JP2017078505A - ボールねじ支持装置における廃油回収装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボールねじ支持装置側に流れ込んだ廃油を作業者によらないでも処理できるようにしたボールねじ支持装置における廃油回収装置を提供する。
【解決手段】 廃油回収装置15は、仕切り32と、ピストン31とを備えている。仕切り32は、ボールねじ支持装置5が支持されているベッド2との間に廃油溜まり33を形成するとともに、ボールねじ支持装置5との間にシリンダ室34を形成している。ピストン31は、シリンダ室34内に上下移動可能に配されて、振動抑制用支え部材14に結合されている。ピストン31が上下移動することによって、廃油を外部に排出する。
【選択図】 図6

Description

この発明は、ボールねじ支持装置における廃油回収装置に関し、さらに詳しくは、ベッド上に設けられたテーブルをボールねじの回転により直線移動させるテーブル移動装置で使用されて、ボールねじの振動を抑制するボールねじ支持装置に適用される廃油回収装置に関する。
工作機械において、ワーク取付け用のパレットなどの加工ユニットが載置されたテーブルをベッド上で直線移動させるための移動装置として、モータに連結されたボールねじが広く使用されている。このボールねじを回転させるにあたっては、安全上の観点から、最大の回転数が制限されており、この回転数の制限値を引き上げるために、ボールねじ支持装置によって高速で回転するボールねじの所定位置を回転可能に支持し、これによってボールねじの支持位置を増加させることで、ボールねじの振動を抑制することが行われている。
ボールねじは、潤滑油によって潤滑されており、ボールねじ支持装置は、ボールねじの下側に位置するように設けられていることから、ボールねじの廃油がボールねじ支持装置側に流れ込むことがあり、この場合には、廃油の回収が必要となる。
なお、工作機械の廃油回収機構としては、特許文献1がある。
特許第4661094号公報
従来のボールねじ支持装置では、流れ込んだ廃油は、作業者が汲み取るしかなく、作業性が低下するという問題があった。
この発明の目的は、ボールねじ支持装置側に流れ込んだ廃油を作業者によらないでも処理できるようにしたボールねじ支持装置における廃油回収装置を提供することにある。
この発明によるボールねじ支持装置における廃油回収装置は、上下移動可能とされた振動抑制用支え部材によってボールねじの所要位置を下側から支持するボールねじ支持装置に設けられる廃油回収装置であって、ボールねじ支持装置が支持されているベッドとの間に廃油溜まりを形成するとともに、ボールねじ支持装置との間にシリンダ室を形成する仕切りと、シリンダ室内に上下移動可能に配されて、振動抑制用支え部材と結合されたピストンとを備えており、振動抑制用支え部材と一体で上下移動するピストンによって、廃油を外部に排出することを特徴とするものである。
この発明のボールねじ支持装置における廃油回収装置によると、ボールねじの潤滑に使用された後の廃油がボールねじ支持装置側に流れ込むことに対し、ボールねじ支持装置にある振動抑制用支え部材をピストンを上下させる駆動手段として使用することにより、別途のピストン駆動手段を追加することなく、また、作業者の手間を増加させることなく、廃油の回収を行うことができる。
仕切りの下端部に、廃油溜まりからシリンダ室の下端部に通じる廃油流入通路が設けられ、ピストンに、これを貫通する廃油流出通路が設けられ、仕切り上部に、これを貫通する廃油排出通路が設けられ、廃油排出通路に、廃油を外部に排出する廃油排出管が設けられており、ピストンに設けられた廃油流出通路に、ピストンが下方位置にあるときに廃油流出通路を開放し、ピストンが上方位置にあるときに廃油流出通路の上端開口を閉鎖する弁体が設けられていることがある。
ピストンが下方位置にあるときに通路が開放されていることで、廃油は、廃油溜まり、仕切りの下端部に設けられた廃油流入通路、シリンダ室の下端部およびピストンを貫通する廃油流出通路を経て、ピストンの上側に流入する。この後、ピストンが上方位置に移動する際には、通路が閉鎖され、これにより、ピストンの上側にある廃油は、シリンダ室の上部、仕切り上部に設けられた廃油排出通路、および廃油排出通路に設けられた廃油排出管を経由してベッドの外部に排出される。
