実施例1に係る冷凍・冷蔵ショーケースにつき、図1から図7を参照して説明する。以下、図1の画面左側を冷凍・冷蔵ショーケースの正面側(前方側)として説明する。
図1に示されるように、冷凍・冷蔵ショーケース1は、主に商店やスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の食品等を取り扱う販売店舗に設置され、商品を低温に保ったまま保冷、または冷凍した状態で陳列するために設置されるものであり、正面側を開口した内箱3により囲まれた保冷室5には、商品を陳列する棚板6,6,…が上下方向に複数設置され、内箱3の下部に設けられた底部3bにも商品(図示省略)を陳列可能になっており、商品を多数載置可能な構成となっている。
冷凍・冷蔵ショーケース1は、前面(図の左方)が開放された略コ字形をなす断熱構造の外箱2と、その内方の、同じく前面が開放された略コ字形の内箱3とからなるケース本体を備え、その内部空間は保冷室5(庫内)となっている。内箱3の背面部3aには、前後に延びるブラケット28,28,…の後端が取付けられており、ブラケット28,28,…の上に棚板6,6,…が配設されている。この各棚板6,6,…と内箱3の底部3bとの上面に、商品(図示略)が陳列されるようになっている。
外箱2と内箱3との間には、通風路7が形成され、この通風路7の鉛直部と水平底部には、それぞれ蒸発器8と送風機9が設置されている。後述するように蒸発器8は、その周囲の空気を冷却することができるようになっている。また、蒸発器8の前面側には、断熱材29が設けられており、蒸発器8と内箱3を介した保冷室5側との熱交換が抑えられている。ケース本体の上部の前端には、通風路7と連通する冷気吹出口10が下向きに形成され、またケース本体の下部前端の上端には、上方に開口する冷気の吸込口11が形成されている。蒸発器8は、その冷却設定温度(吹出口温度)が、0℃となるように設定されている。
送風機9を作動させると、蒸発器8により冷却された冷気は、矢印のように、通風路7内を上方に向かって流れ、冷気吹出口10より、下方の吸込口11に向かって吹き出される。これにより、ケース本体の前面の開放面に冷気のエアカーテン12が形成されるとともに、その冷気の一部が保冷室5内に流入することにより、陳列商品が保冷されるようになる。
次に、冷凍・冷蔵ショーケース1における蒸発器8について説明する。図2ないし図4に示されるように、蒸発器8は、その内部に冷媒16が流れる銅管である伝熱管15を備え、この伝熱管15は、複数のフィン30,30,…を貫通して蛇行するように延びており、これにより、伝熱管15と周囲の空気との接触面積が増え、送風機9からの送風が効率よく当たり、冷却効率が向上している。詳しくは、図4に示されるように、伝熱管15は、複数のフィン30,30,…を貫通する複数の直管部15a,15a,…と、隣接する直管部15a,15aの端部同士を繋ぐUベンド部15b,15b,…(説明の便宜上、図4ではUベンド部15bを1つのみ図示している。)と、から構成されており、組み立てが容易となっている。この伝熱管15は、構造上、Uベンド部15b,15b,…が端部に位置しており、Uベンド部15b,15b,…に対して送風機9からの送風が当たりづらくなっているため、Uベンド部15b,15b,…には、直管部15a,15a,…に比べて着霜し易くなっている。尚、この伝熱管15は、銅管に限られず、熱伝導率の高い金属製や樹脂製の管であってもよい。
また、蒸発器8の伝熱管15において熱交換が起こりにくいUベンド部15b,15b,…の中でも通風路7内の冷却前の空気と接触し、着霜が最も大きくなる通風路7上流側に位置するUベンド部15b’には、伝熱管15の表面温度を計測する温度センサー13が設けられている。伝熱管15のUベンド部15b’における表面温度を温度センサー13によって計測することで、後述の除霜運転パターンにおいて伝熱管15の外表面に着霜状況を判断することができる。
