JP2017082272A - 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置 - Google Patents

蒸着膜の製造方法及び蒸着装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2017082272A
JP2017082272A JP2015210424A JP2015210424A JP2017082272A JP 2017082272 A JP2017082272 A JP 2017082272A JP 2015210424 A JP2015210424 A JP 2015210424A JP 2015210424 A JP2015210424 A JP 2015210424A JP 2017082272 A JP2017082272 A JP 2017082272A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vapor deposition
organic vapor
organic
discharge opening
nozzle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015210424A
Other languages
English (en)
Inventor
加奈子 肥田
Kanako Hida
加奈子 肥田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2015210424A priority Critical patent/JP2017082272A/ja
Publication of JP2017082272A publication Critical patent/JP2017082272A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】近接蒸着法にも適用可能な3元共蒸着装置等を提供する。【解決手段】本発明に係る3元共蒸着装置100は、それぞれ異なる種類の有機蒸着材料を収容する3つの蒸着源1(1a、1b、1c)と、3つの蒸着源からそれぞれ放出された有機蒸着材料を個別に流通させる3つの筒状部材2(2a、2b、2c)と、一端側が3つの筒状部材に連通し、他端側に1つの放出開口31が設けられた1つのノズル3と、を備える。好ましくは、放出開口は、3つの筒状部材のうち何れか1つの筒状部材2aのノズルに連通する側の端部開口21aに正対する位置に設けられ、放出開口の寸法Lxは、1つの筒状部材2aの端部開口の寸法La以下である。より好ましくは、放出開口の寸法Lxは、1つの筒状部材2aの端部開口の寸法Laと略同一である。【選択図】 図2

Description

本発明は、3元共蒸着装置及びこれを用いた有機蒸着膜の製造方法に関する。特に、本発明は、近接蒸着法にも適用可能な3元共蒸着装置及びこれを用いた有機蒸着膜の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスを適宜「EL」と称する)装置は、基材と、基材上に設けられた有機EL素子とを備える。有機EL素子が備える発光層として機能する有機膜の形成方法としては、一般に、真空蒸着法や塗布法などが知られている。中でも、有機膜形成材料の純度を高めることができ、なお且つ寿命の長い有機EL素子を形成し易いことから、真空蒸着法が広く用いられている。
真空蒸着法を実施するための蒸着装置は、一般に、真空チャンバーと、真空チャンバー内に設けられ、蒸着膜を形成する基材に対向して配置された蒸着源とを備える。蒸着源に含まれる蒸着材料を収容する容器(坩堝など)を加熱し、容器から蒸発した蒸着材料を放出し、基材上に堆積させることで、基材上に有機膜などの蒸着膜が形成される。
上記真空蒸着法の一種として、共蒸着法が知られている。共蒸着法は、それぞれ異なる種類の蒸着材料を含む複数の蒸着源の容器を同時に加熱して、複数種の蒸着材料が混合された蒸着膜を基材上に形成する方法である。
共蒸着法は、様々な技術分野に用いられているが、例えば、有機化合物を含む蒸着材料(有機蒸着材料)であるホスト材料とドーパント材料とを共蒸着することで有機蒸着膜を形成し、この有機蒸着膜を発光層として用いた有機EL装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記共蒸着法の一種として、3元共蒸着法が知られている。3元共蒸着法は、それぞれ異なる種類の蒸着材料を含む3つの蒸着源の容器を同時に加熱して、3種類の蒸着材料が混合された蒸着膜を基材上に形成する方法である。
この3元共蒸着法を有機EL装置の発光層(有機蒸着膜)を形成する際に用いれば、例えば、発光機能を有するドーパント材料、及び電子や正孔の電荷輸送機能を有するホスト材料に加え、ホスト材料を補助するアシストホスト材料を発光層に含ませることができ、有機EL装置の発光効率や寿命を大幅に向上させることができる。また、ホスト材料に対して2種類の異なるドーパント材料を発光層に含ませることもでき、この場合には、有機蒸着膜の膜厚制御の難易度が緩和されるという利点がある。
ここで、図1(a)に示すように、共蒸着法を用いて基材上に蒸着膜を形成するには、一般的には、複数の蒸着源(図1(a)に示す例では2つの蒸着源1a、1b)からそれぞれ放出された複数種(図1(a)に示す例では2種)の蒸着材料A、Bが基材Sの同一箇所に同時に堆積して混合されるように、蒸着源1a、1bと基材Sとを一定の距離以上(例えば、数100mm程度)離間させて配置する必要がある。図1(a)では2元共蒸着法の場合を例示しているが、3元共蒸着法の場合には、混合させる蒸着材料の種類が多い分だけ、2元共蒸着法の場合よりも離間距離を大きくする必要がある。
