JP2017073512A - レジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】モールドに直接塗布する際の白化を抑制可能であり、エッチング加工精度の高いレジスト組成物を提供する。【解決手段】第1層Cは第2層Dのマスクとして機能し、第2層Dをマスクとして基材1がエッチングされる。第1層Cのレジスト組成物は、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、を含み、ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子であり、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば、基材加工のドライエッチング処理に用いられるレジスト組成物に関する。
金属又は金属酸化物からなる基材に対してテクスチャを付与することで、高効率なLED素子、超小型の集積回路、微量物質検出センサ、ナノアンテナ、超撥水表面、超親水表面、防氷表面、防雪表面、反射防止表面、無線給電又は種々デバイスの小型化等が実現できる可能性が高く、多くの研究がなされている。所望の基材自体を加工し、その表面にテクスチャを付与する方法としては、ドライエッチング処理及びウェットエッチング処理が広く注目を集めているが、製造可能なテクスチャの種類の観点から、ドライエッチング処理が注目を集めている。
LED素子について注目して説明する。LED素子においては、その効率が理論限界からほど遠いことが問題視されており、この効率の低さから蛍光灯を代替する速度が低下している。しかしながら、地球環境の観点からLED素子により照明の光源を代替していくことは非常に重要であり、産学を問わず、多くの検討がなされている。LED素子の効率が低い理由は、以下のように考えることが出来る。
LED素子の効率は、投入電気エネルギを正孔と電子に変換する電子注入効率、生成した電子と正孔と、を結合させ、フォトンを生成する内部量子効率、そして、発生したフォトンをLED素子の外部へと取り出す光取り出し効率の積により決定される。ここで、特に問題となっているのは、内部量子効率と光取り出し効率である。内部量子効率は、LED素子の基材表面にナノオーダのテクスチャを設けることで改善可能である。LED素子のp型半導体層と透明電極と、の界面や、透明電極の表面等にナノオーダのテクスチャを設けることで、光取り出し効率を改善できる。即ち、内部量子効率と光取り出し効率を、テクスチャにより改善することが可能となる。
以上説明したように、所定の基材の表面にテクスチャを設けることで、基材の用途に応じた効果を発現させることが出来る。LED素子の場合であれば、サファイア、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、又は、透明導電膜(例えば、ITO)自体、或いはそれらを表面に有する積層物を基材と見立てることで、上記説明した効果を発現できる。
基材表面にドライエッチングによりテクスチャを設ける場合、ドライエッチング条件とレジスト組成物と、の組み合わせが重要となる。加工対象である基材にレジスト組成物からなるマスクパタンを形成し、当該マスクパタン越しにドライエッチング処理を行う。基材はエッチングされ、テクスチャが形成される。ドライエッチング条件は、適宜設計できるが、特にフッ素系ガスを使用した研究と実用化が進んでいる。これは、半導体にて使用するシリコンウェハの微細加工に適したガスがフッ素系ガスであり、半導体プロセス技術の進歩に牽引されて、技術が研究されてきたためである。フッ素系ガスとしては、例えば、SiF4、CF4、CHF3、SF6、C2F6、CH2F2、C4F6、C5F8、F2、HF、及びSO2F2等である。
しかしながら、フッ素系ガスを使用したドライエッチングでは加工困難な基材が種々存在すると共に、このような加工難基材に対してテクスチャを設ける需要が増大している。例えば、サファイア、窒化ガリウム、又は磁性化合物をドライエッチング加工する際には、フッ素系ガスを使用した場合、その加工精度が非常に低下し問題となっている。即ち、ドライエッチングによる加工精度が低いことに伴い、テクスチャの形状精度や面内分布が悪化する。このような背景から、塩素系ガスを使用したドライエッチングに注目が集まっている。
塩素系ガスを使用したドライエッチングを試みた例として、特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2が挙げられる。例えば、非特許文献1においては、BCl3、Cl2及びArを混合したガスを使用し、サファイア基材をドライエッチング加工している。非特許文献2においては、BCl3ガスに、添加ガスとしてHBr又はCl2ガスを添加し、サファイア基材を加工している。特許文献1においては、塩素系ガスによるエッチング前に、Arガスを用いたエッチングを行うことで、レジストを変質させる方法について開示している。
Applied Physics Letters 97,023111(2010)
Journal of the Korean Physical Society, Vol. 42, February 2003. pp. S795〜S799
基材を加工し製造されるテクスチャの精度を向上させるためには、マスクパタンの精度とドライエッチング加工精度を共に向上させることが重要である。上述したように、基材の主面は、レジスト組成物からなるマスクパタン越しに、ドライエッチング処理を行い、加工される。ドライエッチングのガス種といったドライエッチングの根底条件は、基材の種類により決定される。即ち、所定のガスを使用するドライエッチングに好適な、レジスト組成物が必要と言える。例えば、マスクパタンの歪や欠陥は、基材のテクスチャに対する欠陥となり現れる。ドライエッチング過程においてマスクパタンが歪む場合、テクスチャも歪む。
このような観点から、マスクパタンを高精度且つ高精細に基材上に配置する技術が重要となる。この観点から、ナノインプリントリソグラフィ法が注目されている。モールドのパタンと基材と、の間にレジストを狭持させる。その後、モールドを剥離し、マスクパタンが形成される。マスクパタンを、高精度に、そして工業性高く形成する観点から、レジスト組成物は、エネルギ線反応型であるとよい。
非特許文献1の場合、熱ナノインプリント法を適用してマスクパタンを形成しており、エネルギ線反応型レジストについては開示されていない。非特許文献2については、フォトリソグラフィ法を適用した検討結果が説明されており、ナノインプリント法については開示されていない。特許文献1については、まず、ナノインプリント法の使用については開示されているが、熱可塑性樹脂をレジストに使用することが明言されている。更に、特許文献1においては、基材上にハードマスク層を設け、このハードマスク層を加工することが提案されており、基材をレジスト層により直接加工するものではない。
本発明者の検討によれば、基材に形成されるマスクパタンが、単層レジストの場合、基材を加工し形成できるテクスチャの範囲が、極端に狭まる。即ち、高さ、幅、側面の角度といったテクスチャを規定する要素の範囲が、限定される。テクスチャについては、用途に適したテクスチャを選定すべきである。このような観点から、2層以上のレジストを使用するナノインプリント法に注目している。
2層の場合、基材に形成されるマスクパタンは、2層である。基材側を第2層、そしてパタン側を第1層と称す。マスクパタン越しに、ドライエッチング処理を実施する。ここで、第1層を加工マスクとして第2層を、基材と第2層界面までエッチングする。基材上には、2層分の厚みを有する加工されたマスクパタンが形成される。当該マスクパタン越しに基材をエッチングすることで、形成可能なテクスチャ範囲が飛躍的に大きくなることが分かっている。例えば、テクスチャの径を小さいものから大きなものまで、高さも低いものから高いものまで作り分けることができる。
このような方法を適用し検討を進めることで、2つの問題点が現れた。第一に、上記方法を工業的に進めるためには、パタンを有するモールドに対して、第1層目のレジストを、直接塗布することが重要となる。しかしながら、製造環境の温湿度の変化やモールドへの吸着水等の影響で、塗膜面が白化することがある。第二に、上記方法において、第1層をマスクとして第2層をエッチングする際に、第1層目のレジストが破壊され、基材のテクスチャも破壊されることがある。
本発明は、上記問題点に対し検討されたものであり、即ち、モールドに直接塗布する際の白化を抑制可能であり、エッチング加工精度の高いレジスト組成物を提供することを目的とする。
本発明は、レジスト組成物であって、前記レジスト組成物は、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、を含み、前記ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子であることを特徴とする。
この構成により、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。
また本発明は、レジスト組成物であって、前記レジスト組成物は、ナノ粒子を含有し、前記ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である、エネルギ線反応基を表面に具備する金属酸化物微粒子であることを特徴とする。
この構成により、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。
また本発明では、含水率が0.0015wt.%以上5wt.%以下であることが好ましい。
また本発明では、前記ナノ粒子は、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物、及びエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により、少なくとも表面の一部が被覆された前記金属酸化物微粒子であることが好ましい。