図2に示されるように、この蒸発器8は、冷凍サイクルの配管系統Cの一部である。詳しくは、蒸発器8の上流側の端部には、液化状態の冷媒16を所定の蒸発圧力(温度)となるように減圧して気化状態とする膨張弁17が設けられているとともに、膨張弁17には、冷媒16を貯留する受液器18が供給管19を介して接続されている。また、蒸発器8の下流側の端部には、切換回路20(蒸発圧力調整装置・冷媒温度変更手段)が接続され、切換回路20の下流側には、蒸発器8内で蒸発した気化状態の冷媒16を吸い込むとともに、該冷媒16を圧縮して受液器18側に送り出す圧縮器21(ポンプ)が接続されており、圧縮器21は、凝縮器22を介して受液器18に接続されている。この凝縮器22は、圧縮器21により圧縮された高圧気化状態の冷媒16の熱を外部に放出して冷媒16を液化状態にするものである。
尚、図2において、冷媒16について液体(液化)状態のものを実線で、気体(気化)状態のものを破線で示した。また、受液器18内の液化状態の冷媒16の温度は、夏場では、35℃から40℃程度となっており、冬場では、20℃程度となっている。
図2及び図5に示されるように、切換回路20は、蒸発器8の伝熱管15に連通する第1配管23(他方の流通経路)と、第1配管23に設けられるバイパス管である第2配管24(一方の流通経路)と、第1配管23及び第2配管24の上流側交点に設けられる三方切換弁25(切換手段)と、第2配管24に設けられる蒸発圧力調整弁26(EPR)と、蒸発圧力調整弁26の下流側に設けられる逆止弁27と、から成る。
三方切換弁25は、第2配管24を閉塞し、伝熱管15と第1配管23とを連通させる態様(図5参照)と、第1配管23を閉塞し、伝熱管15と第2配管24とを連通させる態様(図6参照)と、に切り換え可能となっている。この三方切換弁25は、図示しない制御部によってタイムテーブルに従って所定の時間毎に切換制御されるようになっている。この三方切換弁25が切り換わることによって、蒸発器8が、周囲の空気を冷却する冷却運転パターンと、伝熱管15に付着した霜を取り除く除霜運転パターンと、にそれぞれ切り換え可能となっている。尚、蒸発器8の冷却運転パターンと除霜運転パターンとの動作については後段にて詳述する。
蒸発圧力調整弁26は、設定された設定圧力以上で第2配管24内の流路を開放し、設定圧力よりも低い圧力で第2配管24内の流路を閉塞する弁体であり、蒸発器8内に流入する冷媒16の圧力を調整するようになっている。この設定圧力は、蒸発器8が冷却運転パターン時における該蒸発器8内の冷媒16の所定の蒸発圧力よりも高い圧力に設定されている。
逆止弁27は、三方切換弁25を第2配管24側に切り換えた際に、下流側の冷媒16が、蒸発圧力調整弁26側に逆流するのを防いでいる。
次に、蒸発器8が冷却運転パターンである時の冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について説明する。図2及び図5に示されるように、蒸発器8が冷却運転パターンである時には、三方切換弁25により、第2配管24を閉塞し、且つ伝熱管15と第1配管23とを連通させる。圧縮器21が作動すると、受液器18に貯留された液化状態の冷媒16が、蒸発器8に向けて供給管19及び膨張弁17を介して送り出される。この液化状態の冷媒16は、膨張弁17によって所定の蒸発圧力となるように減圧され、気化状態となる。蒸発器8の伝熱管15内に流入した気化状態の冷媒16が、通風路7内の空気から熱を奪うことにより、通風路7内の空気が冷却される。
