JP2017072645A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート部材の使用量を削減すると共に、定着ベルトの内周面とシート部材の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給する。
【解決手段】本発明の定着装置は、定着ベルト22と、定着ベルト22に圧接して定着ニップNを形成する加圧部材23と、定着ベルト22を加圧部材23側に向かって押圧する押圧部材26と、押圧部材26の定着ニップN側の面を覆い、定着ベルト22の内周面と摺接するシート部材27と、を備え、押圧部材26とシート部材27は、押圧部材26の成型時に一体化され、押圧部材26には、定着ニップN側の面から定着ニップNとは反対側の面まで貫通する貫通穴69が設けられ、貫通穴69に潤滑剤Luが注入されていることを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】本発明の定着装置は、定着ベルト22と、定着ベルト22に圧接して定着ニップNを形成する加圧部材23と、定着ベルト22を加圧部材23側に向かって押圧する押圧部材26と、押圧部材26の定着ニップN側の面を覆い、定着ベルト22の内周面と摺接するシート部材27と、を備え、押圧部材26とシート部材27は、押圧部材26の成型時に一体化され、押圧部材26には、定着ニップN側の面から定着ニップNとは反対側の面まで貫通する貫通穴69が設けられ、貫通穴69に潤滑剤Luが注入されていることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、記録媒体にトナー像を定着させる定着装置と、この定着装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、複写機やプリンターなどの電子写真方式の画像形成装置は、用紙などの記録媒体にトナー像を定着させる定着装置を備えている。
例えば、特許文献1には、定着ベルトと、定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、定着ベルトを加圧部材側に向かって押圧する押圧部材と、押圧部材に巻き付けられるシート部材と、を備えた定着装置が開示されている。上記のシート部材は、潤滑剤を含浸した繊維材料によって形成されている。
上記のように押圧部材にシート部材を巻き付けると、シート部材の使用量が増加する。シート部材は、一般的に比較的高価な材料(例えば、フッ素系の繊維材料)によって形成されているため、上記のようにシート部材の使用量が増加すると、定着装置の製造コストが上昇する恐れがある。
また、シート部材に含浸されている潤滑剤の量は、定着装置の使用が進むにつれて、徐々に減少していく。そのため、定着装置を長期間使用すると、シート部材に含浸されている潤滑剤の量が著しく減少し、定着ベルトの内周面とシート部材の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給できなくなる恐れがある。
そこで、本発明は上記事情を考慮し、シート部材の使用量を削減すると共に、定着ベルトの内周面とシート部材の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給することを目的とする。
本発明の定着装置は、定着ベルトと、前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する押圧部材と、前記押圧部材の前記定着ニップ側の面を覆い、前記定着ベルトの内周面と摺接するシート部材と、を備え、前記押圧部材と前記シート部材は、前記押圧部材の成型時に一体化され、前記押圧部材には、前記定着ニップ側の面から前記定着ニップとは反対側の面まで貫通する貫通穴が設けられ、前記貫通穴に潤滑剤が注入されていることを特徴とする。
上記のように押圧部材とシート部材を押圧部材の成型時に一体化することで、押圧部材にシート部材を巻き付けることなく、押圧部材にシート部材を固定することが可能となる。これに伴って、シート部材の使用量を削減することができ、定着装置の製造コストを低下させることが可能となる。
また、上記のように貫通穴に潤滑剤が注入されることで、貫通穴からシート部材に潤滑剤を供給することが可能となる。そのため、定着装置を長期間使用するような場合でも、シート部材に含浸されている潤滑剤の量が著しく減少するのを防止することが可能となり、定着ベルトの内周面とシート部材の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給することができる。
前記押圧部材は、前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する本体部と、前記本体部の前記定着ニップとは反対側の面から突出する突出部と、を備え、前記貫通穴は、前記本体部及び前記突出部を貫通していても良い。
