JP2017078143A - 蓄熱媒体、蓄熱方法、蓄熱装置及び気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法 - Google Patents

蓄熱媒体、蓄熱方法、蓄熱装置及び気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蓄熱容量が高く、空調目的に適した利用温度で用いることのできる蓄熱媒体、蓄熱方法及び蓄熱装置、並びに気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法を提供する。【解決手段】蓄熱媒体は、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、蓄熱媒体、蓄熱方法、蓄熱装置及び気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法に関する。
近年、蓄熱効果の高い蓄熱媒体を用いた空調システムが開発され、徐々に普及が進みつつある。
高い蓄熱容量を有する既存の蓄熱媒体としては、パラフィン及び塩化カルシウム水和物(蓄熱容量=>250〜150kJ/kg)(http://www.sumikapla.co.jp/yukadanbo/ideabox/idea_handbook0202.html)、氷スラリー蓄熱媒体(蓄熱容量=333kJ/kg)(非特許文献1)、ガスハイドレートスラリー(二酸化炭素ハイドレート等)(蓄熱容量=400kJ/kg)(非特許文献2)などが例示される。
また、テトラブチルアンモニウムブロマイド(Tetrabutylammonium Bromide、CAS:1643−19−2)(以下、「TBAB」と称する)は第四級アンモニウム塩の一つで、水に溶解させてその水溶液を冷却すると、水分子とTBABとが水素結合で結びついて、水和物固体結晶が生成される。その固体結晶は、準包接化合物と呼ばれ、大気圧下で結晶化する。このTBAB準包接化合物(以下、「TBAB水和物」と称する)は、主に水和数26又は38のいずれかの水和物を形成することが知られている。
TBAB水和物は、0〜12℃の温度範囲で分解することが知られている(非特許文献3)。そのため、TBAB水和物は、広い融点範囲での潜熱を利用して、熱媒体として用いられてきた。また、TBAB水和物は、高い流動性を有する(容易にスラリー化する)点でも、蓄熱媒体として着目されてきた(非特許文献4、非特許文献5)。
これまでの研究から、TBAB水和物は、ガスによって加圧された条件下において、ガス分子を包接することが知られている(非特許文献5)。また、大気圧雰囲気、TBAB濃度18wt%未満のTBAB水溶液では、水和数38のTBAB水和物が生成し、TBAB濃度18wt%以上では、水和数26のTBAB水和物が生成することが知られている(非特許文献3)。一方、ガスによる加圧状態では、TBAB濃度18wt%以上のTBAB水溶液であっても、水和数26ではなく水和数38のガスを包接したTBAB水和物が生成することが示されている(非特許文献6)。また、ガス分子を包接した水和数38のTBAB水和物の分解潜熱は氷よりも小さく、例えば、二酸化炭素を包接した水和数38のTBAB水和物の分解潜熱は300kJ/kg以下であることが知られている(非特許文献7)。
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しかしながら、パラフィン及び塩化カルシウム水和物等は、流動性が低い上に居住空間の空調目的には利用温度が高すぎる(28℃以上)という問題点を有していた。また、氷スラリーは、利用温度が0℃前後であり、居住空間の空調目的には温度範囲が狭く、また利用温度が低すぎるという問題点を有していた。また、従来のガスハイドレートスラリー(二酸化炭素ハイドレート等)は、10℃前後の利用温度では高圧条件(通常3〜10MPa以上)を要し、法令上で高圧ガス扱いとなるため、居住空間の空調目的としては設備が大掛かりとなり、設備設置コスト、運転コスト、維持点検コスト等が高くなるという問題点を有していた。また、従来のTBAB水和物は、居住空間の空調目的には、利用温度が低く(0〜12℃)、かつ蓄熱容量も低い(氷スラリーの3分の2程度)という問題点を有していた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、蓄熱容量が高く、空調目的に適した利用温度で用いることのできる蓄熱媒体、蓄熱方法、蓄熱装置及び気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る蓄熱媒体は、
気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を含む。
例えば、前記気体分子は、二酸化炭素分子又は二酸化炭素よりも分子径が小さい分子である。
例えば、前記二酸化炭素よりも分子径が小さい分子は、アルゴン、クリプトン、窒素、メタン及びキセノンからなる群より選択される。