蒸発器8の伝熱管15を通過した気化状態の冷媒16は、伝熱管15に連通した第1配管23に流入し、圧縮器21及び凝縮器22を介して受液器18に還元される。この動作を繰り返すことにより、蒸発器8の冷却運転パターンが連続して継続される。
尚、蒸発器8が冷却運転パターンである時には、伝熱管15内に流入した気化状態の冷媒16によって伝熱管15の表面温度が−10℃前後となっている(図7参照)。
次いで、蒸発器8が除霜運転パターンである時の冷凍サイクルの配管系統Cの運転態様について説明する。図2及び図6に示されるように、蒸発器8が除霜運転パターンである時には、三方切換弁25により、第1配管23を閉塞し、伝熱管15と第2配管24とを連通させる。蒸発器8の伝熱管15を通過した気化状態の冷媒16は、伝熱管15と連通した第2配管24に流入する。
このとき、伝熱管15内及び第2配管24内の冷媒16は、前述のように蒸発圧力調整弁26の設定圧力よりも低い圧力(所定の蒸発圧力)となっているため、蒸発圧力調整弁26は、第2配管24を閉塞した状態となっている。第2配管24に流入する冷媒16は、閉塞状態の蒸発圧力調整弁26に塞き止められることにより、蒸発器8の上流に設けられた膨張弁17から閉塞状態の蒸発圧力調整弁26までの区間の圧力が高まっていき、該圧力が設定圧力以上に高まることにより、蒸発圧力調整弁26が開き第2配管24を冷媒16が通過可能とした状態となる。換言すれば、蒸発圧力調整弁26は、膨張弁17から蒸発圧力調整弁26までの区間に流入する冷媒16の蒸発圧力が設定圧力以下に低下しないように制御している。
これによれば、蒸発圧力調整弁26を利用した切換回路20によって蒸発器8を冷却運転パターンから除霜運転パターンに切り換えることにより、蒸発器8の伝熱管15内に流入した冷媒16は、蒸発圧力調整弁26により圧縮され、冷却運転パターン時よりも高い蒸発圧力となり、その温度が0℃以上(例えば5℃)に上昇する。このように、切換回路20によって冷媒16の温度を変更できるため、圧縮器21の出力(回転数)を一定にしながら、言い換えれば圧縮器21の出力を変更しなくても、蒸発器8の冷却運転パターン及び除霜運転パターンの切換制御が簡便である。
また、蒸発器8が除霜運転パターンの状態(三方切換弁25の切換により伝熱管15と第2配管24とが連通した状態)にあっては、温度が0℃以上に上昇した冷媒16により伝熱管15の内部から熱伝導により熱が伝熱管15の外表面に伝えられる。このため、冷媒16の熱によって屈曲した伝熱管15において、特に着霜しやすく、且つ除霜し難いUベンド部15b,15b,…であっても隅々まで除霜することができる。また、伝熱管15の外表面に付着した霜の付着面(言い換えると霜の根元)から融解させることができるので(図9参照)、ヒータ等の外部熱源の輻射熱を利用した場合に比べて低温で、且つ霜も短時間で溶け効率よく除霜できる。また、冷媒16の流れを止めるオフサイクル方式の除霜は、送風機9の送風のみで解凍する(または送風機9も止めて自然解凍する)ため、霜を溶かすまでに時間がかかり、その間は蒸発器による冷却ができず、庫内温度が例えば7〜8℃程度に上昇してしまう上に、その温度が上昇した状態から所望の庫内温度まで再度冷却しなければならない。つまり、本実施例の蒸発器8は、前記オフサイクル方式の除霜に比べ、除霜にかかる熱量が多く必要になるものの、後述の簡易除霜動作32のように、霜を短時間で溶かすことができるため、庫内温度の上昇が小さい段階で冷却運転パターンに切り換えることができる。尚、ここでいう、庫内温度とは、棚板6,6,…付近(商品に近い場所)の温度を指す。さらに尚、オフサイクル方式の除霜にあっては、開閉弁で供給管19を閉塞することにより蒸発器8への冷媒16の流れを止めることが一般的であるため、前記開閉弁を閉塞した直後には、圧縮器21の吸い込みにより伝熱管15内の冷媒16の蒸発圧力が急激に下がり、冷媒16の温度が瞬間的に例えば−40℃まで低下するとともに、その後、徐々に伝熱管15の温度が上昇するようになっており、除霜運転に移行するまでに長い時間がかかっていたが、本実施例の蒸発器8は、切換回路20により即座に冷媒16の温度を上昇させるため、冷却運転パターンと除霜運転パターンとの切り換えを短時間で行うことができるようになっている。
