JP2017075160A - リチウム化合物を導入することによる酢酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】副生成物であるヨウ化水素の形成を減少させた酢酸の製造方法の提供。【解決手段】リチウム化合物を反応媒体に加え、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の酢酸リチウムの濃度及び0.1〜1.3重量%のヨウ化水素の濃度に維持し、30重量%以上のの酢酸の濃度を維持し、300〜3000wppmのロジウム触媒の濃度、0.1〜4.1重量%の水の濃度、及び0.6〜4.1重量%酢酸メチルの濃度を維持する酢酸の製造方法。好ましくは前記反応媒体中のヨウ化メチルの濃度を4〜13.9重量%に維持し、更にヨウ化物塩の濃度を2〜20重量%、好ましくは8〜14重量%に維持し、酢酸の生産速度を5〜50モル/L・時にすることが望ましい、方法。【選択図】図1
Description
[0001]本特許出願は、2014年11月14日出願の「リチウム化合物を導入することによる酢酸の製造方法」と題された米国仮出願62/080,035(その開示事項はその全部を参照として本明細書中に包含する)からの優先権を主張する。
[0002]本発明は、酢酸の製造方法、特に反応媒体中にリチウム化合物を導入してヨウ化水素の形成を制御するための改良された方法に関する。
[0003]現在用いられている酢酸の合成方法の中で商業的に最も有用なものの1つは、米国特許3,769,329(その全部を参照として本明細書中に包含する)において教示されている一酸化炭素によるメタノールの接触カルボニル化である。カルボニル化触媒は、液体反応媒体中に溶解しているか又は他の形態で分散しているか、或いは不活性の固体上に担持されているロジウムのような第VIII族金属触媒を、ヨウ化メチルなどのハロゲン含有触媒促進剤と共に含む。最も通常的且つ有用には、反応は、一酸化炭素ガスを、触媒がその中に溶解している液体反応媒体を通して連続的にバブリングすることによって行う。メタノールのカルボニル化による酢酸の製造は、反応媒体中において大量のヨウ化物化合物を用いることが必要である。反応媒体の組成は、酢酸を効率的に製造し、ロジウム触媒を安定化させ、副生成物の形成を減少させるために重要な事項である。特に、水性ガスシフト反応を促進させ、腐食を増加させるヨウ化水素のような副生成物の形成は減少させなければならない。
[0004]Haynes (2010) "Catalystic Methanol Carbonylation"においては、酢酸メチル
濃度を上昇させるとより低いヨウ化水素濃度が与えられ、これは[Rh(CO2)2I4]−を与える[Rh(CO)2I2]−の酸化を抑制して、これにより水性ガスシフト反応を大きく抑制する傾向があることが報告されている。
濃度を上昇させるとより低いヨウ化水素濃度が与えられ、これは[Rh(CO2)2I4]−を与える[Rh(CO)2I2]−の酸化を抑制して、これにより水性ガスシフト反応を大きく抑制する傾向があることが報告されている。
[0005]米国公開2013/0310603においては、カルボニル化反応器内において、金属触媒(例えばロジウム触媒)、イオン性ヨウ化物(例えばヨウ化リチウム)、及びヨウ化メチルを含む触媒系の存在下でメタノールを一酸化炭素と連続的に反応させる反応工程を含み;プロセス中において、(i)反応器内の全液相中において、金属触媒の濃度を重量基準で860ppm以上に維持し、水の濃度を0.8〜15重量%に維持し、ヨウ化メチルの濃度を13.9重量%以下に維持し、酢酸メチルの濃度を0.1重量%以上に維持し、及び/又は(ii)反応器内の全液相中において、金属触媒の濃度を重量基準で660ppm以上に維持し、水の濃度を0.8〜3.9重量%に維持し、イオン性ヨウ化物の濃度を13重量%以下に維持し、ヨウ化メチルの濃度を13.9重量%以下に維持し、酢酸メチルの濃度を0.1重量%以上に維持する;酢酸製造プロセスが開示されている。米国特許4,994,608;6,211,405;6,657,078;7,005,541;7,476,761;及び7,884,241;のような多くの他のものにおいては、反応媒体中の重複する成分範囲が記載されている。米国特許出願2013/0310603においては、これらの濃度を有する反応媒体はカルボニル化反応器内におけるヨウ化水素の濃度の増加を抑制すると主張されている。
[0006]米国特許4,733,006においては、オレフィン、アルコール、或いはかかるアルコールのエステル、ハロゲン化物、若しくはエーテル誘導体を、液相中において、(a)ロジウム成分、及び(b)ヨウ化物又は臭素成分を含む触媒系の存在下で一酸化炭素と反応させる方法が開示されている。反応区域からの液体反応物質の少なくとも一部を
、実質的により低いCO分圧の分離区域に送ることによって、カルボニル化生成物、並びに未反応の一酸化炭素、不活性ガス、及び未反応のオレフィン、アルコール、又はアルコール誘導体の少なくとも一部を気化させて、これを分離区域から排出することができる。一酸化炭素が不足している条件下でのロジウム触媒の沈殿は、ゲルマニウム(IV)化合物、アルカリ金属化合物、及びこれらの混合物である触媒安定剤の系を一酸化炭素が不足している区域に加えることによって、阻止又は遅延される。アルカリ金属化合物としては酢酸リチウムを挙げることができる。
、実質的により低いCO分圧の分離区域に送ることによって、カルボニル化生成物、並びに未反応の一酸化炭素、不活性ガス、及び未反応のオレフィン、アルコール、又はアルコール誘導体の少なくとも一部を気化させて、これを分離区域から排出することができる。一酸化炭素が不足している条件下でのロジウム触媒の沈殿は、ゲルマニウム(IV)化合物、アルカリ金属化合物、及びこれらの混合物である触媒安定剤の系を一酸化炭素が不足している区域に加えることによって、阻止又は遅延される。アルカリ金属化合物としては酢酸リチウムを挙げることができる。
[0007]米国特許5,001,259においては、ヨウ化物塩、特にヨウ化リチウムで安定化させたロジウム触媒を、特定の割合のヨウ化メチルのようなアルキルヨウ化物及び酢酸メチルのようなアルキル酢酸塩と共に含む液体反応媒体中で、メタノールを一酸化炭素と反応させることが開示されている。米国特許5,001,259においては、反応媒体中において存在するヨウ化リチウムと酢酸リチウムとの間の平衡:LiI+MeOAc⇔LiOAc+MeI:が取り扱われている。水の含量を減少させると反応媒体中の酢酸リチウム含量が増加し、この効果は4重量%と比べて12重量%の酢酸メチルが存在する場合により大きい。米国特許5,001,259においては、反応媒体の水濃度によって左右するヨウ化リチウムと酢酸リチウムとの間のこの平衡は、ちなみに触媒系の挙動に対して悪影響を与えないことが分かったことが報告されている。この平衡により、所望の場合には酢酸リチウム又は他のリチウム塩を加えることによって反応媒体のヨウ化リチウム濃度を増加させることが可能である。この平衡のために、反応速度に対するヨウ化リチウムの効果を酢酸リチウムのものと識別することができず、特に低い水の濃度を有する触媒溶液を用いる場合には、ヨウ化リチウム及び酢酸リチウムの両方が反応速度を増加させることがあり得る。酢酸リチウム又はヨウ化リチウムのいずれを加えても、溶液中の両方の塩の同じ平衡混合物を最終的に得ることが可能である。
[0008]米国特許8,168,822においては、(a)反応器圧力において運転される反応容器内において、メタノール又はその反応性誘導体を、酢酸、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及び均一触媒を含む液体反応混合物中で、均一第VIII族金属触媒及びヨウ化メチル促進剤の存在下で一酸化炭素と接触反応させ;(b)反応容器から反応混合物を排出し、排出される反応混合物を更なる一酸化炭素と一緒に、反応容器圧力よりも低い圧力で運転されるフラッシャー前/反応容器後の容器に供給し;(c)フラッシャー前容器内のライトエンドを排出し、同時にフラッシャー前/反応容器後の容器内で酢酸メチルを消費する;ことを含む酢酸の製造方法が開示されている。ヨウ化物塩安定剤/共促進剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、或いは第4級アンモニウム又はホスホニウム塩、特にヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物の形態であってよい。
[0009]無水条件下においては、米国特許4,302,432において、均一ロジウム触媒を用いて水素とヨウ化物を非アルコール溶媒中で反応させることによって、ヨウ化水素、ヨウ化リチウム、及びヨウ化メチルを製造する方法が開示されている。反応媒体中に酢酸リチウム及び/又は酢酸メチルを含ませることによって、ヨウ化リチウム及び/又はヨウ化メチルが得られる。
Haynes (2010) "Catalystic Methanol Carbonylation"
[0010]上記を考慮すると、商業的に許容しうる収量及び低い副生成物の形成で酢酸を製造するための改良された反応媒体に対する必要性が存在する。
[0011]一態様においては、本発明は、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;反応器中にリチウム化合物を導入し;そして、0.3〜0.7重量%、例えば0.3〜0.6重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度、及び0.1〜1.3重量%、例えば0.1〜1重量%、又は0.2〜0.8重量%の反応媒体中のヨウ化水素の濃度を維持する;ことを含み;反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、酢酸の製造方法に関する。リチウム化合物は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
[0012]反応媒体にはヨウ化メチルを含ませることができ、一態様においては、反応媒体中のヨウ化メチルの濃度は、4〜13.9重量%、好ましくは4〜13重量%に維持する。反応媒体には、ヨウ化リチウムのようなヨウ化物塩を含ませることができ、一態様においては、反応媒体中のヨウ化物塩の濃度は、2〜20重量%、好ましくは8〜14重量%に維持する。ヨウ化物塩とリチウム化合物との重量比は5:1以上である。更に、反応媒体中の酢酸メチルの濃度は酢酸リチウムの濃度以上である。反応は、反応器内の2〜30気圧の一酸化炭素分圧及び0.04気圧以下の水素分圧を維持しながら行う。反応はまた、150℃〜250℃の温度及び15〜40気圧の圧力で行うことができる。
[0013]他の態様においては、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度は800〜3000wppmに維持し、水の濃度は0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.1〜1重量%に維持する。
[0014]他の態様においては、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度は900〜1500wppmに維持し、水の濃度は0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.2〜0.8重量%に維持する。
[0015]他の態様においては、酢酸の生産速度は10モル/L・時〜40モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.3〜0.6重量%に維持し、ロジ
ウム触媒の濃度は800〜3000wppmに維持し、水の濃度は0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.1〜1重量%に維持する。
ウム触媒の濃度は800〜3000wppmに維持し、水の濃度は0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.1〜1重量%に維持する。
[0016]他の態様においては、酢酸の生産速度は15モル/L・時〜35モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度は900〜1500wppmに維持し、水の濃度は0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.2〜0.8重量%に維持する。
[0017]更なる態様においては、本発明は、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し、ここで反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し;反応器中にリチウム化合物を導入し;0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持し;反応器から気体流を排出し、ここで気体流は1重量%以下の量のヨウ化水素を含み;そして、反応媒体から酢酸を回収する;ことを含む、酢酸の製造方法に関する。一態様においては、気体流は0.001〜1重量%の量のヨウ化水素を含む。反応媒体中のロジウム触媒の濃度は、ロジウムとして300〜3000wppmに維持することができ、反応媒体中の水の濃度は0.1〜4.1重量%に維持することができ、反応媒体中の酢酸メチルの濃度は0.6〜4.1重量%に維持することができる。この更なる態様にはまた、気体流をスクラビングして、パージ流からヨウ化水素を除去することを含ませることもできる。
[0018]本発明は、添付の非限定的な図面を考慮するとより良好に理解されるであろう。
[0023]始めに、任意のかかる実際の態様の開発においては、1つの実施態様と他のものとで変化するシステム関連及びビジネス関連の制限との適合性のように、開発者の具体的な目標を達成するために、数多くの実施−具体的な決定を行わなければならないことを留意すべきである。更に、当業者に明らかなように、ここで開示する方法にはまた、挙げられているか又は具体的に言及されているもの以外の構成要素を含ませることもできる。
[0024]概説及びこの詳細な説明において、それぞれの数値は、一旦は(既に明らかにそのように修飾されていない限りにおいて)用語「約」によって修飾されているように読み、次に文脈において他に示されていない限りにおいて、そのように修飾されていないように再び読むべきである。また、概説及びこの詳細な説明において、有用、好適などとしてリスト又は記載されている濃度範囲は、端点を含むその範囲内のありとあらゆる濃度が示されているとみなすべきであると意図されることを理解すべきである。例えば、「1〜10」の範囲は、約1と約10の間の連続体に沿ったありとあらゆる可能な数を示すものとして読むべきである。而して、この範囲内の具体的なデータ点が明確に特定されているか又は僅かな具体的なデータ点のみに関する場合、或いはこの範囲内のデータ点が明確に特