例えば、蓄熱容量は、360kJ/kg以上である。
例えば、蓄熱媒体は、0.1MPa以上1.2MPa以下の圧力範囲で、潜熱を伴う相変化を生じる。
例えば、利用温度は、12℃以上16℃以下である。
例えば、蓄熱媒体は、水和物スラリーである。
本発明の第2の観点に係る蓄熱方法は、
本発明の第1の観点に係る蓄熱媒体を用いる。
本発明の第3の観点に係る蓄熱装置は、
テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を製造する製造部と、
前記製造部で製造された気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を水和物スラリーである蓄熱媒体に調製するスラリー調製部と、
圧力制御機構を備え、前記スラリー調製部で調製された蓄熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う循環部と、
を備え、
前記圧力制御機構によって前記循環部の圧力を調節することで、利用温度を制御する。
本発明の第4の観点に係る蓄熱装置は、
テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を製造する製造部と、
圧力制御機構を備え、前記製造部で製造された気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を収容し、該気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物によって循環熱媒体を冷却する冷却部と、
前記冷却部で冷却された循環熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う循環部と、
を備え、
前記圧力制御機構によって前記冷却部の圧力を調節することで、利用温度を制御する。
本発明の第5の観点に係る気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法は、
テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌する。
本発明によれば、蓄熱容量が高く、空調目的に適した利用温度で用いることのできる蓄熱媒体、蓄熱方法、蓄熱装置及び気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法を提供することができる。
二酸化炭素分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を蓄熱媒体として用いた場合の圧力と温度との関係を示す図である。 (a)は第一の実施形態に係る蓄熱装置を説明する図であり、(b)は循環部を説明する図である。 (a)は第二の実施形態に係る蓄熱装置を説明する図であり、(b)は冷却部及び循環部を説明する図である。 (a)は、二酸化炭素分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物のラマンスペクトルを示す図であり、(b)は、気体分子を包接していない水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物のラマンスペクトルを示す図であり、(c)は、キセノンを包接させた水和数38のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物のラマンスペクトルを示す図であり、(d)は、気体分子を包接していない水和数38のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物のラマンスペクトルを示す図である。 二酸化炭素分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の利用温度と必要圧力との関係を表す図である。
まず、本実施形態による蓄熱媒体について詳細に説明する。
本実施形態による蓄熱媒体は、冷却しようとする空間又は物体(冷却対象物)と熱交換を行うことで、空調冷媒として用いることができる。
本実施形態による蓄熱媒体は、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)水和物を含む。本明細書において、「水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物」を「TBAB・26HO」と表し、「気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物」を「TBAB・26HO−gas」と表す場合がある。TBAB・26HOは、TBABと水分子とが水素結合して、水和数26で水和物を形成しているものである。
TBAB・26HO−gasは、TBAB・26HOに気体分子が包接されているものであれば特に制限されずに包含し、結晶構造は特に限定されない。TBAB・26HO−gasは、1モルのTBAB・26HOに対して、例えば、1モル以上の気体分子を包接したものである。
