まず、トラクタ1について簡単に説明する。
図1は、トラクタ1を示している。図2は、トラクタ1の主要構造を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、制御装置が接続されている。制御装置は、オペレータがアクセルペダルなどを操作すると、その操作に応じてエンジン12の運転状態を変更する。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力をフロントアクスル14やリヤアクスル15に伝達する。トランスミッション13には、クラッチを介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、作業機駆動装置が設けられている。作業機駆動装置は、オペレータがスイッチを操作すると、牽引する作業機(後述する耕耘作業機2など)に回転動力を入力する。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている。操舵装置は、オペレータがハンドルを操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、リヤアクスル15には、制動装置が内蔵されている。制動装置は、オペレータがブレーキペダルを操作すると、その操作に応じてリヤタイヤ151の回転速度を低下若しくは停止させる。また、制動装置は、オペレータがハンドルを操作すると、その操作に応じて一方のリヤタイヤ151の回転速度を低下若しくは停止させることもできる。
次に、耕耘作業機2について簡単に説明する。
図3は、耕耘作業機2を示している。図4は、耕耘深さDに応じてリヤカバー23が回動する状況を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
耕耘作業機2は、ロータリー21と、ロータリーカバー22と、リヤカバー23と、ギヤユニット24と、フィードバックユニット25と、を備えている。
ロータリー21は、回転軸の周囲に複数のタイン21tを取り付けた構造体である。ロータリー21は、左右方向に対して平行に支持され、回転することによって圃場を耕耘する。
ロータリーカバー22は、円弧状に形成されたカバープレート22pを有する構造体である。ロータリーカバー22は、ロータリー21に沿うように配置され、該ロータリー21の上方を覆う。
リヤカバー23は、円弧状に形成されたカバープレート23pを有する構造体である。リヤカバー23は、その前側がロータリー21に沿うように配置され、該ロータリー21の後方を覆う。また、リヤカバー23は、その後側が圃場に沿うように円弧状に形成され、圃場の表面を均す。なお、リヤカバー23は、ロータリーカバー22に設けられたヒンジ22hを中心に回動自在となっている。
ギヤユニット24は、ケース24cの内部に複数のギヤを収容した構造体である。ギヤユニット24は、左右のパイプケース24pによって支持され、該パイプケース24pの内側を通るドライブシャフトを介してロータリー21に回転動力を伝達する。なお、ギヤユニット24は、作業機駆動装置の位置に合わせて左右方向の中央部に配置されている。
フィードバックユニット25は、リンクロッド(図示せず)やプッシュプルワイヤ25wなどを有する構造体である。フィードバックユニット25は、その一端がリヤカバー23に接続され、その他端がオートワイヤ(図示せず)に接続されている。なお、フィードバックユニット25は、ギヤユニット24の前側を周り込むように配置されている。
このような構造により、ロータリー21が圃場に沈み込み、リヤカバー23が上方へ回動した場合(図4(A)の矢印Ra参照)、該リヤカバー23がプッシュプルワイヤ25wなどを引くこととなる。すると、プッシュプルワイヤ25wなどによってオートワイヤが引かれ、該オートワイヤによってフィードバックアーム54(図9参照)が回動される。このように、耕耘作業機2は、リヤカバー23が上方へ回動することにより、耕耘深さDに応じた物理量(具体的にはストローク量)を伝達できるのである。
反対に、ロータリー21が圃場に浮き上がり、リヤカバー23が下方へ回動した場合(図4(B)の矢印Rb参照)、該リヤカバー23がプッシュプルワイヤ25wなどを押すこととなる。すると、プッシュプルワイヤ25wなどによってオートワイヤが押され、該オートワイヤによってフィードバックアーム54(図9参照)が回動される。このように、耕耘作業機2は、リヤカバー23が下方へ回動することにより、耕耘深さDに応じた物理量(具体的にはストローク量)を伝達できるのである。
次に、トラクタ1を構成する作業機牽引装置17について説明する。作業機牽引装置17は、トランスミッション13の後部に設けられている(図2参照)。
図5は、作業機牽引装置17を示している。図6は、耕耘作業機2の傾斜動作を示している。また、図7は、耕耘作業機2の昇降動作を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。加えて、図8は、傾斜動作及び昇降動作を可能とする油圧回路を示している。
作業機牽引装置17は、トップブラケット171と、トップリンク172と、ロワブラケット173と、ロワリンク174と、リフトアーム175と、リフトリンク176と、傾斜用アクチュエータ177と、昇降用アクチュエータ(「油圧アクチュエータ」に該当する)178と、を備えている。
トップブラケット171は、トランスミッション13の後部(正確には後述する作業機昇降装置18の後部:図9参照)に取り付けられている。トップブラケット171は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
トップリンク172は、トップブラケット171のヒンジ部に取り付けられている。トップリンク172は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とトップブラケット171のピン孔を重ね合わせた状態でピンP1が挿入されることにより、該ピンP1を中心として回動自在に連結されている。また、トップリンク172は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とヒッチメンバ(図示せず)のピン孔を重ね合わせた状態でピンP2が挿入されることにより、該ピンP2を中心として回動自在に連結されている。なお、耕耘作業機2は、ヒッチメンバのフックに引っ掛けられる。
ロワブラケット173は、トランスミッション13の下部に取り付けられている。ロワブラケット173は、二枚のプレートを平行に配置したヒンジ部を有している。ヒンジ部には、水平方向に二枚のプレートを貫くピン孔が設けられている。
