以下本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。背景技術と同一の部材には同一の符号を用いている。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る包装装置1を示す斜視図である。新聞Sは4つ折りした状態で、短辺側が両サイドになるように、挿入口2から装置内に挿入する。挿入口2には、挿入する新聞Sの下面と両サイドをガイドするガイド板2aが設けられ、ユーザが手で挿入しやすくなっている。本実施形態では新聞Sはユーザが手で挿入するようになっているが、ガイド板2aに代えて新聞Sを1部ずつ自動的に供給する装置を接続して自動供給としてもよい。
挿入された新聞Sは、その上側のフィルムロールR1と、下側のフィルムロールR2から引き出された各々のフィルムに、上面側と下面側を挟まれた状態で装置内を矢印方向に搬送されるとともに、新聞Sの周囲のフィルムが熱溶着されて包装され、排出口43から排出されて受け板44に順次積載される。
また、包装装置1の上面の一サイド側に、操作パネル45が設けられている。操作パネル45は包装装置1を操作するためのユーザの各種入力を受付ける入力部として機能し、かつ包装装置1内の各種情報を表示する表示部として機能する。
また、包装装置1の挿入口2側の面の端部には、この包装装置1に電源を投入する電源スイッチ46が設けられている。
図2はこの包装装置1の内部構造を模式的に示す正面図である。包装装置1の図示左方に挿入口2が形成されている。挿入口2は通常シャッター3で塞がれている。シャッター3は支点3aを中心に回動可能であり、図示しない付勢手段により図示時計方向に付勢されているため、シャッター3の下端はその下方に設けられた受台4に圧接した状態となっている(付勢手段を設けず、自重により圧接するようにしてもよい)。このシャッター3は新聞Sが挿入されるとき、新聞Sの先端によって反時計方向に回動され、受台4との間に隙間ができる。新聞Sはその隙間に入って図示右方にさらに挿入される。
さらに受台4の上方には溶着切断ヒータ5が配置されている。溶着切断ヒータ5は図示しない駆動機構により、図示した待機位置と、下端が受台4に到達した溶着位置との間を移動可能に構成されている。溶着切断ヒータ5は熱伝導率が良好で軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、下端形状が鋭角に形成されている。溶着切断ヒータ5にはラバーヒータが焼き付け固着されており(図示省略)、このラバーヒータに通電することにより加熱することができる。また、溶着切断ヒータ5の温度を計測するためのサーミスタが取り付けられている。
この溶着切断ヒータ5の上方にはフィルムロールR1が、下方にはフィルムロールR2が配置されている。以下フィルムロールR1について説明するが、フィルムロールR2の構成とその支持構造もフィルムロールR1と同一である。
フィルムロールR1は紙管R1aに長尺のフィルムFを巻回したものである。軸6Aはこの紙管R1aを内面側から同軸に支持している。フィルムF1は図示手前側から奥側に向かう方向(以下幅方向という)に幅を有し、紙管R1もフィルムF1と同一の幅を有する。その幅は、4つ折りされた新聞Sの長辺の長さよりも若干大きく形成されている。
フィルムロールR1の端面に幅方向に隣接して、フィルムロールR1の端面と平行な板状に形成されたガイド7Aが立設されている。ガイド7Aには上端から下方に向かって伸びるスリット7aAが形成され、このスリット7aAに軸6Aが挿通されている。さらにフィルムロールR1を下方から支持する支持ロール8Aが設けられている。
図3は図2におけるA―A断面図である。ガイド7AはフィルムロールR1の幅方向の両サイドに同形状のものが立設している。軸6Aは支持輪6aAを有し、この支持輪6aAが紙管R1aの内周面を支持することにより、軸6AとフィルムロールR1が同軸となるように支持している。軸6Aはこの2枚のガイド7Aの間隔よりも幅方向に長く形成され、その両端部がスリット7aAに挿通されている。フィルムロールR1の残量が減少し、ロール径が小さくなると、軸6Aの位置が下降する。支持ロール8Aの一端には円筒形状の制動輪8aAが同軸に固定支持されている。
図2に戻る。支持ロール8Aの一端には、制動輪8aAを含め、支持ロール8Aにブレーキを掛けるブレーキ機構9Aが構成されている。
図4はこのブレーキ機構9A(9B)を示す図で、図4(a)は制動輪8aAにブレーキをかけている状態、図4(b)はブレーキを解除している状態を示す。
図4(a)においては制動輪8aAの外周面にはブレーキシュー10Aが接触している。ブレーキシュー10Aはウレタンゴム等で形成されたゴム板である。このブレーキシュー10Aは支持部材11Aに貼付されている。支持部材11Aは装置の筐体フレームに立設固定された支点軸11aAを中心に回動可能であり、この支持部材11Aを図示時計方向に回動させるように付勢するトーションバネ(図示省略)が、支点軸11aAに巻き付けて設けられている。
支持部材11Aにはソレノイド13Aのプランジャが接続されている。ソレノイド13Aが励磁されると、図4(b)に示すように、トーションバネ12Aの付勢に抗して支持部材11Aが図示反時計方向に回動し、ブレーキシュー10Aが制動輪8aAから離間する。したがって、支持ロール8Aに対するブレーキが解除される。
ソレノイド13Aが消磁されると、図4(a)に示すように、トーションバネ12Aの付勢により支持部材11Aが図示時計方向に回動し、ブレーキシュー10Aが制動輪8aAに圧接する。したがって、支持ロール8Aに対してブレーキがかかった状態となる。
図2に戻る。フィルムロールR2においてもフィルムロールR1における軸6A、ガイド7A、支持ロール8A、ブレーキ機構9Aと同様に、軸6B、ガイド7B、支持ロール8B、ブレーキ機構9Bが構成されており、その構成は全く同一であるので詳細な説明は省略するとともに、フィルムロールR1側の部材おいて説明した付番のAをBに替えることにより、フィルムロールR2側の対応する部材を示すこととする。
さらに、フィルムロールR1の残量を検出するための残量検出機構15A、フィルムロールR2の残量を検出するための残量検出機構15Bを有する。残量検出機構15Bの構成も残量検出機構15Aと全く同じであるので、残量検出機構15Aについて説明し、残量検出機構Bについては詳細な説明は省略するとともに、残量検出機構15Aにおいて説明した部材の付番のAをBに替えることにより、残量検出機構15Bの対応する部材を示すこととする。
図5は残量検出機構15A(15B)を示す図である。図5(a)に示すように、残量検出機構15Aは、フィルムロールR1の幅方向の略中央において、装置筐体フレームに固定して立設された支持板16Aに支持されて設けられている。支持板16Aに立設された支柱17Aを中心に回動可能に支持されたレバー18Aの一端にコロ19Aが回転自在に支持され、このコロ19Aの外周面がフィルムロールR1の外周面に当接している。レバー18Aの他端には、図示手前側に曲げて立ち上げたバネ受け部18aAが形成され、支持板16AのフィルムロールR1寄り端部に、図示手前側に曲げて立ち上げたバネ受け部16aAとの間に、押しバネ20Aが介装されている。この押しバネ20Aにより、レバー18Aは図示時計方向に回動するように付勢され、従ってコロ19AがフィルムロールR1の外周面に圧接する方向に付勢されている。
レバー18Aの、支柱17Aによる支持部とコロ19Aが支持された一端部との間に、図示手前側に立設されるように円筒形の柱21Aが立設固定されている。この柱21Aの円筒の外周面が、変位センサ22Aの検知子22aAに当接している。
変位センサ22Aの検知子22aAは支軸22bAを中心に回動可能であり、この支軸22bAの周りに巻かれたトーションバネ(図示省略)により、図5における時計方向に付勢されている。変位センサ22Aは検知子22aAの回動時の変位量を内蔵エンコーダ(図示省略)によりパルスとして出力するものである。この内臓エンコーダは互いに位相をずらした2相のパルスを出力することにより、互いの出力タイミングの前後関係によって回転方向をも判別できるインクリメンタル方式のエンコーダである。
変位センサ22Aは支持部材23Aに固定支持されている。この支持部材23Aは、その一端で、支点軸24Aに支持されている。支点軸24Aは支持板16Aに立設され、支持部材23Aは支点軸24Aを中心に回動可能になっている。支持部材23Aはバネ25Aにより、図5における時計方向に付勢されている。支持部材23Aの他端はストッパ26Aに当接し、それ以上時計方向に回動しないようになっている。すなわち支持部材23Aは他端がストッパ26Aに当接した位置(以下、測定位置という)で静止する。さらに、支持部材23Aの支点軸24Aによる支持部と変位センサ22Aの固定部との間に、ソレノイド27Aのプランジャが接続されている。
図5(b)は、フィルムロールR1の残量が少なくなった時の、残量検出機構15Aを示す図である。フィルムロールR1の残量が減少するほど、レバー18Aが時計方向に回動するので、変位センサ22Aの検知子22aAが支軸22bAを中心に図5における時計方向に回動する。従って変位センサ22Aが、検知子22aAの回動量を出力することによって、フィルムロールR1の外径変化を検出することができる。以後、検知子22aAの回転方向は、図5に示す反時計方向を正方向、時計方向を逆方向と表記する。
図5(c)は、ソレノイド27Aを励磁した状態を示す図である。ソレノイド27Aを励磁すると、支持部材23Aがバネ25Aの付勢に抗して反時計方向に回動し、他端がストッパ26Aから離間した位置(以下、解除位置という)となる。この解除位置においては、変位センサ22Aの検知子22aAが柱21Aから離間する。変位センサ22Aは、検知子22aAが柱21Aから離間している状態では、検知子22aAは最も逆方向に回動した所定の基準位置に戻るようになっている。
したがって、ソレノイド27Aを励磁させて支持部材23Aを解除位置とし、その後ソレノイド27Aを消磁して支持部材23Aを測定位置とすることにより、検知子22aAは所定の基準位置から正方向に回動して、その時点でのフィルムロールR1の残量に対応した位置まで変位することになる。その変位量を出力することにより、フィルムロールR1の残量の絶対量を計測することができる。
図2に戻る。フィルムロールR1からはフィルムF1が引き出され、ガイド31、32に掛けられて、その先端が溶着切断ヒータ5の下方に位置している。フィルムロールR2からはフィルムF2が引き出され、ガイド33に掛けられて、その先端が溶着切断ヒータ5の下方に位置している。そしてフィルムF1、F2は先端同士が予め前回の包装作業で溶着され、溶着ラインFxを形成した状態になっている。
溶着切断ヒータ5及び受台4の図示右方には、挿入された新聞SをフィルムF1、F2とともに搬送する搬送ベルト34、35が設けられている。搬送ベルト34、35はともに幅方向に2本ずつ配置され、その間隔は4つ折りの新聞Sの長辺よりも短く構成されているので、搬送ベルト34は新聞Sを上方から、搬送ベルト35は新聞Sを下方から挟み、図示右方に搬送できるようになっている(以下、この新聞Sが搬送される方向を搬送方向という)。搬送ベルト35が掛けられている一方のプーリ36には、歯付ベルト、歯付プーリ、ギヤ等で構成された駆動伝達機構37を介してモータM1から駆動力が付与されている。また、搬送ベルト34が掛けられている一方のプーリ38にも、駆動伝達機構(図示省略)を介してモータM1から駆動力が付与されている。すなわちモータM1が回転すると、搬送ベルト34、35の両方に駆動力が付与される。
搬送ベルト34,35の幅方向の両サイドに、サイド溶着ヒータ41と、受台42が設けられている。サイド溶着ヒータ41は搬送ベルト34、35の両サイドに各々1個ずつ設けられたサイド溶着ヒータ41a、サイド溶着ヒータ41bで構成される。各々のサイド溶着ヒータ41a、41bに対応して、受台42も搬送ベルト34、35の両サイドに1個ずつ、計2個設けられている。サイド溶着ヒータ41、受台42は各々搬送ベルト34、35に沿って長く形成されている。
サイド溶着ヒータ41a、41bの各々も溶着切断ヒータ5と同様に、ラバーヒータが焼き付け固定された軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、下端形状が鋭角に形成されている。また、温度を計測するためのサーミスタも取り付けられている。
サイド溶着ヒータ41a、41bの幅方向の間隔は、4つ折りの新聞Sの長辺よりも長く、かつフィルムF1、F2の幅よりも短く構成されている。そしてサイド溶着ヒータ41a、41bはともに、図示しない駆動機構により、下端が受台42に到達するまで下降することができる。したがって、4つ折りした新聞Sの幅方向の両サイドで、フィルムF1、F2を溶着できるようになっている。
そしてサイド溶着ヒータ41、受台42の図示右方には、包装済みの新聞Sを排出する排出口43が形成されている。挿入口2から排出口43までの新聞Sの搬送経路には、新聞Sの先端又は後端を検知できるように、溶着切断ヒータ5の搬送方向上流側(以下単に上流側という)にセンサD1、溶着切断ヒータ5の搬送方向下流側(以下単に下流側という)にセンサD2、排出口43の近傍にセンサD3が各々配置されている。
図6は本発明の第1の実施形態に係る包装装置1の制御ブロック図である。包装装置1には、操作パネル45や各種センサ類、各温度測定部から入力された情報を取得するとともに、包装装置1の各機構を駆動するアクチェータ類、フィルムを溶着するためのヒータ類、包装装置1の各種情報をユーザに伝えるための表示部(としての操作パネル45)を制御する中央制御部100が設けられている。中央制御部100は、各種の演算を実行するCPU、各種の制御プログラムを格納するROM、およびデータ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。
残量検出機構15の各変位センサ22の測定データはFPGA(field−programmable gate array)200に入力される。FPGA200は、変位センサ22Aからの出力パルスをそれぞれカウントするパルスカウント部201Aと、パルスカウント部201Aでカウントしたパルスに基づいて、フィルムロールR1の残量算出の基礎となる総変位パルスPaAを算出して記憶する総変位パルス算出・記憶部202Aを有する。パルスカウント部201Aには変位センサ22Aからの出力パルスが入力され、そのパルス数をカウントするとともに、そのパルスの出力タイミングから検知子22aAの回転方向をも判別する。
総変位パルス算出・記憶部202Aは、ソレノイド27Aを励磁して検知子22aAが基準位置となったときに総変位パルスPaAをゼロとする。その後は、パルスカウント部201Aでカウントされたパルスと、検知子22aAの回転方向が入力されたとき、その回転方向が正方向であればカウントされたパルス分が加算され、逆方向であればカウントされたパルス分が減算される。したがってソレノイド27Aを励磁して総変位パルスPaAをゼロとした後、ソレノイド27Aを消磁し、フィルムロールR1の残量に応じた回転量だけ検知子22aAが正方向に回転すると、その時にパルスカウント部201Aがカウントしたパルス数が加算され、その時点でのフィルムロールR1の残量に対応する新たな総変位パルスPaAとして記憶される。