一方で、蒸着装置の小型化、蒸着材料の有効利用、成膜速度(単位時間当たりに基材S上に堆積する蒸着材料A、Bの堆積量)の向上等の観点から、蒸着源1a、1bと基材Sとの離間距離をできるだけ小さくすることが望まれている。しかしながら、単に離間距離を小さくしたのでは、図1(b)に示すように、各蒸着源1a、1bから放出された蒸着材料A、Bが基材Sの同一箇所に同時に堆積しないため、厚み方向に均一な(複数の蒸着材料A、Bが均一に混合された)蒸着膜を形成できないという問題がある。3元共蒸着法の場合は、2元共蒸着法の場合よりも一層困難である。
従来、基材と蒸着源とを極めて近づけた状態(例えば、両者の離間距離が数10mm以下)で基材上に蒸着材料を蒸着させる近接蒸着法を実施可能にするための2元共蒸着装置は種々提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、近接蒸着法を適用可能な3元共蒸着装置は提案されていない。
特開2003−229272号公報 特開2005−336527号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、近接蒸着法にも適用可能な3元共蒸着装置及びこれを用いた有機蒸着膜の製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、3つの蒸着源からそれぞれ放出された3種類の有機蒸着材料を3つの筒状部材によって個別に流通させ、それらの出側に、1つの放出開口が設けられた1つのノズルを取り付ければ、放出開口近傍で3種類の有機蒸着材料が混合した状態で放出されると考えられる結果、近接蒸着法にも適用可能であることを見出した。すなわち、放出開口と有機蒸着材料を堆積させる基材との離間距離を小さくしても、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成可能であることを見出した。
本発明は、上記本発明者らの知見に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、それぞれ異なる種類の有機蒸着材料を収容する3つの蒸着源と、前記3つの蒸着源からそれぞれ放出された有機蒸着材料を個別に流通させる3つの筒状部材と、一端側が前記3つの筒状部材に連通し、他端側に1つの放出開口が設けられた1つのノズルと、を備えることを特徴とする3元共蒸着装置を提供する。
本発明に係る3元共蒸着装置によれば、近接蒸着法に適用したとしても、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成可能である。
好ましくは、前記放出開口は、前記3つの筒状部材のうち何れか1つの筒状部材の前記ノズルに連通する側の端部開口に正対する位置に設けられ、前記放出開口の寸法は、前記1つの筒状部材の前記端部開口の寸法以下である。
本発明者らが鋭意検討した結果によれば、上記の好ましい構成によれば、厚み方向により一層均一な有機蒸着膜を形成可能である。
上記の好ましい構成のように、ノズルの放出開口が何れか1つの筒状部材の端部開口に正対する位置に設けられることで、この筒状部材(以下、適宜「第1筒状部材」と称する)を流通してノズル内に到達した有機蒸着材料(以下、適宜「第1有機蒸着材料」と称する)は、そのまま放出開口から放出され易いと考えられる。一方、他の2つの筒状部材(以下、適宜「第2筒状部材」及び「第3筒状部材」と称する)をそれぞれ流通してノズル内に到達した有機蒸着材料(以下、適宜「第2有機蒸着材料」及び「第3有機蒸着材料」と称する)は、放出開口の寸法が小さい(端部開口の寸法以下である)ため、そのまま放出開口から放出されるのではなく、ノズルの未開口部を迂回して放出開口に到達する経路で放出され易いと考えられる。したがって、第1〜第3有機蒸着材料は、ノズルの放出開口近傍で混合し易くなり、混合された後の第1〜第3有機蒸着材料が基材に向けて放出されるため、厚み方向により一層均一な有機蒸着膜が形成されると考えられる。
ここで、共蒸着法を用いる場合、通常、真空チャンバー内には、各蒸着源に対応した放出レートセンサ(例えば、蒸着材料を付着させるQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサ)が設けられており、この放出レートセンサが測定した放出レート(蒸着材料の単位時間当たりの放出量)の測定値に基づき、各蒸着材料の蒸着レート(成膜速度)が制御される。
本発明に係る3元共蒸着装置においても、例えば、各筒状部材に放出レートセンサを設け、これによって測定した各筒状部材を流通する有機蒸着材料の放出レート測定値に基づき、各有機蒸着材料の蒸着レートを制御することが考えられる。
しかしながら、何れか1つの筒状部材を流通してノズル内に到達した有機蒸着材料が、ノズルの放出開口から放出される前に他の筒状部材の出側に回り込んで、他の筒状部材に設けられた放出レートセンサで検出されるおそれがある。この場合、各放出レートセンサの測定値は、各放出レートセンサに対応する各有機蒸着材料の真の放出レートを反映しなくなる。このため、上記の有機蒸着材料の回り込みの量(本明細書では「クロスコンタミネーション量」と称する)が大きすぎると、所望量の各有機蒸着材料を正確に蒸着することができず、形成された有機蒸着膜に含まれる各有機蒸着材料の比率が所望値とならない結果、有機蒸着膜の機能性が低下するという問題がある。
前述した好ましい構成において、クロスコンタミネーション量は、特に、第2有機蒸着材料及び第3有機蒸着材料に起因したものが大きくなると考えられる。すなわち、第2筒状部材及び第3筒状部材をそれぞれ流通してノズル内に到達した第2有機蒸着材料及び第3有機蒸着材料は、そのまま放出開口から放出され難いため、第1筒状部材や他の筒状部材の出側に回り込む量が大きくなると考えられる。
