[0013]これより、本発明の様々な実施形態について詳細に参照する。これらの実施形態の1つ又は複数の実施例は、図面で示されている。図面に関する以下の説明の中で、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。概して、個々の実施形態に関する相違のみが説明される。各実施例は、本発明を説明する目的で提供されており、本発明を限定するものではない。更に、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、他の実施形態で使用したり、又は他の実施形態と併用したりしてもよく、それにより、更に別の実施形態が生み出される。本記載には、そのような変更及び変形が含まれることが意図されている。
[0014]図1は、本明細書に記載された実施形態に係る真空処理システム100を示す。幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された処理システムは、フレキシブル基板用に、具体的には、フレキシブル基板を案内且つ処理するように適合され得る。処理システム100は、供給ロール121を収容するための巻き出しチャンバ120(又は巻き出しモジュール)を含み得る。
[0015]本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、供給ロール121によって供給された基板は、巻き出しチャンバの中で、そして処理チャンバ140へと案内される。処理チャンバ140は、巻き出しチャンバ120に隣接するように配置され得る。図1の実施形態で示されているように、コーティングドラムとして設計され得る処理ロール142は、処理チャンバ内で実行される処理の間に基板を案内するため、処理チャンバ140内に配置される。
[0016]処理ロール142を通過した後、基板は、処理チャンバ140から離れる。図1で示されている実施形態では、基板は、処理チャンバ140から通路150(以下で詳しく説明するように、トンネルとして設計されてもよい)へと案内される。幾つかの実施形態によれば、通路150は、処理チャンバ140と巻き付けチャンバ110(又は巻き取りモジュール)を接続する。巻き付けチャンバ110では、処理された基板は、巻き取りロール111上に巻き付けられる。
[0017]メンテナンスゾーン130は、巻き付けチャンバ110と巻き出しチャンバ120の間に設けられる。
[0018]本明細書で言及されるメンテナンスゾーンは、処理システムの1つ又は複数のチャンバのメンテナンスを可能にする区域として理解するべきである。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、処理システムのチャンバのうちの1つ又は複数の中に存在する構成要素を監視、制御、保守、洗浄、又は交換することを可能にし得る。
[0019]更に、「メンテナンスゾーン」という用語は、オペレータによって実行されるメンテナンスを可能にする区域として理解してもよい。本明細書に記載された実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、チャンバのメンテナンスアクセス又はチャンバへのメンテナンスアクセスを可能にする。例えば、メンテナンスゾーンは、巻き出しチャンバ又は巻き付けチャンバにアクセスすることを可能にし得る。メンテナンスアクセスは、視覚的メンテナンス、信号制御又は信号受信のための電子ユニットへのアクセス、又は物理的なエントリを含み得る。実施形態によると、メンテナンスゾーンは、大気条件を提供する。
[0020]本明細書に記載された実施形態によれば、フレキシブル基板のための真空処理システムが説明され、その実施例は、記載された図面で示される。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、真空堆積システムであってもよい。処理システムは、第1のチャンバ及び第2のチャンバを含み、それぞれ、処理後に、フレキシブル基板を供給するための供給ロール及びフレキシブル基板を収めるための巻き取りロールのうちの1つを収容する。幾つかの実施形態では、第1のチャンバは、巻き取りロールを含み、図1の巻き付けチャンバ110のような巻き付けチャンバとして表され得る。幾つかの実施形態では、第2のチャンバは、供給ロールを含んでもよく、図1の巻き出しチャンバ120のような巻き出しチャンバとして表され得る。真空処理システムは、第1のチャンバと第2のチャンバの間にメンテナンスゾーンを更に含む。図1では、メンテナンスゾーン130は、巻き出しチャンバ120と巻き付けチャンバ110の間に配置されている。
[0021]本明細書に記載された実施形態によれば、処理システムは、フレキシブル基板を処理するための第1の処理チャンバを含む。図1の例で見ることができるように、第2のチャンバ120は、メンテナンスゾーン130と第1の処理チャンバ140の間に設けられる。第1のチャンバと第2のチャンバの間にメンテナンスゾーンが配置されていることにより、真空処理システムの運転の、例えば、前、後、又は途中に、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバのメンテナンスアクセス、或いは第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバへのメンテナンスアクセスが可能となる。
[0022]上述のように、巻き出しチャンバは、基板のための供給ロールを含み得る。供給ロールは、処理される基板が収められるロールと理解するべきである。本明細書に記載された処理システムの巻き付けチャンバは、巻き取りロールを含み得る。本明細書に記載された巻き取りロールは、処理された基板を受け入れるように、例えば、堆積処理の後に基板を受け入れるように適合されたロールと理解してもよい。
[0023]しかしながら、本明細書に記載された実施形態は、第1のチャンバを巻き付けチャンバ又は再巻き付けチャンバとして言及し、第2のチャンバを巻き出しチャンバとして言及するが、本明細書で言及されている第1のチャンバは、供給スプールを備える巻き出しチャンバとして使用されてもよく、第2のチャンバは、巻き取りスプールを備える再巻き付けチャンバとして使用されてもよいことを理解するべきである。
[0024]本明細書に記載された処理チャンバは、処理が行われるチャンバと理解するべきである。例えば、処理チャンバの中では、基板上に材料を堆積するために堆積処理が行われ得る。しかしながら、処理チャンバは、以下で詳細に説明されるように、代替的又は追加的な処理のために更に適合されてもよい。
[0025]幾つかの実施形態によれば、処理チャンバは、処理構成要素を収容し得る。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、基板の加熱、冷却、前処理、洗浄のため、基板上に材料を堆積する構成要素などを含んでもよい。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、基板上に材料を堆積するための堆積源、加熱装置(加熱ランプ(例えば赤外線ランプ)など)、処理ロール内の冷却チャネル、洗浄装置、例えば、プラズマ前処理によって、後段階で実行される処理のために基板を準備する装置のような前処理装置、エッチング装置などを含んでもよい。幾つかの実施形態によれば、基板をプラズマで処理するため、前処理プラズマ源(例えば、RFプラズマ源)を提供し得る。例えば、プラズマでの前処理は、基板表面に堆積された膜の膜接着性を向上させるために基板表面の表面改質をもたらすことがあり、或いは、その処理を改善するために別の方法で基板形態を改善することがある。
[0026]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、処理システム100は、処理前にフレキシブル基板を加熱するための予熱ユニットを含んでもよい。例えば、その処理に先立って、基板を加熱するための輻射ヒータ、e−ビームヒータ(e−beam heater)、又は任意の他の要素を提供し得る。
[0027]堆積処理が処理チャンバ内で実行されるべき場合、処理チャンバ内の1つ又は複数の処理構成要素は、1つ又は複数の堆積源を含んでもよい。幾つかの実施形態によれば、堆積源は、CVD処理、PVD処理、PECVD処理、マイクロ波プラズマ処理などのための堆積源であってもよい。
[0028]したがって、処理チャンバは、CVD処理、PVD処理、PECVD処理、マイクロ波プラズマ処理、スパッタエバポレータ(sputter evaporator)などのために適合されてもよい。例えば、処理チャンバは、電源、ガス供給部、真空ポンプ、プラズマ生成システムなど、上述の処理の実行に役立つ更なる構成要素を含んでもよい。更に、チャンバは、チャンバ壁及び追加のチャンバ構成要素(分離壁、カバー、及び支持要素など)を選択すること、プラズマ処理に適切なチャンバ形状(汚染を回避又は低減させる形状など)を選択することなどによって、プラズマ処理に適切であるように設計され得る。
[0029]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、処理チャンバは、プラズマ化学気相堆積(PECVD)源を含み得る。プラズマ化学気相堆積源は、2MHzから90MHzの周波数、例えば、40.68Mhzの周波数で操作することができ、統合されたインピーダンスセンサは、例えば、ガス分離ユニットのスリットの幅及び/又は基板からの堆積源の電極の距離など、それぞれのプロセスパラメータのリアルタイムのインラインプロセス監視及び制御を提供することができる。
[0030]幾つかの実施形態では、堆積源は、薄膜をフレキシブル基板上に堆積するように適合されてもよい。例えば、プラズマ堆積源は、例えば、フレキシブルTFT、タッチスクリーンデバイスの構成要素、又はフレキシブルPVモジュールを形成するため、薄膜をフレキシブル基板上に堆積させるように適合及び使用することができる。
[0031]幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバ及び/又は第2の処理チャンバは、ボトムアップ方向又は水平方向で基板上に材料の堆積を可能にするように適合され得る。堆積システムとして使用されている処理システムは、基板上の粒子発生が回避されるように、ボトムアップ式堆積源(bottom−up deposition sources)が設けられ得る。特に処理ドラム又はコーティングドラムの用途においては、ボトムアップ式堆積源は、コーティングドラムの回転軸の高さ又はその下方に配置されている堆積源として理解してもよい。図2では、回転軸が参照番号143で示されている。
[0032]幾つかの実施形態によれば、処理チャンバ140の外形は、堆積源のボトムアップ構成に適合され得る。例えば、処理チャンバ140の外形は、場合により処理中に処理チャンバ内に配置された各堆積源の位置を考慮して、セグメント化された形状を有してもよい。幾つかの実施形態では、チャンバの外形は、図2で見られるように、曲折した形又は多角形状を有してもよい。
[0033]幾つかの実施形態によれば、処理チャンバは、処理チャンバ内で処理構成要素を支持又は保持するための1つ又は複数の支持装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持装置は、所定の期間、所定の交差内で、処理構成要素を固定位置で保持するのに適し得る。一実施例では、処理チャンバは、基板上に材料を堆積するための堆積源、加熱装置(加熱ランプ、例えば、赤外線ランプなど)、洗浄装置、及び後段階で実行されるべき処理のために基板を準備する装置のような前処理装置などの上述の処理構成要素を支持又は保持するための支持装置を含んでもよい。幾つかの実施形態では、支持装置は、締め付け装置、把持装置、テーブル、取り付け具、キャリア、留め具、取付装置、アダプタ装置などを含んでもよい。
