JP2017080711A - ストレーナー装置、スラリー処理設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラリーに含まれる粗大粒子による摩耗を防ぎながら、その粗大粒子を効率的に分離回収することができるスラリー用のストレーナー装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るストレーナー装置1は、スラリーに含まれる粗大粒子を回収する非密閉構造の装置であって、装入されたスラリーを受け入れて貯留する予備分級箱11と、予備分級箱11と隣接して設けられ、篩板21と、スラリー抜出口23を有する抜出部22とを有するストレーナー本体12とを備え、予備分級箱11から溢流したスラリーがストレーナー本体12における篩板21の上を流れ、そのスラリー中の粗大粒子が篩板21にて回収される。
【選択図】図2

Description

本発明は、ストレーナー装置に関するものであり、詳しくは、スラリーに含まれる粗大粒子による摩耗等を防ぎながら、効率的にその粗大粒子を分離回収することができるスラリー用のストレーナー装置、及びそのスラリー装置を設けたスラリー処理設備に関する。
一般的に、浸出処理、抽出処理等における固液反応等の準備段階として、不溶性の固体粉末を水等の溶媒にレパルプしてスラリーを調製し、そのスラリーを固液反応等設備に流送する操業が行われている。また、固体粉末を移送する場合においても、その不溶性の固体粉末を水等の溶媒にレパルプしてスラリーを調製し、そのスラリーをポンプ等の流送手段によって移送する操業が行われている。
スラリーの調製段階においては、固体粉末が、袋やフレキシブルコンテナ、缶等の容器から、レパルプ槽等のスラリー化のための槽内に投入され、撹拌機等によって溶媒と混合されることによってスラリーに調製される。
しかしなら、調製されたスラリーには、既に固体粉末中に存在していた粗大物や、固体粉末が封入されていた袋、フレキシブルコンテナ、缶等の容器中で塊化した塊状物、撹拌機等による混合撹拌によって砕くことができなかった未解砕物等の粗大粒子が存在することがある。
このような粗大粒子がスラリー中に存在すると、スラリーを流送させる流送設備におけるポンプ、配管、測定用計器等を摩耗によって損傷させたり、あるいは閉塞させたりすることがある。また、粗大粒子が含まれるスラリーでは、次工程の固液反応等において固液接触面積が稼げなくなるため、反応不良の原因となることがある。
そこで、一般には、配管等の流送設備の途中に、ストレーナーと呼ばれる、異物や粗粒物を回収するための回収容器を設置して、そのスラリー中に存在する粗大粒子を回収、除去する作業が行われる。
ストレーナーとしては、固体粉末の粒子径、回収すべき粗大粒子の粒子径、粗大粒子の量等によって様々な形式のものが用いられるが、一般的には、T型ストレーナー、Y型ストレーナー、バケット型ストレーナー等が使用されている。
ストレーナーにおいて、粗大粒子を分別する篩部を構成する部材としては、金網、多孔板、間隙板等が用いられている。また、ストレーナーの材質としては、使用する溶媒の腐食性や固体粉末による摩耗性等を考慮し、対象となるスラリーの性質によって、鋼材、ステンレス等の金属材料や、塩化ビニル、ポリエチレン、フッ素樹脂(テフロン(登録商標))等の樹脂材料が用いられる。
ところで、スラリー中の固体粉末が、固くて摩耗させ易い物質であるような場合、例えば、ストレーナーの篩部を構成する部材である金網等の素線を切断して損傷させてしまうことがあり、その結果、その金網の目開き以上の開口を開けてしまう。そうすると、粗大粒子の回収、除去といった本来の目的が達成できずに粗大粒子を通過させてしまうため、通過した粗大粒子によって、ポンプ、配管、測定用計器等の流送設備を摩耗させ損傷させたり、流送設備を閉塞させたり、次工程の固液反応等工程において反応不良を引き起こしたりすることになる。
また、上述したいずれの形式のストレーナーにおいても、篩部を構成する部材に目詰まりが生じないように適時に回収物の排出を行うことが必要となるが、回収物の排出に際しては、短時間で且つ人手を掛けず、効率よく行うことが求められている。
これらのような技術的な課題に対し、ストレーナーに関して種々の構造を有するものが開発されている。
例えば、回収物の排出に関する課題に対しては、例えば特許文献1に開示されているように、自動で排出する機能を備えたストレーナーが提案されている。しかしながら、構造が複雑となり、設置コスト、維持コストが高いものとなる。
また、特許文献2には、ストレーナーの構造を簡素化し、装置コストの削減を図るために、ストレーナー本体の内側に、その最大径となる位置よりもずらして縦方向にろ過エレメントを挿入設置することにより、本体内部を一次側の広室と二次側の狭室とに分割するストレーナーが開示されている。また、この特許文献2に開示されたストレーナーでは、その内部を洗浄するときは、バルブ操作によって洗浄水を送り込み、洗浄済みの洗浄水を排出することができる構造になっている。
しかしながら、ろ過エレメントに付着した回収物を掃除、除去するためには、盲フランジ(蓋)を取り外してろ過エレメントを抜き取る操作が必要となる。したがって、特許文献2のストレーナーでは、回収物の排出に際して多量の洗浄水を必要とし、またバルブ操作に手間を要し、ろ過エレメントの掃除に手間や時間を要するという問題がある。
さらに、特許文献1、特許文献2のいずれのストレーナーも、そのストレーナーの篩部を構成する部材がスラリー中の粗大粒子による摩耗によって損傷されてしまうという問題には何ら言及しておらず、その問題を十分に解決できるものではない。
