JP2017075065A - 鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スラグが発生する製鉄所で汎用の塩酸と硫酸を用いて鉄鋼スラグ中のリンを高効率で溶出させ、有価な固形分として回収する鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法を提供すること。
【解決手段】鉄鋼スラグを塩酸溶液に浸漬し、Caを溶出させるCa溶出工程と、前記Caが溶出した溶液と残渣スラグを固液分離し、残渣スラグを回収する残渣スラグ回収工程と、前記残渣スラグを硫酸溶液に浸漬し、リンを溶出させるリン溶出工程と、前記リン溶出液とリン溶出残渣を固液分離し、リン溶出液を回収するリン溶出液回収工程と、前記リン溶出液を1A族金属の水酸化物溶液で中和して、リン酸塩を析出させるリン酸塩析出工程と、析出した前記リン酸塩と溶液を固液分離しリン酸塩を回収するリン酸塩回収工程とを実施することを特徴とする鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法に関する。
鉄鋼スラグの中でも転炉系スラグには、鋼材にとって忌避成分であるリン化合物が数%程度含まれている。一方で、国内でリン鉱石はほとんど産出されず、世界規模でも偏在しており、モロッコや中国などからの輸入に頼っている。また、人口増大に伴うリン資源の枯渇の可能性が指摘されている。このため、リン資源の乏しい我が国においては、鉄鋼スラグに含まれる未利用リンを全量回収できる技術が開発されれば、海外からのリン鉱石の輸入量を大幅に減らすことが可能で、希少資源の確保という戦略的な効果が期待される。
長年に亘り、数多くの研究機関で鉄鋼スラグからリンを回収する技術開発がなされてきたが、例えば、加熱後に溶融状態で比重分離する方法は高コストが課題で、溶液法でも効率的な溶出方法が見出されていなかった。
特許文献1では、塩酸含有の溶解槽におけるpHを限定しており、pHが0.1未満ではスラグ中のCaとFeの両方が溶解し、pHが1.0を超えるとCaとFeの両方が未溶解となるのでCa分の選択的な分離ができないとの記載があり、本発明の塩酸濃度、固液比とはパラメータを異にし、塩酸溶解段階ではCaが溶出することが重要であってFeが溶解しても影響はない。
その他にも、特許文献2に、製鋼スラグを、二酸化炭素を溶解させた水で洗浄し、製鋼スラグ中のカルシウムを除去するための数回の洗浄工程と、洗浄工程後の製鋼スラグから硫酸や硝酸等の鉱酸を用いてリンを抽出する酸抽出工程と、酸抽出工程で得られた酸抽出液を中和してリン酸塩を回収する回収工程が開示されている。しかし、製鉄所で汎用とは言い難い炭酸を溶解させた水を用いること、カルシウムを除去する酸抽出工程で除去率が低いことなどが課題であった。
また、特許文献3では、製鋼スラグと硫酸を反応させ、製鋼スラグに含まれるリン成分を遊離リン酸として溶出させる溶出工程と、溶出工程後の製鋼スラグ及び硫酸の混合物から、有機溶媒を用いて遊離リン酸を抽出する抽出工程と、有機溶媒を蒸発させ、遊離リン酸を回収する遊離リン酸回収工程と、を有する発明が開示されている。しかし、硫酸によって溶出させる遊離リン酸の溶出率が低く、水ではなく有機溶媒を用いて抽出するため、固形物として回収できても、利用価値が低く、かつ、高コストであることが課題であった。
そして、特許文献4では、下水汚泥焼却灰又は製鋼スラグと酸とを一段で反応をさせ、リン成分を遊離リン酸として溶出させた後、溶出液を陽イオン交換樹脂に流通させることにより、溶出液から金属イオンを除去する発明が開示されている。しかし、陽イオン交換樹脂を充填した陽イオン交換樹脂塔を複数用意し、一定期間毎に溶出液を流通させる陽イオン交換樹脂塔を切り替えることにより、溶出液を流通させた陽イオン交換樹脂塔は再生用の鉱酸を流通させ、陽イオン交換樹脂を再生させることができるため、溶出液からの金属イオン除去を連続して安定的に行い得るとあるが、陽イオン交換樹脂等の再生だけ記載されており、交換樹脂のコストや寿命、塔全体の洗浄などに課題がある。
特開2013−081896号公報 特開2010−270378号公報 特開2011−213558号公報 特開2014−133196号公報
