JP2017083178A - トルク検出装置 - Google Patents

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Masashi Kajitani
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Abstract

【課題】周囲温度変化によるトルク検出誤差を低減できるトルク検出装置を提供する。
【解決手段】第1軸14および第2軸15を相対回転可能に連結するトーションバー16と、トーションバー16の捩れ方向および捩れ量に応じた第1信号値を生成するトルク検出ユニット31と、トルク検出ユニット31に生成される第1信号値を温度補正するための第2信号値を生成する補正信号生成ユニット32とを含む。補正信号生成ユニット32は、第1軸および第2軸のうちのいずれか一方の軸に対して同軸状に固定され、周方向にN極とS極とが交互に着磁された第2多極磁石61と、第2多極磁石61が固定された一方の軸に対して同軸状に固定された第2磁気ヨークアセンブリ62とを含む。
【選択図】図2

Description

この発明は、トルク検出装置に関する。
特許文献1には、トーションバーを介して連結された第1軸および第2軸に加わるトルクを検出するためのトルク検出装置が開示されている。特許文献1に開示されたトルク検出装置は、第1軸と一体回転する円筒磁石と、第2軸と一体回転する一対の磁気ヨーク(ヨークリング)と、一対の磁気ヨークに発生する磁束の密度を検出するホールICとを含んでいる。各磁気ヨークは、円筒磁石を非接触で取り囲む環状である。各磁気ヨークには、周方向に等間隔で並ぶ複数の爪が設けられている。一方の磁気ヨークの爪と他方の磁気ヨークの爪とは、周方向に交互に並ぶように対向配置されている。
特開2015−121475号公報
前述の特許文献1のトルク検出装置では、周囲温度によって磁力が変化するため、周囲温度が変化した場合には、ホールICの出力値が変化する。図9は、周囲温度がt1,t2,t3(t1<t2<t3)である場合の操舵トルクに対するホールICの出力値の変化(出力特性)を示す波形図である。図9において折線S1は周囲温度がt1[℃]である場合の出力特性を、折線S2は周囲温度がt2[℃]である場合の出力特性を、折線S3は周囲温度がt3[℃]である場合の出力特性を示している。周囲温度が高くなるほど磁力が低下するので、ホールICの出力値は小さくなり、ホールICの出力特性の傾きが小さく(緩やかに)なる。このため、ホールICの出力値に対して温度補正を行わない場合には、周囲温度が変化した場合にトルク検出誤差が発生する。
この発明の目的は、周囲温度変化によるトルク検出誤差を低減できるトルク検出装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、第1軸(14)および第2軸(15)を相対回転可能に連結する弾性部材(16)と、前記弾性部材の捩れ方向および捩れ量に応じた第1信号値(V1a)を生成するトルク検出ユニット(31)と、前記トルク検出ユニットに生成される第1信号値を温度補正するための第2信号値(V2a)を生成する補正信号生成ユニット(32)とを含み、前記トルク検出ユニットは、前記第1軸に対して同軸状に固定され、周方向にN極とS極とが交互に着磁された第1磁石(48)と、前記第2軸に対して同軸状に固定されるとともに前記第1磁石を非接触で取り囲む環状をなす一対の磁気ヨークであって、周方向に等間隔で並ぶ複数の爪(53,54)がそれぞれに設けられていて、互いの爪が周方向に交互に並ぶように対向配置されている第1および第2磁気ヨーク(49,50)と、前記第1および第2磁気ヨークに発生する磁束の密度に応じた第1信号値を生成する第1磁気検出手段(43,44,45)とを含み、前記補正信号生成ユニットは、前記第1軸および前記第2軸のうちのいずれか一方の軸に対して同軸状に固定され、周方向にN極とS極とが交互に着磁された第2磁石(68)と、前記第2磁石が固定された前記一方の軸に対して同軸状に固定されるとともに前記第2磁石を非接触で取り囲む環状をなす一対の磁気ヨークであって、周方向に等間隔で並ぶ複数の爪がそれぞれに設けられていて、互いの爪(73,74)が周方向に交互に並ぶように対向配置されている第3および第4磁気ヨーク(69,70)と、前記第3および第4磁気ヨークに発生する磁束の密度に応じた第2信号値を生成する第2磁気検出手段(63,64,65)とを含む、トルク検出装置である。なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
