JP2017072802A - 半導体光偏向器及び半導体光スイッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】光偏向器に印加される電圧から強度の大きな電界を生成可能な半導体光偏向器を提供する。【解決手段】第1導電型の第1半導体領域31を含む第1クラッド層30、第2導電型の第11半導体領域51と第11半導体領域51より大きな比抵抗を有する分離領域60とを含む第2クラッド層50、及び第1クラッド層30と第2クラッド層50との間に設けられたコア層40を備える積層体20と、第1クラッド層30に電気的に接続された第1電極70と、第2クラッド層50の第11半導体領域51に電気的に接続された第11電極71と、第1クラッド層30、コア層40及び第2クラッド層50を搭載する主面10Aを有する基板10と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、半導体光偏向器及び半導体光スイッチに関する。
非特許文献1は、半導体光偏向器を開示する。この半導体光偏向器は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)の電気光学効果を用いた光偏向器を備える。
D. Djukie, et al., "Low-voltage planar-waveguide electrooptic prism scanner in Crystal-Ion-Sliced thin-film LiNbO3" Optics Express, USA, Dec. 2004, Vol.12, No.25, pp.6159.
電気光学材料を用いた光偏向部品を含む光偏向器は、印加された電界の大きさに応じて入射光の偏向角度を増大させる。電気光学材料としてLiNbO3を用いた光偏向器では、加工技術の制約によって、LiNbO3の厚みの下限は10μm程度であり、この大きな下限値に起因して、偏向角度を増大させるためには高い電圧を光偏向器に印加する必要がある。
本発明の一側面は、光偏向器に印加される電圧から強度の大きな電界を生成可能な半導体光偏向器を提供することを目的とする。本発明の別側面は、上記の半導体光偏向器を用いた半導体光スイッチを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る半導体光偏向器は、第1導電型の第1半導体領域を含む第1クラッド層、第2導電型の第11半導体領域と前記第11半導体領域より大きな比抵抗を有する分離領域とを含む第2クラッド層、及び前記第1クラッド層と前記第2クラッド層との間に設けられたコア層を備える積層体と、前記第1クラッド層に電気的に接続された第1電極と、前記第2クラッド層の前記第11半導体領域に電気的に接続された第11電極と、前記第1クラッド層、前記コア層及び前記第2クラッド層を搭載する主面を有する基板と、を備え、前記積層体は、導波路軸の方向に延在し所定の幅を有する導波領域を含み、前記第11半導体領域は、前記導波路軸に対して第11角度で交差する第11軸に沿って延在する第11境界を有し、前記第11半導体領域及び前記分離領域は、前記導波路軸に対して第12角度で傾斜した第12軸に沿って延在する第12境界を成しており、前記第12角度は鋭角及び鈍角の一方である。
本発明の別側面に係る半導体光スイッチは、上記の一側面に係る半導体光偏向器と、前記半導体光偏向器に光学的に結合される入力光導波路と、前記半導体光偏向器に光学的に結合される複数の出力光導波路と、を備える。
以上説明したように、本発明の一側面は、光偏向器に印加される電圧から強度の大きな電界を生成可能な半導体光偏向器を提供することすることができる。本発明の別側面は、上記の半導体光偏向器を用いた半導体光スイッチを提供することができる。
引き続き、いくつかの具体例を説明する。本発明の一側面に係る半導体光偏向器は、第1導電型の第1半導体領域を含む第1クラッド層、第2導電型の第11半導体領域と前記第11半導体領域より大きな比抵抗を有する分離領域とを含む第2クラッド層、及び前記第1クラッド層と前記第2クラッド層との間に設けられたコア層を備える積層体と、前記第1クラッド層に電気的に接続された第1電極と、前記第2クラッド層の前記第11半導体領域に電気的に接続された第11電極と、前記第1クラッド層、前記コア層及び前記第2クラッド層を搭載する主面を有する基板と、を備え、前記積層体は、導波路軸の方向に延在し所定の幅を有する導波領域を含み、前記第11半導体領域は、前記導波路軸に対して第11角度で交差する第11軸に沿って延在する第11境界を有し、前記第11半導体領域及び前記分離領域は、前記導波路軸に対して第12角度で傾斜した第12軸に沿って延在する第12境界を成しており、前記第12角度は鋭角及び鈍角の一方である。
この半導体光偏向器によれば、コア層は、基礎コア部分及び第11コア部分を有し、基礎コア部分は、第1クラッド層の第1半導体領域と第2クラッド層の分離領域との間に位置し、第11コア部分は、第1クラッド層の第1半導体領域と第2クラッド層の第11半導体領域との間に位置する。第1電極と第11電極との間の電圧が第11コア部分に印加され、印加電圧に応じた電界が第11コア部分に電気光学効果を誘起して、この電気光学効果が第11コア部分の屈折率を変化させる。その結果、第11コア部分と基礎コア部分とのコア境界(第11半導体領域と分離領域との第12境界に対応する)において、第11コア部分と基礎コア部分との間の屈折率差が変化して、コア境界を横切る光は、当該コア境界への入射方向に対して光伝播の向きを変える。
上記の半導体光偏向器では、前記第2クラッド層は、前記第2導電型の第12半導体領域を含み、前記分離領域及び前記第12半導体領域は、前記導波路軸に対して傾斜した第13軸に沿って延在する第13境界を成しており、当該半導体光偏向器は、前記第2クラッド層の前記第12半導体領域に電気的に接続された第12電極を更に備えてもよい。
この半導体光偏向器によれば、コア層は、更に第12コア部分を有し、第12コア部分は、第1クラッド層の第1半導体領域と第2クラッド層の第12半導体領域との間に位置し、第1電極と第12電極との間の電圧が第12コア部分に印加される。印加電圧に応じた電界が第12コア部分に電気光学効果を誘起して、この電気光学効果が第12コア部分の屈折率を変化させる。その結果、基礎コア部分と第12コア部分との第13境界において、基礎コア部分と第12コア部分との間の屈折率差が変化して、第13境界を横切る光は、当該第13境界への入射方向に対して光伝播の向きを変える。
上記の半導体光偏向器では、前記第13軸は前記導波路軸に対して第13角度で傾斜し、前記第13角度は鋭角及び鈍角の他方であり、前記分離領域は、前記導波路軸上を前記第12境界から前記第13境界まで延在してもよい。
この半導体光偏向器によれば、第12角度が鋭角及び鈍角の一方であると共に、第13角度が鋭角及び鈍角の他方であるとき、導波路軸に沿ってコア層に入射した入射光が導波路軸の右方向及び左方向のいずれか一方向に偏向されることができる。
上記の半導体光偏向器では、前記第2クラッド層は、前記第2導電型の第21半導体領域を含み、前記分離領域及び前記第21半導体領域は、前記導波路軸に対して傾斜した第21軸の方向に沿って延在する第21境界において互いに接しており、当該半導体光偏向器は、前記第2クラッド層の前記第21半導体領域に電気的に接続された第21電極を更に備えてもよい。
この半導体光偏向器によれば、コア層は、更に第21コア部分を有し、第21コア部分は、第1クラッド層の第1半導体領域と第2クラッド層の第21半導体領域との間に位置し、第1電極と第21電極との間の電圧は、第21コア部分に印加される。印加電圧に応じた電界が第21コア部分に電気光学効果を誘起して、この電気光学効果が第21コア部分の屈折率を変化させる。その結果、基礎コア部分と第21コア部分との第21境界において、基礎コア部分と第21コア部分との間の屈折率差が変化して、第21境界を横切る光は、印加電圧の大きさに応じて当該第21境界への入射方向を基準にして光伝播の向きを変える。
上記の半導体光偏向器では、前記第21軸は前記導波路軸に対して第21角度で傾斜し、前記第21角度は、鋭角及び鈍角の一方であり、前記分離領域は、前記導波路軸上を前記第12境界から前記第21境界まで延在してもよい。
この半導体光偏向器によれば、第12角度及び第21角度が、共に鋭角及び鈍角の他方であるので、第21半導体領域と第11半導体領域とを互いに近づけて、第21半導体領域と第11半導体領域との間に位置する分離領域の幅を小さくすることができる。このため、第2クラッド層における第2導電型の半導体領域の配置密度が増大する。
上記の半導体光偏向器では、前記分離領域は、樹脂体を備えてもよい。
この半導体光偏向器によれば、樹脂体の絶縁性により、半導体領域に電界を閉じ込めることができる。
上記の半導体光偏向器では、前記分離領域は、i型半導体を備えてもよい。
この半導体光偏向器によれば、i型半導体の高比抵抗により半導体領域に電界を閉じ込めることができる。
別形態に係る半導体光スイッチは、前記半導体光偏向器と、前記半導体光偏向器に光学的に結合される入力光導波路と、前記半導体光偏向器に光学的に結合される複数の出力光導波路と、を備える。
この半導体光スイッチによれば、入力光導波路から半導体光偏向器に入射した光が、半導体光偏向器に印加された電圧に応じて複数の向きのうちいずれか1つの向きに偏向されて半導体光偏向器から出射される。具体的には、この半導体光スイッチは、半導体光偏向器からの出射光が出力光導波路に受光されるように配置された複数の出力光導波路を備えている。このため、一の入力光導波路から半導体光偏向器に提供された光が、複数の出力光導波路のうちの1つの出力光導波路に向けられる。この半導体光スイッチは、1つの入力光導波路から複数の出力光導波路への光路が半導体光偏向器への印加電圧の大きさに応じて切り替わる光スイッチ動作を行う。
いくつかの実施形態に係る半導体光偏向器及び半導体光スイッチを図面を参照しつつ説明する。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を模式的に示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を示す図である。図2の(a)部は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を示す平面図であり、図2の(b)部は、図2の(a)部に示されるIIb−IIb線に沿ってとられた断面図である。図1及び図2には直交座標系SRが描かれている。本実施例では、この直交座標系SRのX軸が、導波路軸Ax1に向き、Y軸及びZ軸が、それぞれ、導波路軸Ax1に交差する第2軸Ax2及び第3軸Ax3に向いている。