TBAB・26HOが包接する気体分子は、二酸化炭素分子又は二酸化炭素よりも分子径が小さい分子である。二酸化炭素よりも分子径が小さい分子として、例えば、アルゴン、クリプトン、窒素、メタン及びキセノン等が挙げられる。本明細書において、例えば、二酸化炭素分子を包接させたTBAB・26HOを「TBAB・26HO−CO」と称する場合がある。
本実施形態による蓄熱媒体は、TBAB・26HO−gasのみを含んでいてもよく、さらに “他の物質”を含んでいてもよい。“他の物質”として、例えば、二酸化炭素ガスを包接させた水和数38のTBAB水和物(TBAB・38HO−CO)(非特許文献7)、TBAB水溶液(例えば、TBABを18〜40wt%含有する)、気体分子を包接させていない水和数26のTBAB水和物(TBAB・26HO)、気体分子を包接させていない水和数38のTBAB水和物(TBAB・38HO)等を挙げることができる。
本実施形態による蓄熱媒体の蓄熱容量は、十分な蓄熱能力を担保する観点から、例えば、360kJ/kg以上であるのが好ましい。例えば、TBAB・26HO−CO単体の蓄熱容量は、約870kJ/kgである(実施例より)。前述の通り、他の物質と混合する場合、十分な蓄熱容量を得る観点から、蓄熱媒体の全重量に対してTBAB・26HO−gasが20wt%以上含まれているのが好ましい。
本実施形態による蓄熱媒体は、水和物スラリーであってもよい。本明細書において「水和物スラリー」とは、液体中にTBAB・26HO−gasが分散又は懸濁した状態にある物質をいう。例えば、TBAB・26HO−gasとTBAB水溶液(例えば、TBABを18〜40wt%含有する)又は水とを混合することで、水和物スラリーに調製することができる。混合比に関しては、例えば、TBAB・26HO−COとTBAB水溶液(TBAB40wt%)とを重量比0.4:0.6で混合することで、水和物スラリーに調製可能である。本実施形態に係る水和物スラリーは、利用温度12〜16℃において良好な流動性を保つことができる。
本実施形態による蓄熱媒体は、例えば、0.1MPa以上1.2MPa以下の圧力範囲で、潜熱を伴う相変化を生じる。また、本実施形態による蓄熱媒体は、例えば、12℃以上16℃以下の温度範囲で、潜熱を伴う相変化を生じる。
図1を用いて、TBAB・26HO−COを蓄熱媒体として用いた場合の潜熱を伴う相変化について説明する。
上記の蓄熱媒体を温度13.5℃で利用する場合、圧力を0.5MPaに制御して、冷却しようとする空間又は物体(冷却対象物)と蓄熱媒体との間で熱交換を行わせる。
熱交換を行う前に温度TのA点(図1)の状態である蓄熱媒体が、A点よりも温度の高いT℃の冷却対象物からの熱交換によって、蓄熱媒体の温度が上昇し、温度T℃のB点(図1)の状態まで温度上昇しようとする。
A点からB点への過程において、蓄熱媒体の圧力0.5MPaにおける利用温度(13.5℃、図1中ではT℃)を越えると、蓄熱媒体が分解し始める。蓄熱媒体が分解している間、蓄熱媒体はC点の状態を保とうとして、TBAB・26HO−CO単体では約870kJ/kg、TBAB・26HO−COとTBAB水溶液(TBAB40wt%)とを重量比0.4:0.6で混合した状態では約360kJ/kgの熱量を、熱交換している空間又は物体から奪う。このようにして、冷却対象物の温度を13.5℃(図1中ではT℃)まで下げようとするため、蓄熱媒体を空調冷媒として利用することができる。
なお、包接する気体分子の種類、圧力、混合するTBAB水溶液の濃度等を変化させることで、利用温度を適宜調節することができる。
例えば、TBAB・26HO−COを含む蓄熱媒体の場合、大気圧下(0.1MPa)では、利用温度12.7℃である。例えば、圧力を0.3MPaに調節すると、利用温度13.2℃に制御でき、圧力を0.5MPaに調節すると、利用温度13.5℃に制御でき、圧力を0.9MPaに調節すると、利用温度14.1℃に制御できる。このように、圧力を調節することで、12〜16℃の範囲で所望の利用温度に制御することができる。
本実施形態による蓄熱媒体に含まれるTBAB・26HO−gasは、任意の方法により製造されてもよく、後述する本実施形態によるTBAB・26HO−gasの製造方法により製造されてもよい。TBAB・26HOに気体分子を包接させる方法としては、例えば、特開平11−130700号公報、特開2000−256224号公報、特開2000−256226号公報、特開2000−256227号公報、特開2000−256224号公報、特開2000−264850号公報、特開2000−264851号公報、特開2000−264852号公報、特開2000−302702号公報、特開2000−309548号公報、特開2000−309785号公報、特開2001−10985号公報、特開2001−10986号公報、特開2001−10988号公報、特開2001−10989号公報、特開2001−10990号公報、特開2003−95998号公報、特開2003−342590号公報、特開2003−3181号公報、特開2006−160681号等に示される公知の方法を用いてもよい。