クロスコンタミネーション量を抑制するには、前述した好ましい構成において、前記放出開口の寸法は、前記1つの筒状部材(第1筒状部材)の前記端部開口の寸法と略同一であることが好ましい。
本発明者らが鋭意検討した結果によれば、放出開口の寸法が大きくなればなるほど、クロスコンタミネーション量を抑制可能である。これは、放出開口の寸法が大きくなれば、第2有機蒸着材料及び第3有機蒸着材料が、ノズルの未開口部を迂回して他の筒状部材の出側に回り込む前に放出開口から放出され易くなるからだと考えられる。
一方、前述のように、厚み方向により一層均一な有機蒸着膜を形成するには、放出開口の寸法は、第1筒状部材の端部開口の寸法以下にするべきである。
このため、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成し、なお且つ、クロスコンタミネーション量を抑制するには、上記の好ましい構成のように、放出開口の寸法は、第1筒状部材の端部開口の寸法と略同一にするべきである。
好ましくは、前記1つの筒状部材(第1筒状部材)は、前記3つの蒸着源がそれぞれ収容する3種類の有機蒸着材料のうち分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容する1つの蒸着源に対応する筒状部材である。
一般に、蒸着源が収容する有機蒸着材料を蒸発させて放出する際、蒸着源は、収容する有機蒸着材料の蒸発温度以上で分解温度未満に加熱される。そして、有機蒸着材料の放出レートを高めるには、分解温度近くまで加熱温度を高めることが考えられる。このため、分解温度と蒸発温度との差が小さければ、蒸着源からの有機蒸着材料の放出レートを高め難い。
第1筒状部材の端部開口はノズルの放出開口に正対するため、第1筒状部材を流通する第1有機蒸着材料は、第2筒状部材及び第3筒状部材をそれぞれ流通する第2有機蒸着材料及び第3有機蒸着材料に比べて、放出開口から放出され易いと考えられる。このため、上記の好ましい構成のように、分解温度と蒸発温度との差が最も小さいために蒸着源からの有機蒸着材料の放出レートを高め難い有機蒸着材料を第1筒状部材に流通させれば、3種類の有機蒸着材料全体の蒸着レートを高め易い。
前記分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料としては、例えば、有機EL素子を形成するためのドーパント材料を例示できる。
すなわち、例えば、2種類のホスト材料と1種類のドーパント材料とを3元共蒸着する場合には、第1筒状部材(端部開口がノズルの放出開口に正対する筒状部材)に対応する蒸着源にドーパント材料を収容することが好ましい。
また、前記課題を解決するため、本発明は、真空チャンバー内に基材を導入すると共に、前述した何れかに記載の3元共蒸着装置が備える前記3つの蒸着源からそれぞれ放出された有機蒸着材料を前記ノズルの放出開口から前記真空チャンバー内に放出し、前記基材上に堆積させることで、前記基材上に有機蒸着膜を形成することを特徴とする有機蒸着膜の製造方法としても提供される。
本発明に係る製造方法によれば、ノズルの放出開口と基材との離間距離を小さくしても、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成可能である。
本発明によれば、近接蒸着法に適用したとしても、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成可能である。
図1は、共蒸着法を用いて蒸着膜を形成する際の問題点を説明する図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る3元共蒸着装置の構成を概略的に示す図である。 図3は、図2に示すノズル近傍の概略構成を示す斜視図である。 図4は、図2に示す3元共蒸着装置において、種々の試験条件で、有機蒸着膜の厚み方向の均一性、クロスコンタミネーション量及び有機蒸着膜の膜厚を評価した結果の一例を示す。 図5は、図4に示す試験3の条件で形成した有機蒸着膜の厚み方向の均一性を評価した結果の一例を示す。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。なお、各図に示された各部の厚みや長さなどの寸法並びに各部の縮尺比は、図示の便宜上、実際のものとは異なっている場合がある。
図2は、本発明の一実施形態に係る3元共蒸着装置の構成を概略的に示す図である。図2(a)は3元共蒸着装置の全体構成を示し、図2(b)は図2(a)に示す破線Dで囲んだ領域の拡大図である。
図2に示すように、本実施形態に係る3元共蒸着装置100は、それぞれ異なる種類の有機蒸着材料を収容する3つの蒸着源1(1a、1b、1c)と、3つの蒸着源1からそれぞれ放出された有機蒸着材料を個別に流通させる3つの筒状部材2(2a、2b、2c)と、一端側(本実施形態では下端側)が3つの筒状部材2に連通し、他端側(本実施形態では上端側)に1つの放出開口31が設けられた1つのノズル3と、を備えている。
各蒸着源1は、有機蒸着材料を収容する容器である坩堝(図示せず)と、該坩堝を加熱する加熱手段(図示せず)とを具備する。
加熱手段としては、特に限定されるものではないが、例えば、タングステンやタンタルなどの金属ワイヤーを用いたワイヤーヒーターや、赤外線ランプなどが用いられる。ワイヤーヒーターを用いる場合、坩堝の外周面に金属ワイヤーが巻き付けられ、この金属ワイヤーに電力が供給されることで、金属ワイヤー、ひいては坩堝が加熱される。各蒸着源1が具備する加熱手段は、各蒸着源1が収容する有機蒸着材料の蒸発温度及び所望する蒸着レートに応じた温度で坩堝を加熱する。各蒸着源1が収容する有機蒸着材料は、形成予定の有機蒸着膜に応じて適宜選定できる。