基準温度での第1信号値を基準とした場合の温度変化による第1信号値の誤差を、第2信号値に基づいて演算することが可能となる。このため、第2信号値に基づいて、第1信号値を、基準温度での第1信号値に補正することが可能となる。これにより、周囲温度変化によるトルク検出誤差を低減することが可能となる。
請求項2に記載の発明は、前記トルク検出ユニットに生成される第1信号値を、前記補正信号生成ユニットによって生成される第2信号値を用いて補正する信号補正手段(91)をさらに含む、請求項1に記載のトルク検出装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1磁石と前記第2磁石とは、構造、形状、大きさおよび材質が同じであり、前記第1および第2磁気ヨークからなる一対の磁気ヨーク前記第3および第4磁気ヨークからなる一対の磁気ヨークとは、構造、形状、大きさおよび材質が同じである、請求項1または2に記載のトルク検出装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係るトルク検出装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 図2は、トルク検出装置の要部の分解斜視図である。 図3は、トルク検出装置の要部の模式的な断面図である。 図4は、トルク検出ユニットの動作を説明するための模式図である。 図5は、周囲温度が基準温度Toである場合の操舵トルクに対する第1信号V1a,V1bの変化を示す波形図である。 図6は、周囲温度に対する第2信号V2aの変化を示す波形図である。 図7は、ECUの電気的構成を示すブロック図である。 図8は、操舵トルク演算部の動作を示すフローチャートである。 図9は、周囲温度がt1,t2,t3(t1<t2<t3)である場合の操舵トルクに対するホールICの出力値の変化(出力特性)を示す波形図である。
以下、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るトルク検出装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1では、ステアリングホイール2に連結されたステアリングシャフト3が、自在継手4、中間軸5および自在継手6を順に介してピニオン軸7に連結されている。ピニオン軸7の先端部のピニオン8が、車両の左右方向に延びるラック軸9のラック10と噛み合っている。ラック軸9の両端部のそれぞれは、タイロッド11に連結されており、タイロッド11は、ナックルアーム(図示せず)を介して転舵輪12に連結されている。
ステアリングホイール2が操作されてステアリングシャフト3が回転すると、この回転は、ピニオン8およびラック10によってラック軸9の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪12が転舵される。
ステアリングシャフト3は、ステアリングホイール2に連結された入力側の第1軸14と、自在継手4に連結された出力側の第2軸15とを有している。第1軸14と第2軸15とは、弾性部材であるトーションバー16を介して同軸状に互いに連結されている。第1軸14と第2軸15とは、互いの間でトルク伝達可能であり、所定の範囲内で相対回転可能である。ステアリングホイール2の操舵によって、ステアリングホイール2の操舵トルクに相当する捩じれトルクが第1軸14と第2軸15との間に入力されると、トーションバー16が捩じれる。この際、第1軸14と第2軸15とは相対回転する。