弁体は、下向きの付勢力によって通路を閉鎖するようになされており、ピストンの下降に伴うシリンダ内のピストン下側と上側との圧力差によって開放されるようになされていることが好ましい。下向きの付勢力としては、弁体の自重を利用してもよく、また、弁体を下向きに付勢する適宜なバネを使用することで得るようにしてもよい。
ピストンの下降時には、ピストンの下側の圧力が増加して、ピストンの上側が負圧になり、自重またはバネの付勢力によって通路を閉鎖する弁体は、この圧力差によって開放される。この後、ピストンが最下方位置に達すると、廃油は、負圧によって汲み上げられて、ピストン上側に至る。したがって、簡単な弁構造でピストンに設けられた廃油流出通路を開閉することができる。
この発明のボールねじ支持装置における廃油回収装置によれば、上記のように、別途のピストン駆動手段を追加することなく、また、作業者の手間を増加させることなく、廃油の回収を行うことができる。
図1は、この発明の1実施形態を示すボールねじ支持装置における廃油回収装置の側面図で、ボールねじ支持装置が下方位置にある状態の図である。 図2は、図1の垂直断面図である。 図3は、この発明の1実施形態を示すボールねじ支持装置における廃油回収装置の側面図で、ボールねじ支持装置が上方位置にある状態の図である。 図4は、図3の垂直断面図である。 図5は、図2の要部拡大図である。 図6は、図4の要部拡大図である。
以下、図1から図6までを参照して、この発明のボールねじ支持装置における廃油回収装置を工作機械のテーブル移動装置に適用した1実施形態について説明する。以下の説明において、図1の右を前、同左を後というものとする。また、図2の左右を左右というものとする。
工作機械のテーブル移動装置(1)は、ベッド(2)上でワーク取付け用のパレットなどの加工ユニットが載置された移動テーブル(3)をボールねじ(4)を使用して直線移動させるもので、ボールねじ(4)の中央部をボールねじ(4)の下側から支持するボールねじ支持装置(5)を備えている。
ボールねじ(4)は、前後方向にのびるように配置されて、ベッド(2)に設けられた前後の軸受装置(6)(7)によってその前後端部が回転可能に支持されている。ボールねじ(4)の前端部は、ベッド(2)の前端部に配置されたモータ(8)と継手(9)を介して結合されている。
ボールねじ(4)には、ナット(10)が相対回転可能にねじ合わされている。移動テーブル(3)は、ボールねじ(4)の上方に位置させられて、テーブル支持部材(11)を介してナット(10)に固定されている。
モータ(8)によってボールねじ(4)が回転させられると、ナット(10)が前後方向に直線移動し、これに伴い、ナット(10)に固定されている移動テーブル(3)も前後方向に直線移動する。
ボールねじ支持装置(5)は、図2および図4に詳しく示すように、圧縮コイルばね(付勢部材)(12)(13)で上方に付勢されている上下移動可能な振動抑制用支え部材(14)と、廃油回収装置(15)とを備えている。
ベッド(2)は、ボールねじ支持装置(5)を支持するための底壁(2a)および側壁(2b)を備えている。ボールねじ支持装置(5)は、底壁(2a)に設けられた貫通孔内に挿入されており、底壁(2a)に固定されてボールねじ支持装置(5)を左右両側から挟む保持壁(18)によって支持されている。
振動抑制用支え部材(14)は、ボールねじ(4)と平行な軸回りに回転可能とされた1対のローラガイド(16)と、1対のローラガイド(16)を回転可能に支持するローラガイド支え(17)とを備えている。振動抑制用支え部材(14)は、移動テーブル(3)の移動に伴って上下移動し、図1および図2に示すように、移動テーブル(3)がボールねじ(4)の中央部にあるときには、後述するカム板(24)を介してボールねじ(4)の中央部を支持するとともに、図3および図4に示すように、移動テーブル(3)がボールねじ(4)の前後端部近くにあるときには、ボールねじ(4)の中央部を直接支持する。
ボールねじ支持装置(5)は、固定側の部材として、保持壁(18)に固定された有底円筒状の固定シリンダ(19)と、固定シリンダ(19)の内側に配されて、底面が固定シリンダ(19)の底壁(19a)に固定された円柱状の固定ガイド(20)とを備えている。
ボールねじ支持装置(5)は、可動側の部材として、固定シリンダ(19)の内周と固定ガイド(20)の外周との間に上下移動可能に嵌められている円筒状の可動シリンダ(21)を備えている。