次に、本実施形態によるTBAB・26HO−gasの製造方法について詳細に説明する。
本実施形態によるTBAB・26HO−gasの製造方法は、TBAB濃度18wt%以上40wt%以下のTBAB水溶液と、前述した気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで行われる。TBAB水溶液のTBAB濃度は、好ましくは20〜40wt%、より好ましくは30〜40wt%である。温度範囲は、好ましくは0〜10℃である。攪拌時間は、好ましくは20分間〜4時間、より好ましくは30分間〜2時間である。
本実施形態の製造方法では、1MPa未満という低圧条件下で、TBAB水溶液と気体分子とを混合して撹拌することで、簡便にTBAB・26HO−gasを製造することができる。
TBAB・26HO−gasの生成については、得られた生成物をラマン分光法により分析することにより確認することができる。
次に、本実施形態による蓄熱方法について詳細に説明する。
本実施形態による蓄熱方法は、前述の蓄熱媒体を用いる。
蓄熱媒体として水和物スラリー(前述)を用いる場合、例えば、冷却対象物に熱的に接合させたパイプ内に、ポンプ等を用いて水和物スラリーを循環させる。そして、冷却対象物から直接的に吸熱させることで水和物スラリーに蓄熱させ、冷却を行う。
蓄熱媒体として水和物スラリーを用いる場合の蓄熱方法の具体例を以下に示す。
TBAB・26HO−COとTBAB水溶液(TBAB濃度40wt%)とを混合比0.4:0.6で混合し、水和物スラリーを調製する。居室の壁面にパイプを設置し、パイプ内にポンプを用いて水和物スラリーを循環させる。大気圧下(0.1MPa)では、利用温度12.7℃となる。例えば、利用温度13.5℃に設定したい場合には、パイプ内の圧力を0.5MPaに制御する。本実施形態に係る水和物スラリーは、利用温度12〜16℃において良好な流動性を保つことができるため、パイプ内にてスムーズに循環させることができる。居室の空間から直接的に吸熱させることで水和物スラリーに蓄熱させ、居室の空間の冷却を行うことができる。
また、蓄熱媒体としてTBAB・26HO−gas単体を用いる場合、例えば、TBAB・26HO−gasを収容する冷却槽内にて循環熱媒体を冷却し、冷却対象物に熱的に接合させたパイプ内に、ポンプ等を用いて冷却した循環熱媒体を循環させる。そして、冷却対象物から間接的に吸熱させることでTBAB・26HO−gasに蓄熱させ、冷却を行う。循環熱媒体としては、例えば、水、エタノール、シリコンオイル又はこれらの2以上の混合物が用いられる。
蓄熱媒体としてTBAB・26HO−gas単体を用いる場合の具体例を以下に示す。
TBAB・26HO−COを冷却槽に収容し、循環熱媒体としてエタノールを循環させたパイプを冷却槽に熱的に接合させる。冷却槽にて、TBAB・26HO−COによってパイプ内のエタノールが冷却される。居室の壁面にパイプを設置し、パイプ内にポンプを用いて冷却されたエタノールを循環させる。大気圧下(0.1MPa)では、利用温度12.7℃となる。例えば、利用温度13.5℃に設定したい場合には、冷却部内の圧力を0.5MPaに制御する。居室の空間から間接的に吸熱させることでTBAB・26HO−gasに蓄熱させ、居室の空間の冷却を行うことができる。
次に、本実施形態に係る蓄熱装置について詳細に説明する。
以下、第一の実施形態に係る蓄熱装置100について説明する。
図2(a)に示すように、第一の実施形態に係る蓄熱装置100は、TBAB・26HO−gas製造部110と、スラリー調製部120と、循環部130と、を備える。なお、図2(a)中、「P」は、スラリー調製部120から循環部130に蓄熱媒体(水和物スラリー)を送り込むためのポンプを表す。
TBAB・26HO−gas製造部110では、TBAB濃度18wt%以上40wt%以下のTBAB水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、TBAB・26HO−gasを製造する。各条件の詳細については、前述の通りである。
スラリー調製部120では、TBAB・26HO−gas製造部110で製造されたTBAB・26HO−gasを水和物スラリーである蓄熱媒体に調製する。より具体的には、TBAB・26HO−gas製造部110からTBAB・26HO−gasの供給を受けて、TBAB・26HO−gasに、例えば、TBAB水溶液(例えば、TBABを18〜40wt%含有する)又は水を混合することで、水和物スラリー状態の蓄熱媒体を調製する。