また、膨張弁17から蒸発圧力調整弁26までの区間の圧力が、設定圧力以上に高まると、蒸発圧力調整弁26が開放されるため、蒸発圧力調整弁26が開放された状態にあっては、膨張弁17から蒸発圧力調整弁26までの区間の圧力が前記設定圧力となり、冷媒16の蒸発温度は設定圧力に対応する温度となる。すなわち、温度が略一定に保たれ、庫内温度の急激な上昇を防止できるとともに、蒸発温度が低下することもなく、確実に除霜運転が遂行される。また、設定圧力以上に圧力が高まることにより開かれた蒸発圧力調整弁26を通過した冷媒16は、逆止弁27を介して圧縮器21に流入する。
次いで、蒸発器8の一日の動作態様について図7及び図8を用いて説明する。図7に示されるように、夜間等の営業時間外Bには、蒸発器8が少なくとも1回除霜運転パターンとなる。(以下、営業時間外Bの除霜運転パターンは、本除霜動作31という。)本実施例における営業時間外Bには、蒸発器8が閉店直後と開店直前のタイミングで本除霜動作31を行い、閉店直後と開店直前との間では冷却運転パターンとなっている。尚、営業時間外Bにおける冷却運転パターン時初期(図7の画面右側)には、庫内温度が2℃程度となっており、営業時間外Bにおける冷却運転パターン時後期(図7の画面左側)には、庫内温度が5℃程度となっている。これは、冷却運転パターン時後期になるにつれては、伝熱管15の外表面に付着した霜が大きくなり、蒸発器8の冷却能力が低下したためである。
また、本除霜動作31は、本実施例では1時間程度行われ、伝熱管15の外表面に付着した霜を完全に取り除くようになっている。より詳しくは、営業時間外Bにおいて蒸発器8が冷却運転パターンから本除霜動作31に切り換わると、蒸発器8の伝熱管15の表面温度が、−1℃前後まで急激に上昇する。これは、三方切換弁25が切換えられ、蒸発器8内の冷媒16が蒸発圧力調整弁26により圧縮されるためである。
次いで、蒸発器8の伝熱管15の表面温度は、−1℃前後から0℃近傍まで緩やかに上昇する。これは、伝熱管15の外表面に付着した霜に溶け残りがあることで伝熱管15の表面温度が上がりにくくなっているためである。次いで、蒸発器8の伝熱管15の表面温度は、0℃を越えた辺りから+5℃前後まで再度上昇している。これは、霜が完全に、またはほとんど溶けたことにより、再度表面温度が上昇し易くなったためであり、換言すれば、蒸発器8の伝熱管15の表面温度が0℃以上に上昇した段階で除霜はほぼ完了したものと判断できる。また、蒸発器8の伝熱管15の表面温度は、蒸発圧力調整弁26により蒸発器8内の冷媒16の蒸発圧力が略一定となるように調整されるため、本除霜動作31において+5℃以上に上昇しないようになっている。
また、除霜完了時に蒸発器8の伝熱管15の表面温度が+5℃前後まで上昇することに伴って庫内温度は+10℃前後まで上昇する。これは、伝熱管15の表面温度が上昇することにより蒸発器8の冷却能力が低下した状態で、保冷室5外の温度の高い空気が保冷室5内に流入して循環したためである。
尚、営業時間外Bに行われる本除霜動作31では、外部からヒータ等を付加的に用いて除霜が完了するまでの時間を短縮するようにしてもよい。さらに尚、保冷室5内に商品が陳列されていない場合には、例えば、冷凍サイクルの配管系統Cを停止(オフサイクル)させ、営業時間外B中に冷却運転パターンを行わないようにしてもよい。