固定ガイド(20)の外周と可動シリンダ(21)との間には、圧縮コイルばね(12)(13)の配置空間が設けられており、ここに、圧縮コイルばね(12)(13)として、固定ガイド(20)の外周に嵌められた小径の圧縮コイルばね(12)と、小径の圧縮コイルばね(12)の外周に嵌められた大径の圧縮コイルばね(13)とが配置されている。
小径の圧縮コイルばね(12)は、下面が固定シリンダ(19)の底壁(19a)で受け止められ、上面がローラガイド支え(17)の下面に固定された小径の環状バネ受け(22)の下面で受け止められている。大径の圧縮コイルばね(13)は、下面が固定シリンダ(19)の底壁(19a)で受け止められ、上面がローラガイド支え(17)の下面に固定された大径の環状バネ受け(23)の下面で受け止められている。
大径の環状バネ受け(23)は、可動シリンダ(21)の頂部に固定されており、これにより、可動シリンダ(21)、ローラガイド支え(17)、小径の環状バネ受け(22)および大径の環状バネ受け(23)は、一体で上下移動するようになされている。
ナット(10)の下面には、振動抑制用支え部材(14)の上面位置を規定する左右1対のカム板(24)が固定されている。カム板(24)の下面には、カム面(25)として、平坦面(25a)と、平坦面(25a)の前後両側から徐々に上方に移行していく前後傾斜面(25b)(25c)とが設けられている。
ボールねじ支持装置(5)の振動抑制用支え部材(14)は、圧縮コイルばね(12)(13)で上方に付勢されていることで、カム板(24)がボールねじ(4)の中央部近傍にあるときには、カム面(25)に下側から当接して、ボールねじ(4)の中央部をカム板(24)を介して支持し、平坦面(25a)に当接している状態を下方位置とし、傾斜面(25b)(25c)に当接することで上方に移動する。そして、カム板(24)がボールねじ(4)の前後端部近傍にあるときには、振動抑制用支え部材(14)は、カム面(25)(平坦面(25a)および傾斜面(25b)(25c))から外れ、圧縮コイルばね(12)(13)で上方に付勢されていることによって、ボールねじ(4)の中央部を直接支持する上方位置へと移動する。
こうして、ボールねじ(4)の中央部がボールねじ支持装置(5)によって支持されていることで、ボールねじ(4)が高速で回転する時であっても、その振動を抑えることができる。また、ボールねじ(4)に回転可能な1対のローラガイド(16)が接触することで、回転方向の摩擦が低減される。
廃油回収装置(15)は、ベッド(2)の底壁(2a)に溜まった廃油をピストン(31)を利用して回収するためのもので、ベッド(2)の周壁(2b)と固定シリンダ(19)を保持している保持壁(18)との間において、ベッド(2)の底壁(2a)に固定された仕切り(32)を有している。
仕切り(32)は、ベッド(2)の底壁(2a)および周壁(2b)との間に廃油溜まり(33)を形成するとともに、廃油溜まり(33)の内側において、保持壁(18)、すなわち、ボールねじ支持装置(5)との間にシリンダ室(34)を形成している。なお、仕切り(32)は、廃油溜まり(33)およびシリンダ室(34)が適正な形状として得られるように、ベッド(2)の底壁(2a)および周壁(2b)の形状、保持壁(18)またはボールねじ支持装置(5)の外側の形状に応じて、適宜な形状とされる。
ピストン(31)は、図5および図6に示すように、シリンダ室(34)内に摺動可能に収められたピストン本体(31a)と、ピストン本体(31a)の上面中央部に一体に設けられて上方にのびるピストンロッド(31b)と、ピストンロッド(31b)の上端部に設けられてローラガイド支え(15)の左端部に固定されているフランジ部(31c)とからなる。
仕切り(32)の上端部と保持壁(18)の上端部との間に形成された開口は、ピストンロッド(31a)を挿通させる貫通孔を備えた頂壁(35)によって閉鎖されている。
仕切り(32)の下端部には、これを左右方向に貫通する廃油流入通路(41)が設けられている。
ピストン本体(31a)には、これを上下方向に貫通する廃油流出通路(42)が設けられている。廃油流出通路(42)の上端開口には、廃油流出通路(42)を開閉する弁体(36)が設けられている。弁体(36)は、廃油流出通路(42)の縁部に支持された一側を軸として揺動可能とされた板状のもので、下向きの付勢力(自重またはバネの付勢力)を受けて、通常は、廃油流出通路(42)を閉鎖している。