電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルクを検出するためのトルク検出装置17と、車速を検出する車速センサ18と、電動モータ19と、電動モータ19の駆動を制御するECU(Electronic Control Unit)20とを含んでいる。
トルク検出装置17からは、トーションバー16の捩れ方向および捩れ量に応じた第1信号(第1信号値)V1と、第1信号V1を温度補正するための第2信号(第2信号値)V2とが出力される。この実施形態では、トルク検出装置17からは、2つの第1信号(第1信号値)V1a,V1bと、2つの第2信号(第2信号値)V2a,V2bとが出力される。2つの第1信号V1a,V1bのうちの一方(この例ではV1a)がトルク演算用信号として用いられ、他方が故障判別用信号として用いられる。2つの第2信号V2a,V2bのうちの一方(この例ではV2a)が温度補正用信号として用いられる。
ECU20は、トルク検出装置17から出力される第1信号V1a,V1bの一方(この例ではV1a)と第2信号V2a,V2bの一方(この例ではV2a)とに基いて操舵トルクを演算する。ECU20は、操舵トルクと車速とに基づいて電動モータ19を駆動制御する。電動モータ19の出力は、ウォーム21Aおよびウォームホイール21Bで構成された減速機構21を経由して、操舵補助力として第2軸15に伝達される。
図2は、トルク検出装置の要部の分解斜視図である。図3は、トルク検出装置の要部の模式的な断面図である。
図3を参照して、第2軸15は、電動パワーステアリング装置1のハウジング23内で軸方向Xに離れて配置された2つの軸受24および25によって両持ち支持されている。軸受24は軸受25よりもステアリングホイール2側(図3における上側)に位置している。2つの軸受24および25の間において、第2軸15に、ウォームホイール21Bが一体回転可能に連結されている。
図2および図3を参照して、トーションバー16は、実際に捩じれる部分である細い丸棒を備えている。この丸棒における第1軸14側の端部は、丸棒よりも太い第1連結部16Aである。この丸棒における第2軸15側の端部は、丸棒よりも太い第2連結部16Bである。第1軸14には、トーションバー16の連結部16Aが同軸状で挿入される第1連結孔14Aが形成されている。第2軸15には、トーションバー16の連結部16Bが同軸状で挿入される第2連結孔15Aが形成されている。第1連結部16Aは、ピン26を用いて第1軸14に一体回転可能に結合されている。第2連結部16Bは、ピン27を用いて第2軸15に一体回転可能に結合されている。第1軸14、第2軸15およびトーションバー16の延びる方向を「軸方向X」といい、第1軸14、第2軸15およびトーションバー16を中心とする周方向を「周方向S」といい、以下では、軸方向Xおよび周方向Sを基準として説明する。
トルク検出装置17は、トーションバー16の捩れ方向および捩れ量に応じた第1信号(第1信号値)V1を生成するトルク検出ユニット31と、トルク検出ユニット31に生成される第1信号(第1信号値)V1を温度補正するための第2信号(第2信号値)V2を生成する補正信号生成ユニット32とを含む。
トルク検出ユニット31は、第1軸14と一体回転する第1多極磁石41と、第1多極磁石41を非接触で取り囲んだ状態で第2軸15と一体回転する第1磁気ヨークアセンブリ42と、第1および第2集磁リング43,44と、第1および第2ホールIC45,46とを備えている。
第1多極磁石41は、円筒状で樹脂製の保持筒47と、保持筒47の外周面に固定され周方向SにN極とS極とが交互に着磁された円筒磁石48とから構成されている。第1多極磁石41は、第1軸14の第2軸側端部に対して同軸状に固定されている。
第1磁気ヨークアセンブリ42は、円環状の第1および第2磁気ヨーク49,50と、第1および第2磁気ヨーク49,50を保持する円筒状の樹脂成形品である保持筒51と、保持筒51によって保持された円筒状のカラー52(図3参照)を含む。図3に示すように、カラー52が第2軸15の第1軸14側の端部の外周に対して圧入されることによって、第1磁気ヨークアセンブリ42は、第2軸15に対して一体回転可能に取り付けられている。