ロワリンク174は、ロワブラケット173のヒンジ部に取り付けられている。ロワリンク174は、基端部に設けられたピン孔とロワブラケット173のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、ロワリンク174は、先端部に設けられたフック17Fがヒッチメンバのロッドに掛けられることにより、該ロッドを中心として回動自在に連結されている。なお、耕耘作業機2は、そのロッドとヒッチメンバのスリットが嵌合して固定される。
リフトアーム175は、トランスミッション13の側部(正確には後述する作業機昇降装置18の側部:図9参照)に取り付けられている。リフトアーム175は、基端部に設けられたシャフト孔にリフティングシャフト811が嵌め込まれることにより、該リフティングシャフト811を中心として回動自在に支持されている。また、リフトアーム175は、先端部にロッドが嵌め込まれており、該ロッドにユニバーサルジョイント(図示せず)が取り付けられている。
リフトリンク176は、左側のリフトアーム175とロワリンク174に取り付けられている。リフトリンク176は、基端部に取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイントのピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、リフトリンク176は、先端部に取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク174のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
傾斜用アクチュエータ177は、右側のリフトアーム175とロワリンク174に取り付けられている。傾斜用アクチュエータ177は、シリンダケースに取り付けられたクレビスのピン孔とユニバーサルジョイントのピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。また、傾斜用アクチュエータ177は、ピストンロッドに取り付けられたクレビスのピン孔とロワリンク174のピン孔を重ね合わせた状態でピン(図示せず)が挿入されることにより、該ピンを中心として回動自在に連結されている。
昇降用アクチュエータ178は、トランスミッション13の上部に取り付けられている。昇降用アクチュエータ178は、トランスミッション13のアッパーカバーにシリンダケース181(図9参照)が形成されており、該トランスミッション13の一部として一体化している。また、昇降用アクチュエータ178は、ピストンロッドにピボットピンが取り付けられており、該ピボットピンがリフティングシャフト811に取り付けられたピボットアームに当接している。
このような構造により、傾斜用アクチュエータ177のピストンロッドが摺動して押し出されると(傾斜用アクチュエータ177が伸長すると)、傾斜用アクチュエータ177が取り付けられている右側のロワリンク174のみが下方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク174がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク174が押し下げられるので、耕耘作業機2が右下がりに傾くのである(図6(A)の矢印Rc参照)。従って、トラクタ1が左側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、耕耘作業機2が水平状態のまま維持されることとなる。
反対に、傾斜用アクチュエータ177のピストンロッドが摺動して引き込まれると(傾斜用アクチュエータ177が収縮すると)、傾斜用アクチュエータ177が取り付けられている右側のロワリンク174のみが上方へ回動することとなる。すると、左側のロワリンク174がそのまま維持されるのに対し、右側のロワリンク174が引き上げられるので、耕耘作業機2が右上がりに傾くのである(図6(B)の矢印Rd参照)。従って、トラクタ1が右側に傾いている状況でかかる動作を実現すれば、耕耘作業機2が水平状態のまま維持されることとなる。
加えて、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して押し出されると(昇降用アクチュエータ178が伸長すると)、リフトアーム175が上方へ回動することとなる。すると、リフトアーム175がリフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177を介して左右のロワリンク174を引き上げるので、耕耘作業機2の高さ位置が高くなるのである(図7(A)の矢印Re参照)。従って、耕耘作業機2が沈み込む状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
反対に、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して引き込まれると(昇降用アクチュエータ178が収縮すると)、リフトアーム175が下方へ回動することとなる。すると、リフトアーム175がリフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177を介して左右のロワリンク174を押し下げるので、耕耘作業機2の高さ位置が低くなるのである(図7(B)の矢印Rf参照)。従って、耕耘作業機2が浮き上がる状況でかかる動作を実現すれば、耕耘深さが一定状態のまま維持されることとなる。
ところで、昇降用アクチュエータ178は、ポジションレバー31とオートレバー32の操作によっても作動する。ポジションレバー31は、リンクユニット3を介して昇降用アクチュエータ178を作動させることにより、耕耘作業機2の高さ位置を設定できる。オートレバー32は、リンクユニット3を介して昇降用アクチュエータ178を作動させることにより、耕耘作業機2の耕耘深さDを設定できる。油圧回路には、かかる機能を実現可能とする構成が付与されている。
次に、トラクタ1を構成する作業機昇降装置18について説明する。作業機昇降装置18は、トランスミッション13の上部に設けられている(図2参照)。
図9は、第一実施形態に係る作業機昇降装置18を示している。図10は、作業機昇降装置18を構成するリンクユニット3を示している。また、図11及び図12は、リンクユニット3を構成する第一リンク機構4と第二リンク機構5を示している。更に、図13は、図11及び図12の矢印Tvから見た図であり、図14は、図11及び図12の矢印Fvから見た図である。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