さらにフィルムF1が使用されてフィルムロールR1の残量が減少し、その分だけレバー18Aが回動することにより変位センサ22Aが逆方向に回動し、その際に検出したパルスがパルスカウント部201Aに入力されると、パルスカウント部201Aはその際にカウントしたパルス数と検知子22aAの回転方向を総変位パルス算出・記憶部202Aに入力し、総変位パルス算出・記憶部202Aでは、記憶されていた総変位パルスPaAに対して、送られてきたパルス数を減算して新たな総変位パルスPaAとして記憶する。このようにして、変位パルス算出・記憶部202Aは常時、その時点でのフィルムロールR1の残量に対応した数値を保持することになる。
具体的には、例えばソレノイド27Aを励磁してPaA=0とした後、ソレノイド27Aを消磁したときに、レバー18AがフィルムロールR1に当接して検知子22aAが正方向に回転し、その際に発生したパルス数が1200であった場合、その分加算されてPaA=1200となる。その後フィルムロールR1が使用により減少して検知子22aAが逆方向に回転し、その際に発生したパルス数が5であった場合は、その分減算されてPaA=1195となる。
総変位パルス算出・記憶部202Aは揮発性メモリであっても、不揮発性メモリであってもよい。揮発性メモリである場合は、電源を切断すると記憶されていた総変位パルスPaAは失われるし、不揮発性メモリである場合でも、電源が切れている間には変位センサ22は機能しないので、その間にフィルムロールR1の交換等が行われて残量が変化しても、総変位パルスPaAを更新することはできない。そこでソレノイド27Aを一旦励磁した後に消磁する動作(以後、リセット動作ともいう)を、たとえば電源投入時に行うことにより、総変位パルス算出・記憶部202Aは揮発性メモリであっても、不揮発性メモリではあるが電源が切れている間にフィルムロールR1の交換等が行われても、電源投入後にその時点での残量に応じた総変位パルスPaAが保持できることになる。
なおFPGA200はさらに、変位センサ22Bからの出力パルスをカウントするパルスカウント部201Bと、パルスカウント部201Bでカウントしたパルスに基づいて、総変位パルスを算出して記憶する総変位パルス算出・記憶部202Bを有する。パルスカウント部201Aと総変位パルス算出・記憶部202Aに関する説明部分の符号のAをBに、R1をR2に、F1をF2に読み替えたものが、パルスカウント部201Bと総変位パルス算出・記憶部202Bの機能となる。したがって、総変位パルス算出・記憶部202Bは、フィルムロールR2の残量に対応した総変位パルスPaBを常時保持することになる。
なお本実施形態ではFPGA200を中央制御部100とは別に設け、変位センサ22A、22Bから送られてきたパルスのカウントと総変位パルスの計算をFPGA200において行っているが、これを中央制御部100で行ってもよい。
中央制御部100は、フィルムロールR1、R2の外径をそれぞれ算出して記憶するフィルムロール外径算出・記憶部101A、101Bを有する。フィルムロール外径算出・記憶部101Aには、総変位パルス算出・記憶部202Aから総変位パルスPaAが入力される。そして、あらかじめフィルム厚算出・記憶部102に記憶されたフィルム厚さtと、外径計算データテーブル記憶部103に記憶された外径計算データテーブル300(図7参照・詳細は後述)を参照し、総変位パルスPaAをフィルムロールR1の外径DaAに換算する。
同様に、フィルムロール外径算出・記憶部101Bには、総変位パルス算出・記憶部202Bから総変位パルスPaBが入力され、フィルム厚さtと外径計算データテーブル300を参照し、総変位パルスPaBをフィルムロールR1の外径DaBに換算する。以下、外径計算データテーブル300と、これを利用して総変位パルスPaAからフィルムロールR1の外径を算出する方法を詳述するが、総変位パルスPaBからフィルムロールR2の外径を算出する方法も全く同様であり、符号のAをBに、あるいはR1をR2読み替えればよい。
包装装置1には、操作パネル45を介して、使用前の新品状態のフィルムロールの芯径d、初期フィルム長さLxを入力することができる。芯径d、初期フィルム長さLxは、ユーザが常時使用するフィルムの仕様に基づいて、ユーザまたはサービスマンがあらかじめ入力する。その入力値はフィルム厚算出・記憶部102に入力される。フィルム厚算出・記憶部102では、あらかじめ記憶されている初期外径Dxと、入力された芯径dおよび初期フィルム長さLxとから、フィルム厚さtを以下の式により算出し、記憶する。
t=(π(Dx/2)2−π(d/2)2) / Lx
=π(Dx2−d2)/4Lx
π: 円周率
外径計算データテーブル記憶部103は、総変位パルスPaAからそれぞれフィルムロールR1の外径を換算算出するための外径計算データテーブルがあらかじめ記憶されている。図7はこの外径計算データテーブル300を示す図である。残量検出機構15の構造的要因により、フィルムロールR1の外径の単位変化量当たりの、変位センサ22Aが発生するパルス数が、フィルムロールR1の外径により異なるから、フィルムロールR1の外径DaAと、対応する総変位パルスPaAとは比例関係にならない。そこで、フィルムロールR1を所定の外径ごとに区切って複数のレンジに分け、残量検出機構15Aの幾何学的な設計値から、各々のレンジにおける変位センサ1パルスあたりの外径変化量である外径変化率Drを求め、テーブル化したのが外径計算データテーブル300である。
図7に示すように、外径計算データテーブル300は、横軸に外径レンジ欄301、総変位パルス範囲欄302、外径変化率欄303、を有する。外径レンジ欄301には、フィルムロールR1の外径を複数に区切った各レンジの外径範囲が記載され、総変位パルス範囲欄302には、この各レンジの外径範囲に相当する総変位パルスの範囲が記載されている。フィルムロールの外径が、各レンジの外径範囲の最小値であったときの総変位パルスを、設計上の幾何学的な理論値から求めたものが、そのレンジの総変位パルス範囲の最小値である。たとえば外径レンジ「80〜85」(80mm以上85mm未満)においては、そのレンジの外径範囲の最小値は85mmである。外径85mmのフィルムロールR1に対応する総変位パルスPaAを幾何学的な理論値から求めると、838となる。したがってそのレンジの総変位パルス範囲の最小値は838となる。
同様に、その1つ上のレンジ(「86〜90」(86mm以上90mm未満))においては、その最小値90mmの外径に対応する総変位パルスは944となる。したがってそのレンジの総変位パルス範囲の最小値は944となる。さらにそれよりも1パルス小さな数値を、その1つ下のレンジ(「80〜85」(80mm以上85mm未満))の総変位パルス範囲の最大値とするので、外径範囲「80〜85」に対応する総変位パルス範囲は838〜943となる。
なお総変位パルスの理論値は、当該外径のフィルムロールR1の外周に、コロ19Aが当接した状態における変位センサ22Aの検知子22aAの幾何学的な位置によって特定する。しかし、変位センサ22Aの個体差や各部材の取付位置の誤差により、検知子22aAの位置と、内臓エンコーダの出力との関係には個体差が生じるため、残量検出機構15A個体ごとに特有の誤差をあらかじめ測定し、FPGA200で総変位パルスPaAを記憶する際、あるいはフィルムロール外径算出・記憶部101AがフィルムロールR1の外径を算出する際に、総変位パルスPaAを個体差に合わせて補正すればよい。
また、残量検出機構15A個体ごとの内臓エンコーダの出力に合わせて、個体ごとに異なる外径計算データテーブル300を作成し、記憶させてもよい。
外径変化率欄303には、該当するレンジにおける外径の幅を総変位パルスの幅で除した数値が記載されている。たとえば外径レンジが「80〜85」(80mm以上85mm未満)である場合は、その幅は85−80=5(mm)である。該当する総変位パルスの範囲は「838〜892」であるから、その幅は892−838=54(パルス)である。したがって、5を54で除し、小数点4桁以下を四捨五入すると、外径変化率欄の0.091となる。
フィルムロール外径算出・記憶部101Aでは、総変位パルス算出・記憶部202Aから入力された現時点での総変位パルスPaAから、外径計算データテーブル300を参照して、フィルムロールR1の外径を算出する。具体的には、入力された総変位パルスPaAを、総変位パルス範囲欄302と照合し、総変位パルスPaAが含まれる総変位パルス範囲を特定する。そして特定された総変位パルス範囲の最小値PbAと、総変位パルスPaAとの差異に、特定された総変位パルス範囲に対応する外径変化率DrAを掛け合わせた積を、特定された総変位パルス範囲に対応する外径レンジの最小値DbAに加算して、フィルムロールR1の外径DaAを求める。式で表すと以下のようになる。
DaA=DbA+(PaA−PbA)DrA
フィルムロールR2の外径DaBも同様にして求められる。
DaB=DbB+(PaB−PbB)DrB
たとえば、フィルムロール外径算出・記憶部101Aに総変位パルスPaA=1045が入力された場合、総変位パルス欄302のうち「1034〜1075」の範囲に含まれる。そしてその最小値PbAは1034であるから、総変位パルスPaAとの差異は、1045−1034=11となる。そしてこの総変位パルス範囲に対応する外径変化率DrAは0.12であるから、前記差異との積は、11×0.12=1.32となる。そして前記範囲に対応する外径レンジが「100〜105」であり、その最小値DbAは100であるから、外径DaA=100+1.32=101.32(mm)となる。このようにして総変位パルスPaA(PaB)から、フィルムロールR1(R2)の外径DaA(DaB)が算出・記憶される。
各々求められたフィルムロールR1、R2の外径DaA、DaBはブレーキタイミング算出・記憶部104に入力される。ブレーキタイミング算出・記憶部104では、入力された外径DaA、DaBに基づいて、包装動作時のブレーキ機構9A、9Bの作動タイミングの補正値を算出する。
図6に戻る。駆動制御部105はセンサD1、D2、D3によって、被包装物である新聞Sが検知された検知信号に基づいて、溶着切断ヒータ5およびサイド溶着ヒータ41を駆動するアクチェータ、モータM1、ブレーキ機構9A、9Bのソレノイド13A、13Bを、所定のタイミングに基づいて駆動制御する。ソレノイド13A、13Bは新聞Sが挿入口2から挿入され、新聞Sの先端がセンサD1で検知されたときに励磁し、ブレーキを解除する。新聞Sが図2の右方へ搬送され、センサD2が新聞Sの後端を検知してから所定時間後にソレノイド13A、13Bを消磁してブレーキONするようにプログラムされている。
ブレーキタイミング算出・記憶部104では、外径DaA、DaBと、その外径差と大小関係に応じ、あらかじめ記憶されている補正テーブル400を参照して補正値を決定する。図8はこの補正テーブル400を示す図である。補正テーブル400の縦軸は左から外径欄401、外径差欄402、ソレノイド13Aタイミング補正値欄403、ソレノイド13Bタイミング補正値欄404を有する。外径欄401には、フィルムロールR2の外径DaBが80mm以上の場合と80mm未満の場合とを区別するように、欄が設けられている。そして外径DaBが80mm未満の場合は、外径差DaA−DaBが0mmを超える場合、0mmである場合、0mm未満の場合とに分けて、各々ソレノイド13A、13Bの消磁タイミング補正値が設定されている。そして外径DaBが80mm以上の場合は、外径差DaA−DaBが1mmを超える場合、1mmである場合、1mm未満の場合とに分けて、各々ソレノイド13A、13Bの消磁タイミング補正値が設定されている。
例えば外径DaAが72mm、DaBが70mmであった場合は、DaB<80であって、DaA−DaB=72−70=2mmであるから、DaA−DaB>0である。したがってソレノイド13A消磁タイミング補正値は+25msec、ソレノイド13B消磁タイミング補正値は−25msecとなる。外径DaAが68mm、DaBが70mmであった場合は、DaB<80であって、DaA−DaB=68−70=−2mmであるから、DaA−DaB<0である。したがってソレノイド13A消磁タイミング補正値は−25msec、ソレノイド13B消磁タイミング補正値は+25msecとなる。外径DaA、DaBがともに70mmであった場合は、DaB<80であって、DaA−DaB=70−70=0mmであるから、DaA−DaB=0である。したがってソレノイド13A、13Bの消磁タイミング補正値はともに0msecとなる。
例えば外径DaAが120mm、DaBが122mmであった場合は、DaB≧80であって、DaA−DaB=122−120=2mmであるから、DaA−DaB>1である。したがってソレノイド13A消磁タイミング補正値は+25msec、ソレノイド13B消磁タイミング補正値は−25msecとなる。外径DaA、DaBがともに120mmであった場合は、DaB≧80であって、DaA−DaB=120−120=0mmであるから、DaA−DaB<1である。したがってソレノイド13A消磁タイミング補正値は−25msec、ソレノイド13B消磁タイミング補正値は+25msecとなる。外径DaAが121mm、DaBが120mmであった場合は、DaB≧80であって、DaA−DaB=121−120=1mmであるから、DaA−DaB=1である。したがってソレノイド13A、13Bの消磁タイミング補正値はともに0msecとなる。
図6に戻る。駆動制御部105は、ブレーキタイミング算出・記憶部104で算出・記憶された補正値を参照して、ブレーキ機構9A、9Bの作動タイミングを必要に応じて補正する。センサD2が新聞Sの後端を検知してからソレノイド13A、13B消磁(ブレーキON)までの時間は標準で50msecとされている。この50msecに補正値を加算してソレノイド13A、13B消磁(ブレーキON)タイミングを決定する。すなわち補正値が+25msecである場合は、センサD2が新聞Sの後端を検知してから50+25=75msec後がブレーキONタイミングとなる。補正値が−25msec、である場合は50−25=25msec後、補正値が0msecである場合は、50−0=50msec後がブレーキONタイミングとなる。
駆動制御部105は、新聞Sが挿入口2から挿入され、その先端がセンサD1で検知されると、モータM1を駆動して搬送ベルト34、35がフィルムF1、F2に挟まれた新聞Sを搬送する。その搬送力でフィルムF1、F2が引っ張られ、フィルムロールR1、R2から引き出される。その後センサD1が新聞Sの後端を検知してから所定時間後に搬送ベルト34、35を停止させ、溶着切断ヒータ5とサイド溶着ヒータ41を駆動してフィルムF1、F2を溶着する。