各筒状部材2は、各蒸着源1が具備する坩堝と連通するように各蒸着源1に接続されている。本実施形態の3つの筒状部材2は、それぞれ断面矩形に形成されており、それらの出側(各蒸着源1に接続されている側と反対側)の端部開口21(21a、21b、21c)が基材Sの蒸着位置(後述するキャンロール53の下面)における搬送方向(MD方向、X方向)に沿うように並設されている。
各筒状部材2の出側(各蒸着源1に接続されている側と反対側)には、放出レートセンサとしてQCMセンサ(図示せず)が設けられている。QCMセンサは、水晶振動子の電極表面に物質が付着すると、その質量に応じて共振周波数が低下する性質を利用し、共振周波数の低下量から付着した質量を測定するセンサである。具体的には、例えば、各筒状部材2の出側端部の外周面にピンホールが設けられ、このピンホールの近傍にQCMセンサが設けられる。このQCMセンサによって、ピンホールから漏れ出し、単位時間当たりに付着した各有機蒸着材料の質量を測定することで、各有機蒸着材料の放出レートを測定可能である。
なお、各筒状部材2には、その内部を流通する有機蒸着材料の流量を調整可能とする流量調整弁(図示せず)を設けることが好ましい。流量調整弁を設けることにより、坩堝の加熱温度のみならず、流量調整弁の開閉度によっても、各有機蒸着材料の放出レートを調整することが可能である。
また、各筒状部材2には、各蒸着源1の加熱温度に応じた温度(各蒸着源1から放出され、各筒状部材2の内部を流通する有機蒸着材料の蒸発温度及び所望する蒸着レートに応じた温度)に加熱する加熱手段(図示せず)を設けることが好ましい。各蒸着源1に設けられた加熱手段に加えて、各筒状部材2にも加熱手段を設けることにより、有機蒸着材料が流通過程で温度低下し、放出レートが低下するおそれを回避可能である。
本実施形態のノズル3は、3つの筒状部材2に連通する下端側が開口した中空の直方体に形成されており、その下端部が、並設された3つの筒状部材2の上端部に嵌合するように取り付けられている。ノズル3の放出開口31は矩形状であり、筒状部材2の端部開口21から放出された有機蒸着材料が、放出開口31から基材Sに向けて放出される。ノズル3のより具体的な構成については後述する。
本実施形態に係る3元共蒸着装置100は、蒸着源1、筒状部材2及びノズル3の他、内部が真空とされた真空チャンバー4と、真空チャンバー4内に配置され、基材Sを搬送する搬送装置5とを備えている。本実施形態の蒸着源1は後述する第2室42の底部に固定され、蒸着源1、筒状部材2及びノズル3の全てが真空チャンバ−4内に配置されている。しかしながら、これに限るものではなく、ノズル3及び筒状部材2の出側(上端側)の一部のみを真空チャンバー4内に配置して、筒状部材2の残りの部分及び蒸着源1を真空チャンバー4外に配置することも可能である。
基材Sは、長尺帯状に形成されている。基材Sは、細長い長方形状のフレキシブルなシート状物である。長尺帯状の基材Sの長さ(基材SのMD方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、10m以上であり、好ましくは30m以上であり、より好ましくは50m以上であり、その上限は、例えば、3000m以下であり、好ましくは2000m以下であり、より好ましくは1000m以下である。
また、長尺帯状の基材Sの幅(基材SのTD方向の長さ)も特に限定されないが、例えば、5mm以上であり、好ましくは8mm以上であり、より好ましくは10mm以上であり、その上限は、例えば、500mm以下であり、好ましくは400mm以下であり、より好ましくは300mm以下である。
真空チャンバー4の内部は、例えば、隔壁43を介して2つの室41、42(以下、「第1室41」及び「第2室42」と称する)に区画されている。搬送装置5は、基材Sを蒸着源1が配置された蒸着エリアに搬送する。搬送装置5は、第1室41内の所定位置に配置された第1ロール51と、第2室42に配置されたキャンロール53と、第1室41内の所定位置に配置された第2ロール52とを具備する。第2室42は、蒸着エリアを構成している。真空チャンバー4には、真空ポンプ(図示せず)が設けられている。また、必要に応じて、真空チャンバー4には、反応ガスを供給する反応ガス供給装置(図示せず)を設けてもよい。
図2においては、長尺帯状の基材Sが第1ロール51から巻き出され、第2ロール52に巻き取るまでの間に、基材Sに有機蒸着材料を蒸着させる3元共蒸着装置100(ロールツーロール方式の3元共蒸着装置)を例示しているが、必ずしもこれに限るものではなく、枚葉状の基材上に有機蒸着膜を形成する所謂バッチ方式の3元共蒸着装置とすることも可能である。
また、真空チャンバー4は、第1室41及び第2室42の2つの室に区画されている場合に限定されず、1つの室で構成されていてもよいし、3つ以上の室に区画されていてもよい。
第1ロール51から巻き出された基材Sは、その長手方向(MD方向の下流側)に搬送され、キャンロール53の表面に接しながら第2室42の蒸着エリアを通過した後、第2ロール52に巻き取られる。基材Sがキャンロール53の表面(蒸着エリア)を通過している間に、ノズル3の放出開口31から放出された有機蒸着材料が堆積して、基材Sの表面に有機蒸着膜(薄膜)が形成される。なお、図2(a)に示す矢印は、基材Sの搬送方向(MD方向)を示す。
ノズル3の放出開口31と基材Sの表面との距離は、適宜設定可能であるが、例えば、0.2mm〜5mmであり、好ましくは0.5mm〜4mmである。このような距離となるようにノズル3を設置する(近接蒸着法を適用する)ことにより、蒸着レートが高い3元共蒸着装置100を構成できる。蒸着レートの高い3元共蒸着装置100は、長尺帯状の基材Sに対して連続的に所望の厚みを有する蒸着膜を形成できる。
