【解決手段】本発明は、動脈瘤A内に充填される塞栓コイル1であって、複数の第1コイル部11と、長尺な芯材7とを備え、第1コイル部11は、コイル軸方向Yにおける一端Y1側と他端Y2側に第1コイル部11の最大径D1部分の内径より小さい口径D2を有する開口部13を備え、第1コイル部11の両開口部13に芯材7を貫通させることにより複数の第1コイル部11はコイル軸方向Yに並んで一体化され、芯材7と第1コイル部11は自由状態で接している。【選択図】図2

Description

本発明は、動脈瘤の治療のために該動脈瘤内に充填される塞栓コイルに関する。
従来から、動脈瘤の治療を行うために様々な治療方法が行われている。これらの中に、カテーテルを用いて動脈瘤の内部に塞栓コイルを導入して充填し、該塞栓コイルの存在によって血管内を流れる血液が該動脈瘤内に流入することを抑制し、該動脈瘤内に積極的に血栓を形成させて固めることによって該動脈瘤の破裂を防ぐことを目的とする治療方法がある。このような治療方法に使用される塞栓コイルとして特許文献1や特許文献2に記載されているもの等が挙げられる。
これらの塞栓コイルは、1本の芯材を螺旋状に巻いて一次コイルを形成し、更に該一次コイルに湾曲形状である二次形状を付与した二次コイルに形成されている。前記二次形状は、塞栓コイルを動脈瘤内に充填する際に、該動脈瘤内おいて円滑に一時コイルが湾曲することで塞栓コイルが充填し易くなるという考え方で付与されている。
尚、一次コイルとしては、全長に亘ってコイル径が一様のものが多く使われているが、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、大径部と小径部を交互に配置した一次コイルも知られている。
特許第4961349号公報 国際公開WO2014/002696号公報
従来の塞栓コイルは、1本の芯材を螺旋状に巻いて一次コイルを形成し、更に該一次コイルに二次形状を付与した二次コイルに形成されている。このように従来の塞栓コイルは、1本の芯材を巻いて作られるので全体が繋がっている構造である。
動脈瘤内に塞栓コイルを導入して充填する際には、該動脈瘤内の場所によって、或いは塞栓コイルの充填の進行により動脈瘤内の隙間が小さくなることに基づいて、当該塞栓コイルの湾曲の仕方が変わる。この際、塞栓コイルが上記のように全体が1本に繋がっている構造では、該塞栓コイルは円滑に湾曲できない場合が生じ、動脈瘤内に塞栓コイルを導入しにくくなる場合がある。
このため、カテーテルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを充填する際に、カテーテルの先端から動脈瘤内に押し出した塞栓コイルをカテーテル内に一部引き戻して再度押し出す「引戻し再出し回数」が増え、操作性が低いという問題がある。この問題は、大径部と小径部を有する塞栓コイルにおいて生じ易い傾向がある。
本発明の目的は、カテーテルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを導入して充填する際に、該塞栓コイルを動脈瘤内に操作性良く充填できるようにすることにある。
上記課題を解決するため本発明の第1の態様は、動脈瘤内に充填される塞栓コイルであって、該塞栓コイルは、複数の第1コイル部と、長尺な芯材とを備え、前記第1コイル部は、コイル軸方向における一端側と他端側に当該第1コイル部の最大径部分の内径より小さい口径を有する開口部を備え、前記第1コイル部の前記両開口部に前記芯材を貫通させることにより前記複数の第1コイル部はコイル軸方向に並んで一体化され、前記芯材と前記第1コイル部は自由状態で接していることを特徴とする。
ここで、「前記芯材と前記第1コイル部は自由状態で接している」における「自由状態で接している」とは、本願明細書においては、前記芯材と前記第1コイル部とは前記開口部において互いに非拘束の状態で少なくとも一部が接する状態であるという意味で使われている。
本態様に係る塞栓コイルは、1本の線材を巻いて全体を繋げて作るのではなく、複数の第1コイル部と長尺な芯材とを別に作り、前記第1コイル部のコイル軸方向における一端側と他端側の両開口部に前記芯材を貫通させて作られる。このように、当該塞栓コイルは、前記複数の第1コイル部が前記芯材を介してコイル軸方向に並んで一体化された構成である。そして、前記芯材と前記第1コイル部は前記開口部において自由状態で接している。
本態様によれば、動脈瘤内に塞栓コイルを導入して充填する際に、該動脈瘤内の場所によって、或いは塞栓コイルの充填の進行によって動脈瘤内の隙間が小さくなることに基づいて当該塞栓コイルの湾曲の仕方が変わっても、前記芯材と前記第1コイル部とは前記開口部において互いに非拘束の状態で接しているので、柔軟に適応することができる。以って、カテーテルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを導入して充填する際に、該塞栓コイルを動脈瘤内に操作性良く充填することができる。
本発明の第2の態様に係る塞栓コイルは、第1の態様の塞栓コイルにおいて、前記第1コイル部には、前記一端側と他端側の開口部の少なくとも一方に該第1コイル部の前記最大径より小径の第2コイル部が一体に前記コイル軸方向に延設されていることを特徴とする。
本態様によれば、第2コイル部の存在により当該第1コイル部自体が曲がり変形し易くなり、当該塞栓コイルを動脈瘤内に充填して行く際に円滑な充填が可能になる。
本発明の第3の態様に係る塞栓コイルは、第2の態様の塞栓コイルにおいて、前記第2コイル部は、前記第1コイル部と分離されて隣り合う前記第1コイル部同士の間に位置することを特徴とする。