このように、粗大粒子を含むスラリーからその粗大粒子を除去回収するためのストレーナーにおいて、篩部を構成する部材の摩耗による損傷を防ぐとともに、短時間で且つ人手を掛けずに、効率よく回収物の排出を行うことができるストレーナーが望まれている。
特開2014−42862号公報 特開平10−15315号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、不溶性の固体粉末を溶媒でレパルプして調製したスラリー中の粗大粒子を分離回収するストレーナー装置において、スラリーに含まれる粗大粒子による摩耗を防ぎながら、その粗大粒子を効率的に分離回収することができるスラリー用のストレーナー装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ストレーナー本体に予備分級箱を併設し、予め一旦、その予備分級箱に粗大粒子を含むスラリーを装入し、予備分級分級箱からストレーナー本体に溢流させて送ることで、ストレーナー本体の篩を摩耗させることなく、効率的に粗大粒子を分離回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、スラリーに含まれる粗大粒子を回収する非密閉構造のストレーナー装置であって、装入された前記スラリーを受け入れて貯留する予備分級箱と、前記予備分級箱と隣接して設けられ、篩板と、スラリー抜出口を有する抜出部とを有するストレーナー本体と、を備え、前記予備分級箱から溢流したスラリーが前記ストレーナー本体における前記篩板の上を流れ、該スラリー中の粗大粒子が該篩板にて回収されることを特徴とするストレーナー装置である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記ストレーナー本体における前記篩板は、多孔板である、ストレーナー装置である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記ストレーナー本体における前記篩板は、スラリーの流れ方向に向かって下がるように傾斜して設けられている、ストレーナー装置である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記ストレーナー本体における前記篩板は取り外しが可能な脱着式である、ストレーナー装置である。
(5)本発明の第5の発明は、複数の処理槽が設置され、粗大粒子を含むスラリーを該複数の処理槽に順次移送して該スラリーに対する処理を施すためのスラリー処理設備であって、前記複数の処理槽は、前記スラリーの移送方向に対して直列に設置され、前記複数の処理槽のそれぞれの前段には、前記スラリーに含まれる粗大粒子を回収するためのストレーナー装置が設けられており、前記ストレーナー装置は、非密閉構造で構成され、装入された前記スラリーを受け入れて貯留する予備分級箱と、前記予備分級箱と隣接して設けられ、篩板と、スラリー抜出口を有する抜出部とを有するストレーナー本体と、を備え、前記予備分級箱から溢流したスラリーが、前記ストレーナー本体における前記篩板の上を流れ、該スラリー中の粗大粒子が該篩板にて回収されることを特徴とするスラリー処理設備である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記複数の処理槽のそれぞれの前段に設けられた前記ストレーナー装置において、前記スラリーの移送方向の上流から下流に向かう前記複数の処理槽の配列の順に、前記ストレーナー本体における前記篩板の目開きが小さくなるように構成されている、スラリー処理設備である。
本発明によれば、スラリーに含まれる粗大粒子による摩耗を防ぎながら、その粗大粒子を効率的に分離回収することができる。
これにより、篩の目開きが損傷により大きくなるといった問題の発生を防ぐことができ、種々の処理槽に移送されるスラリーとして、粗大粒子を有効に分離除去したスラリーを移送させることができる。
硫酸ニッケルの製造原料であるMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)に対する処理の流れを示した工程図である。 ストレーナー装置の構成の一例を示す外観斜視図である。 ストレーナー装置の構成の一例を示す側面図である。 ストレーナー装置の構成の一例を示す上面図である。 ストレーナー本体における篩板の周囲部分のみ示す図である。 ストレーナー装置の断面図であり、スラリーの装入から粗大粒子を分離除去したスラリーを抜き出すまでの流れを説明するための図である。 スラリー処理設備の構成の一例を示すブロック図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
≪1.ストレーナー装置≫
本実施の形態に係るストレーナー装置は、固体粒子を含むスラリーの中から、粗大物や凝集により生成した塊状物等の粗大粒子を分離して回収するための装置であって、スラリー用のストレーナー装置である。本実施の形態に係るストレーナー装置は、上部開放型と呼ばれるものであり、密閉構造からなる装置として圧力ポンプ等を使用しながら所定の圧力下で分級操作を行うようなストレーナー装置とは区別され、非密閉構造により構成されているともいえる。
ストレーナー装置は、上述したように、不溶性の固体粉末を水等の溶媒にレパルプして調製したスラリー中における粗大粒子を回収、除去するものであり、スラリーを移送するあらゆるプロセス設備等に適用することができる。例えば、硫酸ニッケルの製造原料を処理するための設備においても適用することができる。以下、この硫酸ニッケルの製造原料の処理を一例に挙げ、ストレーナー装置の適用例の概要を説明する。