基材Sは、フレキシブルなシート状物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリイミドなどの樹脂シート;ステンレススチール(SUS)などの金属箔又は金属シート;ガラスシート;などを用いることができる。
基材Sの搬送速度は、例えば、0.5m/分以上であり、好ましくは、1m/分〜20m/分である。
真空チャンバー6内の真空度は、例えば、1×10−3Pa以下であり、好ましくは1×10−5Pa〜1×10−3Paである。
本実施形態に係る3元共蒸着装置100は、様々な有機蒸着膜の形成に使用できる。好ましくは、有機EL装置の発光層として機能する有機蒸着膜の形成に用いられる。しかしながら、これに限るものではなく、薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層、薄膜太陽電池などの光起電力素子における光電変換層、有機発光ダイオードや有機発光トランジスタなどにおける半導体発光層(有機TFT層)など、各種の有機蒸着膜の形成に用いることができる。
各蒸着源1が収容する有機蒸着材料は、有機化合物を含む蒸着材料であり、好ましくは、実質的に有機化合物のみからなる蒸着材料である。「実質的に有機化合物のみからなる」とは、完全に有機化合物のみからなる場合だけでなく、有機化合物としての効果を損なわない範囲で有機化合物以外の化合物が含まれている場合を含み、例えば、蒸着材料全体における有機化合物の割合が98質量%以上である場合を含む。
有機蒸着材料に含まれる有機化合物は特に限定されず、有機蒸着膜の用途に応じて適宜選択することができる。
なお、有機化合物とは、構造の基本骨格に炭素原子を有する化合物(ただし、一酸化炭素、二酸化炭素、金属炭酸塩、青酸、金属青酸塩、金属シアン酸塩、金属チオシアン酸塩、その他の歴史的に無機化合物として扱われるものを除く)をいう。
例えば、本実施形態に係る3元共蒸着装置100で形成される有機蒸着膜を有機EL装置の発光層として用いる場合、有機蒸着材料として、ホスト材料やドーパント材料が用いられる。
ホスト材料は、発光層中において主に電子や正孔の電荷輸送機能を有する化合物であり、ドーパント材料は、発光層中において主に発光機能を有する化合物である。
ホスト材料としては、例えば、1,3,5−トリス(カルバゾ−9−イル)ベンゼン(略称:TCP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(略称:CPF)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(略称:DMFL−CBP)などのカルバゾール誘導体や、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、ジフェニルナフチルジアミン(略称:α−NPD)などを用いることができる。
また、ドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体;ペリレン誘導体;トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq)3)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)2(acac))などの有機イリジウム錯体などの燐光発光性金属錯体;などを用いることができる。
なお、有機蒸着材料としてアシストホスト材料を用いる場合、アシストホスト材料としては、上記ホスト材料と同種のものが用いられる。
以下、図2に加えて図3も適宜参照しつつ、ノズル3近傍の具体的な構成について説明する。
図3は、ノズル3近傍の概略構成を示す斜視図である。図3(a)はノズル3の斜視図であり、図3(b)はノズル3が取り付けられる3つの筒状部材2の上端部を示す斜視図であり、図3(c)は3つの筒状部材2にノズル3が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図3に示すように、本実施形態のノズル3は、前述のように、3つの筒状部材2に連通する下端側が開口した中空の直方体に形成されており、その下端部が、並設された3つの筒状部材2の上端部に嵌合するように取り付けられている。具体的には、ノズル3の側壁32が3つの筒状部材2の上端部側壁22に外嵌することで、ノズル3は3つの筒状部材2の上端部に取り付けられている。ノズル3の側壁32と2つの筒状部材2の上端部側壁22とは、単に嵌合結合しているだけでなく、ビス等の締結部材で締結することも可能である。
前述のように、ノズル3の上端に設けられた放出開口31は矩形状に形成されている。放出開口31は、3つの筒状部材2のうち何れか1つの筒状部材2の端部開口21に正対する位置に設けられている。
本実施形態では、基材Sの搬送方向(X方向)に沿うように並設された3つの筒状部材2のうち、中央に位置する筒状部材2aの端部開口21aに正対する位置に放出開口31が設けられている。すなわち、放出開口31のX方向及びY方向(基材SのTD方向)の中心位置と、端部開口21aのX方向及びY方向の中心位置とが略一致するように、放出開口31と基材Sとの対向方向(本実施形態では上下方向、Z方向)に対向して放出開口31が設けられている。
しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、前述のように、放出開口31は、何れか1つの筒状部材2の端部開口21に正対する位置に設けさえすればよい。筒状部材2bの端部開口21bに正対する位置に設ける場合には、放出開口31のX方向及びY方向の中心位置と、端部開口21bのX方向及びY方向の中心位置とが略一致するように、端部開口21bに対してZ方向に対向して放出開口31が設けられる。同様に、筒状部材2cの端部開口21cに正対する位置に設ける場合には、放出開口31のX方向及びY方向の中心位置と、端部開口21cのX方向及びY方向の中心位置とが略一致するように、端部開口21cに対してZ方向に対向して放出開口31が設けられる。
