JP2017082843A - 車両構成部品同士の締結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに隣接しかつ一方が繊維強化樹脂により構成された車両構成部品同士を強固に締結することが容易な車両構成部品同士の締結構造を提供する。【解決手段】スペーサ15の第一部材10との接触面を粗面とした上で、接触面を第一部材に対して密着状態で固定し、スペーサが第二部材12と接触することにより、第二部材の第一フランジ17側から第二フランジ18側への移動を規制し、第二フランジに対する相対移動が規制されたボルト20のネジ部22が、筒状部16の内部を通り抜けて第二フランジ側の端部から筒状部の外側に突出し、ネジ部の筒状部の外側に突出した部位に対して螺合させたナット23が第二フランジに圧接する。【選択図】図3
Description
本発明は車両構成部品同士の締結構造に関する。
従来から互いに隣接する車両構成部品同士をボルト及びナットを利用して締結することが行われている。これらの車両構成部品は金属により構成するのが一般的である。
しかし近年は車両に対して軽量化が要求されている。そのため、互いに隣接する車両構成部品の一方である第一部材を繊維強化樹脂製とし、他方である第二部材を金属製とした上で、第一部材と第二部材とを金属製のボルト及びナットを利用して締結することが行われている。
しかし近年は車両に対して軽量化が要求されている。そのため、互いに隣接する車両構成部品の一方である第一部材を繊維強化樹脂製とし、他方である第二部材を金属製とした上で、第一部材と第二部材とを金属製のボルト及びナットを利用して締結することが行われている。
特許文献1は、この種の技術の従来例である。
特許文献1では、繊維強化樹脂製の板状部材である第一部材に形成された第一貫通孔に対して、第一部材の一方の面側から第一ナット半体を挿入し、第一部材の他方の面側から第二ナット半体を挿入する。第一ナット半体は第一部材の一方の面と対向する第一フランジを備えており、第二ナット半体は第一部材の他方の面と対向する第二フランジを備えている。さらに第一ナット半体には雌ネジ孔が形成されており、第二ナット半体には雌ネジ孔と同軸をなす貫通孔が形成されている。
第二フランジには、第一部材と平行をなす金属製の板状部材である第二部材が接触している。第二部材に形成された第二貫通孔は、第一ナット半体の雌ネジ孔及び第二ナット半体の貫通孔と同軸をなしている。
特許文献1では、繊維強化樹脂製の板状部材である第一部材に形成された第一貫通孔に対して、第一部材の一方の面側から第一ナット半体を挿入し、第一部材の他方の面側から第二ナット半体を挿入する。第一ナット半体は第一部材の一方の面と対向する第一フランジを備えており、第二ナット半体は第一部材の他方の面と対向する第二フランジを備えている。さらに第一ナット半体には雌ネジ孔が形成されており、第二ナット半体には雌ネジ孔と同軸をなす貫通孔が形成されている。
第二フランジには、第一部材と平行をなす金属製の板状部材である第二部材が接触している。第二部材に形成された第二貫通孔は、第一ナット半体の雌ネジ孔及び第二ナット半体の貫通孔と同軸をなしている。
ボルトの頭部は第二部材に接触しており、ボルトのネジ部は第二部材に形成された第二貫通孔及び第二ナット半体の貫通孔を貫通しかつ第一ナット半体の雌ネジ孔と螺合している。
ボルトのネジ部の雌ネジ孔に対する螺合量を大きくすると、第一ナット半体と第二ナット半体が互いに接近する方向に相対移動する。その結果、第一部材の第一貫通孔の内部において第一ナット半体と第二ナット半体が互いに圧接する。さらに、第一ナット半体の第一フランジが第一部材の一方の面に圧接し、第二ナット半体の第二フランジが第二部材の他方の面に圧接する。さらに第二フランジに対して第二部材が圧接する。
そのため、第一部材と第二部材が互いに強固に固定される。
ボルトのネジ部の雌ネジ孔に対する螺合量を大きくすると、第一ナット半体と第二ナット半体が互いに接近する方向に相対移動する。その結果、第一部材の第一貫通孔の内部において第一ナット半体と第二ナット半体が互いに圧接する。さらに、第一ナット半体の第一フランジが第一部材の一方の面に圧接し、第二ナット半体の第二フランジが第二部材の他方の面に圧接する。さらに第二フランジに対して第二部材が圧接する。
そのため、第一部材と第二部材が互いに強固に固定される。
