電動液中ポンプは、地下深くに埋まっている石油や熱水等の液体を地上にまで汲み上げるために使用することがある。このような電動液中ポンプは、地下数千メートルの位置に配置されることが多い。この場合、電動液中ポンプに電力を送る送電ケーブルの長さも、数千メートルになり、この送電ケーブルでの電力損失が大きくなる。
そこで、本発明は、電力損失を抑えることができる電動液中ポンプ、及び、これを備える電動液中ポンプシステムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての電動液中ポンプは、
少なくとも一部が液体中に配置され、前記液体を汲み上げる液中ポンプと、前記液体中に配置されて前記液中ポンプを駆動させるモータと、降圧器と、を備え、前記降圧器は、外部から交流電力の電圧を前記モータの駆動に合った電圧に下げ、電圧降下した交流電力を前記モータに供給する降圧回路と、前記モータのモータケーシングに取り付けられ前記降圧回路を覆う降圧器ケーシングと、を有する。
電動液中ポンプは、地下1000m程度の位置に設置される場合や、ときには、地下3000m以上の位置に設置される場合もある。このため、電動液中ポンプのモータに電力を送るケーブルも、1000m以上の長大なケーブルになる。このように、ケーブルの長さが長くなると、ケーブルでの電力損失は無視できないものになる。当該電動液中ポンプは、降圧器を備えているので、ケーブルに高電圧の交流電力を流すことができる。ケーブルの電力損失は、このケーブルを流れる電流の値の二乗に比例する。このため、当該電動液中ポンプでは、ケーブルを流れる電力の電圧値を大きくすることで、この電力の電流値が小さくなり、ケーブルでの電力損失を抑えることができる。
また、当該電動液中ポンプでは、ケーブルに高電圧の交流電力を流すことができるため、ケーブルを形成する導体の外径を小さくすることができ、ひいては、ケーブルの外径も小さくすることができる。このため、当該電動液中ポンプでは、ケーブルの製造(又は購入)コストを抑えることができる。さらに、当該電動液中ポンプでは、ケーブルの全重量の軽減が図られるため、ケーブルの設置コストも抑えることができる。
ここで、前記電動液中ポンプにおいて、均圧シール機構を備え、前記モータは、ステータと、モータ回転軸と、前記モータ回転軸に取り付けられ前記モータ回転軸と一体に前記ステータに対して相対回転するロータと、前記ステータ及び前記ロータを覆う前記モータケーシングと、を有し、前記モータ回転軸は、第一端部と第二端部とを有し、前記第一端部は、前記モータケーシングから突出しており、前記液中ポンプは、前記モータ回転軸に接続されているポンプ回転軸を有し、前記均圧シール機構は、前記モータケーシングに取り付けられ、前記モータ回転軸における前記第一端部の一部を覆うシールケーシングと、前記シールケーシング内に前記シールケーシングと共同して蛇行した蛇行流路を形成する流路形成部材と、を有し、前記蛇行流路は、前記液体を自身の内部に導く液体流入口と、前記モータケーシング内と連通する連通口と、前記液体流入口から流入した液体と前記モータケーシング内及び前記蛇行流路の一部に満たされる絶縁油とを接触させる液接触部と、を有してもよい。
シールケーシング内には、液体流入口から外部の液体が流入する。このため、このシールケーシング内の圧力は、シールケーシング外の圧力を同じになる。また、シールケーシング内とモータケーシング内とは、連通口により連通しているため、モータケーシング内の圧力は、シールケーシング内の圧力と同じになり、結果として、シールケーシング外及びモータケーシング外の圧力と同じになる。よって、電動液中ポンプの設置深度が深くなり、電動液中ポンプが設置されている位置での液体の圧力が高くなっても、モータケーシング内とモータケーシング外との間の均圧化が図られる。このため、当該電動液中ポンプでは、電動液中ポンプの設置深度に関わりなく、外圧によるモータの損傷を防ぐことができる。
また、前記均圧シール機構を備える前記電動液中ポンプにおいて、前記モータケーシング内と前記降圧器ケーシング内との境には、前記モータケーシング内と前記降圧器ケーシング内とを連通させる連通孔が形成されていてもよい。
当該電動液中ポンプでは、モータケーシング内と降圧器ケーシング内とを連通させる連通孔が形成されている。このため、当該電動液中ポンプでは、降圧器ケーシング内の圧力が、モータケーシング内の圧力と同じになり、結果として、モータケーシング外及び降圧器ケーシング外の圧力と同じになる。よって、当該電動液中ポンプでは、電動液中ポンプの設置深度が深くなり、電動液中ポンプが設置されている位置での液体の圧力が高くなっても、外圧による降圧器の損傷を防ぐことができる。
また、前記モータ回転軸を有する、以上のいずれかの前記電動液中ポンプにおいて、前記モータ回転軸における前記第二端部は、前記モータケーシングから突出して前記降圧器ケーシング内に入り込んでおり、前記第二端部に取り付けられ、前記降圧器ケーシング内に満たされる絶縁油を撹拌する又は循環させる撹拌羽根を有してもよい。