なお、本実施形態では、図2(b)に示すように、各筒状部材2の上端面23の位置は、Z方向(上下方向)に略同一とされている。また、各筒状部材2の端部開口21のX方向の寸法(La、Lb、Lc)及びY方向の寸法は略同一とされている。さらに、各筒状部材2の端部開口21のY方向の寸法は、ノズル3の放出開口31のY方向の寸法Lyと略同一とされている。ノズル3の放出開口31のY方向の寸法Lyは、基材Sの幅方向全体に有機蒸着膜が形成されるように、基材Sの幅(Y方向の寸法)に応じて設定すればよい(例えば、基材Sの幅よりも若干大きくなるように設定される)。
放出開口31のX方向の寸法Lxは、放出開口31に正対する筒状部材2aの端部開口21aのX方向の寸法La以下とされる。本実施形態では、好ましい構成として、放出開口31のX方向の寸法Lxは、端部開口21aのX方向の寸法Laと略同一とされている。
なお、本実施形態では、放出開口31が筒状部材2aの端部開口21aに正対しているが、仮に放出開口31を筒状部材2bの端部開口21bに正対する位置に設ける場合には、放出開口31のX方向の寸法Lxは、筒状部材2bの端部開口21bのX方向の寸法Lb以下とされ、好ましくは、端部開口21aのX方向の寸法Laと略同一とされる。また、仮に放出開口31を筒状部材2cの端部開口21cに正対する位置に設ける場合には、放出開口31のX方向の寸法Lxは、筒状部材2cの端部開口21cのX方向の寸法Lc以下とされ、好ましくは、端部開口21cのX方向の寸法Lcと略同一とされる。
本実施形態のように、ノズル3の放出開口31が筒状部材2aの端部開口21aに正対する位置に設けられることで、筒状部材2aを流通してノズル3内に到達した有機蒸着材料は、そのまま放出開口31から放出され易いと考えられる。一方、他の2つの筒状部材2b、2cをそれぞれ流通してノズル3内に到達した有機蒸着材料は、放出開口31のX方向の寸法Lxが小さい(端部開口21aのX方向の寸法La以下である)ため、そのまま放出開口31から放出されるのではなく、ノズル3の未開口部(ノズル3の側壁32や上壁33)を迂回して放出開口31に到達する経路で放出され易いと考えられる。したがって、各筒状部材2の端部開口21から放出された有機蒸着材料は、ノズル3の放出開口31近傍で混合し易くなり、混合された後の有機蒸着材料が基材Sに向けて放出されるため、厚み方向に均一な有機蒸着膜が形成されると考えられる。
また、本実施形態では、好ましい構成として、放出開口31のX方向の寸法Lxが、端部開口21aのX方向の寸法Laと略同一とされているため、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成し、なお且つ、クロスコンタミネーション量を抑制することが可能である。クロスコンタミネーション量を抑制可能であるのは、放出開口31のX方向の寸法Lxが大きくなれば、筒状部材2b、2cを流通してノズル3内に到達した有機蒸着材料が、ノズル3の未開口部を迂回して他の筒状部材2の出側に回り込む前に放出開口31から放出され易くなるからだと考えられる。
なお、ノズル3の上壁33と各筒状部材2の上端面23との上下方向の離間距離Lz、換言すれば、ノズル3内に形成される空間のZ方向の寸法は、20mm以下程度に設定することが好ましい。離間距離Lzが大き過ぎれば(ノズル3内に形成される空間が大きすぎれば)、クロスコンタミネーション量を抑制する効果が低減するおそれが生じる等の問題が生じるからである。
ノズル3の放出開口31に端部開口21を正対させる筒状部材2は、3つの蒸着源1がそれぞれ収容する3種類の有機蒸着材料のうち分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容する1つの蒸着源1に接続された筒状部材2とすることが好ましい。本実施形態では、放出開口31に端部開口21が正対するのは筒状部材2aであるため、筒状部材2aが接続された蒸着源1aに分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容することが好ましい。分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料としては、例えば、有機EL装置を形成するためのドーパント材料を例示できる。
本実施形態の筒状部材2aの端部開口21aは、ノズル3の放出開口31に正対するため、筒状部材2aを流通する有機蒸着材料は、筒状部材2b、2cをそれぞれ流通する有機蒸着材料に比べて、放出開口31から放出され易いと考えられる。このため、上記の好ましい構成のように、分解温度と蒸発温度との差が最も小さいために蒸着源1aからの有機蒸着材料の放出レートを高め難い有機蒸着材料を筒状部材2aに流通させれば、3種類の有機蒸着材料全体の蒸着レートを高め易い。
なお、本実施形態では、放出開口31が筒状部材2aの端部開口21aに正対しているが、仮に放出開口31を筒状部材2bの端部開口21bに正対する位置に設ける場合には、筒状部材2bが接続された蒸着源1bに分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容することが好ましい。また、仮に放出開口31を筒状部材2cの端部開口21cに正対する位置に設ける場合には、筒状部材2cが接続された蒸着源1cに分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容することが好ましい。