定されていないか又は僅かな具体的なデータ点のみに関していない場合であっても、本発明者らはこの範囲内のありとあらゆるデータ点が特定されていたとみなすべきであると認識且つ理解し、且つ本発明者らはこの範囲内の全範囲及び全ての点の知識を有していたことを理解すべきである。
定されていないか又は僅かな具体的なデータ点のみに関していない場合であっても、本発明者らはこの範囲内のありとあらゆるデータ点が特定されていたとみなすべきであると認識且つ理解し、且つ本発明者らはこの範囲内の全範囲及び全ての点の知識を有していたことを理解すべきである。
[0025]特許請求の範囲を含む明細書全体にわたって、以下の用語は他に示さない限りにおいて示されている意味を有する。
[0026]明細書及び特許請求の範囲において用いる「付近」は「における」を包含する。「及び/又は」という用語は、包含的な「及び」の場合、及び排他的な「又は」の場合の両方を指し、本明細書において簡潔さのために用いられる。例えば、酢酸及び/又は酢酸メチルを含む混合物は、酢酸単独、酢酸メチル単独、又は酢酸と酢酸メチルの両方を含んでいてよい。
[0026]明細書及び特許請求の範囲において用いる「付近」は「における」を包含する。「及び/又は」という用語は、包含的な「及び」の場合、及び排他的な「又は」の場合の両方を指し、本明細書において簡潔さのために用いられる。例えば、酢酸及び/又は酢酸メチルを含む混合物は、酢酸単独、酢酸メチル単独、又は酢酸と酢酸メチルの両方を含んでいてよい。
[0027]全てのパーセントは、他に示していない限りにおいて、存在する特定の流れ又は組成物の全重量を基準とする重量パーセント(重量%)として表される。他に示していない限りにおいて、室温は25℃であり、大気圧は101.325kPaである。
[0028]本発明における目的のためには、
酢酸は「AcOH」と略称することがあり;
アセトアルデヒドは「AcH」と略称することがあり;
酢酸メチルは「MeAc」と略称することがあり;
メタノールは「MeOH」と略称することがあり;
ヨウ化メチルは「MeI」と略称することがあり;
ヨウ化水素は「HI」と略称することがあり;
一酸化炭素は「CO]と略称することがあり;及び
ジメチルエーテルは「DME」と略称することがある。
酢酸は「AcOH」と略称することがあり;
アセトアルデヒドは「AcH」と略称することがあり;
酢酸メチルは「MeAc」と略称することがあり;
メタノールは「MeOH」と略称することがあり;
ヨウ化メチルは「MeI」と略称することがあり;
ヨウ化水素は「HI」と略称することがあり;
一酸化炭素は「CO]と略称することがあり;及び
ジメチルエーテルは「DME」と略称することがある。
[0029]HIは、分子状ヨウ化水素、或いは極性媒体、通常は少なくとも若干の水を含む媒体中で少なくとも部分的にイオン化されている場合には解離ヨウ化水素酸のいずれかを指す。他に特定されていない限りにおいて、この2つは互換的に言及される。他に特定されていない限りにおいて、HI濃度は、酸−塩基滴定によって電位差滴定終点を用いて求められる。特に、HI濃度は、標準的な酢酸リチウム溶液を用いて電位差滴定終点まで滴定することによって求められる。本発明における目的のためには、HIの濃度は、腐食金属又は他の非H+カチオンの測定に関係すると推定されるヨウ化物の濃度を、試料中に存在する全イオン性ヨウ化物から減じることによっては求めないことを理解すべきである。
[0030]HI濃度はヨウ化物イオン濃度を指すものではないことを理解すべきである。HI濃度は、具体的には電位差滴定によって求められるHI濃度を指す。
[0031]この減算法は、全ての非H+カチオン(例えば、Fe、Ni、Cr、Moのカチオン)が専らヨウ化物アニオンのみと会合すると仮定していることのために、比較的低いHI濃度(例えば約5重量%以下)を求めるためには信頼性に欠ける不正確な方法である。実際には、このプロセスにおいては、金属カチオンの相当部分がアセテートアニオンと会合する可能性がある。更に、これらの金属カチオンの多くは多原子価状態を有し、これによってこれらの金属と会合する可能性があるヨウ化物アニオンの量に関する推定に更により多い非信頼性が加えられる。最終的には、この方法は、特にHI濃度を直接表す単純な滴定を行う能力を考慮すると、実際のHI濃度の信頼性に欠ける測定値を生じさせる。
[0031]この減算法は、全ての非H+カチオン(例えば、Fe、Ni、Cr、Moのカチオン)が専らヨウ化物アニオンのみと会合すると仮定していることのために、比較的低いHI濃度(例えば約5重量%以下)を求めるためには信頼性に欠ける不正確な方法である。実際には、このプロセスにおいては、金属カチオンの相当部分がアセテートアニオンと会合する可能性がある。更に、これらの金属カチオンの多くは多原子価状態を有し、これによってこれらの金属と会合する可能性があるヨウ化物アニオンの量に関する推定に更により多い非信頼性が加えられる。最終的には、この方法は、特にHI濃度を直接表す単純な滴定を行う能力を考慮すると、実際のHI濃度の信頼性に欠ける測定値を生じさせる。
[0032]本発明における目的のためには、蒸留カラムの「オーバーヘッド」又は「留出物」は、蒸留カラムの頂部又はその付近(例えば頂部の隣接位置)において排出される少なくとも1つのより低沸点の凝縮性フラクション、及び/又はその流れ又は組成物の凝縮形
態を指す。明らかに、これも本発明における目的のためには、全てのフラクションは最終的には凝縮させることができ、凝縮性のフラクションは、当業者に容易に理解されるようにプロセス中に存在する条件下において凝縮させることができる。非凝縮性フラクションの例としては、窒素、水素などを挙げることができる。更に、オーバーヘッド流は蒸留カラムの最も上部の出口の直下において回収することができ、例えばここで最も低い沸点のフラクションは、当業者に容易に理解されるように非凝縮性の流れであるか或いは僅少な流れを表す。
態を指す。明らかに、これも本発明における目的のためには、全てのフラクションは最終的には凝縮させることができ、凝縮性のフラクションは、当業者に容易に理解されるようにプロセス中に存在する条件下において凝縮させることができる。非凝縮性フラクションの例としては、窒素、水素などを挙げることができる。更に、オーバーヘッド流は蒸留カラムの最も上部の出口の直下において回収することができ、例えばここで最も低い沸点のフラクションは、当業者に容易に理解されるように非凝縮性の流れであるか或いは僅少な流れを表す。
[0033]蒸留カラムの「塔底流」又は「残渣」とは、蒸留カラムの底部又はその付近において排出される(本発明においてはカラムの底部液溜まりから流出するとも言う)1以上の最も高い沸点のフラクションを指す。残渣は蒸留カラムの最も底部の出口の直上から回収することができ、例えばここでカラムによって産出される最も底部のフラクションは、当業者に容易に理解されるように、塩、使用できないタール、固体廃棄物、又は僅少な流れである。
[0034]本発明における目的のためには、蒸留カラムは蒸留区域及び底部液溜まり区域を含む。蒸留区域は、底部液溜まり区域の上方、即ち底部液溜まり区域とカラムの頂部との間の全てを含む。本発明における目的のためには、底部液溜まり区域とは、より高沸点の成分の液体貯留槽がその中に存在し、塔底流又は残渣流がカラムから排出される際にそれから流出する蒸留カラムの下部部分(例えば蒸留カラムの底部)を指す。底部液溜まり区域には、リボイラー、制御装置などを含ませることができる。
[0035]蒸留カラムの内部部品に関する「通路」、「流路」、「流動導管」などの用語は、それを通して配置されており、及び/又は、液体及び/又は蒸気が内部部品の一方の側から内部部品の他方の側へ移動するための流路を与える、孔、管、溝、スリット、ドレンなどを指すように互換的に用いられる。蒸留カラムの液体分配器のような構造体を通して配置される流路の例としては、構造体を通して液体を一方の側から他の側へ流動させることを可能にするドレン孔、ドレン管、ドレンスリットなどが挙げられる。
[0036]平均滞留時間は、蒸留区域内の所定の相に関する全液体保持体積の総計を、蒸留区域を通過するその相の平均流量で割った値として定義される。所定の相に関する保持体積には、回収器、分配器などをはじめとするカラムの種々の内部部品内に含まれる液体の体積、並びにトレー上、降下管内、及び/又は規則若しくは不規則充填床セクション内に含まれる液体を含めることができる。
リチウム化合物の導入:
[0037]本発明は、概して、反応器中にリチウム化合物を導入して、反応媒体中のヨウ化水素の低いレベルを維持することに関する。有利なことに、より低いヨウ化水素の量によって、反応器からの気体流などのシステム全体にわたるヨウ化水素の量が減少する。また、リチウム化合物を導入することによってロジウム触媒の安定化が促進され、それによりプロセス中において反応媒体中のより少ないヨウ化メチルを用いて好適な活性を達成することができる。リチウム化合物を導入しないと、反応媒体中のヨウ化メチル濃度が減少した場合には更なるロジウムが必要になる。而して一態様においては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;反応器中にリチウム化合物を導入し;そして、0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度、及び0.1〜1.3重量%の反応媒体中のヨウ化水素の濃度を維持する;ことを含み;反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、酢酸の製造方法が提
供される。次の量は、主カルボニル化反応器の反応媒体の全重量を基準とするものである。
[0037]本発明は、概して、反応器中にリチウム化合物を導入して、反応媒体中のヨウ化水素の低いレベルを維持することに関する。有利なことに、より低いヨウ化水素の量によって、反応器からの気体流などのシステム全体にわたるヨウ化水素の量が減少する。また、リチウム化合物を導入することによってロジウム触媒の安定化が促進され、それによりプロセス中において反応媒体中のより少ないヨウ化メチルを用いて好適な活性を達成することができる。リチウム化合物を導入しないと、反応媒体中のヨウ化メチル濃度が減少した場合には更なるロジウムが必要になる。而して一態様においては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;反応器中にリチウム化合物を導入し;そして、0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度、及び0.1〜1.3重量%の反応媒体中のヨウ化水素の濃度を維持する;ことを含み;反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、酢酸の製造方法が提
供される。次の量は、主カルボニル化反応器の反応媒体の全重量を基準とするものである。
[0038]反応器中に導入するリチウム化合物は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、他の有機リチウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一態様においては、リチウム化合物は反応混合物中に可溶である。一態様においては、リチウム化合物の源物質として酢酸リチウム二水和物を用いることができる。反応媒体中の酢酸リチウム濃度を0.3〜0.7重量%の量に維持する限りにおいては、リチウム化合物のタイプを変化させることができる。
[0039]酢酸リチウムは、次の平衡反応:
によってヨウ化水素と反応して、ヨウ化リチウム及び酢酸を形成する。
[0040]酢酸リチウムは、反応媒体中に存在する酢酸メチルのような他のアセテートに対してヨウ化水素濃度の改良された制御を与えると考えられる。理論には縛られないが、酢酸リチウムは酢酸の共役塩基であり、したがって酸−塩基反応によってヨウ化水素に対して反応性である。この特性は、酢酸メチルとヨウ化水素の対応する平衡によって生成するものを上回って反応生成物を有利に生成する反応(I)の平衡をもたらすと考えられる。この改良された平衡は、反応媒体中の4.1重量%以下の水の濃度によって推進される。更に、酢酸メチルと比べて比較的低い酢酸リチウムの揮発性によって、酢酸リチウムを、揮発損失及び蒸気粗生成物中への少量の同伴を除いて反応媒体中に保持することが可能になる。これに対して、酢酸メチルの比較的高い揮発性により、材料が精製系列中に留出して、酢酸メチルを制御するのがより困難になる。酢酸リチウムは、ヨウ化水素の安定して低い濃度において、プロセス中に保持及び制御するのが遙かにより容易である。したがって、反応媒体中のヨウ化水素濃度を制御するのに必要な酢酸メチルの量と比べて比較的少量の酢酸リチウムを用いることができる。更に、酢酸リチウムはロジウム[I]錯体へのヨウ化メチルの酸化的付加を促進するのに酢酸メチルよりも少なくとも3倍有効であることが見出された。
[0040]酢酸リチウムは、反応媒体中に存在する酢酸メチルのような他のアセテートに対してヨウ化水素濃度の改良された制御を与えると考えられる。理論には縛られないが、酢酸リチウムは酢酸の共役塩基であり、したがって酸−塩基反応によってヨウ化水素に対して反応性である。この特性は、酢酸メチルとヨウ化水素の対応する平衡によって生成するものを上回って反応生成物を有利に生成する反応(I)の平衡をもたらすと考えられる。この改良された平衡は、反応媒体中の4.1重量%以下の水の濃度によって推進される。更に、酢酸メチルと比べて比較的低い酢酸リチウムの揮発性によって、酢酸リチウムを、揮発損失及び蒸気粗生成物中への少量の同伴を除いて反応媒体中に保持することが可能になる。これに対して、酢酸メチルの比較的高い揮発性により、材料が精製系列中に留出して、酢酸メチルを制御するのがより困難になる。酢酸リチウムは、ヨウ化水素の安定して低い濃度において、プロセス中に保持及び制御するのが遙かにより容易である。したがって、反応媒体中のヨウ化水素濃度を制御するのに必要な酢酸メチルの量と比べて比較的少量の酢酸リチウムを用いることができる。更に、酢酸リチウムはロジウム[I]錯体へのヨウ化メチルの酸化的付加を促進するのに酢酸メチルよりも少なくとも3倍有効であることが見出された。
[0041]更に、理論には縛られないが、酢酸リチウムはロジウム[I]錯体へのヨウ化メチルの酸化的付加を促進するのに酢酸メチルよりも少なくとも3倍有効である。