循環部130は、圧力制御機構134を備え、スラリー調製部120で調製された蓄熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う。図2(b)を用いてより具体的に説明する。なお、図2(b)中、「P」は、パイプ132内で蓄熱媒体(水和物スラリー)を循環させるためのポンプを表す。循環部130には、スラリー調製部120からポンプ(図2(a))によって蓄熱媒体(水和物スラリー)が流し込まれる。循環部130は、冷却しようとする空間又は物体(冷却対象物)に熱的に接合しているパイプ132を備え、パイプ132内に、ポンプ(図2(b))を用いて(矢印の方向に)水和物スラリーを循環させる。そして、冷却対象物から直接的に吸熱させることで水和物スラリーに蓄熱させ、冷却を行う。また、循環部130は、パイプ132内の圧力を調節するための圧力制御機構134を備えている。圧力制御機構134によってパイプ132内の圧力を調節することで、水和物スラリーの利用温度を制御する。なお、圧力制御機構134として市販の圧力制御装置を用いることができる。
以下、第二の実施形態に係る蓄熱装置200について説明する。
図3(a)、(b)に示すように、第二の実施形態に係る蓄熱装置200は、TBAB・26HO−gas製造部210と、冷却部220と、循環部230と、を備える。
TBAB・26HO−gas製造部210は、TBAB濃度18wt%以上40wt%以下のTBAB水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、TBAB・26HO−gasを製造する。各条件の詳細については、前述の通りである。
冷却部220は、圧力制御機構234(図3(b))を備え、TBAB・26HO−gas製造部210で製造されたTBAB・26HO−gasを収容し、TBAB・26HO−gasによって循環熱媒体を冷却する。循環部230は、冷却部220で冷却された循環熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う。
図3(b)を用いて、冷却部220及び循環部230についてより具体的に説明する。なお、図3(b)中、「P」は、パイプ232内で循環熱媒体を循環させるためのポンプを表す。冷却部220では、TBAB・26HO−gas製造部210からTBAB・26HO−gasの供給を受けて、TBAB・26HO−gasを収容する。循環部230は、冷却しようとする空間又は物体(冷却対象物)に熱的に接合しているパイプ232を備え、パイプ232内に、ポンプ(図3(b))を用いて(矢印の方向に)循環熱媒体(例えば、水、エタノール、シリコンオイル又はこれらの2以上の混合物)を循環させる。冷却部220は、循環部230のパイプ232に熱的に接合しており、パイプ232内を流れている循環熱媒体は、冷却部220内に収容されたTBAB・26HO−gasによって冷却される。また、冷却部220は、冷却部220内の圧力を調節するための圧力制御機構234を備えている。圧力制御機構に234よって冷却部220内の圧力を調節することで、TBAB・26HO−gasの利用温度を制御する。なお、圧力制御機構として市販の圧力制御装置を用いることができる。循環部230のパイプ232内を流れる循環熱媒体は、冷却対象物から間接的に吸熱させることでTBAB・26HO−gasに蓄熱させ、冷却を行う。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、本実施形態では、図3(b)に示したように、冷却部220が循環部230のパイプ232に熱的に接合している形態について説明したが、冷却部220において、TBAB・26HO−gasに循環熱媒体を熱的に接合させることで循環熱媒体を冷却し、冷却された循環熱媒体をポンプ等を用いて循環部230に流し込み、循環部230において循環熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行うようにしてもよい。
また、本実施形態では、図2(a)に示したように、TBAB・26HO−gas製造部110及びスラリー調製部120を備える形態について説明したが、TBAB・26HO−gas製造部110及びスラリー調製部120を備えずに、蓄熱媒体(水和物スラリー)を適宜、循環部130に供給することで冷却対象物との熱交換を行う形態としてもよい。
また、本実施形態では、図3(a)に示したように、TBAB・26HO−gas製造部210を備える形態について説明したが、TBAB・26HO−gas製造部210を備えずに、蓄熱媒体を適宜、冷却部220に供給することで冷却対象物との熱交換を行う形態としてもよい。