また本発明では、溶剤を含有し、前記溶剤は、20℃における蒸気圧が4kPa以上35kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が10mN/m以上24mN/m以下の溶剤を、含むことが好ましい。また、20℃における蒸気圧が0.1kPa以上2.0kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が26mN/m以上45mN/m以下の溶剤を、更に含むことが好ましい。
また本発明では、前記レジスト組成物の不揮発分に対して、前記ナノ粒子は50wt.%以上99wt.%以下含有されることが好ましい。
また本発明では、前記ナノ粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄II(FeO)、酸化鉄III(Fe2O3)、酸化銅I(Cu2O)、酸化銅II(CuO)、酸化コバルトII(CoO)、酸化コバルトIII(Co2O3)、四酸化三コバルト(Co3O4)、酸化セリウムIV(CeO2)、酸化シリコン(SiO2)、酸化錫II(SnO)、酸化錫IV(SnO2)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンドープ酸化錫(ATO)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子であることが好ましい。
また本発明では、透過率が40%以上100%未満であることが好ましい。また本発明では、20℃における粘度が、0.5cP以上100cP以下であることが好ましい。
本発明のレジスト組成物によれば、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。まず本実施の形態の説明に先立ち、問題意識について説明する。
ナノインプリント法では、基材上にレジストを塗布し、モールドのパタンを押圧して、レジストにパタンを転写する。ナノインプリント法について図1を用いて説明する。図1Aに示すように、基材1上に、マスクパタン2として、表面に凹凸パタン3aを有するレジスト層3を形成する。次に図1Bでは、マスクパタン2の残膜2aが無くなるまで、エッチングを実施する。図1Bに示すように、残膜2aが無くなる間に、マスクパタン2は縮小する。そして、図1Cに示すように、この縮小したマスクパタン2越しにエッチングを実施することで、基材1上にパタンを形成できる。以下、基材表面に形成されたパタンをテクスチャ4と呼ぶ場合がある。
図1では、上記したように、縮小したマスクパタン2越しにエッチングを実施するため、製造可能なテクスチャ4の範囲が狭まると言える。この問題の本質は残膜2aにある。残膜2aを限りなく薄くしたり、無くしたりするプロセスも検討されているが、現実的な導入は困難である。というのも、残膜2aを限りなく薄くした場合も、無くした場合も、マスクパタン2の基材1に対する転写精度が極度に悪化するためである。
そこで、本発明者は、転写精度が高く残膜のないプロセスを考えた。ここで、最もシンプルな2層型を代表させて説明する。
図2Aに示すように、基材1上に2層のマスクパタン2を付与する。マスクパタン2は、パタン側から第1層C、第2層Dとする。第1層Cは、パタンの凸部周辺にのみ設けられる。図1にて説明したナノインプリント法と照らし合わせると、図2では2層にした分、残膜2bが大きくなったように見える。しかしながら、図2Bに示すように、エッチングを実施すると、第1層Cが第2層Dのマスクとして機能するため、パタン形状の変化を最小限にとどめ、第2層Dをエッチングできる。そして、図2Cに示すように、図2Bのマスクパタン2を用いて基材1をエッチングすることで、基材表面にテクスチャ4を形成できる。即ち、基材1のエッチング開始時のマスクパタン2は、転写したマスクパタンの情報が反映されている。よって、製造可能なテクスチャ4の範囲を広げることができる。
図2Aに図示した2層のマスクパタン2を基材1に付与するための方法は、2通りある。まず、図3Aに示すモールドMを用意する。図3Bに示すように、モールドMのパタン面(パタンOが形成された面)に対して第1層Cを塗布し、充填する。次に、基材1に対して第2層Dを成膜する。第2層Dに対して、第1層Cを充填したモールドMを貼り合わせる。その後、モールドMを除去することで、図2Aに示す2層のマスクパタン2を基材1に形成できる。2つ目の方法は、図3Cに示すように、更に、第2層Dを、第1層Cを充填したモールドMに対して成膜する。その後、第1層C及び第2層Dを成膜したモールドMを、基材1に貼り合わせる。モールドMを除去することで、図2Aに示すように2層のマスクパタン2を基材1に形成できる。
上記方法の場合、第1層Cは第2層Dのマスクとして機能し、第2層Dをマスクとして基材1がエッチングされる。この観点から、第1層Cは、無機レジストとなる。そして、無機レジストの第1層CをモールドMに塗布する検討(図3B参照)を進める中で、以下のような問題点が浮かび上がった。
(問題点−1)
温度や湿度の僅かな変化や、モールドMへの吸着水等の影響で、塗膜面が白化することが問題となった(図3Bの工程での問題)。
温度や湿度の僅かな変化や、モールドMへの吸着水等の影響で、塗膜面が白化することが問題となった(図3Bの工程での問題)。
即ち、製造する季節の影響や、モールドの製造・保管履歴等が影響し、良品が製造される場合もあれば、塗膜面が白化する場合もありばらつきが生じていた。
(問題点−2)
第1層Cをマスクとして第2層Dを加工する際にも問題が発生した(図2Bの工程での問題)。すなわち、ドライエッチング中に第1層Cが破壊されることがある。これにより、第2層Dを加工できない場合のあることがわかった。この原因は、第1層Cを成膜し乾燥する際に、第1層Cの密度が高まらないためとわかった(図3Bの工程での問題)。図4Aは、第1層Cの密度が高く正常に機能した状態を示す。しかしながら、第1層Cの密度が低いと図4Bに示すように、ドライエッチング中に、第1層Cは破壊される。この状態でエッチングが進行するので、第2層Dの加工精度が極端に低下する。結果的に、基板1のテクスチャ4は、散在し分裂した形状となる。乾燥効率の低下は、気圧、気温、湿度の変動といった季節因子、また、モールドMのパタンに付着している吸着水等の影響と推定される。即ち、季節変動やモールドの履歴といった因子により、第2層Dの加工精度が左右されているといえる。破壊に対する具体的な観察像は、後述する実施例に示してある。
第1層Cをマスクとして第2層Dを加工する際にも問題が発生した(図2Bの工程での問題)。すなわち、ドライエッチング中に第1層Cが破壊されることがある。これにより、第2層Dを加工できない場合のあることがわかった。この原因は、第1層Cを成膜し乾燥する際に、第1層Cの密度が高まらないためとわかった(図3Bの工程での問題)。図4Aは、第1層Cの密度が高く正常に機能した状態を示す。しかしながら、第1層Cの密度が低いと図4Bに示すように、ドライエッチング中に、第1層Cは破壊される。この状態でエッチングが進行するので、第2層Dの加工精度が極端に低下する。結果的に、基板1のテクスチャ4は、散在し分裂した形状となる。乾燥効率の低下は、気圧、気温、湿度の変動といった季節因子、また、モールドMのパタンに付着している吸着水等の影響と推定される。即ち、季節変動やモールドの履歴といった因子により、第2層Dの加工精度が左右されているといえる。破壊に対する具体的な観察像は、後述する実施例に示してある。
本実施の形態は、上記問題点を解決できるレジスト組成物に関する。即ち、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、無機レジスト(第1層C)を、白化なく成膜可能であり(図3B)、第1層Cの形状変化を最小限にとどめ第2層Dをエッチングできる(図2B)。このため、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャ4を、高精度に、基材1に加工形成できる(図2C)。以下、本実施の形態におけるレジスト組成物について詳細に説明する。
第一の実施の形態におけるレジスト組成物は、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、を含み、ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子であることを特徴とする。
この構成により、上記した問題点−1及び問題点−2を解決できる。よって、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。
まず、レジスト組成物としては、ナノ粒子を含有する無機レジストである。そして、ナノ粒子はその平均粒径が5nm以上100nm以下である、金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子であるので、温度や湿度、また、塗布後の乾燥温度といったパラメータに対するロバストネス性は飛躍的に向上する。よって、問題点−1が改善される。そして、ナノ粒子の粒径が5nm以上である。これにより、ナノ粒子の多次凝集を抑制し、塗布乾燥工程における凝集を抑制できる。よって、問題点−1が改善する。
次に、平均粒径が100nm以下である。これにより、ナノ粒子の自己凝集力が高まり、ドライエッチング時の破壊耐性が向上する。同時に、モールドMに対して、最密充填しやすくなる。よって、問題点−2が改善する。最後に、レジスト組成物は、エネルギ線反応分子を含有する。これにより、マスクパタン2の第1層Cを作るナノ粒子は、互いに連結、或いは、包埋される。よって、ドライエッチング時の破壊耐性が向上し、問題点−2が改善する。
次に、第二の形態におけるレジスト組成物は、ナノ粒子を含有し、前記ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である、エネルギ線反応基を表面に具備する金属酸化物微粒子であることを特徴とする。
この構成により、上記した問題点−1及び問題点−2を解決できる。よって、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できる。