第1および第2磁気ヨーク49,50は、軟磁性体を用いて形成されている。第1磁気ヨーク49の内周には、径方向内側へ突出してから軸方向Xに折れ曲がって延びる複数の磁極爪53が周方向Sに等間隔で配置されている。第2磁気ヨーク50の内周には、径方向内側へ突出してから軸方向Xに折れ曲がって延びる複数の磁極爪54が周方向Sに等間隔で配置されている。
磁極爪53および54のそれぞれは、軸方向Xに向けて尖る略三角形状をなし、第1多極磁石41におけるN極とS極との組と同数設けられている。第1および第2磁気ヨーク49,50は、軸方向Xに所定間隔を隔てつつ同軸状で位置決めされた状態で保持筒51によって保持されている。この状態では、磁極爪53および54の互いの先端部が軸方向Xにおいて逆向きになり、磁極爪53および54が周方向Sに等しい間隔を保って交互に並んでいる。
第1および第2集磁リング43,44は、軟磁性体を用いて形成された環状の部材である。第1集磁リング43と第2集磁リング44とは、軸方向Xに所定間隔を隔てて、同軸状に配置されている。第1集磁リング43は、第1磁気ヨーク49を径方向外側から非接触で取り囲んで、第1磁気ヨーク49に対して磁気的に結合されている。第2集磁リング44は、第2磁気ヨーク50を径方向外側から非接触で取り囲んで、第2磁気ヨーク50に対して磁気的に結合されている。第1および第2集磁リング43,44は、ハウジング23に取り付けられている。
第1集磁リング43の周上1箇所には、径方向外側へ突出する一対の集磁板55が一体的に設けられている。第2集磁リング44の周上1箇所にも、集磁板55に対向する位置に一対の集磁板56が一体的に設けられている。一対の集磁板55と一対の集磁板56との間に、それぞれ第1ホールIC45および第2ホールIC46が挿入されている。各ホールIC45,46は、ホール素子(図示略)とホール素子の出力信号に対して所定の処理を行う信号処理回路(図示略)とを含む。
補正信号生成ユニット32は、トルク検出ユニット31に対してステアリングホイール2側(図3では上方)に配置されている。
補正信号生成ユニット32は、第1軸14と一体回転する第2多極磁石61と、第2多極磁石61を非接触で取り囲んだ状態で第1軸14と一体回転する第2磁気ヨークアセンブリ62と、第3および第4集磁リング63,64と、第3および第4ホールIC65,66とを備えている。
第2多極磁石61は、第1多極磁石41と同様に、円筒状で樹脂製の保持筒67と、保持筒67の外周面に固定され周方向SにN極とS極とが交互に着磁された円筒磁石68とから構成されている。第2多極磁石61は、第1多極磁石41に対してステアリングホイール2側において、第1軸14に対して同軸状に固定されている。
この実施形態では、第2多極磁石61は、第1多極磁石41と同じ構造を有している。具体的には、第2多極磁石61の保持筒67と第1多極磁石41の保持筒47とは、形状、大きさおよび材質が同じである。また、第2多極磁石61の円筒磁石68と第1多極磁石41の円筒磁石48とは、構造、形状、大きさおよび材質が同じである。
第2磁気ヨークアセンブリ62は、第1磁気ヨークアセンブリ42と同様に、円環状の第3および第4磁気ヨーク69,70と、第3および第4磁気ヨーク69,70を保持する円筒状の樹脂成形品である保持筒71と、保持筒71によって保持された円筒状のカラー72(図3参照)を含む。図3に示すように、第1多極磁石41と第2多極磁石61との間位置において、カラー72が第1軸14の外周に対して圧入されることによって、第2磁気ヨークアセンブリ62は、第1軸14に対して一体回転可能に取り付けられている。
第3および第4磁気ヨーク69,70は、軟磁性体を用いて形成されている。第3磁気ヨーク69の内周には、径方向内側へ突出してから軸方向Xに折れ曲がって延びる複数の磁極爪73が周方向Sに等間隔で配置されている。第4磁気ヨーク70の内周には、径方向内側へ突出してから軸方向Xに折れ曲がって延びる複数の磁極爪74が周方向Sに等間隔で配置されている。