[0034]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、堆積システムの処理チャンバは、区画部又は開口部を有してもよく、堆積源又は堆積源を有する堆積ステーションなどの処理構成要素は、異なる種類の堆積源が処理チャンバ内で分離されるように、それぞれの開口部又はそれぞれの区画部の中に位置付けされ得る。
[0035]処理チャンバは、処理中に基板を支持するように構成される処理ロールを更に含み得る(図1では処理ロール142として確認することができる)。処理ロールは、処理チャンバ内に存在する処理構成要素を通り越して、処理中に基板を支持且つ/又は案内し得る。一実施例では、処理ロールは、コーティングドラムであってもよい。コーティングドラムは、堆積源などの1つ又は複数の処理構成要素を通り越して、フレキシブル基板を案内するように適合され得る。幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムは、約−20℃から400℃の温度まで加熱且つ/又は冷却されるように構成され得る。例えば、処理ドラムは、加熱及び/又は冷却チャネルを含んでもよい。
[0036]図2及び図3は、本明細書に記載された幾つかの実施形態に係る、処理システム100のより詳細な図を示す。図2は、処理システム100の概略断面図を示すが、図3は、処理システム100の概略上面図を示す。図1に関連して説明されたように、堆積システムは、第1のチャンバ110、第2のチャンバ120、メンテナンスゾーン130、及び処理チャンバ140を含む。
[0037]図2では、基板160は、巻き出しチャンバ(又は第2のチャンバ)120内の供給ロール165から処理チャンバ140内の処理ロール142へと、更に通路150を通って、巻き付け(又は第1の)チャンバ110内の巻き取りロール115へと案内されているように見える。上述のように、基板は、フレキシブル基板であってもよい。
[0038]ここで、本明細書に記載された実施形態で用いられるフレキシブル基板又はウェブは、典型的に、屈曲可能であるという点において特徴付けられ得ることに留意されたい。「ウェブ」という用語は、「ストリップ」又は「フレキシブル基板」という用語と同義的に使用され得る。例えば、本明細書の実施形態で説明されるウェブは、金属箔、ウエブ、又はガラス基板などの箔又は別のフレキシブル基板であってもよい。
[0039]一般的に、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる異なる実施形態によれば、ロールなどの処理システム内の単一の構成要素、及び堆積源(例えば、プラズマ堆積源)は、フレキシブル基板(例えば、ウエブ又は箔、或いはガラス基板)のために適合され得る。例えば、ロールは、フレキシブル基板を案内、巻出し、又は巻き付けするためのそれぞれの表面及び形状寸法を有し得る。
[0040]図2は、案内ロール166、巻き付けロール115、巻き出しロール165、及び処理ロール142しか示していないが、処理システム100は、種々の機能のための、更なるロール、ローラ、又はローラ装置を含んでもよいことを理解するべきである。
[0041]本明細書に記載されたロール、ローラ、又はローラ装置は、処理システムの中に基板が存在する間、基板(又は基板の一部)が接触し得る表面を提供する装置と理解してもよい。本明細書で言及されているロールの少なくとも一部は、処理される基板又は既に処理された基板に接触するための円形のような形状を含み得る。幾つかの実施形態では、ローラ装置は、実質的に円筒形状を有し得る。実質的な円筒形状は、真っすぐな長手方向軸の周りに形成されてもよく、又は湾曲した長手方向軸の周りに形成されてもよい。幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載されたローラ装置は、フレキシブル基板と接触するように適合され得る。本明細書で言及されるローラ装置は、基板が処理される間(堆積処理の間など)又は基板が処理システム内に存在する間に基板を案内するように適合された案内ローラ、コーティングされる基板に規定された張力を付与するように適合されたスプレッダローラ、規定された走行経路に従って基板を偏向するための偏向ローラ、コーティングローラ又はコーティングドラムのような処理の間に基板を支持するための処理ローラ、調整ローラ、巻き付けロール、巻き出しロールなどであってもよい。本明細書に記載されたローラ装置は、金属を含み得る。一実施形態では、基板と接触するべきローラ装置の表面は、コーティングされるべきそれぞれの基板に適合され得る。
[0042]幾つかの実施形態では、本明細書に記載されているように、処理システムのチャンバ又はトンネルの間で基板160を案内するローラ166は、張力測定のために更に構成されてもよい。本明細書に記載された実施形態の典型的な実装形態によれば、少なくとも1つの張力測定ローラが処理システム内に設けられる。しかし、処理ロール142の両側にある2つの張力測定ローラによって、処理ローラの巻き付け側と巻き出し側での張力測定が可能になることがある。通常、張力測定ローラは、フレキシブル基板の張力を測定するように構成される。これにより、基板搬送をより良く制御することができ、コーティングドラム上の基板の圧力を制御することができ、且つ/又は基板に対する損傷を低減又は回避することができる。
[0043]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、フレキシブル基板の巻き付け及び巻き出しのためのローラ、基板を案内するためのローラ、処理ドラム又はコーティングドラム、及びフレキシブル基板と接触している処理システム内の他のローラ又は要素は、フレキシブル基板の背面、すなわち、処理システムの中で処理されない(又は処理されるべきではない)側面だけが接触するように、堆積チャンバ内で位置付け且つ/又は配置される。したがって、基板を巻き出し、処理、再巻き付け、張力付与、又は案内するとき、ローラに基づいて基板の前面に接触することはない。これにより、処理された基板の表面上、更に処理されるべき基板の表面上の汚染が低減する。更に、特に処理された表面上の基板損傷のリスクが低減する。
[0044]幾つかの実施形態によれば、コーティングドラムの周りでの基板の巻き付け角度は、典型的に、180度未満、より典型的に170度未満、及び更により典型的に150度未満であってもよい。処理された基板表面(例えば、層が堆積された基板の表面)が接触されることなく、基板は処理チャンバを通して案内され得る。
[0045]典型的な実装態様によれば、処理システム内に存在するすべてのロールの巻き付け角度の合計は、180度と540度の間、例えば、180度と360度の間であってもよい。幾つかの実施形態では、例えば、第2の処理ロールが提供される場合、堆積システム内に存在しているすべてのロール(供給ロール及び巻き取りロールを除いて)の巻き付け角度の合計は、540度以下であり得る。幾つかの実施形態では、堆積システム内に存在しているすべてのロール(供給ロール及び巻き取りロールを除いて)の巻き付け角度の合計は、360度未満であり得る。先ほど説明されたように、幾つかの実施形態によれば、堆積システムのローラは、基板の背面、すなわち、非処理面のみで基板と接触する基板案内システムを提供するように配置される。典型的に、特に少ない巻き付け角度の合計(360度未満の巻き付け角度など)が望まれる場合、案内ローラの数は、2以上10以下である。
[0046]図1の実施例で見ることができるように、処理チャンバは、傾いたフランジ145を含み得る。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、傾いたフランジ145によって接続される少なくとも2つの部分に分割され、この少なくとも2つの部分は、組み立てられたときに処理チャンバを形成する。傾いたフランジ145によって処理チャンバ140の第2の部分147に接続されている処理チャンバ140の第1の部分146は、図2で見ることができる堆積源などの処理構成要素を(少なくとも部分的に)収容し得る。幾つかの実施形態によれば、処理チャンバ140の第1の部分146は、処理構成要素(堆積源又はツールなど)が第1の部分に外部的に取り付けられるように適合され得る。本明細書に記載された実施形態に係る処理チャンバは、例えば、通路150と連通することにより、更に通路の一部(例えば図6で示されているように)になることにより、通路150に接続可能である第2の部分を設けてもよい。幾つかの実施形態によれば、処理チャンバ140の第1の部分146及び第2の部分147は、垂直に対して傾斜するフランジによって接続可能であり得る。
[0047]処理チャンバ140の傾いたフランジは、処理される基板160の下方に堆積源141などの処理構成要素を配置すること可能にし得る。したがって、堆積処理が処理チャンバ内で実行される場合、堆積は、基板の上方ではなく、基板の下方から行なわれ得る。幾つかの実施形態では、図2の堆積源141によって例示的に見ることができるように、堆積は、基板に対して水平方向から実行され得る。幾つかの実施形態によれば、堆積源は、コーティングドラムの下半分で設けられる。すなわち、ローラ142の水平中央線又は処理ドラムの回転軸の上で源の配向を有する堆積は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積システムのために使用されない。言い換えれば、堆積源の全体的な配置は、コーティングドラムの中央軸143の高さ又はその高さの下方に設けられる。幾つかの実施形態では、処理チャンバ内の堆積源は、処理ドラムの水平な回転軸の高さ又はその下方に配置される。基板及びプロセスを汚染する可能性がある生成された粒子は、重力に起因して堆積ステーションに留まる。基板上及び/又は堆積層の中で望まれない粒子が生成されることを回避することができる。特に処理ドラム又はコーティングドラムの用途においては、ボトムアップ式堆積源は、コーティングドラムの回転軸の高さ又はその下方に配置されている堆積源として理解してもよい。更に、真っ直ぐなパーティションを有する処理チャンバに比べて、傾いたフランジを有する処理チャンバ140の中に、複数の処理構成要素を配置し得る。
[0048]本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、処理チャンバの傾いたフランジは、処理チャンバ内で処理区域を分離するため、処理チャンバの中に分離壁を設け得る。例えば、図面で示されている傾いたフランジは、処理チャンバの中の真空気密分離壁を示し得る。一実施例では、処理チャンバの中の真空気密分離壁は、基板を通過させるためのスルースなどを設け得る。処理チャンバの中に分離壁を設けることにより、特に、堆積が行われる処理チャンバ区域から、基板の案内のみが行われる処理チャンバ区域又は前処理が行われる処理チャンバ区域を分離したとき、汚染リスクが低減し得る。
[0049]実施形態によれば、処理システム100の幾つかのチャンバ、又はすべてのチャンバは、真空処理のために適合され得る。例えば、処理システムは、巻き付けチャンバ、処理チャンバ、及び巻き出しチャンバなどの処理システムの少なくとも一部において、真空を生成又は維持することを可能にする構成要素又は機器を含んでもよい。幾つかの実施形態によれば、堆積システムは、堆積システムの少なくとも一部において真空を生成又は維持するため、真空ポンプ、排気ダクト、真空シールなどを含み得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の処理チャンバ、巻き付けチャンバ、及び巻き出しチャンバは、それぞれ、他のチャンバから独立して単一のチャンバ内で真空を生成且つ維持するための真空生成装置及び真空維持装置を含み得る。例えば、各チャンバは、それぞれの区域の排気に個別に対応する真空ポンプ又はポンプステーションを有する。
[0050]更に追加的に又は代替的に、トンネル又は通路は、その中に真空を生成且つ/又は維持するように適合され得る。しかしながら、幾つかの実施形態によれば、通路又はトンネルは、処理チャンバの一部であると理解してもよい。例えば、トンネルは、スルースによって処理チャンバから分離されない場合がある。したがって、トンネルには、例えば、片方又は両方の処理チャンバの中に存在する真空と同じ真空が供給され得る。一実施例では、トンネルは、片方又は両方の処理チャンバと同じ真空生成手段によって生成且つ維持される真空条件を設け得る。