作業機昇降装置18は、昇降用アクチュエータ178を含む。昇降用アクチュエータ178は、シリンダケース181と、シリンダヘッド182と、ピストン183と、で構成されている。また、作業機昇降装置18は、傾斜用バルブユニット184と、昇降用バルブユニット185と、を備えている。従って、作業機昇降装置18は、シリンダケース181と、シリンダヘッド182と、ピストン183と、傾斜用バルブユニット184と、昇降用バルブユニット185と、を備えている。
シリンダケース181は、作業機昇降装置18の主たる構造体である。シリンダケース181は、その前面にシリンダヘッド182の取付座面が形成されている。また、シリンダケース181は、その後面にトップブラケット171の取付座面が形成されている。更に、シリンダケース181は、その下面に昇降用バルブユニット185の取付座面が形成されている。なお、シリンダケース181は、その両側面にシャフト穴が設けられ、該シャフト穴にリフティングシャフト811が挿入されている。
シリンダヘッド182は、シリンダケース181の前面に固定される。シリンダヘッド182は、その前面にキャッププレートの取付座面が形成されている。また、シリンダヘッド182は、その後面にシリンダケース181の取付座面が形成されている。更に、シリンダヘッド182は、その右面に傾斜用バルブユニット184の取付座面が形成されている。なお、シリンダヘッド182は、その内部を貫通するシャフト穴が設けられ、該シャフト穴にリターンハンドル821のシャフトが挿入されている。
ピストン183は、シリンダケース181の内部に収容される。ピストン183は、その前面に作動油の圧力を受ける凹形面が形成されている。また、ピストン183は、その後面にピストンロッドを支持するための凹形面が形成されている。更に、ピストン183は、その周面に複数のオイルリングが嵌められている。なお、ピストン183は、シリンダケース181に嵌入されたシリンダスリーブに収容され、該シリンダスリーブに沿って摺動自在となっている。
傾斜用バルブユニット184は、シリンダヘッド182の右面に固定される。傾斜用バルブユニット184は、分流バルブを備えている。分流バルブは、ポペットの摺動によってポート孔を開閉し、作動油の流動方向を切り替える。また、傾斜用バルブユニット184は、方向切替バルブを備えている。方向切替バルブは、スプールの摺動によって連通するポート孔を変更し、作動油の流動方向を切り替える。なお、傾斜用バルブユニット184は、図示しない油路を介して傾斜用アクチュエータ177へ作動油を案内する。
昇降用バルブユニット185は、シリンダケース181の下面に固定される。昇降用バルブユニット185は、第一切替バルブを備えている。第一切替バルブは、スプールの摺動によって連通するポート孔を変更し、作動油の流動方向を切り替える。また、昇降用バルブユニット185は、第二切替バルブを備えている。第二切替バルブは、スプールの摺動によって連通するポート孔を変更し、作動油の流動方向を切り替える。なお、昇降用バルブユニット185は、図示しない油路を介して昇降用アクチュエータ178へ作動油を案内する。また、昇降用バルブユニット185は、スプリング851を備えており、後述するコントロールシャフト33を常に一方へ付勢している(図11及び図12の矢印F参照)。
更に、作業機昇降装置18は、リンクユニット3を備えている。リンクユニット3は、ポジションレバー31とオートレバー32を有している。また、リンクユニット3は、ポジションレバー31側のリンク機構である第一リンク機構4とオートレバー32側のリンク機構である第二リンク機構5を有している。
ポジションレバー31は、支軸Caを中心として回動自在に支持されている。ポジションレバー31は、プッシュプルワイヤ31wが接続されており、該プッシュプルワイヤ31wを介して第一リンク機構4を動かすことができる。なお、ポジションレバー31は、運転座席の右方に配置されている。そのため、オペレータは、ポジションレバー31を右手で掴んで操作することができる。オペレータは、耕耘作業を始める前にポジションレバー31を最も押し下げた状態(図10の矢印R側へ最も傾倒させた状態)にする必要がある。
オートレバー32は、支軸Cbを中心として回動自在に支持されている。オートレバー32は、プッシュプルワイヤ32wが接続されており、該プッシュプルワイヤ32wを介して第二リンク機構5を動かすことができる。なお、オートレバー32も、運転座席の右方に配置されている。そのため、オペレータは、オートレバー32を右手で掴んで操作することができる。オペレータは、耕耘作業を始める前にオートレバー32を任意の位置まで押し下げた状態(図10の矢印T側へ適宜に傾倒させた状態)にする必要がある。耕耘深さDは、オートレバー32の傾倒角度に応じて決定される。
第一リンク機構4は、ポジションレバー31の操作に応じて昇降用バルブユニット185を可動させる。つまり、第一リンク機構4は、ポジションレバー31の操作に応じて昇降用アクチュエータ178を作動させる。第一リンク機構4は、リンクアーム41と、アイドルアーム42と、右側インナーシャフト(「第一シャフト」に該当する)43と、フィードバックアーム44と、左側インナーシャフト45と、上側クロスリンク(「第一クロスリンク」に該当する)46と、で構成されている。
リンクアーム41は、支軸Ccを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、リンクアーム41は、スリーブを有しており、該スリーブに挿入された右側インナーシャフト43によって支持されている。そのため、リンクアーム41は、右側インナーシャフト43を中心に、該右側インナーシャフト43から独立して回動することとなる。なお、リンクアーム41は、ポジションレバー31が押し下げられた場合、プッシュプルワイヤ31wに押されて一方へ回動する(図15の矢印A参照)。また、リンクアーム41は、ポジションレバー31が引き上げられた場合、プッシュプルワイヤ31wに引かれて他方へ回動する(図16の矢印B参照)。加えて、リンクアーム41は、折り曲げられてクランク部41cが形成されている。従って、所定の角度範囲においては、クランク部41cにアイドルアーム42が当接した状態となる。