磁極爪73および74のそれぞれは、軸方向Xに向けて尖る略三角形状をなし、第2多極磁石61におけるN極とS極との組と同数設けられている。第3および第4磁気ヨーク69,70は、軸方向Xに所定間隔を隔てつつ同軸状で位置決めされた状態で保持筒71によって保持されている。この状態では、磁極爪73および74の互いの先端部が軸方向Xにおいて逆向きになり、磁極爪73および74が周方向Sに等しい間隔を保って交互に並んでいる。
この実施形態では、第2磁気ヨークアセンブリ62は、第1磁気ヨークアセンブリ42と同じ構造を有している。具体的には、第2磁気ヨークアセンブリ62の第3磁気ヨーク69および第4磁気ヨーク70からなる一対の磁気ヨークと、第1磁気ヨークアセンブリ42の第3磁気ヨーク49および第4磁気ヨーク50からなる一対の磁気ヨークとは、構造、形状、大きさおよび材質が同じである。また、第2磁気ヨークアセンブリ62の保持筒71と、第1磁気ヨークアセンブリ42の保持筒51とは、形状、大きさおよび材質が同じである。また、第2磁気ヨークアセンブリ62のカラー72と、第1磁気ヨークアセンブリ42のカラー52とは、形状、大きさおよび材質が同じである。
第3および第4集磁リング63,64は、軟磁性体を用いて形成された環状の部材である。第3集磁リング63と第4集磁リング64とは、軸方向Xに所定間隔を隔てて、同軸状に配置されている。第3集磁リング63は、第3磁気ヨーク69を径方向外側から非接触で取り囲んで、第3磁気ヨーク69に対して磁気的に結合されている。第4集磁リング64は、第4磁気ヨーク70を径方向外側から非接触で取り囲んで、第4磁気ヨーク70に対して磁気的に結合されている。第3および第4集磁リング63,64は、ハウジング23に取り付けられている。
第3集磁リング63の周上1箇所には、径方向外側へ突出する一対の集磁板75が一体的に設けられている。第4集磁リング64の周上1箇所にも、集磁板75に対向する位置に一対の集磁板76が一体的に設けられている。一対の集磁板75と一対の集磁板76ととの間に、それぞれ第1ホールIC65および第2ホールIC66が挿入されている。 各ホールIC65,66は、ホール素子(図示略)とホール素子の出力信号に対して所定の処理を行う信号処理回路(図示略)とを含む。
この実施形態では、第3集磁リング63および第4集磁リング64からなる一対の集磁リングと、第1集磁リング43および第2集磁リング44からなる一対の集磁リングとは、構造、形状、大きさおよび材質が同じである。また、第3および第4ホールIC65,66の特性は、第1および第2ホールIC45,46の特性と等しい。
図4は、トルク検出ユニット31の動作を説明するための模式図であって、図4Aは、操舵中立状態から一方向にトーションバー16が捩じれた状態を示し、図4Bは、ステアリングホイール2が操舵されていない操舵中立状態を示し、図4Cは、操舵中立状態から図4Aとは反対方向にトーションバー16が捩じれた状態を示している。
図4Bに示す操舵中立状態では、第1磁気ヨーク49の磁極爪53の先端および第2磁気ヨーク50の磁極爪54の先端は、第1多極磁石41におけるN極とS極との境界を指すように配置される。この状態では、各磁気ヨーク49,50の磁極爪53,54には、N極およびS極から同数の磁力線が出入りするため、第1磁気ヨーク49および第2磁気ヨーク50のそれぞれの内部で磁力線が閉じている。よって、第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50との間に磁束が流れることはなく、第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50との間の磁束密度は零のままである。