当該電動液中ポンプでは、モータ回転軸が回転することで、降圧器ケーシング内の撹拌羽根により、降圧器ケーシング内に充填される絶縁油を撹拌する又は循環させることができる。よって、当該電動液中ポンプでは、降圧器ケーシング内の降圧回路の冷却を促進することができる。
また、以上のいずれかの前記電動液中ポンプにおいて、前記降圧器ケーシング内に配置され、前記降圧器ケーシング内に満たされる絶縁油を吸い込んで吐出することで、前記降圧器ケーシング内に満たされる絶縁油を撹拌する又は循環させる絶縁油ポンプを有してもよい。
当該電動液中ポンプでは、降圧器ケーシング内に満たされる絶縁油が、この絶縁油ポンプにより撹拌される、又は降圧器ケーシング内で循環する。よって、降圧器ケーシング内の降圧回路の冷却を促進することができる。
また、以上のいずれかの前記電動液中ポンプにおいて、前記降圧器から前記液中ポンプにおける吸込口までの間で連なり、前記降圧器の外周側及び前記液中ポンプの外周側を覆う筒状の液体ガイドを有し、前記液体ガイドは、前記液体ガイドの内周側と、前記降圧器の外周側及び前記液中ポンプの外周側との間に前記液体を流す液体流路を形成し、前記液体流路は、前記降圧器を基準にして、前記液中ポンプが存在する側とは反対側に、前記液体を自身の内部に導く開口を有してもよい。
当該電動液中ポンプでは、外部の液体が、液体ガイドで形成される液体流路内を経て、液中ポンプの吸込口に流入する。このため、降圧器の外周側を流れる液体の流速は、液体ガイドが無い場合に降圧器の外周側を流れる液体の流速よりも高まる。よって、当該電動液中ポンプでは、降圧器ケーシングと液体との間の熱伝達率が高まり、降圧器からの放熱を促進することができる。
前記液体ガイドを有する前記電動液中ポンプにおいて、前記降圧器は、前記降圧器ケーシングから外側に突出した乱流促進部を有してもよい。
当該電動液中ポンプは、降圧器ケーシングから外側に突出した乱流促進部を有するので、降圧器ケーシングに沿って流れる液体が乱流になる。このため、当該電動液中ポンプは、降圧器ケーシングと液体との間の熱伝達率が高まり、降圧器からの放熱を促進することができる。
以上のいずれかの前記電動液中ポンプにおいて、前記降圧器は、インバータであり、前記インバータは、前記降圧回路を含み、前記モータに供給する交流電力の交流周波数を変換するインバータ回路と、前記インバータ回路を覆うと共に前記モータケーシングに取り付けられているインバータケーシングと、を有してもよい。
当該電動液中ポンプでは、インバータにより、電動液中ポンプのモータに送る交流電力の交流周波数を変えることで、モータ回転軸の回転数を変えることができる。このため、モータ回転軸に接続されているポンプ回転軸の回転数を変えることができ、結果として、液中ポンプにおける液体Lの吐出量を増減させることができる。すなわち、当該電動液中ポンプでは、インバータの操作で、液中ポンプにおける液体の吐出量を変更することができる。
さらに、当該電動液中ポンプでは、地上にはインバータを配置する必要がなくなるので、地上スペースの有効活用を図ることができる。特に、海底油田に当該電動液中ポンプを用いた場合、設置スペースの制約が大きい海上プラットフォーム上を有効活用することができる。
前記インバータを有する前記電動液中ポンプにおいて、吸熱部と放熱部とを有するペルチェ素子を備え、前記インバータ回路は、発熱素子を有し、前記発熱素子には、前記ペルチェ素子の吸熱部が接着されていてもよい。
当該電動液中ポンプでは、インバータ回路の発熱素子の放熱を促進することができる。
この場合、前記ペルチェ素子の前記放熱部と前記インバータケーシングとを熱的に接続するヒートシンクを備えてもよい。
当該電動液中ポンプでは、インバータ回路の発熱素子からの熱を、ヒートシンク及びインバータケーシングを介して、外部に放熱することができる。
また、以上のいずれかの前記電動液中ポンプにおいて、前記降圧器は、変圧器であり、前記変圧器は、前記降圧回路を成す変圧回路と、前記変圧回路を覆うと共に前記モータケーシングに取り付けられている変圧器ケーシングと、を有してもよい。
上記目的を達成するための発明に係る一態様としての電動液中ポンプシステムは、
前記変圧器を有する前記電動液中ポンプと、前記液体外に設置され、外部からの交流電力の交流周波数を変換する液外インバータと、前記液外インバータと前記電動液中ポンプの前記変圧器とを電気的に接続するケーブルと、を備える。
当該電動液中ポンプシステムでは、液外インバータにより、電動液中ポンプのモータに送る交流電力の交流周波数を変えることで、モータ回転軸の回転数を変えることができる。このため、モータ回転軸に接続されているポンプ回転軸の回転数を変えることができ、結果として、液中ポンプにおける液体の吐出量を増減させることができる。すなわち、当該電動液中ポンプでは、液外インバータの操作で、液中ポンプにおける液体の吐出量を変更することができる。
さらに、当該電動液中ポンプシステムでは、インバータが液体外に設置されているため、このインバータの修理や点検等を容易に行うことができる。