本態様によれば、第2コイル部は第1コイル部と分離された状態で隣り合う第1コイル部同士の間に位置するので、塞栓コイルを動脈瘤内に充填して行く際に、第2コイル部の変位の自由度が増し、塞栓コイルの動脈瘤内への円滑な充填が可能になる。
本発明の第4の態様に係る塞栓コイルは、第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様の塞栓コイルにおいて、前記第1コイル部は、前記一端側の位置から単位コイルの外径が漸次拡径されて最大径部に至り、その後漸次縮径されて前記他端側の位置の外径に至る外面形状であることを特徴とする。
ここで「単位コイル」とは、螺旋状に巻かれている第1コイル部において螺旋の一巻きに対応する部分を意味する。
本態様によれば、第1コイル部のコイル径の急激な変化が抑制されて、滑らかな外面形状の第1コイル部が形成される。従って、塞栓コイルを動脈瘤内に充填して行く際の引っ掛かりが少なくなって、円滑な塞栓コイルの充填が可能になる。
本発明の第5の態様に係る塞栓コイルは、第4の態様の塞栓コイルにおいて、前記第1コイル部は、各単位コイルの外周を結んでできる形状が突曲面形状であることを特徴とする。
本態様によれば、塞栓コイルを動脈瘤内に充填して行く際の引っ掛かりが一層少なくなって、円滑な塞栓コイルの充填が可能になる。当該突曲面形状は球面形状であることが好ましい。
本発明の第6の態様に係る塞栓コイルは、第1の態様から第5の態様のいずれか一つの態様の塞栓コイルにおいて、前記各コイル部は、隣同士接触して位置することを特徴とする。
本態様によれば、当該塞栓コイルは、各コイル部が隣同士接触して位置するので、当該塞栓コイルが動脈瘤内に湾曲して充填される際に、隣り合うコイル部同士の境界から芯材が露出する状態の発生を抑制することができる。
本発明の第7の態様に係る塞栓コイルは、第1の態様から第6の態様のいずれか一つの態様の塞栓コイルにおいて、前記芯材は、前記第1コイル部の移動を規制する規制部を備えることを特徴とする。
本態様によれば、芯材に対する各コイル部の位置ずれに伴って生ずる各コイル部の偏りが当該規制部によって規制されるので、動脈瘤内での塞栓コイルの分布の偏りを抑制することができる。
本発明の第8の態様に係る塞栓コイルは、第7の態様の塞栓コイルにおいて、前記規制部は、前記芯材を曲げた状態の曲げ部であることを特徴とする。
本態様によれば、当該規制部を部品点数を増やすことなく芯材を利用して容易に設けることができる。
本発明の第9の態様に係る塞栓コイルは、第8の態様の塞栓コイルにおいて、前記曲げ部は弾性変形可能であり、伸ばした状態で前記第1コイルの前記開口部が通過可能であり、曲がった状態では前記第1コイル部の前記開口部が通過不能であることを特徴とする。
本態様によれば、芯材に第1コイル部を組み付ける際に、該芯材に引張力を加えて最初に伸ばした状態にして複数の第1コイル部を嵌め、第1コイル部を所定の位置に移動させた後、前記引張力を解除することによって前記曲げ部が復元して第1コイル部の移動を規制した構成の塞栓コイルが得られる。従って、芯材に対する第1コイル部の組み付けを容易に行うことができる。
本発明の第10の態様に係る塞栓コイルは、第8の態様又は第9の態様の塞栓コイルにおいて、前記曲げ部は前記第1コイルの内部に位置することを特徴とする。
本態様によれば、曲げ部は前記第1コイルの内部に位置するので、当該塞栓コイルを動脈瘤内に充填する際に前記曲げ部は露出しない。従って、塞栓コイルを動脈瘤内に充填して行く際に前記曲げ部に引っ掛かることがなく、各コイルの位置ずれを規制しつつ、円滑な塞栓コイルの充填が可能になる。また、曲げに対する自由度が増すため動脈瘤内への充填率向上に寄与する。
本発明の第11の態様に係る塞栓コイルは、第1の態様から第10の態様のいずれか一つの態様の塞栓コイルにおいて、前記芯材はコイルであることを特徴とする。
本態様によれば、芯材もコイルであるので、当該塞栓コイルをカテーテルを使用して動脈瘤内に導入して充填する際に、該芯材はコイル状態で湾曲することになるので、該動脈瘤内への塞栓コイルの充填の進行によって動脈瘤内の隙間が小さくなること等に基づいて当該塞栓コイルの湾曲の仕方が変わっても、当該塞栓コイルを動脈瘤内に操作性良く充填することができる。
また、曲げに対する自由度が増すため動脈瘤内への充填率向上に寄与する。
塞栓コイルを使用したカテーテル治療の概要を表す説明図。 本発明の実施形態1に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図(A)と、塞栓コイルの一部を拡大して表す側断面図(B)と、(B)図中のA−A矢視図(C)。 本発明の実施形態1に係る塞栓コイルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを充填する充填操作の内容を(A)充填前(B)充填途中(C)充填終了の3段階に分けて表す説明図。 本発明の実施形態2に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態3に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態4に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態5に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態6に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態7に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態8に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 本発明の実施形態9に係る塞栓コイルを表す一部省略の側面図。 (A)(B)は本発明の塞栓コイルの製造過程の一例を表す説明図。 (A)〜(D)は本発明の塞栓コイルの製造過程の他の例を表す説明図。
