JP2017075105A - マクロファージ活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒトなどの免疫機能等を効果的に改善させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心なマクロファージを活性化するための機能性食品、医薬品等を提供する。【解決手段】食経験が豊富なカツオ削粉から熱水抽出により得た抽出物又はその乾燥物を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、そのマクロファージのサイトカイン産生促進作用や貪食活性促進作用などによって免疫機能等を効果的に改善することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ヒトなどにおいて、マクロファージを活性化させるための経口剤等に関するものである。
ヒトなどには、体外から侵入した異物や病原菌など(抗原)から体を守るために、免疫機能(免疫系)が備わっている。これは、大きく分けると、抗原が体内に侵入してきた際に初期的に対応するマクロファージ、NK細胞などの自然免疫系と、自然免疫系で捕捉、貪食された抗原の情報がヘルパーT細胞に伝わってヘルパーT細胞が活性化され、この結果として抗体産生やキラーT細胞活性化などがなされる獲得免疫系がある。
そして、高齢者などに見られる免疫力の低下は、様々な感染症に対する抵抗力の低下や、ガンなどの発症リスクを上げる。したがって、このように低下した免疫系を活性化させ、免疫力を回復させることができれば、医療費の削減や健康寿命の延伸につながると言える。
その中で、自然免疫系に属するマクロファージは、日和見的な感染に対し、日常的に我々の体を感染症から守る重要な働きを持つとともに、体内に侵入してきたバクテリア等を貪食・分解して、分解断片を抗原として細胞表面に提示することで、抗原特異的な獲得免疫系を活性化する働きを担っており、免疫系の中で最も重要度が高いものであると言える。
このようなマクロファージを活性化するための、食品由来成分を用いた機能性食品や医薬品の研究・開発もいくつか進められており、例えば、ムチンをβ−ガラクトシダーゼで処理したもの(特許文献1)、オーツ麦と乳酸菌を併用したもの(特許文献2)、マイタケ由来の成分を利用したもの(特許文献3)などが提案されている。しかし、効果などの面でいまだ十分とは言えないのが現状である。
以上のような技術背景の中、当業界においては、食経験が豊富な食品由来成分を用いた、マクロファージを効果的に活性化できるような剤等のさらなる開発が引き続き求められていた。
特開2015−040183号公報 特開2012−184261号公報 特開2008−106018号公報
本発明は、ヒトなどの免疫機能等を効果的に改善させることが可能な、経口用剤として用いても安全・安心なマクロファージを活性化するための剤(機能性食品、医薬品等)を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、食経験が豊富なカツオ削粉から熱水抽出により得た抽出物又はその乾燥物を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、そのマクロファージのサイトカイン産生促進作用や貪食活性促進作用などによって免疫機能等を効果的に改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)カツオ削粉の熱水抽出物又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、マクロファージ活性化剤。
(2)カツオ削粉の熱水抽出物から分子量14000以下の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、マクロファージ活性化剤。
(3)カツオ削粉の熱水抽出物が、カツオ削粉に2〜20倍量、好ましくは10〜15倍量加水し、80〜100℃、好ましくは90℃以上に加熱して1〜5時間(好ましくは1.5〜3時間)抽出した上清液を濃縮処理した液である、(1)又は(2)に記載の剤。
(4)カツオ削粉が荒節及び/又は鰹節自体の粉砕物である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の剤。
(5)マクロファージ活性化が、マクロファージのサイトカイン産生促進(サイトカイン遺伝子活性化)及び/又は貪食活性促進である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤。