このような構成を採用することで、貫通穴が本体部のみを貫通しているような場合と比較して、貫通穴の容積を広くすることが可能となり、貫通穴に注入される潤滑剤の量を多くすることができる。
前記定着装置は、前記押圧部材に対して前記定着ニップとは反対側に設けられる支持部材を更に備え、前記支持部材の前記定着ニップ側の壁部には、取付穴が設けられ、前記突出部は、前記取付穴を貫通していても良い。
このような構成を採用することで、突出部を利用して、支持部材に対して押圧部材を位置決めすることが可能となる。
前記定着装置は、前記押圧部材に対して前記定着ニップとは反対側に設けられる支持部材を更に備え、前記押圧部材は、前記本体部の前記定着ニップとは反対側の面から突出する当接突部を更に備え、前記当接突部は、前記支持部材の前記定着ニップ側の壁部に当接していても良い。
このような構成を採用することで、押圧部材の変形を抑制することが可能となる。
前記突出部及び前記貫通穴は、前記定着ベルトの回転軸方向に間隔をおいて複数設けられ、前記各貫通穴に潤滑剤が注入されていても良い。
このような構成を採用することで、定着ベルトの回転軸方向における潤滑剤の量の偏りを抑制することが可能となる。
前記シート部材は、前記定着ベルトの回転方向における長さが前記定着ニップよりも長くなるように形成され、前記定着ベルトの回転方向における前記定着ニップの上流側及び下流側において前記押圧部材の一部を巻き込むように設けられていても良い。
このような構成を採用することで、定着ベルトが押圧部材に対して直接摺動するような事態を回避することができ、定着ベルトの摺動負荷の上昇を抑制することが可能となる。
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの定着装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、シート部材の使用量を削減すると共に、定着ベルトの内周面とシート部材の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給することが可能となる。
まず、図1を用いて、プリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。以下、図1における紙面手前側を、プリンター1の前側とする。各図に適宜付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれプリンター1の前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。
プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には、用紙(記録媒体)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられている。プリンター本体2の上面には、排紙トレイ4の側方に上カバー5が開閉可能に取り付けられ、上カバー5の下方にはトナーコンテナ6が収納されている。
プリンター本体2の上部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器7が排紙トレイ4の下方に配置され、露光器7の下方には、画像形成部8が設けられている。画像形成部8には、像担持体である感光体ドラム10が回転可能に設けられており、感光体ドラム10の周囲には、帯電器11と、現像器12と、転写ローラー13と、クリーニング装置14とが、感光体ドラム10の回転方向(図1の矢印X参照)に沿って配置されている。
プリンター本体2の内部には、用紙の搬送経路15が設けられている。搬送経路15の上流端には給紙部16が設けられ、搬送経路15の中流部には、感光体ドラム10と転写ローラー13によって構成される転写部17が設けられ、搬送経路15の下流部には定着装置18が設けられ、搬送経路15の下流端には排紙部19が設けられている。搬送経路15の下方には、両面印刷用の反転経路20が形成されている。
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置18の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器11によって感光体ドラム10の表面が帯電された後、露光器7からのレーザー光(図1の二点鎖線P参照)により感光体ドラム10に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、現像器12がトナーによりトナー像に現像する。