まず、レジスト組成物としては、ナノ粒子を含有する無機レジストである。そして、ナノ粒子はその平均粒径が5nm以上100nm以下である、金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子であるので、温度や湿度、また、塗布後の乾燥温度とったパラメータに対するロバストネス性は飛躍的に向上する。よって、問題点−1が改善される。そして、ナノ粒子の粒径が5nm以上である。これにより、ナノ粒子の多次凝集を抑制し、塗布乾燥工程における凝集を抑制できる。よって、問題点−1が改善する。
次に、平均粒径が100nm以下である。これにより、ナノ粒子の自己凝集力が高まり、ドライエッチング時の破壊耐性が向上する。同時に、モールドMに対して、最密充填しやすくなる。よって、問題点−2が改善する。最後に、金属酸化物微粒子の表面にエネルギ線反応基が具備されている。即ち、ナノ粒子は互いに連結しネットワークを形成可能である。ドライエッチング時の破壊耐性が向上する。よって、問題点−2が改善する。
上記したように本実施の形態では、ナノ粒子の平均粒径は5nm以上100nm以下である。既に説明したように、多次凝集の観点から下限値が決定されており、10nm以上がより好ましい。上限値は、自己凝集力の増加と最密充填に伴う、ドライエッチング時の破壊抑制の観点で決定されており、80nm以下がより好ましい。なお、50nm以下であれば、第1層をマスクに第2層を加工した際の、第2層の側面ラフネスが低減する。これより、基板1に形成されるテクスチャ4のエッジラフネスが改善するため好ましい。
なお、平均粒径は動的散乱法にて測定する。動的散乱法にて測定できない場合は、透過型電子顕微鏡にて、ナノ粒子の形状を観察し、測定する。この場合、ナノ粒子の外形に対する外接円の径を、粒径とする。任意に25点の粒径を測定し、相加平均化したものが、平均粒径となる。
ナノ粒子の粒径分布も加味すると、粒径は1nm以上200nm以下が好ましい。この範囲で上記効果を発現可能である。粒径のバラつきは50%以内が好ましい。
本実施の形態では、上記した第一及び第二の実施の形態において、ナノ粒子を構成する金属酸化物微粒子は、少なくともその表面の一部を、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物、及びエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により被覆された金属酸化物微粒子であるとよい。
これにより、問題点−1及び問題点−2をより効果的に解決できる。即ち、いずれの実施形態においても、金属酸化物微粒子はその表面にエネルギ線反応基を具備する。これにより、マスクパタン2の第1層Cを作るナノ粒子は、互いにネットワークを形成可能となる。よって、ドライエッチング時の破壊耐性が向上する。即ち、問題点−2がより効果的に解消される。更に、金属酸化物微粒子は、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物をも具備する。これにより、ナノ粒子の表面ゼータ電位が適度に調整される。よって、ナノ粒子の分散性が向上する。即ち、環境温度や環境湿度、また、塗布後の乾燥温度とったパラメータに対する分散に係るロバストネス性が飛躍的に向上する。よって、問題点−1がより効果的に解消される。
本実施の形態における、エネルギ線反応分子及びナノ粒子の具備するエネルギ線反応基は、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アリル基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基及びチオール基からなる群の少なくとも1以上のエネルギ線反応基であるとよい。特に、ナノ粒子同士を強固にネットワーク化し、問題点−2をより効果的に解決する観点から、エネルギ線反応基は、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群の少なくとも1以上であるとよりよい。なお、エネルギ線反応基が、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上であるとよい。中でも、エネルギ線反応基が、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上であるとよい。この場合、上記にて説明したナノ粒子のネットワーク化或いは包埋の結合力が向上し、問題点−2の改善効果が高まる。更には、ナノ粒子の表面ゼータ電位が、レジスト組成物に対して適度となり、分散度が向上する。よって、問題点−1をもより効果的に解消できる。
エネルギ線反応分子及びナノ粒子の具備するエネルギ線反応基は、単一のエネルギ線反応基から構成されても良いし、複数のエネルギ線反応基より選択されてもよい。複数の場合、上記にて例示したエネルギ線反応基から任意に選択し、ナノ粒子の表面を修飾できる。なお、選択数は10以下がよい。10種以下であることで、エネルギ線反応基の修飾斑が低減される。これに伴い、分散性を制御しやすく、問題点−1が改善すると共に、ナノ粒子の自己凝集のばらつきが低減し、問題点−2が改善するためである。この観点から、5種以下がより好ましく、3種以下が最も好ましい。
上記の表面修飾されたナノ粒子の製造方法は特に限定されない。例えば、下記方法で製造可能である。ナノ粒子表面の官能基に対して、カップリング剤を反応させることができる。カップリング剤の末端に、所定の官能基を配置することで、上記のエネルギ反応基を有するナノ粒子が製造される。また、第1カップリング剤を反応させたのちに、第2カップリング剤を第1カップリング剤と反応させて、第2カップリング剤の有するエネルギ線反応基を表面に露出させることもできる。複数のカップリング剤を反応させることで、複数種のエネルギ線反応基を修飾可能である。また、ナノ粒子に対して静電的にオリゴマーやポリマーを吸着させ、当該吸着層に対して表面処理を実施し、エネルギ線反応基を修飾することもできる。この場合、吸着層を設けるときに、溶液のpHを制御して、ナノ粒子のゼータ電位を制御すると効果的である。この他にも、ナノ粒子表面をシリカにて被覆したものを上記ナノ粒子と見立てることで、修飾均等性が向上する。
また本実施の形態では、レジスト組成物の不揮発分(NV)に対して、ナノ粒子は50wt.%以上99wt.%以下含有されることが好ましい。
これにより、特に問題点−2が改善する。ナノ粒子の含有量が所定範囲であることで、ナノ粒子の自己凝集により、マスクパタンのパタン強度が向上する。これにより、ドライエッチングの破壊は限りなく抑制され、問題点−2が改善する。また上記の観点から、65wt.%以上がより好ましい。なお、75wt.%以上であれば、第2層Dへの拡散を抑制し、第1層Cをマスクに第2層Dをエッチングした際の、第2層Dのエッジラフネスがより低減する。これにより、基材1に形成されるテクスチャ4の、エッジラフネスがより改善する。この観点から、ナノ粒子は、85wt.%以上含有されることが最も好ましい。
また本実施の形態におけるナノ粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄II(FeO)、酸化鉄III(Fe2O3)、酸化銅I(Cu2O)、酸化II(CuO)、酸化コバルトII(CoO)、酸化コバルトIII(Co2O3)、四酸化三コバルト(Co3O4)、酸化セリウムIV(CeO2)、酸化シリコン(SiO2)、酸化錫II(SnO)、酸化錫IV(SnO2)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンドープ酸化錫(ATO)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子であることが好ましい。
ナノ粒子が、上記金属酸化物であることで、自己凝集性による問題点−2の改善、及び多次凝集抑制による問題点−1の改善効果が高まる。特に、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、酸化錫II(SnO)、酸化錫IV(SnO2)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンドープ酸化錫(ATO)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子であると、より顕著な効果が発現されるため好ましい。なお、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンドープ酸化錫(ATO)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子であると、第2層への拡散が抑制される傾向にあり、基材に形成されるテクスチャのエッジラフネスが改善するため好ましい。これらの観点から、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化シリコン(SiO2)、から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子がより好ましく、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子が最も好ましい。
ナノ粒子は、単一の金属酸化物微粒子から構成されても良いし、複数の金属酸化物微粒子より構成されてもよい。複数の場合、上記にて例示した金属酸化物微粒子から任意に選択し、混合できる。なお、選択数は10以下がよい。10種以下であることで、ナノ粒子の分散性を制御しやすく、問題点−1が改善すると共に、ナノ粒子の自己凝集のばらつきが低減し、問題点−2が改善するためである。この観点から、5種以下がより好ましく、3種以下が最も好ましい。
なお、ナノ粒子は2層以上の多層粒子であってもよい。例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)等のナノ粒子の表面を、シリカ(SiO2)にて被覆した多層粒子を利用できる。
ナノ粒子の形状は、特に限定されないが、多次凝集を抑制し問題点−1を改善すると共に、自己凝集により問題点−2を改善するために、球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状などが好ましい。