仕切り(32)の上端部近くには、これを左右方向に貫通する廃油排出通路(43)が設けられており、廃油排出通路(43)の左端開口の周縁部には、廃油をベッド(2)外に取り出すための廃油排出管(37)が接続されている。
図6は、振動抑制用支え部材(14)が上方位置に向けて上昇している状態を示しており、この状態では、シリンダ室(34)内において、ピストン(31)の上側の圧力が増加して、ピストン(31)の下側が負圧になる。
したがって、下向きの付勢力によって廃油流出通路(42)を閉鎖している弁体(36)は、さらなる下向きの力を受け、閉鎖状態を維持する。そして、ピストン(31)が上方位置に達することで、廃油は、廃油排出通路(43)を通ってシリンダ室(34)外に押し出され、廃油排出管(37)を経てベッド(2)の外部に排出される。
また、ピストン(31)の下側が負圧になっていることで、廃油溜まり(33)にある廃油は、仕切り(32)の下端部に設けられた廃油流入通路(41)を通って、シリンダ室(34)内の下端部に流入する。
この後、図5に示すように、振動抑制用支え部材(14)が下方位置に向けて下降すると、シリンダ室(34)内においては、ピストン(31)の下側の圧力が増加して、ピストン(31)の上側が負圧になる。したがって、下向きの付勢力によって廃油流出通路(42)を閉鎖している弁体(36)は、この圧力差によって下向きの付勢力を上回る上向きの力を受け、廃油流出通路(42)が開放される。
廃油流出通路(42)が開放されることで、シリンダ室(34)内の下端部にある廃油は、ピストン(31)を貫通する廃油流出通路(42)を介して汲み上げられ、ピストン(31)の上側に流入する。
この後、ピストン(31)が上方位置に移動する際には、図6に示す状態となり、こうして、下向きの付勢力によって廃油流出通路(42)を閉鎖している弁体(36)を使用する簡単な弁構造を使用し、図5の状態と図6の状態とが繰り返されることで、廃油溜まり(33)にある廃油は、振動抑制用支え部材(14)の上下移動に伴って、ベッド(2)の外部に排出される。
なお、上記の廃油回収装置(15)は、テーブル移動装置(1)およびそのボールねじ支持装置(5)の形状に合わせて適宜変更することで、種々の形状のボールねじ支持装置に適用することができる。
(2):ベッド
(4):ボールねじ
(5):ボールねじ支持装置
(14):振動抑制用支え部材
(15):廃油回収装置
(31):ピストン
(32):仕切り
(33):廃油溜まり
(34):シリンダ室
(36):弁体
(37):廃油排出管
(41):廃油流入通路
(42):廃油流出通路
(43):廃油排出通路

Claims (3)

  1. 上下移動可能とされた振動抑制用支え部材によってボールねじの所要位置を下側から支持するボールねじ支持装置に設けられる廃油回収装置であって、
    ボールねじ支持装置が支持されているベッドとの間に廃油溜まりを形成するとともに、ボールねじ支持装置との間にシリンダ室を形成する仕切りと、
    シリンダ室内に上下移動可能に配されて、振動抑制用支え部材と結合されたピストンとを備えており、
    振動抑制用支え部材と一体で上下移動するピストンによって、廃油を外部に排出することを特徴とするボールねじ支持装置における廃油回収装置。
  2. 仕切りの下端部に、廃油溜まりからシリンダ室の下端部に通じる廃油流入通路が設けられ、ピストンに、これを貫通する廃油流出通路が設けられ、仕切り上部に、これを貫通する廃油排出通路が設けられ、廃油排出通路に、廃油を外部に排出する廃油排出管が設けられており、ピストンに設けられた廃油流出通路に、ピストンが下方位置にあるときに廃油流出通路を開放し、ピストンが上方位置にあるときに廃油流出通路の上端開口を閉鎖する弁体が設けられていることを特徴とする請求項1のボールねじ支持装置における廃油回収装置。
  3. 弁体は、下向きの付勢力によって通路を閉鎖するようになされており、ピストンの下降に伴うシリンダ内のピストン下側と上側との圧力差によって開放されるようになされている請求項2のボールねじ支持装置における廃油回収装置。
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