<1−1.ストレーナー装置が設備に適用されるプロセスの例>
硫酸ニッケルの製造プロセスでは、原料として、ニッケル及びコバルトを含む混合硫化物(Mixed Sulfide、以下「MS」ともいう)が用いられる。このMSは、低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石に対して加圧酸浸出(HPAL:High Pressure Acid Leaching)を施し、得られた加圧酸浸出液から鉄をはじめとする不純物を除去した後、例えば硫化水素ガスを浸出液中に吹き込むことで硫化反応を生じさせることによって得られるものであり、NiS等の硫化物を主成分とする。
図1は、硫酸ニッケルの製造原料であるMSに対する処理の流れを示した工程図である。図1に示すように、MSは、先ず、レパルプ槽にて水及び高濃度ニッケル薄液によりレパルプされる(レパルプ工程)。次に、レパルプ処理により得られたスラリーは、オートクレーブ等の加圧反応槽に移送されて加圧浸出処理が施され、MS中のニッケル及びコバルトが高圧空気によって浸出される(加圧浸出工程)。その後、フラッシュベッセル等により高圧の浸出液に対する降圧処理が施され(降圧工程)、また常温程度にまで冷却される(冷却工程)。これらの工程を経た後、加圧浸出液は、脱Fe工程等に移送される。なお、加圧浸出液は、硫酸ニッケル及び硫酸コバルトの混合水溶液である。
ここで、上述したレパルプ工程では、固体粉末であって水等の溶媒に不溶性のMSをレパルプ槽に投入し、撹拌機にて混合、撹拌することによってスラリーを作製する。固体粉末であるMSには、その製造過程で発生する薄片状のスケール(以下、「鱗片」という)が混入することがあり、そのような鱗片が混入した状態でフレキシブルコンテナ等に袋詰めされる。そのため、そのフレキシブルコンテナからMSをレパルプ槽に投入する際に、薄片状の鱗片も一緒に投入され、その結果、その鱗片もスラリー中に含まれる。
ところが、スラリー中に鱗片等の粗大粒子が存在した状態であると、その粗大粒子が原因となって、スラリーを移送するためのポンプ、配管、測定用計器等の流送設備を摩耗によって損傷させたり、閉塞させたりすることがある。
そこで、本実施の形態においては、鱗片等の粗大粒子を含むスラリーを移送させるに際して、プロセス設備における配管の所定の位置にストレーナー装置を設置し、そのスラリー中に含まれる粗大粒子を分離し回収する。以下、このようなプロセス設備の配管等に設置されるストレーナー装置について具体的に説明する。
<1−2.ストレーナー装置の構成>
本実施の形態に係るストレーナー装置は、上述したように、スラリーに含まれる粗大粒子を回収する上部開放型のストレーナー装置である。図2は、本実施の形態に係るストレーナー装置の構成の一例を示す外観斜視図である。なお、このストレーナー装置を「ストレーナー装置1」として示す。また、図3は、ストレーナー装置1の側面図であり、図4は、ストレーナー装置1の上面図である。
具体的に、図2〜図4に示すように、本実施の形態に係るストレーナー装置1は、予備分級箱11と、その予備分級箱11に隣接するストレーナー本体12とを備える。
(1)予備分級箱
予備分級箱11は、粗大粒子を回収する対象であるスラリーが装入され、一時的に貯留する箱部である。この予備分級箱11は、後述するストレーナー本体12に隣接して設けられており、そのストレーナー本体12での粗大粒子の篩分けによる分級に先立ち、対象のスラリーを予め受け入れて貯留する。
ストレーナー装置1では、このように予備分級箱11が設けられており、粗大粒子を含む処理対象であるスラリーははじめにこの予備分級箱11に供給される。そして、予備分級箱11では、所定量のスラリーを貯留させたのち、その予備分級箱11を溢流(オーバーフロー)したスラリーを、徐々にストレーナー本体12に流送させる。
このようなストレーナー装置1では、粗大粒子を含むスラリーが予め予備分級箱11に装入され、その後、予備分級箱11からスラリーを溢流させてストレーナー本体12に流送させるようにしているため、スラリーに含まれる粗大粒子のある程度の割合は、この予備分級箱11の底部に堆積して分離されることになる。したがって、ストレーナー本体12へは、ある程度の粗大粒子が分離して除かれたスラリーが流れるようになるため、そのストレーナー本体12での粗大粒子の分級負荷を抑えることができる。
また、粗大粒子を含むスラリーを、直接、ストレーナー本体における篩板(分級部材)に向けて装入させた場合、その装入時の衝撃によって篩板が損傷しやすくなるが、この点においてストレーナー装置1では、予め一旦、予備分級箱11にスラリーが装入されるため、篩板21に対する直接のスラリーの装入を回避することができる。しかも、そのストレーナー本体12の篩板21に対しては、スラリーが予備分級箱11から溢流してその篩板21上を流れるように供給されるため、その篩板21への装入圧力が極めて低く、篩板21の損傷をより効果的に防ぐことができる。
なお、予備分級箱11においては、その底部に、スラリーに含まれる粗大粒子が徐々に堆積していくため、堆積した粗大粒子によって予備分級箱11の内部が保護されるようになる。そのため、予備分級箱11に順次スラリーが装入されても、堆積した粗大粒子自身によって、予備分級箱11におけるスラリー中の粗大粒子による摩耗損傷が抑えられる。