アイドルアーム42は、支軸Ccを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、アイドルアーム42は、取付孔が形成されており、該取付孔に嵌入された右側インナーシャフト43によって支持されている。そのため、アイドルアーム42は、右側インナーシャフト43を中心に、該右側インナーシャフト43と一体になった状態で回動することとなる。なお、アイドルアーム42は、リンクアーム41が一方へ回動した場合、スプリング851の付勢力によってリンクアーム41を追うように一方へ回動する(図15の矢印C参照)。また、アイドルアーム42は、リンクアーム41が他方へ回動した場合、リンクアーム41に押されて他方へ回動する(図16の矢印D参照)。加えて、アイドルアーム42は、その裏面にストッパプレート42sが溶接されている。従って、所定の角度範囲においては、ストッパプレート42sにカムプレート51のアジャスタボルト51Aが当接した状態となる。
右側インナーシャフト43は、支軸Ccを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、右側インナーシャフト43は、細い円柱状に形成されており、後述する右側アウターシャフト53に挿入された状態で支持されている。そのため、右側インナーシャフト43は、右側アウターシャフト53を軸受として回動することとなる。なお、右側インナーシャフト43は、アイドルアーム42が一方へ回動した場合、該アイドルアーム42とともに一方へ回動する(図15の矢印E参照)。また、右側インナーシャフト43は、アイドルアーム42が他方へ回動した場合、該アイドルアーム42とともに他方へ回動する(図16の矢印F参照)。加えて、右側インナーシャフト43は、その一端にリンクプレート43rが取り付けられている。リンクプレート43rには、ピン43pが取り付けられている。
フィードバックアーム44は、支軸Cdを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、フィードバックアーム44は、取付孔が形成されており、該取付孔に嵌入された左側インナーシャフト45によって支持されている。そのため、フィードバックアーム44は、左側インナーシャフト45を中心に、該左側インナーシャフト45と一体になった状態で回動することとなる。なお、フィードバックアーム44は、リフトアーム175が下方へ回動した場合、該リフトアーム175に押されて一方へ回動する(図15の矢印G参照)。また、フィードバックアーム44は、リフトアーム175が上方へ回動した場合、該リフトアーム175に引かれて他方へ回動する(図16の矢印H参照)。加えて、フィードバックアーム44は、その一端にステイプレート44sが取り付けられている。ステイプレート44sには、リフトアーム175に接続されたリンクロッド44rが取り付けられている。
左側インナーシャフト45は、支軸Cdを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、左側インナーシャフト45は、細い円柱状に形成されており、後述する左側アウターシャフト55に挿入された状態で支持されている。そのため、左側インナーシャフト45は、左側アウターシャフト55を軸受として回動することとなる。なお、左側インナーシャフト45は、フィードバックアーム44が一方へ回動した場合、該フィードバックアーム44とともに一方へ回動する(図15の矢印I参照)。また、左側インナーシャフト45は、フィードバックアーム44が他方へ回動した場合、該フィードバックアーム44とともに他方へ回動する(図16の矢印J参照)。加えて、左側インナーシャフト45は、その一端にリンクプレート45rが取り付けられている。リンクプレート45rには、ピン45pが取り付けられている。
上側クロスリンク46は、支軸Ceを中心に回動自在に支持されている。具体的に説明すると、上側クロスリンク46は、貫通孔が形成されており、該貫通孔に挿入されたリベットピン33rによって支持されている。そのため、上側クロスリンク46は、リベットピン33rを中心に回動することとなる。また、リベットピン33rは、コントロールシャフト33を上下方向に貫通した状態で取り付けられている。従って、上側クロスリンク46は、コントロールシャフト33から独立して回動することとなる。なお、上側クロスリンク46は、右側インナーシャフト43が一方へ回動した場合、スプリング851の付勢力によって右側折曲部46bがピン43pを追うように一方へ回動する(図15の矢印K参照)。このとき、コントロールシャフト33は、後方へ摺動する(図15の矢印M参照)。また、上側クロスリンク46は、右側インナーシャフト43が他方へ回動した場合、右側折曲部46bがピン43pに押されて他方へ回動する(図16の矢印L参照)。このとき、コントロールシャフト33は、前方へ摺動する(図16の矢印N参照)。更に、上側クロスリンク46は、左側インナーシャフト45が一方へ回動した場合、左側折曲部46bがピン45pに押されて一方へ回動する(図16の矢印K参照)。このとき、コントロールシャフト33は、前方へ摺動する(図16の矢印N参照)。また、上側クロスリンク46は、左側インナーシャフト46が他方へ回動した場合、スプリング851の付勢力によって左側折曲部46bがピン45pを追うように他方へ回動する(図15の矢印L参照)。このとき、コントロールシャフト33は、後方へ摺動する(図15の矢印M参照)。なお、昇降用バルブユニット185は、コントロールシャフト33の摺動位置に応じて可動する。換言すると、昇降用アクチュエータ178は、コントロールシャフト33の摺動位置に応じて作動する。
第二リンク機構5は、オートレバー32の操作に応じて昇降用バルブユニット185を可動させる。つまり、第二リンク機構5は、オートレバー32の操作に応じて昇降用アクチュエータ178を作動させる。第二リンク機構5は、カムプレート51と、カムフォロワ52と、右側アウターシャフト(「第二シャフト」に該当する)53と、フィードバックアーム54と、左側アウターシャフト55と、下側クロスリンク(「第二クロスリンク」に該当する)56と、で構成されている。
カムプレート51は、支軸Cfを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、カムプレート51は、スリーブを有しており、該スリーブに挿入されたリベットピン51rによって支持されている。そのため、カムプレート51は、リベットピン51rを中心に回動することとなる。なお、カムプレート51は、オートレバー32が押し下げられた場合、プッシュプルワイヤ32wに押されて一方へ回動する(図18の矢印A参照)。また、カムプレート51は、オートレバー32が引き上げられた場合、プッシュプルワイヤ32wに引かれて他方へ回動する(図19の矢印B参照)。加えて、カムプレート51は、その表面にステイが溶接され、アジャスタボルト51Aを支持している。従って、所定の角度範囲においては、アジャスタボルト51Aにアイドルアーム42のストッパプレート42sが当接した状態となる。