(6)カツオ削粉の熱水抽出物又はその乾燥物を、1日当たり0.1〜50mg/kg、好ましくは1.0〜15mg/kgで14日間以上経口投与することを特徴とする、マクロファージ活性化方法(ヒトに対する医療行為を除く)。
本発明によれば、ヒトなどのマクロファージを活性化するための安全・安心な経口剤等の提供が可能となり、また、この剤等の経口投与によりマクロファージのサイトカイン産生促進や貪食活性促進などが行われ、免疫機能向上、アレルギー症状緩和等を効果的に行うことができる。
実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したマウスマクロファージ細胞株J774.1細胞のインターロイキン(IL)−6 及び腫瘍壊死因子(TNF)−α産生量を示すグラフである。左側グラフがTNF−α産生量、右側グラフがIL−6産生量を示すもので、横軸はカツオ削粉熱水抽出物の添加タンパク質濃度を表す。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したJ774.1細胞のTNF−α遺伝子及びIL−6遺伝子の相対発現量を示すグラフである。左側グラフがTNF−α相対遺伝子発現量、右側グラフがIL−6相対遺伝子発現量を示すもので、白抜きはコントロール添加、黒塗りはカツオ削粉熱水抽出物添加(各タンパク質濃度)を表す。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物のプロテイナーゼK処理物を添加した培地で培養したJ774.1細胞のTNF−α及びIL−6産生量の相対活性を示すグラフである。左側グラフがTNF−α相対活性、右側グラフがIL−6相対活性を示すもので、白抜きがコントロール添加、黒塗りはカツオ削粉熱水抽出物酵素分解物添加(各プロテイナーゼK使用濃度)を表す。 実施例2におけるJ774.1細胞培養液をテキサスレッドで蛍光標識したザイモサンAの貪食をフローサイトメーターにより測定した結果を示す。左から順にブランク、コントロール添加、リポポリサッカライド(LPS)添加、カツオ削粉熱水抽出物添加の培養液である。 実施例2におけるJ774.1細胞のラテックスビーズに対する貪食作用のグラフ及び写真を示す(図面代用写真)。左から順にコントロール添加、LPS添加、カツオ削粉熱水抽出物添加(DBE)の培養液であり、上段がラテックスビーズを取り込んだ細胞の割合を示すグラフ、下段が細胞写真である。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したマウス初代腹腔マクロファージP−MacのTNF−α産生量及び遺伝子発現量を示すグラフである。左側グラフがTNF−α産生量、右側グラフがTNF−α相対遺伝子発現量を示すもので、白抜きがコントロール添加、斜線がLPS添加、黒塗りがカツオ削粉熱水抽出物添加(各タンパク質濃度)を表す。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したP−MacのIL−6産生量及び遺伝子発現量を示すグラフである。左側グラフがIL−6産生量、右側グラフがIL−6相対遺伝子発現量を示すもので、白抜きがコントロール添加、斜線がLPS添加、黒塗りがカツオ削粉熱水抽出物添加(各タンパク質濃度)を表す。 実施例2におけるP−Macのトール様受容体<Toll−like receptor>(TLR)4特異的阻害剤共存下におけるカツオ削粉熱水抽出物の影響を示すグラフである。左側グラフがTNF−α相対活性、右側グラフがIL−6相対活性を示すもので、横軸はコントロール添加、LPS添加、及びカツオ削粉熱水抽出物添加(各タンパク質濃度)を表す。また、黒塗りがTLR4特異的阻害剤非共存下、白抜きがTLR4特異的阻害剤共存下のものである。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したP−MacのERK1及びERK2のリン酸化による活性化レベルをウエスタンブロット法によって確認した写真及びグラフである(図面代用写真)。上段がウエスタンブロットの写真、下段がリン酸化の比率を示すグラフであり、白抜きがコントロール添加、斜線がLPS添加、黒塗りがカツオ削粉熱水抽出物(DBE)添加を表す。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したP−MacのP−38のリン酸化による活性化レベルをウエスタンブロット法によって確認した写真及びグラフである(図面代用写真)。上段がウエスタンブロットの写真、下段がリン酸化の比率を示すグラフであり、白抜きがコントロール添加、斜線がLPS添加、黒塗りがカツオ削粉熱水抽出物(DBE)添加を表す。 