しかし繊維強化樹脂製である第一部材の耐クリープ性、即ち第一ナット半体(第一フランジ)と第二ナット半体(第二フランジ)に対する限界面圧は大きくない。
そのため、第一部材と第二部材との締結力を大きくするためにボルトのネジ部の雌ネジ孔に対する螺合量を大きくし過ぎると、第一部材の第一フランジ及び第二フランジに対する接触部が塑性変形を起こすおそれがある。
仮に第一部材が塑性変形を起こすと、第一フランジ及び第二フランジと第一部材との間の圧接力が低下するため、ボルトとナットの第一部材及び第二部材に対する軸力(締付力)が低下してしまう。
そのため、第一部材と第二部材との締結力を大きくするためにボルトのネジ部の雌ネジ孔に対する螺合量を大きくし過ぎると、第一部材の第一フランジ及び第二フランジに対する接触部が塑性変形を起こすおそれがある。
仮に第一部材が塑性変形を起こすと、第一フランジ及び第二フランジと第一部材との間の圧接力が低下するため、ボルトとナットの第一部材及び第二部材に対する軸力(締付力)が低下してしまう。
そのため、特許文献1の締結構造において第一部材と第二部材とを互いに強固に締結するためには、ボルトと雌ネジ孔の螺合量を適当量にする必要がある。換言すると、第一ナット半体の第一フランジと第二半体の第二フランジが第一部材の両面に適度な大きさで圧接しかつ第二フランジに対して第二部材が適度な大きさで圧接するように、ボルトとナットの螺合量を調整する必要がある。
しかし特許文献1におけるボルトとナットの螺合量の「適当量」の範囲は大きくない。
そのため、ボルトとナットを用いて第一部材と第二部材を強固に締結するのが容易でない。
しかし特許文献1におけるボルトとナットの螺合量の「適当量」の範囲は大きくない。
そのため、ボルトとナットを用いて第一部材と第二部材を強固に締結するのが容易でない。
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、互いに隣接しかつ一方が繊維強化樹脂により構成された車両構成部品同士を強固に締結することが容易な車両構成部品同士の締結構造を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の車両構成部品同士の締結構造は、
車両構成部品である繊維強化樹脂製の第一部材(10)と、前記第一部材とは別体の車両構成部品である金属製の第二部材(12)とを、前記第一部材に形成された第一貫通孔(11)に装着した金属製のスペーサ(15、15’、15’’、15’’’)を用いながら締結する締結構造において、
前記スペーサが、
前記第一貫通孔の内周面に接触しながら前記第一貫通孔を貫通しかつ両端が開口する筒状部(16)と、
前記筒状部の一端に固定されかつ前記第一貫通孔の外側に位置する第一フランジ(17)と、
前記筒状部の他端に固定されかつ前記第一フランジとの間で前記第一部材を挟み込む第二フランジ(18)と、
を一体的に備え、
前記スペーサの前記第一部材との接触面を粗面とした上で、前記接触面を前記第一部材に対して密着状態で固定し、
前記スペーサが前記第二部材と接触することにより、前記第二部材の前記第一フランジ側から前記第二フランジ側への移動を規制し、
前記第二フランジに対する相対移動が規制されたボルト(20、31)のネジ部(22、31)が、前記筒状部の内部を通り抜けて前記第二フランジ側の端部から前記筒状部の外側に突出し、
前記ネジ部の前記筒状部の外側に突出した部位に対して螺合させたナット(23、32)が前記第二フランジに圧接する。
車両構成部品である繊維強化樹脂製の第一部材(10)と、前記第一部材とは別体の車両構成部品である金属製の第二部材(12)とを、前記第一部材に形成された第一貫通孔(11)に装着した金属製のスペーサ(15、15’、15’’、15’’’)を用いながら締結する締結構造において、
前記スペーサが、
前記第一貫通孔の内周面に接触しながら前記第一貫通孔を貫通しかつ両端が開口する筒状部(16)と、
前記筒状部の一端に固定されかつ前記第一貫通孔の外側に位置する第一フランジ(17)と、
前記筒状部の他端に固定されかつ前記第一フランジとの間で前記第一部材を挟み込む第二フランジ(18)と、
を一体的に備え、
前記スペーサの前記第一部材との接触面を粗面とした上で、前記接触面を前記第一部材に対して密着状態で固定し、