カムフォロワ52は、支軸Ccを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、カムフォロワ52は、スリーブを有しており、該スリーブに嵌入された右側アウターシャフト53によって支持されている。そのため、カムフォロワ52は、右側アウターシャフト53を中心に、該右側アウターシャフト53と一体になった状態で回動することとなる。なお、カムフォロワ52は、カムプレート51が一方へ回動した場合、該カムプレート51に案内されて一方へ回動する(図18の矢印C参照)。また、カムフォロワ52は、カムプレート51が他方へ回動した場合、該カムプレート51に案内されて他方へ回動する(図19の矢印D参照)。加えて、カムフォロワ52は、その一端にローラ52Rが取り付けられている。ローラ52Rは、カムプレート51のカムフェース51Cに当接している(図20参照)。
右側アウターシャフト53は、支軸Ccを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、右側アウターシャフト53は、円筒状に形成されており、前述した右側インナーシャフト43が挿入された状態で回動自在に支持されている。そのため、右側アウターシャフト53は、右側インナーシャフト43を支持した状態で回動することとなる。なお、右側アウターシャフト53は、カムフォロワ52が一方へ回動した場合、該カムフォロワ52とともに一方へ回動する(図18の矢印E参照)。また、右側アウターシャフト53は、カムフォロワ52が他方へ回動した場合、該カムフォロワ52とともに他方へ回動する(図19の矢印F参照)。加えて、右側アウターシャフト53は、その中途部にリンクプレート53rが溶接されている。リンクプレート53rには、ピン53pが取り付けられている。
フィードバックアーム54は、支軸Cdを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、フィードバックアーム54は、スリーブを有しており、該スリーブに嵌入された左側アウターシャフト55によって回動自在に支持されている。そのため、フィードバックアーム54は、左側アウターシャフト55を中心に、該左側アウターシャフト55と一体になった状態で回動することとなる。なお、フィードバックアーム54は、リヤカバー23が上方へ回動した場合、オートワイヤに引かれて一方へ回動する(図18の矢印G参照)。また、フィードバックアーム54は、リヤカバー23が下方へ回動した場合、オートワイヤに押されて他方へ回動する(図19の矢印H参照)。加えて、フィードバックアーム54は、リンクロッド54rが取り付けられている。リンクロッド54rには、オートワイヤに接続されるステイプレート54sが取り付けられている。
左側アウターシャフト55は、支軸Cdを中心として回動自在に支持されている。具体的に説明すると、左側アウターシャフト55は、円筒状に形成されており、前述した左側インナーシャフト45が挿入された状態で回動自在に支持されている。そのため、左側アウターシャフト55は、左側インナーシャフト45を支持した状態で回動することとなる。なお、左側アウターシャフト55は、フィードバックアーム54が一方へ回動した場合、該フィードバックアーム54とともに一方へ回動する(図18の矢印I参照)。また、左側アウターシャフト55は、フィードバックアーム54が他方へ回動した場合、該フィードバックアーム54とともに他方へ回動する(図19の矢印J参照)。加えて、左側アウターシャフト55は、その中途部にリンクプレート55rが溶接されている。リンクプレート55rには、ピン55pが取り付けられている。
下側クロスリンク56は、支軸Ceを中心に回動自在に支持されている。具体的に説明すると、下側クロスリンク56は、貫通孔が形成されており、該貫通孔に挿入されたリベットピン33rによって支持されている。そのため、下側クロスリンク56は、リベットピン33rを中心に回動することとなる。また、リベットピン33rは、コントロールシャフト33を上下方向に貫通した状態で取り付けられている。従って、下側クロスリンク56は、コントロールシャフト33から独立して回動することとなる。なお、下側クロスリンク56は、右側アウターシャフト53が一方へ回動した場合、スプリング851の付勢力によって右側折曲部56bがピン53pを追うように一方へ回動する(図18の矢印K参照)。このとき、コントロールシャフト33は、後方へ摺動する(図18の矢印M参照)。また、下側クロスリンク56は、右側アウターシャフト53が他方へ回動した場合、右側折曲部56bがピン53pに押されて他方へ回動する(図19の矢印L参照)。このとき、コントロールシャフト33は、前方へ摺動する(図19の矢印N参照)。更に、下側クロスリンク56は、左側アウターシャフト55が一方へ回動した場合、左側折曲部56bがピン55pに押されて一方へ回動する(図19の矢印K参照)。このとき、コントロールシャフト33は、前方へ摺動する(図19の矢印N参照)。また、下側クロスリンク56は、左側アウターシャフト56が他方へ回動した場合、スプリング851の付勢力によって左側折曲部56bがピン55pを追うように他方へ回動する(図18の矢印L参照)。このとき、コントロールシャフト33は、後方へ摺動する(図18の矢印M参照)。なお、昇降用バルブユニット185は、コントロールシャフト33の摺動位置に応じて可動する。換言すると、昇降用アクチュエータ178は、コントロールシャフト33の摺動位置に応じて作動する。
次に、ポジションレバー31の操作による一連の動作について説明する。
図15及び図16は、第一リンク機構4の動作態様を示している。なお、図17は、リンクアーム41とアイドルアーム42の動作を示している。
まず、ポジションレバー31を押し下げた場合(図10の矢印R側へ傾倒させた場合)について説明する。
ポジションレバー31を押し下げた場合、リンクアーム41は、プッシュプルワイヤ31wに押されて一方へ回動する(図15の矢印A参照)。アイドルアーム42は、スプリング851の付勢力によってリンクアーム41を追うように一方へ回動する(図15の矢印C参照)。すると、右側インナーシャフト43は、アイドルアーム42とともに一方へ回動し(図15の矢印E参照)、上側クロスリンク46は、スプリング851の付勢力によって右側折曲部46bがピン43pを追うように一方へ回動する(図15の矢印K参照)。こうして、コントロールシャフト33は、後方へ摺動することとなる(図15の矢印M参照)。なお、リンクアーム41とアイドルアーム42は、途中まで一体的に回動するが(図17(A)から(B)参照)、途中からリンクアーム41のみが回動する(図17(B)から(C)参照)。これは、アイドルアーム42のストッパプレート42sがアジャスタボルト51Aに当接したことによる。