[0042]有利なことに、酢酸リチウムの特定の濃度を維持することによって、ヨウ化水素のより低い濃度を維持することが促進され、またこれによって望ましくない水性ガスシフト反応が低下する。而して、0.3〜0.7重量%の酢酸リチウム濃度を維持することによって、水性ガスシフト反応を減少させる大きな利益が与えられる。水性ガスシフト反応を抑制するのに加えて、付随してヨウ化水素の量を制御すると共にリチウム化合物を加えることによって、反応器及びフラッシュ容器内における腐食の減少が促進される。
[0042]有利なことに、酢酸リチウムの特定の濃度を維持することによって、ヨウ化水素のより低い濃度を維持することが促進され、またこれによって望ましくない水性ガスシフト反応が低下する。而して、0.3〜0.7重量%の酢酸リチウム濃度を維持することによって、水性ガスシフト反応を減少させる大きな利益が与えられる。水性ガスシフト反応を抑制するのに加えて、付随してヨウ化水素の量を制御すると共にリチウム化合物を加えることによって、反応器及びフラッシュ容器内における腐食の減少が促進される。
[0043]水性ガスシフト反応を抑制するのに加えて、付随してヨウ化水素の量を制御すると共に酢酸リチウムの濃度を維持することによって、反応器及びフラッシュ容器内における腐食の減少が促進される。
[0044]反応媒体の成分は、好ましくは酢酸の十分な生成を確保するために規定範囲内に維持する。かかる条件下でのカルボニル化反応によって、有利なことに、ヨウ化水素からの腐食効果を減少させながら反応の促進が達成される。
[0045]幾つかの態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.3重量%以上、又は0.35重量%以上、又は0.4重量%以上、又は0.45重量%以上、或いは0.5重量%以上に維持し、及び/又は幾つかの態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.7重量%以下、又は0.65重量%以下、又は0.6重量%以下、或いは0.55重量%以下に維持する。一態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.3〜0.7重量%、例えば0.3〜0.6重量%、0.35〜0.6重量%、0.35〜0.55重量%、又は0.35〜0.45重量%になるように維持する。反応媒体中の過度に多い、例えば0.7重量%より多い酢酸リチウムは、反応媒体中の他の化合物に悪影響を与えて生産性を減少させる可能性がある。また、固体としての酢酸リチウムは相当な蒸気圧を有しているので、酢酸リチウムはフラッシュ容器内で揮発性である可能性があり、反応媒体中の酢酸リチウムを0.7重量%より多く増加させると、更にリチウムが精製システム内において蓄積する可能性がある。これとは逆に、酢酸リチウム濃度が0.3重量%より低く低下すると、ヨウ化水素濃度が十分に制御されない。
[0046]酢酸リチウムをかかる濃度に維持するために、リチウム化合物を加えることができる。リチウム化合物は、連続的、断続的、又は始動中に導入することができる。好ましくは、リチウム化合物は同伴損失を補償するために断続的に導入する。上述したように、低い揮発性のために同伴損失は低いので、リチウム塩の導入は長いサイクルで行うことができる。
[0047]酢酸製造システム内の他の位置、即ち蒸留カラムにおいては、メタノール及び/又は水酸化カリウムのような他の化合物によってヨウ化水素を制御することができる。しかしながら、反応器に導入されるメタノールは速やかに酢酸メチル及び酢酸に転化するので、ヨウ化水素に関するこれらの制御は、反応器内においては利用できない。有益なことに、酢酸リチウム濃度の制御の結果として、反応媒体中のヨウ化水素を、0.1〜1.3重量%、例えば0.1〜1重量%、又は0.2〜0.8重量%の量に制御することができる。ヨウ化水素は、水の濃度が4.1重量%以下である場合により揮発性であることが知られており、低水条件、例えば0.1〜4.1重量%の水濃度下において反応を運転する場合には、反応器から排出される気体流中に揮発性のヨウ化水素が存在する可能性がある。本発明はヨウ化水素を有利に減少させ、これによって、より少ないヨウ化水素及び気体流中のより少ない水素がフラッシュ容器に排出される。反応器からの気体流を処理して有機化合物及びヨウ化物成分を回収するが、気体流中の増加した量のヨウ化水素によって処理システムの需要が増加する。通常は、処理システムは、スクラバー、ストリッパー、又は圧力スイング吸収器のような吸収器である。一態様においては、気体流は、1重量%以下、例えば0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下の量のヨウ化水素を含み、及び/又は気体流は、0.001重量%以上、例えば0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上の量のヨウ化水素を含む。また、処理された気体流は反応器に戻され、処理システムによってパージされないので、リチウム化合物を導入することによってヨウ化水素を減少させることも有用である。而して一態様においては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し、ここで反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し;反応器中にリチウム化合物を導入し;0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持し;反応器から気体流を排出し、ここで気体流は1重量%以下の量のヨウ化水素を含み;そして、反応媒体から酢酸を回収する;ことを含む方法が提供される。
[0048]他の方法では、ヨウ化水素含量を計算によって間接的に求めている。例えば、米国公開2013/0310603においては、ヨウ化物塩の形態から誘導されるヨウ化物イオン濃度(共触媒及び金属ヨウ化物から誘導されるヨウ化物を含む)を、ヨウ化物イオ
ン(I−)の全濃度から減じることによって、ヨウ化物イオン濃度を計算することができることが示されている。かかる間接的な計算方法は通常は不正確であり、主として基礎をなすイオン測定方法の不正確さのために実際のヨウ化水素濃度の劣った指示をもたらす。更に、この間接的計算法は、金属カチオンが測定され、これがヨウ化物アニオンのみと完全に会合すると誤って仮定され、一方、実際には、金属カチオンはアセテート及び触媒アニオンのような他のアニオンと会合する可能性があるので、他のヨウ化物形態を計上することができない。これに対して、本明細書において記載するヨウ化水素濃度の直接測定は、有利なことに系中の実際のヨウ化水素濃度を反映しており、0.01%のような低い値の正確性を与えることができる。
ン(I−)の全濃度から減じることによって、ヨウ化物イオン濃度を計算することができることが示されている。かかる間接的な計算方法は通常は不正確であり、主として基礎をなすイオン測定方法の不正確さのために実際のヨウ化水素濃度の劣った指示をもたらす。更に、この間接的計算法は、金属カチオンが測定され、これがヨウ化物アニオンのみと完全に会合すると誤って仮定され、一方、実際には、金属カチオンはアセテート及び触媒アニオンのような他のアニオンと会合する可能性があるので、他のヨウ化物形態を計上することができない。これに対して、本明細書において記載するヨウ化水素濃度の直接測定は、有利なことに系中の実際のヨウ化水素濃度を反映しており、0.01%のような低い値の正確性を与えることができる。
[0049]この直接測定を用いることによって、ヨウ化水素のより正確な測定が与えられる。このようにして、酢酸リチウム濃度をより効率的に維持及び/又は制御することができる。例えば、ヨウ化水素濃度が所定の閾値、例えば1.3重量%の濃度、を超える場合には、例えばここに記載する上述の方法の1つによって反応器内の酢酸リチウム濃度を上昇させることができる。幾つかの態様においては、反応器から排出される部分を測定して、反応媒体中のヨウ化水素濃度を求めることができる。而して一態様においては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;反応器から反応媒体の一部を排出し;反応媒体の排出された部分のヨウ化水素濃度を測定し;測定されたヨウ化水素濃度に応答して反応器中にリチウム化合物を導入し;反応媒体の排出された部分をフラッシュ容器内において分離して、液体再循環流及び蒸気生成物流を形成し;反応媒体から酢酸を回収する;ことを含む、酢酸の製造方法が提供される。
反応媒体:
[0050]本発明によれば、反応媒体中の酢酸リチウム濃度を0.3〜0.7重量%、例えば0.3〜0.6重量%、0.35〜0.6重量%、0.35〜0.55重量%、又は0.35〜0.45重量%に維持すると、反応媒体の成分を特定の濃度の範囲内に維持して商業的に実現可能な生産速度を達成することもできる。
[0050]本発明によれば、反応媒体中の酢酸リチウム濃度を0.3〜0.7重量%、例えば0.3〜0.6重量%、0.35〜0.6重量%、0.35〜0.55重量%、又は0.35〜0.45重量%に維持すると、反応媒体の成分を特定の濃度の範囲内に維持して商業的に実現可能な生産速度を達成することもできる。
[0051]一態様においては、カルボニル化反応は、無水条件を回避するように含水条件で行う。より好ましくは、カルボニル化反応は低水条件下で行う。米国特許5,001,259(その全部を参照として本明細書中に包含する)において記載されているように、水を減少させると、反応媒体から酢酸を回収するのに必要なエネルギーが減少する。一態様においては、反応媒体中の水の濃度は、0.1〜4.1重量%、例えば0.1〜3.1重量%、又は0.5〜2.8重量%の量に維持する。特に反応媒体中において4.1重量%を超える水濃度は、ヨウ化水素を低い揮発性を有するイオンに解離させる傾向がある。その一方で、水濃度が4.1重量%以下である場合には、ヨウ化水素は主として比較的高い揮発性を有する分子状気体の状態を維持する。而して、低水条件下においてヨウ化水素濃度を例えば0.1〜4.1重量%に制御することによって、ヨウ化水素が精製系列中に送られるのが回避され、その結果生じる腐食に関係する問題が回避されるという直接的な利益が与えられる。有利なことに、本発明は、0.3〜0.7重量%、例えば0.3〜0.6重量%、0.35〜0.6重量%、0.35〜0.55重量%、又は0.35〜0.45重量%の反応媒体中の酢酸リチウム濃度を維持することによって、低いヨウ化水素を達成する。
[0052]一態様においては、反応媒体は、300〜3000wppm、例えば400〜3000wppm、又は500〜1500wppmの量の濃度のロジウム触媒を含む。一般に、反応媒体中のロジウム触媒の量は、ロジウム触媒が沈殿又は酢酸生成物中に同伴することによる損失を回避するためにその寿命全体にわたって安定でなければならない。これ
により、過剰のロジウム触媒を加えることが回避される。また、ロジウムの価格による過剰のコストを回避するために、1500wppm以下、例えば1250wppm以下、1000wppm以下、900wppm以下のロジウム濃度で反応を運転することがより効率的である。
により、過剰のロジウム触媒を加えることが回避される。また、ロジウムの価格による過剰のコストを回避するために、1500wppm以下、例えば1250wppm以下、1000wppm以下、900wppm以下のロジウム濃度で反応を運転することがより効率的である。
[0053]一態様においては、反応媒体中のヨウ化メチルの濃度は、4〜13.9重量%、例えば4〜13重量%、4.1〜12重量%、4.1〜11重量%、又は4.2〜10重量%になるように維持する。ヨウ化メチル及び酢酸リチウムは酢酸メチル及びヨウ化リチウムと平衡状態で存在するので、ヨウ化メチルの濃度を好ましい運転濃度の範囲内に維持するために、0.3重量%〜0.7重量%の酢酸リチウムの濃度を維持することが望ましい。更に、0.3重量%以上の量の酢酸リチウムを用いることによって、反応媒体中のヨウ化メチルの量を有利に低下させることができる。而して、フラッシュ容器上の蒸気からより少ないヨウ化メチルしか回収する必要がなく、これによって蒸留カラムの脱隘路をもたらすことができる。一態様においては、フラッシュ容器上の蒸気は、24乃至36重量%以下の量のヨウ化メチルを含む。
[0054]一態様においては、反応媒体中の酢酸メチルの濃度は、0.6〜4.1重量%、例えば1.8〜3.9重量%、又は2〜3.5重量%に維持する。ヨウ化メチル及び酢酸リチウムは酢酸メチル及びヨウ化リチウムと平衡状態で存在するので、酢酸メチルの濃度を好ましい運転濃度の範囲内に維持するために、0.3重量%〜0.7重量%の酢酸リチウムの濃度を維持することが望ましい。
[0055]反応媒体中のヨウ化物塩、例えばヨウ化リチウムの濃度は特に限定されないが、一般に酢酸メチル及びヨウ化メチルよりも多い量のヨウ化物塩を存在させる。本発明の目的のためには、ヨウ化物塩、及びしたがってヨウ化物塩濃度はヨウ化水素は含まない。一態様においては、ヨウ化物塩、例えばヨウ化リチウムは、2〜20重量%、例えば8〜14重量%の量で維持することができる。酢酸リチウムの比較的低い装填量と比べて、ヨウ化物塩と酢酸リチウムとの重量比は、5:1以上、例えば10:1以上、5:1〜25:1、10:1〜25:1である。
[0056]ロジウム触媒及び促進剤に加えて、反応媒体は酢酸も含み、これは溶媒として機能させることができる。反応媒体中の酢酸の濃度は、一般に30重量%以上、例えば40重量%以上、又は50重量%以上の量である。
[0057]メタノールは連続反応条件下においてヨウ化メチル及び酢酸メチルに速やかに転化するので、反応媒体中のメタノール濃度は一般に低い。而して、メタノールを加えることは、反応媒体中のヨウ化水素濃度に関する好適な制御を与えるとは考えられない。一態様においては、反応媒体中のメタノール濃度は、1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.2重量%以下であってよい。
反応工程:
[0058]図1において、代表的な反応及び酢酸回収システム100を示す。示されているように、メタノール含有供給流101及び一酸化炭素含有供給流102を液相カルボニル化反応器105に送って、そこでカルボニル化反応を行って酢酸を形成する。
[0058]図1において、代表的な反応及び酢酸回収システム100を示す。示されているように、メタノール含有供給流101及び一酸化炭素含有供給流102を液相カルボニル化反応器105に送って、そこでカルボニル化反応を行って酢酸を形成する。