以下に、本発明の実施形態に係る塞栓コイルについて、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下の説明では、最初に図1に基づいて塞栓コイルを使用したカテーテル治療の概要について説明する。次に、図2に基づいて本発明の実施形態1に係る塞栓コイルの具体的構成について説明し、その後、図3に基づいて当該塞栓コイルを使用して動脈瘤内に塞栓コイルを充填する充填操作の内容について説明する。
続いて、図4〜図11に基づいて前記実施形態1と一部の構成を異ならせた実施形態2から実施形態9に係る各塞栓コイルの具体的構成を前記実施形態1との差異を中心に説明する。更に、図12に基づいて前記実施形態9に係る塞栓コイルを例にとって、該塞栓コイルの製造過程の一例を説明し、図13に基づいて前記実施形態4に係る塞栓コイルを例にとって、該塞栓コイルの製造過程の他の一例を説明する。
◆◆◆実施形態1(図1〜図3参照)◆◆◆
(1)塞栓コイルを使用したカテーテル治療の概要(図1参照)
塞栓コイル1は、動脈瘤Aの破裂を防止する目的でカテーテル3を使用して行う動脈瘤治療において使用される。具体的には、動脈瘤Aが人体Hの脳動脈Bの分岐部Cで発症した場合には、例えば図1に表すように、足の付け根Eにカテーテル3を挿入するための挿入口Fを開け、足の付け根Eの大腿動脈から直径2mm程度のカテーテル3を挿入する。尚、動脈瘤には前記分岐部C以外の非分岐部にできる嚢状動脈瘤と解離性動脈瘤等があり、これらの動脈瘤にも当該塞栓コイル1による治療を行うことができる。
また、血管内に造影剤を注入し、X線による透視画像を見ながらカテーテル3を動脈瘤Aが生じている部位の近傍領域に導く。そして、このカテーテル3内に本発明の塞栓コイル1を挿入し、カテーテル3の内壁に添わせてカテーテル3の先端に導き、該先端の開口から押し出して動脈瘤A内に塞栓コイル1の先端部を至らせる。更に、この塞栓コイル1を押し出して該塞栓コイル1を動脈瘤A内に導入して充填して行く。
(2)塞栓コイルの具体的構成(図2(A)(B)(C)参照)
本発明の実施形態1に係る塞栓コイル1Aは、複数の第1コイル部11と長尺な芯材7とを備えることによって基本的に構成されている。
第1コイル部11は、本実施形態では、線材2を螺旋状に径を変えつつ巻いて単位コイル17を連ねたコイル構造である。具体的には、図2(B)に表したように、第1コイル部11は、コイル軸方向Yにおける一端Y1側の端に位置する単位コイル17(Y1)の外径D3が最も小さく、中央部分の単位コイル17(C)の外径D1が最大で、他端Y2側の端に位置する単位コイル17(Y2)の外径が前記一端Y1側と同じ最小の外径D3となる外面形状に形成されている。そして、第1コイル部11は、前記単位コイル17(Y1)と単位コイル17(Y2)にそれぞれ開口部13が設けられている。該開口部13は、前記単位コイル17(Y1)と単位コイル17(Y2)の内径となる部分によって形成され、第1コイル部11の最大径D1(図2(B))部分の内径より小さい口径D2に形成されている。
塞栓コイル1Aのコイル軸方向Yにおける一端Y1側の先端部は、動脈瘤A内に導入する際に該動脈瘤Aの内壁面に接触する部分となるので滑らかな形状に形成される。この滑らかな形状は、従来行われている表面が滑らかな半球状体を利用することができ、前記一端Y1側の先端部に位置する第1コイル部11の先端側の開口部13に該半球状体を熱溶着或いは接着剤による接着によって形成することができる。
尚、本実施形態1の塞栓コイル1Aは、前記半球状体を用いずにコイル軸方向Yにおける一端Y1側の先端部に先端コイル部9を備え、該先端コイル部9の他端Y2側に複数の第1コイル部11が連なるように設けられている。この先端コイル部9は、先端側(Y1側)は滑らかな突曲面形状に形成されている。また、該先端コイル部9の他端Y2側の端部から後述する小径の第2コイル部15が連続して形成されている。そして、該先端コイル部9の第2コイル部15に対して、前述した長尺な芯材7の一端Y1側の先端部が溶接等の適宜の接合手段によって取り付けられている。
塞栓コイル1Aの先端部は、前記先端コイル部9に代えて上記のように第1コイル部11で構成してもよい。その場合で前記半球状体を用いない場合は、先端に位置する開口部13は、該開口部13を成す前記単位コイル17(Y1)を構成する線材2の先端部位を曲げて動脈瘤Aの内壁面に接触する虞のない構成にする。具体的には、前記線材2の先端部位を該開口部13の開口面に沿って該開口を塞ぐ方向に曲げる、或いはコイル内に向かう方向に曲げて表面に出ないようにすることで実現することができる。
当該塞栓コイル1Aは、第1コイル部11の両開口部13に芯材7を貫通させることにより、先端コイル部9と複数の第1コイル部11はコイル軸方向Yに並んで一体化されている。更に、芯材7と第1コイル部11は、互いに拘束されない自由状態で少なくとも一部が接した状態で組み付けられている。本実施形態では、芯材7の線径(太さ)dと開口部13の口径D2は、芯材7と開口部13との間にクリアランスができて一部だけが接触する寸法関係に形成されているが、クリアランスがなく全周に亘って接触する寸法関係で構成してもよい。