図1は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を模式的に示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を示す図である。図2の(a)部は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を示す平面図であり、図2の(b)部は、図2の(a)部に示されるIIb−IIb線に沿ってとられた断面図である。図1及び図2には直交座標系SRが描かれている。本実施例では、この直交座標系SRのX軸が、導波路軸Ax1に向き、Y軸及びZ軸が、それぞれ、導波路軸Ax1に交差する第2軸Ax2及び第3軸Ax3に向いている。
半導体光偏向器1Aは、基板10、積層体20、第1電極70、及び第11電極71を備える。積層体20は、基板10の主面10A上に設けられ、第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50を有することができる。基板10上において、第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50は、この順に第3軸Ax3(Z軸)の方向に配置されて、コア層40は、第1クラッド層30と第2クラッド層50との間に設けられる。この配置は、第3軸Ax3に光閉じ込めのための屈折率プロファイルを形成する。
第1クラッド層30は、第1導電型の第1半導体領域31を含み、第2クラッド層50は、第11半導体領域51及び分離領域60を含む。第11半導体領域51は、第1半導体領域31の導電型に対して反対の第2導電型を有する。分離領域60は、第11半導体領域51の比抵抗より大きな比抵抗を有し、実質的な絶縁性又は半絶縁性を有していてもよい。第1クラッド層30の第1半導体領域31は、第1搭載領域30A及び第2搭載領域30Bを備え、第1搭載領域30A及び第2搭載領域30Bは、導波路軸Ax1に交差する方向(例えば、Ax2方向)に基板10の主面10Aに沿って配列される。第1搭載領域30A上にはコア層40及び第2クラッド層50が搭載される。第2搭載領域30B上には、コア層40及び第2クラッド層50が設けられておらず、第1電極70が搭載される。この第1電極70は第1クラッド層30に電気的に接続される。第11半導体領域51上には、第11電極71が設けられて、この第11電極71が第11半導体領域51に電気的に接続される。この結果、第2クラッド層50の第11半導体領域51上に電圧が印加される。
半導体光偏向器1Aでは、図2の(a)部に示されるように、積層体20が導波領域WGを備え、この導波領域WGは、偏向された光が伝播できる程度の幅を有し、導波路軸Ax1方向に延在する。導波領域WGの幅W1は、例えば、20μm〜200μmである。導波領域WGは、コア層40、第1クラッド層30内の第1半導体領域31及び第2クラッド層50によって構成される。導波領域WGにおいて、第11半導体領域51及び分離領域60は、例えば、第11境界B11を有しており、この第11境界B11は、導波路軸Ax1に対して第11角度PHY11で交差する第11軸R11に沿って延在する。第11半導体領域51及び分離領域60は、第12境界B12を成しており、この第12境界B12は、導波路軸Ax1に対して第12角度PHY12で傾斜した第12軸R12に沿って延在する。第11角度PHY11は、導波路軸Ax1と第11軸R11との交点を通る軸の回りに導波路軸Ax1から時計回りの向きに規定され、同様に、第12角度PHY12は、導波路軸Ax1と第12軸R12との交点を通る軸の回りに導波路軸Ax1から時計回りの向きに規定される。引き続く説明において、半導体領域と分離領域60との境界と、導波路軸Ax1との角度は同様に定義される。図2の(a)部に示されるように、本実施例では、例えば、第11半導体領域51の第11角度PHY11は鋭角であり、第12角度PHY12は鈍角であることができる。
半導体光偏向器1Aでは、第2クラッド層50は、更に、第2導電型の第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54を含み、第11半導体領域51、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54が、例えば、この順に導波路軸Ax1に沿って配置される。第12半導体領域52及び分離領域60は、第13境界B13及び第14境界B14を成すことができて、第13境界B13は、導波路軸Ax1を基準として第13角度PHY13で傾斜する第13軸R13に沿って延在し、第14境界B14は、導波路軸Ax1を基準として第14角度PHY14で傾斜する第14軸R14に沿って延在する。同様に、第13半導体領域53及び分離領域60は、第15境界B15及び第16境界B16を成し、第15境界B15は、導波路軸Ax1を基準として第15角度PHY15で傾斜する第15軸R15に沿って延在し、第16境界B16は、導波路軸Ax1を基準として第16角度PHY16で傾斜する第16軸R16に沿って延在する。第14半導体領域54及び分離領域60は、第17境界B17及び第18境界B18を成し、第17境界B17は、導波路軸Ax1を基準として第17角度PHY17で傾斜する第17軸R17に沿って延在し、第18境界B18は、導波路軸Ax1を基準として第18角度PHY18で傾斜する第18軸R18に沿って延在する。導波領域WGにおいて、第13境界B13、第14境界B14、第15境界B15、第16境界B16、第17境界B17、及び第18境界B18は、この順に導波路軸Ax1の方向に配列する。
上記の説明に限定されることなく、半導体光偏向器1Aは、所望の量の偏向を提供するために更なる半導体領域を含むことができる。積層体20は、第1n半導体領域(n=1、2、3・・・)を含み、第1n半導体領域及び分離領域60は、第1n境界(n=1、3、5・・・)及び第1n境界(n=2、4、6・・・)を成す。導波領域WGにおいて、第1n境界(n=1、3、5・・・)は、導波路軸Ax1に対して第1n角度(n=1、3、5・・・)で交差する第1n軸(n=1、3、5・・・)に沿って延在すると共に、第1n境界(n=2、4、6・・・)は、導波路軸Ax1に対して第1n角度(n=2、4、6・・・)で傾斜する第1n軸(n=2、4、6・・・)に沿って延在している。
図2の(a)部を参照すると、第11半導体領域51の第12境界B12と第12半導体領域52の第13境界B13との間に分離領域60が設けられて、この分離領域60が、第11半導体領域51と第12半導体領域52とを互いに絶縁させる。同様に、分離領域60が、第12半導体領域52の第14境界B14と第13半導体領域53の第15境界B15との間に設けられて、この分離領域60によって、第12半導体領域52と第13半導体領域53とが互いに絶縁される。また、分離領域60が、第13半導体領域53の第16境界B16と第14半導体領域54の第17境界B17との間に設けられて、この分離領域60によって、第13半導体領域53と第14半導体領域54とが互いに絶縁される。導波領域WG内においては、導波路軸Ax1に沿って、分離領域60、第11半導体領域51、分離領域60、第12半導体領域52、分離領域60、第13半導体領域53、分離領域60、第14半導体領域54、及び分離領域60が、この順に配列される。導波領域WGよりも幅広の積層体20においては、第11半導体領域51〜第14半導体領域54は、導波領域WGにおいて導波路軸Ax1と上記の境界との交差又は傾斜を実現するように、例えば、三角形、台形などの四角形、又は五角形以上の多角形の形状を有することができる。
導波領域WG内においては、第11半導体領域51の第11境界B11は第11軸R11に沿って延在すると共に第11半導体領域51の第12境界B12は第12軸R12に沿って延在して、これらの境界(B11、B12)の傾斜は、これらの境界において所望の偏向を半導体光偏向器1Aにおいて実現する。第12半導体領域52〜第14半導体領域54においても、個々の境界は同様に傾斜する。第11半導体領域51の平面形状を参照して、一例を示せば、第11半導体領域51の境界は、図2の(a)部に示される3つの頂点51a、51b及び51cを用いて容易に規定できる。第11軸R11は、頂点51aと頂点51bとを通過し、導波路軸Ax1に対して第11角度PHY11で交差する。第12軸R12は、頂点51aと頂点51cとを通過し、導波路軸Ax1に対して第12角度PHY12で交差する。この説明は、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54の平面形状にも適用される。導波領域WGの幅は、具体的には、例えば、第11半導体領域51の頂点51bと頂点51cとを通過する線と頂点51aとの距離で規定される。
図1及び図2の(a)部を参照すると、第11電極71は、第11半導体領域51直下の第11コア部分41に電界が高い均一性で生成されるように、第11半導体領域51と同様の平面形状を有することができ、第11半導体領域51と第11電極71とは、共に三角形の平面形状を有する。半導体光偏向器1Aは、第12電極72〜第14電極74を更に備え、これらの第12電極72〜第14電極74は、それぞれ第12半導体領域52〜第14半導体領域54に電気的に接続される。また、第12電極72〜第14電極74も、それぞれ、第12半導体領域52〜第14半導体領域54と同様の平面形状を有することができる。
図2の(a)部を参照すると、第11半導体領域51〜第14半導体領域54が三角形の平面形状として描かれている。これらの三角形は、導波領域WGの幅において導波路軸Ax1に対して傾斜した境界を第11半導体領域51〜第14半導体領域54の各々に提供できて、具体的には、例えば、正三角形又は二等辺三角形といった形状を有することができる。第12半導体領域52の頂点52b、52c、第13半導体領域53の頂点53b、53c、及び第14半導体領域54の頂点54b、54cは、基準直線51L(第11半導体領域51の頂点51bと頂点51cとを通過する直線)に沿って配列することができる。
コア層40は、基礎コア部分40S及び第11コア部分41を有する。基礎コア部分40Sは、第1クラッド層30の第1半導体領域31と第2クラッド層50の分離領域60との間に位置し、第11コア部分41は、第1クラッド層30の第1半導体領域31と第2クラッド層50の第11半導体領域51との間に位置する。分離領域60は、p型クラッド層の導電性半導体、例えば、第11半導体領域51より大きな比抵抗を有するので、第1電極70と第11電極71との間に印加された電圧は、第11半導体領域51を通して主に第11コア部分41に印加され、基礎コア部分40Sには殆ど印加されない。このため、電気光学効果は、第11コア部分41で生じるけれども、基礎コア部分40Sでは殆ど生じない。電気光学効果は第11コア部分41の屈折率を変化させて、この結果、第11コア部分41と基礎コア部分40Sとのコア境界(第11半導体領域51と分離領域60との第12境界B12に対応する)において、印加された電圧の大きさに応じて、第11コア部分41と基礎コア部分40Sとの間の屈折率差(第11コア部分41の屈折率と基礎コア部分40Sの屈折率との差)が変化する。第11コア部分41と基礎コア部分40Sとの間の屈折率差は、第11コア部分41の屈折率と基礎コア部分40Sの屈折率との差に対応する。コア境界を横切る光は、当該コア境界への入射方向に対して光伝播の向きを変える。