本願のナノ粒子は、少なくともその表面の一部を、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物、及びエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により被覆された金属酸化物微粒子を含むと、よりよい。上記説明したように、問題点−1及び問題点−2はより顕著に改善される。少なくともその表面の一部を、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物、及びエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により被覆された金属酸化物微粒子であるナノ粒子を、以下、ナノ粒子Zとも呼ぶ。
まず、被覆とは、物理吸着及び化学吸着のいずれの状態であってもよい。例えば、カルボン酸化合物は金属酸化物に化学結合できる。また、例えば、水素原子やカチオン性原子と共にカルボン酸塩を形成し、金属酸化物微粒子に付着(物理吸着)出来る。以下の説明では、被覆を、修飾、と呼ぶこともある。
脂環構造を有する第1カルボン酸化合物とエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物を使用して、金属酸化物微粒子の表面を修飾する。これにより、金属酸化物微粒子の表面ゼータ電位が適度となり、溶剤に対する分散性が向上する。更には、第一の実施の形態にあるようなエネルギ線反応分子との、相溶性が向上する。即ち、環境温度や環境湿度、また、塗布後の乾燥温度とったパラメータに対する分散に係るロバストネス性が飛躍的に向上する。よって、問題点−1がより効果的に解消される。脂環構造を有する第1カルボン酸化合物とエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物であることで、第1カルボン酸化合物と第2カルボン酸化合物の、それぞれの凝集を抑制できる。即ち、エネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の、金属酸化物微粒子表面における分散性が向上する。よって、ナノ粒子同士のネットワーク化やナノ粒子の包埋における、化学的結合力が向上するので、問題点−2がより顕著に改善される。
第1カルボン酸化合物又は第2カルボン酸化合物は、それぞれアミド基、チオエステル基、チオエーテル基、エステル基、エーテル基、カーボネート基、ウレタン基、及びウレア基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸であると好ましい。このようなカルボン酸であることで、上述した、表面ゼータ電位の調整によるナノ粒子の分散性の向上と、第2カルボン酸化合物の金属酸化物微粒子表面における分散性の向上が、より顕著となる。即ち、問題点−1及び問題点−2をより顕著に改善できる。この観点から、エステル基、エーテル基、アミド基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸であるとより好ましい。なお、エステル基、エーテル基からなる群より選ばれる1以上の置換基を有するカルボン酸がもっとも好ましい。この理由は、原料の供給安定性である。即ち、本発明のレジスト組成物を、需要変動に対して適度に製造可能となる。
第1カルボン酸化合物、又は第2カルボン酸化合物に関し、炭素数はそれぞれ、8〜30であるとよい。この範囲であれば、ナノ粒子の表面の親水性と疎水性のバランスを保ちやすく、ナノ粒子の多次凝集を抑制しやすい。この観点から、10〜20がより好ましい。
第1のカルボン酸化合物又は第2のカルボン酸化合物のカルボキシル基に関し、α炭素は2級炭素、3級炭素、4級炭素、或いは芳香族炭素のいずれであってもよい。また第1カルボン酸化合物のカルボキシル基の数は、1以上である。特に、3以下であることで、ナノ粒子を製造する際の、ナノ粒子の架橋凝集を抑制できるため好ましい。この観点から、2以下がより好ましい。なお、最も好ましくは1である。この場合、第1及び第2のカルボン酸化合物を有する金属酸化物微粒子の分散度が飛躍的に向上する。よって、環境温度や環境湿度、また、塗布後の乾燥温度とったパラメータに対する分散に係るロバストネス性が飛躍的に向上し、問題点−1がより効果的に解消される。更には、マスクパタン2の第1層Cにおける、ナノ粒子の分散度が高まる。換言すれば、ナノ粒子は均等に分散し、マスクパタン2の第1層Cを構成する。よって、加工精度が向上し、問題点−2を解消しやすくなる。
ナノ粒子Zを使用することで、上述したように、問題点−1及び問題点−2をより効果的に解消できる。特に、第1カルボン酸化合物も、エネルギ線反応基を有することで、ナノ粒子間の結合密度をより高くすることが出来る。このため、特に、問題点−2を解決しやすい。エネルギ線反応基としては、既に説明した通りである。特に、ナノ粒子Zの場合、エネルギ線反応基は、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上であるとよい。これにより、ナノ粒子間のネットワーク密度を向上できる。更に、アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上であると最もよい。これにより、硬化前におけるナノ粒子Zの紛体化を抑制しやすい。即ち、レジスト組成物のレベリング性が向上する。レジスト組成物を塗布した際の膜面の均質性が向上する。
例えば、第1のカルボン酸化合物として、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸や2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などの脂環式カルボン酸が挙げられる。第2のカルボン酸化合物として、アクリル酸、メタクリル酸、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸或いは2−アクリロイロキシエチルコハク酸などのC3−9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1−6アルキルアルコールによるハーフエステル類や、2−アクリロイロキシエチルフタル酸或いは2−メタクリロイロキシエチルフタル酸などのC8−14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1−6アルキルアルコールによるハーフエステル類などが挙げられる。
金属酸化物微粒子の表面を修飾する第1カルボン酸化合物と第2カルボン酸化合物の質量比は、第1カルボン酸化合物:第2のカルボン酸化合物=1:99〜99:1である。これにより、金属酸化物微粒子表面の表面ゼータ電位の調整が良いとなり、上述した分散効果が得やすくなる。中でも、70:30〜30:70が最もよい。この場合、ナノ粒子と溶剤及び、ナノ粒子とエネルギ線反応分子の親和性が向上し、レジスト組成物におけるナノ粒子の分散安定性が飛躍的に向上する。よって、上述したように、問題点−1及び問題点−2を解消しやすくなる。
第1カルボン酸化合物及び第2カルボン酸火化合物を金属酸化物微粒子の表面に修飾する方法としては、例えば、第3カルボン酸化合物により表面修飾した金属酸化物微粒子に対し、エステル交換を実施して、第1カルボン酸化合物及び第2カルボン酸化合物を導入できる。第3カルボン酸化合物は特に限定されないが、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸(直鎖状脂肪族カルボン酸)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状脂肪族カルボン酸)、或いは環状カルボン酸(脂環式カルボン酸)であるカルボン酸基を有する炭化水素類を好適に使用できる。特に、ナノ粒子の表面修飾効率を向上させる観点から、第3カルボン酸化合物として、炭素数4〜20の直鎖状カルボン酸(直鎖状飽和脂肪族カルボン酸)、分枝鎖状カルボン酸(分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸など)、或いは環状カルボン酸(不飽和二重結合のない脂環式カルボン酸)であるカルボン酸基を有する炭化水素類が好ましい。例えば、直鎖状カルボン酸として、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などが挙げられる。分枝鎖状カルボン酸として、ピバリン酸、2,2−ジメチル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、2,2−ジメチル吉草酸、2,2−ジエチル酪酸、3,3−ジエチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、2−メチルヘプタン酸、4−メチルオクタン酸、ネオデカン酸などが挙げられる。環状カルボン酸として、ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。なお、第3カルボン酸化合物は、1種以上を使用できる。
金属酸化物微粒子の表面を修飾する第1、第2、第3カルボン酸化合物の質量比は、第1カルボン酸化合物及び第2カルボン酸化合物の合計量:第3カルボン酸化合物=1:99〜99:1が好ましい。これにより、第3カルボン酸化合物を利用したエステル交換を好適に実行でき、第1及び第2カルボン酸化合物の表面修飾性が改善する。よって、問題点−1及び問題点−2を解決するナノ粒子を製造できる。特に、70:30〜95:5が最も好ましい。これにより、ナノ粒子表面のゼータ電位の調整や、親水性/疎水性のバランス調整が容易となる。即ち、環境温度や環境湿度、また、塗布後の乾燥温度とったパラメータに対する分散に係るロバストネス性が飛躍的に向上し、問題点−1がより効果的に解消される。更には、マスクパタン2の第1層Cにおける、ナノ粒子の分散度が高まる。換言すれば、ナノ粒子は均等に分散し、マスクパタン2の第1層Cを構成する。よって、加工精度が向上し、問題点−2を解消しやすくなる。