予備分級箱11の形状としては、特に限定されず、例えば、図2〜図4に示すように直方体の形状にすることができる。また、筒状の形状であってもよい。また、予備分級箱11の深さや容積についても、特に限定されず、プラント設備を流れるスラリーの流量に応じて適宜調整することが好ましい。
予備分級箱11は、後述するストレーナー本体12と一体型の構成とすることができる。例えば、図2〜図4に示す構成例は、予備分級箱11がストレーナー本体12と一体に形成された構成を示すものである。このような一体型の構成では、全体構造が簡易で合理的であり、また製作が容易になるため好ましい。
ここで、予備分級箱11とストレーナー本体12とを一体型とした構成にした場合、予備分級箱11の底部から垂直に立ち上がった板13が、予備分級箱11に貯留されたスラリーが溢流してストレーナー本体12に移るための、いわゆる溢流板(以下、「溢流板13」ともいう)として作用する。すなわち、予備分級箱11に受け入れられ貯留されたスラリーのうち、溢流板13を超えたスラリーがストレーナー本体12に送られ粗大粒子が回収される。
また、変形例として、予備分級箱11がストレーナー本体12と分離された、別体の構成としてもよい。なお、変形例の構成については図示しないが、便宜上、同じ構成については同じ符号を付して説明する。
具体的には、例えば、直方体の形状の予備分級箱11と、後述するストレーナー本体12を構成する箱体とが、それぞれを物理的に離されてなるストレーナー装置1とすることができる。このようなストレーナー装置1の場合でも、予備分級箱11に予めスラリーが装入され、その後、スラリーが予備分級箱11を溢流することによって、ストレーナー本体12に送られる。このとき、例えば、直方体形状の予備分級箱11の上部側面に樋のような溢流流送路を設け、その溢流流送路の他端をストレーナー本体12の篩板21の表面に連結させる。これにより、予備分級箱11に予め装入され貯留されたスラリーがその予備分級箱11から溢流すると、溢流流送路を流れて、ストレーナー本体12に送られる。
(2)ストレーナー本体
ストレーナー本体12は、予備分級箱11に隣接して設けられ、予備分級箱11から溢流したスラリーから粗大粒子を篩別け、その粗大粒子を回収する。具体的に、このストレーナー本体12は、篩板21と、スラリー抜出口23を有する抜出部22とを有する。
[篩板]
篩板21は、スラリーに含まれる粗大粒子を篩別けにより分離し、回収するための部材である。篩板21では、予備分級箱11から溢流したスラリーが、その表面を流れ、篩板21の表面の目開きに応じて、粗大粒子が分離される。
例えば、篩板21の目開きを2.0mmとしたとき、予備分級箱11から溢流したスラリーがその表面を流れることにより、粒径が2.0mm以下の固体粉末が液体成分と共に篩板21の篩孔を通過して後述する抜出部22に移り、一方で、粒径が2.0mmを超える粗大な固体粉末(粗大粒子)は、篩板21の表面に残存する。これにより、所定の大きさの粗大粒子をスラリーから分離して、回収することができる。
上述したように、ストレーナー装置1では、粗大粒子を含むスラリーが予備分級箱11に予め一旦装入されて貯留された後、その予備分級箱11から溢流したスラリーがストレーナー本体12の篩板21に送られることになる。そして、スラリーを貯留する予備分級箱11では、スラリーに含まれる粗大粒子の一部が堆積することにより分離されるため、篩板21に送られて接触する粗大粒子の量は少なくなる。これにより、篩板21における粗大粒子の分級負荷を抑えることができ、摩耗による損傷を抑えることができる。
また、この篩板21には、直接的にスラリーが装入されないため、そのスラリーの装入時における衝撃等が生じず低い装入圧力で装入され、しかも、篩板21には溢流したスラリーが流送されてその表面を流れていくため、篩板21上における粗大粒子の摩耗による損傷を、より効果的に抑えることができる。
篩板21としては、特に限定されないが、例えば、金網、多孔板、間隙板等によって構成することができる。その中でも、金網等にあるような素線が存在せず、摩耗による切断等が発生しにくいという点で、パンチングプレート等の多孔板を用いることが好ましい。
具体的に、篩板21としてパンチングプレート等の多孔板を用いる場合、その孔の形状や配置等については、特に制限されない。例えば、孔の形状としては、円形、四角形、スリット状の長方形等の種々の形状とすることができる。
また、多孔板における孔の配置については、全て同一の形状及び大きさの孔が、多孔板の面に密に均等に配置されるようにすることができる。また、スラリーの流れ方向(隣接する予備分級箱11から離れる方向)に従って孔の大きさを変化させるようにしてもよい。例えば、上流側から下流側に向かって孔の大きさが大きくなるように、あるいは逆に、上流側から下流側に向かって孔の大きさが小さくなるように、孔の大きさを変化させてもよい。このように、上流側の孔を下流側の孔よりも小さくすることで、篩板21を通過するスラリーの流量を均一化させることができ、逆に、上流側の孔を下流側の孔よりも大きくすることで、篩板21への粗大粒子による負荷を均一化させることができる。
また、孔の大きさとしては、篩板21においてスラリーから分離回収したい粗大粒子の大きさに応じて、適宜調整することができる。
篩板21は、図2の構成例に示すように、スラリーの流れ方向に向かって下がるように傾斜して設けられることが好ましい。このように、篩板21をスラリーの流れ方向に向かって下方に傾斜させることにより、傾斜した篩板21を流れるスラリーに沿って、その篩板21にて捕捉される粗大粒子を、傾斜した低い位置に集めて回収しやすくすることができる。具体的には、図4の上面図に示すように、スラリー中の粗大粒子を、スラリーの流れ方向の下流側であって、傾斜した篩板21の低い位置(図4中のX部)に効率的に集めることができ、その粗大粒子の回収作業を容易にする。また、このように篩板21を傾斜させることによって、その多孔板等からなる篩板21の全面が均等に閉塞してしまうことを防止することができる。