実施例2におけるカツオ削粉熱水抽出物を添加した培地で培養したP−MacのJNKのリン酸化による活性化レベルをウエスタンブロット法によって確認した写真及びグラフである(図面代用写真)。上段がウエスタンブロットの写真、下段がリン酸化の比率を示すグラフであり、白抜きがコントロール添加、斜線がLPS添加、黒塗りがカツオ削粉熱水抽出物(DBE)添加を表す。 実施例2におけるP−MacのJNK特異的阻害剤共存下におけるカツオ削粉熱水抽出物の影響を示すグラフである。左側グラフがTNF−α相対活性、右側グラフがIL−6相対活性を示すもので、横軸はコントロール添加、LPS添加、及びカツオ削粉熱水抽出物(DBE)添加を表す。また、黒塗りがJNK特異的阻害剤非共存下、白抜きがJNK特異的阻害剤共存下のものである。 実施例2におけるP−Mac培養液をテキサスレッドで蛍光標識したザイモサンAの貪食をフローサイトメーターにより測定したデータ及び貪食活性を示す。上段は左から順にブランク、コントロール添加、カツオ削粉熱水抽出物1.5mg/kg/日添加、カツオ削粉熱水抽出物15mg/kg/日添加であり、下段は各濃度のカツオ削粉熱水抽出物の貪食活性を示す。
本発明では、マクロファージ活性化剤等の有効成分として、カツオ削粉の熱水抽出物(カツオ削粉熱水抽出物)又はその乾燥物を使用する。
このカツオ削粉としては、鰹の荒節、枯節などを削粉にしたものや、鰹節自体の粉砕物、鰹節作成工程中で除去されたもの、荒節から裸節を作製する際の削粉、鰹のハラミ、魚骨、小さい折れ節、尾の部分などの粉砕物などを使用することができ、特に荒節の削粉又は鰹節自体の粉砕物を用いるのが好ましい。
そして、このカツオ削粉から熱水抽出物を取得する。熱水抽出は、例えば次のようにして行う。先ず、カツオ削粉に2〜20倍量(好ましくは10〜15倍量)程度加水し、80〜100℃(好ましくは90℃以上)に加熱して1〜5時間(好ましくは1.5〜3時間)程度抽出を行う。なお、抽出は攪拌しながら行っても良いが、攪拌は必須ではない。
熱水抽出処理後は、不溶固形分除去処理(遠心分離、フィルター濾過)を行って上清液を得る。その後、必要に応じて濃縮処理、滅菌、殺菌処理、粉末化(乾燥化)処理などを行っても良い。なお、粉末化は、スプレードライ、ドラムドライ、凍結乾燥などの定法により行うことができ、これにより、粉末剤形態の製剤などを得ることができる。また、必要であれば、上清液の透析処理などにより分子量14000以下の低分子成分の除去を行っても良い。
本発明品の形態は、上記のような粉末剤のみならず、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散剤、スティック剤、液剤、ゲル剤、ペースト剤、シロップ剤などでも良く、経口投与可能な形態であれば特段の限定はない。そして、本発明品では、有効成分の効果を妨げない範囲で、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤の1種又は2種以上を適宜組み合わせて配合した製剤とすることもできる。そして、形態、組成等を勘案し、原料の段階から製品が完成するまでの工程で本発明の有効成分と補助剤等を適宜配合して製造すればよい。
本発明のマクロファージ活性化剤の用法ないし用量については、使用目的(予防、治療、又は保健の用途)、被検者の年齢、剤形等に応じて適宜定めればよく、例えば、0.1〜50mg/kg/日、好ましくは1.0〜15mg/kg/日のカツオ削粉熱水抽出物が、ヒトなどに対して14日間以上経口投与するように用いるのが好適である。しかしながら、本有効成分は安全性について全く問題がないので、上記範囲よりも多量使用しても一向にさしつかえない。
なお、本発明は、カツオ削粉熱水抽出物又はその乾燥物を有効成分とするマクロファージ活性化剤等をヒトなどに経口投与してマクロファージを活性化させるものであるが、これは医薬品(医薬剤)だけでなく、健康補助食品、保健機能食品、サプリメント等の、特定の機能及び形態を有し、健康維持などを目的として摂取され、有効成分の用量(有効量)や用法が規定され且つ単位包装当たりでその用量が摂取できる、単に食品としてのみ利用されるものとは明確に区別される食品組成物(医薬部外品を含む)も含まれる。