しかし搬送ベルト34、35を停止させても、直ちにフィルムロールR1、R2は停止せず、慣性で若干回転を継続する。搬送ベルト34、35はすでに停止しているから、各々のフィルムF1、F2はフィルムロールR1、R2から引き出されてから搬送ベルト34、35に挟まれるまでの間の部分で弛みFs1、Fs2を形成する。
この弛みFs1、Fs2が形成された状態で次の新聞Sを挿入すると、はじめに弛みFs1、Fs2が徐々に解消していく。そして弛みFs1、Fs2がすべて解消してフィルムF1、F2が張った時の張力により、フィルムロールR1、R2からのフィルムF1、F2の引き出しが開始される。
このとき、弛みFs1よりFs2の方が大きい場合、弛みFs1が解消されても弛みFs2が残っているため、引き続き弛みFs2が解消されていく。このとき、前の包装動作で幅方向に形成された溶着ラインFxは、新聞Sの上面側となり、フィルムF2が新聞Sの先端側の上側に巻き込まれる。この結果、その回の包装にはフィルムF1よりもフィルムF2を多く消費することになる。弛みFs2よりFs1の方が大きい場合はこの逆で、フィルムF1が新聞Sの先端側の下側に巻き込まれるので、その回の包装にはフィルムF2よりもフィルムF1の方を多く消費することになる。
搬送ベルト34、35の停止タイミングはブレーキONタイミング(ソレノイド13A、13Bの消磁タイミング)よりも前となるように、センサD1が新聞Sの後端を検知してから搬送ベルト34、35が停止するまでの所定時間が定められている(たとえば20msec)。
すなわち、搬送ベルト34、35が停止後、慣性によりフィルムロールR1、R2が回転を続けて弛みFs1、Fs2が形成されている間にソレノイド13A、13Bが消磁してブレーキがかかるようになっている。ブレーキがかかるとフィルムロールR1、R2の回転が停止し、弛みFs1、Fs2の形成も中断する。
この時、ソレノイド13Aよりも13Bの方が消磁タイミングが遅い場合は、弛みFs1よりもFs2の方が中断タイミングが遅くなるから、弛みFs1よりもFs2の方が大きく形成されるので、その次の回の包装ではフィルムF1よりもフィルムF2の消費量が多くなる。
逆に、ソレノイド13Bよりも13Aの方が消磁タイミングが遅い場合は、弛みFs2よりもFs1の方が中断タイミングが遅くなるから、弛みFs2よりもFs1の方が大きく形成されるので、その次の回の包装ではフィルムF2よりもフィルムF1の消費量が多くなる補正テーブル400によれば、外径DaB<80の場合で、外径DaBよりも外径DaAの方が大きい場合は、ソレノイド13Aよりも13Bの方が消磁タイミングが早くなる。そうすると、形成される弛みFs1はFs2よりも大きくなるので、次回の包装ではフィルムF1の方がF2よりも消費量が多くなる。外径DaB<80の場合で、外径DaAよりも外径DaBの方が多い場合は、ソレノイド13Bよりも13Aの方が消磁タイミングが早くなる。そうすると、形成される弛みFs2はFs1よりも大きくなるので、次回の包装ではフィルムF2の方がF1よりも消費量が多くなる。
すなわちどちらの場合も、残量が多い方のフィルムを次回の包装で多く使うことになる。これを繰り返すことにより、フィルムロールR1、R2の残量の差が縮小し、ゼロに近づくことになる。したがって、フィルムロールR1、R2の使い切りタイミングが互いに近くなるので、どちらかのフィルムロールを使い切ったとき、他方のフィルムロールも同時に使い切るか、あるいは残量がわずかであるから、その時に両方のフィルムロールを同時に新品に交換したときの、廃棄するフィルムの量を抑制することができる。
なお補正テーブル400によれば、外径DaB≧80の場合は、外径DaBよりも外径DaAの方が大きく、その差が1mmを超える場合に、ソレノイド13Aよりも13Bの消磁タイミングを早くしている。したがって、次回の包装ではフィルムF1の方がF2よりも多く消費される。外径DaBよりも外径DaAの方が1mm大きい場合は、ソレノイド13Aと13Bの消磁タイミングは同じになる。そして、外径DaAよりも外径DaBの方が大きい場合に加え、外径DaAと外径DaBに差が無い場合、さらに外径DaBよりも外径DaAの方が大きいが、その差が1mm未満である場合は、ソレノイド13Bよりもソレノイド13Aの消磁タイミングを早くしている。
本願発明のような、新聞Sの搬送経路を略水平に配置し、その上方と下方にフィルムロールを配置した包装機の場合、上方のフィルムロールから引き出されたフィルムの送り方向が重力に対して順方向である下降方向となり、下方のフィルムロールから引き出されたフィルムの送り方向が重力に対して逆方向である上昇方向となる。したがって上方のフィルムの方が下方のフィルムよりも引き出されやすいため、上下同時にブレーキONしても、それまでの間に引き出されるフィルムの量が、上方のフィルムロールの方が多くなり、早く消費される傾向にある。この傾向は、フィルム残量が多いほど慣性が強く働くため顕著となる。また、新聞Sの搬送路が略水平ではなく、例えば傾斜していても、2個のフィルムロールの各々の収容部の高さ位置が相違する場合、同様の現象が発生することがある。
そこで本願発明では、外径DaBが80mm以上である場合と80mm未満である場合とに分け、外径DaBが80mm以上である場合には、外径DaBよりも外径DaAの方が大きくても、その差が1mm未満である場合は、ソレノイド13Bよりもソレノイド13Aの消磁タイミングを早くして、次回の包装でフィルムF1よりもF2の消費量の方が多くなるようにしている。この制御を繰り返すことにより、「外径DaAがDaBよりも大きく、その外径差が1mm」という状態を目標として近づけていくことになる。実際には上下同時にブレーキONした場合は上方のフィルムの方が消費が速いため、外径差は1mmよりも小さい状態に近づく。そして外径DaBが80mm以下となった後は、上記したとおり外径DaAとDaBとの差をゼロに近づけることにより、差が無い状態に近づける。
このフィルムロールの位置と引き出し経路の相違によるフィルム消費量の差異は、フィルムロールの外径が大きいほど拡大する。外径DaA、DaBが大きいうちから外径差の目標値をゼロとして制御すると、外径が大きいうちにフィルムロールR1の消費の方がR2よりも進むことによってかえって外径差が拡大し、その外径差をフィルムロールR1を使い切るまでの間に解消できない可能性がある。本願発明ではフィルムロールの外径が大きい間は、上方のフィルムロールの外径の方大きく、かつ外径差1mmを目標値として制御し、外径が所定よりも小さくなって以後、目標値を外径差ゼロに切り替えることにより、上下いずれかのフィルムロールを使い切ったときに他方のフィルムロールに残っているフィルムの量が、より少なくなる。
なお補正テーブル400では、フィルムロールR2の外径DaBを基準に80mm以上の場合と80mm未満の場合とに分けているが、フィルムロールR1の外径DaAを基準としてもよい。また、フィルムロールの外径が小さくなるに従い、複数段階で近づけるべき外径差が変化するように制御してもよく、あるいはフィルムロールの外径から所定の計算式を用いて近づけるべき外径差を算出して制御してもよい。
また、ブレーキタイミングを同一としたときに2個のフィルムロールのいずれが早く消費される傾向にあるかは、新聞搬送経路の向き、角度や、各々のフィルムロールから引き出されるフィルムの引き回し等、装置の構成によって異なる。したがって、その装置の構成から生じる各フィルムロールの消費速度の差をあらかじめ把握し、これに応じて、フィルムロールの外径が大きいうちは、消費速度が速いフィルムロールの外径の方が所定量大きい状態に近づくように制御すればよい。
このようにブレーキタイミング算出・記憶部104から送られたソレノイド13A、13Bの消磁タイミング補正値を参照し、駆動制御部105はソレノイド13A、13Bの消磁タイミングを決定し、動作制御を行う。
フィルムロール外径算出・記憶部101Aに記憶されたフィルムロールR1の外径DaAと、フィルムロール外径算出・記憶部101Bに記憶されたフィルムロールR2の外径DaBとが、比較部106に入力される。比較部106は両者を比較し、いずれか外径の小さい方の外径を、参照外径Dsとして、モータM1速度算出・記憶部107と、残部数算出部108に送る。
モータM1速度算出・記憶部107は、モータ速度テーブル500を参照して、参照外径Dsに応じてモータM1の速度を算出する。図9はこのモータ速度テーブル500を示す図である。モータ速度テーブル500は左から参照外径欄501と、モータM1回転速度欄502を有する。このモータ速度テーブル500を参照して、入力された参照外径Dsが80mm以上である場合は、モータM1回転速度を2014rpmに設定する。入力された参照外径Dsが60mm以上、80mm未満の場合は、モータM1回転速度を1896rpmに設定する。入力された参照外径Dsが60mm未満である場合は、モータM1回転速度を1790rpmに設定する。すなわち、参照外径Dsが小さくなると、段階的にモータM1回転速度が遅くなり、したがって搬送ベルト34、35の周回速度が遅くなる。
フィルムロールは残量が少なくなると軽くなり、慣性で回転しやすくなるので、搬送ベルト34、35が停止してからブレーキ機構9A(9B)がブレーキONするまでの間に形成される弛みFs1(Fs2)が大きくなる。弛みそのものが過大になると、弛みFs1とFs2の大きさの差も大きくなり、ブレーキONタイミング補正によるフィルム消費量調整の精度が低下する。また、弛みFs1(Fs2)の部分でフィルムF1、F2が内部構成部品に引っかかることによる不具合が発生する可能性がある。
本願発明では、参照外径DsすなわちフィルムロールR1、R2のうち、小さい方の外径を参照し、参照外径Dsが小さいほど搬送ベルト34、35による搬送速度が遅くなる。したがって、搬送ベルト34、35停止時の衝撃が抑制されるので、慣性によって過大な弛みFs1(Fs2)が発生することを防ぐ。したがって、ブレーキONタイミング補正によるフィルム消費量調整の精度をより高めることができ、さらにフィルムの引っ掛かりによる不具合の発生も防ぐことができる。
モータM1速度算出・記憶部107は、算出したモータM1回転速度を駆動制御部105に出力する。駆動制御部105は受信したモータM1回転速度でモータM1が回転するように制御する。なお、モータ速度テーブル500では、モータM1回転速度を決定するための参照外径Dsの段階を3段階に分けているが、この段階分けはもっと細かくてもよいし、2段階であってもよい。また、モータ速度テーブルによらず、所定の計算式に参照外径Dsを代入し、モータM1回転速度を計算してもよい。たとえば所定の定数Kを定め、参照外径Ds(残量)を使用し、モータM1回転速度Vr=Ds×Kとして、参照外径DsとモータM1回転速度Vrが比例するようにしてもよい。また、モータM1から搬送ベルト34,35へ駆動を伝達する駆動伝達機構に無段階変速機構を挿入し、参照外径Dsに応じてモータM1の回転速度ではなく、変速機構を制御することにより、搬送ベルト34、35の搬送速度を制御してもよい。
また、この参照外径Dsを、外径DaA、DaBのうちの小さい方としているが、大きい方としてもよいし、外径DaAとDaBとの平均値であってもよい。フィルムロール外径が小さくなったときの精度向上あるいは不具合防止という目的からすれば、参照外径Dsは外径DaA、DaBのうちの小さい方が望ましいが、2個のフィルムロールは同時に新品に交換されることが多いという性質上、2個のフィルムロールがともに減少していくことになるため、残量の大小にかかわらず、一方が残り少なくなったときの挙動は他方も同様と考えられるから、参照外径Dsを外径DaA、DaBのうちの大きい方としても、平均値としても、目的を達成することが可能である。
図6に戻る。残部数算出部108は、入力された参照外径Dsを参照し、フィルムロールR1、R2外径が小さい方のフィルムロールを使い切るまでに包装が可能な新聞の部数(残部数)を算出する。具体的には、入力された参照外径Dsと、フィルム厚算出・記憶部102に記憶されたフィルム厚さtと芯径dを参照し、次の式でフィルムの残り長さLrを算出する。
Lr=π(Ds2−d2)/4t
この残り長さLrを、1部当たりの消費長さLaで除したときの商が、残部数Nrとなる。Laは、フィルムF1、F2の消費量が仮に同一であった場合の設計値をあらかじめ記憶しておき(たとえば300mm)、使用する。また、外径計測精度による誤差により、Nrが実際の残部数よりも大きい数値にならないように、商の十位以下は切り捨ててNrを求める。このNrが100部以下になったときは、残部数表示部(操作パネル45)に、残部数が100部以下である旨の警告を表示する。ユーザはこの警告により、使い切りが近いことを認識することができる。
なおこの残部数警告表示を行うのは200部、あるいは300部以下であってもよいし、さらには算出されたNrを常時表示するようにしてもよいことはもちろんである。また、外径計測精度によっては、LrをLaで除した商を、1の位のみを切り捨てて10部単位の表示としてもよい。
さらに中央制御部100には、溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121を有する。溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121には、溶着切断ヒータ5に取り付けられたラバーヒータに通電し、加熱するときの目標となる設定温度Tcを設定、記憶する。
ユーザは、溶着切断ヒータ温度設定入力部(操作パネル45)から、溶着切断ヒータの温度設定を選択入力する。操作パネル45には、「弱」「標準」「強」の3つのボタンが表示され、ユーザがいずれか1つをタッチまたは押下して選択できるようになっており、この入力内容が溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121に送る。溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121は、溶着切断ヒータ標準温度記憶部122に予め記憶されている溶着切断ヒータの標準温度Tcs(℃)と、ユーザが入力した温度設定を参照し、溶着切断ヒータの設定温度Tc(℃)を決定する。
溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121では、ユーザが選択した温度設定が「標準」である場合には、標準温度Tcsをそのまま設定温度Tcとする(Tc=Tcs)。「弱」である場合は、標準温度Tcsよりも5℃低い温度を設定温度Tcとする(Tc=Tcs−5)。「強」である場合は、標準温度Tcsよりも10℃高い温度を設定温度Tcとする。
たとえば標準温度Tcs=200℃であれば、「弱」の場合は設定温度Tc=195℃となり、「標準」の場合はTc=200℃、「強」の場合はTc=210℃となる。
決定した設定温度Tcは溶着切断ヒータ5に取り付けられているサーミスタThcで計測した溶着切断ヒータ測定温度Tcmとともに残温度算出部123に入力される。残温度算出部123では設定温度Tcから測定温度Tcmを差し引いた残温度Tcrを算出する(Tcr=Tc−Tcm)。そしてTcr>0ならば、溶着切断ヒータ5に取り付けられたラバーヒータHcを加熱するために通電し、Tcr≦0ならば通電しない。