また、図2(A)に表したように、本実施形態では、第1コイル部11の他端Y2側の開口部13に、該第1コイル部11の前記最大径D1より小径の第2コイル部15が一体にコイル軸方向Yに延設されている。具体的には、第1コイル部11の他端Y2側の開口部13に、該開口部13を成す単位コイル17(Y2)と同径(外径D3)の一様な口径D2を有する第2コイル部15が一体に前記コイル軸方向Yに延設されている。符号16は第2コイル部15の開口部を示し、その外径はD3である。
そして、前記第2コイル部15は、隣り合う第1コイル部11、11同士の間に位置するように配置されている。本実施形態では、先端コイル部9にも前記と同構造の第2コイル部15が設けられている。
本実施形態では、図2(A)に表したように、複数の第1コイル部11は隣同士の間に隙間ができる状態で芯材7に組み付けられている。
また、図2(B)に表したように、第1コイル部11は、一端Y1側の位置から単位コイル17の外径が漸次拡径されて最大径D1部に至り、その後漸次縮径されて他端Y2側の位置の外径に至る外面形状を有している。そして、本実施形態では各単位コイル17の外周を結んでできる形状が、二つの円錐状のコイルを底部で接続した突曲面形状に形成されている。
尚、図2に表した塞栓コイル1Aにおいては、第1コイル部11の最大径を成す単位コイル17は二つある構成であるが、最大径の単位コイル17を一つで構成してもよいことは勿論である。
本実施形態の塞栓コイル1Aは、長さが30mm〜300mm程度、好ましくは100mm〜200mm程度で作られており、その複数本を動脈瘤A内に導入して充填するように構成されている。そのため、芯材7の基端側(他端Y2側)は対応する第1コイル部11に溶接等の適宜の接合手段によって接合されている。尚、本発明に係る塞栓コイルの長さは前記範囲に限定されないことは勿論である。
尚、このようにして構成される芯材7、先端コイル部9、第1コイル部11及び第2コイル部15としては、線径dが15μm〜100μm、好ましくは30μm〜75μmの白金、タングステン或いはステンレス製等の線材2が一例として利用できる。これらの材料は腐食に強く、適度な直進性と柔軟性を兼ね備えている。そして、塞栓コイル1Aがカテーテル3内を移動するときは適度な直進性を保って滑らかに移動することができ、塞栓コイル1Aが動脈瘤A内に導入されたときは、その柔軟性が発揮されて滑らかに湾曲して充填されて行く。
また、第2コイル部15の外径D3としては、0.06mm〜0.40mm、好ましくは0.12mm〜0.30mmが一例として採用できる。第1コイル部11の最大径D1としては、第2コイル部15の外径D3より大きく、通常のカテーテル3内での滑らかな移動が可能な範囲、一例として0.2mm〜0.5mm、好ましくは0.25mm〜0.47mmが採用できる。
また、図2(A)ではカテーテル3内に挿入する際の一次形状の塞栓コイル1Aを図示しているが、動脈瘤A内への充填率を更に高めるために当該動脈瘤Aの大きさや形状に合わせて更に大きなコイル径(例えば3mm〜10mm)の二次形状を予め付与することも可能である。
(3)塞栓コイルの充填操作の説明(図3参照)
以下、本実施形態に係る塞栓コイル1Aを使用して動脈瘤A内に当該塞栓コイル1Aを充填する充填操作の内容を(A)充填前、(B)充填途中、(C)充填終了の3段階に分けて説明する。
(A)充填前(図3(A)参照)
塞栓コイル1Aの充填を行う場合には、準備作業として、前述した「(1)塞栓コイルを使用したカテーテル治療の概要」で説明したように、カテーテル3を人体Hに挿入してカテーテル3の先端を動脈瘤Aの発生部位の近傍領域に位置させる。図3(A)においては、カテーテル3の先端位置は動脈瘤Aの入口の手前であるが、動脈瘤Aの入口より奥の内部側に位置させてもよい。次に、設置したカテーテル3内に外部から塞栓コイル1Aを挿入し、カテーテル3の内壁面に添わせて動脈瘤Aに向かって移動させる。
この際、本実施形態に係る塞栓コイル1Aは、複数の第1コイル部11は芯材7を介してコイル軸方向Yに並んで一体化されているので、カテーテル3内において適度な直進性を保つことができ、塞栓コイル1Aを円滑に移動させることができる。そして、塞栓コイル1A先端の先端コイル部9をカテーテル3の先端開口部から突出させて充填を行う動脈瘤Aの入口部分に臨ませる。
(B)充填途中(図3(B)参照)
前記準備作業の終了後、塞栓コイル1Aの充填操作を行う。即ち、更に塞栓コイル1Aをカテーテル3内に押し込んで行く。カテーテル3の先端開口から突出した塞栓コイル1Aは、動脈瘤A内に導入され、先端コイル部9が最初に動脈瘤Aの奥部側の内壁面に接触し、該接触により進行方向を変えられて湾曲し始め、その状態で手前側或いは側方に向かって進んでいく。
そして、手前側或いは側方に向かって進んだ塞栓コイル1Aは、当該部位の動脈瘤Aの内壁面に接触し再び進行方向を変えられて湾曲しつつ進んでいく。いずれ先端コイル部9の進行が止まる。そして、塞栓コイル1Aの後続部分が動脈瘤A内に押し出され、前記湾曲が繰り返されて折り返され、図3(B)に表すように動脈瘤A内に充填されて行く。この際、複数の第1コイル部11はコイル軸方向Yに並んで一体化され、芯材7と第1コイル部11は自由状態で接しているので、当該充填中における前記湾曲変形が円滑に行われ、該塞栓コイル1Aを動脈瘤A内に操作性良く充填することができる。即ち、本実施形態に係る塞栓コイル1Aは、その柔軟性から動脈瘤A内において容易かつ円滑に湾曲されて動脈瘤Aを高い充填率で埋めるように充填されて行く。