[0051]一実施例では、巻き出しチャンバ及び/又は再巻き付けチャンバは、例えば、メンテナンスゾーンに対してドア又は窓を開けることによって、維持を目的として排気され得る。
[0052]幾つかの実施形態によれば、真空条件の下で運転するように適合されている処理システムのチャンバは、真空気密筐体(vacuum tight enclosure)を形成する。この真空気密筐体は、すなわち、約0.2から10mbarの圧力を有する真空、又は更に1*10−4から1*10−2mbarの圧力を有する真空にまで排気され得る。特に、種々の圧力状態で行われる、10−3mbar範囲内のPVD処理及びmbar範囲内のCVDに対して、種々の圧力範囲を考慮するべきである。更に、1つ又は複数のチャンバは、1*10−6mbar以下の圧力で背景真空(background vacuum)まで排気され得る。背景圧力とは、任意のガスの注入口が全くない状態で、チャンバの排気によって達成される圧力のことを意味する。それとは対照的に、本明細書に記載された実施形態によれば、110と120の間に設けられたメンテナンスゾーンは、オペレータがメンテナンスアクセスを使用することができるように、大気(すなわち、周囲空気)条件下にある。
[0053]幾つかの実施形態では、トンネル又は通路は、真空条件及び/又は任意選択的に制御された不活性雰囲気の下で操作されるように適合され得る。代替的に、トンネル又は通路は、大気圧条件、又は周囲条件の下で操作されてもよい。
[0054]幾つかの実施形態では、基板が処理システムのチャンバを通して案内されるとき、フレキシブル基板は、チャンバを分離する壁の中の、すなわち、第2のチャンバ120と処理チャンバ140の間の壁の中のスリット又は開口部を通して案内される。一実施例では、スリットは、ある真空チャンバから別の真空チャンバへと基板を案内するように適合されてもよい。他の実施形態では、スリット又は開口部は、スリットによって連結された2つのチャンバの圧力条件を少なくとも実質的に分離するために密封要素を含み得る。例えば、スリット又は開口部によって連結されている複数のチャンバが、異なる圧力条件をもたらす場合、壁の中のスリット又は開口部は、それぞれのチャンバの中の圧力を実質的に維持するように設計される。
[0055]本明細書に記載された実施形態によれば、第2のチャンバ又は巻き取りチャンバを処理チャンバから分離するための少なくとも1つの間隙スルース(gap sluice)又はロードロックバルブが分離壁122で設けられる。1つ又は複数の間隙スルースは、フレキシブル基板が通過し、開閉して真空密封をもたらし得るように構成される。典型的な実施形態によれば、間隙スルースは、基板を案内するための、例えば、基板移動を10度以上の角度だけ方向転換させるためのローラを含む。更に、間隙スルースのローラに押しつけることができる膨張式シールが提供される。間隙スルースは、シールを膨張させることによって閉じられ、第2のチャンバ120及び処理チャンバ140は、真空気密であるように互いから分離される。したがって、例えば、第2のチャンバ120を排気することができる一方で、処理チャンバ140を技術的真空(technical vacuum)下で維持することができる。
[0056]更なる代替的な実装形態によれば、間隙スルース又はロードロックバルブは、ローラがなくても設けてもよい。膨張式シールは、基板を平らな密封面に対して押し付けることができる。但し、間隙スルースを選択的に開閉するた他の手段、すなわち、開かれた基板経路及び真空シールを有する手段を更に利用してもよく、開閉は、基板の挿入中に行ってもよい。新しいロールからの基板を前のロールからの基板に取り付けることができるため、基板の挿入中に真空密封を閉じるための間隙スルースは、特に容易な基板の取り換えを可能にする。
[0057]間隙、開口部、又は間隙スルースは、フレキシブル基板を第2のチャンバから処理チャンバへと案内することに関して説明されるが、本明細書に記載された間隙、開口部、又は間隙スルースは、処理チャンバと通路の間、通路と巻き付け(又は第1の)チャンバの間、及び/又は処理チャンバと第1のチャンバの間など、堆積システムの他の部分間で更に使用され得る。
[0058]幾つかの実施形態によれば、処理システム100は、通路150を含む。幾つかの実施形態では、通路は、巻き出しチャンバ120及び/又は再巻き付けチャンバ110の上方に配置される。他の実施形態では、通路は、巻き出しチャンバ120及び/又は再巻き付けチャンバ110の下方に位置付けされたトンネルとして形成されてもよい。通路(又はトンネル)は、例えば、処理チャンバ内で基板を処理した後、フレキシブル基板を案内するために使用されてもよい。幾つかの実施形態によれば、フレキシブル基板は、通路を通して、処理チャンバから第1のチャンバ又は巻き付けチャンバへと案内され得る。幾つかの実施形態によれば、通路又はトンネルは、例えば、個々のシール、ポンプ、スルースなどを設けることによって、真空条件の下で基板を案内するように適合され得る。幾つかの実施形態では、通路は、堆積システムの操作の間、大気条件下にあってもよい。大気条件下で通路を操作することにより、コストと労力を節約し得る。幾つかの実施形態によれば、通路内にスルースを設けてもよく(所定位置に1つのスルースを設けるなど)、基板は、処理チャンバ及び1つのスルースから通路に入り、それから通路から出て、巻き付けチャンバに至る。
[0059]幾つかの実施形態では、堆積システムのあるチャンバから別のチャンバへと基板を案内するために設けられる通路又はトンネルは、幾つかの適合可能性を提供し得る。例えば、通路又はトンネルは、トンネル内に測定装置を設けるための適合装置を備え得る。幾つかの実施例では、通路又はトンネルは、基板用の温度センサ、圧力センサ、張力センサ、並びに、視覚制御装置、基板制御装置などを含むように適合され得る。
[0060]幾つかの実施形態では、通路(又はトンネル)、第1のチャンバ、及び第2のチャンバは、メンテナンスゾーンを取り囲む。一実施例では、通路は、メンテナンスゾーンの上方で延在する上側蓋内に、上側蓋内によって、又は上側蓋として、設けられ得る。別の実施例では、上述のように、通路は、メンテナンスゾーンの下方で延在する底部側トンネル内に、底部側トンネルによって、又は底部側トンネルとして、設けられ得る。
[0061]上述のように、図3では、図2で示された堆積システム100の上面図を見ることができる。図3の実施例では、オペレータ170は、メンテナンスゾーン130を通して、巻き付けチャンバとも表される第1のチャンバ110の巻き取りロール115を交換している。巻き取りスプール115が、種々の位置で破線で示されている。幾つかの実施形態によれば、制御信号が、オペレータ170に対して、第1のチャンバ110内の巻き取りロールを取り換える必要性についてに知らせることができる。図3で見られるように、メンテナンスゾーン130は、巻き取りロール115の交換のための優れたアクセス性を提供する。
[0062]概して、巻き取りスプールの交換処理のみが説明されているが、メンテナンスゾーンは、コーティング処理間の基板の送入出のためにも優れたアクセス可能性を提供する。したがって、供給ロール165も図3で示されている方法で交換してもよい。
[0063]メンテナンスゾーンは、オペレータによって実行されるメンテナンスを可能にするゾーンとして理解してもよい。本明細書に記載された実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、チャンバのメンテナンスアクセス又はチャンバへのメンテナンスアクセスを可能にする。例えば、メンテナンスゾーンは、巻き出しチャンバ又は巻き付けチャンバにアクセスすることを可能にし得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、メンテナンスゾーンがアクセスを許可する処理システムのチャンバのうちの1つ又は複数の中に存在する構成要素を制御、洗浄、又は交換することを可能にし得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、処理システムのチャンバ内の処理に影響を与えるためのスイッチ、ボタン、制御ダイヤル、モニター、アクチュエータ、モジュレータなどの制御要素へのアクセスを提供し得る。一実施例では、メンテナンスゾーンは、巻き付け又は巻き出し処理を終了させるスイッチを有してもよい。他の実施形態又は更なる実施形態では、メンテナンスゾーンは、温度、圧力、湿度などの環境条件を第1及び/又は第2のチャンバにおいて制御するための制御要素を有してもよい。実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、大気条件をもたらす。
[0064]幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、操作中、例えば、処理チャンバが10mbar以下の圧力まで排気される間、第1のチャンバ及び第2のチャンバのうちの少なくとも1つへのメンテナンスアクセス又はその少なくとも1つのメンテナンスアクセスを可能にする。例えば、メンテナンスアクセスは、制御要素を取り扱う又は作動させる形態又は視覚的制御の形態などで操作の間に提供され得る。しかしながら、供給ロール又は巻き取りロールを取り外す、交換する、又は供給する形でのメンテナンス、すなわち、巻き付け/巻き出しチャンバのうちの1つ又は複数が排気され且つ/又は開かれるメンテナンスタスクは、処理システムの操作、すなわち、処理動作の間は実行できないことを理解するべきである。しかしながら、供給ロール又は巻き取りロールを取り外す、交換する、又は供給する形での供給ロール及び巻き取りロールのメンテナンスのための、及び/又はメンテナンスゾーンに隣接する真空チャンバのうちの1つ又は複数の内部を洗浄するためのメンテナンスアクセスを可能にするメンテナンスゾーンは、メンテナンスアクセスのために排気され且つ/又は開かれ得る1つ又は複数の処理チャンバが、例えば、10mbar以下の圧力に排気される場合、大気圧のままである。
[0065]幾つかの実施形態によれば、供給ロール又は巻き取りロールを取り外す、交換する、又は供給する形でのメンテナンス、すなわち、巻き付けチャンバのうちの1つ又は複数が排気され且つ/又は開かれるメンテナンスタスクは、ウエブ又は箔が1つ又は複数の処理チャンバ内に留まっている間に実行されてもよい。幾つかの実施形態によれば、処理システムの処理動作が停止し、ウエブ又は箔の搬送ローラが停止される。処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバの間の膨張式シールによってウエブが締め付けるように、ウエブ又は箔は、次いで、処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバの間の真空気密バルブ又は間隔スルースによって締め付けられてもよい。幾つかの実施形態では、ウエブは、処理チャンバと巻き付け/巻き出しチャンバとの間で締め付けられた後、巻き付け/巻き出しチャンバ内で切削される。供給ロール及び/又は巻き取りロールは、取り外され且つ/又は交換される。供給ロールによって設けられる新しく追加されたウエブは、巻き出しチャンバ内のウエハの切削端部に固定(付着又は接着など)され得る。この場合、巻き付けチャンバのうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の処理チャンバが真空下に保たれている間、排気され且つ/又は開かれ、処理システムの他の部分で真空が保たれている間、メンテナンスが巻き付け/巻き出しチャンバで実行される。