すなわち、溶着切断ヒータ5の測定温度Tcmが設定温度Tcに到達するまで加熱を続け、到達したら加熱を中止することにより、溶着切断ヒータ5が設定温度Tcまで加熱されるように制御するということである。到達後時間が経過して測定温度Tcmが下がると、Tcr>0となるので再度ラバーヒータHcに通電され、再度設定温度Tcまで加熱される。この間欠的な加熱により、溶着切断ヒータ5はおおむね設定温度Tcに保たれる。
たとえば電源投入時、測定温度Tcm=20℃であり、設定温度Tc=200℃であれば、測定温度Tcmが200℃に到達するまで加熱し、200℃に達したら加熱を中止する。残温度Tcrは、電源投入時はTcr=200−20=180である。加熱により測定温度Tcm=100℃となると、残温度Tcr=200−100=100である。測定温度Tcm=200℃となると残温度Tcr=200−200=0となり、予熱が完了する。すなわち予熱が完了するまで残温度は180から0まで順次数値を減らしていく。その後は間欠的な加熱によっておおむね200℃に保つ。
サイド溶着ヒータ41a、41bの温度も同様に制御される。中央制御部100には、サイド溶着ヒータ設定温度決定・記憶部124を有し、サイド溶着ヒータ41a、41bに取り付けられたラバーヒータに通電し、加熱するときの目標となる設定温度Tsを設定、記憶する。
溶着切断ヒータ温度設定入力部と同様に、ユーザはサイド溶着ヒータ温度設定入力部(操作パネル45)、「弱」「標準」「強」のいずれかを選択し、その内容をサイド溶着ヒータ設定温度決定・記憶部124に送る。そしてサイド溶着ヒータ標準温度記憶部125の不揮発性メモリに予め記憶されているサイド溶着ヒータの標準温度Tss(℃)と、ユーザが入力した温度設定を参照し、サイド溶着ヒータの設定温度Ts(℃)を決定する。決定方法も溶着切断ヒータ設定温度決定・記憶部121と同様に、「標準」であればTs=Tss、「弱」であればTs=Tss−5℃、「強」であればTs=Tss+10℃として、各々設定温度Tsを決定する。
サイド溶着ヒータ41a、41bには各々サーミスタThsa、Thsbが取り付けられており、各々で計測した測定温度Tsma、Tsmbがそれぞれ残温度算出部126、127に入力される。残温度算出部126ではサイド溶着ヒータ41aの残温度Tsraが算出(Tsra=Ts−Tsma)され、Tsra>0ならば、サイド溶着ヒータ41aに取り付けられたラバーヒータHsaを加熱するために通電し、Tsra≦0ならば通電しない。残温度算出部127ではサイド溶着ヒータ41bの残温度Tsrbが算出(Tsrb=Ts−Tsmb)され、Tsrb>0ならば、サイド溶着ヒータ41bに取り付けられたラバーヒータHsbを加熱するために通電し、Tsrb≦0ならば通電しない。
この制御によって、溶着切断ヒータ5と同様に、サイド溶着ヒータ41a、41bの温度も、各々設定温度Tsに保たれる。
標準温度Tcs、Tssは、あらかじめ不揮発性メモリに記憶された温度であり、一般的な使用環境、フィルム性質等を考慮して、製造時に記憶させる。納品後、実際の使用環境(使用場所の外気温度、フィルムの種類等)を考慮して、サービスマン等が変更設定することもできるようになっている。
また、包装装置のいずれかの箇所に機内の気温、あるいは外気気温を測定できるサーミスタをさらに設け、その測定結果に応じて、標準温度Tcs、Tssを補正してもよい。たとえば、外気温が低い場合は標準温度Tcs、Tssを上昇させ、高い場合は下降させることが考えられる。外気温が低い場合はフィルムF1、F2の温度も低くなるため、各ヒータの温度を高めに設定して加熱効果を高めることにより、溶着性能を維持することができるからである。
また、包装する新聞Sの厚みによっても、標準温度Tcs、Tssを補正してもよい。たとえば、新聞Sが厚い場合は標準温度Tcs、Tssを上昇させること等が考えられる。新聞Sが厚い場合は、包装後の運搬の際に溶着部が新聞Sの重さに耐えられるように、溶着温度を高めて溶着部の強度を上げることができるからである。逆に新聞Sが薄い場合は、標準温度Tcs、Tssが低めになるように補正することにより、消費電力を低くすることができる。新聞Sの厚みについては、ユーザが「厚い」「薄い」を操作パネル45等から選択設定可能としてもよいし、挿入口2に厚み検知センサを取り付けて新聞Sの厚みを計測してもよい。
また、サイド溶着ヒータ設定温度決定・記憶部124と、サイド溶着ヒータ標準温度記憶部125を、2か所のサイド溶着ヒータ41a、41bそれぞれについて別個に設け、標準温度Tssを各々別個に記憶するようにしてもよい。さらにまた、サイド溶着ヒータ温度設定入力部も、2か所のサイド溶着ヒータ41a、41bについて別個の設定ができるようにしてもよい。たとえば、サイド溶着ヒータ41a、41bの各々の標準温度Tssが異なるように設定する、あるいはユーザの「弱」「標準」「強」設定を互いに異なるようにして、一方のサイドの溶着強度を他方のサイドよりも弱くして、開封が容易にできるようにすることも考えられる。
中央制御部100には、残温度比較部128が設けられている。残温度比較部128には、溶着切断ヒータ5の残温度Tcr、サイド溶着ヒータ41aの残温度Tsra、サイド溶着ヒータ41bの残温度Tsrbが入力され、これらを比較した結果、最も残温度が大きい数値が残温度Trとして出力される。
この残温度Trは残温度表示部(操作パネル45)に表示される。残温度は各々のヒータにおける、設定温度と測定温度との差であるから、加熱するほど減少し、設定温度までの加熱(予熱)が完了するとゼロとなる。残温度Trは各々のヒータの残温度のうちの最も大きい数値であるから、各ヒータのうち、設定温度と測定温度との差が最も大きなヒータ、すなわち設定温度に達するまでに最も長時間加熱が必要と考えられるヒータの残温度となり、これがゼロになったときは、すべてのヒータが設定温度に到達した(予熱が完了した)ことになる。したがってこれを表示することにより、ユーザは予熱完了までに要する時間を推定することができる。
図10は残温度表示部の例をいくつか示す図である。図10(a)は数値表示部701を設け、残温度Trに基づいた数値を表示したものである。この数値は、残温度Trをそのまま表示してもよいし、一位を四捨五入する等して10℃単位で表示してもよい。数値は、電源投入直後の加熱(以下、予熱ともいう)の間、常時表示させておいてもよいし、残温度が所定の数値を下回って以後のみ表示するようにしてもよい。
図10(b)は、ゲージ702を表示したものである。ゲージ702は右端を予熱開始、左端を予熱完了とし、残温度Trに応じて左端から順次色等を変化させ、残温度Trがゼロになったときに右端に到達するようにする。このゲージ702も、予熱の間常時表示させておいてもよいし、残温度が所定の数値を下回って以後のみ表示するようにしてもよい。
図10(c)は、メッセージ表示部703を表示したものである。残温度が所定の数値を下回ったら「間もなく完了」等と表示し、完了が近いことをユーザに報知する。また、残温度に応じて、「完了まで約○分」等と時間に換算して表示してもよい。時間への換算は、予熱の残温度と時間の関係をあらかじめ実験的に検証して導き出した計算式あるいはデータテーブルを記憶させておき、参照して行えばよい。完了時には「完了しました」等のメッセージを表示するとよい。
なお残温度Trは溶着切断ヒータ5の残温度Tcr、サイド溶着ヒータ41aの残温度Tsra、サイド溶着ヒータ41bの残温度Tsrbのうち、最も数値が大きいものとしたが、この形態に限られず、例えば溶着切断ヒータ5の残温度Tcrをそのまま残温度Trとして出力してもよい。単にフィルムF1、F2を溶着するだけのサイド溶着ヒータ41よりも、切断を必要とする溶着切断ヒータ5の方の設定温度を高くする必要があるため、同じ室温レベルから予熱を開始した場合、必然的にサイド溶着ヒータ41の残温度よりも溶着切断ヒータの残温度の方が大きくなるからである。
以上のように構成された本発明の包装装置1の動作を説明する。図11は本発明の包装装置1の動作を示すフローチャートである。装置の電源が投入されると(スタート)、中央 制御部100はソレノイド27A、27Bに励磁指令を送り、その後に消磁指令を送り、リセット動作を行わせる(S02)。次に予熱を行って各ヒータを設定温度まで加熱する(S04)。予熱完了後、その時点での総変位パルスPaA、PaBからフィルムロールR1、R2の外径が算出され、ブレーキタイミングの補正値の決定、モータM1駆動速度の決定が行われる(S06)。なおこのS06の動作はリセット動作後、予熱前に行ってもよいし、予熱と並行して行ってもよい。また、S02のリセット動作をS04の予熱と並行して行ってもよい。
その後新聞Sが挿入口2に挿入されることにより、センサD1が新聞Sの先端を検知すると(S08のY)、駆動制御部105は包装動作を行う(S10)。包装された新聞Sが排出口43から排出されると、包装動作は完了してS06に戻り、改めてフィルムロールR1、R2の外径が算出され、ブレーキタイミングの補正値の決定、モータM1駆動速度の決定が行われる。その後さらにセンサD1が新聞Sの先端を検知すると同様の包装動作を繰り返す。いずれかのタイミングで電源を切断すると、装置全体の動作、制御が停止する。なお包装装置1では、各ヒータが所定の処理開始温度まで上昇しなければ、包装動作を行わないようになっている。この処理開始温度は各々の設定温度と同一とされているので、予熱が完了していない段階では、センサD1が新聞Sの先端を検知しても、包装動作は開始されず、予熱完了後は包装動作が可能となる。
図12は図11のS02におけるリセット動作の詳細を示すフローチャートである。リセット動作においては、まずソレノイド27A、27Bが励磁され(S102)る。ソレノイド27Aが励磁すると、図5(c)に示すように、支持部材23Aが解除位置となり、変位センサ22Aの検知子22aAが柱21Aから離間した状態となる。ソレノイド27Bと残量検出機構15Bの各部材も同様に動作する。
その後所定時間(たとえば1秒程度)経過後(S104のY)にソレノイド27A、27Bは消磁され(S106)る。ソレノイド27Aが消磁すると図5(a)に示すように、支持部材23Aが時計方向に回動してストッパ26Aに当接し、測定位置となる。この時、検知子22aAが正方向に回動するので、その回動により出力されたパルスをパルスカウント部201Aがカウントし、この時のカウント値が総変位パルスPaAとして総変位パルス算出・記憶部202Aに記憶される(S108)。ソレノイド27Bと残量検出機構15Bの各部材も同様に、総変位パルスPaBが総変位パルス算出・記憶部202Aに記憶される。以上でリセット動作が完了する。
図13は図11のS04における予熱の詳細を示すフローチャートである。
まず、サーミスタThc、Thsa、Thsbの計測結果と設定温度Tc、Tsに基づいて、残温度算出部123、126、127が、溶着切断ヒータ5、サイド溶着ヒータ41a、41bの各々の残温度Tcr、Tsra、Tsrbを各々算出する(S202)。そして残温度Tcr>0であった場合(S204のY)はラバーヒータHcへの通電をONとし(S206)て溶着切断ヒータ5を加熱する。残温度Tcr≦0であった場合(S204のN)はラバーヒータHcへの通電をOFFとする(S208)。残温度Tsra>0であった場合(S210のY)はラバーヒータHsaへの通電をONとし(S212)てサイド溶着ヒータ41aを加熱する。残温度Tsra≦0であった場合(S210のN)はラバーヒータHsaへの通電をOFFとする(S214)。残温度Tsrb>0であった場合(S216のY)はラバーヒータHsbへの通電をONとし(S218)てサイド溶着ヒータ41bを加熱する。残温度Tsrb≦0であった場合(S216のN)はラバーヒータHsbへの通電をOFFとする(S220)。
要するに各ヒータにおいて残温度がゼロより大きい場合は、各ヒータの測定温度が設定温度に達していないから、測定温度が設定温度に達するまで、各々のラバーヒータに通電するということである。
続いて残温度比較部128が残温度Tcr、Tsra、Tsrbを比較して、そのうちの最大値を残温度Trとして出力し、残温度Tr>0であるか否か判定する(S222)。Tr>0であれば(S222のY)、操作パネル45に残温度Trを表示してS202に戻る。残温度Tr≦0であれば(S222のN)、すべての各ヒータがいずれも設定温度に達していることになるので、操作パネル45において予熱完了表示を行い(S226)、予熱が完了する。
この予熱を行うことにより、各ヒータが所定の設定温度まで加熱される。その間、操作パネル45に残温度Trが表示されるので、予熱完了まで残り何度分加熱が必要かをユーザが認識し、予熱完了までの残り時間を推定することができる。
なお、予熱完了後、各ラバーヒータへの通電が停止して時間が経過すると、各ヒータの温度が下降するので、残温度が再びゼロを上回る。したがって、残温度がゼロを上回ったヒータへの通電をONし、設定温度に達したらOFFするという制御を、予熱完了後も包装装置1の電源投入中は常時行うことにより、各ヒータを設定温度あるいはそれに近い温度に保つ。ただし予熱完了後は残温度Trの表示は行わない。
図14は図11のS10における包装動作の詳細を示すフローチャートである。新聞Sが挿入され、センサD1が新聞Sの先端を検知すると(図11のS08のY)、モータM1が回転開始して搬送ベルト34、35が周回駆動を開始するとともに、ブレーキ機構9A、9BがブレーキOFFする(S301)。モータM1は、あらかじめS06(図11参照)において、参照外径Dsを参照してモータM1速度算出・記憶部107で算出・記憶された回転速度で駆動される。
新聞SがフィルムF1、F2に挟まれた状態で、周回駆動する搬送ベルト34、35により搬送される。その新聞Sの後端通過がセンサD1で検知されてから所定時間が通過したら、モータM1の回転を停止させる(S303)。モータM1が回転停止すると搬送ベルト34、35の周回駆動も停止し、すなわち新聞Sも停止する。モータM1の回転停止タイミングは、新聞Sの後ろ端が溶着切断ヒータ5を通過した後となるようになっている。
次に新聞Sの後端通過がセンサD2で検知されてから第1所定時間が経過したら、ブレーキ機構9AがブレーキONし、第2所定時間が経過したら、ブレーキ機構9BがブレーキONし(S305)、フィルムロールR1、R2の各々からのフィルムの引き出しを停止させる。この第1、第2所定時間は、S303においてモータM1の回転がOFFされた後にブレーキ機構9A、9BがONするように設定されており、標準時間である50msecにソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を加えた時間である。第1所定時間は、この標準時間の50msecに、S06(図11参照)において、ブレーキタイミング算出・記憶部104が外径DaAに基づいて算出・記憶したソレノイド13A消磁タイミング補正値を加えた時間である。