また、本実施形態では、図2(b)に示したように、循環部130が圧力制御機構134を備える形態について説明したが、スラリー調製部120が圧力制御機構を備え、スラリー調製部120内の圧力を調節することで、水和物スラリーの利用温度を制御するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態による蓄熱媒体は蓄熱容量が高く、それを用いた本実施形態による蓄熱方法及び蓄熱装置は、空調目的に適した利用温度で用いることができる。より具体的には、本実施形態による蓄熱媒体は、従来の蓄熱媒体(氷スラリー等)の蓄熱容量よりも高い蓄熱容量を有するため、空調における蓄熱能力及び熱交換効率を向上させることができる。また、1MPa未満の低圧下での稼働が可能であるため、高圧ガス保安法規制対象外となり、装置設計の自由度を向上させるとともに、装置製造のコストを削減することができる。また、本実施形態の蓄熱媒体は容易にスラリー化できるため、居住空間の空調として十分な性能を発揮することができる。また、圧力等を調節することで、容易に、空調利用に好適な利用温度(12℃〜16℃)に制御することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
二酸化炭素ガスを包接した水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物(TBAB・26HO−CO)を以下のように調製した。
0.5MPaの二酸化炭素ガスの圧力下で、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)濃度40wt%のTBAB水溶液と、二酸化炭素ガスと、を温度8℃で1時間攪拌し、TBAB・26HO−COを得た。
図4に、ラマンスペクトルを示す。上記の通り得られたTBAB・26HO−COのラマンスペクトルを測定した(図4(a))。また、比較例として、気体分子を包接していない水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物(TBAB・26HO)(図4(b))、キセノンガスを包接した水和数38のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物(TBAB・38HO−Xe)(図4(c))及び気体分子を包接していない水和数38のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物(TBAB・38HO)(図4(d))のラマンスペクトルも測定した。
図4(a)で示されるように、2950cm−1付近に観測されるラマンスペクトルから、TBAB・26HO−COが生成されたことが確認できた。
(実施例2)
実施例1で得られたTBAB・26HO−COの蓄熱容量を下記の通り算出した。
図5に、TBAB・26HO−COの相変化、すなわちTBAB・26HO−COの利用温度と必要圧力との関係を示す。
相変化に伴う蓄熱可能な熱量(蓄熱容量)を、図5から算出した。蓄熱容量は、pTの値(図5)及び下記のClausius−Clapeyronの式を用いて算出した。
Figure 2017078143
(Rは気体定数、zは圧縮係数)
上記より、ガス1モル当りの熱量(=分解潜熱、=蓄熱容量)730kJ/mol(g)と算出することができるが、この値はTBAB・26HO 1モルではなく、包接されているガス1モルに対する熱量の値である。このため、本実施例では、TBAB・26HO 1モルに対してCOガスが1モル(最小モル数)包接されていると仮定して、[TBAB・26HO−CO]を1モルとして重量計算した。
その結果、P=0.1〜1.2MPaの二酸化炭素ガスの圧力下、温度T=12〜16℃の領域の条件下で、TBAB・26HO−COが分解するには、約870kJ/kgを要することがわかった。つまり、TBAB・26HO−COの蓄熱容量は、約870kJ/kgであることが示された。
また、実施例1で得られたTBAB・26HO−COと濃度40wt%のTBAB水溶液とを重量比0.4:0.6で混合し、水和物スラリーとして調製した場合の蓄熱容量を算出したところ、約360kJ/kgであり、これは氷スラリーの蓄熱容量(約333kJ/kg)よりも高い値であった。
なお、TBAB・26HO(気体分子を包接していない)の蓄熱容量は200kJ/kg以下(非特許文献3)である。また、TBAB・26HO(気体分子を包接していない)と、TBAB水溶液(TBAB濃度:40wt%)と、を重量比0.4:0.6で混合し、スラリーとした場合の蓄熱容量は、80kJ/kg以下(非特許文献3に記載のTBAB・26HOの蓄熱容量に基づき、TBAB・26HOと溶液との重量比より算出)である。また、TBAB・38HO(気体分子を包接していない)の蓄熱容量は、210kJ/kg以下(非特許文献3)である。一方、本実施例によるTBAB・26HO−COの蓄熱容量は、これらの蓄熱容量よりも高い(約870kJ/kg)ため、蓄熱能力のより高い蓄熱媒材を提供することできる。
また、利用温度に関して、大気圧下(0.1MPa)では、TBAB・26HO(気体分子を包接していない)の利用温度は12℃で(非特許文献3)あり、TBAB・38HO(気体分子を包接していない)の利用温度は10℃(非特許文献3)であるのに対して、本実施例によるTBAB・26HO−COの利用温度は12.7℃である(図5)。このように、本実施例によるTBAB・26HO−COは、気体分子を包接していないTBAB・26HO及びTBAB・38HOに比して空調目的に適しているといえる。