一方、給紙部16によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部17へと搬送され、転写部17において感光体ドラム10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路15を下流側へと搬送されて定着装置18に進入し、この定着装置18において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙部19から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム10上に残留したトナーは、クリーニング装置14によって回収される。
次に、図2〜図5を用いて、定着装置18について詳細に説明する。各図に適宜付される矢印Yは、用紙の搬送方向を示している。各図に適宜付される矢印Iは前後方向内側を示し、各図に適宜付される矢印Oは前後方向外側を示している。
図2、図3に示されるように、定着装置18は、箱型形状の定着フレーム21(図3では図示略)と、定着フレーム21の上部に収容される定着ベルト22と、定着フレーム21の下部に収容され、定着ベルト22の下側(外径側)に配置される加圧ローラー23(加圧部材)と、定着ベルト22の内径側の空間の上部に配置されるヒーター24(熱源)と、定着ベルト22の内径側の空間においてヒーター24の下側に配置される反射部材25と、定着ベルト22の内径側の空間の下部に配置される押圧パッド26(押圧部材)と、定着ベルト22の内径側の空間において押圧パッド26の下側に配置されるシート部材27と、定着ベルト22の内径側の空間において押圧パッド26の上側に配置される支持部材28と、定着ベルト22とヒーター24の間に設けられるカバー部材29と、定着ベルト22の前後両端部に装着される規制部材30(図2では図示略)と、を備えている。
図2に示されるように、定着フレーム21は、上フレーム部33と下フレーム部34によって構成されている。上フレーム部33には、定着ベルト22の過昇温を防止するためのサーモカット35(過昇温防止装置)が設けられている。
定着ベルト22は、前後方向に長い略円筒状を成している。定着ベルト22は、前後方向に延びる回転軸Aの周りを回転可能に設けられている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ベルト22の回転軸方向である。
定着ベルト22は、可撓性を有しており、周方向には無端状である。定着ベルト22は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、を備えている。定着ベルト22の基材層は、例えばSUSなどの金属によって形成されている。なお、定着ベルト22の基材層は、PI(ポリイミド)などの樹脂によって形成されていても良い。定着ベルト22の基材層の内周面には、フッ素系樹脂のコーティングが施されている。定着ベルト22の弾性層は、例えば厚さ270μmのシリコンゴムによって形成されている。定着ベルト22の離型層は、例えば厚さ20μmのPFAチューブによって形成されている。
図3に示されるように、定着ベルト22は、通過領域R1と、通過領域R1の前後両外側にそれぞれ設けられる非通過領域R2と、を備えている。通過領域R1は、最大サイズの用紙(例えば、A3サイズの用紙)が通過する領域であり、非通過領域R2は、最大サイズの用紙が通過しない領域である。
図2に示されるように、加圧ローラー23は、前後方向に長い略円柱状を成している。加圧ローラー23は、定着ベルト22に圧接しており、定着ベルト22と加圧ローラー23の間には定着ニップNが形成されている。加圧ローラー23は、モーターなどによって構成される駆動源50に接続されており、駆動源50によって加圧ローラー23を回転させるように構成されている。
加圧ローラー23は、例えば、円柱状の芯材51と、この芯材51に周設される弾性層52と、この弾性層52を被覆する離型層(図示せず)と、を備えている。加圧ローラー23の芯材51は、例えば、鉄等の金属によって形成されている。加圧ローラー23の弾性層52は、例えば、シリコンゴムによって形成されている。加圧ローラー23の離型層は、例えば、PFAチューブによって形成されている。
ヒーター24は、例えば、ハロゲンヒーターによって構成されている。ヒーター24は、前後方向に長い形状を成している。ヒーター24は、定着ベルト22の回転軸Aに対して上側(加圧ローラー23から離間する側)に偏った位置に設けられている。
図3に示されるように、ヒーター24は、フィラメント54(熱放射部)と、フィラメント54をハロゲンガスと共に収容する収容部56と、収容部56の前後両外側にそれぞれ設けられる封止部57と、を備えている。フィラメント54は、例えば、タングステンによって形成されており、コイル状を成している。フィラメント54は、ヒーター24の通電に伴って発熱し、輻射熱を放射するように構成されている。収容部56は、例えば、石英ガラスによって形成されている。各封止部57は、収容部56の前後両端部をそれぞれ封止している。