本発明の課題は、スラグが発生する製鉄所で汎用の塩酸と硫酸を用いて鉄鋼スラグ中のリンを高効率で溶出させ、有価な固形分として回収する鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法を提供することである。
本発明者等は、上記問題点を解決するために、鉄鋼スラグからの未利用リンの効率的な溶出反応、並びに、溶出後に、高付加価値のリン成分固形物を選択的に回収する技術に関する検討を鋭意行った。その結果、鉄鋼スラグの発生元である鉄鋼メーカー、より詳しくは高炉系、電炉系のいずれの製鉄所でも大量に発生する酸洗処理後の塩酸又は硫酸、コークス工場で発生する化成硫酸、更には、半導体メーカーで発生する廃塩酸や廃硫酸、等の廃液を用いて、鉄鋼スラグのリン成分の溶出が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、以下のように要約される
(1)鉄鋼スラグを塩酸溶液に浸漬し、Caを溶出させるCa溶出工程と、
前記Caが溶出した溶液と残渣スラグを固液分離し、残渣スラグを回収する残渣スラグ回収工程と、
前記残渣スラグを硫酸溶液に浸漬し、リンをリン溶出液として溶出させるリン溶出工程と、
前記リン溶出液とリン溶出残渣を固液分離し、リン溶出液を回収するリン溶出液回収工程と、
前記リン溶出液を1A族金属の水酸化物溶液で中和して、リン酸塩を析出させるリン酸塩析出工程と、
析出した前記リン酸塩と溶液を固液分離しリン酸塩を回収するリン酸塩回収工程と、
を実施することを特徴とする鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
(2)前記Ca溶出工程において、塩酸濃度が2質量%以上7質量%以下で、固液比が(1:10)〜(1:20)でCaを溶出させることを特徴とする(1)に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
(3)前記リン溶出工程において、硫酸濃度が10質量%以上25質量%以下で、固液比
が(1:3)〜(1:6)でリンを溶出させることを特徴とする(1)又は(2)に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
(4)前記リン酸塩析出工程において、1種以上の1A族金属の水酸化物溶液を用い、PHが2以上4以下で1A族金属のリン酸塩(第二、第三リン酸塩を含む)を析出させることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
(5)前記リン酸塩析出工程において、前記1A族金属の水酸化物溶液がKOH溶液であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
本発明の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法によれば、スラグが発生する製鉄所で汎用の塩酸と硫酸、及び、それぞれの廃酸を用いることができ、安価かつ容易に鉄鋼スラグ中のリンを高効率で溶出させ、1種以上の1A族金属の水酸化物溶液で、中和していく際に1A族金属のリン酸塩(第二、第三リン酸塩を含む)を固形物として析出させ、固液分離によって有価な固形分として回収する方法を提供することが可能になる。
鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収工程を示す図。
以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明では、鉄鋼スラグ成分で最も重量割合が高いCa酸化物(単独、複合酸化物組成を含む)と、鉄鋼スラグ発生元である製鉄所の酸洗ラインで汎用または化成工場で製造される酸との反応を詳細に調べた結果、2質量%以上7質量%以下の塩酸でCaを溶解させることができ、10質量%以上25質量%以下の硫酸では逆にCaだけがCaSO・HO(石膏)として固体析出し、Ca以外の成分、Fe、Al、P、Mnなどは溶出することを見出した。そして、本発明は、「鉄鋼スラグからCaを分離し、Ca分離後のFe、Al、P、Mnなどを含む溶出液をPH調整することにより、リン酸塩として、Pを効率よく回収できること」を特徴としている。