図7及び図8に示されるように、営業時間中A(通常運転中)には、蒸発器8が冷却運転パターンと除霜運転パターンとを短い時間(10分程度ずつ)で交互に切り換わるようになっている。(以下、営業時間中Aの除霜運転パターンは、簡易除霜動作32という。)詳しくは、営業時間外Bにおける開店直前の本除霜動作31の後、伝熱管15の表面温度が−10℃前後となるまで蒸発器8を冷却運転パターンとする。蒸発器8が冷却運転パターンに切り換えられると、蒸発器8の伝熱管15の表面温度が低下するにつれて、保冷室5内の庫内温度も2〜3℃程度まで緩やかに低下していく。
その後、蒸発器8が冷却運転パターンと簡易除霜動作32とで交互に切り換わる。蒸発器8が冷却運転パターンから簡易除霜動作32に切り換ったときには、上記営業時間外B時の本除霜動作31の場合と同様に、蒸発器8の伝熱管15の表面温度が簡易除霜動作32を開始した時点から−1℃前後まで急激に上昇するが、営業時間中Aにおいては、この段階で蒸発器8が簡易除霜動作32から再度冷却運転パターンに切り換わるようになっている。このように、営業時間中Aにおいては、伝熱管15の表面温度が0℃以上に上昇する前に蒸発器8が簡易除霜動作32から冷却運転パターンに切り換わり、伝熱管15の表面温度が低下するとともに、上記態様が繰り返されるため、営業時間中Aには、庫内温度の変化がほとんどなく、営業時間中Aには、庫内温度が3℃程度で保たれている(尚、実際には、営業時間中Aの庫内温度は、3℃程度を境に上下に小刻みに変化するが、温度変化の幅が小さいため、図7では、直線状で図示している)。
このように、営業時間中Aには、蒸発器8が、冷却運転パターンと簡易除霜動作32とが短い時間で交互に切り換わるため、営業時間中Aにおける伝熱管15の外表面に付着する霜の成長を抑えることができ、蒸発器8の冷却能力が維持される。尚、ここでいう、霜の成長を抑えることは、霜を大きくしない、霜を減らす、または、霜が完全に取り除かれることを含む。すなわち、営業時間中Aに伝熱管15への着霜により蒸発器8の冷却能力が徐々に低下する虞が無い。また、図9に示されるように、簡易除霜動作32は、伝熱管15の外表面に付着した霜の付着面から融解させることができるので、ヒータ等の外部熱源の輻射熱を利用した場合や自然冷却や送風による外部からの冷却によるオフサイクル式の場合に比べて除霜にかかる熱量が少なく、且つ霜も短時間で溶け除霜効率も高いため、庫内温度に影響を与え難く、営業時間中Aにおける冷凍・冷蔵ショーケース1の熱効率が高い。
また、営業時間中Aには、蒸発器8が、10分程度ごとに冷却運転パターンと簡易除霜動作32とに切り換わるため、伝熱管15の着霜初期段階(霜の密度が疎密な状態)で除霜されることとなり、除霜効率が極めて高くなっている。詳しくは、図9(a)に示されるように、冷却運転パターンを開始すると、空気中の水分を凝縮した水滴が伝熱管15の外表面に付着し、そこから霜柱33,33,…が発生する(霜柱発生期)。次いで、図9(b)に示されるように、霜柱33,33,…を骨格としてその周囲に氷・空気混合体34,34,…が発生する(霜層成長期)。次いで、図9(c)に示されるように、氷・空気混合体34,34,…が時間の経過とともに増加し、霜柱33,33,…間の隙間を埋めて密度を高め、凝固して一体の霜層となる(霜層成熟期)。前述した着霜初期段階とは、霜柱発生期から霜層成長期までの期間を指す。霜柱33,33,…の根元が冷媒16の熱により溶ければ、霜柱33,33,…及び氷・空気混合体34,34,…が伝熱管15から落下するため、霜柱33,33,…及び氷・空気混合体34,34,…全体を溶かさなくてもよく、これにより簡易除霜動作32の除霜効率が極めて高くなっている。