図2に示されるように、反射部材25は、上側(加圧ローラー23から離間する側)に向かって凸となる略コ字状の断面を有している。反射部材25は、前後方向に長い形状を成している。反射部材25は、例えば、光輝アルミニウム等の金属によって形成されている。反射部材25は、ヒーター24と支持部材28の間に配置されている。
反射部材25は、用紙の搬送方向に沿って設けられる反射板部59と、反射板部59の左右両端部(用紙の搬送方向における上流側と下流側の端部)から下方に向かって屈曲されるガイド板部60と、を備えている。反射板部59の上面は、ヒーター24に対向している。
押圧パッド26は、前後方向に長い形状を成している。つまり、本実施形態では、前後方向が押圧パッド26の長手方向である。押圧パッド26は、例えば、LCP(液晶ポリマー)等の耐熱性樹脂によって形成されている。
図4、図5等に示されるように、押圧パッド26は、本体部65と、本体部65の上面65U(定着ニップNとは反対側の面)の左右両側部から上側(定着ニップNとは反対側)に向かって突出する複数の当接突部66と、本体部65の上面65Uの左右方向中央部から上側(定着ニップNとは反対側)に向かって突出する複数の突出部68と、を備えている。
押圧パッド26の本体部65は、前後方向に長い平板状を成している。本体部65の下面65Lo(定着ニップN側の面)は、加圧ローラー23の外周面に沿って円弧状に湾曲している。本体部65の下面65Loは、シート部材27を介して定着ベルト22を下側(加圧ローラー23側)に向かって押圧している。本体部65の下面65Loと右側面65R(用紙の搬送方向における上流側の面)の間と、本体部65の下面65Loと左側面65L(用紙の搬送方向における下流側の面)の間には、円弧状に湾曲する湾曲部70がそれぞれ設けられている。
押圧パッド26の複数の当接突部66は、左右一対で設けられると共に、前後方向に間隔をおいて複数セット設けられている。各当接突部66は、前後方向に長い形状を成している。
押圧パッド26の複数の突出部68は、前後方向に間隔をおいて設けられている。複数の突出部68は、本体部65の上面65Uの前部、後部及び前後方向中央部に設けられている。各突出部68は、前後方向の位置が各当接突部66とは重ならないように配置されている。本体部65の上面65Uからの各突出部68の突出長さは、本体部65の上面65Uからの各当接突部66の突出長さよりも長い。
押圧パッド26には、複数の貫通穴69が前後方向に間隔をおいて設けられている。各貫通穴69は、各突出部68と対応する位置に設けられており、本体部65及び各突出部68を貫通している。そのため、各突出部68は、円筒状を成している。各貫通穴69は、本体部65の下面65Lo(定着ニップN側の面)から各突出部68の上面68U(定着ニップNとは反対側の面)まで設けられている。なお、各貫通穴69は、各当接突部66と対応する位置には設けられていない。各貫通穴69には、定着装置18の使用開始前に予め潤滑剤(図5の矢印Lu参照)が注入されている。この潤滑剤は、例えば、シリコーン系のオイル又はグリスによって構成されている。
図5等に示されるように、シート部材27は、押圧パッド26の本体部65の下面65Lo(定着ニップN側の面)を全体的に覆っており、定着ベルト22の内周面と摺接している。シート部材27は、例えばPTFEなどのフッ素系の繊維材料によって形成されており、押圧パッド26よりも摩擦係数が小さい。シート部材27には、定着装置18の使用開始前に予め潤滑剤が含浸されている。
シート部材27は、第1シート部71と、第1シート部71の左右両側に設けられる第2シート部72と、を備えている。
シート部材27の第1シート部71は、定着ベルト22の回転方向(図5の矢印C参照)における位置が定着ニップNと対応している。第1シート部71は、定着ベルト22の内周面と押圧パッド26の本体部65の下面65Loの間に挟み込まれている。なお、第1シート部71には、押圧パッド26の貫通穴69と対応する位置に穴は設けられていない。つまり、押圧パッド26の貫通穴69は、第1シート部71を貫通していない。
シート部材27の各第2シート部72は、定着ベルト22の回転方向における第1シート部71の上流側と下流側に設けられており、定着ベルト22の回転方向における位置が定着ニップNとは対応していない。つまり、シート部材27は、定着ベルト22の回転方向における長さが、各第2シート部72の分だけ定着ニップNよりも長くなるように形成されている。各第2シート部72は、定着ベルト22の回転方向における定着ニップNの上流側及び下流側において、押圧パッド26の本体部65の各湾曲部70を巻き込むように設けられている。各第2シート部72の上端部(第1シート部71から離間する側の端部)は、押圧パッド26の本体部65の右側面65R及び左側面65Lで止まっており、押圧パッド26の本体部65の上面65Uまでは到達していない。