本実施の形態のレジスト組成物は、含水率が0.0015wt.%以上5wt.%以下であることが好ましい。
このように、レジスト組成物は水を含有できる。このとき、含水率は0.0015wt.%以上5wt.%以下である。0.0015wt.%以上であることで、モールドのパタンへの充填性がより改善する。これにより、マスクパタン2のパタンの凸部形状が改善する。よって、第1層C越しに第2層Dをエッチングした際の、第2層Dの形状精度が飛躍的に改善し、基材1に形成されるテクスチャ4の精度が改善する。特に、0.015wt.%以上であるとより好ましい。この場合、モールドのパタンの内部における水による形状補正効果が大きくなると考えられる。より具体的に、水は表面張力が非常に高く球体になりやすい。モールドのパタンに対する塗布の乾燥過程では、徐々に濃度が高まる。これは、レジスト組成物のモビリティが低下することを意味する。しかしながら、水の高い表面張力により、熱力学的な確率論として部分的にモールドの側壁にへばりつく様なレジスト組成物の不揮発成分を球体化する作用が発現され、真円度が改善すると考えられる。同様の観点から、0.005wt.%以上がより好ましい。0.015wt.%以上であれば、塗布し乾燥する段階で、レジスト組成物が水の高い表面張力を利用して球体化する作用が更に増す。これにより、マスクパタン2のパタン精度がより改善し、基材1に形成されるテクスチャ4の形状精度がより向上する。同様の観点から、0.013wt.%以上が最も好ましい。
5wt.%以下であれば、乾燥過程におけるレジスト組成物の相分離を抑制でき、問題点−1が改善する。この効果から、3wt.%以下がより好ましい。1wt.%以下であれば、マスクパタンに対する残留水を抑制できるので、問題点−2が改善する。同様の観点化ら、0.5wt.%以下が最も好ましい。
また本実施の形態におけるレジスト組成物は、溶剤を含有し、溶剤は、20℃における蒸気圧が4kPa以上35kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が10mN/m以上24mN/m以下の溶剤を、含むことが好ましい。
レジスト組成物は、ナノ粒子やエネルギ線反応分子等が溶剤に希釈された形態をとることができる。溶剤としては、20℃における蒸気圧が4kPa以上35kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が10mN/m以上24mN/m以下の溶剤を、少なくとも選択するとよい。この範囲を満たすことで、問題点−1及び問題点−2が改善される。特に蒸気圧が所定範囲であり、乾燥効率が高まるため、問題点−2が改善する。そして、表面張力の範囲により、塗布開始時のレベリング性が向上するため、塗布斑が低減し、問題点−1が改善する。同様の効果から、20℃における蒸気圧が4kPa以上30kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が13.5mN/m以上23.5mN/m以下の溶剤を、少なくとも選択するとよい。なお、以下の説明と区分するため、ここで記述した溶剤を溶剤種Aと記載する。
また本実施の形態では、20℃における蒸気圧が0.1kPa以上2.0kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が26mN/m以上45mN/m以下の溶剤を、更に含むことが好ましい。上記の範囲を満たすことで、問題点−1がより改善される。特に蒸気圧が所定範囲であり、塗布と乾燥の間におけるレベリング性が向上するため、塗布斑が低減し、問題点−1が改善する。そして、表面張力の範囲により、レジスト組成物が乾燥過程にて球体化する作用が増す。これにより、マスクパタンのパタン精度がより改善し、基材に形成されるテクスチャの形状精度がより向上する。同様の効果から、20℃における蒸気圧が0.5kPa以上2.0kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が26mN/m以上40mN/m以下の溶剤を、少なくとも選択するとよい。なお、ここで記述した溶剤を溶剤種Bと記載する。
溶剤種Aと溶剤種Bと、は適宜混合できる。溶剤種Aを2種以上混合しても、溶剤種Bを2種以上混合しても、溶剤種Aと溶剤種Bとを2種以上混合してもよい。溶剤種A:溶剤種B=0.5g:99.5g〜99.5g:0.5gの範囲で適宜設計すればよい。
また、レジスト組成物の濃度は、特に限定されず、レジストマスクパタンに応じて設計できる。濃度は、0.1wt.%〜50wt.%が通常である。
また本実施の形態では、20℃における粘度が、0.5cP以上100cP以下であることが好ましい。
レジスト組成物の粘度は、0.5cP以上100cP以下であるとよい。これにより特に問題点−1が改善する。100cP以下であることで、レジスト組成物のレべリング性が向上し、塗膜面が均等となる。よって、問題点−1を抑制しやすい。この観点から、50cP以下がより好ましく、25cP以下が最も好ましい。一方で、0.5cP以上により、レジスト組成物塗布する際の、液切れや空気同伴を抑制し、膜面を均等に保つことができる。よって、問題点−1が改善しやすい。この観点から、レジスト組成物の粘度は、0.9cP以上がより好ましい。
また本実施の形態では、レジスト組成物の透過率が、40%以上100%未満であることが好ましい。100%未満であることで、ナノ粒子の自己凝集性が高まる傾向があり、問題点−2の改善効果を見込みやすい。一方で、40%以上であることにより、塗膜の均等化がはかりやすく、問題点−1を改善しやすい。これらの観点から、50%以上95%以下がより好ましく、60%以上90%以下が最も好ましい。
エネルギ線反応分子は、紫外線に代表される光や、IRに代表される熱線を照射することで重合する分子である。エネルギ線反応分子を含有することで、マスクパタンを作るナノ粒子は互いに連結或いは、包埋されるため、ドライエッチング時の破壊耐性が向上する。よって、問題点−2が改善する。この観点から、エネルギ線反応分子が有するエネルギ線反応基は、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基、アリル基、ジオキタセン基、シアノ基、イソシアネート基及びチオールからなる群の少なくとも1以上のエネルギ線反応基であるとよい。特に、重合による結合力を高め、ドライエッチング時の破壊耐性をより高める観点から、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基、カルボニル基、アミノ基及びイソシアネート基からなる群の少なくとも1以上のであるとよりよい。なお、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、カルボキシル基及びカルボニル基からなる群から選ばれる少なくとも1以上であれば、上記にて説明したナノ粒子とのクロスリンキングの結合力が向上し、問題点−2の改善効果が高まるためよりよい。最も好ましくは、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、からなる群から選ばれる少なくとも1以上である。なお、エネルギ線反応分子のエネルギ線反応基と、ナノ粒子の具備するエネルギ線反応基とは、同一でも異なっていても良い。特に、いずれもラジカル重合系のエネルギ線反応基を具備すると、ナノ粒子のエネルギ線反応分子に対する分散性が向上すると共に、エネルギ線反応分子とナノ粒子の結合力が向上するため好ましい。
エネルギ線反応分子は、単一のエネルギ線反応基を有しても、複数種有してもよい。エネルギ線反応分子は、単一のエネルギ線反応分子から構成されても良いし、複数のエネルギ線反応分子より選択されてもよい。複数の場合、選択数は10以下がよい。10種以下であることで、ナノ粒子との相溶性を制御し、問題点−1を改善しやすくなる。また、重合斑を低減し、ドライエッチング時の破壊耐性を向上させる観点から5種以下がより好ましく、3種以下が最も好ましい。
エネルギ線反応分子の平均官能基数は、1.3以上6.5以下がよい。1.3以上であることにより、結合力が控除して、問題点−2が改善される。6.5以下であることで、ナノ粒子の分散性が向上し、問題点−1及び問題点−2が改善される。これらの観点から、1.5以上5.5以下がより好ましく、1.5以上4.5以下が最も好ましい。
エネルギ線反応分子としては、公知一般のアクリレート、メタクリレート、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート等から適宜選択できる。なお、選択の際には、上記にて説明した好ましいエネルギ線反応基や、好ましい平均官能基数を考慮するとよい。
また本実施の形態のレジスト組成物には、高分子を添加できる。添加する高分子としては、上記にて説明したエネルギ線反応基を有する高分子、或いは/及び、ナノ粒子と静電相互作用を形成する高分子が好ましい。なお静電相互作用に水素結合を含める。これにより、高分子と、の界面の接着強度が向上するため、問題点−2を改善できる。なお、上記にて説明したエネルギ線反応基を有する高分子、及びナノ粒子と水素結合を形成する高分子以外の高分子を添加することもできるが、この場合、添加量はナノ粒子に対して20%以下であるとよい。これにより、ナノ粒子と高分子と、の界面の接着強度を維持できるためである。添加できる高分子の分子量は、500以上1,000,000以下であることが好ましい。