上記目的を達成するための発明に係る他の態様としての電動液中ポンプシステムは、
前記変圧器を有する前記電動液中ポンプと、前記液体外に設置され、外部からの交流電力の交流周波数を変換する液外インバータと、前記液体外に設置され、前記液外インバータからの交流電力の電圧を昇圧させる液外変圧器と、前記液外変圧器と前記電動液中ポンプの前記変圧器とを電気的に接続するケーブルと、を備える。
当該電動液中ポンプシステムでも、液外インバータの操作で、液中ポンプにおける液体の吐出量を変更することができる。また、当該電動液中ポンプシステムでは、液外インバータからの交流電力の電圧を液外変圧器で昇圧させるので、液外インバータとして、低圧交流電力を処理するインバータを用いることができる。
高圧交流電力を処理できるインバータのコストは、低圧交流電力を処理するインバータのコストに比べて、非常に高い。このため、当該電動液中ポンプシステムでは、液外インバータに関するコストを抑えることができる。
本発明の一態様によれば、電力損失を抑えることができる。
以下、本発明に係る電動液中ポンプシステムの各種実施形態、及び各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
各種実施形態及び各種変形例における電動液中ポンプシステムは、地上等から垂直に掘り下げられた立坑内の液体を地上等に汲み上げるシステムである。具体的に、各種実施形態及び各種変形例における電動液中ポンプシステムは、立坑である油井から原油を汲み上げるシステムである。但し、本発明は、原油を汲み上げるものに限定されず、例えば、地中を流れている水や熱水等を汲み上げるものであってもよい。
「電動液中ポンプシステムの第一実施形態」
本発明に係る電動液中ポンプシステムの第一実施形態について、図1〜図3を用いて説明する。
本実施形態の電動液中ポンプシステムは、図1に示すように、立坑H内の液体Lを地上に汲み上げる電動液中ポンプ10と、電動液中ポンプ10からの液体Lを地上に導く配管1と、坑口装置(wellhead)2と、電動液中ポンプ10に供給する交流電力の交流周波数を変える地上インバータ(液外インバータ)3と、地上インバータ3からの交流電力を電動液中ポンプ10に送る送電ケーブル5と、を備えている。
地上インバータ3及び坑口装置2は、いずれも、地上に設置される。坑口装置2には、配管1が接続されている。また、この坑口装置2は、立坑H内にそのほとんどが配置される送電ケーブル5を支える。
電動液中ポンプ10は、液中ポンプ11と、液中ポンプ11を駆動するモータ31と、モータ31をシールする均圧シール機構41と、送電ケーブル5から送られてきた交流電力の電圧をモータ31の駆動に適した圧力に降圧させる変圧器(降圧器)51と、センサ81と、を備えている。
液中ポンプ11、均圧シール機構41、モータ31、変圧器51、センサ81は、立坑H内で、この順序で、上から下に配置される。液中ポンプ11の下側部分には、吸込口14iが形成され、液中ポンプ11の上側部分には、吐出口14oが形成されている。配管1は、液中ポンプ11の吐出口14oと坑口装置2とを接続する。送電ケーブル5は、地上インバータ3から坑口装置2を経由し、配管1、液中ポンプ11、シール機構、モータ31の外周側を経て、変圧器51につながっている。センサ81としては、液中ポンプ11が配置されている位置での液体Lの温度や圧力を検知するセンサや、液中ポンプ11の振動を検知するセンサ等がある。これらセンサからの信号は、例えば、送電ケーブル5の導体、又は、送電ケーブル5とは別の信号ケーブルを経て、地上に送られる。
ここで、モータ31の定格電圧を、例えば、440Vであるとする。また、地上インバータ3に送られる交流電力の電圧、及び、送電ケーブル5を流れる交流電力の電圧を、例えば、6600Vとする。なお、モータ31の定格電圧440V及び送電ケーブル5を流れる交流電力の電圧6600Vは、一例であり、本実施形態は、これに限定されない。すなわち、送電ケーブル5には、モータ31の定格電圧より高い電圧の高電圧交流電力が流れればよい。
液中ポンプ11は、図2に示すように、ポンプ部15及びセパレータ部21と、を有する。ポンプ部15は、軸線Aを中心として、軸線Aが延びる軸方向に長い円柱状の本体回転軸16と、この本体回転軸16に固定されている羽根17と、本体回転軸16を回転可能に支持する軸受18と、これらを覆う円筒状の本体ケーシング19と、を有する。セパレータ部21は、軸線Aを中心として、軸線Aが延びる軸方向に長い円柱状のセパレータ回転軸22と、このセパレータ回転軸22に固定されている羽根23と、セパレータ回転軸22を回転可能に支持する軸受24と、これらを覆う円筒状のセパレータケーシング25と、を有する。本体ケーシング19及びセパレータケーシング25は、いずれも、軸線Aを中心として円筒状を成している。
この液中ポンプ11の軸方向は、この液中ポンプ11が立坑H内に設置された状態で鉛直方向になる。以下、電動液中ポンプシステムについて、理解し易く説明するために、この液中ポンプ11が立坑H内に設置された状態で説明する。
