JP2017076068A - 光学機能素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平行に配列された複数本の屈折率変化領域が形成されている波長板ユニットを二次元に複数行複数列で配列してなる光学機能素子を、レンズ27で収束されたフェムト秒レーザ2をガラス10に照射することでガラス10から製造するための光学機能素子の製造方法である。この製造方法では、レンズ27とガラス10との距離を調整し、レーザ出力器21からフェムト秒レーザ2を出力し、出力されたフェムト秒レーザ2の位相を空間光位相変調器22のホログラムにより変調し、フェムト秒レーザ2をレンズ27により収束し、収束されるとともに位相が変調されたフェムト秒レーザ2をガラス10に照射する。
【選択図】図5
Description
レンズと透光部材との距離を調整するステップと、
フェムト秒レーザを出力するステップと、
出力されたフェムト秒レーザを上記レンズにより収束するステップと、
収束されたフェムト秒レーザを透光部材に照射するステップとを有し、
上記フェムト秒レーザが、上記透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するように制御されたものである。
上記照射の後に、上記透光部材を表面から切削加工するものである。
まず、光学機能素子の概略について図1および図2に基づき説明する。なお、図1は光学機能素子1を模式的に示す平面図であり、図2は図1に対応するとともに光学機能素子1の高屈折率部11(後述する)を線で示した平面図である。
図3は行および列で隣り合う4つの波長板ユニット3を模式的に示した斜視図であり、図4は図3の4つの波長板ユニット3を実際に示した斜視図である。波長板ユニット3は、図4に示すように、ガラス10の表面10sから浅い位置dに、つまりガラス10の表面10s近傍に、複数本の楕円柱状の屈折率変化領域(以下では単に楕円柱領域5という)が同一平面上で並列に(つまり筏状に)形成されたものである。そして、1つの波長板ユニット3は、同一の周期構造を有する楕円柱領域5が形成される。図7に示すように、一般に各楕円柱領域5,105は、楕円体の屈折率変化領域5s,105sが直線状に連なってなるものである。このような楕円体の屈折率変化領域5s,105sは、一定の偏光を有するとともに収束されたエネルギーの高いフェムト秒レーザ2,102をガラス10に照射することにより、当該フェムト秒レーザ2,102の集光位置に形成される。したがって、各楕円柱領域5,105は、上記フェムト秒レーザ2,102と、このフェムト秒レーザ2,102が照射されているガラス10とを相対移動させることにより、当該フェムト秒レーザ2,102の集光位置の軌跡に形成される。
図5に示すように、上記光学機能素子1の製造装置20は、フェムト秒レーザ2の経路順に、レーザ出力器21、空間光位相変調器22、波長板23、ミラー25、レンズ27および電動ステージ29を備える。
予め、ガラス10の表面から浅い位置にエネルギーの高いフェムト秒レーザ2が集光するように、レンズ27の位置を調整、正確にはレンズ27とガラス10との距離を調整する。この調整の目的は、これまでの実験値(例えば図14〜図17に示すグラフ)に基づき、形成される屈折率変化領域5の位相差が最も大きくなる位置と、エネルギーの高いフェムト秒レーザ2が集光する位置とを一致させることである。次に、図5に示すように、レーザ出力器21からエネルギーの高い(1.0μJ以上)フェムト秒レーザ2を出力させる。このフェムト秒レーザ2は、空間光位相変調器22により、位相が変調されるとともに、上記波長板23およびミラー25に向けて反射される。そして、このフェムト秒レーザ2は、上記波長板23により所定の偏光方向に変換されて、ミラー25によりガラス10に向けて反射される。ミラー25により反射されたフェムト秒レーザ2は、レンズ27により収束して、ガラス10に表面10sから照射されて浅い位置に集光する。
すなわち、位相差は複屈折領域の照射方向長さに比例するので、位相差を大きくするには、楕円柱領域5の横断面を照射方向にできるだけ長くする方がよいとも思われる。そして、楕円柱領域5の横断面を照射方向に長くするには、上述した光強度分布の調整を利用する。集光深さの違いによる加工形状の差異を考えた場合、集光するレンズ27とガラス10の屈折率の関係により球面収差が生じるため、集光深さが深い位置でより球面収差の影響が強くなり光強度分布が照射方向に伸び、複屈折領域の照射方向の長さが伸長する。そのため、十分に高いエネルギーのフェムト秒レーザ2を集光した場合、浅い位置よりも深い集光位置の方が、位相差が大きくなる。しかしながら、楕円柱領域5の横断面を照射方向に長くし過ぎると、全体として構造変化を誘起するエネルギー密度が低下し、結果として、複屈折率が下がる、または複屈折領域として作用する照射方向長さが短くなってしまうので、位相差を却って小さくしてしまう。したがって、位相差を大きくするには、楕円柱領域5の横断面を照射方向に適切に長くすべきであり、このために上記フェムト秒レーザ2の位相を変調することが必要である。つまり、光強度分布さえ適切にすれば、浅い位置にも高い位相差を形成することは可能である。