尚、冷却運転パターン開始から簡易除霜動作32に切り換わる時間は、自由に設定変更できるが、着霜初期段階で確実に簡易除霜動作32が行われるようにすることが好ましく、その具体例として営業時間中Aには、冷却運転パターン開始から30分以内に簡易除霜動作32に切り換わるものを説明した。他の例として、伝熱管15の温度を温度センサーにより測定しこの温度により着霜初期段階を検出し、着霜初期段階のときに簡易除霜動作32が行われるようにしてもよい。
また、蒸発器8よりも下流側に切換回路20が設けられており、その切換回路20の蒸発圧力調整弁26は、膨張弁17を介して所定の蒸発圧力に減圧された冷媒16の圧力を調整する構造であるため、蒸発器8内の冷媒16の蒸発圧力を安定して確実に調整できる。さらに、蒸発器8よりも上流側に蒸発器8及び蒸発器8内の冷媒16の蒸発圧力を調整するための部材が集中しないため、冷凍サイクルの配管系統Cにおける蒸発器8よりも上流側の構造を簡素化できる。
また、切換回路20の三方切換弁25により、伝熱管15と第1配管23とが連通した際には、冷媒16の蒸発圧力が低いまま伝熱管15内に流入し、蒸発器8を冷却運転パターンとすることができるとともに、切換回路20を用いたため、例えば、開度調整を自動で行う複雑な調整弁等を用いる必要が無く、簡素な構造の蒸発圧力調整弁26を用いた切換回路20により蒸発器8の冷却運転パターンと除霜運転パターンとの切り換えの信頼性を高くできる。
また、上述したように、蒸発器8の動作態様(冷却運転パターンと除霜運転パターンとの切り換え)は、予め定められたタイムテーブルに沿って動作する三方切換弁25により行われており、このタイムテーブルは、適宜変更することが可能となっている。そのため、タイムテーブルを適宜変更すれば、季節や店内環境、冷凍・冷蔵ショーケース1の周辺環境によって変化する伝熱管15の着霜状態に合わせて、適切に蒸発器8の動作態様を切り換えることができ、蒸発器8の冷却能力を確実に維持できる。
尚、前記実施例では、三方切換弁25がタイムテーブルに従って所定の時間毎に切換制御されるようになっていたが、これに限られず、営業時間外Bにおいて蒸発器8を除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換える際には、伝熱管15の表面温度(Uベンド部15bの表面温度)を温度センサー13により検知するとともに、その検知結果に基づいて三方切換弁25を切り換える制御部を設け、例えば伝熱管15の表面温度が0℃になった時に制御部が三方切換弁25を切り換えることで蒸発器8を除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換えるようにしてもよい。これによれば、霜取りが完了した時点で効率よく除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換えることができる。また、前記制御部により、伝熱管15の表面温度が0℃になり、且つ所定時間経過後に蒸発器8を除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換えるようにして(いわゆる遅延制御として)もよく、これにより、霜残りを確実に防止できる。
さらに、営業時間中Aにおいて蒸発器8を除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換える際には、例えば伝熱管15の表面温度が−1℃(0℃に達する前)になった時に制御部が三方切換弁25を切り換えることで蒸発器8を除霜運転パターンから冷却運転パターンに切り換えるようにしてもよい。これによれば、営業時間中Aに除霜運転パターンにより庫内温度が過度に上昇することを確実に防ぐことができる。