尚、塞栓コイル1Aに二次形状が付与されている場合には、カテーテル3の先端開口を抜けた段階でカテーテル3からの拘束が解除されるから、動脈瘤A内では予め付与されている二次形状に復元し、この二次形状の効果が加わって円滑な塞栓コイル1Aの充填が行われる。
(C)充填終了(図3(C)参照)
当該動脈瘤A内に必要な量の塞栓コイル1Aが充填されたら、塞栓コイル1Aの更なる導入及び充填を止める。そして、カテーテル3を引き抜いて人体Hから取り外す。
塞栓コイル1Aが充填された動脈瘤A内では、該塞栓コイル1Aの存在によって血管内を流れる血液の動脈瘤A内への流入が抑制され、該動脈瘤A内に積極的に血栓が形成されて固まることによって動脈瘤A内の破裂が防止される。
そして、このようにして構成される本実施形態に係る塞栓コイル1Aによれば、カテーテル3を使用して動脈瘤A内に塞栓コイル1Aを充填する治療を行う際、カテーテル3内では適度な直進性を保って動脈瘤Aに向けて塞栓コイル1Aを移動でき、動脈瘤A内では柔軟に湾曲して動脈瘤A内に充分に行き渡らせることが可能になる。
これにより、カテーテル3を使用して動脈瘤A内に塞栓コイル1Aを導入する際に、該塞栓コイル1Aを動脈瘤A内に操作性良く充填することができる。そして、塞栓コイル1Aを動脈瘤A内に高い充填率で充填することが可能になる。
◆◆◆実施形態2(図4参照)◆◆◆
実施形態2に係る塞栓コイル1Bは、前記実施形態1において備えている第2コイル部15を取り除いた構造であり、芯材7と第1コイル部11のみを備えた構成である。尚、符号「1B」は実施形態1の「1A」と区別するための符号であり、以下の各実施形態の説明においても同様である。
即ち、塞栓コイル1Bは、長尺な芯材7に対して複数の第1コイル部11が嵌合して、芯材7の長手方向となるコイル軸方向Yに並んだ一次形状を有する。
尚、第1コイル部11と芯材7の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態2に係る塞栓コイル部1Bによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態2の場合には、第2コイル部15を備えない分、構造が簡単になって製品コストの削減が図られる。
◆◆◆実施形態3(図5参照)◆◆◆
実施形態3に係る塞栓コイル1Cは、前記実施形態1において一体に設けられていた第1コイル部11と第2コイル部15を分離して、それぞれの第1コイル部11と第2コイル部15が互いに拘束されることなく、自由に芯材7の長手方向に沿って移動できるようにした塞栓コイルである。
即ち、塞栓コイル1Cは、長尺な芯材7に対して複数の第1コイル部11と複数の第2コイル部15が嵌合して、芯材7の長手方向となるコイル軸方向Yに第1コイル部11と第2コイル部15が交互に配置されて並んだ一次形状を有する。
尚、第1コイル部11と芯材7と第2コイル部15の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態3に係る塞栓コイル部1Cによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態3の場合には、第1コイル部11と第2コイル部15が互いに拘束されることなく自由に芯材7の長手方向に移動したり、自由に湾曲することが可能になる。
◆◆◆実施形態4(図6参照)◆◆◆
実施形態4に係る塞栓コイル1Dは、芯材7に対して第1コイル部11の移動を規制する規制部19を備える構造にすることによって第1コイル部11と第2コイル部15の芯材7の長手方向(コイル軸方向Y)への移動を規制するように構成されている。本実施形態においては、規制部19は、芯材7の対応する位置を曲げて形成した状態の曲げ部19(規制部19と同じ符号を用いる)であり、該曲げ部19は隣り合うコイル同士の間に位置するように構成されている。
また、この曲げ部19は、弾性変形可能であり、伸ばした状態で直線状になって、第1コイル部11の開口部13と第2コイル部15の開口部16が通過可能になり、曲がった状態で芯材7の半径方向に突出するように折れ曲がって、第1コイル部11の開口部13と第2コイル部15の開口部16が通過不能になっている。
尚、芯材7自体の具体的構成と、第1コイル部11と第2コイル部15の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態4に係る塞栓コイル1Dによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態4の場合には、第1コイル部11と第2コイル部15のコイル軸方向Yの偏りを小さくすることができるという作用、効果も発揮される。
◆◆◆実施形態5(図7参照)◆◆◆
実施形態5に係る塞栓コイル1Eは、前述した実施形態4で芯材7に対して設けた曲げ部19を第1コイル部11の内部に位置するように配置した構成である。
従って、本実施形態5の場合には、外観的には曲げ部19は露出しないので、曲げ部19による動脈瘤Aの内壁面に対する影響を低減することができる。それでいて機能的には、前記実施形態4と同様、第1コイル部11の開口部13と第2コイル部15の開口部16は、曲げ部19を伸ばした状態で通過可能、曲げ部19を曲げた状態で通過不能になっている。