第2所定時間は、標準時間の50msecに、S06(図11参照)において、ブレーキタイミング算出・記憶部104が外径DaBに基づいて算出・記憶したソレノイド13B消磁タイミング補正値を加えた時間である。すなわち上下のフィルムロールの残量を参照して、上方のフィルムロールR1と下方のフィルムロールR2のブレーキONタイミングを、必要に応じて同時としたり、いずれか一方を先行させたりする。
モータM1停止からブレーキONまでの間に慣性で形成されるフィルムF1、F2の弛みFs1、Fs2は、ブレーキONが先行した方のフィルムが他方のフィルムよりも小さくなり、次回の包装におけるフィルムの消費量が、他方のフィルムよりも少なくなる。
次に溶着切断ヒータ5とサイド溶着ヒータ41a、41bとが下降して待機位置から溶着位置へ移動し(S310)、受台4、42との間にフィルムF1、F2を挟み、フィルムF1、F2を熱溶着する。その後サイド溶着ヒータ41a、41bを待機位置まで上昇させ(S312)、モータM1を駆動再開して搬送ベルト34、35の周回駆動を再開する(S314)。すると搬送ベルト34、35により新聞Sが搬送開始される。新聞Sの上流側では溶着切断ヒータ5が溶着位置にあるので、その溶着位置でフィルムF1、F2が切断される。この動作により、新聞Sの後端側と両サイドでフィルムF1、F2が溶着され、後端側はその溶着位置で切断された包装体が得られる。新聞Sの前端側が前回の包装動作であらかじめフィルムF1、F2が溶着されているから、合わせて新聞Sの周囲が溶着密閉された包装物が得られる。
切断後、溶着切断ヒータ5が上昇して待機位置に戻る(S316)、とともに、排出される新聞Sの後端通過がセンサD3により検知されると、モータM1の回転駆動が停止され(S318)、包装が完了する。
以上説明したように第1の実施形態に係る包装装置1においては、フィルムロールR1、R2の外径を算出し、その後の包装において、外径の大きい方のフィルムの消費量が多くなるように、外径差に応じてブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの外径の差が拡大するのを抑制することができる。その結果、一方のフィルムロールを使い切ったとき、他方のフィルムロールも同時に使い切るか、あるいは使い切りに近い状態とすることができるので、その際に両方とも新規フィルムロールに交換したときに廃棄するフィルムを無くすか、あるいは大幅に抑制することができる。
また、フィルムロールR1、R2の外径を参照し、外径が小さくなるとモータM1の回転速度が低くなるように制御するので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。
また、表示部表示されている残温度をユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る包装装置601について説明する。第1の実施形態と同一の部材については、同一の符号を使い、詳細な説明は省略する。第2の実施形態に係る包装装置601は、第1の実施形態に係る包装装置1に比べて、残量検出機構15A、15Bが無く、これに代えて残量検出機構615A、615Bを有し、中央制御部100に代えて中央制御部120(図示せず)を有する。
図15は第2の実施形態に係る包装装置601の一部分の、フィルムロールR1とその周辺の部材を示す図であって、残量検出機構615Aを含む図である。図15(a)はフィルムロールR1の残量が多いとき、図15(c)はフィルムロールR1の残量が少ないときの正面図であり、図15(b)、図15(d)は各々図15(a)のB−B断面図、図15(c)のC−C断面図を示す。
図15に示すように、残量検出機構615Aは、筐体フレームに取り付けられた測距センサ602Aと、この測距センサ602Aに対して上方に対向して配置された被検知板603Aを有する。被検知板603Aは、角型の外形を有し、その中央部に開口した穴で軸6Aを支持する軸受604Aの下面側に取り付けられている。
そして第1の実施形態におけるガイド7Aのスリット7aAに比べて幅広のスリット607aAを有するガイド607Aを有し、軸受604Aの水平方向の両サイドの辺がスリット607aAにより上下方向にガイドされるようになっている。
測距センサ602Aは、光源と受光素子とを有する。光源は被検知板603Aに向かって光を発し、受光素子は被検知板603Aからの反射光を受光し、受光した光を評価することにより、測距センサ602Aから被検知板603Aまでの距離DtAを測定することができるものである。
図15に示すように、フィルムロールR1が使用されて外径が小さくなると、軸6Aを支持する軸受604Aの位置がスリット607aAに沿って下降するので、測距センサ602Aと被検知板603Aとの間の距離DtAが近づくことになる。
フィルムロールR1の残量検出機構615Aと同様に、フィルムロールR2には残量検出機構615Bが設けられている。残量検出機構615Bは図15に示す残量検出機構615Aと全く同様に構成され、図15およびその説明における符号R1をR2に、符号AをBに読み替えればよい。すなわち残量検出機構615Bにおいては測距センサ602Bから被検知板603Bまでの距離DtBが測定される。
測距センサ602A、602Bで検出された距離DtA、DtBは中央制御部120に送られ、中央制御部120では以下のようにしてフィルムロールR1、R2の外径DaA、DaBを求める。
DaA=(DtA+α)×2
DaB=(DtB+α)×2
αは距離DtA、DtBと、各々のフィルムロール半径との差異であり、フィルムロールR1、R2の残量にかかわらず一定である。このαは設計寸法から特定し、あらかじめ記憶しておく。外径DaA、DaBを求めたら、以後は第1の実施形態と同様に、ブレーキタイミング補正値の算出、モータM1速度、残部数の算出を行う。
なお本実施形態においては、図8、図9に示すテーブルに代えて、距離DtA、DtBから直接、ブレーキタイミング補正値、モータM1速度等を算出できるテーブルを用いるようにしてもよい。
また、距離DtA、DtBは測距センサから被検知板までの物理的な距離であるから、電源投入時のリセット動作は不要となる。したがって、図11に示す動作から、S02のリセット動作を除いたものが、本実施形態に係る包装装置601の動作となる。
なお本実施形態において、測距センサを軸受側で支持し、被検知板を装置筐体に設けてもよい。また、測距センサは反射光を評価するのではなく、反射光を受光するまでの時間を計測するものでもよく、さらに赤外線による測距方式を用いてもよい。
また、測距センサ、被検知板に代えて、変位センサを用いて軸6Aの変位を計測してもよい。図16は変位センサを用いた変形例を示すものである。軸6Aには、支点621Aを中心に回動可能に支持されたレバー622Aが、上方から当接している。レバー622Aにはバネ623Aが接続され、図示反時計方向に回動する方向に付勢されている。レバー622Aには柱624Aが立設され、変位センサ625Aの検知子625aAと当接している。検知子625aAは支点625bAを中心に回動可能に支持され、図示省略した機構により図示反時計方向に回動する方向に付勢されている。
この機構により、フィルムロールR1の残量が減少して軸6Aの位置が下降すると、その分レバー622Aが反時計方向に回動する。すると柱624Aが変位センサ625Aの検知子625aAを押し下げ、内臓エンコーダでその変位分だけパルス出力される。
中央制御部120には、フィルムロールR1の残量と、変位センサ625Aから得られるパルスとの関係をテーブル化した外径計算データテーブルをあらかじめ記憶しておく。検出されたパルス数を計数し、この外径計算データテーブルを参照してフィルムロールR1の外径DaAを算出する。フィルムロールR2についても同様に構成されており、その構成部材はフィルムロールR1における符号のAをBに読み替えたものであり、変位センサ625Bにより、軸6Bの下降にともなってパルスが発生する。このパルスを計数して外径計算データテーブルを参照し、フィルムロールR2の外径DaBを算出する。外径DaA、DaB算出後は第1の実施形態と同様に、ブレーキタイミングの補正によりフィルム消費量の調整を行う。
また、本変形例においては、変位センサのパルスとレバー622A(622B)の位置との関係を初期化するため、変位センサ625A(625B)の検知子625aA(625aB)を一旦柱624A(624B)から離間させるリセット動作が必要となる。したがって本変形例では、図11のS02のリセット動作を行う。
以上説明したように第2の実施形態に係る包装装置601においては、測距センサの計測結果によってフィルムロールR1、R2の外径を算出し、その後の包装において、外径の大きい方のフィルムの消費量が多くなるように、外径差に応じてブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの外径の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、第1の実施形態と同様に、フィルムロールR1、R2の外径からモータM1の速度を算出・制御するので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
なお上記測距センサ625A、625Bに代えて、残量の減少とともに軸6A、6Bが下降していく経路に沿って、軸6A、6Bを検出可能なセンサを複数設けることにより、軸6A、6Bの各々の高さを検出し、この高さから、残量を算出するようにしてもよい。軸6A、6Bの下降経路に沿ってラインセンサを設けてもよい。
(第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態に係る包装装置651について説明する。第1の実施形態と同一の部材については、同一の符号を使い、詳細な説明は省略する。第3の実施形態に係る包装装置651は、第1の実施形態に係る包装装置1に比べて、残量検出機構15A、15Bが無く、これに代えて残量検出機構652A、652Bを有し、中央制御部100に代えて、中央制御部130(図示せず)を有する。
図17は第3の実施形態に係る包装装置651の一部分の、フィルムロールR1とその周辺の部材を示す図であって、残量検出機構652Aを含む図である。図17(a)はフィルムロールR1を正面から見た図であり、図17(b)は図17(a)のD−D断面図である。
図17に示すように、残量検出機構652Aは、支持ローラ8Aの軸を装置筐体フレームで支持する軸受653Aと、その軸受653Aの下方に設けられたロードセル654Aとからなる。軸受653Aとロードセル654Aは、装置筐体に固定された受台655A上に載置されている。ロードセル654Aは軸受653Aからかかる圧力を計測する。フィルムロールR1は支持ロール8A上に載置されており、支持ロール8AにフィルムロールR1の重量がかかるので、その一部が軸受653Aを介してロードセル654Aにかかることになる。フィルムロールR1の外径が小さくなるほど、ロードセル654Aにかかる圧は小さくなるので、ロードセル654Aで測定された圧力は、フィルムロールR1の残量に関する情報として中央制御部130が取得する。
フィルムロールR2についてもロードセル654Bを同様に設け、圧力を測定する。中央制御部130はロードセル654A、654Bにかかる圧力を取得し、各々フィルムロールR1、R2の外径DaA、DaBを算出する。算出は、ロードセル654Aにかかる圧力と外径DaAとの関係を実験により測定してテーブル化した外径計算データテーブルをあらかじめ記憶させ、これを参照して行うか、あるいは所定の計算式に代入して算出する。フィルムロールR2も同様である。外径DaA、DaB算出後は第1の実施形態と同様に、ブレーキタイミングの補正によりフィルム消費量の調整を行うとともに、モータM1の回転速度の算出、残部数の算出を行う。
また、外径DaA、DaBを算出することなく、ロードセルで測定された圧力そのものと、ブレーキタイミング補正値、モータM1速度、残部数との関係をテーブル化しておき、各々テーブルを参照して算出してもよい。
また、ロードセルは図17では支持ロール8の一端側(図示右側)の支持部のみに設けられているが、他端側に設けてもよいし、両側に各々設けてもよい。さらに、フィルムロールR1、R2の重量が測定可能な他の個所であってもよい。
以上説明したように第3の実施形態に係る包装装置651においては、ロードセルの圧力からフィルムロールR1、R2の外径を算出し、その後の包装において、外径の大きい方のフィルムの消費量が多くなるように、外径差に応じてブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの外径の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、第1の実施形態と同様に、フィルムロールR1、R2の外径からモータM1の速度を算出・制御するので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態に係る包装装置661について説明する。第1の実施形態と同一の部材については、同一の符号を使い、詳細な説明は省略する。第4の実施形態に係る包装装置661は、第1の実施形態に係る包装装置1に比べて、残量検出機構15A、15Bが無く、これに代えて残量検出機構662A、662Bを有し、中央制御部100に代えて、中央制御部140(図示せず)を有する。
図18は第4の実施形態に係る包装装置661の一部分の、フィルムロールR1とその周辺の部材を示す図であって、残量検出機構662Aを含む図である。図18(a)はフィルムロールR1を正面から見た図であり、図18(b)は図18(a)のE−E断面図である。
図18に示すように、残量検出機構662Aは、軸6Aの一端に取り付けられたインデックス板663Aと、このインデックス板663Aに対応して設けられた光学センサ664Aを有する。軸6Aは、角型の外形を有する軸受665Aに支持され、第1の実施形態におけるガイド7Aのスリット7aAに比べて幅広のスリット667aAを有するガイド667Aを有し、軸受665Aの水平方向の両サイドの辺がスリット667aAにより上下方向にガイドされるようになっている。
この軸受665Aの上側にブラケット666Aが、上方に立ち上がるように取り付けられており、立ち上がり面の上端に光学センサ664Aが固定されている。インデックス板663Aは軸6Aとともに回転するように軸6Aの一端に取り付けられた円板であり、その外周近傍には一定間隔で多数の開口が環状配置されている。この開口に光学センサ664Aの光軸が通るように構成されているので、軸6Aが回転すると、インデックス板663Aが回転し、光学センサ664Aの光軸を通過した開口の数だけ回転パルスPcAを発生する。
フィルムロールR2についても同様に構成され、光学センサ664Bから軸6Bの回転に応じた数の回転パルスPcBが発生する。