より詳しくは、本発明者等は、鉄鋼スラグの各成分で最も割合の高いCa酸化物(単独、複合酸化物組成を含む)と、鉄鋼スラグの発生元である製鉄所の酸洗ラインで汎用される塩酸、硫酸、並びに、コークス化成工場で副生物として製造される硫酸やその他の燃焼排ガス中のSOxの脱硫設備で回収される硫酸の希釈液との固液反応で、Caの分離、リンの溶出並びに固形物化、固形物の回収に関する条件を詳細に調べた。
その結果、2質量%以上7質量%以下の塩酸を用いれば、鉄鋼スラグには遊離CaOやCa分を含むCaSiO、CaSiO、CaSiO、CaAl等の複合酸化物、MgOなどが含まれるが、鉄鋼スラグ中のCa分を選択的に溶解させることができ、低Ca化した鉄鋼スラグ残渣を10質量%以上25質量%以下の硫酸を用いれば、逆にCaだけがCaSO・HO(石膏)として反応し、白色固形物として析出し、Ca以外の成分、Fe、Al、P、Mnなどは塩酸より大量に溶出する特徴を有することを見出した。そして、Fe、Al、P、Mnなどを含む溶出液をPH2〜4に調整すれば、リン酸塩として、Pを回収できることを見出した。
図1に鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収工程を示す。図中の太線が、リン酸塩の回収フローである。本発明は、鉄鋼スラグの処理に係り、Ca溶出工程,残渣スラグ回収工程、リン溶出工程、リン溶質液回収工程、リン酸塩析出工程及びリン酸塩回収工程から成る。
<Ca溶出工程>
塩酸濃度は、CaOの選択溶解性、反応時間などから2質量%以上7質量%以下で、固液比が(1:10)〜(1:20)が好ましい。塩酸濃度が、2質量%未満で、固液比が(1:10)未満であると塩酸の溶解力が弱く、Ca溶出量が少なく、好ましくない。また、塩酸濃度が、7質量%を超え、固液比が(1:20)を超えると、塩酸の溶解力が強すぎ、鉄鋼スラグ中のPも溶出してしまい、リン酸塩の収量が低下してしまい、好ましくない。そして、塩酸は、製鉄所で汎用の7%以下の酸洗後の廃塩酸でも構わない。
鉄鋼スラグは、撹拌し易く、沈降せず、反応効率が高いことが好ましいので、粒径は5mm以下、より好ましくは2mm以下に分級したものを用いるが、粉砕処理を行う場合には粒径0.5mm以下が好ましく、さらに粒径0.125mm以下がより好ましい。
所定の粒径に篩分けする際の分級法としては、例えば、村上精機製作所製のジャンピングスクリーン装置を使用することが好ましい。
反応時間は、塩酸濃度が3%で、固液比が(1:10)〜(1:20)前後で、粒径が0.125mm以下の場合、10〜60分間で収束する。塩酸濃度が高くなり、固液比の液分が増え、粒径が大きくなると反応の収束時間は短くなる傾向がある。
<残渣スラグ回収工程>
上記の低Ca化処理したスラリーを固液分離して残渣、即ち、低Caの残渣スラグを回収する。固液分離としては、塩酸とスラグ中のCaOのモル比と相関性のある、反応収束後のpHに応じて耐酸性の配管や容器を用いる必要があるが、分離法としては、濾過、遠心分離、加圧脱水(ローラープレス、フィルタープレス、スクリュープレス)、多重円板回転脱水、多重板波動フィルターなどによる通常法や、化学的作用(水和官能基を持つ高分子、数千万の分子量の網状構造の高分子など)を利用した凝集剤を用いる方法などが挙げられる。
固液分離後の塩酸付着分の洗浄処理も、特に手法は問わないが、脱水ケーキへ連続注水後に脱水する方法や、塩素を含まない水中で脱水ケーキを解砕し、撹拌・洗浄後、固液分離する方法のどちらでも構わない。
また、固液分離により固形分が除かれた塩酸溶液には、鉄鋼スラグ中のCaOの70%以上が塩化カルシウム溶液として溶存している。他にも、Fe、Al、Si、Mn、Mg、P、及び、微量なCr、Cd分が含まれている。これらの金属は、溶液のpHを調整することにより、水酸化物として回収することができる。表1に、pH調整による金属水酸化物の析出順序を示す。
固液分離後の塩酸溶液から塩化カルシウム以外を水酸化物として分離、回収する場合には、Ca(OH)の析出領域である高pH域までにせず、KOH、NaOHでアルカリ側へpH調整しながらpH=11までに沈降、固液分離させることが可能である。鉄鋼スラグの塩酸改質反応後の固液分離で得られる濾液は、有用な成分と鉄鋼製造プロセス上、また環境対策上、忌避すべき成分を、それぞれ固有のpH域で水酸化物として個別に析出分離することが可能である。