尚、芯材7自体の具体的構成と、第1コイル部11と第2コイル部15の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態5に係る塞栓コイル1Eによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態5の場合には、前記実施形態4と同様、第1コイル部11と第2コイル部15のコイル軸方向Yの偏りを小さくすることができるという作用、効果も発揮される。
◆◆◆実施形態6(図8参照)◆◆◆
実施形態6に係る塞栓コイル1Fは、第1コイル部11及び先端コイル部9の突曲面形状を球面形状にした構成である。
即ち、塞栓コイル1Fは、長尺な芯材7に対して複数の球面形状の第1コイル部11と円筒状の第2コイル部15が嵌合して、芯材7の長手方向となるコイル軸方向Yに第1コイル部11と第2コイル部15が交互に配置された一次形状を有する。
尚、この球面形状の第1コイル部11を用いる塞栓コイル1の構造としては本実施形態6の構造に限定されないことは勿論である。例えば、前記実施形態1から実施形態5の各塞栓コイル1の構造において該球面形状の第1コイル部11を用いることができる。更に後述する実施形態7から実施形態9の各構造において球面形状の第1コイル部11を用いることができる。
尚、第1コイル部11と第2コイル部15と芯材7の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態6に係る塞栓コイル1Fによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態6の場合には、動脈瘤A内に導入される塞栓コイル1Fの導入方向に関係なく、常に一様の小さな摩擦抵抗で動脈瘤Aの内壁面に接触する第1コイル部11を構成することが可能になる。
◆◆◆実施形態7(図9参照)◆◆◆
実施形態7に係る塞栓コイル1Gは、芯材7がコイルによって形成されており、該コイルによって形成された芯材7に対して複数の第1コイル部11を取り付けた構成である。
即ち、塞栓コイル1Gは、前記コイルによって形成された長尺な芯材7の先端部に先端コイル部9が固定状態で取り付けられ、長尺な芯材7に対して複数の第1コイル部11が嵌合して、芯材7の長手方向となるコイル軸方向Yに連なるように第1コイル部11が配置された一次形状有する。
尚、第1コイル部11と芯材7の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態7に係る塞栓コイル1Gによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態7の場合には、芯材7もコイルであるので、当該塞栓コイル1Gをカテーテル3を使用して動脈瘤A内に導入して充填する際に、該芯材7はコイル状態で湾曲することになるので、該動脈瘤A内への塞栓コイル1Gの充填の進行によって動脈瘤A内の隙間が小さくなること等に基づいて当該塞栓コイル1Gの湾曲の仕方が変わっても、当該塞栓コイル1Gを動脈瘤A内に操作性良く充填することができる。
また、芯材7をコイルにすることで芯材7の強度が増すので、より線径の細い材料を使用して芯材7を形成することが可能になる。
◆◆◆実施形態8(図10参照)◆◆◆
実施形態8に係る塞栓コイル1Hは、第1コイル部11の一端Y1側と他端Y2側の両方に短寸の端コイル部25を一体に接続し、第1コイル部11と端コイル部25によって形成される外面形状が凹曲面と凸曲面の繰り返しになるよう、単位コイル17の外径Dが変化する曲面形状に形成した構成である。
また、本実施形態では、先端コイル部9としては、前述した実施形態1において採用したのと同様、一端Y1側が閉じられ、他端Y2側に短寸の端コイル部25が一体に接続された構成のものが使用されている。
尚、第1コイル部11と芯材7の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態8に係る塞栓コイル1Hによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態8の場合には、前記凹曲面と凸曲面の繰り返しになるなだらかな外面形状によって動脈瘤A内に充填する際に、一層柔軟に湾曲するようになる。
◆◆◆実施形態9(図11参照)◆◆◆
実施形態9に係る塞栓コイル1Jは、芯材7の先端部を利用して該先端部をコイル状に巻いて先端コイル部9と第2コイル部15を一体に形成し、先端コイル部9の他端Y2側に延びる芯材7に対して複数の第1コイル部11を嵌合した構成である。尚、実施形態2のように、第2コイル部15は設けなくてもよい。
即ち、塞栓コイル1Jは、先端コイル部9と芯材7と一つの第2コイル部15は一体の部材によって構成され、他端Y2側に延びる芯材7の直線部に複数の第1コイル部11と複数の他の第2コイル部15が嵌合して、芯材7の長手方向となるコイル軸方向Yに交互に第1コイル部11と第2コイル部15が配置された一次形状を有する。
尚、第1コイル部11と芯材7と第2コイル部15の具体的構成は前記実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、このようにして構成される本実施形態に係る塞栓コイル1Jによっても、前述した実施形態1に係る塞栓コイル1Aと同様の作用、効果が発揮され、更に本実施形態9の場合には、先端コイル部9と芯材7をそれぞれ別個に成形し、組み付けの過程で両者を一体に接続する場合に問題になる組付け精度のばら付きが発生しない。また、その組み付けが不要になる分、工数の削減が図られるから塞栓コイル1Jの生産性が向上する。