セパレータ回転軸22は、本体回転軸16の下側に接続されている。セパレータケーシング25は、本体ケーシング19の下側に接続されている。すなわち、セパレータ部21は、ポンプ部15に対して下側に配置されている。ポンプ回転軸12は、これらセパレータ回転軸22と本体回転軸16とを有して構成される。ポンプケーシング13は、これらセパレータケーシング25と本体ケーシング19とを有して構成される。セパレータケーシング25、言い換えると、ポンプケーシング13の下側部分には、立坑H内の液体Lを吸い込む前述の吸込口14iが形成されている。ポンプケーシング13の上側部分には、前述の吐出口14oが形成されている。セパレータケーシング25には、さらに、吸込口14iよりも上側部分に異物排出口26が形成されている。
セパレータ部21の羽根23は、吸込口14iからセパレータケーシング25内に流入した液体Lに遠心力を与える。液体L中の砂や石等の異物は、この遠心力により、液体Lから分離される。分離された異物は、セパレータケーシング25の異物排出口26からセパレータケーシング25外に排出される。異物が分離された液体Lは、本体ケーシング19内に流入する。この液体Lは、本体回転軸16の回転により、上方へ送られ、ポンプケーシング13の吐出口14oから配管1内に流入する。配管1内に流入した液体Lは、この配管1内を通って坑口装置2へ送られる。
モータ31は、図3に示すように、ステータ35と、モータ回転軸32と、モータ回転軸32に取り付けられているロータ36と、ステータ35及びロータ36を覆うモータケーシング33と、モータ回転軸32を回転可能に支持する軸受34と、を有する。モータ回転軸32は、軸線Aを中心として軸方向に長い円柱状を成している。ロータ36は、このモータ回転軸32に固定されている。モータケーシング33は、軸線Aを中心として円筒状を成している。ステータ35は、軸線Aに対する径方向でステータ35と対向するよう、モータケーシング33の内周面に固定されている。モータ31の軸線Aは、液中ポンプ11の軸線Aの延長線上に位置する。従って、モータ回転軸32は、鉛直方向に延びている。モータ回転軸32は、上端部(第一端部)32aと下端部(第二端部)32bとを有する。モータ回転軸32の上端部32aは、モータケーシング33から上方へ突出して、ポンプ回転軸12に接続されている。このモータケーシング33内は、絶縁油Iで満たされる。
均圧シール機構41は、モータケーシング33から一部が突出しているモータ回転軸32の外周とモータケーシング33との間の隙間から、モータケーシング33内に立坑H内の液体Lが流入するのを防ぐ。この均圧シール機構41は、ポンプケーシング13とモータケーシング33との間に配置されている。均圧シール機構41は、モータ回転軸32の軸線Aを中心として円筒状のシールケーシング43と、このシールケーシング43内にシールケーシング43と共同して蛇行した蛇行流路45を形成する流路形成部材44と、を有する。
蛇行流路45は、立坑H内の液体Lを自身の内部に導く液体流入口47と、モータケーシング33内と連通する連通口46と、を有する。蛇行流路45は、シールケーシング43内で上下方向に蛇行している。液体流入口47は、シールケーシング43の上側部分に形成されている。連通口46は、モータ回転軸32の外周とモータケーシング33との間の前述した隙間である。蛇行流路45は、液体流入口47から連通口46まで連続した流路である。この蛇行流路45中で連通口46側の部分には、絶縁油Iで満たされる。また、この蛇行流路45中で液体流入口47側の部分は、この液体流入口47から蛇行流路45内に流入した液体Lで満たされる。液体Lと絶縁油Iとは、蛇行流路45内で接する。蛇行流路45内に液体Lと絶縁油Iとが接する位置では、液体Lに対して絶縁油Iが上側に位置する。この液体Lと絶縁油Iとが接する位置が蛇行流路45の液接触部48を成す。
本実施形態では、液接触部48を基準にして、下側に位置する液体Lが上側に位置する絶縁油I中に浮かんでこないようするため、液体Lの比重は、絶縁油Iの比重より大きい。すなわち、ここでは、絶縁油Iとして、立坑H内の液体Lの比重よりも比重が小さいものが選定されている。
シールケーシング43内には、液体流入口47から立坑H内の液体Lが流入するため、このシールケーシング43内の圧力は、シールケーシング43外の圧力を同じになる。また、シールケーシング43内とモータケーシング33内とは、連通口46により連通しているため、モータケーシング33内の圧力は、シールケーシング43内の圧力と同じになり、結果として、シールケーシング43外及びモータケーシング33外の圧力と同じになる。よって、電動液中ポンプ10の設置深度が深くなり、電動液中ポンプ10が設置されている位置での液体Lの圧力が高くなっても、モータケーシング33内とモータケーシング33外との間の均圧化が図られる。このため、本実施形態では、電動液中ポンプ10の設置深度に関わりなく、外圧によるモータ31内への液体Lの浸入を防止できると共に、モータ31の内外での圧力差を実質的に無くすことができるので、モータ31の損傷を防ぐことができる。