本実施例2に係る光学機能素子1の製造方法を具体的に説明すると、上記実施例1の空間光位相変調器22を使用する代わりに、図9に示すように、ガラス10の表面10sに所定厚さD−dの他のガラス10’を載置する。この他のガラス10’の表面10’sからフェムト秒レーザ102が照射されて上記ガラス10の内部で集光する。これにより、上記他のガラス10’の表面10’sから深い位置Dに楕円体の屈折率変化領域105sが形成される。そして、フェムト秒レーザ102が照射される方向に対して垂直な方向にこれらガラス10,10’を相対移動させると、上記他のガラス10’の表面10’sから深い位置Dに楕円柱領域105が形成される。しかしながら、図10に示すように、楕円柱領域105が形成された後に上記他のガラス10’を上記ガラス10の表面10sから取り外すことで、結果的に、上記ガラス10の表面10sから浅い位置dに楕円柱領域105が形成されたことになる。なお、上記他のガラス10’に楕円柱領域105が形成されないのは、フェムト秒レーザ102のエネルギー密度が低いことによる。
本実施例3に係る光学機能素子1の製造方法を具体的に説明すると、上記実施例1の空間光位相変調器22を使用せず、図11に示すように、ガラス10の表面10sからフェムト秒レーザ102が照射されて上記ガラス10の表面10sから深い位置Dで集光する。これにより、上記他のガラス10の表面10sから深い位置Dに楕円体の屈折率変化領域105sが形成される。そして、フェムト秒レーザ102が照射される方向に対して垂直な方向にこのガラス10を相対移動させると、上記他のガラス10の表面10sから深い位置Dに楕円柱領域105が形成される。しかしながら、図12に示すように、楕円柱領域105が形成された後に上記ガラス10を表面10sから所定厚さD−dだけ除去加工(例えば、切削、研磨またはエッチングなどの加工)することで、結果的に、上記ガラス10の表面10sから浅い位置dに楕円柱領域105が形成されたことになる。
本実施例4に係る光学機能素子1の製造方法を具体的に説明すると、上記実施例1の空間光位相変調器22を使用せず、図13に示すように、所定厚さD+dのガラス10の裏面10bからフェムト秒レーザ102が照射されて上記ガラス10の裏面10bから深い位置Dで集光する。これにより、上記他のガラス10の裏面10bから深い位置Dに楕円体の屈折率変化領域105sが形成される。そして、フェムト秒レーザ102が照射される方向に対して垂直な方向にこのガラス10を相対移動させると、上記他のガラス10の裏面10bから深い位置Dに楕円柱領域105が形成される。しかしながら、ガラス10が所定厚さD+dなので、結果的に、上記ガラス10の表面10sから浅い位置dに楕円柱領域105が形成されたことになる。
2 フェムト秒レーザ
3 波長板ユニット
4 光学軸
5 楕円柱領域
10 ガラス
10s ガラスの表面
11 高屈折率部
12 低屈折率部
20 光学機能素子の製造装置
21 レーザ出力器
22 空間光位相変調器
23 直線偏光板
25 ミラー
27 レンズ
29 電動ステージ
Claims (5)
- 平行に配列された複数本の屈折率変化領域が形成されている波長板ユニットを二次元に複数行複数列で配列してなる光学機能素子を、レンズにより収束されたフェムト秒レーザを透光部材に照射することで当該透光部材から製造するための光学機能素子の製造方法であって、
レンズと透光部材との距離を調整するステップと、
フェムト秒レーザを出力するステップと、
出力されたフェムト秒レーザを上記レンズにより収束するステップと、
収束されたフェムト秒レーザを透光部材に照射するステップとを有し、
上記フェムト秒レーザが、上記透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するように制御されたものであることを特徴とする光学機能素子の製造方法。 - フェムト秒レーザの透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するようにされる制御が、収束される前のフェムト秒レーザの位相を変調することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の光学機能素子の製造方法。
- フェムト秒レーザの透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するようにされる制御が、他の透光部材にフェムト秒レーザを完全に透過させることにより行われることを特徴とする請求項1または2に記載の光学機能素子の製造方法。
- フェムト秒レーザの透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するようにされる制御が、上記透光部材の表面からフェムト秒レーザを照射して透過させることにより行われ、
上記照射の後に、上記透光部材を表面から除去加工することを特徴とする請求項1または2に記載の光学機能素子の製造方法。 - フェムト秒レーザの透光部材に照射された状態で当該透光部材での照射方向の光強度分布が伸長するようにされる制御が、上記透光部材の裏面からフェムト秒レーザを透過させることにより行われることを特徴とする請求項1または2に記載の光学機能素子の製造方法。
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