また本実施の形態におけるレジスト組成物は、光重合開始材や熱重合開始材に代表されるエネルギ反応開始材を含有できる。その濃度は、レジスト組成物の個体分に対して、0.1wt.%以上15wt.%以下が好ましい。これにより、上記説明したエネルギ線反応分子やエネルギ線反応基にかかる効果を、発揮できる。エネルギ線反応分子の反応斑を低減する観点から、0.5wt.%以上10wt.%以下がより好ましい。例えば、公知一般のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、又はアニオン重合開始剤を使用できる。これらは組み合わせて使用することもできる。また、アゾ化合物に代表される熱重合開始剤を添加することも出来る。その他にも、光増感剤、CT錯体、溶解抑止剤、PAC(Photo Active Compound)又は光酸発生剤(PAG)等を添加できる。なお、ラジカル重合開始剤とは、不飽二重結合のラジカル重合を用いるものであり、カチオン重合開始剤とは、エポキシ、オキセタン、又はビニルエーテル等のイオン重合を用いるものである。ラジカル重合開始剤としては、ベンジルケタール型光重合開始剤、α−ヒドロキシアセトフェノン型光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン型光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型光重合開始剤、O−アシルオキシム型光重合開始剤等が挙げられる。カチオン重合開始剤としては、例えば、トリアリールスルホニウム塩(TAS)やジアリールヨウドニウム塩(DAS)に代表されるオニウム塩が挙げられる。
またレジスト組成物に酸化防止剤を含むことが出来る。これにより、レジスト組成物の安定性が向上する。ここで、酸化防止剤は光安定剤であることが好ましい。光安定剤は、ラジカル連鎖開始阻止剤、ラジカル捕捉剤、過酸化物分解剤に分類でき、いずれも採用できる。ラジカル連鎖開始阻止剤は、更に、重金属不活性化剤と紫外線吸収剤に分類でき、重金属不活性化剤には主にヒドラジド系とアミド系があり、紫外線吸収剤には主にベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、そしてトリアジン系等がある。これらの中では紫外線吸収剤がより好ましい。紫外線吸収剤を含ませることにより、レジスト組成物を光学的に安定化できるため、使用に好適な場所にて使用できる。また、ラジカル捕捉剤は、ヒニダードアミン系光安定剤(HALS)及びフェノール系酸化防止剤に分類できる。これらの酸化防止材は公知一般のものを使用できる。例えば、メチルヒドロキノン(MHQ)、t−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、4−メトキシナフトール(4MN)、1,4−ベンゾキノン(PBQ)、メトキノン(MQ)、4−ヒドロキシTEMPO(OH−TEMPO)、1,4−ナフトキノン(NQ)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩(N−Al)、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
また、レジスト組成物には、必要に応じて可塑剤等の添加剤を含有してもよい。例えば、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル類やp−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
また、レジスト組成物には、反応補助剤を添加してもよい。これにより、レジスト組成物の反応率がより向上することから、マスクパタンの強度が向上する。よって、問題点−2の改善効果が高まる。反応補助剤とは、レジスト組成物の反応を促進させる機能を果たすものである。例えば、レジスト組成物が光ラジカル反応や光カチオン反応により硬化する場合、反応補助剤を加えることで、レジスト組成物の反応率を向上させることが出来る。このような反応補助剤としては、特に限定されるものではないが、チオール化合物が挙げられる。チオール化合物としては、特に限定されないが、1分子内にチオール基が2以上あるものが好ましく、4以上あるものが最も好ましい。多官能チオールとして、チオール基を1分子内に2つ具備するものとしては、例えば、昭和電工社製のカレンズ(登録商標)MT BD1が、4つ具備するものとしてカレンズ(登録商標)MT PE1が挙げられる。その他にも、アルコキシシリルアルキルチオールを添加して、レジスト組成物中の多官能(メタ)アクリレートと反応させることも出来る。
またレジスト組成物に染料、顔料等の着色物質を含むことが出来る。このような着色物質を含むことで、第1層塗膜の精密な管理が容易となる。このため、工業的な品質管理が向上する。また、ロイコ染料やフルオラン染料と、ハロゲン化合物と、の組み合わせに代表される発色系染料等も使用できる。中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォンとロイコ染料との組み合わせや、トリアジン化合物とロイコ染料との組み合わせ等が有用である。
またレジスト組成物に界面活性剤を添加できる。界面活性剤を含むことで、塗膜のレベリング性が向上し、問題点−1を解消しやすい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤から適宜選択できる。中でも、ノニオン性界面活性剤がレベリング性の観点から好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、エステル型、エーテル型、或いはエステル・エーテル型から選択するとよい。界面活性剤の添加量は、レジスト組成物に対して、0.01wt.%以上5wt.%以下が好ましい。
またレジスト組成物は、金属微粒子、半導体粒子、或いは有機微粒子を含有してもよい。この場合、モールドMに充填された第1層Cの硬度を調整できるので、マスクパタン2の転写性を調整できる。金属微粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、シリコン(Si)、コバルト(Co)、FePt合金、CoPt合金等が挙げられる。半導体粒子としては、II−IV半導体粒子であるCdSe、CdS、CdTe、ZnSe,ZnO等、III−V半導体微粒子であるInP、InAs、IV−VI半導体微粒子であるPbSe等が挙げられる。有機微粒子としては、ポリスチレン(PS)、カーボン、メソポーラスカーボン、フラーレン、多層カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
2層レジスト法を適用し、基板を加工して、テクスチャを形成した。この時、第1層の成膜環境をパラメータに設定し、第1層の成膜状況(問題点−1)と第1層のドライエッチング耐性(問題点−2)を評価した。
パタンを具備するモールドを、ロール・ツー・ロールの光ナノインプリント法を適用して、製造した。幅は500mm、長さは180mである。層構成としては、厚み50μmのPETフィルムの易接着面上に厚み1.1μmの転写層がある構成であり、転写層の表面に光ナノインプリント法にて転写されたパタンがある。転写層はフッ素含有樹脂であり、フッ素添加材がパタンの表面からPETフィルム側へと、濃度勾配を有しており、濃度は減少するように設計されている。ここでのパラメータは、製造したモールド反物を保管する環境であり、特に、季節因子を模擬するために、湿度を選択した。モールド反物を3本準備し、それぞれを、湿度42%、湿度55%、湿度91%の保管庫に1週間保管してから、そのまま使用した。
次に、モールドのテクスチャに対して、第1レジストを、ダイコート法にて成膜した。実験には、以下のパラメータからなるレジスト組成物を用いた。なお、物質名に末尾の括弧内数値が、固形分と溶剤のそれぞれに対する混合比を示す。
[実施例1]
(固形分)
ナノ粒子:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(100g) 平均粒径は13nm
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
ナノ粒子:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(100g) 平均粒径は13nm
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[実施例2]
(固形分)
ナノ粒子:ビニル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(100g) 平均粒径は15nm
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
ナノ粒子:ビニル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(100g) 平均粒径は15nm
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[実施例3]
(固形分)
ナノ粒子:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(90g) 平均粒径は12nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(6g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(4g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール (6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
ナノ粒子:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(90g) 平均粒径は12nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(6g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(4g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール (6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[実施例4]
(固形分)
ナノ粒子:ジルコニアナノ粒子(60g) 平均粒径は20nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(24g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(16g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