[0059]メタノール含有供給流101には、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種類の構成成分を含ませることができる。メタノール含有供給流101は、一部を新しい供給流から誘導することができ、或いはシステムから再循環することができる。メタノール及び/又はその反応性誘導体の少なくとも一部は、反応媒体中において、酢酸とのエステル化によって酢酸メチルに転化して、した
がって酢酸メチルとして存在する。
がって酢酸メチルとして存在する。
[0060]カルボニル化のための通常の反応温度は150〜250℃であり、180〜225℃の温度範囲が好ましい範囲である。反応器内の一酸化炭素分圧は広範囲に変化させることができるが、通常は2〜30気圧、例えば3〜10気圧である。触媒活性を維持するために、反応器内の水素分圧は、0.05〜2気圧、例えば1〜1.9気圧にすることができる。しかしながら、これらのより高い水素分圧は不純物/副生成物の形成を増加させる傾向がある。幾つかの態様においては、本発明は、0.05気圧以下、例えば0.04気圧以下、0.03気圧以下、又は0.02気圧以下のより低い水素分圧を用いて運転することができる。不純物/副生成物の形成を減少させるためにより低い水素分圧を用いることができるが、触媒活性に対する影響のために回避される。有利には、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は0.3〜0.7重量%に維持されるので、本発明はより低い水素分圧で運転することができる。一態様においては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し、ここで反応器は0.05気圧以下の水素分圧を有し;反応器中にリチウム化合物を導入し;そして、0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持する;ことを含み;反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する方法が提供される。
[0061]副生成物の分圧及び含まれている液体の蒸気圧のために、全反応器圧力は15〜40気圧の範囲であってよい。酢酸の生産速度は、5〜50モル/L・時、例えば10〜40モル/L・時、好ましくは15〜35モル/L・時にすることができる。生産速度によって求められるより高い触媒活性は、0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持することによって達成することができる。一態様においては、0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持すると、10モル/L・時以上、例えば15モル/L・時以上、又は20モル/L・時以上になる。
[0062]一態様においては、酢酸の生産速度は10モル/L・時〜40モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%に維持する。
[0063]一態様においては、酢酸の生産速度は15モル/L・時〜35モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を900〜1500wppmに維持し、水の濃度を0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する。
[0064]カルボニル化反応器105は、好ましくは機械撹拌容器、抽出又はポンプアラウンド混合を伴う容器、或いは撹拌装置を有するか又は有しないバブルカラムタイプの容器のいずれかであり、これらの中で反応液又はスラリー内容物を好ましくは自動的に所定のレベルに維持し、これを好ましくは通常運転中において実質的に一定に維持する。反応媒体中における好適な濃度を維持するために必要な場合には、カルボニル化反応器105中に、新しいメタノール、一酸化炭素、及び十分な水を連続的に導入する。
[0065]本発明の目的のためには、金属触媒はロジウム触媒である。ロジウム触媒は、当該技術において周知なように、ロジウムが触媒溶液中に[Rh(CO)2I2]−アニオ
ンを含む平衡混合物として存在するような任意の好適な形態で加えることができる。本明細書に記載するプロセスの反応混合物中に場合によって保持されるヨウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、第4級アンモニウム、ホスホニウム塩、或いはこれらの混合物の形態であってよい。幾つかの態様においては、触媒共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成させる非ヨウ化物塩として加えることができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応システム中に直接導入することができる。或いは、反応システムの運転条件下においては、広範囲の非ヨウ化物塩前駆体が反応媒体中のヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応して対応する共促進剤ヨウ化物塩安定剤を生成させるので、ヨウ化物塩をin-situで生成させることがで
きる。ロジウム触媒反応及びヨウ化物塩の生成に関する更なる詳細に関しては、米国特許5,001,259;5,026,908;5,144,068;及び7,005,541(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)を参照。
ンを含む平衡混合物として存在するような任意の好適な形態で加えることができる。本明細書に記載するプロセスの反応混合物中に場合によって保持されるヨウ化物塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の可溶性塩、第4級アンモニウム、ホスホニウム塩、或いはこれらの混合物の形態であってよい。幾つかの態様においては、触媒共促進剤は、ヨウ化リチウム、酢酸リチウム、又はこれらの混合物である。塩共促進剤は、ヨウ化物塩を生成させる非ヨウ化物塩として加えることができる。ヨウ化物触媒安定剤は、反応システム中に直接導入することができる。或いは、反応システムの運転条件下においては、広範囲の非ヨウ化物塩前駆体が反応媒体中のヨウ化メチル又はヨウ化水素酸と反応して対応する共促進剤ヨウ化物塩安定剤を生成させるので、ヨウ化物塩をin-situで生成させることがで
きる。ロジウム触媒反応及びヨウ化物塩の生成に関する更なる詳細に関しては、米国特許5,001,259;5,026,908;5,144,068;及び7,005,541(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)を参照。
[0066]触媒系のハロゲン含有触媒促進剤は、有機ハロゲン化物を含むハロゲン化合物から構成される。而して、アルキル、アリール、及び置換アルキル又はアリールハロゲン化物を用いることができる。好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤はアルキルハロゲン化物の形態で存在する。更により好ましくは、ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキル基がカルボニル化する供給アルコールのアルキル基に対応しているアルキルハロゲン化物の形態で存在する。而して、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤としては、ハロゲン化メチル、より好ましくはヨウ化メチルを挙げることができる。
[0067]幾つかの態様においては、反応媒体中に、所望のカルボン酸とアルコール、望ましくはカルボニル化において用いるアルコールとのエステル、並びにヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンの他に更なるヨウ化物イオンを保持することによって、低い水濃度においても所望の反応速度が得られる。所望のエステルは酢酸メチルである。更なるヨウ化物イオンは望ましくはヨウ化物塩であり、ヨウ化リチウム(LiI)が好ましい。米国特許5,001,259に記載されているように、低い水濃度下においては、酢酸メチル及びヨウ化リチウムは、比較的高い濃度のこれらの成分のそれぞれが存在している場合にのみ速度促進剤として機能し、これらの成分の両方が同時に存在している場合に促進がより高いことが分かっている。
[0068]メタノールの酢酸生成物へのカルボニル化反応は、メタノール供給流を、カルボニル化生成物を形成するのに好適な温度及び圧力の条件において、ロジウム触媒、ヨウ化メチル促進剤、酢酸メチル、及び更なる可溶性ヨウ化物塩を含む酢酸溶媒反応媒体を通してバブリングさせている気体状一酸化炭素と接触させることによって行うことができる。一般に、重要なのはヨウ化物と会合するカチオンではなく、触媒系中のヨウ化物イオンの濃度であり、ヨウ化物の所定のモル濃度においては、カチオンの性質はヨウ化物濃度の効果ほどは重要ではないと認識される。塩がヨウ化物の所望のレベルを与えるのに十分に反応媒体中に可溶であるならば、任意の金属ヨウ化物塩、又は任意の有機カチオンの任意のヨウ化物塩、或いはアミン若しくはホスフィン化合物をベースとするもののような他のカチオン(場合によっては第3級又は第4級カチオン)を反応媒体中に保持することができる。ヨウ化物が金属塩である場合には、好ましくはこれは、"Handbook of Chemistry and
Physics", CRC Press刊, Cleveland, Ohio, 2002-03(83版)に示されているような周期
律表第IA族及び第IIA族の金属からなる群の元素のヨウ化物塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。
Physics", CRC Press刊, Cleveland, Ohio, 2002-03(83版)に示されているような周期
律表第IA族及び第IIA族の金属からなる群の元素のヨウ化物塩である。特に、アルカリ金属ヨウ化物が有用であり、ヨウ化リチウムが特に好適である。
[0069]1つの代表的な態様においては、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度は800〜3000wppmに維持し、水の濃度は0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は0.1〜1重量%に維持する。反応媒体には更に、4〜1
3.9重量%の量のヨウ化メチル、及び2〜20重量%の量のヨウ化物塩を含ませることができる。
3.9重量%の量のヨウ化メチル、及び2〜20重量%の量のヨウ化物塩を含ませることができる。
[0070]他の代表的な態様においては、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度は0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度は900〜1500wppmに維持し、水の濃度は0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度は2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度は反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する。反応媒体には更に、4〜13.9重量%の量のヨウ化メチル、及び2〜20重量%の量のヨウ化物塩を含ませることができる。
[0071]反応媒体はまた、副生成物の形成を回避するために制御しなければならない不純物も含む可能性がある。反応媒体中の1つの不純物はヨウ化エチルである可能性があり、これは酢酸から分離することが困難である。本出願人らは、ヨウ化エチルの形成は、反応媒体中のアセトアルデヒド、酢酸エチル、酢酸メチル、及びヨウ化メチルの濃度などの数多くの変数によって影響を受ける可能性があることを更に見出した。更に、メタノール源物質中のエタノール含量、一酸化炭素源物質中の水素分圧及び水素含量は、反応媒体中のヨウ化エチル濃度、及びその結果として最終酢酸生成物中のプロピオン酸濃度に影響を与えることが見出された。
[0072]幾つかの態様においては、酢酸生成物中のプロピオン酸濃度は、更に、酢酸生成物からプロピオン酸を除去することなく、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750wppm以下に維持することによって250wppmより低く維持することができる。
[0073]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度と、酢酸生成物中のプロピオン酸は、3:1〜1:2の重量比で存在していてよい。幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒド:ヨウ化エチル濃度は、2:1〜20:1の重量比に維持する。
[0074]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度は、水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、ヨウ化メチル濃度、及び/又はアセトアルデヒド濃度の少なくとも1つを制御することによって維持することができる。
[0075]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、750wppm以下、又は例えば650wppm以下、又は550wppm以下、又は450wppm以下、或いは350wppm以下になるように維持/制御する。幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、1wppm、又は例えば5wppm、又は10wppm、又は20wppm、或いは25wppm以上で、650wppm、又は例えば550wppm、又は450wppm、或いは350wppm以下に維持/制御する。
[0076]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルと酢酸生成物中のプロピオン酸との重量比は、3:1〜1:2、又は例えば5:2〜1:2、又は2:1〜1:2、或いは3:2〜1:2の範囲であってよい。
[0077]幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒドとヨウ化エチルとの重量比は、20:1〜2:1、又は例えば15:1〜2:1、或いは9:1〜2:1の範囲であってよい。