以下、以上に説明した本実施形態に係る3元共蒸着装置100を用いて基材S上に有機蒸着膜を形成した結果の一例について説明する。
3元共蒸着装置100の蒸着源1aにドーパント材料としてのIr(ppy)3を収容し、蒸着源1bに1つ目のホスト材料としてのAlq3を収容し、蒸着源1cに2つ目のホスト材料としてのα−NPDを収容して、放出開口31のX方向の寸法Lx及びノズル3内に形成される空間のZ方向の寸法Lzを変更し、各条件で有機蒸着膜を形成した。
図4は、本実施形態に係る3元共蒸着装置100において、種々の試験条件で、有機蒸着膜の厚み方向の均一性、クロスコンタミネーション量及び有機蒸着膜の膜厚を評価した結果の一例を示す。図4に示す棒グラフの縦軸は、クロスコンタミネーション比の最大値である。クロスコンタミネーション比とは、何れか1つの筒状部材2の出側に設けられた放出レートセンサ(QCMセンサ)で測定した有機蒸着材料全体の放出レートに占める、他の筒状部材2の出側から回り込んだ有機蒸着材料の放出レートの割合を意味する。また、図4に示す折れ線グラフの縦軸は、形成された有機蒸着膜の膜厚である。さらに、図4において破線の「○」で囲ったデータは厚み方向の均一性が良好であった場合を、破線の「△」で囲ったデータは厚み方向の均一性がやや劣った場合を示している。
図4の横軸に示す試験1〜6は、それぞれ以下の条件で試験を行ったものである。
(1)試験1:Lx=5mm、Lz=4mm
(2)試験2:Lx=9mm、Lz=4mm
(3)試験3:Lx=12mm、Lz=4mm
(4)試験4:Lx=16mm、Lz=4mm
(5)試験5:Lx=9mm、Lz=2mm
(6)試験6:Lx=12mm、Lz=2mm
なお、各筒状部材2の端部開口21のX方向の寸法La=Lb=Lc=12mmとした。また、ノズル3の放出開口31のY方向の寸法Ly及び各筒状部材2の端部開口21のY方向の寸法は、いずれも50mmとした。さらに、各筒状部材2の上端面23と基材SとのZ方向の離間距離は、5mmとした。したがい、ノズル3の放出開口31と基材SとのZ方向の離間距離は、試験1〜4では1mmであり、試験5、6では3mmである。
図4に示すように、放出開口31のX方向の寸法Lxが放出開口31に正対する筒状部材2aの端部開口21aのX方向の寸法La以下である場合(試験1、2、3、5、6)には、形成された有機蒸着膜の厚み方向の均一性が良好であることがわかった。
また、図4に示す試験1〜4を互いに比較するか、試験5、6を互いに比較すれば分かるように、放出開口31のX方向の寸法Lxが大きくなればなるほど、クロスコンタミネーション量(クロスコンタミネーション比)が抑制されることが分かった。
さらに、図4に示す試験2、3と試験5、6とを互いに比較すれば分かるように、ノズル3内に形成される空間のZ方向の寸法Lzを小さくすれば、クロスコンタミネーション量(クロスコンタミネーション比)が若干抑制されるものの、ノズル3の放出開口31と基材SとのZ方向の離間距離が大きくなるため、成膜速度が低減して膜厚が小さくなることが分かった。
以上の結果から、放出開口31のX方向の寸法Lxを端部開口21aのX方向の寸法Laと略同一にすると共に、ノズル3内に形成される空間のZ方向の寸法Lzをある程度大きくしてノズル3の放出開口31と基材SとのZ方向の離間距離を小さくすることが最も好ましい(試験3の条件が好ましい)ことが分かる。
図5は、図4に示す試験3の条件で形成した有機蒸着膜の厚み方向の均一性を評価した結果の一例を示す。厚み方向の均一性を評価するにあたっては、形成した有機蒸着膜の表面から厚み方向に順次エッチングを施し、エッチングによって露出した各厚み方向位置における各有機蒸着材料の濃度をESCA分析(X線光電子分光分析)によって測定することで、厚み方向についての各有機蒸着材料の濃度分布を算出した。図5(a)は、試験3の条件で形成した有機蒸着膜の厚み方向についての各有機蒸着材料の濃度分布を示す。図5(b)は、ノズル3を取り外した点以外は試験3と同じ条件で形成した有機蒸着膜の厚み方向についての各有機蒸着材料の濃度分布を示す。図5の横軸はエッチング時間(有機蒸着膜の厚み方向位置に相当)を、縦軸は各有機蒸着材料の濃度分布を各有機蒸着材料の最大濃度を基準として正規化した値を示す。
図5(a)に示すように、本実施形態に係る3元共蒸着装置100によれば、有機蒸着膜の厚み方向全体に亘ってIr(ppy)3、Alq3及びα−NPDの何れの有機蒸着材料の濃度も0.9〜1.0の範囲内で分布しており、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成可能であった。
一方、図5(b)に示すように、ノズル3を取り外した3元共蒸着装置では、濃度分布の変動が大きい上に、何れか2種類の有機蒸着材料しか存在しない厚み方向位置が存在しており、厚み方向に均一な有機蒸着膜を形成することができなかった。
1,1a,1b,1c・・・蒸着源
2,2a,2b,2c・・・筒状部材
3・・・ノズル
4・・・真空チャンバー
5・・・搬送装置
21,21a,21b,21c・・・端部開口
31・・・放出開口
100・・・3元共蒸着装置
S・・・基材

Claims (6)

  1. それぞれ異なる種類の有機蒸着材料を収容する3つの蒸着源と、
    前記3つの蒸着源からそれぞれ放出された有機蒸着材料を個別に流通させる3つの筒状部材と、
    一端側が前記3つの筒状部材に連通し、他端側に1つの放出開口が設けられた1つのノズルと、
    を備えることを特徴とする3元共蒸着装置。
  2. 前記放出開口は、前記3つの筒状部材のうち何れか1つの筒状部材の前記ノズルに連通する側の端部開口に正対する位置に設けられ、
    前記放出開口の寸法は、前記1つの筒状部材の前記端部開口の寸法以下であることを特徴とする請求項1に記載の3元共蒸着装置。