2プロロパノール(50g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
ナノ粒子:ジルコニアナノ粒子(60g) 平均粒径は20nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(24g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(16g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
2プロロパノール(50g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[実施例5]
(固形分)
ナノ粒子:ジルコニアナノ粒子(95g) 平均粒径は20nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(3g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(2g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
2プロロパノール(60g)、メチルエチルケトン(30g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
ナノ粒子:ジルコニアナノ粒子(95g) 平均粒径は20nm
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(3g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート(2g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
2プロロパノール(60g)、メチルエチルケトン(30g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[比較例1]
(固形分)
無機前駆体:ジルコニウム−tert−ブトキシド(100g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
無機前駆体:ジルコニウム−tert−ブトキシド(100g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[比較例2]
(固形分)
無機前駆体:ジルコニウム−tert−ブトキシド(95g)
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(3g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、(2g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
無機前駆体:ジルコニウム−tert−ブトキシド(95g)
エネルギ線反応分子:エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(3g)、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、(2g)
エネルギ反応開始材:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(2.5g)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(1.0g)
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
[比較例3]
(固形分)
無機前駆体:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(95g) 平均粒径は12nm
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
(固形分)
無機前駆体:アクリロイル基を有する修飾材にて表面修飾したジルコニアナノ粒子(95g) 平均粒径は12nm
(溶剤)
1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン(30g)、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)(20g)、メチルエチルケトン(40g)、アニソール(6g)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(4g)
上記のように各比較例では、実施例と異なり、ナノ粒子の代わりに、無機前駆体を使用した。
上記の実施例1〜5及び比較例1〜3に記載した固形分を、記載した溶剤に濃度5wt.%にて溶解させた。そして、1晩攪拌し、0.1μmのPTFEフィルタにて濾過し、塗液とした。塗布は、ダイコート法にて実施した。塗布の速度は5m/分とし、ドライ膜厚が120nm〜150nmになるように、吐出量を調整した。塗布後に、120℃のエアを吹き付け乾燥させ、その後、巻き取り回収した。ここでのパラメータは、季節変動を模擬するために、湿度とした。塗布時に、40〜50%、50〜60%、70〜85%になるようにそれぞれ調整した。モールドの保管環境と塗布環境と、でパラメータの組み合わせは9通りである。
評価の1つ目は、問題点−1に対するものである。上記の方法にてレジスト組成物を塗布し、乾燥炉を通過した塗膜面を、単色光の光源を利用し、目視にて観察した。白化し濁りを有するケースが不合格、透明な膜面を有するケースが合格である。表2には、9つのパラメータに対する合格数を、X/9(X:0〜9)として記載した。
次に、1層目のレジストの充填されたモールドに対して、第2層目のレジストを成膜した。以下、混同を避けるために、2層目のレジストを第2レジストとし、既に成膜した1層目のレジストを第1レジストと称す。
第2レジストの成膜方法は、第1レジストの場合と同様であり、塗布環境は、40%〜50%の湿度となるように調整した。即ち、第2レジストについては、実験条件としてのパラメータは無く、パラメータは先述の9つのみである。
第2レジストは、アクリロイル基を側鎖に具備するノボラック樹脂であり、表面張力が25.0mN/m以下の溶剤にて希釈し、塗液とした。乾燥は、105℃にて行った。乾燥後、ヘーズ(濁度)が10%以下のPE/EVA保護フィルムを貼り合わせ、巻き取り、回収した。第2レジストが、モールドのパタン及び第1レジストを平坦化するように成膜できていることを、走査型電子顕微鏡を利用し確認した。製造した第1レジスト及び第2レジストの成膜されたモールドを、以下、2層レジストテクスチャシートと称す。
製造した2層レジストテクスチャシートを使用して、サファイアの主面上に、第1レジスト及び第2レジストからなる2層レジスト層を転写付与した。
4インチの片面鏡面のc面サファイアを準備し、洗浄した。続いて、サファイアを120℃のヒートテーブル上に配置した。次に、2層レジストテクスチャシートを、120℃に加温したラミネートロールを使用して、サファイアに貼り合わせた。貼り合わせは、0.5MPaの圧力で、線速50mm/秒にて行った。2層レジストテクスチャシートの貼り合わせられたサファイアに対して、サファイア越しに紫外線を照射した。紫外線は、波長365nmのUV−LED光源より照射されたもので、積算光量が1500mJ/cm2になるように設定した。次に、120℃に加熱した2枚の並行平板で、2層レジストテクスチャシートとサファイアを挟み込んだ。挟み込みの圧力は0.3MPaとし、時間は10秒とした。続いて、空冷にて室温まで冷却し、2層レジストテクスチャシートをサファイアより、50mm/秒の速度で剥離した。以上の操作により、サファイアの主面上に、第1レジストと第2レジストを転写付与した。
次に、エッチングを行った。まず、酸素ガスを使用し、第1レジストをマスクに第2レジストをエッチングした。エッチングは、サファイアが部分的に露出するまで行った。エッチング条件は、処理ガス圧1Pa、処理電力300Wの条件とした。続いて、第2レジストをマスクにサファイア基板をエッチングした。ここでは、BCl3ガスとCl2ガスと、の混合ガスを使用した反応性イオンエッチングを行った。処理条件としては、ICP:150W、BIAS:50W、圧力0.2Paとした。
エッチング加工したサファイアを取り出し、硫酸及び過酸化水素水を2:1の重量比にて混合したSPM溶液にて洗浄した。処理液の温度は、100℃以上に制御した。以上の操作を経て、基板にテクスチャを形成した。
2つめの評価は、問題点−2に相当するもので、エッチングにおける第1レジストの耐性である。
上記の説明に関し、酸素ガスを使用したエッチングプロセスが終了した段階で、続く塩素系ガスによるエッチングを実施せずにチャンバーを開放し、基板を取り出した。第1レジスト面側から、走査型電子顕微鏡観察を実施し、評価を行った。図5A及び図6A(図6は、図5の模式図である)に示すように、第1レジストが破壊されていた場合を不合格、図5B及び図6Bに示すように形状を維持し非破壊の場合を合格とした。表2には、9つのパラメータに対する合格数を、X/9(X:0〜9)として記載した。表2に、実施例1〜5及び比較例1〜3の結果をまとめた。
表2には、レジスト組成物の情報として、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、の混合割合を計100として記載した。また、比較例用に、ナノ粒子の代わりに使用した無機前駆体の欄も設けた。また、結果として試験欄を作り、これを、問題点−1を試行した評価1と、問題点−2を試行した評価2に分類した。
また、評価1と評価2の結果を総合した、総合結果も記載した。総合結果は、評価1のX/9と評価2のX/9と、の積である。評価1も評価2も9/9であれば、総合評価には1.00の値が記入される。