また、篩板21は、スラリーの流れ方向に向かって下がるように傾斜していることにより、予備分級箱11から溢流して流送されたスラリーに対して、よりスムーズな流れを付与することができる。すなわち、水平に設けられた篩板21よりも、傾斜して設けられた篩板21であることにより、溢流してきたスラリーの流れを止めることなく、篩板21上にスラリーを流すことができ、粗大粒子の篩分けによる分離効果を高めることができる。
篩板21は、ストレーナー本体12から取り外し可能な脱着式とすることができる。図5は、ストレーナー本体12における篩板21の周囲部分のみ示す図である。この図5に具体的に示すように、篩板21の表面に取っ手30を設けて、ストレーナー本体12からの篩板21の取り外しや装着が容易となるようにすることができる。なお、ストレーナー本体12から篩板21を取り外す際には、作業者が取っ手30を把持し、上方向にそのまま持ち上げるようにすることで容易に取り外すことができる。
このように、篩板21を脱着式の構成とすることにより、篩板21の所定の箇所(例えば図4のX部)に粗大粒子が堆積し、あるいは篩目に粗大粒子による閉塞が生じ始めたとき、この篩板21のみをストレーナー本体12から取り外して、容易に洗浄処理等を行うことができる。そして、上述したように篩板21の表面に取っ手30を設けることによって、その粗大粒子の洗浄除去作業を、短時間で、簡単に済ますことができる。さらに、このように脱着式とすることで、篩板21の予備品を準備しておくことができ、その篩板21の交換作業を瞬時に済ますことができる。
[抜出部]
抜出部22は、ストレーナー本体12における上述した篩板21以外の構成をいい、篩板21にて粗大粒子が分離され、その篩板21の篩目を通過した固体粉末と液体成分とからなるスラリーを抜き出す。この抜出部22は、スラリーを抜き出して、配管等を介して他の処理槽に送るための、スラリー抜出口23を有する。
抜出部22では、篩板21を通過したスラリーが、抜出部22を構成する容器部22Aに収容され、その容器部22Aの底部に設けられたスラリー抜出口23を介して、スラリーを外部に抜き出す。なお、スラリー抜出口23には、バルブ等を設けて、スラリーの外部への抜き出し量を調整するようにしてもよい。
抜出部22を構成する容器部22Aの形状としては、特に限定されるものではないが、図2及び図3に構成例を示すように、下方に向かってコーン状となっていることが好ましい。なお、コーン状となった容器部22Aの端部に、スラリー抜出口23が設けられる。
抜出部22を構成するスラリー抜出口23としては、篩板21での篩分け後のスラリーを抜出し、当該ストレーナー装置1の後段に設けられた処理装置に流下させる等、所定の方法で移送させることができれば、その構成としては特に限定されない。例えば、上述したように、バルブを備えるようなものであってもよく、あるいは、スラリーの流量だけでなく流下方向等の向きの調整も可能なようなノズル式としてもよい。
<1−3.ストレーナー装置の構成のまとめ、作用効果>
以上詳述したように、本実施の形態に係るストレーナー装置1は、上部開放型のものであって、装入されたスラリーを受け入れて貯留する予備分級箱11と、予備分級箱11と隣接して設けられ、篩板21と、スラリー抜出口23を有する抜出部22とを有するストレーナー本体12とを備える。
図6は、ストレーナー装置1の断面図であり、スラリーの装入から、粗大粒子を分離除去したスラリーを抜き出すまでの流れを説明するための図である。なお、図6のストレーナー装置1では、その上部に天井部40を備えているが、装置内を密閉状態として圧力制御を行うという密閉構造とするものではなく、この天井部40は単に他の設備と物理的に離すための板であり、この態様においても、非密閉構造により構成された上部開放型のストレーナー装置という。
この図6に示すように、ストレーナー装置1では、天井部40に設置されたスラリー装入口41から粗大粒子を含むスラリーが装入され、予め一旦、予備分級箱11に貯留される。このように予め予備分級箱11にスラリーが装入され貯留されることにより、その予備分級箱11内に、スラリーに含まれる粗大粒子の一部が分離され堆積していく。
続いて、予備分級箱11では、スラリー装入口41からの順次のスラリー装入により、その予備分級箱11の貯留可能量を超えるスラリーが装入されると、貯留されていたスラリーが予備分級箱11とストレーナー本体12とを隔てる溢流板13から溢流し、ストレーナー本体12の篩板21の表面を流れていく。
篩板21は、例えば、スラリーの流れ方向に向かって下がるように傾斜しており、篩板21上をスラリーが流れるに従って粗大粒子が分離される。また、それととともに、粗大粒子が分離されたスラリーが、篩板21を通過してストレーナー本体12の下部に位置する抜出部22に送られる。ストレーナー本体12の下部の抜出部22に貯留したスラリーは、その後スラリー抜出口23を介して抜き出される。なお、抜出口23に、次に処理槽にスラリーを移送させるための移送配管を連結させることができる。