一方、ステアリングホイール2の操舵によって第1軸14と第2軸15との間に捩じれトルクが入力されてトーションバー16が捩じれると、第1軸14に固定された第1多極磁石41と、第2軸15に固定された第1磁気ヨーク49および第2磁気ヨーク50との相対位置が周方向Sに変化する。これにより、図4Aおよび図4Cに示すように、それぞれの磁極爪53,54の先端がN極とS極との境界に一致しなくなるため、第1磁気ヨーク49および第2磁気ヨーク50のそれぞれでは、NまたはSの極性を有する磁力線が増加する。このとき、第1磁気ヨーク49および第2磁気ヨーク50では、互いに逆の極性を有する磁力線が増加するので、第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50との間に磁束が流れる。つまり、第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50との間に磁束密度が発生する。この磁束密度は、トーションバー16の捩じれ量に略比例し、トーションバー16の捩じれ方向に応じて極性が反転する。
このように第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50との間に磁束密度が発生したとき、第1集磁リング43および第2集磁リング44は、第1磁気ヨーク49と第2磁気ヨーク50で発生した磁束を集磁板55,56まで導く。そのため、集磁板55と集磁板56との間に挿入された第1および第2ホールIC45,46は、それぞれ、第1集磁リング43および第2集磁リング44によって集められた磁束の磁束密度に応じた第1信号V1a,V1bを出力する。
図5は、周囲温度が基準温度Toである場合の操舵トルクに対する第1信号V1a,V1bの変化を示す波形図である。
第1ホールIC45から出力される第1信号V1aは、操舵中立状態では、所定の第1基準電圧V1o(例えば、2.5[v])となる。ステアリングホイール2に右方向の操舵トルクが与えられると、第1信号V1aは第1基準電圧V1oよりも大きくなる。右方向の操舵トルクが大きくなるほど、第1信号V1aは大きくなる。ただし、右方向の操舵トルクが所定値以上となると、第1信号V1aは一定値となる。ステアリングホイール2に左方向の操舵トルクが与えられると、第1信号V1aは第1基準電圧V1oよりも小さくなる。左方向の操舵トルクが大きくなるほど、第1信号V1aは小さくなる。ただし、左方向の操舵トルクが所定値以上となると、第1信号V1aは一定値となる。
第2ホールIC46から出力される第1信号V1bは、操舵中立状態では、前記第1基準電圧V1o(例えば、2.5[v])となる。この実施形態では、第1信号V1bの傾きは、第1信号V1aの傾きに対して符号が逆となる特性を有している。この実施形態では、第1ホールIC45から出力される第1信号V1aはトルク演算用信号として用いられ、第2ホールIC46から出力される第1信号1bは第1ホールIC45の故障判定用信号として用いられる。
周囲温度が基準温度Toよりも高くなると、周囲温度が基準温度Toである場合に比べて磁力が低下する。このため、各ホールIC45,46から出力される第1信号V1a,V1bは小さくなり、第1信号V1a,V1bの傾きが小さく(緩やかに)なる。このため、第1信号V1aをそのまま用いて操舵トルクを演算(検出)した場合には、操舵トルク演算値(操舵トルク検出値)の絶対値は、実際の操舵トルクの絶対値よりも小さくなる。
一方、周囲温度が基準温度Toよりも小さく低くなると、周囲温度が基準温度Toである場合に比べて磁力が増加する。このため、各ホールIC45,46から出力される第1信号V1a,V1bは大きくなり、第1信号V1a,V1bの傾きが大きく(急峻)となる。このため、第1信号V1aをそのまま用いて操舵トルクを演算(検出)した場合には、操舵トルク演算値(操舵トルク検出値)の絶対値は実際の操舵トルクの絶対値よりも大きくなる。
補正信号生成ユニット32においては、第2多極磁石61および第2磁気ヨークアセンブリ62は、共に第1軸14と一体的に回転する。したがって、第2多極磁石61と第3および第4磁気ヨーク69,70の磁極爪73,74との相対位置関係は、トーションバー16の捩れ量に拘わらず変化しない。第2多極磁石61および第2磁気ヨークアセンブリ62は、第3および第4磁気ヨーク69,70の磁極爪73,74の先端が第2多極磁石61のN極とS極との境界に一致しない状態となるように、第1軸14に取り付けられている。したがって、第3磁気ヨーク69と第4磁気ヨーク70との間には、常に磁束密度が発生している。