前記スペーサが前記第二部材と接触することにより、前記第二部材の前記第一フランジ側から前記第二フランジ側への移動を規制し、
前記第二フランジに対する相対移動が規制されたボルト(20、31)のネジ部(22、31)が、前記筒状部の内部を通り抜けて前記第二フランジ側の端部から前記筒状部の外側に突出し、
前記ネジ部の前記筒状部の外側に突出した部位に対して螺合させたナット(23、32)が前記第二フランジに圧接する。
本発明では、ボルトとナットが発生する軸力によって、第二部材がスペーサに対して固定されている。さらにスペーサと第一部材が互いに固定されている。
さらに、スペーサの第一部材との接触面を粗面とした上で、この接触面を第一部材に対して固着している。即ち、スペーサの当該接触面と第一部材との間においてアンカー効果を得ている。従って、スペーサの第一部材との接触面を粗面としない場合と比べて、スペーサの接触面と第一部材との間の固着力が大きくなっている。
従って、繊維強化樹脂により構成された第一部材と第二部材とをボルトとナットを利用して強固に固定できる。
さらに、スペーサの第一部材との接触面を粗面とした上で、この接触面を第一部材に対して固着している。即ち、スペーサの当該接触面と第一部材との間においてアンカー効果を得ている。従って、スペーサの第一部材との接触面を粗面としない場合と比べて、スペーサの接触面と第一部材との間の固着力が大きくなっている。
従って、繊維強化樹脂により構成された第一部材と第二部材とをボルトとナットを利用して強固に固定できる。
さらにボルトとナットの軸力が極度に大きくならない限り、第一フランジと第二フランジの距離は不変であり、第一フランジ及び第二フランジと第一部材との間の面圧が増大することはない。さらに金属製のナット及びボルトの頭部は繊維強化樹脂製である第一部材に対して直接接触しない。従って、第一部材と第二部材との締結力を大きくするためにボルトのネジ部のナットに対する螺合量を大きくしても、繊維強化樹脂製である第一部材の第一フランジ及び第二フランジに対する接触部が塑性変形を起こすおそれは小さい。そのため、第一部材の塑性変形に起因して、ナット及びボルトの軸力(締付力)が低下するおそれは小さい。
従って、ボルトとナットの螺合量が多少大きくなっても、ボルトとナットの第一部材及び第二部材に対する軸力(締付力)が低下するおそれは小さい。換言すると、第一部材と第二部材を強固に締結可能なボルトとナットの螺合量である「適当量」の範囲が大きい。
そのため、繊維強化樹脂により構成された第一部材と第二部材とを強固に締結することが容易である。
従って、ボルトとナットの螺合量が多少大きくなっても、ボルトとナットの第一部材及び第二部材に対する軸力(締付力)が低下するおそれは小さい。換言すると、第一部材と第二部材を強固に締結可能なボルトとナットの螺合量である「適当量」の範囲が大きい。
そのため、繊維強化樹脂により構成された第一部材と第二部材とを強固に締結することが容易である。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る車両構成部品同士の締結構造について説明する。
本締結構造は、車両のサスペンションの構成部品である第一部材10と第二部材12とをボルト20及びナット23を用いて締結するものである。本実施形態の第一部材10はサスペンションアームであり、第二部材12はキャリア(ナックル)である。
第一部材10はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)により成形された一体成形品である。第一部材10には断面円形をなす第一貫通孔11が形成されている。
第二部材12は金属により成形された一体成形品である。第二部材12には断面円形をなす第二貫通孔13が形成されている。
第一部材10はCFRP(炭素繊維強化プラスチック)により成形された一体成形品である。第一部材10には断面円形をなす第一貫通孔11が形成されている。
第二部材12は金属により成形された一体成形品である。第二部材12には断面円形をなす第二貫通孔13が形成されている。
金属製の一体成形品であるスペーサ15は、円筒状をなし両端が開口する筒状部16と、筒状部16の両端にそれぞれ固定された第一フランジ17及び第二フランジ18と、を具備している。筒状部16の内部を貫通する貫通孔の断面形状は円形であり、筒状部16の軸線方向のいずれの位置においてもその径は一定である。図1及び図2に示すように第一フランジ17及び第二フランジ18は共に同径の環状である。さらに第一フランジ17及び第二フランジ18は、筒状部16の軸線に対して直交する平面と平行である。また、スペーサ15を構成する金属としては例えば鉄やSUSを利用可能である。