[0078]通常のカルボニル化プロセスにおいては、一酸化炭素をカルボニル化反応器中の望ましくは撹拌装置(内容物を撹拌するために用いることができる)の下方に連続的に導入する。気体供給流は、好ましくは、この撹拌手段によって反応液体を通して十分に分散
される。望ましくは気体パージ流106を反応器105から排出して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。一態様においては、気体パージ流106は、1重量%以下、例えば0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下の少量のヨウ化水素を含み、及び/又は気体流は、0.001重量%以上、例えば0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上の量のヨウ化水素を含む。上述したように、これらの量を超えるヨウ化水素は、処理システム、例えばストリッパー、スクラバー、又は吸収器に対する負荷を増加させてヨウ化水素がパージされるのを妨げる可能性がある。反応器の温度は制御することができ、一酸化炭素供給流は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。液体反応媒体を含む流れ113が反応器105から排出される。
される。望ましくは気体パージ流106を反応器105から排出して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、所定の全反応器圧力において設定一酸化炭素分圧を維持する。一態様においては、気体パージ流106は、1重量%以下、例えば0.9重量%以下、0.8重量%以下、0.7重量%以下、0.6重量%以下、0.5重量%以下の少量のヨウ化水素を含み、及び/又は気体流は、0.001重量%以上、例えば0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上の量のヨウ化水素を含む。上述したように、これらの量を超えるヨウ化水素は、処理システム、例えばストリッパー、スクラバー、又は吸収器に対する負荷を増加させてヨウ化水素がパージされるのを妨げる可能性がある。反応器の温度は制御することができ、一酸化炭素供給流は、所望の全反応器圧力を維持するのに十分な速度で導入する。液体反応媒体を含む流れ113が反応器105から排出される。
[0079]酢酸製造システムは、好ましくは、酢酸を回収し、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び他のシステム成分をプロセス内で再循環するのに用いる分離システム108を含む。1以上の再循環流を、反応器中に導入する前に混合することができる。分離システムはまた、好ましくは、カルボニル化反応器内の水及び酢酸の含量を制御する。一態様においては、分離システムはまた、過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)を除去することもできる。PRCとしては、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、及びこれらのアルドール縮合生成物を挙げることができる。一態様においては、好適な過マンガンカリウム試験はJIS−K1351(2007)である。
[0080]反応媒体を、カルボニル化反応器105から、その中の一定のレベルを維持するのに十分な速度で引き抜き、流れ113を通してフラッシュ容器110に供給する。フラッシュ分離は、80℃〜200℃の温度において、1〜10気圧の絶対圧下で行うことができる。反応媒体をフラッシュ分離工程で分離して、酢酸を含む蒸気生成物流112、及び触媒含有溶液を含む液体再循環流111を得る。酢酸リチウムは触媒含有溶液中に保持され、好ましくはフラッシュ容器内で気化されない。少量の同伴酢酸リチウムが存在し、これは周期的な断続的置換が必要である。触媒含有溶液は、主として、ロジウムを、より小量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、酢酸リチウム、及び水と一緒に含む酢酸であってよく、これは上記で議論したように反応器に再循環する。液体再循環流を反応器に戻す前に、米国特許5,731,252(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、スリップ流をイオン交換樹脂のような腐食金属除去床に通して、ニッケル、鉄、クロム、及びモリブデンのような同伴腐食金属を除去することができる。また、米国特許8,697,908(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているように、腐食金属除去床を用いてアミンのような窒素化合物を除去することができる。
[0081]酢酸に加えて、蒸気生成物流112はまた、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、PRC、及び他のヨウ化物化合物も含む。反応器105から排出されてフラッシュ容器110に導入される溶解ガスは、一酸化炭素の一部を含み、またメタン、水素、及び二酸化炭素のような気体副生成物も含む可能性がある。かかる溶解ガスは、蒸気生成物流112の一部としてフラッシュ容器110から排出される。一態様においては、気体パージ流106中の一酸化炭素をフラッシュ容器110の基部に供給して、ロジウムの安定性を向上させることができる。
[0082]一態様においては、蒸気生成物流112は、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、アセトアルデヒド、及びヨウ化水素を含む。一態様においては、蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の全重量を基準として45〜75重量%の量の酢酸、20〜50重量%の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含
む。他の態様においては、蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の全重量を基準として45〜75重量%の量の酢酸、24乃至36重量%以下の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。より好ましくは、蒸気生成物流112は、55〜75重量%の量の酢酸、24〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜8重量%の量の酢酸メチル、及び0.5〜14重量%の量の水を含む。更に好ましい態様においては、蒸気生成物流112は、60〜70重量%の量の酢酸、25〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜6.5重量%の量の酢酸メチル、及び1〜8重量%の量の水を含む。蒸気生成物流中のアセトアルデヒド濃度は、蒸気生成物流の全重量を基準として0.005〜1重量%、例えば0.01〜0.8重量%、又は0.01〜0.7重量%の量であってよい。幾つかの態様においては、アセトアルデヒドは0.01重量%以下の量で存在していてよい。蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の全重量を基準として1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.1重量%以下の量のヨウ化水素を含んでいてよい。蒸気生成物流112は、好ましくはプロピオン酸を実質的に含まず、即ち蒸気生成物流の全重量を基準として0.0001重量%以下のプロピオン酸を含む。
む。他の態様においては、蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の全重量を基準として45〜75重量%の量の酢酸、24乃至36重量%以下の量のヨウ化メチル、9重量%以下の量の酢酸メチル、及び15重量%以下の量の水を含む。より好ましくは、蒸気生成物流112は、55〜75重量%の量の酢酸、24〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜8重量%の量の酢酸メチル、及び0.5〜14重量%の量の水を含む。更に好ましい態様においては、蒸気生成物流112は、60〜70重量%の量の酢酸、25〜35重量%の量のヨウ化メチル、0.5〜6.5重量%の量の酢酸メチル、及び1〜8重量%の量の水を含む。蒸気生成物流中のアセトアルデヒド濃度は、蒸気生成物流の全重量を基準として0.005〜1重量%、例えば0.01〜0.8重量%、又は0.01〜0.7重量%の量であってよい。幾つかの態様においては、アセトアルデヒドは0.01重量%以下の量で存在していてよい。蒸気生成物流112は、蒸気生成物流の全重量を基準として1重量%以下、例えば0.5重量%以下、又は0.1重量%以下の量のヨウ化水素を含んでいてよい。蒸気生成物流112は、好ましくはプロピオン酸を実質的に含まず、即ち蒸気生成物流の全重量を基準として0.0001重量%以下のプロピオン酸を含む。
[0083]液体再循環流111は、酢酸、金属触媒、腐食金属、並びに他の種々の化合物を含む。一態様においては、液体再循環流は、60〜90重量%の量の酢酸、0.01〜0.5重量%の量の金属触媒、10〜2500wppmの合計量の腐食金属(例えば、ニッケル、鉄、及びクロム)、5〜20重量%の量のヨウ化リチウム、0.5〜5重量%の量のヨウ化メチル、0.1〜5重量%の量の酢酸メチル、0.1〜8重量%の量の水、1重量%以下の量のアセトアルデヒド(例えば0.0001〜1重量%のアセトアルデヒド)、及び0.5重量%以下の量のヨウ化水素(例えば0.0001〜0.5重量%のヨウ化水素)を含む。
酢酸の回収:
[0084]酢酸の蒸留及び回収は、本発明の目的のためには特に制限されない。
第1のカラム:
[0085]図1に示されるように、蒸気生成物流112は、ライトエンドカラムとも呼ぶ第1のカラム120に送る。蒸留によって、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122、好ましくは側流124によって取り出される精製された酢酸生成物、及び高沸点の残渣流121が生成する。一態様においては、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びカルボニル不純物を含む。低沸点のオーバーヘッド蒸気流122中の水の量は一般に5重量%以上である。側流124は、90〜98重量%の量の酢酸、1〜2.5重量%の量の水、0.1〜5重量%の量のヨウ化メチル、及び0.1〜5重量%の量の酢酸メチルを含む可能性がある。側流124によって取り出される酢酸は、好ましくは、乾燥カラムとも呼ぶ第2のカラム125などにおける更なる精製にかける。第2のカラム125は、側流124を分離して、主として水を含むオーバーヘッド流126、及び主として酢酸を含む塔底流127を形成する。オーバーヘッド流126は50〜75重量%の量の水を含む可能性がある。また、酢酸メチル及びヨウ化メチルが側流から取り出されて、オーバーヘッド流126中に濃縮される。
[0084]酢酸の蒸留及び回収は、本発明の目的のためには特に制限されない。
第1のカラム:
[0085]図1に示されるように、蒸気生成物流112は、ライトエンドカラムとも呼ぶ第1のカラム120に送る。蒸留によって、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122、好ましくは側流124によって取り出される精製された酢酸生成物、及び高沸点の残渣流121が生成する。一態様においては、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びカルボニル不純物を含む。低沸点のオーバーヘッド蒸気流122中の水の量は一般に5重量%以上である。側流124は、90〜98重量%の量の酢酸、1〜2.5重量%の量の水、0.1〜5重量%の量のヨウ化メチル、及び0.1〜5重量%の量の酢酸メチルを含む可能性がある。側流124によって取り出される酢酸は、好ましくは、乾燥カラムとも呼ぶ第2のカラム125などにおける更なる精製にかける。第2のカラム125は、側流124を分離して、主として水を含むオーバーヘッド流126、及び主として酢酸を含む塔底流127を形成する。オーバーヘッド流126は50〜75重量%の量の水を含む可能性がある。また、酢酸メチル及びヨウ化メチルが側流から取り出されて、オーバーヘッド流126中に濃縮される。
デカンター:
[0086]第1のカラム120から分離される低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水のような反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持することが好ましい。低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は熱交換器によって流れ133に凝縮し、これは反応器105に再循環及び/又は第1のカラム120に還流することができる。オフガス成分は、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流124からライン132を通して排出することができる。
[0086]第1のカラム120から分離される低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水のような反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持することが好ましい。低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は熱交換器によって流れ133に凝縮し、これは反応器105に再循環及び/又は第1のカラム120に還流することができる。オフガス成分は、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流124からライン132を通して排出することができる。
[0087]幾つかの態様においては、低沸点のオーバーヘッド蒸気流122は、好ましくは
凝縮して、オーバーヘッドデカンター(図示せず)のようなオーバーヘッド相分離ユニットに送ることができる。条件は、望ましくは、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122がデカンター内に入ったら、これを分離して、水が富化された軽質液相、及びヨウ化メチルが富化された重質液相を形成することができるように維持する。相分離は、相の間に第3の相又はエマルジョンを形成することなく2つの別々の相を維持しなければならない。オフガス成分はデカンターから排出することができる。幾つかの態様においては、オーバーヘッドデカンター内における凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122の平均滞留時間は、1分間以上、例えば3分間以上、5分間以上、10分間以上であり、及び/又は平均滞留時間は、60分間以下、例えば45分間以下、又は30分間以下、或いは25分間以下である。更に、オーバーヘッドデカンターは、低い界面レベルを維持してヨウ化メチルの過剰の保持を回避するように配置及び構成することができる。