第3集磁リング63および第4集磁リング64は、第3磁気ヨーク69と第4磁気ヨーク70で発生した磁束を集磁板75,76まで導く。そのため、集磁板75と集磁板76との間に挿入された第3および第4ホールIC65,66は、それぞれ、第3集磁リング63および第4集磁リング64によって集められた磁束の磁束密度に応じた第2信号V2a,V2bを出力する。
図6は、周囲温度に対する第2信号V2aの変化を示す波形図である。
周囲温度が基準温度Toである場合には、第3ホールIC65から出力される第2信号V2aは、所定の第2基準電圧V2oとなる。第2信号V2aは、周囲温度が低くなるほど低くなる。なお、第4ホールIC66から出力される第2信号V2bは、第3ホールIC65から出力される第2信号V2aとほぼ等しい。
図7は、ECU20の電気的構成を示すブロック図である。
ECU20は、電動モータ19を制御するためのマイクロコンピュータ81と、マイクロコンピュータ81によって制御され、電動モータ19に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)82と、電動モータ19に流れるモータ電流を検出する電流検出回路83とを含んでいる。
マイクロコンピュータ81は、CPUおよびメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することにより、複数の機能処理部として機能する。この複数の機能処理部には、操舵トルク演算部(信号補正手段)91と、モータ制御部92とが含まれる。
操舵トルク演算部91は、周囲温度が基準温度Toである場合の第1信号V1aと操舵トルクとの関係を記憶したトルクマップを記憶している。また、操舵トルク演算部91は、周囲温度が基準温度Toである場合の第2信号V2aである第2基準電圧V2o(図6参照)を記憶している。操舵トルク演算部91は、トルク検出ユニット31から出力される第1信号V1a,V1bの一方(この例ではV1a)と、補正信号生成ユニット32から出力される第2信号V2a,V2bの一方(この例ではV2a)と、トルクマップとに基づいて、操舵トルクを演算する。
図8は、操舵トルク演算部91の動作を示すフローチャートである。図7の処理は、所定の演算周期毎に繰り返し実行される。
まず、操舵トルク演算部91は、第1信号値V1a,V1bおよび第2信号値V2a,V2bを取り込む(ステップS1)。
次に、操舵トルク演算部91は、次式(1)に基づいて、温度補正値ΔV2を演算する(ステップS2)。
ΔV2=V2a−V2o …(1)
前記式(1)において、V2oは予め記憶されている第2基準電圧V2oであり、V2aはステップS1出取り込んだ第2信号値V2aである。
次に、操舵トルク演算部91は、次式(2)に基づいて、第1信号値V1aを補正する(ス
テップS3)。
V1a’=V1a−ΔV2 …(2)
前記式(2)において、V1aはステップS1で取り込んだ第1信号値V1aであり、ΔV2VはステップS2で演算された温度補正値ΔV2である。
次に、操舵トルク演算部91は、トルクマップから補正後の第1信号値V1a’に対応する操舵トルクを読み出すことにより、操舵トルクThを求める(ステップS4)。この操舵トルクThは、モータ制御部92に与えられる。そして、操舵トルク演算部91は、今演算周期の処理を終了する。
例えば、周囲温度が基準温度Toよりも高い場合には、第2信号値V2aは第2基準電圧V2oよりも所定値(例えばα[V](α>0))だけ小さくなるため、温度補正値ΔV2は零よりも小さな値となる。この場合には、第1信号値V1aは周囲温度が基準温度Toである場合に比べてほぼα[V]だけ小さな値となる。しかしながら、補正後の第1信号値V1a’は第1信号値V1aよりα[V]だけ大きな値となるため、補正後の第1信号値V1a’は周囲温度が基準温度Toである場合の第1信号値V1aとほぼ等しくなる。この補正後の第1信号値V1a’に基づいて操舵トルクThが求められているので、正確な操舵トルクThが得られる。