さらにスペーサ15の筒状部16の外周面(図4参照)及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面(図2における第一フランジ17の下面と第二フランジ18の上面)には、エッチング処理により微小な凹凸19が多数形成されている。即ち、スペーサ15のこれらの面は、スペーサ15の表面の他の部位よりも表面粗さが粗い粗面により構成されている。
さらにスペーサ15の筒状部16の外周面(図4参照)及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面(図2における第一フランジ17の下面と第二フランジ18の上面)には、エッチング処理により微小な凹凸19が多数形成されている。即ち、スペーサ15のこれらの面は、スペーサ15の表面の他の部位よりも表面粗さが粗い粗面により構成されている。
図3に示すように、第一部材10とスペーサ15は一体化している。より詳細には、スペーサ15の筒状部16が第一部材10の第一貫通孔11を貫通しており、第一フランジ17と第二フランジ18が第一部材10の両面に対してそれぞれ接触している。
第一部材10は、スペーサ15を図示を省略した成形型内に配設しながら第一部材10の原料である樹脂材料を成形型内に射出するインサート成形によって製造される。本実施形態の第一部材10の原料中の樹脂材料は熱硬化性樹脂である。そのため、成形型内で当該原料に対して熱を加えると、当該原料が硬化して第一部材10を構成する。第一部材10が成形型内で硬化した後で成形型を型開きすると、成形型の内部から図示する第一部材10とスペーサ15の一体物が現れる。
インサート成形された第一部材10の第一貫通孔11の内周面は筒状部16の外周面に密着状態で固着しており、さらに第一部材10の両面の第一貫通孔11周辺部は第一フランジ17と第二フランジ18の対向面に対してそれぞれ密着状態で固着している。上記のように、筒状部16の外周面及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面には多数の微小な凹凸19が形成されている。従って、図4に示すように、第一部材10の第一貫通孔11の内周面及び第一部材10の両面の第一貫通孔11周辺部は、スペーサ15側の凹凸19の間に入り込んだ状態でスペーサ15の表面に固着している。そのため、第一部材10とスペーサ15との間の固着力は、筒状部16の外周面及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面に凹凸19を形成しない場合に比べて大きい。
第一部材10は、スペーサ15を図示を省略した成形型内に配設しながら第一部材10の原料である樹脂材料を成形型内に射出するインサート成形によって製造される。本実施形態の第一部材10の原料中の樹脂材料は熱硬化性樹脂である。そのため、成形型内で当該原料に対して熱を加えると、当該原料が硬化して第一部材10を構成する。第一部材10が成形型内で硬化した後で成形型を型開きすると、成形型の内部から図示する第一部材10とスペーサ15の一体物が現れる。
インサート成形された第一部材10の第一貫通孔11の内周面は筒状部16の外周面に密着状態で固着しており、さらに第一部材10の両面の第一貫通孔11周辺部は第一フランジ17と第二フランジ18の対向面に対してそれぞれ密着状態で固着している。上記のように、筒状部16の外周面及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面には多数の微小な凹凸19が形成されている。従って、図4に示すように、第一部材10の第一貫通孔11の内周面及び第一部材10の両面の第一貫通孔11周辺部は、スペーサ15側の凹凸19の間に入り込んだ状態でスペーサ15の表面に固着している。そのため、第一部材10とスペーサ15との間の固着力は、筒状部16の外周面及び第一フランジ17と第二フランジ18の対向面に凹凸19を形成しない場合に比べて大きい。
第二部材12は、第二貫通孔13が筒状部16と同軸をなすように第一フランジ17に接触させてある。