変圧器51は、変圧回路54と、軸線Aを中心として円筒状を成し、変圧回路54を覆う変圧器ケーシング53と、を有する。変圧回路54は、送電ケーブル5から送られてくる6600Vの交流電力の電圧をモータ31の定格電圧に合った440Vの交流電力に変換する回路である。すなわち、この変圧回路54は、降圧回路である。また、この変圧回路54を覆おう変圧器ケーシング53は、降圧器ケーシングである。変圧回路54は、440Vの交流電力をモータ31に供給する。
この変圧器ケーシング53内も、絶縁油Iで満たされる。変圧器ケーシング53の上端とモータケーシング33の下端とは接続されている。モータケーシング33内と変圧器ケーシング53内とは、モータケーシング33又は変圧器ケーシング53を形成する壁板38で仕切られている。この壁板38には、モータケーシング33内と変圧器ケーシング53内とを連通させる連通孔39が形成されている。このため、変圧器ケーシング53内の圧力は、モータケーシング33内の圧力と同じになり、結果として、モータケーシング33外及び変圧器ケーシング53外の圧力と同じになる。よって、電動液中ポンプ10の設置深度が深くなり、電動液中ポンプ10が設置されている位置での液体Lの圧力が高くなっても、外圧による変圧器51の損傷を防ぐことができる。
本実施形態では、地上インバータ3により、電動液中ポンプ10のモータ31に送る交流電力の交流周波数を変える、場合によっては電圧を変えることで、モータ回転軸32の回転数を変えることができる。このため、モータ回転軸32に接続されているポンプ回転軸12の回転数を変えることができ、結果として、液中ポンプ11における液体Lの吐出量を増減させることができる。すなわち、地上インバータ3の操作で、液中ポンプ11における液体Lの吐出量を変更することができる。
また、本実施形態では、インバータ3が地上に設置されているため、このインバータ3の修理や点検等を容易に行うことができる。
さらに、本実施形態では、モータケーシング33内とモータケーシング33外との間の均圧化、及び変圧器ケーシング53内と変圧器ケーシング53外との間の均圧化を図ったので、これらケーシング33,53に関して、堅牢な耐圧構造が不要になる。このため、本実施形態では、モータ31及び変圧器51の製造(又は購入)コストを抑えることができる。さらに、本実施形態では、モータ31及び変圧器51の重量軽減が図られるため、電動液中ポンプ10の設置コストも抑えることができる。
ところで、電動液中ポンプ10は、地下1000m程度の位置される場合や、ときには、地下3000m以上の位置に設置される場合もある。このため、電動液中ポンプ10のモータ31に電力を送る送電ケーブル5も、1000m以上の長大なケーブルになる。このように、送電ケーブル5の長さが長くなると、送電ケーブル5での電力損失は無視できないものになる。本実施形態では、送電ケーブル5には、電動液中ポンプ10のモータ31の定格電圧よりも高い電圧、具体的には、6600Vの交流電力が流れる。そして、電動液中ポンプ10の変圧器51で、6600Vの交流電力を、モータ31の定格電圧である440vに降圧させてから、この交流電力をモータ31に供給する。すなわち、本実施形態では、送電ケーブル5に高電圧の交流電力を流すことができる。送電ケーブル5の電力損失は、この送電ケーブル5を流れる電流の値の二乗に比例する。このため、本実施形態では、送電ケーブル5を流れる電力の電圧値を大きくすることで、この電力の電流値が小さくなり、送電ケーブル5での電力損失を抑えることができる。
また、本実施形態では、送電ケーブル5に高電圧の交流電力を流すことができるため、送電ケーブル5を形成する導体の外径を小さくすることができ、しいては、送電ケーブル5の外径も小さくすることができる。このため、本実施形態では、送電ケーブル5の製造(又は購入)コストを抑えることができる。さらに、本実施形態では、送電ケーブル5の全重量の軽減が図られるため、送電ケーブル5の設置コストも抑えることができる。
「電動液中ポンプシステムの第二実施形態」
本発明に係る電動液中ポンプシステムの第二実施形態について、図4を用いて説明する。
本実施形態の電動液中ポンプシステムは、上記第一実施形態と同様、立坑H内に液体Lを地上に汲み上げる電動液中ポンプ10と、電動液中ポンプ10からの液体Lを地上に導く配管1と、坑口装置(wellhead)2と、電動液中ポンプ10に供給する交流電力の交流周波数を変える地上インバータ(液外インバータ)3aと、を備えている。本実施形態における、電動液中ポンプ10、配管1、及び坑口装置2は、上記第一実施形態のものと同一である。本実施形態の電動液中ポンプシステムは、さらに、地上インバータ3aからの交流電力を昇圧する地上変圧器(液外変圧器)4と、地上変圧器4で昇圧された交流電力を電動液中ポンプ10に送る送電ケーブル5と、を備えている。