Ca(OH)はpH=11〜13までに高純度で、白色沈殿するので、スラグから有価かつ製鉄所で反応の副原料として効率的に再利用できる。
pH=13以上の塩化物溶液は、電解処理してClガスとKOHまたはNaOHを再生、回収、リサイクルすることができる。また、P、Cr、Cdなどが基準内であることを確認した後、海洋投棄してもよい。
Figure 2017075065
<リン溶出工程>
鉄鋼スラグには、遊離CaOやCa分を含むCaSiO、CaSiO、CaSiO、CaAl等の複合酸化物、MgOなどが含まれるが、上記の2質量%以上7質量%以下の塩酸による低Ca化処理によって鉄鋼スラグ中のCaOの多くは、塩化カルシウムとして溶出、除去されている。Caが溶出した後の低Caの残渣スラグを、10質量%以上25質量%以下の硫酸に徐々に浸漬させることによって、Fe、Si、Mg、Al、Mn、Pなどは溶出し、イオンとして溶存する。
硫酸を用いてリンを溶出させる工程は、硫酸濃度が10質量%以上25質量%以下で、固液比が(1:3)〜(1:6)となるように、低Caの残渣スラグの投入量を調整することが好ましい。上記範囲内であれば、投入した低Ca化スラグからのPの溶出がスムーズに行われる。硫酸濃度が25質量%を超え、固液比が(1:6)以上では、P以外のSi等が溶出し、スラリー粘度が高くなり、撹拌や回収が非効率となるため、好ましくない。一方、硫酸濃度が10質量%未満、固液比が(1:3)未満では、リン溶出液へのリン溶出が不十分となり、好ましくない。
硫酸溶液に使用される硫酸は、コークス炉から排出されたS成分から製造された硫酸でも、脱硫装置で回収される硫酸でも、鋼板や鋼管、棒鋼などの酸洗処理で排出される廃硫酸でも構わない。
従来、コークス炉から余剰に排出されているS成分から製造された硫酸は、NHと反応させ硫酸アンモニュームを製造したり、NaOHで中和した後に海洋投棄処分している。近いうちに、原料枯渇の影響で、高S分の原料炭を使用する機会が増加することが予想され、コークス炉の化成工場で発生する硫酸量が過剰となり、その廃棄コストを低減する効果も大きい。
残渣スラグの硫酸を用いたリン溶出工程は、均一な反応を生じさせるために、反応槽中で撹拌する際に比重の大きな固形物を、上昇流で沈降しないように反応させることが好ましい。
残渣スラグの硫酸を用いたリン溶出工程の時間は、45分以上2時間以下が好ましい。より好ましくは1時間以上1.5時間以下である。
処理時間が、45分未満では反応槽中の残渣スラグのCaO以外の溶出率が低くなるおそれがあり、2時間を超えてもその処理効果は大幅には変わらず、処理コストが増加するおそれがある。
<リン酸塩析出工程>
1種以上の1A族金属の水酸化物溶液で、リン溶出液を中和していく際に1A族金属のリン酸塩析を固形物として析出させる。最もリン酸塩が析出し易いpH域はpH=2〜4であり、第一リン酸塩として溶液中のリンの60〜70%以上が回収される。尚、リン溶出液中のFe,Si,Al、Mgは、pH=2〜4で、液中に残るが、Fe3+は、析出する(表1)。しかし、一部、Feを含有しても有価なリン酸塩として利用できる。
1A族金属の水酸化物溶液の1A族金属としては、リン酸塩がそのまま肥料として利用できるKが最も好ましく、次いでNa、Li、Rbの順で好ましい。
<リン酸塩回収工程>
前記リン酸塩析出工程で析出したリン酸塩析を濾過、遠心分離、加圧脱水(ローラープレス、フィルタープレス、スクリュープレス)、多重円板回転脱水、多重板波動フィルターなどにより回収する。回収したリン酸塩は、有用なリン資源として活用することができる。
実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
粒径範囲が10〜0mm、5〜0mm、2〜0mmの各鉄鋼スラグ(高炉徐冷スラグ、転炉スラグ)を用意し、この鉄鋼スラグの2〜0mmをさらに粉砕後に分級した、粒径範囲が500μm未満、250μm未満、125μm未満、及び、粒径74μm未満のものも用意した。以下の表2に、実施例に用いた鉄鋼スラグの成分組成を示す。