そして、金属製のボルト20のネジ部22が第二貫通孔13及び筒状部16の内部を貫通しており、ボルト20の頭部21が第二部材12に接触している。ネジ部22の先端部は、筒状部16の第二フランジ18側の端部からスペーサ15の外側に突出している。さらにネジ部22の第二フランジ18側の端部には金属製のナット23が螺合している。
そしてボルト20とナット23が発生する軸力(締付力)によって、頭部21が第二部材12に圧接しかつナット23が第二フランジ18に圧接している。
そして、金属製のボルト20のネジ部22が第二貫通孔13及び筒状部16の内部を貫通しており、ボルト20の頭部21が第二部材12に接触している。ネジ部22の先端部は、筒状部16の第二フランジ18側の端部からスペーサ15の外側に突出している。さらにネジ部22の第二フランジ18側の端部には金属製のナット23が螺合している。
そしてボルト20とナット23が発生する軸力(締付力)によって、頭部21が第二部材12に圧接しかつナット23が第二フランジ18に圧接している。
本実施形態の締結構造では、ボルト20とナット23が発生する軸力によって第二部材12を第一フランジ17に対して圧接することにより、第二部材12をスペーサ15に対して固定している。さらにスペーサ15と第一部材10とが互いに固定されている。
さらに、スペーサ15の第一部材10との接触面を多数の凹凸19を有する粗面とした上で、この接触面を第一部材10に対して固着している。即ち、スペーサ15の当該接触面と第一部材10との間においてアンカー効果を得ている。従って、スペーサ15の第一部材10との接触面を粗面としない場合と比べて、スペーサ15と第一部材10との間の固着力が大きくなっている。
従って、CFRP製の第一部材10と金属製の第二部材12とをボルト20及びナット23を利用して強固に固定できる。
さらに、スペーサ15の第一部材10との接触面を多数の凹凸19を有する粗面とした上で、この接触面を第一部材10に対して固着している。即ち、スペーサ15の当該接触面と第一部材10との間においてアンカー効果を得ている。従って、スペーサ15の第一部材10との接触面を粗面としない場合と比べて、スペーサ15と第一部材10との間の固着力が大きくなっている。
従って、CFRP製の第一部材10と金属製の第二部材12とをボルト20及びナット23を利用して強固に固定できる。
さらにボルト20とナット23の軸力が極度に大きくならない限り、スペーサ15の第一フランジ17と第二フランジ18との距離は不変であり、第一フランジ17及び第二フランジ18と第一部材10との間の面圧が増大することはない。さらに金属製のナット23及びボルト20の頭部21はCFRP製である第一部材10に対して直接接触していない。従って、第一部材10と第二部材12との締結力を大きくするためにナット23のボルト20のネジ部22に対する螺合量を大きくしても、第一部材10の第一フランジ17及び第二フランジ18に対する接触部が塑性変形を起こすおそれは小さい。
従って、ボルト20とナット23の螺合量が多少大きくなっても、ボルト20とナット23の第一部材10及び第二部材12に対する軸力が低下するおそれは小さい。換言すると、第一部材10と第二部材12を強固に締結可能なボルト20とナット23の螺合量である「適当量」の範囲が大きい。
そのため、CFRP製の第一部材10と金属製の第二部材12とを強固に締結することが容易である。
従って、ボルト20とナット23の螺合量が多少大きくなっても、ボルト20とナット23の第一部材10及び第二部材12に対する軸力が低下するおそれは小さい。換言すると、第一部材10と第二部材12を強固に締結可能なボルト20とナット23の螺合量である「適当量」の範囲が大きい。
そのため、CFRP製の第一部材10と金属製の第二部材12とを強固に締結することが容易である。
なお、ボルト20とナット23の螺合量を「適当量」を超えた大きさにすると、ボルト20とナット23の軸力によりスペーサ15の第一フランジ17と第二フランジ18が互いに接近する方向に変形するおそれがある。仮に第一フランジ17と第二フランジ18がこのように変形すると、第一フランジ17及び第二フランジ18から第一部材10の両面に対して過剰に強い圧接力が及ぶ。
しかし第一部材10とスペーサ15との間の固着力が大きいため、このような場合においても第一部材10がスペーサ15から剥離するおそれは小さい。