[0066]幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、並びに/或いは更に第1及び/又は第2のチャンバの上方のトンネルの典型的なメンテナンスステップのために適合され得る。例えば、メンテナンスゾーン130のサイズは、オペレータ170のサイズに適合され得る。更に、メンテナンスゾーン130のサイズは、オペレータが第1及び第2のチャンバから供給ロール及び/又は巻き取りロールを取り外すことができるように、選択され得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、(図3で見ることができるように)1mを越える長さ131を有し得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、典型的には、約1mと約3mの間、より典型的には、約1.5mと約2.5mの間、更により典型的には、約1.5mと約2mの間の長さ131を有し得る。更に、メンテナンスゾーンは、(図2で見ることができるように)1.7mを越える高さ132を有し得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、典型的には、約1.7mと約3mの間、より典型的には、約2mと約3mの間、更により典型的には、約2mと2.5mの間の高さ132を有し得る。更に、メンテナンスゾーン130は、(図3で見ることができるように)基板の幅に応じた深さ133を有し得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーン130の深さ133は、0.7mを越え得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンの深さ133は、典型的には、約1.0mと約4.0mの間、より典型的には、約2mと約3.5mの間、更により典型的には、約2mと約3mの間であり得る。
[0067]メンテナンスゾーン130の中で破線の巻き取りロール115−1で示されているように、メンテナンスゾーンは、オペレータ170が第1のチャンバ110から取り外された巻き取りロールを取り扱うことを可能にする。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130のサイズは、メンテナンスを目的としたチャンバへの容易なアクセスと、堆積システムの利用可能なスペースとの間の妥協の産物であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載された堆積システム内の案内ローラシステム、並びに特に案内ローラの数は、メンテナンスゾーンのサイズに適合される。
[0068]幾つかの実施形態では、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバが、それぞれ、第1のチャンバの径方向から及び第2のチャンバの径方向からアクセスされ得るように、メンテナンスゾーンは、設けられ且つ構成される。メンテナンスゾーンは、供給ロール及び巻き取りロールのそれぞれの径方向から第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバにアクセスすることを可能にする。一実施形態では、チャンバの径方向は、供給ロール又は巻き取りロールのうちの1つの径方向に対応し得る。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、供給ロールのための巻軸及び巻き取りロールのそれぞれの径方向から、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバにアクセスすることを可能にする。特に、メンテナンスゾーンは、第1のチャンバ(例えば、図1の110を参照)(例えば、供給ロールを備える真空チャンバ)にアクセスし、且つ第2のチャンバ(例えば、図1の120を参照)(例えば、巻き取りロールを備える真空チャンバ)に、それぞれの第1の径方向側及び第2の径方向側からアクセスすることを可能にし得る。第1の径方向側と第2の径方向側は、互いに向き合う。例えば、供給ロールは、巻き取りスプールに向かって径方向に取り外されてもよく、その逆方向も可能である。
[0069]本明細書に記載された実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、メンテナンスアクセスを可能にする。メンテナンスアクセスは、視覚的メンテナンス(視覚制御など)、信号制御又は信号受信のための電子ユニットへのアクセス、又は物理的なエントリを含み得る。一実施例では、メンテナンスアクセスは、例えばリッドなどによって閉じられ得るドア、窓、又は開口部によって提供されてもよい。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスアクセスは、巻き付け又は巻き出しチャンバの壁の中の窓のように、チャンバ壁によって提供されてもよい。
[0070]幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンは、図2において2つの水平線で表された点検窓134として示されたチャンバ壁内の窓を通して、メンテナンスアクセスを提供し得る。第1のチャンバ110の壁で例示的に示される点検窓は、例えば、基板が巻き取りスプール上に巻き付けられたとき又は供給スプールから巻き取られたとき、基板を確認することができるような高さに配置され得る。幾つかの実施形態によれば、点検窓は、典型的には、約1mと約3mの間、より典型的には、約1.2と約2.5の間、更により典型的には、約1.4mと約2.4mの間の幅など、フレキシブル基板の完全な幅を確認するためのサイズを有し得る。更に別の実施形態によれば、点検窓は、例えば、供給ロール及び/又は巻き取りロールの全体の確認を可能にすることによって、巻き付け及び/又は巻き出し処理のすべてを確認するサイズを有し得る。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンの点検窓は、オペレータがチャンバ内の処理に対して何らかの印象をもつことを集合的に可能にする幾つかの点検ポートから構成され得る。
[0071]幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、チャンバ壁内のドアという形態で、第1及び/又は第2のチャンバへのアクセスを提供し得る。1つ又は複数のドアは、第1及び/又は第2のチャンバ内の構成要素に達するように、例えば、供給ロール又は巻き取りロールに達するように適合され得る。幾つかの実施形態では、ドアは、チャンバの点検窓を含み得る。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、ドアは、オペレータが第1及び/又は第2のチャンバに入ることを可能にし得る。
[0072]図3では、供給及び巻き取りスプールのためのローディング及びアンローディングシステムの概略図が示される。幾つかの実施形態によれば、統合されたローディング及びアンローディングシステムは、本明細書に記載されているように、堆積システムのために設けられてもよい。幾つかの実施形態では、基板ハンドリングシステムは、巻き取りロール115及び/又は供給ロールのためのテーブル180及び搬出入装置を含み得る。図3の実施例では、巻き取りスプール115の搬出が示されている。例えば、搬出入装置は、交換又は取り外し対象の巻き取りロールを把持するためにオペレータ170によって第1のチャンバ110内に挿入されてもよい。巻き取りスプールを把持している搬出装置は、第1のチャンバ110から引き出され得る。該搬出装置は、第1のチャンバ110から巻き取りロール115を取り除き得る。一実施例では、搬出装置は、巻き取りロールをその両端で把持し、ロール支持体から取り外すための把持装置を含んでもよい。ロール支持体は、例えば、回転軸であってもよい。幾つかの実施形態によれば、搬入出装置は、巻き取りロールに巻き付けられた基板に接触することなく、巻き取りロールを第1のチャンバから取り外すように適合され得る。
[0073]図3で見ることができるように、巻き取りロール115が第1のチャンバ110から取り外されるとき、巻き取りロールは、メンテナンスゾーン130内の位置115−1における基板ハンドリングシステムのテーブル180上にローディングされる。テーブル180は、リフティング(昇降式)テーブルであってもよく、具体的には、センターリフティングテーブルであってもよい。オペレータ170は、巻き取りロール115−1が備え付けられたテーブル180を移動させるようにメンテナンスゾーン130の中で移動し得る。テーブル180は、次いで、メンテナンスゾーン130から取り除かれ、巻き取りロールがメンテナンスゾーン130から取り出されて位置115−2に置かれ得る。したがって、オペレータ170は、容易で複雑でない方法で巻き取りロールを移送させることができる。
[0074]幾つかの実施形態によれば、基板ハンドリングシステムは、テーブルに代わるものを有してもよい。例えば、把持ツールが、巻き取りロールをメンテナンスゾーン外に移動させるために使用されてもよい。更なる実施形態では、巻き取りロールは、オペレータが巻き取りロールを取り扱うことを可能にするようなシャフトや支持体などによって運ばれてもよい。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーン130の上方で延在する通路150の代わりにメンテナンスゾーン130の下方で延在するトンネルが使用される場合、リフティングテーブルに代わるものが使用されてもよい。
[0075]幾つかの実施形態では、リフティングテーブルは、基板を、堆積システムにローディング及び堆積システムからアンローディングするためのセンターリフティングテーブルを形成し得る。テーブルは、基板と共に巻き取りロール又は供給ロールを保持するための基板支持体を含み得る。幾つかの実施形態によれば、リフティングテーブルは、少なくとも上方位置と下方位置との間で移動可能であってもよい。支持体内又は支持体の上に配置された巻き取りロール上の基板は、リフティングテーブルの下方位置でメンテナンスゾーンから搬出され得る。基板及びリフティングテーブルがメンテナンスゾーンから搬出されるとき(巻き取りロールの位置115−2で示されているように)、巻き取りロールと基板は、屋内クレーン又は天井クレーンなどのクレーンによって更に搬送されてもよく、或いは、例えば、処理システムの一部であるガントリークレーンなどのクレーンによって持ち上げられ、運搬車両に置かれてもよい。
[0076]本明細書に記載された基板ハンドリングシステムを使用することによって、移動可能な巻出し器及び再巻き付け器(処理中に第1及び第2のチャンバの中に存在している巻出し器及び再巻き付け器など)は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積システムの中では使用されない。ロールを移動及び把持するためのツールは、メンテナンスゾーンから第1及び第2のチャンバ内に導入され得る。更なる実施形態によれば、基板ハンドリングシステムは、例えば、処理システム内で基板を搬送するトンネルが処理システムによって使用される場合、チャンバから取り外されるロールを持ち上げるための統合された門型クレーンを含み得る。
[0077]しかしながら、本明細書に記載された実施形態に係る、メンテナンスゾーンの上方に通路がある設計の処理システムを用いることにより、堆積システムから基板を取り除くために天井クレーンは使用されず、これにより、堆積システムの使用者にとってコストとスペースの節約となる。したがって、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、更に、当該技術分野の周知のシステムよりも小さい(又は低い)工場の建物で使用されてもよい。更に、堆積システムは、天井クレーンを使用しないので、環境に対する要求が高くない。
[0078]チャンバに新しい供給ロール又は巻き取りロールを供給するとき、上述のチャンバからロールを取り除く処理を逆の順序で行なってもよいことを理解するべきである。