モータ制御部92は、車速センサ18によって検出される車速Spと、操舵トルク演算部91によって演算される操舵トルクThと、電流検出回路83によって検出されるモータ電流とに基づいて、駆動回路82を制御する。具体的には、モータ制御部92は、車速Spと操舵トルクThとに基づいて、電動モータ19に流れるモータ電流の目標値である目標電流値を設定する。そして、電流検出回路83によって検出されるモータ電流が目標電流値に近づくように、駆動回路82を制御する。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、補正信号生成ユニット32の第2多極磁石61および第2磁気ヨークアセンブリ62は、第1軸14に一体回転可能に取り付けられているが、第2多極磁石61および第2磁気ヨークアセンブリ62は、第2軸15に一体回転可能に取り付けられてもよい。
また、前述の実施形態では、トルク検出ユニット31には2つのホールIC45,46が設けられているが、いずれか一方のホールICのみが設けられていてもよい。
また、前述の実施形態では、補正信号生成ユニット32には2つのホールIC65,66が設けられているが、いずれか一方のホールICのみが設けられていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
14…第1軸、15…第2軸、16…トーションバー、17…トルク検出装置、31…トルク検出ユニット、32…補正信号生成ユニット、41…第1多極磁石、42…第1磁気ヨークアセンブリ、43,44…集磁リング、45,46…ホールIC、49…第1磁気ヨーク、50…第2磁気ヨーク、53,54…磁極爪、61…第2多極磁石、62…第2磁気ヨークアセンブリ、63,64…集磁リング、65,66…ホールIC、69…第3磁気ヨーク、70…第4磁気ヨーク、73,74…磁極爪、91…操舵トルク演算部

Claims (3)

  1. 第1軸および第2軸を相対回転可能に連結する弾性部材と、
    前記弾性部材の捩れ方向および捩れ量に応じた第1信号値を生成するトルク検出ユニットと、
    前記トルク検出ユニットに生成される第1信号値を温度補正するための第2信号値を生成する補正信号生成ユニットとを含み、
    前記トルク検出ユニットは、
    前記第1軸に対して同軸状に固定され、周方向にN極とS極とが交互に着磁された第1磁石と、
    前記第2軸に対して同軸状に固定されるとともに前記第1磁石を非接触で取り囲む環状をなす一対の磁気ヨークであって、周方向に等間隔で並ぶ複数の爪がそれぞれに設けられていて、互いの爪が周方向に交互に並ぶように対向配置されている第1および第2磁気ヨークと、
    前記第1および第2磁気ヨークに発生する磁束の密度に応じた第1信号値を生成する第1磁気検出手段とを含み、
    前記補正信号生成ユニットは、
    前記第1軸および前記第2軸のうちのいずれか一方の軸に対して同軸状に固定され、周方向にN極とS極とが交互に着磁された第2磁石と、
    前記第2磁石が固定された前記一方の軸に対して同軸状に固定されるとともに前記第2磁石を非接触で取り囲む環状をなす一対の磁気ヨークであって、周方向に等間隔で並ぶ複数の爪がそれぞれに設けられていて、互いの爪が周方向に交互に並ぶように対向配置されている第3および第4磁気ヨークと、
    前記第3および第4磁気ヨークに発生する磁束の密度に応じた第2信号値を生成する第2磁気検出手段とを含む、トルク検出装置。
  2. 前記トルク検出ユニットに生成される第1信号値を、前記補正信号生成ユニットによって生成される第2信号値を用いて補正する信号補正手段をさらに含む、請求項1に記載のトルク検出装置。
  3. 前記第1磁石と前記第2磁石とは、構造、形状、大きさおよび材質が同じであり、前記第1および第2磁気ヨークからなる一対の磁気ヨークと前記第3および第4磁気ヨークからなる一対の磁気ヨークとは、構造、形状、大きさおよび材質が同じである、請求項1または2に記載のトルク検出装置。
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