しかし第一部材10とスペーサ15との間の固着力が大きいため、このような場合においても第一部材10がスペーサ15から剥離するおそれは小さい。
以上、本発明を上記実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、図5及び図6に示す第一の変形例の態様で実施してもよい。
この変形例のスペーサ15’の筒状部16の外周面には、第一フランジ17と第二フランジ18の間に位置する中間フランジ25が突設されている。中間フランジ25は環状でありかつ第一フランジ17及び第二フランジ18と平行である。但し、中間フランジ25の外径は第一フランジ17及び第二フランジ18より小さい。
このスペーサ15’に対して第一部材10をインサート成形により一体化すると、スペーサ15’と第一部材10との接触面積がスペーサ15と第一部材10との接触面積より大きくなる。そのため、スペーサ15’と第一部材10との間の固着力が上記実施形態と比べて大きくなる。
この変形例のスペーサ15’の筒状部16の外周面には、第一フランジ17と第二フランジ18の間に位置する中間フランジ25が突設されている。中間フランジ25は環状でありかつ第一フランジ17及び第二フランジ18と平行である。但し、中間フランジ25の外径は第一フランジ17及び第二フランジ18より小さい。
このスペーサ15’に対して第一部材10をインサート成形により一体化すると、スペーサ15’と第一部材10との接触面積がスペーサ15と第一部材10との接触面積より大きくなる。そのため、スペーサ15’と第一部材10との間の固着力が上記実施形態と比べて大きくなる。
また図7及び図8に示す第二の変形例の態様で実施してもよい。
この変形例のスペーサ15’’の構造はスペーサ15’と殆ど同じである。但し、図8に示すように、第一フランジ17、第二フランジ18及び中間フランジ25と筒状部16の外周面との間の接続箇所の断面形状がスペーサ15’とは異なる。即ち、スペーサ15’とスペーサ15’’のいずれにおいても、これらの接続箇所の断面形状は略円弧形である。しかし、スペーサ15’’の当該接続箇所の断面形状の方がスペーサ15’と比べて曲率が小さい(曲率半径が大きい)。
そのためインサート成形により第一部材10をスペーサ15’’と一体化するときに、成形型内において第一部材10の原料がこれらの接続箇所に確実に流れるようにすることが可能である。従って、第一部材10とスペーサ15’’とをより確実に固着させることが可能である。
この変形例のスペーサ15’’の構造はスペーサ15’と殆ど同じである。但し、図8に示すように、第一フランジ17、第二フランジ18及び中間フランジ25と筒状部16の外周面との間の接続箇所の断面形状がスペーサ15’とは異なる。即ち、スペーサ15’とスペーサ15’’のいずれにおいても、これらの接続箇所の断面形状は略円弧形である。しかし、スペーサ15’’の当該接続箇所の断面形状の方がスペーサ15’と比べて曲率が小さい(曲率半径が大きい)。
そのためインサート成形により第一部材10をスペーサ15’’と一体化するときに、成形型内において第一部材10の原料がこれらの接続箇所に確実に流れるようにすることが可能である。従って、第一部材10とスペーサ15’’とをより確実に固着させることが可能である。
図9は第三の変形例を示している。
この変形例の第一部材10はキャリアであり、第二部材12は金属製のボールジョイントである。
図示するようにこのスペーサ15’’’の貫通孔の内周面は、第一フランジ17側から第二フランジ18側に向かうにつれて徐々に縮径するテーパ面26によって構成されている。
さらに本変形例の第二部材12は、軸部29と、軸部29の一端に固定された球体部30と、軸部29の他端に固定されたボルト31と、を一体的に有する。軸部29の外周面はテーパ面26と同一傾斜角のテーパ面により構成されている。第二部材12の軸部29は第一フランジ17側からスペーサ15’’’の貫通孔に挿入されており、軸部29の外周面がテーパ面26に接触することにより、第二部材12の第二フランジ18側へのそれ以上の移動が規制されている。
第二部材12のボルト31は筒状部16の貫通孔を通り抜けて、第二フランジ18側の端部からスペーサ15’’’の外側に突出している。ボルト31には第二フランジ18の外側に位置する金属製のナット32が螺合されている。