[0079]幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された処理システムは、図3で見ることができるように、容易且つ簡単な方法で、処理システム内の構成要素を交換することを可能にし得る。図3の右側には、処理ロール142を有する処理チャンバ140を確認することができる。図3のオペレータ175は、堆積源などの処理構成要素141へのアクセスを有する。幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の処理構成要素141は、共にグループ化されてもよい。それにより、1つ又は複数の処理構成要素141は、1つのユニット又は1つのグループ(例えば、上記で傾斜したフランジに関連して説明されたように、処理チャンバの第1の部分と共に形成されているグループ)としてアクセスされ得る。他の実施形態によれば、単一の処理構成要素は、ひとつずつアクセスしてもよい。例えば、処理構成要素が摩耗しているか、消費されている場合、或いは、処理を変更しなければならない場合、処理構成要素141を交換してもよい。例えば、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、基板の幅を変更させるオプションを提供し得る。処理構成要素の容易なアクセス及び容易な交換は、種々の処理の種類又は種々の基板のために処理システムを効率良く使用するために役立ち得る。
[0080]図2及び図3で見ることができるように、第1の処理チャンバは、上述の処理構成要素のような、処理ドラムの周りに配置されている複数の処理構成要素が備えられ得る。図2に記載された実施形態は、破線によって示されている2つの更なる堆積源を有する堆積源など、1つの処理構成要素141を含む。しかし、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、2つ以上の処理構成要素、例えば、堆積源を設け得ることを理解されたい。例えば、4つ、5つ、6つ、或いは、8つ、10個、又は12個など更に多くの処理構成要素、例えば、堆積源を設けてもよい。堆積源は、それぞれの処理領域内に設けられてもよく、処理ローラ142によって支持されている基板は、それぞれの領域内で処理される。
[0081]更に、異なる種類の堆積技法を本明細に記載された実施形態に係る処理システムで使用してもよい。例えば、処理は、化学気相堆積(CVD)処理、物理的気相堆積(PVD)処理、マイクロ波プラズマ処理などを含み得る。
[0082]幾つかの実施形態によれば、処理システム100は、間紙モジュール(interleaf module)を含み得る。例えば、巻き出しチャンバ120は、供給ロール165上の基板の保護のために設けられる間紙を巻き付けるための間紙モジュール167を備え得る。間紙モジュールは、間紙巻き取りロールに間紙を案内するための幾つかの案内ロールを含み得る。追加的又は代替的な実施形態では、再巻き付けチャンバ110は、間紙モジュール117を含んでもよい。間紙モジュール117は、巻き取りロール上で処理された基板を保護するために処理された基板と共に巻き取りロール115に巻き付けられる間紙を供給し得る。更に、間紙モジュール117は、間紙を巻き取りロール115に案内するための案内ロールを備え得る。
[0083]幾つかの実施形態では、照明装置が第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバ内に設けられ得る。具体的には、照明装置は、処理される基板又は処理された基板が、片側(例えば処理された側又は処理されなかった側のいずれか(又は処理される側又は処理されない側))から照射されるように、第1及び/又は第2のチャンバ内に配置され得る。例えば、照明装置は、基板の点検及び視覚的制御を促進することができ、これは、上述のように、メンテナンスゾーンを通して、具体的には、窓134のようなチャンバ壁内の窓によって実行され得る。幾つかの実施形態では、照明装置はランプである。
[0084]図4は、堆積システム100の実施形態を示す。堆積システムは、再巻き付けチャンバとしても表され得る第1のチャンバ110、巻き出しチャンバとしても表され得る第2のチャンバ120、及び第1のチャンバと第2のチャンバの間に配置されるメンテナンスゾーン130を含む。幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバ110、第2のチャンバ120、及びメンテナンスゾーン130は、図1及び図3に関連して以上で説明された通りであり得る。更に、堆積システム100は、図3に関連して以上で説明された基板ハンドリングシステムなど、図1から3に関連して以上で説明された更なる特徴を含み得る。
[0085]図4で見ることができるように、堆積システムは、第1の処理チャンバ140及び第2の処理チャンバ240を含む。第1の処理チャンバ140は、第2のチャンバ又は巻き出しチャンバと隣接するように配置されてもよいが、第2の処理チャンバ240は、第1のチャンバ又は巻き出しチャンバ110に隣接するように配置される。具体的には、第2の処理チャンバ180は、第1のチャンバ110がメンテナンスゾーン130と第2の処理チャンバ180の間に設けられるように、位置付けされ得る。
[0086]図4及び次の図5では、第1のチャンバは、巻き付けチャンバであるように説明され、第2のチャンバは、巻き出しチャンバであるように説明されるが、本明細書に記載された実施形態に係る堆積システムは、この構成に限定されるものではない。代替的な実施形態では、第1のチャンバは、巻き出しチャンバであってもよく、第2のチャンバは、巻き付けチャンバであってもよい。
[0087]幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバ140及び/又は第2の処理チャンバ240は、フレキシブル基板上に材料を堆積する堆積処理のための堆積源などの処理構成要素を備え得る。幾つかの実施形態では、例えば、1つ又は複数の堆積源のための1つ又は複数の支持装置や堆積源そのものなどを設けることにより、図4の処理チャンバのうちの少なくとも1つは、図1から3に関連して説明された処理チャンバとして備えられ得る。堆積システムは、上述のような真空システム、すなわち、堆積システム100の各チャンバ又は単一のチャンバが排気され、圧力が維持されることを可能にする真空チャンバを更に含み得る。
[0088]第1の処理チャンバ140の傾斜したフランジ145及び第2の処理チャンバ240の傾斜したフランジ245は、両方の処理チャンバにおいてボトムアップ堆積を可能にする。すなわち、取り付けられた処理チャンバの水平中央線の高さ又はその下方から基板が処理されるような堆積を可能にする。これにより、粒子の汚染のリスクが減少し、堆積処理がより安全で効率良いものになる。幾つかの実施形態によれば、処理チャンバのうちの1つのみが、傾斜したフランジを備え得る。
[0089]傾斜したフランジ145は、第1の処理チャンバ140を2つの部分、第1の部分146と第2の部分147に分割する。傾斜したフランジ245は、第2の処理チャンバ240を2つの部分、第1の部分246と第2の部分247に分割する。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、例えば、1つ又は複数の処理チャンバ内に配置されている1つ又は複数の処理構成要素(例えば、堆積源)への容易なアクセスを有するため、第1の処理チャンバ140の第1の部分146及び/又は第2のチャンバ240の第1の部分246は、処理チャンバの第2の部分147及び247から取り外されてもよい。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の処理チャンバの1つ又は複数の第1の部分は、処理構成要素の交換のために取り外してもよい。
[0090]幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバ及び/又は第2の処理チャンバの傾斜したフランジは、処理チャンバ内の処理領域を処理チャンバ内の案内領域或いは前処理領域又は後処理領域から分離する分離壁などの分離壁をそれぞれの処理チャンバの中に設けるために使用され得る。
[0091]図4で見ることができるように、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、モジュラーの態様で処理システムを組み立てる可能性を提供する。処理システムは、実行されるべき処理の特別な要件に適合され得る。例えば、第2の処理チャンバ240は、図1から3に関連して以上で説明された処理システム100に追加的に取り付けられてもよい。例えば、第2の処理チャンバを追加することによって、或いは、処理システムの1つ又は複数の処理チャンバ内の処理構成要素を変えることによって、より多くの異なる処理を処理システムの中で組み合わることができる。このことは、上述のように、異なる処理構成要素の間に分離壁を設けることによって促進することができる。本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、処理システムの構成の高い柔軟性を可能にする。更に、処理システムの高いモジュール性をもたらすため、上述のように第1の部分の交換が用いられてもよい。
[0092]幾つかの実施形態によれば、モジュラー構成の中で1つの基板を処理するため、2つ以上の堆積システムを配置してもよい。例えば、基板は、図5の第2の処理ロール242を通過後、通路又はトンネルによって、更なる処理チャンバを有する更なる堆積システムへと案内され得る。
[0093]図5は、本明細書に記載された実施形態に係る堆積システム100の断面図を示す。一実施形態では、図5で示された堆積システムは、図4で示された堆積システムの断面的でより詳細な図である。図5で示されている実施形態では、処理される基板160は、巻き出しチャンバ又は第2のチャンバ120で巻き出される。案内ロール166を介して、基板160は、図示の実施形態の堆積システム100の第1の処理チャンバ140に案内される。基板160を第1の処理チャンバ140内で処理するため、基板は、処理ロール又はドラム142によって案内され得る。処理ドラム142は、回転可能であり得る。第1の処理チャンバ140は、処理構成要素を含み得る。基板は、処理ドラム142によって案内されている間、この処理構成要素を通り過ぎるように案内される。例えば、処理構成要素は、堆積源141などの上述の処理構成要素であり得る。図5で示された実施形態では、第1の処理チャンバ140内で堆積源141が1つしか示されていないが、第1の処理チャンバ140の他の堆積源は破線で示されている。
[0094]図3で示された実施形態に関連して説明されたように、堆積源141又は第1の処理チャンバ140内に配置されている堆積源は、処理ドラム142の中央軸143の高さ又はその下方に配置され得る。このように基板に対して配置された源からの堆積は、基板の上方からではなく、基板の下方から実行される。処理ドラムの中央軸の高さ又はその下方に堆積源を配置することにより、基板上又は堆積層内の粒子の汚染のリスクが減少する。第1の処理ドラム140は、堆積源のそれぞれの配置を容易にするため、(図4で例示的に見ることができるように)垂直方向に対して傾斜したフランジ145に沿って組み立てられる2つ以上の部分に仕切られてもよい。
[0095]基板が処理された後、基板160は、通路150を通して案内される。通路150は、巻き出しチャンバ120、メンテナンスゾーン130、及び巻き付けチャンバ110の上方に配置され得る。幾つかの実施形態では、通路150は、上蓋の一部であってもよく、或いは、メンテナンスゾーンと第1及び第2のチャンバの下方のトンネルとして設けられてもよい。幾つかの実施形態によれば、トンネルは、堆積システム100の第2の処理チャンバ180から第1の処理チャンバ140の中の圧力条件を分離し得る1つ又は複数のスルースを含み得る。幾つかの実施形態では、スルースは、巻き出しチャンバから第1の処理チャンバへの間、第1の処理チャンバと通路の間、通路と第2の処理チャンバの間、及び第2の処理チャンバと巻き付けチャンバの間の通り道など、処理システム100内のあるチャンバから別のチャンバへの各通り道に設けられる。