このようにストレーナー装置1によれば、粗大粒子を含むスラリーが予め予備分級箱11に装入され、その後にストレーナー本体12に流送されるようになるため、スラリーに含まれる粗大粒子のある程度の割合を、予備分級箱11の底部に堆積して分離させることができる。すると、ストレーナー本体12へは、ある程度の粗大粒子が分離して除かれたスラリーが流れるようになるため、そのストレーナー本体12での粗大粒子の分級負荷を抑えることができ、篩板21における粗大粒子の摩耗による損傷を抑えることができる。
これにより、篩板21上の目開きが損傷により大きくなるといった問題の発生を防ぐことができ、種々の処理槽に移送させるスラリーとして、粗大粒子を有効に分離除去したスラリーを移送させることができる。したがって、従来のような、粗大粒子が残存するスラリーが、ポンプ、配管、測定用計器等の流送設備を損傷させ、またその流送設備を閉塞させたり、次工程における反応不良を引き起こしたりするといった問題の発生を防ぐことができる。
また、ストレーナー本体12における篩板21では、取り外しが可能な着脱式とし、例えば表面に取っ手30を設ける等、着脱操作を容易にすることによって、篩板21上に堆積した粗大粒子を簡単に洗浄除去することができる。
<1−4.ストレーナー装置の変形例>
なお、ストレーナー装置1の変形例として、例えば、2つの予備分級箱11(説明の便宜上「予備分級箱11A,予備分級箱11B」とする)をストレーナー本体12の両側に対称的に配設し、スラリーの供給を2分割にする構成することができる。なお、この変形例のストレーナー装置を便宜的に「ストレーナー装置1’」とし、その他構成は同じ符号を付して説明する。
このようなストレーナー装置1’では、予備分級箱11A及び予備分級箱11Bのそれぞれにスラリーを装入させ貯留させた後、それぞれから溢流するスラリーを、ストレーナー本体12に流送させる。
このとき、ストレーナー本体12の構造としては、ストレーナー本体12を構成する篩板21の形状をV字形状として、ストレーナー本体12の両側に対照的に配設された予備分級箱11A及び予備分級箱11Bから溢流したスラリーが、V字形状となった篩板21の中央部、すなわち最下部に向かって流れるようにする。なお、スラリーの流れに伴って篩板21に捕捉された粗大粒子は、そのV字形状の最下部近傍に集められる。
このようなストレーナー装置1であることにより、スラリーの装入量、いわゆる粗大粒子の分離処理の処理量を増やすことができ、操業効率を高めることができる。
≪2.スラリー処理設備≫
次に、上述したストレーナー装置1を備えたスラリー処理設備について説明する。このスラリー処理設備は、固体粉末を溶媒にレパルプして調製したスラリーを、各種の反応を行う処理槽に供給し、また順次複数の処理槽に移送させて、そのスラリーに対して各種の処理を施すための設備である。
例えば、上述したように、硫酸ニッケルの製造原料として用いられるMSは、レパルプ槽にてレパルプ処理が施されることによってスラリーとなる。生成したスラリーは、循環配管(自己循環配管)を通って再びレパルプ槽に循環し、新たなMSの供給によりスラリー量を増加させる。次に、そのMSを含むスラリー(以下、「MSスラリー」という)は、レパルプ槽の排出口に連結された配管を通って、MSスラリーを貯留するMSスラリー貯槽に移送され、そのMSスラリー貯槽にてスラリーのストックと組成の均一化が図られる。なお、MSスラリー貯槽では、適宜MSスラリーの液性条件等が調整されてもよい。次に、そのMSスラリーは、MSスラリー貯槽の排出口に連結された配管を通って、加圧浸出始液を貯留する加圧浸出始液槽に移送され、加圧浸出処理を施すための対象としてその加圧浸出始液槽内に貯留される。その後、加圧反応始液槽に貯留されたMSスラリーは、加圧浸出反応槽に移送される。
この具体例にあるように、スラリー処理設備は、直列に各種の処理槽が設置されており、固体粉末を含むスラリー(上述した具体例ではMSスラリー)がその直列に配列された各種の処理槽に順次移送され、処理される。このようなスラリー処理設備において、固体粉末を含むスラリーは、ポンプや測定用機器等を備えた配管(配管設備)を通って、処理槽から次の処理槽へと移送されていく。そのため、スラリー中に粗大粒子が含まれるような場合には、その粗大粒子に起因して配管設備を摩耗し損傷を生じさせることがある。また、粗大粒子が含まれるスラリーでは、処理槽において添加される薬剤やスラリー同士との接触面積が減少して反応効率が低下することがある。
したがって、このようなスラリー処理設備においては、各種の処理槽の前段に、すなわちそれぞれの処理槽にスラリーが装入される前に、スラリーに含まれる粗大粒子を分離し、回収除去するためのストレーナー装置を備えることが好ましい。なお、「処理槽」との用語は、スラリーに対して種々の処理反応を生じさせるような反応場となる槽の意味に限られず、例えば、調整槽のような薬剤等の添加によりスラリーの液性条件等を調整するための槽や、貯留槽のようなスラリーを一時的に貯留するための槽、中継槽のようなスラリーを別の層に移送させるために中継するための槽等の意味を含むものである。
図7は、本実施の形態に係るスラリー処理設備の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、スラリー処理設備5は、複数の処理槽51(51A,51B、51C)が設置され、粗大粒子を含むスラリーを複数の処理槽51に順次移送してスラリーに対する処理を施すための設備である。上述したMSスラリーの処理設備を例とすると、処理槽51Aがレパルプ槽、処理槽51BがMSスラリー貯槽、処理槽51Cが加圧浸出始液槽として当てはめることができる。ここで、処理槽51Aがレパルプ槽である場合には、ストレーナー装置1Aには処理槽51Aのスラリーが供給される、いわゆる自己循環の形態を採る。