半導体光偏向器1Aは、更に、第12コア部分42〜第14コア部分44を備え、第12コア部分42〜第14コア部分44は、それぞれ第12半導体領域52〜第14半導体領域54下に位置する。第12コア部分42〜第14コア部分44においても電気光学効果が誘起され、分離領域60下の基礎コア部分40Sには電気光学効果は誘起されない。第12半導体領域52〜第14半導体領域54の各々は分離領域60によって囲まれているので、導波路軸Ax1の方向に進む光は、第12半導体領域52〜第14半導体領域54の各々の境界を横切る毎に偏向する。
分離領域60は、例えば、i型半導体を備えていることができて、このi型半導体の高比抵抗により、分離領域60は第11半導体領域51に電界を閉じ込めることができる。本実施例では、第11半導体領域51の電気抵抗は、例えば、数百kΩである一方で、分離領域60の電気抵抗は、例えば、数MΩである。分離領域60の電気抵抗が第11半導体領域51の電気抵抗に比べて一桁大きく、分離領域60は、実質的な絶縁性又は半絶縁性を有している。或いは、分離領域60は、例えば、樹脂体及び無機誘電体を備えてもよい。分離領域60の樹脂体は、その樹脂体の絶縁性により、第11半導体領域51に電界を閉じ込めることができる。樹脂体は、例えば、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド又はエポキシであり、無機誘電体は、例えば、SiO2、SiN又はSiONである。
本実施例では、第11半導体領域51に係る頂点51bと頂点51cとの距離は、例えば、40μm〜400μmであり、頂点51bと頂点51cとを通過する線と頂点51aとの距離は、例えば、20μm〜200μmであることができる。第1電極70の幅W2は、例えば、10μm〜100μmである。
第1実施形態に係る半導体光偏向器1Aは、以下のものである。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40:アンドープInGaAsP/アンドープInPを含む多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第1n半導体領域(n=1〜4):p型InP層、厚み1μm〜2μm。
分離領域60:i型InP層、厚み1μm〜2μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1n電極(n=1〜4):Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40:アンドープInGaAsP/アンドープInPを含む多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第1n半導体領域(n=1〜4):p型InP層、厚み1μm〜2μm。
分離領域60:i型InP層、厚み1μm〜2μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1n電極(n=1〜4):Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
図3は、第1実施形態に係る半導体光偏向器における第11半導体領域及びこの下のコア層並びに光路の一例を示す図である。図3を参照しながら、半導体光偏向器1の動作を説明する。第11角度PHY11は、導波路軸Ax1を基準として鋭角であり、第12角度PHY12は鈍角である。既に説明したように、第11半導体領域51への電圧印加に応答して、第11コア部分41には電気光学効果が生じる一方で、分離領域60下の基礎コア部分40Sには電気光学効果が生じない。電圧印加の結果、分離領域60下の基礎コア部分40Sは屈折率n1のままであり、第11半導体領域51下の第11コア部分41は、屈折率n1と異なる屈折率n2を有する。電圧印加中においては、屈折率の関係式n2>n1が成り立つ。入射光L1は、導波路軸Ax1の方向に沿って導波領域WG内の分離領域60、基礎コア部分40S及び第1半導体領域31を伝播し、第11境界B11において屈折する。入射光L1の入射角をTHETA1として参照し、入射光L1の屈折角をTHETA2として参照する。スネルの法則を表す関係式n1×sin(THETA1)=n2×sin(THETA2)が満たされる。電気光学効果に起因して、屈折率の関係式n2>n1が成り立つので、入射角THETA1は、屈折角THETA2及び角度ALPHA1を用いて、角度の関係式THETA1=THETA2+ALPHA1として表される。この関係式は、入射光L1が第11境界B11での屈折により導波路軸Ax1を基準にした角度ALPHA1で伝播方向を変える。図3の平面図において、第11境界B11における屈折の結果、入射光L1は、導波路軸Ax1を基準として右方向及び左方向のうち左方向に偏向される。引き続く説明において簡略のために屈折後の入射光L1を第1屈折光L2として参照する。
第1屈折光L2は、第11半導体領域51下の第11コア部分41内を伝播し、第12境界B12に到達する。第12境界B12において第1屈折光L2の入射角をTHETA3として参照し、第1屈折光L2の屈折角をTHETA4として参照する。電圧印加中においては、第11半導体領域51下の第11コア部分41は屈折率n2を有するので、スネルの法則に従って、関係式n2×sin(THETA3)=n1×sin(THETA4)が満たされる。第11半導体領域51から分離領域60へ伝播する際の屈折においても、屈折率の関係式n2>n1を用いて、屈折角THETA4及び入射角THETA3は、角度の関係式THETA4>THETA3を満たす。屈折角THETA4は、入射角THETA3及び角度ALPHA2を用いて、角度の関係式THETA4=THETA3+ALPHA2として表される。この関係式は、第1屈折光L2が第12境界B12において、第12境界B12への入射方向を基準にして角度ALPHA2で伝播方向を変えることを示す。第1屈折光L2は、導波路軸Ax1を基準として右方向及び左方向のうち左方向に再び偏向される。第12境界B12において屈折された第1屈折光L2は、第2屈折光L3として参照される。図3では、第2屈折光L3の光路が、導波路軸Ax1から基準直線51Lに近づくように表される。第2屈折光L3は、第11半導体領域51と第12半導体領域52との間に位置する分離領域60下の基礎コア部分40S内を伝播する。
入射光L1の光路に関する上記説明によれば、第11境界B11での1回目の屈折により光路の向きが角度ALPHA1で変わり、第12境界B12での2回目の屈折により光路の向きが角度ALPHA2で変わる。この2回の屈折による合計の偏向角度は、ALPHA1+ALPHA2として表される。半導体光偏向器1Aは、他の導電性半導体領域を通過する際のさらなる屈折により、より大きな偏向角度を実現できる。実用的な半導体光偏向器は、2回の屈折よりも多くの回数の屈折を実現する。
図2の(a)部に示される具体例において、個々の半導体領域の2つの頂点(第11半導体領域51では頂点51b、51c)が、導波路軸Ax1の左側エリアにおいて基準直線51L上に配列され、他の1つの頂点(第11半導体領域51では頂点51a)が、導波路軸Ax1の右側エリアに位置している。第11境界B11、第12境界B12、第13境界B13、及び第14境界B14は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14で傾斜し、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鋭角、鈍角、鋭角、及び鈍角であることができる。
別の具体例(図2の(a)部に示される具体例において、導波路軸Ax1を基準にして半導体領域を反転させた配列に係る具体例)では、個々の半導体領域の2つの頂点(第11半導体領域51では頂点51b、51c)が、導波路軸Ax1の右側エリアにおいて基準直線51L上に配列され、他の1つの頂点(第11半導体領域51では頂点51a)が、導波路軸Ax1の左側エリアに位置している。第11境界B11、第12境界B12、第13境界B13、及び第14境界B14は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14で傾斜し、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鈍角、鋭角、鈍角、及び鋭角であることができる。
これらの2つの具体例では、導波路軸Ax1に沿って導波領域WGに入射した入射光L1は、第11半導体領域51下及び第12半導体領域52下を伝播した結果、導波路軸Ax1を基準として右方向及び左方向のうちの一方向に偏向される。第2クラッド層50がn個の半導体領域を有する半導体光偏向器1Aでは、導波領域WGを伝播する光は、上記の一方向に偏向されることができる。2つの具体例に従って、半導体光偏向器1Aでは、第1n角度(n=2、4、6・・・)が、鋭角又は鈍角の一方であり、第1n角度(n=1、3、5・・・)が、鋭角又は鈍角の他方であることができる。
図4は、第1の実施例に係る半導体光偏向器における光の偏向と印加電圧(例えば、第1電極と第11電極との間に印加する電圧)との関係を示す図である。図4の(a)部は、入射光L1の総偏向角度と印加電圧との関係を示す図である。図4の(b)部は、光偏向の感度を示す図であり、この感度は、図4の(a)部の結果を横軸の変数(印加電圧)で微分して得られる。入射光L1の波長は1550nmである。図4の見積もりに用いられた半導体光偏向器は、図2の(a)に示したような三角形状の半導体領域を、導波路軸Ax1の方向に一列に40個配列している。
図4の見積もりのための半導体光偏向器のモデルは、以下のものである。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み1.5μm。
コア層40:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.5μm。
第1n半導体領域(n=1〜4):p型InP層、厚み1.5μm。
分離領域60:Feドープi型InP層、厚み1.5μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み4μm。
第1n電極(n=1〜4):Ti/Pt/Au合金、厚み4μm。
図4は、比較のために、LiNbO3を用いた光偏向器における見積もりも示す。LiNbO3光偏向器では、その光偏向器内の光学長が、半導体光偏向器内の光学長と同じである。図4では、LiNbO3光偏向器におけるLiNbO3の厚みは、0.5μmである。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み1.5μm。