[塞栓コイルの製造工程の一例](図12参照)
次に、前述した実施形態9に係る塞栓コイル1Jを例にとって、塞栓コイルの製造工程の一例を(A)成形段階と(B)組付け段階の2段階に分けて説明する。芯材7と第1コイル部11を一体化して塞栓コイル1を製造する方法は、以下の図12で説明する方法に限定されず、適宜の方法で行ってよい。
(A)成形段階(図12(A)参照)
第1コイル部11、先端コイル部9、芯材7及び第2コイル部15を成形するための材料となる線材を用意する。先端コイル部9と、第2コイル部15を成形する場合には、該線材の一端Y1側の端部をコイル状に巻いて一端Y1と他端Y2が閉塞された突曲面形状の先端コイル部9に成形し、成形した先端コイル部9の終端から更にコイル状に巻いて円筒形状の第2コイル部15を成形する。一方、芯材7は、該第2コイル部15の他端Y2から直線的に延びている線材を必要な長さにカットすることによって成形される。
また、第1コイル部11と他の第2コイル部15を成形する場合には、線材を第1コイル部11については突曲面形状になるように、そして第2コイル部15については一様の外径D3になるように各々コイル状に巻き、必要な長さ、必要な個数、カットすることによって、連接された複数の第1コイル部11と第2コイル部15が成形される。
(B)組付け段階(図12(B)参照)
先端に先端コイル部9、その他端Y2側に第2コイル部15が成形された芯材7と、必要な数の第1コイル部11と第2コイル部15を用意し、芯材7の他端Y2側から各第1コイル部11と第2コイル部15を順番に嵌めて行き、該第1コイル部11と第2コイル部15を所定の位置に配置することで組み付けが完了する。
[塞栓コイルの製造工程の他の一例](図13参照)
次に、前述した実施形態4に係る塞栓コイル1Dを例にとって、塞栓コイルの製造工程の他の一例を(A)成形段階と、(B)嵌込み段階と、(C)配置段階と、(D)組付け段階の4段階に分けて説明する。
(A)成形段階(図13(A)参照)
第1コイル部11、先端コイル部9、芯材7及び第2コイル部15を成形するための材料となる線材を用意する。第1コイル部11と第2コイル部15を成形する場合には、該線材の一端Y1側の端部をコイル状に巻いて一端Y1側に第1コイル部11を、その他端Y2側に第2コイル部15を連続的に形成する。第1コイル部11の一端Y1側、他端Y2側には開口部13を形成する。先端コイル部9を成形する場合には、一端Y1側は滑らかな面になるように閉塞し、他端Y2側に第2コイル部15を一連に形成する。塞栓コイル1として、該第2コイル部15を有しない第1コイル部11でもよいことは既述の通りである。
芯材7の成形は、前記成形した第1コイル部11と第2コイル部15が配置される場所に対応した所定の位置に、必要な数、必要な大きさ、ピッチの曲げ部19を本成形段階において成形しておく。また、芯材7の他端Y2側には、前記成形した第1コイル部5と第2コイル部15を必要な数、挿嵌し得る長さの直線部20を形成しておく。
そして、このように成形された芯材7の一端Y1側に、先端コイル部9と一体に形成された第2コイル部15の他端Y2側を溶接等の適宜の接合手段で接続する。
(B)嵌込み段階(図13(B)参照)
次に、前記成形した芯材7の他端Y2側の直線部20に対して、必要な数の第1コイル部11と第2コイル部15を順次嵌め込んで行く。
(C)配置段階(図13(C)参照)
次に、芯材7に引張力を加えて、前記曲げ部19を直線状に伸ばした状態にする。これにより、芯材7の直線部20に位置していた前記第1コイル部11と第2コイル部15は、芯材7の一端Y1側に向けて移動できるようになる。
これに伴い、第1コイル部11と第2コイル部15を曲げ部19が形成されている位置に対応する所定の位置に移動させて配置する。
(D)組付け段階(図13(D)参照)
第1コイル部11と第2コイル部15を所定の位置に配置した後、芯材7に掛けていた引張力を解除すると、芯材7に再び曲げ部19が再び現れ、前記配置された第1コイル部11と第2コイル部15を一例として同図の挟持状態で保持することが可能である。これにより、第1コイル部11と第2コイル部15はコイル軸方向Yへの自由な移動が規制された状態で組み付けられる。曲げ部19同士の間隔を変えることにより、第1コイル部11をコイル軸方向Yに移動できない状態の構造と、ある範囲で移動できる状態の構造を作り分けることが可能である。
尚、実施形態5に係る塞栓コイル1E(図7)を製造する場合は、曲げ部19が第1コイル部11内に対応する位置にある状態で芯材7に掛けていた前記引張力を解除するようにする。
また、曲げ部19は、上記「(A)成形段階(図13(A)参照)」で説明したように予め設けるのではなく、第1コイル部11と第2コイル部15を芯材7の長手方向における所定の位置に配置した後、該芯材7の対応する部分に対して曲げ加工を行って設けるようにしてもよい。この場合は、曲げ部19を弾性変形しにくい剛構造にして第1コイル部11のコイル軸方向Yへの移動を強固に規制する構造にすることが可能である。
[他の実施形態]
本発明に係る塞栓コイル1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
例えば、第1コイル部11と第2コイル部15は、隣り合うもの同士が互いに接触するように密に詰めて配置する他、両者の間に隙間ができるように間隔を空けて配置することも可能である。