また、利用温度12℃で二酸化炭素ガス又はメタンガスを包接したガスハイドレートを用いる場合、圧力条件を10MPa以上とする必要があるため、高圧ガス保安法の遵守を要するとともに、蓄熱装置が大掛かりとなりコストが高くなる。一方、本実施例によるTBAB・26HO−COは、大気圧下(0.1MPa)で利用温度12.7℃となるため(図5)、高圧装置が不要であり、低コストでの蓄熱が可能である。
(実施例3)
図3(a)、(b)に示す蓄熱装置200を用いて、居室の空調を行う。蓄熱媒体として、実施例1で調製したTBAB・26HO−CO、循環熱媒体としてエタノールを用いる。なお、圧力制御機構234によって、冷却部220内の圧力は0.5MPaに制御されている。
居室の温度が13.5℃以上の場合、循環熱媒体を介してパイプ232と居室の空間との間で熱平衡に達する(同じ温度に近づく)ように、冷却部220では、TBAB・26HO−COが吸熱(約870kJ/kg)を伴ってCOガスとTBAB・26HOとに分解する。このように、居室から間接的に吸熱することで、冷却部220が蓄熱され、居室の温度が13.5℃に近づく。
一方、居室の温度が13.5℃以下の場合、循環熱媒体を介してパイプ232と居室の空間との間で熱平衡に達する(同じ温度に近づく)ように、冷却部220では、発熱(約870kJ/kg)を伴ってTBAB・26HO−COが形成される。この放熱によって、循環熱媒体を介して、居室が暖められて、居室の温度が13.5℃に近づく。
以上のように、図3(a)、(b)の蓄熱装置200を用いることで、氷と比較して2倍以上、また、気体分子を包接していないTBAB・26HO及びTBAB・38HOに比して4倍以上高効率な蓄熱システムが構築できる。
(実施例4)
図2(a)、(b)に示す蓄熱装置100を用いて、居室の空調を行う。蓄熱媒体として、実施例1で調製したTBAB・26HO−COとTBAB水溶液(TBAB40wt%)とを重量比0.4:0.6で混合して調製した水和物スラリーを用いる。なお、圧力制御機構134によって、循環部130内の圧力は0.5MPaに制御されている。
居室の温度が13.5℃以上の場合、パイプ132内を流動する水和物スラリーと居室の空間との間で熱平衡に達する(同じ温度に近づく)ように、循環部130では、水和物スラリー中のTBAB・26HO−COが吸熱(約360kJ/kg)を伴ってCOガスとTBAB・26HOとに分解する。このように、居室から直接的に吸熱することで、循環部130が蓄熱され、居室の温度が13.5℃に近づく。
一方、居室の温度が13.5℃以下の場合、パイプ132内を流動する水和物スラリーと居室の空間との間で熱平衡に達する(同じ温度に近づく)ように、循環部130では、発熱(約360kJ/kg)を伴ってTBAB・26HO−COが形成される。この放熱によって、居室が暖められて、居室の温度が13.5℃に近づく。
以上のように、図2(a)、(b)の蓄熱装置100を用いることで、水和物スラリー自体を循環させて高効率な蓄熱システムが構築できる。
本実施例の水和物スラリーは、十分な流動性を有するため、循環部130のパイプ132(居室と熱的に接合している)内を良好に流動することができる。また、本実施例の水和物スラリーは、水和物スラリーの状態であっても十分な蓄熱が可能であり(蓄熱容量:約360kJ/kg)、氷スラリー(蓄熱容量:約333kJ/kg)よりも高効率での蓄熱が可能である。また、本実施例の水和物スラリーは、大気圧(0.1MPa)以上の圧力下で利用温度が12.7℃以上であり、空調に最適な温度で利用することができる。
(実施例5)
実施例1で調製したTBAB・26HO−COを蓄熱媒体として用いた場合の、圧力と利用温度との関係について検討する。
TBAB・26HO−COを蓄熱媒体として用いた場合、大気圧下(0.1MPa)では、利用温度12.7℃である。圧力を0.3MPaに調節すると、利用温度13.2℃に制御でき、圧力を0.5MPaに調節すると、利用温度13.5℃に制御でき、圧力を0.9MPaに調節すると、利用温度14.1℃に制御できる。このように、圧力を0.1〜0.9MPaの範囲で連続的に調節することにより、12.7〜14.1℃の利用温度で空調を行うことができる。また、圧力を0〜10MPaの範囲で連続的に調節することにより、約12〜約14.5℃の利用温度で空調を行うことができる。