なお、図7に示す構成例では、3つの処理槽51A,51B,51Cを直列に配列した構成を示しているが、処理槽51が3つに限られるものではない。また、図7中の矢印は、スラリーの移送方向を示す。
具体的に、スラリー処理設備5では、複数の処理槽51A,51B、51Cがスラリーの移送方向に対して直列に設置されており、そして、複数の処理槽51A,51B、51Cのそれぞれの前段には、スラリーに含まれる粗大粒子を回収するためのストレーナー装置1(1A,1B,1C)が設けられている。
ストレーナー装置1は、上述したように、上部開放型の装置であり、装入されたスラリーを受け入れて貯留する予備分級箱11と、予備分級箱11と隣接して設けられ、篩板21と、スラリー抜出口23を有する抜出部22とを有するストレーナー本体12とを備える。このストレーナー装置1では、予備分級箱11から溢流したスラリーが、ストレーナー本体12における篩板21の上を流れ、スラリー中の粗大粒子が篩板21にて分離し、回収される。なお、ストレーナー装置1の構成については、上述した内容と同じであるため、ここでの説明は省略する。
このように、複数の処理槽51が直列に設けられたスラリー処理設備5において、それぞれの処理槽51の前段にストレーナー装置1を設けることによって、そのスラリー処理設備5の配管を通って移送されるスラリー中の粗大粒子を確実に分離除去することができるようになり、またそれぞれの処理槽51での反応効率の低下を防ぐことができる。
また、複数の処理槽51A,51B、51Cのそれぞれの前段に設けられたストレーナー装置1A,1B,1Cにおいては、スラリーの移送方向の上流から下流に向かう複数の処理槽51の配列の順、すなわち、処理槽51A、処理槽51B、処理槽51Cの順に、ストレーナー本体12における篩板21の目開きが小さくなるように構成してもよい。
例えば、処理槽51Aの前段に設けられたストレーナー装置1Aにおける篩板21の目開きを3.0mmとし、処理槽51Bの前段に設けられたストレーナー装置1Bにおける篩板21の目開きを2.0mmとし、処理槽51Cの前段に設けられたストレーナー装置1Cにおける篩板21の目開きを1.5mmとする。
このようにスラリー処理設備5において、スラリーの移送方向の上流から下流に向かう複数の処理槽51の配列の順に、その各処理槽51の前段に設けられたストレーナー装置1の篩板21の目開きを小さくするように構成することで、スラリーに含まれる粗大粒子をより効果的に分離回収することができる。特に、上述したMSスラリーの処理設備の例でいえば、MSスラリーに対して加圧浸出処理を施す前に、確実にスラリー中の粗大粒子を除去することが可能になるため、加圧浸出させたときに浸出率の向上、安定化を図ることができ、安定的に操業を行うことができる。
以下、本発明の実施例を示して本発明についてより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
硫酸ニッケルの製造原料であるMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)を水でレパルプしてMSスラリーを調製するレパルプ槽の自己循環配管の返送口に、図2に構成例を示したストレーナー装置1を設置し、そのMSスラリーに含まれる粗大粒子(鱗片)の回収除去を行った。
ここで、原料として使用したMSの組成(乾燥物基準)は、ニッケルが56重量%〜59重量%、コバルトが3重量%〜5重量%、硫黄が33重量%〜36重量%であった。また、そのMSの粒子径は、D50(個数基準の50%粒子径)で70μm〜100μmであった。このようなMSは、フレキシブルコンテナに充填されており、その重量は約2tであった。なお、MSの化学組成についてはICP発光分光分析法により、MSの粒子径についてはマイクロトラック法により、それぞれ測定した。
そして、フレキシブルコンテナ2袋分のMSを、有効容積20m、SUS304製であって、3.5mφ、高さ2.2mの円筒状のレパルプ槽に装入して、水及び高濃度ニッケル薄液によりスラリー化して、濃度200g/LのMSスラリーを調製した。
具体的に、ストレーナー装置1として、装入されるMSスラリーを受け入れて貯留する予備分級箱11と、予備分級箱11と隣接して設けられ、篩板21と、スラリー抜出口23を有する抜出部22とを有するストレーナー本体12とを備える構成のもの用いた。なお、篩板21としては孔径が3.0mmのパンチングプレートを用いた。また、その篩板21を構成するパンチングプレートは脱着式とし、容易に取り外せるように取っ手30を設けた。
このストレーナー装置1により、MSスラリーを予め予備分級箱11に装入させ、その予備分級箱11からオーバーフローしたスラリーを、ストレーナー本体12における篩板21を構成するパンチングプレート上に流し、そのパンチングプレートにてMSスラリー中の鱗片を分離して回収した。
このようなストレーナー装置1を設置した設備において約2か月間の操業を行った結果、ストレーナー装置1の篩には摩耗による孔開き等の損傷は生じなかった。
また、篩板21を構成するパンチングプレートの洗浄処理は非常に簡易であり、鱗片の除去作業の作業時間は僅か5分程度で済んだ。さらに、パンチングプレートの予備を準備していたことにより、その交換作業の作業時間として僅か1分程度であった。
なお、このようなレパルプ槽を経て移送されたMSスラリーに対して、加圧浸出工程において加圧浸出処理を行った結果、そのMSからのニッケル及びコバルトの浸出率は、1ヶ月平均で98.6%であり、高い浸出率で操業することができた。
[実施例2]