さらに、営業時間外Bにおいて蒸発器8を冷却運転パターンから除霜運転パターンに切り換える際には、伝熱管15の表面温度が冷却運転パターン時の適正温度よりも所定以上上昇した時に、三方切換弁25を切り換えることで蒸発器8を冷却運転パターンから除霜運転パターンに切り換えるようにしてもよい。これによれば、霜が付着することにより蒸発器8の冷却効率が低下してきた時点で、効率よく冷却運転パターンから除霜運転パターンに切り換えることができる。
また、蒸発器8の冷却運転パターン及び除霜運転パターンの動作態様は自由に変更できる。例えば、営業時間中Aにおける除霜運転パターンの回数は一回でもよいし、営業時間中Aにおける冷却運転パターン及び除霜運転パターンの時間(長さ)の比率を変更してもよい。
また、蒸発器8と膨張弁17との間に蒸発圧力調整弁26を設け、蒸発器8の上流側で蒸発圧力を調整するようにしてもよい。
また、蒸発器8への通風を遮断するダンパーを設けてもよい。これによれば、除霜運転パターン時にダンパーによって蒸発器8への通風を遮断することで、送風機9からの送風が蒸発器8に当たらなくなり、自然対流の状況下で蒸発器8の除霜を行うことができるため、除霜効率が高まる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、1つの蒸発器を用いる態様について説明したが、2つ以上の蒸発器を用いてもよく、これにより、一方の蒸発器が除霜運転パターンであっても他方の蒸発器が冷却運転パターンとして庫内温度の上昇を抑えることができるようになる。
また、前記実施例では、冷媒温度変更手段を、蒸発圧力調整装置としての切換回路20として説明したが、これに限られず、例えば、冷凍サイクルの配管系統に、温度の異なる冷媒がそれぞれ収容された受液器を複数設け、選択された受液器から膨張弁17に冷媒が流入するように切換弁などにより制御されていてもよい。
また、前記実施例では、切換手段を三方切換弁25として説明したが、例えば切換回路20における第1配管23及び第2配管24にそれぞれ2方向切換弁を設け、各2方向切換弁を適宜開放及び閉塞させることで、蒸発器の冷却運転パターン及び除霜運転パターンを切り換えるようにしてもよい。
また、前記実施例では、冷凍・冷蔵ショーケース1が商品を冷蔵状態で陳列する態様について説明したが、膨張弁17の減圧能力や蒸発圧力調整弁26の設定圧力を変更することにより、庫内温度を冷凍や常温に近い状態の冷蔵等の温度帯に変更してもよい。
また、前記実施例では、営業時間中A及び営業時間外Bにおける蒸発器8の除霜運転パターン(本除霜動作31及び簡易除霜動作32)が同じ設定圧力で行われるものとして説明したが、例えば本除霜動作31の設定圧力を簡易除霜動作32よりも高い蒸発圧力に設定することで除霜効率を高め、本除霜動作31を短時間で完了できるようにしてもよいし、反対に、簡易除霜動作32の設定圧力を本除霜動作31よりも高い蒸発圧力に設定することで除霜効率を高め、簡易除霜動作32を短時間で完了できるようにしてもよい。尚、蒸発器8の除霜能力は、蒸発圧力が高く、且つ除霜時間が長くなるほど高まるが、除霜能力が高いほど除霜運転パターンにおける庫内温度への影響が大きくなる虞があるので、蒸発器8の除霜運転パターンにおける蒸発圧力及び除霜時間の設定は庫内温度への影響を考慮した上で行われることが好ましい。
また、営業時間外Bには、伝熱管15の外表面に付着した霜が小さいながらも残っていることを想定し、その霜を完全に取り除くために本除霜動作31を行っていたが、簡易除霜動作32のみで霜を完全に取り除くことができれば、営業時間外Bに簡易除霜動作32のみを行うようにしてもよい。