コア層40:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.5μm。
第1n半導体領域(n=1〜4):p型InP層、厚み1.5μm。
分離領域60:Feドープi型InP層、厚み1.5μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み4μm。
第1n電極(n=1〜4):Ti/Pt/Au合金、厚み4μm。
図4は、比較のために、LiNbO3を用いた光偏向器における見積もりも示す。LiNbO3光偏向器では、その光偏向器内の光学長が、半導体光偏向器内の光学長と同じである。図4では、LiNbO3光偏向器におけるLiNbO3の厚みは、0.5μmである。
図4を参照すると、半導体光偏向器では、印加される電圧値が大きくなるに従って、コア層に入力された光の偏向量が増大している。光の偏向量は、LiNbO3光偏向器を半導体光偏向器と比較すると、以下の点で大きな相違がある。図4の(a)部に示されるように、印加電圧が、例えば7Vのとき、LiNbO3光偏向器での偏向角度が1度であるのに対して、半導体光偏向器での偏向角度は1.84度である。また、図4の(b)部に示されるように、例えば、印加電圧が3.5Vのとき、LiNbO3光偏向器での感度が0.145度/Vであるのに対して、半導体光偏向器での感度は0.26度/Vである。本実施例の半導体光偏向器は、LiNbO3光偏向器に比べて、同じ光学長において印加電圧を低減できる。
図4では、LiNbO3光偏向器の偏向角度が印加電圧に対して概ね一次比例して増加する一方で、半導体光偏向器の偏向角度は印加電圧に対して一次比例の関係を超えて増加している。スネルの関係式より、偏向角度の大きさが微小な角度範囲では、偏向角度が屈折率に比例することが導かれる。図4の結果は、LiNbO3光偏向器でのコア層の屈折率が、印加電圧に対して概ね一次比例して増加する一方で、半導体光偏向器でのコア層の屈折率が、印加電圧に対して一次比例の関係を超えて増加することを示している。LiNbO3光偏向器では、その屈折率変化が印加電圧の一乗に比例するポッケルス効果に支配されている一方で、半導体光偏向器では、その屈折率変化が印加電圧の二乗に比例するカー効果に支配されていることが示される。
図5及び図6は、第1実施形態に係る半導体光偏向器を作製する方法における主要な工程を模式的に示す図であり、個々の作製工程において形成される生産物を示している。図5の(a)部及び図6の(a)部は、生産物の平面図を示す図であり、図5の(b)部は、図5の(a)部に示されるVb−Vb線に沿ってとられた断面図であり、図6の(b)部は、図6の(a)部に示されるVIb−VIb線に沿ってとられた断面図である。図5及び図6には、第1実施形態に係る図1の半導体偏向器の向きとの関連を示すために、直交座標系SRが描かれている。図5及び図6を参照しながら、半導体光偏向器1Aの作製方法を説明する。理解の容易のために、可能な場合には、半導体光偏向器1Aの説明のために用いられた参照符号を用いる。
(基板の準備及び積層体の成長)
工程S1では、基板10を準備する。工程S2では、基板10の主面10A上に積層体20のための半導体積層20Pを成長する。具体的には、第1クラッド層30Pのための導電性半導体層、コア層40Pのためのアンドープ半導体層、及び第2クラッド層50Pのための導電性半導体層をこの順で基板10上に成長して、半導体積層20Pを形成する。半導体積層の成長は、例えばMOVPE(有機金属気相成長)法により行われる。半導体積層20Pの形成では、必要に応じて、第2クラッド層50Pの上に、コンタクト層を形成することができる。
工程S1では、基板10を準備する。工程S2では、基板10の主面10A上に積層体20のための半導体積層20Pを成長する。具体的には、第1クラッド層30Pのための導電性半導体層、コア層40Pのためのアンドープ半導体層、及び第2クラッド層50Pのための導電性半導体層をこの順で基板10上に成長して、半導体積層20Pを形成する。半導体積層の成長は、例えばMOVPE(有機金属気相成長)法により行われる。半導体積層20Pの形成では、必要に応じて、第2クラッド層50Pの上に、コンタクト層を形成することができる。
以下に、半導体積層20Pの一例を示す。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30Pのための導電性半導体層:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40Pのための半導体層:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第2クラッド層50Pのための導電性半導体層:p型InP層、厚み1μm〜2μm。
コンタクト層:p型InGaAs層、厚み0.1μm〜0.3μm。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30Pのための導電性半導体層:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40Pのための半導体層:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第2クラッド層50Pのための導電性半導体層:p型InP層、厚み1μm〜2μm。
コンタクト層:p型InGaAs層、厚み0.1μm〜0.3μm。
(分離領域の形成)
工程S3では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層に分離領域60Pを形成する。分離領域60Pの形成は、埋込成長法又はイオン注入法によって行われる。埋込成長法及びイオン注入法の各々を用いた作製工程を説明する。
工程S3では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層に分離領域60Pを形成する。分離領域60Pの形成は、埋込成長法又はイオン注入法によって行われる。埋込成長法及びイオン注入法の各々を用いた作製工程を説明する。
(分離領域の形成:埋込成長法による作製)
埋込成長法によって分離領域60Pを形成する工程を説明する。埋込成長法を用いる作製では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を結晶成長した後に、図5に示されるように、第11半導体領域51のためのパターンを有するマスク63を形成する。本実施例では、マスク63の残しパターンは、第2クラッド層50Pのための複数の導電性半導体領域の形状を規定しており、例えば、三角形の形状であることができる。マスク63の材料は、例えば、シリコン系無機物、具体的にはSiO2又はSiNを含む。このマスク63を用いて、例えば、ドライエッチング法によって、第11半導体領域51のための領域に代表される半導体領域を残すように第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を部分的に除去する。エッチングの後において、マスク63の開口には、コア層40Pのための半導体層の表面が露出される。マスク63によって覆われたエリアには、第11半導体領域51のための孤立した複数の導電性半導体領域が残される。これらの導電性半導体領域は、導電性半導体から成る側面を有している。
埋込成長法によって分離領域60Pを形成する工程を説明する。埋込成長法を用いる作製では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を結晶成長した後に、図5に示されるように、第11半導体領域51のためのパターンを有するマスク63を形成する。本実施例では、マスク63の残しパターンは、第2クラッド層50Pのための複数の導電性半導体領域の形状を規定しており、例えば、三角形の形状であることができる。マスク63の材料は、例えば、シリコン系無機物、具体的にはSiO2又はSiNを含む。このマスク63を用いて、例えば、ドライエッチング法によって、第11半導体領域51のための領域に代表される半導体領域を残すように第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を部分的に除去する。エッチングの後において、マスク63の開口には、コア層40Pのための半導体層の表面が露出される。マスク63によって覆われたエリアには、第11半導体領域51のための孤立した複数の導電性半導体領域が残される。これらの導電性半導体領域は、導電性半導体から成る側面を有している。
マスク63を残したまま、例えば、MOVPE法を用いた選択成長により、分離領域60Pのための半導体層を形成する。この半導体層は、露出したコア層40P上に選択成長され、例えば、i型InP層を備える。i型InP層の成長は、例えば、Fe、Ti又はCoといったドーパントを原料ガスに添加しながら行われる。i型InP層内におけるFe濃度は、例えば、5×1014cm−3〜5×1016cm−3であり、Feドープi型InP層は、数MΩ以上である107Ωcm以上の高い電気抵抗率を有する。分離領域60Pのためのi型InP層は、導電性半導体領域を埋め込んでおり、個々の導電性半導体領域を絶縁する。埋込成長によって、i型InP層は、導電性半導体領域の側面に接して境界を成すように成長される。マスク63は、選択成長の後に、例えばバッファードフッ酸を用いて除去される。これにより、埋込成長法による分離領域60Pの形成工程が完了する。
(分離領域の形成:イオン注入法による作製)
イオン注入法によって分離領域60Pを形成する工程を説明する。イオン注入法では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を結晶成長した後に、第11半導体領域51として導電性を残すべきエリアを覆うパターンを有するマスク64を形成する。マスク64は、第11半導体領域51のための半導体領域を規定する残しパターン(例えば、三角形の残しパターン)を有する。マスク64の材料は、例えば、フォトレジストを含む。
イオン注入法によって分離領域60Pを形成する工程を説明する。イオン注入法では、第2クラッド層50Pのための導電性半導体層を結晶成長した後に、第11半導体領域51として導電性を残すべきエリアを覆うパターンを有するマスク64を形成する。マスク64は、第11半導体領域51のための半導体領域を規定する残しパターン(例えば、三角形の残しパターン)を有する。マスク64の材料は、例えば、フォトレジストを含む。
本実施例では、マスク64を用いて、第2クラッド層50Pのための半導体層に例えばプロトンをイオン注入して、マスク64の開口パターンによって規定される分離領域60Pのためのi型InP層を形成する。水素のイオン注入のドーズ量は、例えば、1×1014cm−2〜1×1016cm−2であり、加速エネルギーは、例えば、100keV〜500keVである。i型InP層内の水素濃度は、例えば、5×1017cm−3〜5×1019cm−3である。