また、本発明は、カツオ削粉熱水抽出物又はその乾燥物を有効成分とするマクロファージ活性化剤というプロセスによって特定された物の発明であるが、この有効成分中の具体的な活性成分はいまだ特定できておらず、また、この活性成分特定は著しく過大な経済的支出や時間を要するものであると推察されるため、この活性成分をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在すると認められる。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(マクロファージ活性化剤の製造)
以下の方法で、本発明品であるカツオ削粉の熱水抽出物又はその乾燥物を有効成分とするマクロファージ活性化剤を製造した。
カツオ削粉(荒節)に、その重量に対して14倍量の水を添加し、加熱処理(90〜100℃で1.5〜2時間攪拌処理)後、遠心分離操作により固形分を除去して上清液を得た。この上清液を濃縮し、得られた濃縮液をマクロファージ活性化剤とした。
(マクロファージ活性化機能評価確認試験)
実施例1で作製したマクロファージ活性化剤のマクロファージ活性化機能評価確認をするため、以下の試験を実施した。なお、機能評価確認試験を実施するために、濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理後にフィルター滅菌してから用いた。
まず、マウスマクロファージ細胞株J774.1細胞のIL−6、及び、TNF−α産生に及ぼす影響を確認するため、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を添加した培地でJ774.1細胞を培養した後、培地中に分泌されたサイトカイン量を酵素抗体法で測定した。また、これらサイトカインの遺伝子発現に及ぼす影響については、リアルタイム逆転写PCR法を用いて確認した。
この結果、カツオ削粉熱水抽出物は、TNF−αおよびIL−6の産生を濃度依存的に促進することが明らかとなった(図1)。また、J774.1細胞内における上記各サイトカインの遺伝子発現はいずれもカツオ削粉熱水抽出物によって促進されていることが明らかになった(図2)。これらの結果から、カツオ削粉熱水抽出物は、マクロファージの遺伝子発現を活性化することによってサイトカイン産生を促進していることが明らかになった。
さらに、カツオ削粉熱水抽出物に含まれる活性物質の特徴を明らかにするため、上記透析処理液をタンパク質分解酵素であるプロテイナーゼK(タカラバイオ株式会社製品)で処理したあとの残存活性を同様に確認した。その結果、プロテイナーゼK処理によってサイトカイン産生促進効果が低下することが明らかになった(図3)。この結果から、主たる活性物質は分子量14000以上のタンパク質であると推察された。
次に、カツオ削粉熱水抽出物のJ774.1細胞の貪食活性に及ぼす影響を検討した。まず、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を添加した培養液でJ774.1細胞を6時間培養した後、テキサスレッドで蛍光標識したザイモサンAの貪食をフローサイトメーターによって測定した。その結果、カツオ削粉熱水抽出物の作用によって、貪食活性が顕著に促進されることが明らかとなり、この結果は、マクロファージの活性化因子であるLPS100ng/mLによる活性化効果よりも遙かに強いものであった(図4)。また、ラテックスビーズに対する貪食作用についても検討したところ、カツオ削粉熱水抽出物の作用によって、細胞1個あたりのビーズ取り込み数が大きく上昇していることが明らかになった(図5)。
また、メスBALB/cマウス腹腔から回収した初代腹腔マクロファージP−Macのサイトカイン産生に及ぼすカツオ削粉熱水抽出物の効果も同様に確認した。その結果、TNF−α、およびIL−6の産生はいずれもカツオ削粉熱水抽出物によって促進されることが明らかとなり、その効果は、J774.1細胞に対する効果と同様に、遺伝子発現の活性化による効果であることが明らかになった(図6、7)。
カツオ削粉熱水抽出物によってサイトカインの遺伝子発現が上昇したことから、マクロファージの細胞表面上に存在し、LPSをリガンドとしてLPSの刺激を細胞内に伝達する受容体であるTLR4の関与が推察された。そこで、TLR4特異的阻害剤共存下におけるカツオ削粉熱水抽出物の作用を確認した。その結果、ポジティブコントロールであるLPSによるTNF−α産生、およびIL−6産生促進効果は、TLR4阻害剤の影響で顕著に抑制された。一方、カツオ削粉熱水抽出物の促進効果は、TLR4阻害剤の影響を受けないことが明らかになり、カツオ削粉熱水抽出物によるマクロファージの活性化には、TLR4は関与していないことが推察された(図8)。
さらに、MAPキナーゼの活性化に及ぼすカツオ削粉熱水抽出物の影響を検討した。