地上変圧器4は、地上インバータ3a及び坑口装置2と同様、地上に設置される。
本実施形態の地上インバータ3aには、例えば、440Vの交流電力が送られる。この地上インバータ3aは、この交流電力の交流周波数を変える。但し、この地上インバータ3aは、電圧を変えることなく、交流電力を出力する。従って、この地上インバータ3aは、440vの交流電力を出力する。
地上変圧器4は、地上インバータ3aからの交流電力の電圧を上げる。この地上変圧器4は、具体的に、440Vの交流電力を6600Vに昇圧する。送電ケーブル5は、地上変圧器4からの6600Vの交流電力を電動液中ポンプ10の変圧器51に送る。なお、本実施形態でも、送電ケーブル5を流れる交流電力の電圧は、電動液中ポンプ10のモータ31の定格電圧より高い電圧であればよく、6600Vに限定されない。また、地上インバータ3aに送られる交流電力の電圧は、送電ケーブル5を流れる交流電力の電圧よりも低ければよく、440Vに限定されない。
本実施形態でも、上記実施形態と同様、送電ケーブル5により、電動液中ポンプ10の変圧器51に送られてきた6600Vの交流電力は、この変圧器51で、440Vの交流電力に降圧されてから電動液中ポンプ10のモータ31に供給される。
よって、本実施形態でも、上記第一実施形態と同様、送電ケーブル5での電力損失を抑えることができる。さらに、本実施形態でも、送電ケーブル5の製造(又は購入)コスト及び設置コストを抑えることができる。
ところで、上記第一実施形態の地上インバータ3aには、6600Vの交流電力が送られる。つまり、上記第一実施形態の地上インバータ3aは、6600Vの交流電力を処理できる仕様になっている。一方、本実施形態の地上インバータ3aには、440Vの交流電力が送られる。つまり、本実施形態の地上インバータ3aは、440Vの交流電力を処理できる仕様で十分である。高圧交流電力を処理できるインバータのコストは、低圧交流電力を処理するインバータのコストに比べて、非常に高い。このため、本実施形態では、インバータに関するコストを上記第一実施形態よりも抑えることができる。しかしながら、本実施形態では、電動液中ポンプ10の変圧器51の他に、地上変圧器4を設けているため、変圧器に関するコストが上記第一実施形態よりもかさむ。
低圧インバータのコストに対する高圧インバータのコストの上昇分は、変圧器が一台増加したことによるコスト上昇分よりも、大きいことが多い。このため、本実施形態の電動液中ポンプシステムでは、上記第一実施形態における電動液中ポンプシステムよりも、コストを抑えることができる場合がある。
「電動液中ポンプシステムの第三実施形態」
本発明に係る電動液中ポンプシステムの第三実施形態について、図5〜図8を用いて説明する。
本実施形態の電動液中ポンプシステムは、立坑H内に液体Lを地上に汲み上げる電動液中ポンプ10aと、電動液中ポンプ10aからの液体Lを地上に導く配管1と、坑口装置(wellhead)2と、地上から電動液中ポンプ10aに交流電力を送る送電ケーブル5と、を備えている。
本実施形態の送電ケーブル5には、以上の各実施形態と同様、例えば、6600Vの交流電力が流れる。
本実施形態の電動液中ポンプ10aは、液中ポンプ11と、液中ポンプ11を駆動するモータ31と、モータ31をシールする均圧シール機構41と、インバータ61と、センサ81と、を備えている。本実施形態の電動液中ポンプ10aにおける液中ポンプ11、モータ31、均圧シール機構41及びセンサ81は、上記各実施形態のものと同一である。よって、本実施形態の電動液中ポンプ10aは、上記各実施形態における変圧器51をインバータ61に替えたものである。
本実施形態のインバータ61は、インバータ回路64と、このインバータ回路64を覆うインバータケーシング63を有する。インバータ回路64は、図6に示すように、送電ケーブル5からの交流電力の電圧を下げる降圧回路(AC/AC)65、この降圧回路65からの交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路66と、AC/DC変換回路66からの直流電力を所定の周波数の交流電力に変換するDC/AC変換回路67と、を有する。よって、本実施形態のインバータ61は、送電ケーブル5からの交流電力の電圧及び周波数を変える。降圧回路65は、送電ケーブル5からの6600Vの交流電力の電圧を440Vに下げる。DC/AC変換回路67からの交流電力は、モータ31に送られる。このインバータ回路64への制御信号は、例えば、送電ケーブル5の導体、又は、送電ケーブル5とは別の信号ケーブルを経て、地上から送られる。
なお、インバータ回路64は、上記構成である必要はない。すなわち、電圧を下げる機能と、この電力の周波数を変換する機能を有していれば、如何なる構成でもよい。例えば、図7に示すように、インバータ回路64aは、送電ケーブル5からの交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路65aと、AC/DC変換回路65aからの直流電力の圧力を下げる降圧回路(DC/DC)66aと、降圧回路66aからの直流電力を所定の周波数の交流電力に変換するDC/AC変換回路67aと、を有してもよい。