このように、ポジションレバー31を押し下げた場合は、最終的にコントロールシャフト33が後方へ摺動する。コントロールシャフト33が後方へ摺動すると、昇降用バルブユニット185が可動し、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して引き込まれる(昇降用アクチュエータ178が収縮する)。すると、リフトアーム175が下方へ回動し、リフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177が左右のロワリンク174を押し下げるので、耕耘作業機2の高さ位置が低くなるのである(図7(B)の矢印Rf参照)。
次に、ポジションレバー31を引き上げた場合(図10の矢印S側へ起立させた場合)について説明する。
ポジションレバー31を引き上げた場合、リンクアーム41は、プッシュプルワイヤ31wに引かれて他方へ回動する(図16の矢印B参照)。アイドルアーム42は、リンクアーム41に押されて他方へ回動する(図16の矢印D参照)。すると、右側インナーシャフト43は、アイドルアーム42とともに他方へ回動し(図16の矢印F参照)、上側クロスリンク46は、右側折曲部46bがピン43pに押されて他方へ回動する(図16の矢印L参照)。こうして、コントロールシャフト33は、前方へ摺動することとなる(図16の矢印N参照)。なお、リンクアーム41は、途中まで単独で回動するが(図17(C)から(B)参照)、途中からアイドルアーム42と一体的に回動する(図17(B)から(A)参照)。これは、リンクアーム41のクランク部41cがアイドルアーム42に当接したことによる。
このように、ポジションレバー31を引き上げた場合は、最終的にコントロールシャフト33が前方へ摺動する。コントロールシャフト33が前方へ摺動すると、昇降用バルブユニット185が可動し、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して押し出される(昇降用アクチュエータ178が伸長する)。すると、リフトアーム175が上方へ回動し、リフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177が左右のロワリンク174を引き上げるので、耕耘作業機2の高さ位置が高くなるのである(図7(A)の矢印Re参照)。
次に、オートレバー32の操作による一連の動作について説明する。
図18及び図19は、第二リンク機構5の動作態様を示している。なお、図20は、カムプレート51とカムフォロワ52の動作を示している。図21は、カムプレート51とアイドルアーム42の動作を示している。そして、図22は、オートレバー32の傾倒角度αと耕耘深さDの関係を示している。
まず、オートレバー32を押し下げた場合(図10の矢印T側へ傾倒させた場合)について説明する。
オートレバー32を押し下げた場合、カムプレート51は、プッシュプルワイヤ32wに押されて一方へ回動する(図18の矢印A参照)。カムフォロワ52は、カムプレート51に案内されて一方へ回動する(図18の矢印C参照)。すると、右側アウターシャフト53は、カムフォロワ52とともに一方へ回動し(図18の矢印E参照)、下側クロスリンク56は、スプリング851の付勢力によって右側折曲部56bがピン53pを追うように一方へ回動する(図18の矢印K参照)。こうして、コントロールシャフト33は、後方へ摺動することとなる(図18の矢印M参照)。なお、カムプレート51の第一カム領域51Caにカムフォロワ52のローラ52Rが接する場合は、右側アウターシャフト53の回動角度が小さく(図20(A)から(B)参照)、第二カム領域51Cbにローラ52Rが接する場合は、右側アウターシャフト532の回動角度が大きくなる(図20(B)から(C)参照)。これは、第一カム領域51Caが支軸Ccを中心とする略周方向から徐々に略径方向に曲がる円弧形状となっており、第二カム領域51Cbが支軸Ccを中心とする略径方向から徐々に略周方向に曲がる円弧形状となっていることによる。従って、オートレバー32を傾倒させる操作に伴って耕耘深さDの変化量が徐々に大きくなる(図22の矢印Gu参照)。また、カムプレート51とアイドルアーム42は、途中まで一体的に回動するが(図21(A)から(B)参照)、途中からカムプレート51のみが回動する(図21(B)から(C)参照)。これは、アイドルアーム42がリンクアーム41のクランク部41cに当接したことによる。従って、オートレバー32が所定の傾倒角度になる前と後で耕耘深さDの変化に特異点が現れる(図22の点Sp参照)。
このように、オートレバー32を押し下げた場合は、最終的にコントロールシャフト33が後方へ摺動する。但し、カムプレート51とアイドルアーム42が一体的に回動している状況では、第二リンク機構5に第一リンク機構4が連携してコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。また、カムプレート51のみが回動している状況では、第二リンク機構5によってコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。更に、いずれの状況に関わらず、第二リンク機構5は、カムプレート51のカムプロフィールに基づいてコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。コントロールシャフト33が後方へ摺動すると、昇降用バルブユニット185が可動し、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して引き込まれる(昇降用アクチュエータ178が収縮する)。すると、リフトアーム175が下方へ回動し、リフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177が左右のロワリンク174を押し下げるので、耕耘作業機2の高さ位置が低くなるのである(図7(B)の矢印Rf参照)。
次に、オートレバー32を引き上げた場合(図10の矢印U側へ起立させた場合)について説明する。