イオン注入後にマスク64を除去して、熱処理を行う。熱処理温度は、例えば、200℃〜500℃である。加熱後のi型InP層は、例えば、107Ω/sq以上のシート抵抗値を有する。このシート抵抗値は、分離領域60において数MΩ以上の電気抵抗値に相当する。マスク64を用いたイオン注入により、導電性半導体領域と分離領域との境界が形成される。イオン注入後に、マスク64は、例えばアッシング装置を用いて除去される。
(半導体積層の加工)
工程S3では、半導体積層20Pに選択成長法又はイオン注入法によって分離領域60Pを形成した。工程S4では、この半導体積層20Pの加工を行う。加工のためのマスクを第2クラッド層50Pのための分離領域及び導電性半導体層上に形成する。このマスクは、第1搭載領域30Aを覆うと共に第2搭載領域30B上に開口を有するパターンを備える。該マスクを用いて、コア層40P及び第2クラッド層50Pのための半導体層をエッチングする。第2搭載領域30B上には、第1クラッド層30Pのための導電性半導体層の表面が露出される。第1搭載領域30A上には、コア層40P及び第2クラッド層50Pのための半導体層が、エッチングされずに残される。加工のためのマスクは、例えば、SiO2又はSiNなどのシリコン系無機物を含む。エッチング後に、マスクは、例えばバッファードフッ酸を用いて除去される。この加工によって、導波領域WGが形成される。
工程S3では、半導体積層20Pに選択成長法又はイオン注入法によって分離領域60Pを形成した。工程S4では、この半導体積層20Pの加工を行う。加工のためのマスクを第2クラッド層50Pのための分離領域及び導電性半導体層上に形成する。このマスクは、第1搭載領域30Aを覆うと共に第2搭載領域30B上に開口を有するパターンを備える。該マスクを用いて、コア層40P及び第2クラッド層50Pのための半導体層をエッチングする。第2搭載領域30B上には、第1クラッド層30Pのための導電性半導体層の表面が露出される。第1搭載領域30A上には、コア層40P及び第2クラッド層50Pのための半導体層が、エッチングされずに残される。加工のためのマスクは、例えば、SiO2又はSiNなどのシリコン系無機物を含む。エッチング後に、マスクは、例えばバッファードフッ酸を用いて除去される。この加工によって、導波領域WGが形成される。
(電極の形成)
工程S5では、図6に示されるように、第1クラッド層30Pの第2搭載領域30B上に第1電極70を形成すると共に、第1クラッド層30Pの第1搭載領域30A上に設けられた第2クラッド層50Pのp型InP層上に第11電極71を形成する。電極の形成は、例えば、フォトリソグラフィ、蒸着を用いたリフトオフプロセス、及び金属メッキ法による。第1電極70及び第11電極71は、例えば、Ti/Pt/Au合金を含む。これらの工程により、半導体光偏向器1Aのための基板生産物が作製される。へき開及び/又はダイシングにより、基板生産物から半導体光偏向器1Aを形成する。
工程S5では、図6に示されるように、第1クラッド層30Pの第2搭載領域30B上に第1電極70を形成すると共に、第1クラッド層30Pの第1搭載領域30A上に設けられた第2クラッド層50Pのp型InP層上に第11電極71を形成する。電極の形成は、例えば、フォトリソグラフィ、蒸着を用いたリフトオフプロセス、及び金属メッキ法による。第1電極70及び第11電極71は、例えば、Ti/Pt/Au合金を含む。これらの工程により、半導体光偏向器1Aのための基板生産物が作製される。へき開及び/又はダイシングにより、基板生産物から半導体光偏向器1Aを形成する。
(第2の実施の形態)
図7は、第2実施形態に係る半導体光偏向器を示す図である。図7の(a)部は、第2実施形態に係る半導体光偏向器の平面図を示し、図7の(b)部は、図7の(a)部に示されるVIIb−VIIb線に沿ってとられた断面図である。図7には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図7は、第2実施形態に係る半導体光偏向器を示す図である。図7の(a)部は、第2実施形態に係る半導体光偏向器の平面図を示し、図7の(b)部は、図7の(a)部に示されるVIIb−VIIb線に沿ってとられた断面図である。図7には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図7の(b)部に示されるように、第2実施形態に係る半導体光偏向器1Bは、第3軸Ax3(Z軸)の方向の構造に関して、基板10と、基板10の主面10A上に設けられた積層体20を備える。積層体20は、第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50を有する。第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50は、この順に基板10上に搭載される。
第1クラッド層30は、第1導電型の第1半導体領域31を含み、第2クラッド層50は、例えば、第2導電型の第11半導体領域51、第2導電型の第12半導体領域52、第2導電型の第13半導体領域53、及び第2導電型の第14半導体領域54を含む。第11半導体領域51、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54は、この順に導波路軸Ax1に沿って配置され、第1群の配列A1を構成する。また、第2クラッド層50は、例えば、第2導電型の第21半導体領域56、第2導電型の第22半導体領域57、第2導電型の第23半導体領域58、及び第2導電型の第24半導体領域59を含む。第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59は、この順に導波路軸Ax1に沿って配置され、第2群の配列A2を構成する。導波領域WGの第2クラッド層50は、第1群の配列A1に加えて第2群の配列A2を含む。
図7の(a)部に示されるように、半導体光偏向器1Bの導波領域WGにおいて、第21半導体領域56は、第11半導体領域51と第12半導体領域52との間に配置され、分離領域60が、第21半導体領域56、第11半導体領域51、及び第12半導体領域52の各々を囲む。分離領域60は、第11半導体領域51の第12境界B12と第21半導体領域56の第21境界B21との間に延在する第1ストライプ部分を有する。この第1ストライプ部分によって、第11半導体領域51及び第21半導体領域56は互いに隔てられる。また、分離領域60は、第21半導体領域56の第22境界B22と第13半導体領域53の第13境界B13との間に延在する第2ストライプ部分を有する。この第2ストライプ部分によって、第21半導体領域56及び第13半導体領域53は互いに隔てられる。導波路軸Ax1上において、第11半導体領域51、分離領域60の第1ストライプ部分、第21半導体領域56、分離領域60の第2ストライプ部分、及び第12半導体領域52がこの順に並ぶ。
第22半導体領域57は、第12半導体領域52と第13半導体領域53との間に配置され、分離領域60が、第22半導体領域57、第12半導体領域52、及び第13半導体領域53の各々を囲む。分離領域60は、第12半導体領域52の第14境界B14と第22半導体領域57の第23境界B23との間に延在する第3ストライプ部分を有する。この第3ストライプ部分によって、第12半導体領域52及び第22半導体領域57は互いに隔てられる。また、分離領域60は、第22半導体領域57の第24境界B24と第13半導体領域53の第15境界B15との間に延在する第4ストライプ部分を有する。この第4ストライプ部分によって、第22半導体領域57及び第13半導体領域53は互いに隔てられる。導波路軸Ax1上において、第12半導体領域52、分離領域60の第3ストライプ部分、第22半導体領域57、分離領域60の第4ストライプ部分、及び第13半導体領域53がこの順に並ぶ。
第1群の配列A1内では、分離領域60が第11半導体領域51、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54の各々を囲み、この囲い込みによって、第11半導体領域51、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54は互いに絶縁される。絶縁のために、分離領域60は、第11半導体領域51、第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54より大きな比抵抗を有する。第11半導体領域51は、分離領域60と第11境界B11を成して、この第11境界B11は、導波路軸Ax1に対して第11角度PHY11で交差する第11軸R11に沿って延在する。また、第11半導体領域51は、分離領域60と第12境界B12を成して、この第12境界B12は、導波路軸Ax1に対して第12角度PHY12で傾斜した第12軸R12に沿って延在する。
本実施例では、第12半導体領域52及び分離領域60は、第13境界B13及び第14境界B14を成す。第13境界B13は、導波路軸Ax1を基準として第13角度PHY13で傾斜する第13軸R13に沿って延在し、第14境界B14は、導波路軸Ax1を基準として第14角度PHY14で傾斜する第14軸R14に沿って延在する。同様に、第13半導体領域53及び分離領域60は、第15境界B15及び第16境界B16を成す。第15境界B15は、導波路軸Ax1を基準として第15角度PHY15で傾斜する第15軸R15に沿って延在し、第16境界B16は、導波路軸Ax1を基準として第16角度PHY16で傾斜する第16軸R16に沿って延在する。第14半導体領域54及び分離領域60は、第17境界B17及び第18境界B18を成す。第17境界B17は、導波路軸Ax1を基準として第17角度PHY17で傾斜する第17軸R17に沿って延在し、第18境界B18は、導波路軸Ax1を基準として第18角度PHY18で傾斜する第18軸R18に沿って延在する。導波領域WGにおいて、第13境界B13、第14境界B14、第15境界B15、第16境界B16、第17境界B17、及び第18境界B18は、この順に導波路軸Ax1の方向に配列する。
第2群の配列A2内では、分離領域60が第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59の各々を囲み、この囲い込みによって、第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59は互いに絶縁される。絶縁のために、分離領域60は、第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59より大きな比抵抗を有する。第21半導体領域56は、分離領域60と第21境界B21を成して、この第21境界B21は、導波路軸Ax1を基準として第21角度PHY21で交差する第21軸R21に沿って延在する。また、第21半導体領域56は、分離領域60と第22境界B22を成して、この第22境界B22は、導波路軸Ax1に対して第22角度PHY22で傾斜した第22軸R22に沿って延在する。