実施例2として、実施例1と同様のストレーナー装置1を設置して、MSスラリーに含まれる鱗片の回収除去を行った。この実施例2では、図7に示したように、MSスラリー処理設備である、レパルプ槽と、MSスラリー貯槽と、加圧浸出始液槽とが直列に配列されるように設置された設備において、それぞれの処理槽の前段にストレーナー装置1を設置して、MSスラリーを処理槽に移送させるに伴って、3段階にわたって鱗片を分離除去する操業を行った。ただし、レパルプ槽においてのみ、ストレーナー装置1にはレパルプ槽のスラリーが供給される、いわゆる自己循環の形態を採った。
具体的に、このMSスラリー処理設備においては、レパルプ槽の自己循環配管の返送口に孔径が3.0mmのパンチングプレートを篩板として備えたストレーナー装置1を設置し、MSスラリー貯槽のスラリー受入口に孔径が2.0mmのパンチングプレートを篩板として備えたストレーナー装置1を設置し、加圧浸出始液槽のスラリー受入口に孔径が1.5mmのパンチングプレートを篩板として備えたストレーナー装置1を設置した。
このようなMSスラリー処理設備において、約半年間の操業を行った結果、いずれのストレーナー装置1に設けられた篩も、摩耗による孔開き等の損傷は生じなかった。
また、篩板21を構成するパンチングプレートの洗浄処理は非常に簡易であり、鱗片の除去作業の作業時間は僅か5分程度で済んだ。さらに、パンチングプレートの予備を準備していたことにより、その交換作業の作業時間として僅か1分程度であった。
なお、このようなスラリー処理設備においてMSスラリーを移送させ、その後、加圧浸出工程において加圧浸出処理を行った結果、そのMSからのニッケル及びコバルトの浸出率は、1ヶ月平均で98.7%であり、高い浸出率で操業することができた。なお、実施例1での操業の浸出率よりも向上した。
[比較例1]
比較例1では、実施例1と同様に、MSスラリーを調製するレパルプ槽の自己循環配管の返送口にストレーナー装置を設置して操業を行ったが、そのストレーナー装置としては、予備分級箱が備わっておらずストレーナー本体のみからなり、篩板が水平に載置された金網であって、その篩板の下方にストレーナーの底抜きノズルが固定されているものを用いた。MSスラリーは、篩板としての金網上に直接流下させた。なお、その他の条件は、実施例1と同様とした。
このようなストレーナー装置を設置した設備において約1年間の操業を行った結果、ストレーナー装置の篩には摩耗による穴開きが確認された。具体的にその頻度としては、15日〜30日に1度の頻度で金網に穴が開いてしまい、約8時間を要する金網の交換作業を余儀なくされた。
また、その金網に堆積した鱗片の除去作業には、約30分もの時間を要した。
なお、このようなレパルプ槽を経て移送されたMSスラリーに対して、加圧浸出工程において加圧浸出処理を行った結果、そのMSからのニッケル及びコバルトの浸出率は、1ヶ月平均で98.5%であった。
1,1A,1B,1C ストレーナー装置
5 スラリー処理設備
11 予備分級箱
12 ストレーナー本体
13 溢流板(板)
21 篩板
22 抜出部
22A 抜出部における容器部
23 抜出口
30 取っ手
51,51A,51B,51C 処理槽

Claims (6)

  1. スラリーに含まれる粗大粒子を回収する非密閉構造のストレーナー装置であって、
    装入された前記スラリーを受け入れて貯留する予備分級箱と、
    前記予備分級箱と隣接して設けられ、篩板と、スラリー抜出口を有する抜出部とを有するストレーナー本体と、を備え、
    前記予備分級箱から溢流したスラリーが前記ストレーナー本体における前記篩板の上を流れ、該スラリー中の粗大粒子が該篩板にて回収される
    ことを特徴とするストレーナー装置。
  2. 前記ストレーナー本体における前記篩板は、多孔板である
    請求項1に記載のストレーナー装置。
  3. 前記ストレーナー本体における前記篩板は、スラリーの流れ方向に向かって下がるように傾斜して設けられている
    請求項1又は2に記載のストレーナー装置。
  4. 前記ストレーナー本体における前記篩板は、取り外しが可能な脱着式である
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のストレーナー装置。
  5. 複数の処理槽が設置され、粗大粒子を含むスラリーを該複数の処理槽に順次移送して該スラリーに対する処理を施すためのスラリー処理設備であって、
    前記複数の処理槽は、前記スラリーの移送方向に対して直列に設置され、
    前記複数の処理槽のそれぞれの前段には、前記スラリーに含まれる粗大粒子を回収するためのストレーナー装置が設けられており、
    前記ストレーナー装置は、非密閉構造で構成され、
    装入された前記スラリーを受け入れて貯留する予備分級箱と、
    前記予備分級箱と隣接して設けられ、篩板と、スラリー抜出口を有する抜出部とを有するストレーナー本体と、を備え、
    前記予備分級箱から溢流したスラリーが、前記ストレーナー本体における前記篩板の上を流れ、該スラリー中の粗大粒子が該篩板にて回収される
    ことを特徴とするスラリー処理設備。
  6. 前記複数の処理槽のそれぞれの前段に設けられた前記ストレーナー装置において、
    前記スラリーの移送方向の上流から下流に向かう前記複数の処理槽の配列の順に、前記ストレーナー本体における前記篩板の目開きが小さくなるように構成されている
    請求項5に記載のスラリー処理設備。
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