[0096]1つ又は複数の間隔スルースは、以上で詳細に説明されたように構成されてもよく、以上で説明されたように処理システムの中で使用されてもよい。
[0097]幾つかの実施形態では、第1の処理チャンバと第2の処理チャンバの間にスルースは設けられておらず、したがって、それらのチャンバは、共通の圧力条件を共有する。幾つかの実施形態によれば、同じ真空条件を有し、したがって、互いから大気的に分離されていない2つの処理チャンバは、1つの処理チャンバとして更に表されてもよい。
[0098]通路150を通過した後、基板160は、(例えば、1つ又は複数の案内ローラ166によって)第2の処理チャンバ240へと案内される。幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバ240は、第1の処理チャンバ140又は図1から3に関連して以上で説明された処理チャンバのように設計されてもよい。例えば、第2の処理チャンバは、処理ドラム242、及び堆積源などの1つ又は複数の処理構成要素241を含み得る。一実施例では、第2のチャンバ240の堆積源241は、処理ドラム242の中央線又は回転軸243の高さ又はその下方に配置され得る。基板は、処理構成要素241を過ぎるように処理ドラム242によって案内され得る。第2の処理チャンバ240内の処理構成要素241が堆積源である場合、堆積された材料の1つ又は複数の追加の層が基板160上にコーティングされ得る。幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバは、第1の処理チャンバ内で基板上に堆積された層のための追加的又は補足的な構成要素を提供する。
[0099]処理システムは、蒸発又はスパッタリングなどの多様な処理及びPVD処理、或いはPECVD処理などのCVD処理のための共通プラットフォームを形成する。基板が処理システムを通過する間、これらの処理を組み合わせることができる。特に、種々のPECVDプロセスは、組み合わせ可能であり、例えば、TFT又はフレキシブルTFT製造、より具体的には、超高バリアに使用可能である。
[00100]第2の処理チャンバ240内で処理されている間、基板160は、処理の間に処理ドラム242によって案内され得る。第2の処理チャンバ240内で基板160が処理された後、基板は、第1のチャンバ又は巻き付けチャンバ110に案内されてもよい。そこで、処理された基板を収めるために処理された基板が巻き取りロール115に巻き付けられる。以上で詳細に説明されたように、第1のチャンバ110及び/又は第2のチャンバ120は、第1及び/又は第2のチャンバのメンテナンスのためにメンテナンスゾーン130を通してアクセスされ得る。
[00101]幾つかの実施形態によれば、2つの処理チャンバを有する堆積システムの巻き付け角度は、540度未満であり得る。以上で説明されたように、本明細書に記載された実施形態に係る2つの処理チャンバを有する堆積システム内のロール(案内ローラを含むが、供給ロール及び巻き取りロールを含まない)は、ローラが処理された基板表面に接触しないように配置され得る。
[00102]幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された堆積システムは、モジュール設計を有し得る。例えば、図1から3の堆積システムは、第2の処理チャンバが、例えば、第1のチャンバに隣接するように接続され得るように適合され得る。例えば、堆積システム200は、更なるチャンバを堆積システム200に接続することによって堆積システムの拡大を可能にするフランジ又は接続ベースを設け得る。一実施形態では、第1のチャンバ110又は再巻き付けチャンバは、第1のチャンバ又は巻き付けチャンバに隣接するように第2の処理チャンバを取り付けるための接続部などを含み得る。これにより、図1から図3で示された処理システム100は、図4及び図5で示される堆積システム200に容易に変換され得る。堆積システムの運転範囲拡張のために更なるチャンバを設けてもよい。一方で、モジュラーシステムは、ユーザの必要性及び要件(例えば、工場内の空間要件)に適合するような、減少したサイズのベース形状(処理システム100など)を有することを可能にする。
[00103]したがって、本明細書に記載された堆積システムは、高い柔軟性をもつために「シングルドラム(SD)」(図1から3に記載された実施形態)及び「ダブルドラム(DD)」(図4及び5に記載された実施形態)のオプションを有するモジュラーメインフレーム設計と共に提供され得る。モジュラー設計によって、幾つかの源において柔軟性がもたらされる。例えば、複数のボトムアップ堆積源が設けられる場合があり、汚染のリスクが減少する。堆積源並びに処理チャンバは、用途の種類及び層スタックなどの処理パラメータに応じて使用又は提供され得る。
[00104]更に、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムを使用するとき、既存システム用のSD設計からDD設計へのアップグレード可能性又はアップグレートセットが提供され得る。例えば、アップグレートセットは、上述のようなチャンバの配置を可能にするように実装され得る。例えば、アセンブリオペレータは、第2の処理チャンバを既存のシステムに取り付けるためのそれぞれの接続部及び構成要素を設けることによって、既存のシステムをDD設計に適用させることができる。幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバに対して第2の処理チャンバの位置合わせが可能である(特にモジュールが上側蓋と共に組み立てられているとき)。
[00105]幾つかの実施形態では、堆積システムの設計は、それぞれの用途に応じて、第2の処理チャンバをオンとオフに切り替えるように適合され得る。例えば、第1の処理チャンバを通過した基板は、所望の処理に応じて、第2の処理チャンバ又は任意選択的に巻き付けチャンバに案内されてもよい。一実施例では、制御ユニットは、基板を所望のチャンバに方向付けるために、それぞれの案内ローラを始動させ得る。幾つかの実施形態によれば、第1の処理の直後に基板が再巻き付けチャンバに案内される際の、第2の処理チャンバへの通路などの代替的な基板通路は、閉じられてもよい。
[00106]したがって、本明細書に記載され、種々の堆積源のための柔軟性及び空間を有するシステムは、単一の堆積装置、例えば、R2Rコーターにおける幾つかのCVD、PECVD、及び/又はPVD処理のモジュールの組み合わせを可能にする。モジュールのコンセプトでは、非常に優れたガス分離を必要とする堆積源を含むあらゆる種類の堆積源を本明細書に記載された実施形態に係る堆積システムで使用することができるが、このコンセプトは、種々の堆積技術又は複雑な組み合わせの処理パラメータを適用して堆積しなければならない複合層スタックの堆積のコスト削減に役立つ。
[00107]幾つかの実施形態によれば、処理システムは、堆積システム内のパラメータを制御するための制御ユニットを含み得る。制御ユニットは、処理システムのチャンバの外に設けられるコントローラ又は制御インターフェースであってもよい。幾つかの実施形態では、制御ユニットは、処理システムの単一のチャンバ内のセンサに接続されるが、堆積源、供給ロール、巻き取りロールなどにも接続されてもよい。制御ユニットは、処理システム内の所望の測定値を計算し得る。例えば、制御ユニットは、供給ロール又は巻き取りロールの取り換えが、例えば、メンテナンスゾーンを介して実行されるべきときを示すことができる。制御ユニットは、更に、堆積システム内で構成要素が故障した場合、警告を発することができる。
[00108]図6は、真空処理システム300の実施形態を示す。真空処理システム300は、第1のチャンバ310及び第2のチャンバ320を含み、それぞれ、供給ロール及び巻き取りロールのうちの1つを収容するように適合されている。一実施形態では、第1のチャンバ310は、処理された基板を受け入れ且つ収めるための巻き取りロール315を含み得る。幾つかの実施形態によれば、第2のチャンバ320は、処理されるべき基板を搬送且つ供給するための供給ロール365を含み得る。第1のチャンバ310と第2のチャンバ320の間にメンテナンスゾーン330が設けられる。幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、以上で詳細に説明されたメンテナンスゾーンであってもよく、特に第1及び/又は第2のチャンバにメンテナンスアクセスをもたらす。
[00109]図6で示された実施形態では、第1の処理チャンバ340は、第2のチャンバ320に隣接するように設けられる。処理チャンバ340は、以上で説明された処理機器を含んでもよく、例えば、真空堆積処理に適合されてもよい。第2の処理チャンバ350は、図6の実施形態では、第1のチャンバ310に隣接するように示されている。図6で示された実施形態で見ることができるように、第1の処理チャンバ340は、傾斜したフランジ345を含み、それにより、例えば、以上で詳細に説明されたように、2つのチャンバの部分346及び347から処理チャンバ340を組み立てることが可能となり得る。更に、第2の処理チャンバ350は、2つのチャンバの部分から第2の処理チャンバ350を形成することを可能にする傾斜したフランジ355を含み得る。1つ又は複数の処理チャンバの第1及び第2の部分は、例えば、図1に関連して説明された処理チャンバの第1及び第2の部分であってもよい。
[00110]幾つかの実施形態によれば、処理されるべき基板は、例えば、上述の1つ又は複数の間隔スルースを用いることによって、第2のチャンバ320から第1の処理チャンバ340へと案内され得る。基板は、次いで、第1の処理チャンバ340内で処理されて、第1の処理ドラム342を通り過ぎるように案内される。例えば、第1の処理チャンバを通り過ぎる間、1つ又は複数の層が基板上に堆積されてもよい。幾つかの実施形態によれば、且つ以上で詳細に言及されているように、第1の処理チャンバは、基板の前処理又は後処理のための機器を更に含み得る。
[00111]幾つかの実施形態では、基板は、第2の処理チャンバ350に更に搬送され得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、第1の処理チャンバ340及び第2の処理チャンバ350は、例えば、スルース、ロック、ロードロックバルブなどによって互いから分離され、それにより、基板が一方の処理チャンバから他方のチャンバへと通過することが可能となる。図6では、第1の処理チャンバ340と第2の処理チャンバ350の間で間隔スルース360を確認することができる。
[00112]幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された真空処理システムの1つ又は複数の処理チャンバは、巻き付けチャンバ又は更なる処理チャンバなどの処理チャンバから隣接するチャンバへの基板用通理を設けるように形成され得る。図6の実施例で見ることができるように、処理チャンバ340及び350は、真空処理システム内に基板用通路を設けるためのアーム状延長部348、358を提供する一方で、特に、第1及び第2のチャンバは、実質的に長方形の形状を有し得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、通路は、したがって、1つ又は複数の処理チャンバ及びその1つ又は複数の延長部によって設けられる。他の実施形態では、片方の処理チャンバのみが通路用の延長部を備え得る。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、通路は、このように第1の(真空)チャンバ及び第2の(真空)チャンバの上方に設けられる。
[00113]図6の実施形態では、処理システムのモジュール性の有益性を依然として達成することができるが、それと同時に、上述の実施形態のような容易なメンテナンスアクセスがもたらされる。更に、本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、使用される基板の幅に関して大きな柔軟性を提供する。