図1を用いて、TBAB・26HO−COを蓄熱媒体として用いた場合の潜熱を伴う相変化について説明する。上記の蓄熱媒体を温度13.5℃で利用する場合、圧力を0.5MPaに制御して、冷却しようとする空間又は物体(冷却対象物)と蓄熱媒体との間で熱交換を行わせる。熱交換を行う前に温度TのA点(図1)の状態である蓄熱媒体が、A点よりも温度の高いT℃の冷却対象物からの熱交換によって、蓄熱媒体の温度が上昇し、温度T℃のB点(図1)の状態まで温度上昇しようとする。A点からB点への過程において、蓄熱媒体の圧力0.5MPaにおける利用温度(13.5℃、図1中ではT℃)を越えると、蓄熱媒体が分解し始める。蓄熱媒体が分解している間、蓄熱媒体はC点の状態を保とうとして、TBAB・26HO−CO単体では約870kJ/kg、TBAB・26HO−COとTBAB水溶液(TBAB40wt%)とを重量比0.4:0.6で混合した状態では約360kJ/kgの熱量を、熱交換している空間又は物体から奪う。このようにして、冷却対象物の温度を13.5℃(図1中ではTc℃)まで下げようとするため、蓄熱媒体を空調冷媒として利用することができる。
本発明は、居住空間の空調目的に利用可能である。すなわち、本発明によれば、TBAB・26HO−gasに包接する気体分子の種類、圧力、TBAB水溶液の濃度等を変化させることで、空調として所望の利用温度に調整することができる。さらに、水和物スラリーに調製することで、蓄熱媒体自体を循環させる蓄熱システムの構築が可能である。
100 蓄熱装置
110 TBAB・26HO−gas製造部
120 スラリー調製部
130 循環部
132 パイプ
134 圧力制御機構
200 蓄熱装置
210 TBAB・26HO−gas製造部
220 冷却部
230 循環部
232 パイプ
234 圧力制御機構

Claims (11)

  1. 気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を含む蓄熱媒体。
  2. 前記気体分子は、二酸化炭素分子又は二酸化炭素よりも分子径が小さい分子である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の蓄熱媒体。
  3. 前記二酸化炭素よりも分子径が小さい分子は、アルゴン、クリプトン、窒素、メタン及びキセノンからなる群より選択される、
    ことを特徴とする請求項2に記載の蓄熱媒体。
  4. 蓄熱容量は、360kJ/kg以上である、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄熱媒体。
  5. 0.1MPa以上1.2MPa以下の圧力範囲で、潜熱を伴う相変化を生じる、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄熱媒体。
  6. 利用温度は、12℃以上16℃以下である、
    ことを特徴とする請求項5に記載の蓄熱媒体。
  7. 水和物スラリーである、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の蓄熱媒体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蓄熱媒体を用いる、
    ことを特徴とする蓄熱方法。
  9. テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を製造する製造部と、
    前記製造部で製造された気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を水和物スラリーである蓄熱媒体に調製するスラリー調製部と、
    圧力制御機構を備え、前記スラリー調製部で調製された蓄熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う循環部と、
    を備え、
    前記圧力制御機構によって前記循環部の圧力を調節することで、利用温度を制御する、
    ことを特徴とする蓄熱装置。
  10. テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌することで、気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を製造する製造部と、
    圧力制御機構を備え、前記製造部で製造された気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物を収容し、該気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物によって循環熱媒体を冷却する冷却部と、
    前記冷却部で冷却された循環熱媒体を循環させることで、冷却対象物と熱交換を行う循環部と、
    を備え、
    前記圧力制御機構によって前記冷却部の圧力を調節することで、利用温度を制御する、
    ことを特徴とする蓄熱装置。
  11. テトラブチルアンモニウムブロマイド濃度18wt%以上40wt%以下のテトラブチルアンモニウムブロマイド水溶液と、気体分子と、を、温度0〜16℃、圧力1MPa未満の条件下で混合して撹拌する、
    ことを特徴とする気体分子を包接させた水和数26のテトラブチルアンモニウムブロマイド水和物の製造方法。
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