本実施例では、第22半導体領域57及び分離領域60は、第23境界B23及び第24境界B24を成す。第23境界B23は、導波路軸Ax1を基準として第23角度PHY23で傾斜する第23軸R23に沿って延在し、第24境界B24は、導波路軸Ax1を基準として第24角度PHY24で傾斜する第24軸R24に沿って延在する。同様に、第23半導体領域58及び分離領域60は、第25境界B25及び第26境界B26を成す。第25境界B25は、導波路軸Ax1を基準として第25角度PHY25で傾斜する第25軸R25に沿って延在し、第26境界B26は、導波路軸Ax1を基準として第26角度PHY26で傾斜する第26軸R26に沿って延在する。第24半導体領域59及び分離領域60は、第27境界B27及び第28境界B28を成す。第27境界B27は、導波路軸Ax1を基準として第27角度PHY27で傾斜する第27軸R27に沿って延在し、第28境界B28は、導波路軸Ax1を基準として第28角度PHY28で傾斜する第28軸R28に沿って延在する。導波領域WGにおいて、第23境界B23、第24境界B24、第25境界B25、第26境界B26、第27境界B27、及び第28境界B28は、この順に導波路軸Ax1の方向に配列する。
導波領域WGにおいては、既に説明したように、第1群の配列A1内で、第11半導体領域51は、分離領域60と第12境界B12を成して、この第12境界B12は、導波路軸Ax1に対して第12角度PHY12で交差する第12軸R12に沿って延在する。第2群の配列A2内で、第21半導体領域56は、分離領域60と第21境界B21を成して、この第21境界B21は、導波路軸Ax1を基準として第21角度PHY21で交差する第21軸R21に沿って延在する。本実施例では、例えば、第11半導体領域51の第12角度PHY12が鈍角であり、第21半導体領域56の第21角度PHY21も鈍角であることができる。同様に、第2群の配列A2内で、第21半導体領域56は、分離領域60と第22境界B22を成して、この第22境界B22は、導波路軸Ax1に対して第22角度PHY22で交差する第22軸R22に沿って延在する。第1群の配列A1内で、第12半導体領域52は、分離領域60と第13境界B13を成して、この第13境界B13は、導波路軸Ax1を基準として第13角度PHY13で交差する第13軸R13に沿って延在する。
半導体光偏向器1Bは、所望の偏向を達成するためにより多くの半導体領域を有することができる。第1群の配列A1の半導体領域は、第1n半導体領域(n=1、2、3・・・)として表され、第2群の配列A2の半導体領域は、第2n半導体領域(n=1、2、3・・・)として表される。これら第1群の配列A1の半導体領域及び第2群の配列A2の半導体領域は、導波領域WG内において交互に並び、この配列は、纏めて第mn半導体領域(m=1、2;n=1、2、3・・・)として表される。第mn半導体領域(m=1、2;n=1、2、3・・・)は、第1実施形態の半導体光偏向器1Aの導電性半導体領域と同様に、例えば、三角形、台形などの四角形、又は五角形以上の多角形の平面形状を有することができる。
第1n半導体領域(n=1、2、3・・・)の各々は、第1j境界(j=2n−1;奇数番目の境界)及び第1k境界(k=2n;偶数番目の境界)において分離領域60に接する。導波領域WGの全体において、「n」を用いて表すとき、第1n境界の各々は、導波路軸Ax1に対して第1n角度で交差する第1n軸に沿って延在する。また、第2n半導体領域(n=1、2、3・・・)の各々は、第2j境界(j=2n−1)及び第2k境界(k=2n)において分離領域60に接する。第2n境界は、導波路軸Ax1に対して第2n角度で交差する第2n軸に沿って延在する。
図7の(a)部に示される具体例において、第1群の配列A1では、個々の半導体領域の2つの頂点(第11半導体領域51では頂点51b、51c)が、導波路軸Ax1の左側エリアにおいて基準直線51L上に配列され、他の1つの頂点(第11半導体領域51では頂点51a)が、導波路軸Ax1の右側エリアに位置している。第11境界B11、第12境界B12、第13境界B13、及び第14境界B14は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14で傾斜し、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鋭角、鈍角、鋭角、及び鈍角であることができる。
第2群の配列A2では、個々の半導体領域の2つの頂点(第21半導体領域56では頂点56b、56c)が、導波路軸Ax1の右側エリアにおいて基準直線56L(第21半導体領域56の頂点56bと頂点56cとを通過する直線)上に配列され、他の1つの頂点(第21半導体領域56では頂点56a)が、導波路軸Ax1の左側エリアに位置している。第21境界B21、第22境界B22、第23境界B23、及び第24境界B24は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第21角度PHY21、第22角度PHY22、第23角度PHY23、及び第24角度PHY24で傾斜し、第21角度PHY21、第22角度PHY22、第23角度PHY23、及び第24角度PHY24は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鈍角、鋭角、鈍角、及び鋭角であることができる。
第1群の配列A1と第2群の配列A2とからなる半導体領域の配置においては、第11境界B11、第12境界B12、第21境界B21、及び第22境界B22は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第21角度PHY21、及び第22角度PHY22で傾斜する。特に、第12角度PHY12及び第21角度PHY21は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鈍角及び鈍角であることができる。
別の具体例(図7の(a)部に示される具体例において、導波路軸Ax1を基準にして半導体領域を反転させた配列に係る具体例)では、第1群の配列A1では、個々の半導体領域の2つの頂点(第11半導体領域51では頂点51b、51c)が、導波路軸Ax1の右側エリアにおいて基準直線51L上に配列され、他の1つの頂点(第11半導体領域51では頂点51a)が、導波路軸Ax1の左側エリアに位置している。第11境界B11、第12境界B12、第13境界B13、及び第14境界B14は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14で傾斜し、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第13角度PHY13、及び第14角度PHY14は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鈍角、鋭角、鈍角、及び鋭角であることができる。
別の具体例における第2群の配列A2では、個々の半導体領域の2つの頂点(第21半導体領域56では頂点56b、56c)が、導波路軸Ax1の左側エリアにおいて基準直線56L上に配列され、他の1つの頂点(第21半導体領域56では頂点56a)が、導波路軸Ax1の右側エリアに位置している。第21境界B21、第22境界B22、第23境界B23、及び第24境界B24は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第21角度PHY21、第22角度PHY22、第23角度PHY23、及び第24角度PHY24で傾斜し、第21角度PHY21、第22角度PHY22、第23角度PHY23、及び第24角度PHY24は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鋭角、鈍角、鋭角、及び鈍角であることができる。
別の具体例における第1群の配列A1と第2群の配列A2とからなる半導体領域の配置では、第11境界B11、第12境界B12、第21境界B21、及び第22境界B22は、導波路軸Ax1に対して、それぞれ、第11角度PHY11、第12角度PHY12、第21角度PHY21、及び第22角度PHY22で傾斜する。特に、第12角度PHY12及び第21角度PHY21は、それぞれ、導波路軸Ax1に対して、鋭角及び鋭角であることができる。
以上、具体例及び別の具体例から理解されるように、半導体光偏向器1Bでは、第1n角度(n:偶数)は、鋭角又は鈍角の一方であり、第2n角度(n:奇数)は、鋭角又は鈍角の一方であることができる。第1n角度(n:奇数)は、鋭角又は鈍角の他方であり、第2n角度(n:偶数)は、鋭角又は鈍角の他方であることができる。具体例及び別の具体例から理解されるように、第1n角度(n:偶数)は、鋭角又は鈍角の一方であり、第1n角度(n:奇数)は、鋭角又は鈍角の他方であることができる。また、第2n角度(n:奇数)は、鋭角又は鈍角の一方であり、第2n角度(n:偶数)は、鋭角又は鈍角の他方であることができる。
本実施例の半導体領域の配置では、第12角度PHY12が鈍角であると共に、第21角度PHY21も鈍角であることができるので、第21半導体領域56の第21軸R21と第11半導体領域51の第12軸R12との間に位置する分離領域60は、ストライプ形状となることができる。分離領域60のストライプ幅を小さくすることによって、第21半導体領域56と第11半導体領域51とを互いに近づけることが可能となる。本実施例の半導体領域の配置では、他の半導体領域も、その隣に位置する半導体領域との間の分離領域60のストライプ幅を小さくすることによって、当該隣に位置する半導体領域に近づけることが可能となる。この結果、半導体光偏向器1Bは、第2クラッド層50における第2導電型の半導体領域の配置密度を高めることができる。好適な半導体領域の配列では、分離領域60のストライプ幅は、例えば、5μm〜50μmである。
第1クラッド層30は、第1搭載領域30A及び第2搭載領域30Bを備え、第1搭載領域30A及び第2搭載領域30Bは、導波路軸Ax1に交差する方向(例えば、Ax2方向)に基板10の主面10Aに沿って配列される。第1搭載領域30A上にはコア層40及び第2クラッド層50が搭載され、コア層40、第1クラッド層30内の第1半導体領域31、及び第2クラッド層50内が導波領域WGを構成する。導波領域WG内の第11半導体領域51上には第11電極71が設けられ、第21半導体領域56上には第21電極76が設けられる。第11電極71及び第21電極76は、それぞれ第11半導体領域51及び第21半導体領域56に電気的に接続される。第2搭載領域30B上には、コア層40及び第2クラッド層50が設けられておらず、第1電極70が搭載される。この第1電極70は第1クラッド層30に電気的に接続される。