[00114]図7は、真空処理システム400の更なる実施形態を示す。真空処理システム400は、第1のチャンバ410及び第2のチャンバ420を含み、それぞれ、供給ロール及び巻き取りロールのうちの1つを収容するように適合されている。一実施形態では、第1のチャンバ410は、処理された基板を受け入れ且つ収めるための巻き取りロール415を含み、第2のチャンバ420は、基板を供給するための供給ロール425を含む。図7で示された実施形態では、真空処理システムは、第1の処理チャンバ440及び第2の処理チャンバ450を更に含む。メンテナンスゾーン430、例えば、以上の実施形態で説明されたメンテナンスゾーンは、第1のチャンバ410と第2のチャンバ420の間に設けられる。
[00115]処理される基板は、第2のチャンバ420から第1の処理チャンバ440へと案内され得る。例えば、堆積処理であり得る処理が処理チャンバ内で実行された後、基板は、真空処理システム内に更に案内され得る。例えば、基板は、巻き付けチャンバ(巻き付けチャンバ410など)又は第2の処理チャンバ450へと案内され得る。図7で示された実施形態では、第1の処理チャンバ440内で処理された基板は、第2のチャンバ420及び第1のチャンバ410の2つのアーム状延長部421及び411によって形成された通路に案内され得る。したがって、基板は、第1の処理チャンバ440から第2のチャンバ420へと戻るように案内されてもよく、特に第2のチャンバの一部が、真空処理システムの通路を部分的に形成する。以上の実施形態で説明されたように設計され得るスルース又はロードロックバルブ460を通して、基板は、第1のチャンバ410のアーム状延長部411に更に搬送され得る。アーム状延長部411も真空処理システムの通路を部分的に形成する。したがって、幾つかの実施形態では、真空処理システムの中で基板を搬送するための通路は、第1及び第2のチャンバの2つの延長部から取り付けられ得る。第1のチャンバ及び第2のチャンバは、共に基板用通路を形成するが、互いからの汚染、そして特に基板の汚染を避けるため、第1のチャンバと第2のチャンバは分離される。幾つかの実施形態によれば、第1及び第2のチャンバのうちの1つだけが、アーム状延長部を設けることにより処理システムの通路を提供し得る。
[00116]幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、図7で示された実施形態で、実質的にL字形状、具体的には、アーム状延長部411及び421で共に適合されるL字形状を有するように説明されてもよい。本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、通路は、このように、巻き付け及び巻き出しチャンバ(すなわち、第1及び第2のチャンバ)によって設けられる。更に、図7の実施形態は、モジュラー式真空処理システムを提供し、このシステムは、メンテナンスゾーンによる第1及び第2のチャンバの容易なアクセスの有益性、及び使用される基板の幅に関して大幅な柔軟性をもたらす。1つ又は複数の処理チャンバ或いは巻き付け及び巻き出しチャンバなど、処理システム400の単一部品は、同じ態様(又は少なくとも似たような態様)で設計されてもよく、処理システム全体を複雑な方法で再構成することなく、所望の処理に応じて、真空処理システムから取り外されてもよく、又は真空処理システムに追加してもよい。幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の真空チャンバを有するフレキシブル基板のための真空処理システムが提供される。処理システムは、1つ又は複数の真空チャンバにおいて、フレキシブル基板を供給する供給ロールのための供給ロール支持体、及び1つ又は複数の真空チャンバにおいて、フレキシブル基板を収める巻き取りロールのための巻き取りロール支持体を含む。更に、真空処理システムは、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間にメンテナンスゾーンを含む。真空処理システムは、特に、材料をフレキシブル基板上に堆積するための、基板処理用の第1の処理チャンバを更に含む。供給ロール支持体及び巻き取りロール支持体のうちの1つが、メンテナンスゾーンと第1の処理チャンバの間に設けられる。メンテナンスゾーンは、供給ロール支持体及び巻き取りロール支持体のうちの少なくとも1つへのメンテナンスアクセスを可能にする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、隣接する真空チャンバが処理システムの運転のために排気されるときでも大気圧に留まるメンテナンスゾーンを提供するように構成される。
[00117]幾つかの実施形態によれば、メンテナンスゾーンは、上述のようなメンテナンスゾーンであってもよい。幾つかの実施形態では、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間にあるメンテナンスゾーンは、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間の空間にあるメンテナンスゾーンとして理解してもよい。供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間の空間は、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間のボリューム、特に、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の幅に実質的に対応する深さ(約0.7mから約4mの間の深さなど)、典型的に、約1mから約3m又は4mの間の長さ、及び1.7mを越える高さを有するボリュームとして画定され得る。幾つかの実施形態によれば、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間にあるメンテナンスゾーンは、供給ロール支持体から巻き取りロール支持体へと走る仮想線(例えば、図3で長さ方向131として確認できる処理システムの長さ方向に沿って走る線など)に沿って配置され得ると理解されてもよい。幾つかの実施形態では、メンテナンスゾーンの中心点は、供給ロール支持体の幾何学的中心点から巻き取りロール支持体の幾何学的中心点に走る線において配置され得る。特に、ロールを支持する2つの装置など、2つ以上の部分を含むロール支持体は、ロール支持体の異なる部分の間に中心点を有し得る。幾つかの実施形態によれば、真空処理システムの1つ又は複数の真空チャンバは、特に、供給ロール支持体(又は巻き取りロール支持体)を設けるための第1のチャンバ、及び巻き取りロール支持体(或いは、第1のチャンバの構成によっては供給ロール支持体)を設けるための第2のチャンバを含み得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の真空チャンバは、供給ロール及び巻き取りロールのための支持体を含むだけではなく、更に、供給ロール及び巻き取りロールそのものを含む。更に、供給ロール支持体及び巻き取りロール支持体へのメンテナンスアクセスは、供給ロール及び巻き取りロールのメンテナンスアクセスを含んでもよい。
[00118]本明細書に記載された実施形態に係るロール支持体間のメンテナンスゾーンを有する処理システムは、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせてもよく、或いは、他の実施形態に関連して以上で説明された特徴が設けられてもよいと理解するべきである。例えば、ロール支持体間にメンテナンスゾーンを有する処理システムのチャンバは、以上で説明されたように真空条件下で運転するように適合されてもよく、処理チャンバは、以上で説明された処理に必要とされる機器を含めて、種々の処理のために備えられてもよく、第2の処理チャンバが処理システム内に設けられてもよく、メンテナンスゾーンが以上で言及されたサイズを有してもよい。
[00119]幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、フレキシブル基板を処理するために設けられる。処理システムは、フレキシブル基板を供給するための供給ロールを支持する供給ロール支持体及びフレキシブル基板を収めるための巻き取りロールを支持する巻き取りロール支持体のうちの1つを収容するように適合される第1のチャンバを含む。一実施形態では、第1のチャンバは、ロール支持体に配置される供給ロール又は巻き取りロールを含む。処理システムは、フレキシブル基板を供給する供給ロールを支持するための供給ロール支持体及びフレキシブル基板を収める巻き取りロールを支持するための巻き取りロール支持体のうちの1つを収容するように適合された第2のチャンバを更に含む。一実施形態では、第2のチャンバは、それぞれのロール支持体に配置された供給ロール又は巻き取りロールを含む。幾つかの実施形態によれば、供給ロール及び巻き取りロールは、それぞれ、径方向及び長手方向を含む。処理システムは、メンテナンスゾーンを更に含み、メンテナンスゾーンは、第1及び第2のチャンバから、供給ロールを供給ロール支持体から、及び巻き取りロールを巻き取りロール支持体から、それぞれ、互いに径方向に取り外すこと、特にメンテナンスゾーンの中へと取り外すことを可能にする。処理システムは、例えば、材料をフレキシブル基板上に堆積することによって、基板を処理する第1の処理チャンバを更に含む。特に、処理チャンバは、第1のチャンバ及び第2のチャンバのうちの1つに隣接するように配置されてもよい。更に、幾つかの実施形態によれば、第2のチャンバは、メンテナンスゾーンと第1の処理チャンバの間に設けられてもよい。幾つかの実施形態では、例えば、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバから供給ロール及び巻き取りロールを、それぞれ、互いに対して径方向に取り外すことにより、メンテナンスゾーンは、第1のチャンバ及び第2のチャンバのうちの少なくとも1つへのメンテナンスアクセス又はその少なくとも1つのメンテナンスアクセスを可能にする。
[00120]再び図1を参照すると、矢印112及び113は、供給ロール121及び巻き取りロール111が、適宜配置されたメンテナンスゾーン130の補助によって、互いに向かい合って取り外され得る径方向を示す。図1で見ることができるように、矢印112及び113は、供給ロール121及び巻き取りロール111の径方向に方向付けられる。理解を助けるために図3を少しばかり参照し、供給ロール及び巻き取りロールが実質的に円筒形状であることを考慮すると、供給ロール165及び巻き取りロール115の長手方向は、処理システムの深さ133の方向に延びているが、径方向は、処理システムの長さ131の方向に実質的に延びている。具体的には、供給ロール及び巻き取りロールは、径方向に互いに向かって第1及び第2のチャンバから取り外されるように移動するが、供給ロール及び巻き取りロールの径方向は、処理システムが置かれた床に対して実質的に平行に延びてもよく、或いは、第1及び第2のチャンバのそれぞれのチャンバ底部に対して延びてもよい。幾つかの実施形態では、供給ロール及び/又は巻き取りロールは、供給ロール又は巻き取りロールの巻き付けシャフトの径方向に供給ロール及び/又は巻き取りロールを移動させることによって、第1のチャンバ及び第2のチャンバのそれぞれから取り外され得る。幾つかの実施形態によれば、巻き取りロール及び供給ロールは、互いに向かって径方向に、第1及び第2のチャンバのそれぞれからメンテナンスゾーンの中へと移動されてもよく、特に、供給ロール及び巻き取りロールの両方が、処理システムの同じメンテナンスゾーンの中へと移動されてもよい。