表2より、金属酸化物微粒子の表面にエネルギ線反応基を有するナノ粒子を含有するか、或いは、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、を同時に含有するレジスト組成物を使用することで、問題点−1と問題点−2に対し顕著な効果を発揮しているとわかる。問題点−1に対しては、金属酸化物微粒子であるナノ粒子を含有することで、湿度に代表される外来因子に対するロバストネス性は飛躍的に向上したためと考えられる。問題点−2に対しては、エッチング耐性の高い金属酸化物微粒子が互いに連結、或いは、包埋されたためと考えられる。よって、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できるといえる。特に、金属酸化物微粒子の表面にエネルギ線反応基を有するナノ粒子を使用する場合、未修飾のナノ粒子を使用する場合に比べ、問題点−2に対する効果がより優れることがわかった。これは、実施例4及び実施例5における未修飾のナノ粒子の分散性が、実施例1〜3のエネルギ線反応基を有するナノ粒子の分散性に劣ることが原因と推定される。即ち、マスクパタン2の第1層C内部におけるナノ粒子の分散性は、実施例1〜実施例3の方が実施例4及び実施例5よりもよいため、結果に差がでたと考えられる。
以上より、本願のより好ましい形態は、ナノ粒子は、エネルギ線反応基を有する金属酸化物微粒子であることと言える。
実施例1〜3を比較すると評価結果に差はないことがわかった。しかしながら、以下のような違いが見られた。すなわち、実施例1〜3の平坦膜をスピンコートにて作成し、光硬化したのちに、反応率を測定した。反応率は、実施例1と実施例2が60%前後であるのに対し、実施例3では88%まで向上していた。実施例3のナノ粒子とエネルギ線反応分子と、の割合を80:20にしたところ、反応率は95%であった。以上から、ナノ粒子が、エネルギ線反応基を有する場合であっても、エネルギ線反応分子を含有することがより好ましい。また、ナノ粒子とエネルギ線反応分子との合計100重量部に対して、エネルギ線反応分子は5重量部以上含有すれば、より好ましいといえる。
以上より、本願のより好ましい形態は、レジスト組成物においては、ナノ粒子はエネルギ線反応基を有する金属酸化物微粒子であること、及び、エネルギ線反応分子を含有すること、と言える。
次に、ナノ粒子の粒径について調査した。実施例1にて使用したレジスト組成物に関し、ナノ粒子をパラメータにとり、上記試験を実施した。なお、塗液作成時の濾過に関し、比較例のみ、フィルタを0.5μmに変更した。結果を実施例6〜9及び比較例4〜5として、以下の表3にまとめた。表3より、平均粒径が150nmの比較例4と、200nmの比較例5では、評価2の結果が低下している。これは、高湿度環境に由来する吸着水により、ナノ粒子の凝集が促進されるが、マスクパタン2の第1層Cの密度が低下したことに由来すると考えられる。実際のプロセスには適用できないが、ガラスにて作成したモールドに対し同様の作業を実施し、500℃で加熱することで、評価結果が改善した。このことから、吸着水或いは吸湿水による影響と推察される。いずれにしても、粒径が100nm以下であることで、季節変動やモールドの履歴といった因子に左右されずに、所望のテクスチャを、高精度に、基材に加工形成できるといえる。
以上より、本願のより好ましい形態は、ナノ粒子の粒径は、100nm以下であることと言える。特に、実施例1〜9の結果全てを反映させれば、レジスト組成物においては、ナノ粒子はエネルギ線反応基を有する粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子であること、及び、エネルギ線反応分子を含有すること、がより好ましい形態といえる。
次に、より好適なレジスト組成物を探索すべく、含水率について調査した。実施例5のレジスト組成物に関し、溶剤を変更し、含水率を調整した。また、一部、水を添加し、含水率を調整した。
実施例10では、アニソールと無水アセトンと、を混合し、含水率を0.0012wt.%に調整した。
実施例11では、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、ハイドロフルオロエーテル(C4F9OCH3)と、を混合し、含水率を0.015wt.%に調整した。
実施例12〜14では、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトンと、を混合し、含水率を0.13wt.%、0.17wt.%、0.21wt.%に調整した。
実施例15、16では、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、水と、を混合し、含水率を0.88wt.%、5.2wt%に調整した。
評価は2つ実施した。まず、問題点−1にかかる塗布に関し、更なる品位改善を目指すために、塗膜面を評価した。塗膜面が透明であるのが大前提であり、この中で、膜面に円状の干渉斑があるかを判断した。
次に、問題点−2にかかるエッチング耐性に関し、更なる品位改善を目指すために、エッチング後の真円度を評価した。結果を以下の表4に記載した。
表4より、塗膜面の観点から、含水率を5.2%より低くするとよいことがわかった。一方で、ドライエッチングの加工精度の観点から、0.0012wt.%超にするとよりよいことがわかった。まず、含水率が高すぎる場合、乾燥工程において、表面張力が非常に高い水が残り、水によるナノ粒子の凝集が進行する。これは、レジスト組成物の固体分の膜厚斑になるため、干渉縞が形成されたと推定される。一方で、含水率が低すぎる場合、モールドのパタンの内部における水による形状補正効果が低いと推定される。より具体的に、水は表面張力が非常に高く球体になりやすい。モールドのパタンに対する塗布の乾燥過程では、徐々に濃度が高まる。これは、モビリティが低下することを意味する。即ち、熱力学的な確率論として、部分的にモールドの側壁にへばりつく様なレジスト組成物が存在する。これにより真円度が低下する。しかしながら、水は蒸気圧が低い。よって、乾燥後期まで残存し、そして、高い表面張力を有する。即ち、乾燥後期にて、パタンの内部にて、レジスト組成物を球体化する作用が発現され、真円度が改善すると考えられる。
以上より、本願のより好ましい形態は、レジスト組成物の含水率は、0.0015wt.%以上5wt.%以下といえる。実施例1〜16を全て加味すれば、レジスト組成物においては、ナノ粒子はエネルギ線反応基を有する粒径が100nm以下の金属酸化物微粒子であること、エネルギ線反応分子を含有すること、そして、含水率が0.0015wt.%以上5wt.%以下であること、がより好ましい形態といえる。
本発明におけるレジスト組成物を、例えば、ナノインプリントにて好適に用いることができる。
1 基材
2 マスクパタン
2a、2b 残膜
3 レジスト層
4 テクスチャ
C 第1層
D 第2層
M モールド
2 マスクパタン
2a、2b 残膜
3 レジスト層
4 テクスチャ
C 第1層
D 第2層
M モールド
Claims (10)
- レジスト組成物であって、
前記レジスト組成物は、ナノ粒子とエネルギ線反応分子と、を含み、
前記ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である金属酸化物微粒子であることを特徴とするレジスト組成物。 - レジスト組成物であって、
前記レジスト組成物は、ナノ粒子を含有し、
前記ナノ粒子は、平均粒径が5nm以上100nm以下である、エネルギ線反応基を表面に具備する金属酸化物微粒子であることを特徴とするレジスト組成物。 - 含水率が0.0015wt.%以上5wt.%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
- 前記ナノ粒子は、脂環構造を有する第1カルボン酸化合物、及びエネルギ線反応基を有する第2カルボン酸化合物の少なくとも2種のカルボン酸化合物により、少なくとも表面の一部が被覆された前記金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
- 溶剤を含有し、前記溶剤は、20℃における蒸気圧が4kPa以上35kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が10mN/m以上24mN/m以下の溶剤を、含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物
- 20℃における蒸気圧が0.1kPa以上2.0kPa以下であり、且つ20℃における表面張力が26mN/m以上45mN/m以下の溶剤を、更に含むことを特徴とする請求項5に記載のレジスト組成物。
- 前記レジスト組成物の不揮発分に対して、前記ナノ粒子は50wt.%以上99wt.%以下含有されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物
- 前記ナノ粒子は、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄II(FeO)、酸化鉄III(Fe2O3)、酸化銅I(Cu2O)、酸化銅II(CuO)、酸化コバルトII(CoO)、酸化コバルトIII(Co2O3)、四酸化三コバルト(Co3O4)、酸化セリウムIV(CeO2)、酸化シリコン(SiO2)、酸化錫II(SnO)、酸化錫IV(SnO2)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、及び、アンチモンドープ酸化錫(ATO)から成る群より選択される1以上の金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
- 透過率が40%以上100%未満であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
- 20℃における粘度が、0.5cP以上100cP以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレジスト組成物。
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