Figure 2017075065
次に、2、3、7、10%の各濃度の酸洗廃液の塩酸溶液、10%、15%、20%、25%の各濃度に希釈したコークス化成硫酸を用意した。
表3に記載の各濃度の塩酸溶液を反応槽(ステンレス(鋼種SUS316L)にブチルゴムライニング、φ500×h500mm、内容積=約100リットル)に、同じく表2に示す各粒度の高炉水砕スラグ及び転炉スラグを少しずつ投入、撹拌し、全量投入後にスラリーとなったことを確認した後に、濾過により固液分離した。
その残渣を表3に示す濃度の硫酸溶液に浸漬し、遠心分離と吸引濾過を併用し、固液分離後に10%濃度のKOHで中和させるときに、pH=2〜4で回収された白色析出物の重量、および、その析出物の組成を蛍光X線分析により求めた結果も表3に示す。
Figure 2017075065
表3の結果から、高炉水砕スラグはリン含有量が少ないため、回収率は低めの傾向があるが、転炉スラグではほとんどの粒径範囲で90%以上の高い回収率が得られた。リンがより多く含まれているスラグでも、同等の回収率が得られることを確認できている。
KHPOの成分割合が低いのは、先ずはKHPOが混在していることに加え、低Ca化したスラグから溶け出たCaイオンが石膏(固液分離後、CaSO・2HO)、水酸化物(Ca(OH))、並びに、第二リン酸カルシウム(CaHPO)として析出しているため,およびFeの一部が混入したためである。
但し、いずれの化合物も肥料等に使用する場合、毒性はなく、高付加価値の固形物が得られたことには変わりはない。
以上、説明したように、本実施形態の鉄鋼スラグから高効率でリンを溶出、分離する方法によれば、鉄鋼スラグ中のリンを高い回収率で、高付加価値の固形物として得ることができる。特に、本実施形態のIA属の水酸化物を中和剤として用いることで付加価値の高い固形物として回収できるものとなる。
鉄鋼スラグ中のリンを高効率で溶出させ、有価な固形分として回収する鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法に利用することができる。

Claims (5)

  1. 鉄鋼スラグを塩酸溶液に浸漬し、Caを溶出させるCa溶出工程と、
    前記Caが溶出した溶液と残渣スラグを固液分離し、残渣スラグを回収する残渣スラグ回収工程と、
    前記残渣スラグを硫酸溶液に浸漬し、リンをリン溶出液として溶出させるリン溶出工程と、
    前記リン溶出液とリン溶出残渣を固液分離し、リン溶出液を回収するリン溶出液回収工程と、
    前記リン溶出液を1A族金属の水酸化物溶液で中和して、リン酸塩を析出させるリン酸塩析出工程と、
    析出した前記リン酸塩と溶液を固液分離しリン酸塩を回収するリン酸塩回収工程と、
    を実施することを特徴とする鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
  2. 前記Ca溶出工程において、塩酸濃度が2質量%以上7質量%以下で、固液比が(1:10)〜(1:20)でCaを溶出させることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
  3. 前記リン溶出工程において、硫酸濃度が10質量%以上25質量%以下で、固液比が(1:3)〜(1:6)でリンを溶出させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
  4. 前記リン酸塩析出工程において、1種以上の1A族金属の水酸化物溶液を用い、PHが2以上4以下で1A族金属のリン酸塩(第二、第三リン酸塩を含む)を析出させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
  5. 前記リン酸塩析出工程において、前記1A族金属の水酸化物溶液がKOH溶液であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の鉄鋼スラグからのリン酸塩の回収方法。
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