  3. 前記放出開口の寸法は、前記1つの筒状部材の前記端部開口の寸法と略同一であることを特徴とする請求項2に記載の3元共蒸着装置。
  4. 前記1つの筒状部材は、前記3つの蒸着源がそれぞれ収容する3種類の有機蒸着材料のうち分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料を収容する1つの蒸着源に対応する筒状部材であることを特徴とする請求項2又は3に記載の3元共蒸着装置。
  5. 前記分解温度と蒸発温度との差が最も小さい有機蒸着材料は、有機エレクトロルミネッセンス素子を形成するためのドーパント材料であることを特徴とする請求項4に記載の3元共蒸着装置。
  6. 真空チャンバー内に基材を導入すると共に、請求項1から5の何れかに記載の3元共蒸着装置が備える前記3つの蒸着源からそれぞれ放出された有機蒸着材料を前記ノズルの放出開口から前記真空チャンバー内に放出し、前記基材上に堆積させることで、前記基材上に有機蒸着膜を形成することを特徴とする有機蒸着膜の製造方法。
JP2015210424A 2015-10-27 2015-10-27 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置 Pending JP2017082272A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015210424A JP2017082272A (ja) 2015-10-27 2015-10-27 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015210424A JP2017082272A (ja) 2015-10-27 2015-10-27 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017082272A true JP2017082272A (ja) 2017-05-18

Family

ID=58710777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015210424A Pending JP2017082272A (ja) 2015-10-27 2015-10-27 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017082272A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6375387B2 (ja) 真空処理システム、及び処理システムを取り付けるための方法
WO2008038821A1 (fr) appareil de déposition, appareil de commande d'appareil de déposition, procédé de commande d'appareil de déposition, appareil de déposition utilisant ce procédé et procédé de fabrication de sortie
US20160340776A1 (en) Roller for spreading of a flexible substrate, apparatus for processing a flexible substrate and method of operating thereof
JP6241903B2 (ja) 蒸着装置及び蒸着装置を用いた蒸着方法、及びデバイスの製造方法
KR20130113302A (ko) 진공 증착 방법 및 그 장치
JP5301736B2 (ja) 成膜装置及び成膜材料供給方法
KR101909336B1 (ko) 원료 공급 방법, 원료 공급 장치 및 기억 매체
MX2014008731A (es) Sistemas para la formacion de celdas fotovoltaicas en substratos flexibles.
JP3962349B2 (ja) 気相有機物の蒸着方法とこれを利用した気相有機物の蒸着装置
JP2017082272A (ja) 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置
KR20130046541A (ko) 박막 증착 장치 및 이를 이용한 박막 증착 방법
KR101981752B1 (ko) 발진 수정들을 위한 확산 장벽, 증착 레이트를 측정하기 위한 측정 조립체 및 그 방법
CN110268091B (zh) 成膜方法、成膜装置、元件结构体的制造方法及元件结构体的制造装置
JP6549835B2 (ja) 蒸着装置、及び有機el装置の製造方法
JP2008169420A (ja) 真空蒸着装置
CN111684103B (zh) 用于沉积蒸发材料的沉积设备及其方法
JP7129280B2 (ja) ガスキャリア蒸着装置
JP4989589B2 (ja) ソースガス供給装置
KR20080061668A (ko) 유기 박막 증착 장치
JP5795745B2 (ja) 成膜装置
TW201730359A (zh) 利用感應加熱的蒸鍍裝置以及蒸鍍系統
KR20080074521A (ko) 유기소자의 증착공정을 위한 벨트소스 증착용 직렬형유기물 증발소스
KR20230120774A (ko) 셔터를 포함하는 진공 증발원 모듈 및 이를 이용한 유기발광 디스플레이 장치 제조 방법
JP2016130336A (ja) 蒸着膜の製造方法及び蒸着装置
WO2012121237A1 (ja) 蒸着装置及び薄膜形成方法