オートレバー32を引き上げた場合、カムプレート51は、プッシュプルワイヤ32wに引かれて他方へ回動する(図19の矢印B参照)。カムフォロワ52は、カムプレート51に案内されて他方へ回動する(図19の矢印D参照)。すると、右側アウターシャフト53は、カムフォロワ52とともに他方へ回動し(図19の矢印F参照)、下側クロスリンク56は、右側折曲部56bがピン53pに押されて他方へ回動する(図19の矢印L参照)。こうして、コントロールシャフト33は、前方へ摺動することとなる(図19の矢印N参照)。なお、カムプレート51の第二カム領域51Cbにカムフォロワ52のローラ52Rが接する場合は、右側アウターシャフト53の回動角度が大きく(図20(C)から(B)参照)、第一カム領域51Caにローラ52Rが接する場合は、右側アウターシャフト53の回動角度が小さくなる(図20(B)から(A)参照)。これは、第二カム領域51Cbが支軸Ccを中心とする略周方向から徐々に略径方向に曲がる円弧形状となっており、第一カム領域51Caが支軸Ccを中心とする略形方向から徐々に略周方向に曲がる円弧形状となっていることによる。従って、オートレバー32を起立させる操作に伴って耕耘深さDの変化量が徐々に小さくなる(図22の矢印Gd参照)。また、カムプレート51は、途中まで単独で回動するが(図21(C)から(B)参照)、途中からアイドルアーム42と一体的に回動する(図21(B)から(A)参照)。これは、アジャスタボルト51Aがアイドルアーム42のストッパプレート42sに当接したことによる。従って、オートレバー32が所定の傾倒角度になる前と後で耕耘深さDの変化に特異点が現れる(図22の点Sp参照)。
このように、オートレバー32を引き上げた場合は、最終的にコントロールシャフト33が前方へ摺動する。但し、カムプレート51のみが回動している状況では、第二リンク機構5によってコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。また、カムプレート51とアイドルアーム42が一体的に回動している状況では、第二リンク機構5に第一リンク機構4が連携してコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。更に、いずれの状況に関わらず、第二リンク機構5は、カムプレート51のカムプロフィールに基づいてコントロールシャフト33を後方へ摺動させる。コントロールシャフト33が前方へ摺動すると、昇降用バルブユニット185が可動し、昇降用アクチュエータ178のピストンロッドが摺動して押し出される(昇降用アクチュエータ178が伸長する)。すると、リフトアーム175が上方へ回動し、リフトリンク176と傾斜用アクチュエータ177が左右のロワリンク174を引き上げるので、耕耘作業機2の高さ位置が高くなるのである(図7(A)の矢印Re参照)。
以下に、本トラクタ1の特徴点をまとめる。
第一の特徴点は、図22の領域Raにおける技術的思想である。
本トラクタ1は、オートレバー32によって回動するカムプレート51と、カムプレート51に接した状態で第二シャフト(右側アウターシャフト53)に取り付けられるカムフォロワ52と、を具備する。そして、オートレバー32を操作すると、カムプレート51にカムフォロワ52が案内されて第二シャフト(右側アウターシャフト53)が連動し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)によってコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)を構成するカムプレート51のカムプロフィールに基づいて、オートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が決定される。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)を構成するカムプレート51のカムプロフィールに基づいて、オートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が決定される。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第二の特徴点は、図22の領域Rbでオートレバー32を押し下げた場合の技術的思想である。
本トラクタ1は、第一シャフト(右側インナーシャフト43)に取り付けられるアイドルアーム42を具備している。そして、オートレバー32を一方へ操作すると、カムプレート51にアイドルアーム42が案内されて第一シャフト(右側インナーシャフト43)が連動し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)によってコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)にポジションレバー31側のリンク機構(第一リンク機構4)が連携して、オートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が決定される。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)にポジションレバー31側のリンク機構(第一リンク機構4)が連携して、オートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が決定される。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第三の特徴点は、図22の領域Rcでオートレバー32を押し下げた場合の技術的思想である。
本トラクタ1は、オートレバー32を更に一方へ操作すると、カムプレート51がアイドルアーム42から離間し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみによってコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)によって、オートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が決定される。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)によって、オートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が決定される。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第四の特徴点は、図22の領域Rcでオートレバー32を引き上げた場合の技術的思想である。