中央制御部140は、新聞Sが挿入されてから、包装が完了して排出されるまでに、光学センサ664A、664Bで検出された回転パルスPcA、PcBを取得し、両者を比較する。フィルムロールの残量が少ないほど、包装1回当たりの軸6A、6Bの回転量は多くなり、その分回転パルスの数が多くなる。両者の回転パルスの数が異なる場合、回転パルスの数が多い方のフィルムロールの方が、回転パルスの数が少ない方のフィルムロールよりも残量が少なくなっている可能性が高い。
本実施形態では、新聞Sを1部包装したときの回転パルスの数を計数し、回転パルスPcA、PcBとして取得する。そして新聞Sの包装を所定回数行ったときの、各回の回転パルスPcAの総和または平均値と、各回の回転パルスPcBの総和または平均値とを比較する。その総和または平均値が多い方の光学センサが取り付けられている方のフィルムロールの方が残量が少ないと考えられるため、ブレーキONタイミングを早める。あるいは、総和または平均値が少ない方の光学センサが取り付けられている方のフィルムロールの方が残量が多いと考えられるため、ブレーキONタイミングを遅らせる。所定回数分の回転パルスPcA、PcBの各々の総和または平均値を算出するにあたり、各々最大値と最小値を除いて算出し、精度を高めてもよい。
パルス数の差異が大きい場合、残量の差も大きいと考えられるため、パルス数の総和または平均値を算出した後の包装複数回分にわたってブレーキタイミング補正を行ってもよい。その回数を、パルス数の差異の大小により決定してもよい。
図19は第4の実施形態における具体的な包装動作の一例を示すフローチャートである。第1の実施形態と同一の動作には同一の番号を付して、その詳細な説明は省略する。
新聞Sが挿入され、センサD1が新聞Sの先端を検知すると(S08のY)、モータM1が回転開始して搬送ベルト34,35が周回駆動を開始し、ブレーキ機構9A、9BがブレーキOFFするとともに、回転パルスPcA、PcBの計数を開始する(S351)。その後のS303からS316までは第1の実施形態におけるS303からS316と同一の動作により、新聞Sの包装が行われる。包装され、排出される新聞Sの後端通過がセンサD3により検知されると、モータM1の回転駆動が停止されるとともに、回転パルスPcA、PcBの計数を終了させる(S353)。
すなわち、新聞Sが挿入されて、その先端の通過が挿入口側のセンサD1により検知されたときに計数を開始し(S351)、包装を終えた新聞Sの後端が排出口側のセンサD3により検知される(S353)までの間に、光学センサ664A、664Bの各々の光軸が通過した、インデックス板663A、663Bの開口の数を計数する。そしてその計数値PcA(X)、PcB(X)を記憶する(S354)。計数値PcA(X)、PcB(X)は各々X回目の包装における計数値を示し、1回目(新聞S1部目)の包装における計数値であればPcA(1)、PcB(1)、5回目であればPcA(5)、PcB(5)である。この計数値の記憶部は、計数値PcA(X)、PcB(X)を各々10回分、すなわちPcA(1)〜PcA(10)、PcB(1)〜PcB(10)が記憶できるようになっている。
この記憶内容は電源切断時にはクリアされるとともに、電源投入時に毎回X=1に設定され、包装1回目から始めることとして計数値を順次記憶させる。そしてX=10すなわち10回分の計数値が記憶されたら(S355のY)、記憶された計数値に基づいて、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を設定し(S359)、その後X=1に戻し、次回包装される新聞Sの挿入を待機し、新聞Sが挿入されればその新聞Sの包装を1回目として、その後10回分の計数値の蓄積を開始する。
S355においてX=10でなければ(X=1乃至9のいずれかであれば)、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値が設定されていれば(ゼロでなければ)リセットし(ゼロとし)(S357)、Xを1だけインクリメントして(S363)、次回包装される新聞Sの挿入を待機する。
図20は図19におけるS359における、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を決定する詳細手順を示すフローチャートである。図19のS355でX=10であればS359に進む。S359においては図20に示すように、まずPcA(1)からPcA(10)までの10個の計数値のうち、最大値と最小値を1つずつ除いた残りの8個の計数値の総和PcA(T)を算出する(S371)。
同様に、まずPcB(1)からPcB(10)のうちの最大値と最小値を除いた残りの8個の計数値の総和PcB(T)を算出する(S373)。次にPcA(T)−PcB(T)の絶対値が所定値以上かどうかを判断し(S375)、所定値以上であれば(S375のY)、PcA(T)>PcB(T)であるか否かを判断する(S377)。PcA(T)>PcB(T)であれば(S377のY)、次回の包装動作において、ブレーキ機構9Aよりもブレーキ機構9Bの方がブレーキONタイミングが遅くなるように、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を決定する。PcA(T)>PcB(T)でなければ(PcA(T)<PcB(T)であれば)(S377のN)、次回の包装動作において、ブレーキ機構9Bよりもブレーキ機構9Aの方がブレーキONタイミングが遅くなるように、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を決定する。
すなわち、PcA(T)>PcB(T)の場合は、フィルムロールR2よりもR1の方が残量が少ないと考えられるので、次回の包装の際に、ブレーキ機構9Bのブレーキタイミングをブレーキ機構9Aよりも遅らせてフィルムF2の弛みを大きく形成し、さらにその次の包装においてフィルムF2をF1よりも多く消費するようにする。PcA(T)<PcB(T)の場合は、フィルムロールR1よりもR2の方が残量が少ないと考えらえるので、次回の包装の際に、ブレーキ機構9Aのブレーキタイミングをブレーキ機構9Bよりも遅らせてフィルムF1の弛みを大きく形成し、さらにその次の包装においてフィルムF1をF2よりも多く消費するようにする。この制御を繰り返すことにより、フィルムロールR1とR2の残量の差を縮小させることができる。
PcA(T)−PcB(T)の絶対値が所定値を超えていなければ(S375のN)、フィルムロールR1、R2の残量に大きな差はないと考えられるので、ソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値の設定は行わず、ゼロのままとする。
なおS305における標準時間も第1の実施形態と同様に50msecとされており、ブレーキ機構9Bのブレーキタイミングをブレーキ機構9Aよりも遅らせる場合は、ソレノイド13A消磁タイミング補正値を+25msec、ソレノイド13B消磁タイミング補正値を−25msecとされ、ブレーキ機構9Aのブレーキタイミングをブレーキ機構9Bよりも遅らせる場合は、ソレノイド13B消磁タイミング補正値を+25msec、ソレノイド13A消磁タイミング補正値を−25msecとされるようになっている。
本実施形態では回転パルスPcA、PcBの計数を複数回(10回)行い、そのうちの最大最小値を除いた8個のデータを使用することにより、測定の信頼性を高めている。この計数の回数は10回に限られないことはもちろんである。また、除外するデータの数も任意に決めればよい。さらに、あらかじめ決められた数の除外データの他にも、特異な数値が存在した場合、当該データを除外するようにしてもよい。
また、最大最小であるかにかかわらず、ブレーキ機構9A、9Bの補正を行った回、あるいはその次の回の包装における計数値は、ブレーキ機構9A、9Bのタイミング補正が計数値に影響することが考えられるため、これらは除外するようにしてもよい。
また本実施形態においては、10回の包装で蓄積した回転パルスPcA、PcBの計数値に基づいて、10回目の包装の次の包装におけるブレーキ機構9A、9BのONタイミングを補正するとともに、改めて次の10回分の計数を開始しているが、任意の回において直近の過去10回分の包装における計数値を適宜使用し、補正値を設定するようにしてもよい。また、その場合に、ブレーキ機構9A、9Bの補正を行った回、あるいはその次の回の包装における計数値は除くようにしてもよい。
また、回転パルスPcA、PcBの計数期間は、センサD1の先端検知からセンサD3の後端検知までのタイミングに限らず、包装中の任意のタイミング間で行ってもよい。
また本実施形態では、ブレーキ機構9A、9Bの補正は複数回の包装にわたって行ってもよく、さらにPcA(T)とPcB(T)の差異が大きいほど、その後の補正の回数を増やしてもよい。また、補正値そのものも+25msec、−25msecに限らず、PcA(T)とPcB(T)の差異が大きいほど補正値も大きくなるように変化させてもよい。また計数値の記憶内容は電源切断時も保持しておき、電源投入後には、その前の電源切断前の次の回としてXの数値が設定されるようにしてもよい。
また、インデックス板663A、663Bに代えて、軸6A、6Bに軸支固定したホイールの外周面の、周方向いずれかの位置に1か所、あるいは一定間隔で複数個所のマークを付し、これを反射センサ等で読み取って、軸6A、6Bの回転量を検出してもよい。
また、フィルムロールR1、R2の紙管R1a、R2aの内周面に同様にマークを設けてこれを検知してもよく、さらに紙管R1a、R2aをフィルムF1、F2よりも幅広に設け、紙管R1a、R2aの両端がフィルムF1、F2からはみ出すように構成し、このはみ出した部分の紙管R1a、R2aの外周面上に同様のマークを付し、これを検知してもよい。
なお、回転パルス総和PcA(T)、PcB(T)から外径DaA、DaBを算出し、第1の実施形態と同様に、補正テーブル400を参照してブレーキ9A、9BのブレーキONタイミング補正を行ってもよい。 たとえば、外径DaA、DaBは以下のように算出される。
DaA=8×La/(PcA(T)/PcX)/π
DaB=8×La/(PcB(T)/PcX)/π
ここでLaは1部当たりのフィルムの消費長さ、PcXはフィルムロールR1、R2の1回転分の回転パルス数、πは円周率である。
また、本実施形態では、図19で説明した処理の他に、計数した回転パルスPcA、PcBにより、モータM1の速度算出と、残部数の算出を行って表示してもよい。フィルムロールF1、F2を引き出したときの回転パルスPcA、PcBは、引き出した長さが同じであれば、フィルムロールR1、R2の外径が小さくなるほど多くなる。しがたって上記回転パルスPcA、PcBの計数を所定の複数回(上記では10回)行い、そのうちの最大最小値を除いたデータの総和PcA(T)、PcB(T)のうち、数値が大きい方(外径が小さい方)の総和を参照総和値として、これに基づいてモータM1回転速度を決定する。この決定は、参照総和値の範囲と、モータM1回転速度との対応関係をテーブル化してあらかじめ記憶させ、このテーブルを参照して行う。
このテーブルは、参照総和値が大きいほど、モータM1回転速度が遅くなるように作成する。したがって、フィルムロールR1、R2のうち、外径が小さい方のフィルムロールの外径が小さいほど、搬送ベルト34、35による搬送速度が遅くなるので、搬送ベルト34、35停止時の衝撃が抑制され、慣性によって過大な弛みFs1(Fs2)が発生することを防ぐ。したがって、ブレーキONタイミング補正によるフィルム消費量調整の精度をより高めることができ、さらにフィルムの引っ掛かりによる不具合の発生も防ぐことができる。
また、上記した式により外径DaA、DaBを算出して、第1の実施形態と同様に、そのうち小さい方を参照外径Dsとし、図9のモータ速度テーブル500を参照して、モータM1の速度を決定してもよい。
また、上記総和PcA(T)、PcB(T)のうち、数値が大きい方(外径が小さい方)である参照総和値に基づき、残部数を算出してもよい。この場合も、参照総和値と残り長さLrとの関係をあらかじめテーブル化して記憶してもよいし、上記した式により外径DaA、DaBを算出して、第1の実施形態と同様に、そのうちの小さい方である参照外径Dsから、残部数を算出してもよい。
以上説明したように第4の実施形態に係る包装装置661においては、包装動作時の軸6A、6Bの回転量から、フィルムロールR1、R2の残量の大小を判定し、その後の包装において、残量が大きい方のフィルムの消費量が多くなるようにブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの残量の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、軸6A、6Bの回転量の、所定包装回数分の総和からモータM1の速度を算出し、制御するので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る包装装置は、第1の実施形態におけるフィルムロールR1、R2に代えて、フィルムF11、F12を巻き回したフィルムロールR11、R12を適用する。フィルムF11、F12には、フィルムの残り長さを示すマークが印刷あるいは貼付されている。そして中央制御部100に代えて中央制御部150(図示せず)を有する。
図21はこのフィルムロールR11を示す模式図である。図示したのはフィルムロールR11であるが、フィルムロールR12もR11と全く同一に構成されている。図21はフィルムロールR11からフィルムF11を所定長さだけ引き出した形態を模式的に示している。フィルムF11には長さ方向に所定の間隔をおいて、4個のマークRma、Rmb、Rmc、Rmdが印刷されている。マークRmaはフィルムF11の最後端(フィルムロールR11の紙管R11aへの巻き始め側の端)から800mの位置に設けられ、1本のラインで構成されている。
マークRmbはフィルムF11の最後端から600mの位置に設けられ、2本のラインで構成されている。マークRmcはフィルムF11の最後端から400mの位置に設けられ、3本のラインで構成されている。マークRmdはフィルムF11の最後端から200mの位置に設けられ、4本のラインで構成されている。すなわち各々のマークはフィルムF11の最後端から所定距離に設けられている。
本体側にはこのマークを検知可能な光学センサが設けられている。各々のマークは、最後端からの距離がこの光学センサで識別可能であるように、各々形状が異なっている。たとえば光学センサがラインを3回検知した場合はマークRmcであり、最後端までのフィルムF11の残り長さは400mということになる。ラインを1回の未検知した場合はマークRmaであるから、最後端までのフィルムF11の残り長さは800mということになる。すなわちこの光学センサは、検知結果によりフィルムロールR11の残量を検出することができるので、残量検出機構として機能する。