インバータケーシング63は、図8に示すように、軸線Aを中心として円筒状を成す。インバータケーシング63の上端とモータケーシング33の下端とは接続されている。モータケーシング33内とインバータケーシング63内とは、モータケーシング33又はインバータケーシング63を形成する壁板38で仕切られている。この壁板38には、モータケーシング33内とインバータケーシング63内とを連通させる連通孔39が形成されている。また、このインバータケーシング63内は、モータケーシング33内と同様、絶縁油Iで満たされる。このため、インバータケーシング63内の圧力は、モータケーシング33内の圧力と同じになり、結果として、モータケーシング33外及びインバータケーシング63外の圧力と同じになる。よって、電動液中ポンプ10aの設置深度が深くなり、電動液中ポンプ10aが設置されている位置での液体Lの圧力が高くなっても、外圧によるインバータ61の損傷を防ぐことができる。
本実施形態では、送電ケーブル5により、電動液中ポンプ10aのインバータ61に送られてきた6600Vの交流電力は、このインバータ61の降圧回路65(or66a)で、440Vに降圧されてから電動液中ポンプ10aのモータ31に供給される。
よって、本実施形態でも、上記各実施形態と同様、送電ケーブル5での電力損失を抑えることができる。さらに、本実施形態でも、送電ケーブル5の製造(又は購入)コスト及び設置コストを抑えることができる。
また、本実施形態では、モータケーシング33にインバータケーシング63を接続した結果、モータ31とインバータ61との間の距離を短くすることでき、高調波対策を最低限に抑えることができる。さらに、正弦波フィルタによる損失も抑えることができる。
さらに、本実施形態では、モータケーシング33にインバータケーシング63を接続し、インバータ61を立坑H内に配置し、地上にはインバータを配置する必要がなくなるので、地上スペースの有効活用を図ることができる。特に、海底油田に本実施形態の電動液中ポンプシステムを用いた場合、設置スペースの制約が大きい海上プラットフォーム上を有効活用することができる。
「電動液中ポンプシステムの第一変形例」
上記第三実施形態の電動液中ポンプシステムに関する第一変形例について、図9を用いて説明する。
本変形例の電動液中ポンプ10bも、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aと同様、液中ポンプ11、均圧シール機構41、モータ31、及びインバータ61とを有する。
本変形例のモータ回転軸32の下端部(第二端部)32bは、モータケーシング33又はインバータケーシング63を形成する壁板38を貫通し、インバータケーシング63内に入り込んでいる。このインバータケーシング63内の下端部32bには、撹拌羽根77が設けられている。
この撹拌羽根77は、モータ回転軸32の回転に伴なって回転する。このため、インバータケーシング63内の絶縁油Iが、この撹拌羽根77により撹拌される、又はインバータケーシング63内で循環する。よって、本変形例では、インバータ回路64の冷却を促進することができる。
なお、本変形例は、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aに適用したものであるが、必要に応じて、上記第一及び第二実施形態の電動液中ポンプ10に適用してもよい。この場合、モータ回転軸32の下端部32bを変圧器ケーシング53内にまで突出させ、このモータ回転軸32の下端部32bに撹拌羽根77を設けることになる。
「電動液中ポンプシステムの第二変形例」
上記第三実施形態の電動液中ポンプシステムに関する第二変形例について、図10を用いて説明する。
本変形例の電動液中ポンプ10cも、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aと同様、液中ポンプ11、均圧シール機構41、モータ31、及びインバータ61とを有する。
本変形例のインバータケーシング63内には、このインバータケーシング63内の絶縁油Iを吸い込み、この絶縁油Iを吐出する絶縁油ポンプ78が配置されている。この絶縁油ポンプ78は、図示されていないモータで駆動する。このモータは、図示されていない駆動回路からの電力で駆動する。この駆動回路は、例えば、インバータ回路64に送られてきた交流電力をモータ駆動に適した電力に変換して、この電力をモータに供給する。
本変形例では、インバータケーシング63内の絶縁油Iが、この絶縁油ポンプ78により撹拌される、又はインバータケーシング63内で循環する。よって、本変形例でも、第一変形例と同様、インバータ回路64の冷却を促進することができる。