[00121]幾つかの実施形態によれば、本明細書で使用される「互いに向かって」という表現は、供給ロール及び巻き取りロールが、第1のチャンバ及び第2のチャンバのそれぞれから取り外されるとき、互いに対する方向で移動されることを意味し得る。供給ロール及び巻き取りロールは、互いに対して移動するように説明されているが、必ずしも、供給ロール及び巻き取りロールが同時に取り外されるということを意味しないことを理解するべきである。むしろ、巻き取りロールが第1のチャンバから取り外されることは別に、供給ロールが第2のチャンバから取り外されてもよく、その逆も可能である。具体的には、幾つかの実施形態では、供給ロールは、第1のチャンバの壁(図1で確認できる壁114など)に向けて第2のチャンバから取り外し可能であると説明してもよい。幾つかの実施形態によれば、巻き取りロールは、第2のチャンバの壁(壁122など)に向けて第1のチャンバから取り外され得る。具体的には、壁114及び122は、処理システムの底部又は処理システムが置かれた床に対して実質的に垂直であり得る。
[00122]供給ロール及び巻き取りロールを互いに向けて取り外すように適合された上述の処理システムの要素は、本明細書に記載された様々な実施形態で説明された要素として設計且つ適合されてもよいことを理解するべきである。例えば、処理チャンバは、以上で説明されたような処理チャンバであってもよく、処理システムは、第2の処理チャンバを設けてもよく、チャンバは、以上で説明されたように真空条件内で運転するように適合されてもよく、メンテナンスゾーンは、以上で詳細に説明されたサイズを有してもよい、等である。したがって、処理システムのチャンバの特徴は、互いに排除しない限り、本明細書に記載された処理システムの他の特徴と組み合わせてもよい。
[00123]本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載された処理システムは、実質的に垂直に分離された第1及び第2のチャンバを有し得る。例えば、図7は、第1のチャンバ及び第2のチャンバが、スルース460によって実質的に垂直に分離されているように示している。しかし、他の実施形態も、例えば、メンテナンスゾーンによって実質的に垂直に分離された第1のチャンバ及び第2のチャンバを提供していると説明されてもよい。
[00124]本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる更に別の実施形態によれば、供給ロール及び巻き取りロールのうちの1つを収容するようにそれぞれ適合されている第1のL字形状のチャンバ410及び第2のL字形状のチャンバ420(図7を参照)は、1つのU字形状のチャンバとして設けられてもよい。メンテナンスゾーン430、例えば、以上の実施形態で説明されたメンテナンスゾーンは、U字形状のチャンバのそれぞれの部分の間に設けられる。幾つかの実施形態によれば、1つ又は複数の真空チャンバを有するフレキシブル基板のための真空処理システムが提供される。処理システムは、1つ又は複数の真空チャンバにおいて、フレキシブル基板を供給する供給ロールのための供給ロール支持体、及び1つ又は複数の真空チャンバにおいて、フレキシブル基板を収める巻き取りロールのための巻き取りロール支持体を含む。更に、真空処理システムは、供給ロール支持体と巻き取りロール支持体の間にメンテナンスゾーンを含む。真空処理システムは、特に、材料をフレキシブル基板上に堆積するための、基板処理用の第1の処理チャンバを更に含む。供給ロール支持体及び巻き取りロール支持体のうちの1つが、メンテナンスゾーンと第1の処理チャンバの間に設けられる。メンテナンスゾーンは、供給ロール支持体及び巻き取りロール支持体のうちの少なくとも1つへのメンテナンスアクセスを可能にする。本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態によれば、真空処理システムは、隣接する真空チャンバが処理システムの運転のために排気されるときでも大気圧に留まるメンテナンスゾーンを提供するように構成される。更に別の追加的又は代替的な実装形態によると、メンテナンスゾーンは、それぞれの第1の径方向側及び第2の径方向側から、第1のチャンバ320(例えば、供給ロールを備える真空チャンバ)に対応するU字形状のチャンバの第1の部分へのアクセス、及び第2のチャンバ310(例えば、巻き取りロールを備える真空チャンバ)に対応するU字形状のチャンバの第2の部分へのアクセスを可能にし得る。第1の径方向側と第2の径方向側は、互いに向き合う。例えば、供給ロールは、巻き取りスプールに向かって径方向に取り外されてもよく、その逆方向も可能である。
[00125]本明細書に記載された実施形態に係る処理システムは、様々なコーティング幅に対して適合可能である。例えば、チャンバは、幾つかの基板幅に対してサイズが適合され得る。一実施例では、処理システムは、典型的には、1mを越える、より典型的には、1.5mを越える、更により典型的には、2mを越える基板幅に対して適合される。一実施形態では、本明細書に記載された堆積システムは、典型的には、約1mから約3mの間、より典型的には、約1.2mから約2.5mの間、更により典型的には、約1.4mから約2.4mの間の基板幅(図3及び5における突出部分の平面における延長部)に対して適合され得る。
[00126]更に、供給ロール又は巻き取りロール用の接続部などのチャンバ内に存在する構成要素は、種々の基板幅に適合され得る。以上の説明で分かるように、メンテナンスゾーンによって巻出しと再巻き付けの間に優れたアクセス可能性があるため、基板アクセスは基板幅に左右されない。更に、巻き付けシステム(供給ロール及び巻き取りロール用の接続部など)は、堆積システムのそれぞれのチャンバに固定設置されるため、正確性が高い。メンテナンスゾーンから巻き付けチャンバ及び巻き出しチャンバにアクセスすることができるため、基板交換のために巻き付けシステムをチャンバ内で取り外したり、再度位置付けする必要がない。むしろ、基板のみが巻き付けシステムから取り除かれ、巻き付けシステムは、交換処理中チャンバに留まる。
[00127]図8は、真空処理システムを取り付けるための方法600のフロー図を示す。この方法は、ブロック610では、図1から3に記載されている処理システムを提供することを含む。ブロック620では、方法600は、第2の処理チャンバを処理システムに取り付けることを含む。以上の記載から分かるように、第2の処理チャンバは、第1のチャンバ又は巻き付けチャンバが、メンテナンスゾーンと第2の処理チャンバの間に配置されるように取り付けられ得る。第2の処理チャンバは、第1のチャンバに隣接するように取り付けられると説明してもよい。
[00128]幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバは、処理システムに取り付けられてもよく、スルースは、第2の処理チャンバと第1又は巻き付けチャンバの間に設けられてもよい。幾つかの実施形態によれば、処理システムを取り付けるための方法は、通路によって第1の処理チャンバと第2の処理チャンバを接続することを更に含む。幾つかの実施形態では、通路は、メンテナンスゾーンの上方で延在する上側蓋又はメンテナンスゾーンの下方で延在する底部側トンネルによって設けられる。
[00129]トンネル又は通路は、更に、第1の処理チャンバと巻き付けチャンバの間、或いは、第1の処理チャンバと第2の処理チャンバの間で延在し得る。したがって、第2の処理チャンバを取り付ける際には、例えば、それぞれのスルースを設けることによって、又は第2の処理チャンバに達するように通路を適合させることによって、通路が適合され得る。
[00130]幾つかの実施形態では、処理システムの個々のチャンバは、固有の真空生成及び維持システムを有する。第2の処理チャンバを取り付ける際には、例えば再巻き付けチャンバへの第2の処理チャンバの接続部は、真空密封され得る。
[00131]幾つかの実施形態によれば、第2の処理チャンバは、傾斜したフランジ(垂直方向に対して傾斜)によって接続可能である2つ以上の部分を含み得る。したがって、第2の処理チャンバは、堆積源などの処理構成要素を少なくとも部分的に収容するように適合される第1の部分と、通路又はトンネルに接続される第2の部分とに分割され得る。傾斜したフランジは、例えば、ボトムアップ堆積、すなわち、取り付けられた処理チャンバの水平中央線の下方から基板が処理されるような堆積を可能にする。これにより、粒子の汚染のリスクが減少し、堆積処理がより安全で効率良いものになる。
[00132]本明細書に記載された幾つかの実施形態によれば、真空処理システムのためのアセンブリセットが提供される。幾つかの実施形態では、真空処理システムのためのアセンブリセットは、真空堆積システムのためのアセンブリセットであってもよい。アセンブリセットは、フレキシブル基板を供給するための供給ロール及びフレキシブル基板を収めるための巻き取りロールのうちの1つを収容するように適合された第1のチャンバと、フレキシブル基板を供給するための供給ロール及びフレキシブル基板を収めるための巻き取りロールのうちの1つを収容するように適合された第2のチャンバと、材料をフレキシブル基板上に堆積するための第1の処理チャンバとを備え、第1の処理チャンバは、第2のチャンバに構造的に接続可能であるように適合され、通路は、第1の処理チャンバと第1のチャンバを接続するように適合され、通路は、第1及び第2のチャンバの上方に延在する上側蓋又は第1及び第2のチャンバの下方に延在する底部側トンネルによって設けられる。通路、第1のチャンバ、及び第2のチャンバは、組み立てられた状態で、通路、第1のチャンバ、及び第2のチャンバの間のメンテナンスゾーンを画定するように適合され、メンテナンスゾーンは、第1のチャンバ及び第2のチャンバへのアクセスを可能にする。更に、第2のチャンバは、メンテナンスゾーンと第1の処理チャンバの間に位置付けされるように適合される。
[00133]幾つかの実施形態では、それぞれの位置においてそれぞれの接続可能性を提供ことによって、チャンバは、互いに組み合わされるように適合され得る。例えば、巻き出しチャンバは、第1の処理チャンバへのスルースを有してもよく、これらの2つのチャンバを分離する壁は、このようなスルースを受け入れるように適合される。別の例では、第1の処理チャンバは、基板が処理チャンバから通路又はトンネルへと案内され得るように、通路の方向に出口を有し得る。
[00134]幾つかの実施形態によれば、処理システムのためのアセンブリセットは、基板を供給し、第1のチャンバ及び第2のチャンバのうちの1つから基板を取り外しするためのローディング/アンローディングシステムを更に含んでもよく、且つ/又は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び第1の処理チャンバは、真空処理のために適合され、個別に排気可能であり、且つ/又は、第1のチャンバ及び第2のチャンバは、メンテナンスゾーンを介して、第1及び/又は第2のチャンバへのアクセス、第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバを制御するための制御オプション、制御要素、並びに第1のチャンバ及び/又は第2のチャンバの点検のうちの少なくとも1つを提供するように適合され、且つ/又は、第1の処理チャンバの第1の部分は、1つ又は複数の堆積源を収容し、第1の処理チャンバの第2の部分は、処理ドラムを収容するように適合され、第1の部分及び第2の部分は、垂直方向に対して傾斜する線に沿って接続されるように適合される。
[00135]幾つかの実施形態では、堆積システムのためのアセンブリセットは、図1から5に関連して以上で説明された処理システムのためのアセンブリセットである。アセンブリセットの単一の構成要素は、図1から5に関連して説明された構成要素であってもよく、具体的には、以上で説明された堆積システムの単一の構成要素と同じ特徴を提供し得る。
[00136]更に、以上で説明された処理システムの使用は、本明細書に記載された実施形態に従って提供される。
[00137]上記の記載は、本発明の実施形態を対象としているが、本発明の他の実施形態及び更なる実施形態は、本発明の基本的な範囲を逸脱せずに考案されてもよく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。