また、第1コイル部11の外面形状も前述した実施形態の中で述べた形状に限らず、球体をコイル軸方向Yに伸ばしたカプセル形状のもの、コイル軸方向Yの長さを短くした円盤状のものを多数近接して配置したもの等、種々の外面形状の第1コイル部11が採用可能である。
また、実施形態4(図6)及び実施形態5(図7)で採用した曲げ部(規制部)19の曲げ方向は平面方向であったが、これを螺線方向にしたコイル状の曲げ部19とすることも可能であるし、当該規制部19の機能を芯材7にビーズ状の止め具等を挿嵌することによって実現するように構成することも可能である。更に、実施形態7(図9参照)のコイル状の芯材7において、対応する部分のコイル径を他の部分よりも大きくして規制部19を構成してもよい。
第1コイル部11、第2コイル部15及びコイル状の芯材について、それぞれの巻き数やピッチ(単位コイルの間隔)を変えることで、塞栓コイル1としての特性(カテーテル内での直進性や動脈瘤内での充填の際の湾曲性等)を調整することが可能である。例えば、コイル状の芯材を用いた場合は、所望の間隔で巻き方を変えて芯材の曲がり易さを制御することが可能である。
1…塞栓コイル、2…線材、3…カテーテル、7…芯材、9…先端コイル部、
11…第1コイル部、13…開口部、15…第2コイル部、16…開口部、
17…単位コイル、17(Y1)…一端Y1側の端に位置する単位コイル、
17(Y2)…他端Y2側の端に位置する単位コイル、
17(C)…中央部分の単位コイル、19…規制部(曲げ部)、20…直線部、
A…動脈瘤、B…脳動脈、C…分岐部、H…人体、E…足の付け根、
F…挿入口、Y…コイル軸方向、Y1…一端、Y2…他端、D1…外径(最大)、
D2…口径、D3…外径(最小)、d…線径

Claims (11)

  1. 動脈瘤内に充填される塞栓コイルであって、
    該塞栓コイルは、
    複数の第1コイル部と、長尺な芯材とを備え、
    前記第1コイル部は、コイル軸方向における一端側と他端側に当該第1コイル部の最大径部分の内径より小さい口径を有する開口部を備え、
    前記第1コイル部の前記両開口部に前記芯材を貫通させることにより前記複数の第1コイル部はコイル軸方向に並んで一体化され、
    前記芯材と前記第1コイル部は自由状態で接している、ことを特徴とする塞栓コイル。
  2. 請求項1に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記第1コイル部には、前記一端側と他端側の開口部の少なくとも一方に該第1コイル部の前記最大径より小径の第2コイル部が一体に前記コイル軸方向に延設されている、ことを特徴とする塞栓コイル。
  3. 請求項2に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記第2コイル部は、前記第1コイル部と分離されて隣り合う前記第1コイル部同士の間に位置する、ことを特徴とする塞栓コイル。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記第1コイル部は、前記一端側の位置から単位コイルの外径が漸次拡径されて最大径部に至り、その後漸次縮径されて前記他端側の位置の外径に至る外面形状である、ことを特徴とする塞栓コイル。
  5. 請求項4に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記第1コイル部は、各単位コイルの外周を結んでできる形状が突曲面形状である、ことを特徴とする塞栓コイル。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記各コイル部は、隣同士接触して位置する、ことを特徴とする塞栓コイル。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記芯材は、前記第1コイル部の移動を規制する規制部を備える、ことを特徴とする塞栓コイル。
  8. 請求項7に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記規制部は、前記芯材を曲げた状態の曲げ部である、ことを特徴とする塞栓コイル。
  9. 請求項8に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記曲げ部は弾性変形可能であり、伸ばした状態で前記第1コイル部の前記開口部が通過可能であり、曲がった状態では前記第1コイル部の前記開口部が通過不能である、ことを特徴とする塞栓コイル。
  10. 請求項8又は9に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記曲げ部は前記第1コイル部の内部に位置する、ことを特徴とする塞栓コイル。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載された塞栓コイルにおいて、
    前記芯材はコイルである、ことを特徴とする塞栓コイル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021029089A1 (ja) * 2019-08-09 2021-02-18 国立大学法人信州大学 塞栓コイル
CN114041844A (zh) * 2021-11-23 2022-02-15 深圳市顺美医疗股份有限公司 一种球形弹簧圈
CN114668440A (zh) * 2020-12-24 2022-06-28 上海加奇生物科技苏州有限公司 栓塞弹簧圈

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