第2クラッド層50の第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54上には、それぞれ第12電極72、第13電極73、及び第14電極74が設けられる。第12電極72、第13電極73、及び第14電極74は、それぞれ第12半導体領域52、第13半導体領域53、及び第14半導体領域54に電気的に接続される。第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59上には、それぞれ第21電極76、第22電極77、第23電極78、及び第24電極79が設けられる。第21電極76、第22電極77、第23電極78、及び第24電極79は、それぞれ第21半導体領域56、第22半導体領域57、第23半導体領域58、及び第24半導体領域59に電気的に接続される。
コア層40は、基礎コア部分40S、第11コア部分41、及び第21コア部分46を有する。基礎コア部分40Sは、分離領域60の直下に位置し、第11コア部分41は、第2クラッド層50の第11半導体領域51の直下に位置し、第21コア部分46は、第21半導体領域56の直下に位置する。基礎コア部分40S、第11コア部分41、及び第21コア部分46は、同じ半導体を備える。第11コア部分41及び第21コア部分46は、それぞれ、第1電極70と第11電極71との間に印加される電圧、及び第1電極70と第21電極76との間に印加される電圧を受ける。その一方で、基礎コア部分40Sは電圧を受けない。この電圧印加により、第11コア部分41及び第21コア部分46の屈折率が変化する一方で、基礎コア部分40Sの屈折率は変わらない。第2クラッド層50の所望の区画への電圧印加により、コア層40のコア境界(第11半導体領域51と分離領域60との第12境界B12、及び第21半導体領域56と分離領域60との第21境界B21の直下の対応部分)において屈折率差(第11コア部分41の屈折率と基礎コア部分40Sの屈折率との差、及び第21コア部分46の屈折率と基礎コア部分40Sの屈折率との差)が変化する。基礎コア部分40Sの直上に位置する第2クラッド層50の分離領域60と、第11コア部分41及び第21コア部分46の直上にそれぞれ位置する第2クラッド層50の第11半導体領域51及び第21半導体領域56との導電性の有無によって、コア層40の境界において屈折率差が生じる。入射光L1が第12境界B12及び第21境界B21を通過する際に、入射光L1の光路が導波路軸Ax1方向から偏向する。
第2実施形態に係る半導体光偏向器1Bは、以下のものである。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第1n半導体領域:p型InP層、厚み1μm〜2μm。
分離領域60:i型InP層、厚み1μm〜2μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1n電極及び第2n電極:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
上記の分離領域60は、i型InPのほかに、例えば、樹脂体、シリコン酸化物(例えば、SiO2)、又はシリコン窒化物(例えば、SiN)を含むことができる。
基板10:Feドープ半絶縁性InP。
第1クラッド層30:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層40:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
第1n半導体領域:p型InP層、厚み1μm〜2μm。
分離領域60:i型InP層、厚み1μm〜2μm。
第1電極70:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1n電極及び第2n電極:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
上記の分離領域60は、i型InPのほかに、例えば、樹脂体、シリコン酸化物(例えば、SiO2)、又はシリコン窒化物(例えば、SiN)を含むことができる。
図7の(a)部を参照すると、第2実施形態では、第2クラッド層50のための導電性半導体領域の平面形状は、第1実施形態と同様に、導波領域WGにおいて導波路軸Ax1に対して所望の角度で傾斜する境界を実現できる形状を有することができる。本実施例では、第11半導体領域51の頂点51bと頂点51cとの距離は、例えば、40μm〜400μmであり、頂点51aから頂点51bと頂点51cとを通過する線への距離は、例えば、20μm〜200μmであることができる。第11半導体領域51と第21半導体領域56とに挟まれた分離領域60の幅は、例えば、5μm〜50μmである。第11半導体領域51〜第24半導体領域59のための平面形状は、第1実施形態の第2クラッド層50の導電性半導体領域の平面形状と同様に、正三角形又は二等辺三角形といった形状であることができる。
第2実施形態では、光の偏向の一形態を実現するために、例えば、第1群の配列A1内の第11半導体領域51〜第14半導体領域54に第1電圧(=VDC+V1)を印加すると共に、第2群の配列A2内の第21半導体領域56〜第24半導体領域59にVDC−V1の電圧を印加することができる。半導体光偏向器1Bでは、例えば、第1群の配列A1への第1電圧の印加が、第1群の配列A1内の第11半導体領域51〜第14半導体領域54下の第11コア部分41〜第14コア部分44に電気光学効果を引き起こして、第11コア部分41〜第14コア部分44の屈折率が変化する。導波路軸Ax1に沿って導波領域WGに入射した入射光L1は、第11境界B11〜第18境界B18の全てを通過した結果、導波路軸Ax1を基準にして角度BETAで傾斜した向きに伝播する。図7の(a)部において、角度BETAは、導波路軸Ax1を基準として左方向に規定される。
光の偏向の別形態では、例えば、第2群の配列A2内の第21半導体領域56〜第24半導体領域59に第2電圧(=VDC−V2>0)を印加すると共に、第1群の配列A1内の第11半導体領域51〜第14半導体領域54にVDC+V2の電圧を印加することができる。半導体光偏向器1Bでは、例えば、第2群の配列A2への第2電圧の印加が、第2群の配列A2内の第21半導体領域56〜第24半導体領域59下の第21コア部分46〜第24コア部分49に電気光学効果を引き起こして、第21コア部分46〜第24コア部分49の屈折率が変化する。導波路軸Ax1に沿って導波領域WGに入射した入射光L1は、第21境界B21〜第28境界B28の全てを通過した結果、導波路軸Ax1を基準にして角度GAMMAで傾斜した向きに伝播する。角度GAMMAは、導波路軸Ax1を基準として右方向に規定される。
本実施例では、第1群の配列A1への電圧印加と第2群の配列A2への電圧印加とを切り替えることにより、半導体光偏向器1Bは、導波路軸Ax1の右方向及び左方向のいずれか一方向に入射光L1を偏向させることを選択可能である。必要な場合には、2つの電圧印加を組み合わせることや、2つの電圧印加を同時に行うことが可能である。V1の大きさ(=|V1|)がV2の大きさ(=|V2|)に比べて大きいような電圧の印加方式では、第1群の配列A1の第11コア部分41における屈折率変化は、第2群の配列A2の第11コア部分41における屈折率変化に比べて大きく、角度BETAは角度GAMMAに比べて大きい。
(第3の実施の形態)
図8は、第3実施形態に係る半導体光偏向器の平面図を模式的に示す図である。図9は、半導体光偏向器の断面図を示す図であり、図9の(a)部は、図8に示されるIXa−IXa線に沿ってとられた断面図であり、図9の(b)部は、図8に示されるIXb−IXb線に沿ってとられた断面図である。図8及び図9には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図8は、第3実施形態に係る半導体光偏向器の平面図を模式的に示す図である。図9は、半導体光偏向器の断面図を示す図であり、図9の(a)部は、図8に示されるIXa−IXa線に沿ってとられた断面図であり、図9の(b)部は、図8に示されるIXb−IXb線に沿ってとられた断面図である。図8及び図9には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図9の(a)部に示されるように、図8のIXa−IXa線に沿ってとられた断面では、半導体光偏向器1Cは、第2実施形態に係る半導体光偏向器1Bと同様に、基板10と、基板10の主面10A上に設けられた積層体20とを備える。積層体20は、第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50を有する。第1クラッド層30、コア層40、及び第2クラッド層50は、この順に基板10上に搭載される。第1クラッド層30は、第1導電型の第1半導体領域31を含み、第2クラッド層50は、例えば、第2導電型の第12半導体領域52を含む。基板10上に分離領域60が設けられ、この分離領域60は、第1半導体領域31、コア層40、及び第12半導体領域52の側面を覆っている。絶縁のために、分離領域60は、例えば、樹脂体を含むことができ、第12半導体領域52より大きな比抵抗を有する。
図9の(b)部に示されるように、図8のIXb−IXb線に沿ってとられた断面では、半導体光偏向器1Cは、基板10と、基板10の主面10A上に設けられた積層体20Cを備える。積層体20Cは、第1クラッド層30及びコア層40を有する。第1クラッド層30及びコア層40は、この順に基板10上に搭載される。第1クラッド層30は、第1導電型の第1半導体領域31を含み、第1クラッド層30上にバイアス電極80が設けられる。バイアス電極80が設けられる理由は、バイアス電圧(VDC)を印加するためである。基板10上に分離領域60が設けられ、この分離領域60は、第1半導体領域31、コア層40、及びバイアス電極80を覆っている。
半導体光偏向器1Cは、第2クラッド層50の導電性半導体領域に関しては、第2実施形態に係る半導体光偏向器1Bと同様に、第1群の配列A1及び第2群の配列A2を備える。半導体光偏向器1Cは、第1群の配列A1の第11半導体領域51〜第14半導体領域54に電圧を印加するための第1の進行波型電極81Sと、第2群の配列A2の第21半導体領域56〜第24半導体領域59に電圧を印加するための第2の進行波型電極82Sと、第1の進行波型電極81S及び第2の進行波型電極82Sの一端に接続された信号源83とを備える。第1の進行波型電極81S及び第2の進行波型電極82Sは、これらの電極を伝播する高周波信号(マイクロ波帯の電気信号)の速度が導波領域WG内のコア層40を伝播する入射光L1の伝播速度に同じになるような電極構造を備えている。