本実施形態では、フィルムF11、F12の各々に対して光学センサが設けられている。各々の光学センサの検知結果は中央制御部150に入力され、中央制御部150では、各々の光学センサが同一のマークを検出するタイミングの差によって、その後のフィルムの消費量の補正(ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングの補正)を行う。たとえば、フィルムF11よりも、フィルムF12において、マークRmaが先に検知された場合は、フィルムF12がフィルムF11よりも先に、最後端から800mの位置に達したことになるから、フィルムF11よりもフィルムF12の残量が少ないことになる。この場合にはその後の1回または複数回の包装において、フィルムF11がフィルムF12よりも多く使われるように、ブレーキ機構9AのブレーキONタイミングをブレーキ機構9Bよりも遅くして、フィルムF11の弛みをフィルムF12よりも大きく形成する。
この時、フィルムF12のマークRmaが検知されてから、フィルムF11のマークRmaが検知されるまでの間の時間差の大小によって、ブレーキ機構9A、9BのONタイミングを補正するためのソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値や、補正を行う包装の回数を決定してもよい。一方のフィルムのマークが検知されてから、他方のフィルムの同一のマークが検知されるまでの時間差が大きい場合は、両者の残量の差が大きいことになるので、ブレーキONタイミングの補正値を大きくしたり、補正を行う包装回数を多くすることにより、残量差の縮小をより促進させることができる。
この時間差を計測するために、モータM1に回転量計測機構を内蔵したものを採用するか、あるいはモータM1の駆動軸またはモータM1から回転駆動力が伝達される軸にエンコーダを設けて、モータM1の回転量を計測可能とする。一方のフィルムでマークが検出されてから、他方のフィルムでマークが検出されるまでの回転量を計測することにより、時間差を計測することができる。また、このエンコーダは、支持ロール8A、8Bのいずれかに設けてもよい。
ブレーキONタイミングの補正は、フィルムF11、F12の両方で同一のマークが検出された後に行ってもよいが、どちらか一方が検出された時点で開始してもよい。どちらか一方、先にマークが検出されたフィルムの方が、他方のフィルムよりも残量が少ないのであるから、その時点で他方のフィルムが一方のフィルムよりも多く消費されるように、ブレーキONタイミングの補正を開始してもよい。
また、フィルムF11、F12が残り少ないほどモータM1の回転速度が遅くなるように、検知されるマークとモータM1の回転速度との対応関係をあらかじめテーブル化しておき、同じマークがフィルムF11、F12の一方で、他方よりも先に検知されたとき、そのマークに対応する回転速度に設定してもよい。
また、同じマークがフィルムF11、F12の一方で、他方よりも先に検知されたとき、検知したマークが示すフィルムの残り長さから、残部数の算出を行って表示してもよい。
以上説明したように第5の実施形態に係る包装装置においては、フィルムF11、F12に付与されたマークを検知し、その検知タイミングの差から、フィルムロールR1、R2の残量の大小とその差異の大きさを判定し、その後の包装において、残量が大きい方のフィルムの消費量が多くなるように、ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの残量の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、フィルムF11、F12のマークの検出により、フィルムが残り少ないほどモータM1の回転速度を遅くしているので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態に係る包装装置は、第1の実施形態における残量検出機構15A、15Bに代えて、残量検出機構671A、671Bを有し、中央制御部100に代えて中央制御部160(図示せず)を有する。残量検出機構671A、671Bは、フィルムロールR1、R2の外径を直接計測するものである。
図22は残量検出機構671Aを示す図である。フィルムロールR1に対し、その径方向に隣接して支柱672Aが立設され、その上端付近に支軸673Aが設けられている。そして一端が軸6Aに回転自在に支持され、他端が支軸673Aに長穴を介して係合した取付板674Aが設けられ、この取付板674Aの、フィルムロールR1に対向する側の面にラインセンサ675Aが取り付けられている。
フィルムロールR1の径が小さくなり、軸6Aが下降すると、その分取付板674Aが軸6Aを中心に回動する。すなわちラインセンサ675Aは、常時フィルムロールR1の径方向を向くことになる。このラインセンサ675Aでライン上取得した画像は中央制御部160に送られる。中央制御部160ではその画像を解析し、フィルムロールR1の外周エッジの位置を特定することによって、フィルムロールR1の残量を測定する。
フィルムロールR2における残量検出機構671Bも残量検出機構671Aと全く同一に構成される。以後図22における符号AをBに読み替えて、残量検出機構671Bの部材を示すこととする。
ラインセンサ675A、675Bの各々で取得された画像で測定されたフィルムロールR1、R2の残量の差異に応じ、残量が多い方のフィルムの方が多く消費されるように、その後のフィルムの消費量の補正(ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングの補正)を行う。たとえば、残量の差異が所定値以上になったときに、その後のフィルムの消費量の補正を開始する。補正の結果、残量の差異が所定値以下になった場合は、以後の補正を行わないようにする。補正を行ってもなお差異が拡大する場合は、補正量の拡大(たとえばソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を増大させる等)を行う。この結果、フィルムロールR1、R2の残量差が縮小することになる。
また、ラインセンサ675A、675Bの各々で取得された画像から、いずれか外径の小さい方のフィルムロールの残量を特定し、あらかじめ記憶させた残量とモータM1速度との対応関係テーブルを参照して、残量の減少に伴ってモータM1の速度が低くなるようにしてもよいし、あらかじめ記憶させた残量と残部数の対応関係テーブルを参照、あるいは残量から残部数を算出して、残部数を表示してもよい。
また、ラインセンサ675A、675Bの各々で取得された画像から、各々のフィルムロールの外径DaA、DaBを特定し、第1の実施形態と同様に、補正テーブル400を用いてブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングの補正を行ってもよい。
また、特定した外径DaA、DaBのうち、径の小さい参照外径Fsを使用し、モータ速度テーブル500を用いてモータM1の速度を算出し、参照外径Fsが小さいほどモータM1の速度が遅くなるようにしてもよいし、参照外径Fsから残部数を算出してこれを表示してもよい。
なおラインセンサ675A、675Bに代えて、取付板674A、674Bの長手方向に沿って多数並列して設けられた反射型センサを用いてもよいし、CCDカメラを用いてフィルムロールR1、R2の端面全体を撮像し、その画像を解析して外径を測定してもよい。
以上説明したように第6の実施形態に係る包装装置においては、フィルムロールR1、R2の外周位置を直接取得、あるいは外径を直接測定し、残量の大小とその差異の大きさを判定し、その後の包装において、残量が大きい方のフィルムの消費量が多くなるように、ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの残量の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、ラインセンサ675A、675Bの各々で取得された画像からフィルムの残量を測定し、フィルムが残り少ないほどモータM1の回転速度を遅くしているので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態に係る包装装置681を説明する。第7の実施形態に係る包装装置681は、第1の実施形態に係る包装装置1における残量検出機構15A、15Bが無く、これに代えて使用量検出機構682A、682Bを有し、中央制御部100に代えて中央制御部170(図示せず)を有する。使用量検出機構682A、682Bの機械的構成は図18に示す第4の実施形態に係る包装装置661の、残量検出機構662A、662Bと同一である。したがって本実施形態においても図18を用いて説明し、第1、第4の実施形態と同一の部材については同一の符号を使い、詳細な説明は省略する。
第7の実施形態においても第4の実施形態と同様に、図18に示すように光学センサ664A、664Bが、回転するインデックス板663A、663Bの開口の数を計測することにより、軸6A、6Bの回転量が検出できるようになっている。
そして中央制御部170では、光学センサ664A、664Bによって検出されたインデックス板663A、663Bの開口の数を総使用量パルスPdA、PdBとして積算し、記憶する。新品のフィルムロールR1、R2が同時に装着されたときに、総使用量パルスPdA、PdBはゼロにリセットされる。このリセットは、ユーザのスイッチ操作で行ってもよいし、軸6A、6Bに設けた光学センサ等で交換を検知したときに自動的に行ってもよい。
中央制御部170ではさらに、総使用量パルスPdAと、PdBとの差異を常時算出し、その差が所定値以上となると、総使用量パルスPdAとPdBのうち多い方のフィルムロールが、他方よりも多く使用されていると判断する。すると、総使用量パルスが少ない方のフィルムの方が多く消費されるように、その後のフィルムの消費量の補正(ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングの補正)を行う。
たとえば、総使用量パルスPdAと、PdBとの差異が所定値以上になったときに、その後のフィルムの消費量の補正を開始する。補正の結果、総使用量パルスの差異が所定値以下になった場合は、以後の補正を行わないようにする。補正を行ってもなお差異が拡大する場合は、補正量の拡大(たとえばソレノイド13A、13B消磁タイミング補正値を増大させる等)を行う。この結果、フィルムロールR1、R2の使用量の差が縮小することになる。
総使用量パルスPdA、PdBは新品のフィルムロールR1、R2が装着されたときにリセットされ、その後の消費量を積算したものであるから、その使用量の差が縮小するように補正を行うことにより、残量の差をも抑制することができる。
なおフィルムロールR1、R2の交換を検出可能なセンサを設けた場合に、そのセンサにより、フィルムロールR1、R2の交換が同時ではなく、どちらか一方のみ行われたことが検出された場合は、その後補正は行わないようにしてもよい。フィルムロールR1、R2のいずれか一方を交換した場合に、ユーザがスイッチ操作で補正機能を無効とすることができるようにしてもよい。
また、総使用量パルスPdA、PdBのうち、多い方の総使用量パルスを参照総使用量パルスPsとし、あらかじめ記憶させた参照総使用量パルスPsとモータM1の回転速度との対応関係を示すテーブルを参照し、総使用量パルスが多い方(残量が少ない方)のフィルムロールの使用量が所定以上増加すると、モータM1の回転速度が遅くなるように制御してもよい。また、参照総使用量パルスPsから残部数を算出し、これを表示してもよい。
また第4の実施形態と同様に、インデックス板663A、663Bに代えて、軸6A、6Bに軸支固定したホイールの外周面のマーク、あるいは、紙管R1a、R2aの内周面あるいは外周面に付与したマークを読み取るように構成してもよい。
さらに変形例として、フィルムロールR1、R2に代えて、長さ方向に所定間隔(たとえば10mm間隔)でマークが印刷されたフィルムF21、F22を巻回したフィルムロールR21、R22を適用し、このマークが検知可能な光学センサを設け、新品のフィルムロールR21、R22を同時に交換装着してから光学センサで検知されたマークの数を総使用量パルスとして積算してもよい。
以上説明したように第7の実施形態に係る包装装置においては、新品のフィルムロールR1、R2(R21、R22)が装着されてからの、両フィルムの使用量を測定し、その使用量の大小とその差異の大きさを判定する。そしてその後の包装において、使用量の小さい方のフィルムの消費量が多くなるように、ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングを補正する。したがって、互いのフィルムロールの残量の差が拡大するのを抑制することができるので、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
また、両フィルムの使用量を測定し、使用量が多くなるほどモータM1の回転速度を遅くしているので、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うので、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(第8の実施形態)
本発明の第8の実施形態に係る包装装置691を説明する。第8の実施形態に係る包装装置691は、第1の実施形態に係る包装装置1に加えて、フィルム送り機構692A、692Bを備え、中央制御部100に代えて、中央制御部180(図示せず)を有する。
図23はこの第8の実施形態に係る包装装置691を示す正面図である。フィルム送り機構692Aは、互いに対向するローラ対と、このローラ対を、互いに圧接する位置と離間した位置との間を移動させる機構(図示せず)、ローラ対の少なくとも一方を回転駆動させる駆動機構(図示せず)から成る。図23に示す位置は互いに圧接した位置にある場合を示し、フィルムロールR1から引き出されたフィルムF1を、ガイド31、32の間で挟むように設けられている。フィルム送り機構692Bもフィルム送り機構692Aと同様に構成され、フィルムロールR2とガイド33の間でフィルムF2を挟むように設けられている。
フィルム送り機構692Aのローラ対が図示矢印方向に回転すると、フィルムF1をフィルムロールR1から引き出す方向にフィルムF1を送る。同様にフィルム送り機構692Bのローラ対が図示矢印方向に回転すると、フィルムF2をフィルムロールR2から引き出す方向にフィルムF2を送る。これらのローラ対が圧接して回転駆動することにより、フィルムF1、F2を送ることができる。
中央制御部180(図示せず)では中央制御部100と同様に、総変位パルスPaA、PaBから外径計算データテーブル300を参照してフィルムロールR1、R2の外径DaA、DaBを算出する。DaA>DaBなら、フィルム送り機構692Aのローラ対を矢印方向に回転させてフィルムF1を送り、溶着ラインFxとの間に弛みを形成する。DaA<DaBなら、フィルム送り機構692Bのローラ対を矢印方向に回転させてフィルムF2を送り、溶着ラインFxとの間に弛みを形成する。
新聞Sを挿入したとき、その新聞Sの包装には、弛みが形成されていたフィルムの方が多く消費されるから、互いのフィルムロールの残量の差が拡大するのを抑制することができ、フィルムロール同時交換時の廃棄フィルムを無くすか、大幅に抑制することができる。