まず、ERK1及びERK2のリン酸化による活性化レベルをウエスタンブロット法によって確認した。その結果、ERK1、およびERK2ともに、カツオ削粉抽出物の作用によってリン酸化レベルが上昇することが明らかになった(図9)。また、P−38及びJNKもカツオ削粉熱水抽出物によってリン酸化レベルが上昇することが明らかになった(図10、11)。
さらにまた、JNK特異的阻害剤を作用させた条件下におけるカツオ削粉熱水抽出物の効果を確認した。その結果、JNK阻害剤の影響によって、カツオ削粉熱水抽出物の活性が顕著に抑制されたことから(図12)、カツオ削粉熱水抽出物のマクロファージ活性化効果にはJNKの活性化が大きく関与していることが示唆された。
これらのことから、カツオ削粉熱水抽出物はMAPキナーゼの活性化によってサイトカインをコードする遺伝子の転写活性を上昇させることでサイトカイン産生を促進していることが明らかになった。
次に、カツオ削粉熱水抽出物のマウスへの経口投与が、腹腔マクロファージの貪食活性に与える効果を確認した。方法は、カツオ削粉熱水抽出物濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を体重1kg当たり1.5mg(低用量)、及び15mg(高用量)でマウス(メスBALB/cマウス、6週齢、n=5)に1日1回投与した。対照群には、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)を14日間与えた。投与開始10日目にチオグリコレート培地をマウス腹腔に注射した。そして、実験開始14日目に腹腔マクロファージを回収して確認した結果、P−Macの貪食活性が高用量投与によって有意に上昇することが明らかになった(図13)。
また、各種カツオ節等の素材を使った抽出物4種類の活性を比較確認した。サンプルは、実施例1で用いた荒節の他に、鰹節自体の粉砕物(サンプル1)、鰹節作成工程中で除去されたものと荒節から裸節を作製する際の削粉(サンプル2)、鰹のハラミ、魚骨、小さい折れ節、尾の部分の粉砕物(サンプル3)の4種類の熱水抽出物の濃縮液を分子量14000以下カットオフの透析膜で透析処理、フィルター滅菌した処理液を用いた。
そして、これらのJ774.1細胞TNF−α産生に及ぼす効果を検討した結果、サンプル1が最も比活性が高いことが明らかになった。また、IL−6産生に及ぼす効果を検討した結果、TNF−α産生と同様にサンプル1で高い活性が認められた。さらに、J774.1細胞の貪食活性に与える影響を検討したところ、貪食活性促進効果は、サンプル3が最も高く、サイトカイン産生促進効果が強かったサンプル1は、最も低い結果となった。
以上より、カツオ削粉熱水抽出物、特に荒節や鰹節自体の粉砕物からの熱水抽出物がマクロファージを活性化させることが明らかとなった。なお、カツオ削粉の熱水抽出物を、所定量毎日食べ続けても副作用等は全くなく、安全に継続摂取出来ることも確認された。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、ヒトなどの免疫機能等を効果的に改善させることが可能な、経口用剤として用いても安全、安心なマクロファージを活性化するための機能性食品、医薬品等を提供することを目的とする。
そして、食経験が豊富なカツオ削粉から熱水抽出により得た抽出物又はその乾燥物を有効成分とする機能性食品、医薬品等により、ヒトなどが経口用剤として安心して用いることが可能であり、且つ、そのマクロファージのサイトカイン産生促進作用や貪食活性促進作用などによって免疫機能等を効果的に改善することができる。

Claims (5)

  1. カツオ削粉の熱水抽出物又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、マクロファージ活性化剤。
  2. カツオ削粉の熱水抽出物から分子量14000以下の分子を除去した処理液又はその乾燥物を有効成分とすることを特徴とする、マクロファージ活性化剤。
  3. カツオ削粉の熱水抽出物が、カツオ削粉に2〜20倍量加水し、80〜100℃に加熱して1〜5時間抽出した上清液を濃縮処理した液である、請求項1又は2に記載の剤。
  4. カツオ削粉が荒節及び/又は鰹節自体の粉砕物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
  5. マクロファージ活性化が、マクロファージのサイトカイン産生促進及び/又は貪食活性促進である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤。
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