凝縮して、オーバーヘッドデカンター(図示せず)のようなオーバーヘッド相分離ユニットに送ることができる。条件は、望ましくは、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122がデカンター内に入ったら、これを分離して、水が富化された軽質液相、及びヨウ化メチルが富化された重質液相を形成することができるように維持する。相分離は、相の間に第3の相又はエマルジョンを形成することなく2つの別々の相を維持しなければならない。オフガス成分はデカンターから排出することができる。幾つかの態様においては、オーバーヘッドデカンター内における凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122の平均滞留時間は、1分間以上、例えば3分間以上、5分間以上、10分間以上であり、及び/又は平均滞留時間は、60分間以下、例えば45分間以下、又は30分間以下、或いは25分間以下である。更に、オーバーヘッドデカンターは、低い界面レベルを維持してヨウ化メチルの過剰の保持を回避するように配置及び構成することができる。
第2のカラム:
[0088]乾燥カラム塔底流127は、好ましくは酢酸を含むか又はこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流127は、90重量%以上、例えば95重量%以上、又は98重量%以上の量の酢酸を含む。乾燥カラム塔底流127は、商業的利用のために貯蔵又は輸送する前に、例えばイオン交換樹脂に通すことによって更に処理することができる。
[0088]乾燥カラム塔底流127は、好ましくは酢酸を含むか又はこれから実質的に構成される。好ましい態様においては、乾燥カラム塔底流127は、90重量%以上、例えば95重量%以上、又は98重量%以上の量の酢酸を含む。乾燥カラム塔底流127は、商業的利用のために貯蔵又は輸送する前に、例えばイオン交換樹脂に通すことによって更に処理することができる。
[0089]同様に、第2のカラム125からのオーバーヘッド流126は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び水のような反応成分を含み、これらの反応成分はプロセス内に保持することが好ましい。オーバーヘッド流126は熱交換器によって流れ136に凝縮し、これは反応器105に再循環及び/又は第2のカラム125に還流する。オフガス成分は、凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流126からライン135を通して排出することができる。流れ133中の凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流と同様に、流れ136中の凝縮されたオーバーヘッド流も分離して水相及び有機相を形成することができ、これらの相は、反応媒体中における濃度を維持するために必要な場合には再循環又は還流することができる。
PRC除去システム:
[0090]示されてはいないが、軽質液相及び/又は重質液相のいずれかのような凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122の一部を分離して、アセトアルデヒド又はPRC除去システムに送って、アセトアルデヒド除去プロセス中にヨウ化メチル及び酢酸メチルを回収することができる。軽質液相及び/又は重質液相はそれぞれPRCを含み、この方法には、酢酸生成物の品質を悪化させるアセトアルデヒドのようなカルボニル不純物を除去することを含ませることができ、これらは米国特許6,143,930;6,339,171;7,223,883;7,223,886;7,855,306;7,884,237;8,889,904;及び米国公開2006/0011462;(これらはその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような好適な不純物除去カラム及び吸収剤で除去することができる。アセトアルデヒドのようなカルボニル不純物は、ヨウ化物触媒促進剤と反応してアルキルヨウ化物、例えばヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル等を形成する可能性がある。また、多くの不純物はアセトアルデヒドに由来するので、液体軽質相からカルボニル不純物を除去することが望ましい。
[0090]示されてはいないが、軽質液相及び/又は重質液相のいずれかのような凝縮された低沸点のオーバーヘッド蒸気流122の一部を分離して、アセトアルデヒド又はPRC除去システムに送って、アセトアルデヒド除去プロセス中にヨウ化メチル及び酢酸メチルを回収することができる。軽質液相及び/又は重質液相はそれぞれPRCを含み、この方法には、酢酸生成物の品質を悪化させるアセトアルデヒドのようなカルボニル不純物を除去することを含ませることができ、これらは米国特許6,143,930;6,339,171;7,223,883;7,223,886;7,855,306;7,884,237;8,889,904;及び米国公開2006/0011462;(これらはその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような好適な不純物除去カラム及び吸収剤で除去することができる。アセトアルデヒドのようなカルボニル不純物は、ヨウ化物触媒促進剤と反応してアルキルヨウ化物、例えばヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル等を形成する可能性がある。また、多くの不純物はアセトアルデヒドに由来するので、液体軽質相からカルボニル不純物を除去することが望ましい。
[0091]アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給される軽質液相及び/又は重質液相の部分は、軽質液相及び/又は重質液相のいずれかの質量流量の1%〜99%、例えば1〜50%、2〜45%、5〜40%、5〜30%、又は5〜20%で変化させることができる。また幾つかの態様においては、軽質液相及び重質液相の両方の一部をアセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給することができる。アセトアルデヒド又はPRC
除去システムに供給されない軽質液相の部分は、本明細書に記載するように第1のカラムに還流するか又は反応器に再循環することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない重質液相の部分は、反応器に再循環することができる。重質液相の一部を第1のカラムに還流することができるが、ヨウ化メチルが富化されている重質液相を反応器に戻すことがより望ましい。
除去システムに供給されない軽質液相の部分は、本明細書に記載するように第1のカラムに還流するか又は反応器に再循環することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない重質液相の部分は、反応器に再循環することができる。重質液相の一部を第1のカラムに還流することができるが、ヨウ化メチルが富化されている重質液相を反応器に戻すことがより望ましい。
[0092]一態様においては、軽質液相及び/又は重質液相の一部を蒸留カラムに供給して、そのオーバーヘッドを濃縮してアセトアルデヒド及びヨウ化メチルを有するようにする。構成に応じて、2つの別々の蒸留カラムを存在させることができ、第2のカラムのオーバーヘッドをアセトアルデヒド及びヨウ化メチルで富化させることができる。in-situで
形成される可能性があるジメチルエーテルも、オーバーヘッド中に存在する可能性がある。オーバーヘッドは1以上の抽出段階にかけて、ヨウ化メチルが富化されたラフィネート及び抽出剤を除去することができる。ラフィネートの一部は、蒸留カラム、第1のカラム、オーバーヘッドデカンター、及び/又は反応器に戻すことができる。例えば、重質液相をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を蒸留カラム又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。また、例えば軽質液相をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を、第1のカラム、オーバーヘッドデカンター、又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。幾つかの態様においては、抽出剤は更に蒸留して水を除去することができ、これは1以上の抽出段階に戻す。軽質液相よりも多くの酢酸メチル及びヨウ化メチルを含むラフィネートの一部も、反応器に再循環、及び/又は第1のカラムに還流することができる。排出流、特にライン106、132、及び135から残留有機化合物及びヨウ化物を回収するために、これらのラインを、冷却したメタノール及び/又は酢酸を用いて運転されるスクラバーに供給して、酢酸メチル及びヨウ化メチルを除去することができる。好適なスクラバーは、米国特許8,318,977(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
形成される可能性があるジメチルエーテルも、オーバーヘッド中に存在する可能性がある。オーバーヘッドは1以上の抽出段階にかけて、ヨウ化メチルが富化されたラフィネート及び抽出剤を除去することができる。ラフィネートの一部は、蒸留カラム、第1のカラム、オーバーヘッドデカンター、及び/又は反応器に戻すことができる。例えば、重質液相をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を蒸留カラム又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。また、例えば軽質液相をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を、第1のカラム、オーバーヘッドデカンター、又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。幾つかの態様においては、抽出剤は更に蒸留して水を除去することができ、これは1以上の抽出段階に戻す。軽質液相よりも多くの酢酸メチル及びヨウ化メチルを含むラフィネートの一部も、反応器に再循環、及び/又は第1のカラムに還流することができる。排出流、特にライン106、132、及び135から残留有機化合物及びヨウ化物を回収するために、これらのラインを、冷却したメタノール及び/又は酢酸を用いて運転されるスクラバーに供給して、酢酸メチル及びヨウ化メチルを除去することができる。好適なスクラバーは、米国特許8,318,977(その全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されている。
[0093]本発明の蒸留カラムは、通常の蒸留カラム、例えば棚段塔、充填塔などであってよい。棚段塔としては、多孔板カラム、バブルキャップカラム、キッテルトレーカラム、ユニフラックストレー、又はリップルトレーカラムを挙げることができる。棚段塔に関しては、理論段数は特に限定されず、分離する成分の種類によって左右し、80段以下、例えば2〜80段、5〜60段、5〜50段、又はより好ましくは7〜35段を含ませることができる。蒸留カラムには、異なる蒸留装置の組合せを含ませることができる。例えば、バブルキャップカラムと多孔板カラムの組合せ、並びに多孔板カラムと充填カラムの組合せを用いることができる。
[0094]蒸留システムにおける蒸留温度及び圧力は、好適には、対象のカルボン酸の種類、及び蒸留カラムの種類、或いは供給流の組成にしたがってより低沸点の不純物及びより高沸点の不純物から選択される除去目標のような条件に応じて選択することができる。例えば、酢酸の精製を蒸留カラムによって行う場合には、蒸留カラムの内部圧力(通常はカラム頂部の圧力)は、ゲージ圧で0.01〜1MPa、例えば0.02〜0.7MPa、より好ましくは0.05〜0.5MPaであってよい。更に、蒸留カラムに関する蒸留温度、即ちカラム頂部の温度におけるカラムの内部温度は、カラムの内部圧力を調節することによって制御することができ、例えば20〜200℃、例えば50〜180℃、より好ましくは約100〜160℃であってよい。
[0095]それぞれ蒸留システムに連絡しているカラム、バルブ、凝縮器、受容器、ポンプ、リボイラー、及び内部部品、並びに種々のラインなどの蒸留システムに関係するそれぞれの部材又はユニットの材料は、ガラス、金属、セラミック、又はこれらの組み合わせのような好適な材料で構成することができ、具体的なものに特に限定されない。本発明によれば、上記の蒸留システム及び種々のラインの材料は、鉄合金、例えばステンレススチー
ル、ニッケル又はニッケル合金、ジルコニウム又はそのジルコニウム合金、チタン又はそのチタン合金、或いはアルミニウム合金のような遷移金属又は遷移金属ベースの合金である。好適な鉄ベースの合金としては、主成分として鉄を含むもの、例えばステンレススチール(これは、クロム、ニッケル、モリブデンなども含む)が挙げられる。好適な合金としては、主成分としてニッケル、及びクロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、マンガンなどの1以上を含むもの、例えばHASTELLOY(登録商標)及びINCONEL(登録商標)が挙げられる。耐腐食性の金属は、蒸留システム及び種々のラインのための材料として特に好適である可能性がある。
ル、ニッケル又はニッケル合金、ジルコニウム又はそのジルコニウム合金、チタン又はそのチタン合金、或いはアルミニウム合金のような遷移金属又は遷移金属ベースの合金である。好適な鉄ベースの合金としては、主成分として鉄を含むもの、例えばステンレススチール(これは、クロム、ニッケル、モリブデンなども含む)が挙げられる。好適な合金としては、主成分としてニッケル、及びクロム、鉄、コバルト、モリブデン、タングステン、マンガンなどの1以上を含むもの、例えばHASTELLOY(登録商標)及びINCONEL(登録商標)が挙げられる。耐腐食性の金属は、蒸留システム及び種々のラインのための材料として特に好適である可能性がある。