そしてボルト31とナット32が発生する軸力(締付力)によって、第二部材12(軸部29)のスペーサ15’’’(テーパ面26)に対する第一フランジ17側への相対移動が規制されている。即ち、第二部材12がスペーサ15’’’を介して第一部材10に固定されている。
なお、第二部材12の球体部30には図示を省略したサスペンションの構成部品であるタイバーに形成された球体受け部(凹部)が回転可能に装着される。
この変形例の第一部材10はキャリアであり、第二部材12は金属製のボールジョイントである。
図示するようにこのスペーサ15’’’の貫通孔の内周面は、第一フランジ17側から第二フランジ18側に向かうにつれて徐々に縮径するテーパ面26によって構成されている。
さらに本変形例の第二部材12は、軸部29と、軸部29の一端に固定された球体部30と、軸部29の他端に固定されたボルト31と、を一体的に有する。軸部29の外周面はテーパ面26と同一傾斜角のテーパ面により構成されている。第二部材12の軸部29は第一フランジ17側からスペーサ15’’’の貫通孔に挿入されており、軸部29の外周面がテーパ面26に接触することにより、第二部材12の第二フランジ18側へのそれ以上の移動が規制されている。
第二部材12のボルト31は筒状部16の貫通孔を通り抜けて、第二フランジ18側の端部からスペーサ15’’’の外側に突出している。ボルト31には第二フランジ18の外側に位置する金属製のナット32が螺合されている。
そしてボルト31とナット32が発生する軸力(締付力)によって、第二部材12(軸部29)のスペーサ15’’’(テーパ面26)に対する第一フランジ17側への相対移動が規制されている。即ち、第二部材12がスペーサ15’’’を介して第一部材10に固定されている。
なお、第二部材12の球体部30には図示を省略したサスペンションの構成部品であるタイバーに形成された球体受け部(凹部)が回転可能に装着される。
第一部材10と第二部材12を上記以外のサスペンション部品としてもよい。例えば、第一部材10をキャリアとし第二部材12をハブベアリングとしてもよい。
さらに第一部材10と第二部材12をサスペンション部品以外の車両構成部品としてもよい。
第一部材10をCFRP以外の繊維強化樹脂により構成してもよい。例えばGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)により第一部材10を構成してもよい。
10・・・第一部材、11・・・第一貫通孔、12・・・第二部材、13・・・第二貫通孔、15、15’、15’’、15’’’・・・スペーサ、16・・・筒状部、17・・・第一フランジ、18・・・第二フランジ、19・・・凹凸、20・・・ボルト、21・・・頭部、22・・・ネジ部、23・・・ナット、25・・・中間フランジ、26・・・テーパ面、29・・・軸部、30・・・球体部、31・・・ボルト(ネジ部)、32・・・ナット。
Claims (1)
- 車両構成部品である繊維強化樹脂製の第一部材と、前記第一部材とは別体の車両構成部品である金属製の第二部材とを、前記第一部材に形成された第一貫通孔に装着した金属製のスペーサを用いながら締結する締結構造において、
前記スペーサが、
前記第一貫通孔の内周面に接触しながら前記第一貫通孔を貫通しかつ両端が開口する筒状部と、
前記筒状部の一端に固定されかつ前記第一貫通孔の外側に位置する第一フランジと、
前記筒状部の他端に固定されかつ前記第一フランジとの間で前記第一部材を挟み込む第二フランジと、
を一体的に備え、
前記スペーサの前記第一部材との接触面を粗面とした上で、前記接触面を前記第一部材に対して密着状態で固定し、
前記スペーサが前記第二部材と接触することにより、前記第二部材の前記第一フランジ側から前記第二フランジ側への移動を規制し、
前記第二フランジに対する相対移動が規制されたボルトのネジ部が、前記筒状部の内部を通り抜けて前記第二フランジ側の端部から前記筒状部の外側に突出し、
前記ネジ部の前記筒状部の外側に突出した部位に対して螺合させたナットが前記第二フランジに圧接する、車両構成部品同士の締結構造。
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2015
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