この送りは、DaAとDaBとの比較後いつ行ってもよいが、溶着切断ヒータ5が下降して新聞Sの後端側が溶着されるタイミング、あるいはそれに前後して、新聞S挿入後にシャッター3が受台4に圧接したタイミング以降であって、次の新聞Sが挿入される前のタイミングであれば、次の新聞Sの挿入前に確実に弛みが形成できる。新聞Sを挿入する際はローラ対を互いに離間させ、フィルムF1、F2をフリーの状態とするので、搬送ベルト34、35の搬送力でフィルムF1、F2が引っ張られたときに、フィルムF1、F2がフィルムロールR1、R2から引き出される。
なお、第1の実施形態と同様に、外径DaAまたはDaBが所定値(たとえば80mm)よりも大きい場合と所定値未満である場合とに分け、外径DaAまたはDaBが所定値以上である場合には、外径DaBよりも外径DaAの方が大きくても、その差が小さい(たとえば1mm未満)場合は、フィルムF2を送り出して弛みを形成し、次回の包装でフィルムF1よりもF2の消費量の方が多くなるようにしてもよい。
また、DaAとDaBの差異が小さい場合はフィルムの送りを行わないこととしてもよいし、また、DaAとDaBの差異が大きいほどフィルムの送り量を多くして、フィルムロールの残量差をより抑制するようにしてもよい。
さらに、フィルム送り機構692A、692Bに代えて、フィルムロールR1、R2を直接回転駆動することにより、フィルムF1、F2を送り出してもよい。また、フィルム送り機構692A、692Bに加えてフィルムF1、F2を巻き戻す方向にロールR1、R2を回転駆動可能とし、フィルムF1を引き出したときには、その引き出しと同時にフィルムF2を巻き戻し、フィルムF2を引き出したときには、その引き出しと同時にフィルムF1を巻き戻すようにして、フィルムに弛みを形成することなく、溶着ラインFxを新聞Sの上面側あるいは下面側に移動させることにより、一方のフィルムが他方よりも多く使われるようにしてもよい。
上記したフィルム送り機構692A、692Bによるフィルムの送りと、ブレーキ機構9A、9Bのタイミング調整とを併用してもよい。たとえば、フィルムロールの残量の差が大きいとき、残量が多い方のフィルムロールのブレーキタイミングを、残量が少ない方のフィルムロールよりも遅くするとともに、フィルム送り機構692Aによるフィルムの送り出しも行うことにより、より早期に残量の差を縮小させることができる。
また、フィルムロールの外径が小さいほどモータM1の回転速度を遅くすることにより、フィルムロールの停止タイミング精度が向上し、過大なフィルムの弛みに起因する引っ掛かりによる不具合を抑制することができる。また、残温度の表示も行うことにより、これをユーザが参照することにより、予熱完了までの時間を推定することができ、作業効率を上げることができる。
(その他の実施形態・変形例等)
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態の各要素を適宜組み合わせたものも、本発明の実施形態として有効である。また、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれうる。以下、そのような例を挙げる。
上記第1乃至第7の実施形態におけるブレーキ機構9A、9Bは、フィルムロールR1、R2を下方から支持する支持ロール8A、8Bの回転に対してブレーキをかけ、その結果フィルムロールR1、R2の回転にブレーキがかかるように構成されているが、このような構成に限られず、フィルムロールR1、R2の回転に制動をかけられる構成であればどのような構成でもよい。たとえば、フィルムロールR1、R2の軸6A、6Bを直接押圧するなどしてもよいし、軸6A、6Bの一端にブレーキホイールを設け、その外周面を押圧したり、ブレーキディスクを設けてその端面を押圧してもよい。また、フィルムロールR1、R2の外周面を直接押圧してもよい。
2個のフィルムロールR1、R2の各々の残量検出機構は、互いに同じものに限られず、上記第1乃至第6の実施形態における各々の残量検出機構のうち、互いに異なるものを採用し、各々の検出結果から導かれたフィルムロールR1、R2の外径を参照して、フィルムの消費量調整を行ってもよい。
さらに、2個のフィルムロールのうち、フィルムロールR1に第1乃至第6の実施形態のいずれかに記載した残量検出機構を設けるとともに、フィルムロールR2に第7の実施形態に記載した使用量検出機構を設け、残量検出機構で検出したフィルムロールR1の残量と、使用量検出機構で検出したフィルムロールR2の、新品のロール装着時からの使用量とを参照し、フィルムの消費量調整を行ってもよい。
この場合、あらかじめ新品のフィルムの全体長さを記憶させておき、残量から使用量を算出、あるいは使用量から残量を算出するのがよい。たとえば、記憶された全体長さからフィルムR1の残量を差し引いてフィルムR1のロール装着時からの使用量を算出し、フィルムロールR2で検出された使用量と比較して、使用量が少ない方のフィルムロールが、その後の包装で多く消費されるように、フィルムの消費量調整を行ってもよい。あるいは、記憶された全体長さからフィルムR2の使用量を差し引いてフィルムR2の残量を算出し、フィルムロールR1で検出された残量と比較して、残量が多い方のフィルムロールが、その後の包装で多く消費されるように、フィルムの消費量調整を行ってもよい。
上記各実施形態では、残量検出機構、あるいは使用量検出機構をフィルムロールR1、R2の両方に設けているが、いずれか一方のみに設け、その残量または使用量から、モータ回転速度M1回転速度を決定することにより、測定したフィルムロールの外径が小さくなるほどモータ回転速度M1の回転速度が遅くなるようにしてもよいし、残部数の特定または算出を行うようにしてもよい。
またその場合、残量検出機構、あるいは使用量検出機構を設けるフィルムロールは、2個のフィルムロールのうち、高い位置に設けられている収容部に収容されたフィルムロールであってもよい。収容部が高い位置にある方が、その高さの差の分がフィルムを引き出すエネルギーとして作用し、先に残量が少なくなる可能性が高いからである。
上記各実施形態では、残量検出機構により検出されたフィルムロールの残量、あるいは使用量検出機構により検出されたフィルムロールの交換後の使用量に基づき、テーブルを参照してモータ回転速度M1を決定しているが、そのような形態に限られず、所定の計算式に残量または使用量を代入してモータ回転速度M1を求めることにより、残量が少なくなるほど、あるいは使用量が多くなるほど、モータ回転速度M1が遅くなるように制御してもよい。たとえば所定の定数Kを定め、参照外径Ds(残量)を使用し、モータM1回転速度Vr=Ds×Kとして、参照外径DsとモータM1回転速度Vrが比例するようにしてもよい。
上記各実施形態では、新聞Sを挿入口から挿入したときに搬送機構が駆動開始されてから、停止させるまでの間、所定速度で搬送することになっているが、この形態に限られず、搬入時の速度よりもと停止時の速度が異なるように制御してもよく、その場合は、フィルムロールの残量が少なくなるほど、あるいは使用量が多くなるほど、停止時の速度が遅くなるように制御する。すなわち停止直前の速度を制御すれば、搬送ベルト34、35停止時の衝撃を抑制することができ、慣性によって過大な弛みが発生することを防ぐことができる。
また上記実施形態では、包装動作が可能となる処理開始温度を、設定温度と同一としているが、設定温度よりも低い温度に設定し、予熱中であっても処理開始温度に達した後は、包装動作が可能となるようにしてもよい。
具体的には、溶着切断ヒータ5の設定温度Tcに対し、一定温度(たとえば15℃)低い処理開始温度Tcxをあらかじめ記憶させておく。制御部は、測定温度Tcmが処理開始温度Tcxに達すると、以後は、新聞Sの挿入がセンサD1で検知されると搬送ベルト34、35が駆動開始して、図14に示す包装動作を行う。ただし測定温度Tcmが設定温度Tcに達しないうちは、フィルムシートF1、F2の溶融に時間がかかるため、溶着切断ヒータ5をフィルムシートF1、F2に接触させる時間(溶着時間)が、設定温度Tc到達後に比べて長くなるように制御する。この溶着時間は、設定温度Tc到達後の溶着時間に対し、一定時間だけ長くした時間でもよいし、測定温度Tcmが高くなるほど短くなるように変化させてもよい。
残温度Tcr(あるいは残温度Tcrと、サイド溶着ヒータ41a、41bの残温度Tsra、Tsrbのうち、最も大きい数値)の表示は、測定温度Tcmが設定温度Tcに達するまでの間は、処理開始温度Tcx到達前か後かにかかわらず行う。処理開始温度Tcxに達したときには、LEDを点灯したり、「包装が可能です」等の表示を操作パネル45で行うなどして、包装が可能になったことをユーザに報知する。
また、サイド溶着ヒータ41a、41bについても、各々設定温度Tsから一定温度低い処理開始温度Tsxa、Tsxbをあらかじめ記憶させておき、制御部は、溶着切断ヒータ5の測定温度Tcmが処理開始温度Tcxに、サイド溶着ヒータ41aの測定温度Tsmaが処理開始温度Tsxaに、サイド溶着ヒータ41bの測定温度Tsmbが処理開始温度Tsxbに、各々がすべて達したときに、包装が可能になるようにしてもよい。その後は各々のヒータごとに、設定温度Tc、Tsa、Tsbに到達前は、各々のヒータによる溶着時間が、到達後よりも長くなるように制御すればよい。
また、処理開始温度を設定温度よりも低くしたとき、測定温度が処理開始温度に到達するまでの間は、処理開始温度と測定温度との差である第1残温度を表示し、測定温度が処理開始温度に到達した後は、設定温度と測定温度との差である第2残温度を表示するようにしてもよい。また、第2残温度は表示せず、処理開始温度に到達する前に第1残温度を表示するだけとしてもよい。この形態によっても、ユーザが包装動作が開始されるまでに待機しなければならない残り時間が推定できる。なお、処理開始温度到達後、設定温度到達前には溶着時間が長めに設定されるため、包装処理に若干時間がかかるので、第2残温度を表示させた場合は、通常の溶着時間で処理が可能になるまでの残り時間を、ユーザが知ることができるというメリットがある。
たとえば溶着切断ヒータ5について、設定温度を200℃とし、処理開始温度を180℃とした場合、電源投入時の測定温度Tcm=20℃であれば、第1残温度はその時点での180−20=160となる。測定温度Tcm=180℃に達したとき第1残温度がゼロとなり、ユーザに包装が可能となったことを報知する。そしてその時点での第2残温度は200−180=20であり、その後は第2残温度が順次減少し、測定温度Tcmが設定温度と同じ200℃に達したときにゼロになる。
上記実施形態では、装置の電源投入後に設定温度まで加熱を行う予熱を行い、その間に残温度を表示させ、設定温度到達後は表示させないようにしているが、これに加え、一定時間包装動作が行われなかった時あるいは、ユーザの所定の操作が行われたときに省エネモードに入り、各ヒータを、設定温度よりも低い省エネ温度となるまで加熱を行わず、その後ユーザのスイッチ操作あるいはセンサD1による新聞Sの挿入を検知したときに省エネモードを解除し、再度予熱(設定温度まで加熱)を行うように制御し、その際に再度、残温度を表示するようにしてもよい。
たとえば溶着切断ヒータ5について、設定温度を200℃とし、省エネ温度を100℃とした場合で、所定時間包装処理が行われなかった時あるいは、ユーザの所定の操作が行われたとき、溶着切断ヒータ5を設定温度に保つための間欠的な加熱を中止し、測定温度Tcmが低下して省エネ温度100℃になったときに再度間欠的な加熱を開始し、溶着切断ヒータ5を100℃に保つ。その後ユーザのスイッチ操作あるいはセンサD1による新聞Sの挿入を検知したとき、再度予熱すなわち200℃までの加熱が開始される。
この時の残温度Tcrは200−100=100となり、測定温度Tcmが200℃に近づくと、残温度Tcrはゼロに近づく。この残温度を表示させることにより、ユーザは予熱完了までに要する時間を推定することができる。
予熱中に、設定温度、あるいは処理開始温度が変更可能であってもよい。具体的には、予熱中に操作パネル45でユーザが改めて入力することにより変更操作を可能とする。その変更後は、変更後の設定温度あるいは処理開始温度に基づいて、残温度Tcr(あるいは第2残温度)を表示するようにする。変更後の設定温度が変更時点での測定温度よりも低かった場合、加熱を中止して測定温度が設定温度まで下降するのを待たなければならない。その場合は測定温度と設定温度との差異を負の数で表示する。ヒータが冷却されて設定温度に近づくと、その負の数がゼロに近づくので、測定温度が設定温度に達するまでの時間をユーザが推定することができる。
また、予熱完了後、包装処理が可能な状態で設定温度を変更可能としてもよい。変更後の設定温度が変更前よりも高い場合、改めて予熱を開始し、残温度を表示する。変更後の設定温度が変更前よりも低い場合、測定温度が変更後の設定温度になるまでヒータの加熱を中止し、残温度を負の数で表示する。
上記各実施形態では、残量検出機構により検出されたフィルムロールの残量、あるいは使用量検出機構により検出されたフィルムロールの交換後の使用量に基づき、ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングの補正、あるいはフィルム送り機構692A、692Bによるフィルムシートの送り出しを行い、次回以降に消費するフィルムシートの消費量調整を行っているが、この消費量調整を行うか、行わないかを、ユーザが選択できるようにしてもよい。
例えば電源投入やユーザの所定のスイッチ操作に応じて操作パネル45に「消費量調整機能ONボタン」「消費量調整OFFボタン」を表示させ、ユーザが「消費量調整ONボタン」にタッチ又は押下した場合は、上記各実施形態で説明した消費量調整を行う。「消費量調整OFFボタン」をタッチまたは押下した場合は、消費量調整を行わない。すなわち、残量検出機構により検出されたフィルムロールの残量、あるいは使用量検出機構により検出されたフィルムロールの交換後の使用量に関わらず、ブレーキ機構9A、9BのブレーキONタイミングは同時とし、あるいはフィルム送り機構692A、692Bによるフィルムシートの送り出しは行わない。
また、「消費量調整機能ONボタン」「消費量調整OFFボタン」を操作パネル45に表示させるのに代えて(あるいは加えて)、消費量調整機能をON、OFFできるスイッチ類を別途設けてもよい。
上記各実施形態では、新聞を装置の側方から投入して、水平方向に搬送しながら包装する包装装置であるが、この構成に限られず、例えば、新聞を装置の上方から投入して、縦方向に搬送しながら包装する包装装置においても適用可能である。
また、本発明の包装装置に適用できるのは新聞だけではなく、折込広告の束、冊子、1枚ものの用紙など、シート形状のあらゆるものを包装することができることは言うまでもない。
なお中央制御部120、130、140、150、160、170、180は、上記各実施形態において説明した部分以外の構成及び制御内容は、中央制御部100と同一である。