保護床:
[0096]ハロゲン化物及び/又は腐食金属で汚染されているカルボン酸流、例えば酢酸流は、広範囲の運転条件下でイオン交換樹脂組成物と接触させることができる。好ましくは、イオン交換樹脂組成物は保護床内で与える。汚染されているカルボン酸流を精製するために保護床を用いることは、当該技術において、例えば米国特許4,615,806;5,653,853;5,731,252;及び6,225,498(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)において十分に文書で記載されている。一般に、汚染されている液体カルボン酸流を、好ましくは保護床内に配置されているイオン交換樹脂組成物と接触させる。ハロゲン化物汚染物質、例えばヨウ化物汚染物質は金属と反応して金属ヨウ化物を形成する。幾つかの態様においては、ヨウ化物と会合することができる炭化水素基、例えばメチル基によってカルボン酸がエステル化される可能性がある。例えば、ヨウ化メチルで汚染されている酢酸の場合には、ヨウ化物除去の副生成物として酢酸メチルが生成する。このエステル化生成物の形成は、通常は処理されたカルボン酸流に対して有害な影響を与えない。
[0096]ハロゲン化物及び/又は腐食金属で汚染されているカルボン酸流、例えば酢酸流は、広範囲の運転条件下でイオン交換樹脂組成物と接触させることができる。好ましくは、イオン交換樹脂組成物は保護床内で与える。汚染されているカルボン酸流を精製するために保護床を用いることは、当該技術において、例えば米国特許4,615,806;5,653,853;5,731,252;及び6,225,498(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)において十分に文書で記載されている。一般に、汚染されている液体カルボン酸流を、好ましくは保護床内に配置されているイオン交換樹脂組成物と接触させる。ハロゲン化物汚染物質、例えばヨウ化物汚染物質は金属と反応して金属ヨウ化物を形成する。幾つかの態様においては、ヨウ化物と会合することができる炭化水素基、例えばメチル基によってカルボン酸がエステル化される可能性がある。例えば、ヨウ化メチルで汚染されている酢酸の場合には、ヨウ化物除去の副生成物として酢酸メチルが生成する。このエステル化生成物の形成は、通常は処理されたカルボン酸流に対して有害な影響を与えない。
[0097]一態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの存在によって、若干の望ましくないリチウムの繰り越しが起こる可能性がある。理論には縛られないが、反応中に酢酸リチウムから誘導されるリチウムは、酢酸生成物中に繰り越される可能性がある。リチウムは、金属交換された強酸カチオン部位による置換を引き起こす可能性がある。金属交換された強酸カチオン部位を有する樹脂を用いる前にカチオン交換体を用いてリチウムを除去することによって、リチウムによる金属交換された部位からの銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウムの置換が減少又は排除される。一態様によれば、金属イオン交換樹脂における置換を阻止するために、ヨウ化物を除去する前にリチウム、好ましくはリチウムカチオンを除去する。
[0098]リチウムはまた、重質留分及び他の仕上げ装置の不存在下において粗酸生成物中に同伴されることも分かった。粗酸生成物中の10wppbのリチウムの非常に少ない量においても、ヨウ化物の除去に関して問題を引き起こす可能性がある。酢酸プロセスの乾燥カラム、例えば主精製系列中の最後のカラムから排出される酸を含む粗酸生成物中のリチウムは、10wppm以下、例えば5wppm以下、1wppm以下、500wppb以下、300wppb以下、又は100wppb以下のリチウムの量にすることができる。範囲に関しては、粗酸生成物は、0.01wppm〜10wppm、例えば0.05wppm〜5wppm、又は0.05wppm〜1wppmの量のリチウムを含むようにすることができる。粗酸生成物を金属交換された樹脂に導入する前に酸形態のカチオン交換体を用いることによって、相当量のリチウムを除去することができる。例えば、流れの中のリチウムの90重量%、例えば95重量%又は99重量%以上をカチオン交換体によって除去することができる。而して、酸形態のカチオン交換体から排出される流れは、50wppb以下、例えば10wppb以下、又は5wppb以下のリチウムを含むようにすることができる。かかるリチウムの除去によって、金属交換された樹脂の寿命を大きく延ばすことができる。
[0099]而して、一態様においては、反応器内において、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1つの構成成分を、水、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、及びヨウ化リチウムの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し、ここで反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は0.7重量%以下に維持し;反応媒体を分離して、液体再循環流及び蒸気生成物流を形成し;主精製系列中の2つ以下の蒸留カラム内において蒸気生成物流を分離して、酢酸、並びにヨウ化リチウム及び/又は酢酸リチウムから誘導される可能性がある少なくとも1種類のリチウムカチオンを含む粗酸生成物を生成させ;粗酢酸生成物を酸形態のカチオン交換体と接触させて中間酸生成物を生成させ;そして、中間酢酸生成物を、酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂と接触させて精製された酢酸を生成させる;ことを含む酢酸の製造方法が提供される。
[0100]接触工程中の圧力は、樹脂の物理的強度のみによって制限される。一態様においては、接触は、0.1MPa〜1MPa、例えば0.1MPa〜0.8MPa、又は0.1MPa〜0.5MPaの範囲の圧力において行う。しかしながら、便宜上の理由で圧力及び温度の両方を、好ましくは汚染されているカルボン酸流が液体として処理されるように定めることができる。而して、例えば経済学的考察に基づいて一般に好ましい大気圧において運転する場合には、温度は、17℃(酢酸の凝固点)乃至118℃(酢酸の沸点)の範囲にすることができる。他のカルボン酸化合物を含む生成物流に関して同様の範囲を定めることは当業者の理解しうる範囲内である。接触工程の温度は、好ましくは樹脂の分解を最小にするように比較的低く維持する。一態様においては、接触は、25℃〜120℃、例えば25℃〜100℃、又は50℃〜100℃の範囲の温度において行う。幾つかのカチオン巨大網状樹脂は、通常は、150℃の温度において(酸触媒芳香族脱スルホン化のメカニズムによって)分解し始める。5個以下の炭素原子、例えば3個以下の炭素原子を有するカルボン酸は、これらの温度において液体状態を維持する。而して、接触中の温度は、用いる樹脂の分解温度より低く維持しなければならない。幾つかの態様においては、運転温度は、液相運転及びハロゲン化物除去に関して所望の反応速度論と合致する樹脂の温度限界より低く維持する。
[0101]酢酸精製系列内の保護床の構成は広く変化させることができる。例えば、保護床は乾燥カラムの後に配することができる。更には又は或いは、保護床は、重質留分除去カラム又は仕上げカラムの後に配することができる。好ましくは、保護床は、酢酸生成物流の温度が低く、例えば120℃以下、又は100℃以下である位置に配する。上記で議論した有利性に加えて、より低い温度における運転によって、より高い温度における運転と比べて腐食がより少なくなる。より低い温度における運転によって、腐食金属汚染物質(これは上記で議論したように全体的な樹脂の寿命を減少させる可能性がある)の形成がより少なくなる。また、より低い運転温度によって腐食がより少なくなるので、有利なことに高価な耐腐食性金属で容器を形成する必要がなく、より低いグレードの金属、例えば標準的なステンレススチールを用いることができる。
[0102]一態様においては、保護床を通る流量は、0.1床体積/時(BV/時)〜50BV/時、例えば1BV/時〜20BV/時、又は6BV/時〜10BV/時の範囲である。有機媒体の床体積は、樹脂床によって占められる体積に等しい媒体の体積である。1BV/時の流量は、樹脂床によって占められる体積に等しい量の有機液体が1時間の間で樹脂床を通過することを意味する。
[0103]全ヨウ化物濃度が高い精製された酢酸生成物によって樹脂が使い尽くされることを回避するために、一態様においては、精製された酢酸生成物の全ヨウ化物濃度が1wppm以下である場合に、塔底流127中の精製された酢酸生成物を保護床と接触させる。全ヨウ化物濃度には、有機源物質のC1〜C14アルキルヨウ化物、及びヨウ化水素のような無機源物質の両方からのヨウ化物が含まれる。保護床処理の結果として、精製された
酢酸組成物が得られる。精製された酢酸組成物は、一態様においては、100wppb以下、例えば90wppb以下、50wppb以下、又は25wppb以下のヨウ化物を含む。一態様においては、精製された酢酸組成物は、1000wppb以下、例えば750wppb以下、500wppb以下、又は250wppb以下の腐食金属を含む。本発明の目的のためには、腐食金属としては、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属が挙げられる。範囲に関しては、精製された酢酸組成物は、0〜100wppb、例えば1〜50wppbのヨウ化物;及び/又は0〜1000wppb、例えば1〜500wppbの腐食金属;を含むようにすることができる。他の態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物からヨウ化物の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。一態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物から腐食金属の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。
酢酸組成物が得られる。精製された酢酸組成物は、一態様においては、100wppb以下、例えば90wppb以下、50wppb以下、又は25wppb以下のヨウ化物を含む。一態様においては、精製された酢酸組成物は、1000wppb以下、例えば750wppb以下、500wppb以下、又は250wppb以下の腐食金属を含む。本発明の目的のためには、腐食金属としては、ニッケル、鉄、クロム、モリブデン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属が挙げられる。範囲に関しては、精製された酢酸組成物は、0〜100wppb、例えば1〜50wppbのヨウ化物;及び/又は0〜1000wppb、例えば1〜500wppbの腐食金属;を含むようにすることができる。他の態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物からヨウ化物の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。一態様においては、保護床によって、粗酢酸生成物から腐食金属の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。
[0104]図面及び上記に示した明細書から明らかなように、種々の態様が意図される。
E1.メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;
反応器中にリチウム化合物を導入し;そして
0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度、及び0.1〜1.3重量%の反応媒体中のヨウ化水素の濃度を維持する;
ことを含み;
反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、酢酸の製造方法。
E1.メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し;
反応器中にリチウム化合物を導入し;そして
0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度、及び0.1〜1.3重量%の反応媒体中のヨウ化水素の濃度を維持する;
ことを含み;
反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、酢酸の製造方法。
E2.リチウム化合物が、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、態様E1の方法。
E3.反応媒体中のヨウ化メチルの濃度を、4〜13.9重量%、好ましくは4〜13重量%に維持する、態様E1〜E2の方法。
E3.反応媒体中のヨウ化メチルの濃度を、4〜13.9重量%、好ましくは4〜13重量%に維持する、態様E1〜E2の方法。
E4.反応媒体中のヨウ化物塩の濃度を2〜20重量%に維持する、態様E1〜E3のいずれかの方法。
E5.反応媒体中のヨウ化物塩の濃度を8〜14重量%に維持する、態様E1〜E4のいずれかの方法。
E5.反応媒体中のヨウ化物塩の濃度を8〜14重量%に維持する、態様E1〜E4のいずれかの方法。
E6.酢酸の生産速度が5モル/L・時〜50モル/L・時である、態様E1〜E5のいずれかの方法。
E7.反応を、2〜30気圧の一酸化炭素分圧及び0.04気圧以下の反応器内の水素分圧を維持しながら行う、態様E1〜E6のいずれかの方法。
E7.反応を、2〜30気圧の一酸化炭素分圧及び0.04気圧以下の反応器内の水素分圧を維持しながら行う、態様E1〜E6のいずれかの方法。
E8.反応媒体中の酢酸メチルの濃度が酢酸リチウムの濃度以上である、態様E1〜E7のいずれかの方法。
E9.反応を150℃〜250℃の温度及び15〜40気圧の圧力で行う、態様E1〜E8のいずれかの方法。
E9.反応を150℃〜250℃の温度及び15〜40気圧の圧力で行う、態様E1〜E8のいずれかの方法。
E10.ヨウ化物塩とリチウム化合物との重量比が5:1以上である、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E11.反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を