本トラクタ1は、第一シャフト(右側インナーシャフト43)に取り付けられるアイドルアーム42を具備している。そして、オートレバー32を他方へ操作すると、カムプレート51がアイドルアーム42に近接し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみによってコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)によって、オートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が決定される。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)によって、オートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が決定される。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第五の特徴点は、図22の領域Rbでオートレバー32を引き上げた場合の技術的思想である。
本トラクタ1は、オートレバー32を更に他方へ操作すると、カムプレート51にアイドルアーム42が押されて第一シャフト(右側インナーシャフト43)が連動し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)がコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)にポジションレバー31側のリンク機構(第一リンク機構4)が連携して、オートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が決定される。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32側のリンク機構(第二リンク機構5)にポジションレバー31側のリンク機構(第一リンク機構4)が連携して、オートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が決定される。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第六の特徴点は、図22の領域Raにおける技術的思想である。
本トラクタ1は、カムプレート51に第一カム領域51Caと第二カム領域51Cbを設けている。そして、第一カム領域51Caにカムフォロワ52が接する場合、オートレバー32を操作すると、カムプレート51にカムフォロワ52が案内されて第二シャフト(右側アウターシャフト53)が小さく連動し、第二カム領域51Cbにカムフォロワ52が接する場合、オートレバー32を操作すると、カムプレート51にカムフォロワ52が案内されて第二シャフト(右側アウターシャフト53)が大きく連動し、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみ若しくは第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)によってコントロールシャフト33が摺動する。これにより、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が小さく、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32の操作量に対する油圧アクチュエータ(昇降用アクチュエータ178)の作動量が大きくなる。つまり、本トラクタ1は、オートレバー32の傾倒角度が小さい領域ではオートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が小さく、オートレバー32の傾倒角度が大きい領域ではオートレバー32の操作量に対する耕耘深さDの変位量が大きくなる。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
第七の特徴点は、図22の領域Rbと領域Rcの境界を移動させる技術的思想である。
本トラクタ1は、カムプレート51とアイドルアーム52の接点にアジャスタボルト51Aを設けている。そして、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみによってコントロールシャフト33が摺動する態様と、第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)によってコントロールシャフト33が摺動する態様と、の切替時期を調節自在としている。これにより、本トラクタ1は、アジャスタボルト51Aの長さを短くすると第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみによってコントロールシャフト33が摺動する態様が支配的となり、アジャスタボルトの長さを長くすると第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)によってコントロールシャフト33が摺動する態様が支配的となる。つまり、本トラクタ1は、アジャスタボルト51Aの長さを短くすると第二クロスリンク(下側クロスリンク56)のみによってコントロールシャフト33が摺動する態様の適用範囲が広くなり、アジャスタボルト51Aの長さを長くすると第二クロスリンク(下側クロスリンク56)に加えて第一クロスリンク(上側クロスリンク46)によってコントロールシャフト33が摺動する態様の適用範囲が広くなる。従って、本トラクタ1は、適宜に耕耘深さDを制御できる。
次に、第二実施形態に係る作業機昇降装置18について説明する。
図23は、第二実施形態に係る作業機昇降装置18を示している。図24は、作業機昇降装置18を構成するリンクユニット3を示している。また、図25及び図26は、リンクユニット3を構成する第一リンク機構4と第二リンク機構5を示している。図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
本実施形態に係る作業機昇降装置18は、第一実施形態に係る作業機昇降装置18と構造を異にする。しかしながら、オートレバー32によって回動するカムプレート51と、カムプレート51に接した状態で第二シャフト(右側アウターシャフト53)に取り付けられるカムフォロワ52と、を具備している。また、第一シャフト(右側インナーシャフト43)に取り付けられるアイドルアーム42を具備している。そして、本実施形態に係る作業機昇降装置18は、第一実施形態に係る作業機昇降装置18と同様の効果を奏するようにしているのである。