第11電極71〜第14電極74は、第1の進行波型電極81Sに接続され、第11半導体領域51〜第14半導体領域54に電気的に接触される。第21電極76〜第24電極79は、第2の進行波型電極82Sに接続され、第21半導体領域56〜第24半導体領域59に電気的に接触される。半導体光偏向器1Cは、第1の進行波型電極81S及び第2の進行波型電極82Sの外側に、それぞれ、第1のグランド電極81G及び第2のグランド電極82Gを備える。第1の進行波型電極81S、第2の進行波型電極82S、第1のグランド電極81G、及び第2のグランド電極82Gは、分離領域60上に設けられる。
第1の進行波型電極81S、第1のグランド電極81G、第2の進行波型電極82S、及び第2のグランド電極82Gの各幅は、例えば、10μm〜100μmである。第1の進行波型電極81Sと第1のグランド電極81Gとの間隔及び第2の進行波型電極82Sと第2のグランド電極82Gとの間隔の各々は、例えば、20μm〜200μmである。第1の進行波型電極81Sと第2の進行波型電極82Sとの間隔は、例えば、40μm〜400μmである。半導体光偏向器1Cは、終端抵抗84を有し、この終端抵抗84は、第1の進行波型電極81S、第2の進行波型電極82S、第1のグランド電極81G、及び第2のグランド電極82Gの他端に接続される。終端抵抗84は、例えば100Ωを有する。
第1の進行波型電極81S、第2の進行波型電極82S、第1のグランド電極、第2のグランド電極、及びバイアス電極80の具体例を示す。
第1の進行波型電極81S:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第2の進行波型電極82S:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1のグランド電極81G:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第2のグランド電極82G:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
バイアス電極80:Ti/Pt/Au合金、厚み10μm〜100μmである。
第1の進行波型電極81S:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第2の進行波型電極82S:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第1のグランド電極81G:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
第2のグランド電極82G:Ti/Pt/Au合金、厚み1μm〜10μm。
バイアス電極80:Ti/Pt/Au合金、厚み10μm〜100μmである。
(第4の実施の形態)
図10は、第4実施形態に係る半導体光スイッチを模式的に示す図である。図10の(a)部は、第4実施形態に係る半導体光スイッチの平面図を示し、図10の(b)部は、図10の(a)部に示されるXb−Xb線に対応する断面図であり、入力光導波路の断面図を示す。図10には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図10は、第4実施形態に係る半導体光スイッチを模式的に示す図である。図10の(a)部は、第4実施形態に係る半導体光スイッチの平面図を示し、図10の(b)部は、図10の(a)部に示されるXb−Xb線に対応する断面図であり、入力光導波路の断面図を示す。図10には、第1実施形態に係る図1と同様に、直交座標系SRが描かれている。
図10の(a)部に示されるように、半導体光スイッチ2は、第1導波路デバイス3、半導体光偏向器1D、及び第2導波路デバイス4を備える。第1導波路デバイス3は半導体光偏向器1Dの入力に光学的に結合され、半導体光偏向器1Dの出力は第2導波路デバイス4に光学的に結合される。本実施例では、第1導波路デバイス3は、一又は複数の入力光導波路(具体的には、1つの入力光導波路3A)を備え、また、第2導波路デバイス4は、複数の出力光導波路(具体的には、4つの出力光導波路4A〜4D)を備える。半導体光スイッチ2では、入力光導波路3Aからの入射光LINが半導体光偏向器1Dに入力される。半導体光偏向器1Dは、入射光LINを偏向して、光LOUTを生成する。光LOUTは、4つの出力光導波路4A〜4Dのうちの1つの出力光導波路(例えば、出力光導波路4B)に到達する。この半導体光スイッチ2は、半導体光偏向器1Dへの印加電圧の強度調整によって、1つの入力光導波路から4つの出力光導波路への光路が切り替わる1×4光スイッチ動作を行うことができる。
本実施例では、入力光導波路3Aは光出力端を有し、この光出力端は、例えば、レンズ形状を有することができる。また、出力光導波路4A〜4Dの各々は、それぞれ光入力端を有し、この光入力端も、例えば、レンズ形状を有することができる。半導体光偏向器1Dでは、図10の(a)部に示されるように、第11半導体領域51D〜第14半導体領域54D、及び第21半導体領域56D〜第24半導体領域59Dのサイズが次第に大きくなっている。半導体光スイッチ2は、半導体光偏向器1Dに替えて、第1実施形態に係る半導体光偏向器1A、第2実施形態に係る半導体光偏向器1B及び第3実施形態に係る半導体光偏向器1Cの少なくともいずれか1つを備えることができる。
図10の(b)部に示されるように、入力光導波路3Aは、基板3aと、基板3aの主面上に設けられた半導体積層3bを備える。半導体積層3bは、下部クラッド層3c、コア層3d、及び上部クラッド3eを有する。下部クラッド層3c、コア層3d、及び上部クラッド3eは、この順に基板3a上に搭載される。入射光LINは、コア層3dから生成される。入力光導波路3Aは、以下のものである。
基板3a:Feドープ半絶縁性InP。
下部クラッド層3c:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層3d:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
上部クラッド3e:p型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
基板3a:Feドープ半絶縁性InP。
下部クラッド層3c:n型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
コア層3d:InGaAsP/InPを含むi型多重量子井戸(MQW)層、厚み0.1μm〜0.5μm。
上部クラッド3e:p型InP層、厚み0.5μm〜2μm。
以上、好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置及び詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲及びその精神の範囲から来る全ての修正及び変更に権利を請求する。
本実施形態の一側面によれば、光偏向器に印加される電圧から強度の大きな電界を生成可能な半導体光偏向器を提供することを目的とする。本実施形態の別側面によれば、上記の半導体光偏向器を用いた半導体光スイッチを提供することを目的とする。
1A、1B、1C、1D…半導体光偏向器、2…半導体光スイッチ、3A…入力光導波路、4A、4B、4C、4D…出力光導波路、10…基板、10A…主面、20…積層体、30…第1クラッド層、40…コア層、50…第2クラッド層、51…第11半導体領域、52…第12半導体領域、56…第21半導体領域、60…分離領域、70…第1電極、71…第11電極、72…第12電極、76…第21電極、Ax1…導波路軸、B11…第11境界、B12…第12境界、B13…第13境界、B21…第21境界、PHY11…第11角度、PHY12…第12角度、PHY13…第13角度、PHY21…第21角度、R11…第11軸、R12…第12軸、R13…第13軸、R21…第21軸、WG…導波領域。
Claims (8)
- 半導体光偏向器であって、
第1導電型の第1半導体領域を含む第1クラッド層、第2導電型の第11半導体領域と前記第11半導体領域より大きな比抵抗を有する分離領域とを含む第2クラッド層、及び前記第1クラッド層と前記第2クラッド層との間に設けられたコア層を備える積層体と、
前記第1クラッド層に電気的に接続された第1電極と、
前記第2クラッド層の前記第11半導体領域に電気的に接続された第11電極と、
前記第1クラッド層、前記コア層及び前記第2クラッド層を搭載する主面を有する基板と、
を備え、
前記積層体は、導波路軸の方向に延在し所定の幅を有する導波領域を含み、
前記第11半導体領域は、前記導波路軸に対して第11角度で交差する第11軸に沿って延在する第11境界を有し、
前記第11半導体領域及び前記分離領域は、前記導波路軸に対して第12角度で傾斜した第12軸に沿って延在する第12境界を成しており、前記第12角度は鋭角及び鈍角の一方である、半導体光偏向器。 - 前記第2クラッド層は、前記第2導電型の第12半導体領域を含み、
前記分離領域及び前記第12半導体領域は、前記導波路軸に対して傾斜した第13軸に沿って延在する第13境界を成しており、
当該半導体光偏向器は、前記第2クラッド層の前記第12半導体領域に電気的に接続された第12電極を更に備える、請求項1に記載の半導体光偏向器。 - 前記第13軸は前記導波路軸に対して第13角度で傾斜し、
前記第13角度は鋭角及び鈍角の他方であり、
前記分離領域は、前記導波路軸上を前記第12境界から前記第13境界まで延在する、請求項2に記載の半導体光偏向器。 - 前記第2クラッド層は、前記第2導電型の第21半導体領域を含み、
前記分離領域及び前記第21半導体領域は、前記導波路軸に対して傾斜した第21軸の方向に沿って延在する第21境界において互いに接しており、
当該半導体光偏向器は、前記第2クラッド層の前記第21半導体領域に電気的に接続された第21電極を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の半導体光偏向器。 - 前記第21軸は前記導波路軸に対して第21角度で傾斜し、
前記第21角度は、鋭角及び鈍角の一方であり、
前記分離領域は、前記導波路軸上を前記第12境界から前記第21境界まで延在する、請求項4に記載の半導体光偏向器。 - 前記分離領域は、樹脂体を備える、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体光偏向器。
- 前記分離領域は、i型半導体を備える、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の半導体光偏向器。
- 請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の前記半導体光偏向器と、
前記半導体光偏向器に光学的に結合される入力光導波路と、
前記半導体光偏向器に光学的に結合される複数の出力光導波路と、
を備える、半導体光スイッチ。
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