0.1〜1重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E11.反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を
0.1〜1重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E12.反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を900〜1500wppmに維持し、水の濃度を0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E13.酢酸の生産速度が10モル/L・時〜40モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E14.酢酸の生産速度が15モル/L・時〜35モル/L・時であり、反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を900〜1500wppmに維持し、水の濃度を0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E15.反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E16.反応媒体中のヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E16.反応媒体中のヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%、好ましくは0.2〜0.8重量%に維持する、態様E1〜E9のいずれかの方法。
E17.メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下でカルボニル化して反応媒体を形成し、ここで反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し;
反応器中にリチウム化合物を導入し;
0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持し;
反応器から気体流を排出し、ここで気体流は1重量%以下の量のヨウ化水素を含み;そして
反応媒体から酢酸を回収する;
ことを含む、酢酸の製造方法。
反応器中にリチウム化合物を導入し;
0.3〜0.7重量%の反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を維持し;
反応器から気体流を排出し、ここで気体流は1重量%以下の量のヨウ化水素を含み;そして
反応媒体から酢酸を回収する;
ことを含む、酢酸の製造方法。
E18.気体流が0.001〜1重量%の量のヨウ化水素を含む、態様E17の方法。
E19.反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、態様E17〜E18のいずれかの方法。
E19.反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する、態様E17〜E18のいずれかの方法。
E20.気体流をスクラビングして、パージ流からヨウ化水素を除去することを更に含む、態様E17〜E19のいずれかの方法。
[0105]本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかになるであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は添付の特許請求の範囲において示されている本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができることを理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当
に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
[0105]本発明を詳細に記載したが、発明の精神及び範囲内の修正は当業者に容易に明らかになるであろう。上記の議論、当該技術における関連する知識、並びに背景及び詳細な説明に関連して上記で議論した参照文献(これらの開示事項は全て参照として本明細書中に包含する)を考慮すると。更に、下記及び/又は添付の特許請求の範囲において示されている本発明の複数の形態並びに種々の態様及び種々の特徴の複数の部分を、完全か又は部分的に結合又は交換することができることを理解すべきである。当業者に認められるように、種々の態様の上記の記載においては他の態様を示すこれらの態様を他の態様と適当
に組み合わせることができる。更に、当業者であれば、上記の記載は例示のみの目的であり、本発明を限定することは意図しないことを認識するであろう。
[0106]本発明は、以下の非限定的な実施例を考慮するとより良好に理解されるであろう。
[0107]酢酸リチウムの促進効果に対する酢酸リチウムの効果を示すために、以下の実験を行って、ロジウム錯体:Li[RhI2(CO)2]へのヨウ化メチルの酸化的付加の効果を求めた。カルボニル化反応において、これは律速段階である可能性がある。触媒系全体の活性に対しては、数多くの変数が強く影響する可能性がある。運転している触媒中に存在する複雑な相互関係の数は、この実施例においては存在しないか又は相当に簡素化した。グローブボックス内で、窒素雰囲気下、25℃において、概して、Li[RhI2(CO)2]の形態の1200ppmのRh、2%の水、及び個々の促進剤を含む酢酸溶液にヨウ化メチルを加えた。溶液を試料セルに移し、窒素パージ試料チャンバー内でFTIR測定を行うために密閉した。時間経過に伴うLi[RhI2(CO)2]の1988cm−1バンドの領域における減少によって、ヨウ化メチルとLi[RhI2(CO)2]との反応速度を測定した。図2〜4における反応定数はヨウ化メチル酸化的付加段階である。
[0107]酢酸リチウムの促進効果に対する酢酸リチウムの効果を示すために、以下の実験を行って、ロジウム錯体:Li[RhI2(CO)2]へのヨウ化メチルの酸化的付加の効果を求めた。カルボニル化反応において、これは律速段階である可能性がある。触媒系全体の活性に対しては、数多くの変数が強く影響する可能性がある。運転している触媒中に存在する複雑な相互関係の数は、この実施例においては存在しないか又は相当に簡素化した。グローブボックス内で、窒素雰囲気下、25℃において、概して、Li[RhI2(CO)2]の形態の1200ppmのRh、2%の水、及び個々の促進剤を含む酢酸溶液にヨウ化メチルを加えた。溶液を試料セルに移し、窒素パージ試料チャンバー内でFTIR測定を行うために密閉した。時間経過に伴うLi[RhI2(CO)2]の1988cm−1バンドの領域における減少によって、ヨウ化メチルとLi[RhI2(CO)2]との反応速度を測定した。図2〜4における反応定数はヨウ化メチル酸化的付加段階である。
[0108]図2は、2重量%の水及び酢酸を有する混合物における反応速度に対する酢酸リチウムの促進効果を示す。黒丸は、酢酸リチウムの存在下におけるヨウ化リチウム酸化的付加段階の促進を示す。図3は、酢酸リチウム濃度を増加させることによって観察された速度の直線的増加を示し、これはヨウ化メチルとLi[RhI2(CO)2]との間の反応の一次促進効果を示す。この実施例において用いた酢酸リチウムの源物質は、二水和Li[CH3CO2]・2H2Oの形態であった。酢酸リチウム1モルあたり2モルの水の促進効果を水の同様の反応速度測定から概算し、この概算を図3における下側の曲線で示す。図3から明らかなように、水のモルベースの効果はごく僅かである。図3における非ゼロ切片はMeI−Rh(I)の反応を起こすためには酢酸リチウムは必要ないことを示すが、酢酸リチウムは低い濃度においても相当の促進効果を与える。
[0109]ヨウ化メチルを含まないLi[RhI2(CO)2]の溶液に酢酸リチウムを加えても、Rh(I)錯体のIRスペクトルは検出可能な程度には変化しなかった。また、酢酸リチウムを加えても、数時間後に観察できる化学反応又は分解は起こらなかった。ガスクロマトグラフは、室温の動的実験の2〜3時間の間では、酢酸リチウムがヨウ化メチルと反応して酢酸メチル及びヨウ化リチウムを生成させることはないことを示した。
[0110]図4に示すように、水、酢酸メチル、ニトロメタン(CH3NO2)、及びリチウムテトラフルオロボレート(Li[BF4])は、「添加剤1モルあたり」の速度における僅かな増加しか与えないことが見出され、それぞれの添加剤の効果は同等であった。添加剤は、溶媒の「極性」又は「イオン強度」を変化させるが、これは[RhI2(CO)2]−とヨウ化メチルとの反応に僅かしか影響を与えない。これに対して、これらの他の添加剤の小さい促進効果に対して、酢酸リチウムはLi[RhI2(CO)2]へのヨウ化メチルの付加を強く促進した。酢酸リチウムは水に対して43倍の促進効果を示し、これは酢酸リチウムが非常に強い促進剤であることを暗示した。ヨウ化リチウムもヨウ化メチル付加を促進したが、図4における酢酸リチウム曲線の勾配は、ヨウ化リチウムのものの4倍超を超える。
Claims (19)
- 酢酸の製造方法であって、
メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下で連続的にカルボニル化して、反応媒体を形成し;
該反応器中に、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるリチウム化合物を導入し;そして
該反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.7重量%に、及び該反応媒体中のヨウ化水素の濃度を0.1〜1.3重量%に維持し、該反応媒体中の酢酸の濃度を30重量%以上に維持する;
ことを含み;
該反応媒体中の該ロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、該反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、該反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する方法。 - 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中のヨウ化メチルの濃度を4〜13.9重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中の該ヨウ化物塩の濃度を2〜20重量%に維持する方法。
- 請求項3に記載の方法であって、該反応媒体中の該ヨウ化物塩の濃度を8〜14重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、酢酸の生産速度が5モル/L・時〜50モル/L・時である方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応を、該反応器内における2〜30気圧の一酸化炭素分圧及び0.04気圧以下の水素分圧を維持しながら行う方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中の酢酸メチルの濃度が酢酸リチウムの濃度以上である方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応を150℃〜250℃の温度及び15〜40気圧の圧力で行う方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該ヨウ化物塩と該リチウム化合物との重量比が5:1以上である方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を900〜1500wppmに維持し、水の濃度を0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、酢酸の生産速度が10モル/L・時〜40モル/L・時であり、該反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を800〜3000wppmに維持し、水の濃度を0.1〜3.1重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を1.8〜3.9重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、酢酸の生産速度が15モル/L・時〜35モル/L・時であり、該反応媒体中において、酢酸リチウムの濃度を0.35〜0.55重量%に維持し、ロジウム触媒の濃度を900〜1500wppmに維持し、水の濃度を0.5〜2.8重量%に維持し、酢酸メチルの濃度を2〜3.5重量%に維持し、ヨウ化水素の濃度を反応媒体中において0.2〜0.8重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.6重量%に維持する方法。
- 請求項1に記載の方法であって、該反応媒体中のヨウ化水素の濃度を0.1〜1重量%に維持する方法。
- 酢酸の製造方法であって、
メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物を含む反応物質供給流を、反応器内において、水、ロジウム触媒、ヨウ化物塩、及びヨウ化メチルの存在下で連続的にカルボニル化して、反応媒体を形成し、ここで該反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し;
該反応器中に、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるリチウム化合物を導入し;
該反応媒体中の酢酸リチウムの濃度を0.3〜0.7重量%に維持し;
該反応器から気体流を排出し、ここで該気体流は1重量%以下の量のヨウ化水素を含み;そして
該反応媒体から酢酸を回収する;
ことを含む方法であって、該反応媒体中の酢酸の濃度を30重量%以上に維持する方法。 - 請求項16に記載の方法であって、該気体流が0.001〜1重量%の量のヨウ化水素を含む方法。
- 請求項16に記載の方法であって、該反応媒体中のロジウム触媒の濃度をロジウムとして300〜3000wppmに維持し、該反応媒体中の水の濃度を0.1〜4.1重量%に維持し、該反応媒体中の酢酸メチルの濃度を0.6〜4.1重量%に維持する方法。
- 請求項16に記載の方法であって、該気体流をスクラビングして、パージ流からヨウ化水素を除去することを更に含む方法。
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