なお、本変形例は、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aに適用したものであるが、必要に応じて、上記第一及び第二実施形態の電動液中ポンプ10に適用してもよい。この場合、変圧器ケーシング53内に絶縁油ポンプ78を設けることになる。
「電動液中ポンプシステムの第三変形例」
上記第三実施形態の電動液中ポンプシステムに関する第三変形例について、図11を用いて説明する。
本変形例の電動液中ポンプ10dも、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aと同様、液中ポンプ11、均圧シール機構41、モータ31、及びインバータ61とを有する。本変形例の電動液中ポンプ10dは、さらに、筒状の液体ガイド71を有する。
液体ガイド71は、軸線Aを中心として円筒状を成し、インバータ61の下端から液中ポンプ11における吸込口14iまでの間で連なっている。この液体ガイド71は、インバータ61の外周側、モータ31の外周側、均圧シール機構41の外周側、及び液中ポンプ11の外周側を覆う。この液体ガイド71は、液体ガイド71の内周側と、インバータ61の外周側、モータ31の外周側、均圧シール機構41の外周側、及び液中ポンプ11の外周側との間に、立坑H内の液体Lを流す液体流路72を形成する。この液体流路72は、その下端に開口73を有している。
立坑H内の液体Lは、液体ガイド71で形成される液体流路72内を経て、液中ポンプ11の吸込口14iに流入する。液体流路72の流路面積は、立坑H内の流路面積に比べて小さい。このため、インバータケーシング63の外周側を流れる液体Lの流速は、液体ガイド71が無い場合にインバータケーシング63の外周側を流れる液体Lの流速よりも高まる。よって、本変形例では、インバータケーシング63と液体Lとの間の熱伝達率が高まり、インバータ61からの放熱を促進することができる。
本変形例で、さらにインバータ61からの放熱を促進するため、インバータケーシング63に、このインバータケーシング63の外面から外側に突出したフィンやピン等の乱流促進部62を設けてもよい。この乱流促進部62は、さらに、ポンプケーシング13に設けてもよい。この乱流促進部62の一例として、前述したように、インバータケーシング63の外周側と液体ガイド71との間の液体Lの流れを乱すフィンやピン等がある。しかしながら、インバータケーシング63の外面における伝熱面積を大きくする目的で複数のフィン等を設けてもよい。この場合、複数のフィンは、インバータケーシング63の外面から外側に突出し、液体Lの流れ方向に沿った上下方向に延びることになる。
なお、本変形例は、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aに適用したものであるが、必要に応じて、上記第一及び第二実施形態の電動液中ポンプ10に適用してもよい。この場合、液体ガイド71で変圧器ケーシング53の外周側を覆う。
「電動液中ポンプシステムの第四変形例」
上記第三実施形態の電動液中ポンプシステムに関する第四変形例について、図12を用いて説明する。
本変形例の電動液中ポンプも、上記第三実施形態の電動液中ポンプ10aと同様、液中ポンプ、均圧シール機構、モータ、及びインバータとを有する。本変形例の電動液中ポンプにおけるインバータ61eは、ペルチェ素子68を備える。
インバータ回路64は、基板64bと、基板64bに搭載された複数の発熱素子64cと、を有する。ペルチェ素子68は、この発熱素子64cの表面に接着されている。ペルチェ素子68は、熱を吸収する吸熱部68aと、この熱を放出する放熱部68bと、を有する。発熱素子64cの表面には、このペルチェ素子68の吸熱部68aが接着されている。
ペルチェ素子68に電流が流れると、このペルチェ素子68の一部から他の部分へ熱を移動させる。このペルチェ素子68の一部が前述の吸熱部68aを成し、他の部分が前述の放熱部68bを成す。このペルチェ素子68は、図示されていない駆動回路からの電力で駆動する。この駆動回路は、例えば、インバータ回路64に送られてきた交流電力を素子駆動に適した直流電流に変換して、この直流電力をペルチェ素子68に供給する。
本変形例では、インバータ回路64の発熱素子64cの放熱を促進することができる。なお、この放熱をさらに促進するため、ペルチェ素子68の放熱部68bとインバータケーシング63の内面との間に、ヒートシンク69を設けることが好ましい。このヒートシンク69は、インバータケーシング63を形成する材料よりも熱伝導率が高い材料で形成されていることが好ましい。このヒートシンク69の一部は、ペルチェ素子68の放熱部68bに接し、他の一部は、インバータケーシング63の内面に接している。このため、このヒートシンク69は、ペルチェ素子68の放熱部68bとインバータケーシング63とを熱的に接続する役目を担う。
本変形例は、インバータ61eが配置される位置での液体Lの温度が高く、上記第三変形例の方法でインバータ61の冷却を十分に行えない場合に、このインバータ61を冷却する方法として好適である。