図2に示されるように、支持部材28は、押圧パッド26に対して上側(定着ニップNとは反対側)に設けられている。支持部材28は、前後方向に長い略四角筒状(断面ロの字状)を成している。支持部材28の上部は、反射部材25の各ガイド板部60の間に挿入されている。
支持部材28は、第1支持板91と第2支持板92を組み合わせて溶接することで形成されている。第1支持板91と第2支持板92は、SECC(亜鉛メッキ鋼板)等から成るL字状の板金によって形成されており、互いに別体に設けられている。
支持部材28の第1支持板91は、用紙の搬送方向に沿って延びる第1搬送方向壁部93と、第1搬送方向壁部93の右端部(用紙の搬送方向における上流側の端部)から略直角に屈曲され、用紙の搬送方向とは直交(交差)する方向に沿って上側(定着ニップNとは反対側)に向かって延びる第1交差方向壁部94と、を備えている。
支持部材28の第1支持板91の第1搬送方向壁部93は、支持部材28全体の定着ニップN側の壁部に相当する。第1搬送方向壁部93の下面(定着ニップN側の面)には、押圧パッド26の各当接突部66の上端部が当接している。これにより、支持部材28によって押圧パッド26が支持されており、押圧パッド26の変形が規制されている。第1搬送方向壁部93の左右方向中央部には、前後方向に間隔をおいて取付穴97が複数個(例えば、3個)設けられており、各取付穴97を押圧パッド26の各突出部68が貫通している。これにより、押圧パッド26が支持部材28に対して位置決めされている。
支持部材28の第2支持板92は、用紙の搬送方向に沿って延びる第2搬送方向壁部95と、第2搬送方向壁部95の左端部(用紙の搬送方向における下流側の端部)から略直角に屈曲され、用紙の搬送方向とは直交(交差)する方向に沿って下側(定着ニップN側)に向かって延びる第2交差方向壁部96と、を備えている。
支持部材28の第2支持板92の第2搬送方向壁部95は、支持部材28全体の定着ニップNとは反対側の壁部に相当する。第2搬送方向壁部95の右端部は、第1支持板91の第1交差方向壁部94の上端部に固定されている。第2支持板92の第2交差方向壁部96の下端部は、第1支持板91の第1搬送方向壁部93の左端部に固定されている。
各カバー部材29は、例えば、SUS等の金属によって形成されている。図3に示されるように、各カバー部材29は、定着ベルト22の非通過領域R2と前後方向の位置が重なるように設けられている。
図2、図3に示されるように、各カバー部材29は、湾曲部100と、湾曲部100の左右両端部(用紙の搬送方向における両端部)から屈曲され、用紙の搬送方向とは直交(交差)する方向に沿って下側(定着ニップN側)に向かって延びる一対の取付部101と、を備えている。
各カバー部材29の湾曲部100は、定着ベルト22の内周面に沿って円弧状に湾曲しており、定着ベルト22の内周面と間隔を介して対向している。湾曲部100の前後方向内側の部分には、周方向に間隔をおいてスリット102が複数個(例えば3個)設けられている。各スリット102は、前後方向に延びる長穴状を成している。
各カバー部材29の各取付部101は、平板状に設けられている。各取付部101の下部の前後方向外側の部分は、ビス103を介して支持部材28の左右両側面に取り付けられている。各取付部101の下部の前後方向内側の隅部には、凹溝104が設けられている。
各カバー部材29の前後方向外側の端部には、湾曲部100及び各取付部101に跨って、切欠部105が形成されている。切欠部105は、ヒーター24の封止部57と前後方向の位置が重なるように設けられている。切欠部105の前後方向内側の端部は、封止部57の前後方向内側の端部と前後方向の位置が一致している。切欠部105の前後方向外側の端部(各カバー部材29全体の前後方向外側の端部にも相当する)は、封止部57の前後方向外側の端部よりも前後方向内側に位置している。
図3に示されるように、各規制部材30は、各カバー部材29よりも前後方向外側に配置されている。各規制部材30は、規制片108と、規制片108に取り付けられるリング片109と、を備えている。
各規制部材30の規制片108は、基台部110と、基台部110の前後方向内側の面に突設される挿入部111と、を備えている。規制片108には、基台部110と挿入部111を貫通するガイド穴112が前後方向に沿って設けられており、このガイド穴112をヒーター24及び支持部材28が貫通している。挿入部111は、ガイド穴112の外周に沿って湾曲しており、円弧状(下向きC字状)を成している。挿入部111は、定着ベルト22の前後両端部に挿入されている。これにより、定着ベルト22の形状が規制されている(定着ベルト22の変形が抑制されている)。
各規制部材30のリング片109は、円環状を成している。リング片109は、規制片108の挿入部111の外周に装着されている。リング片109は、定着ベルト22の前後両端部の前後方向外側に配置されており、定着ベルト22の蛇行(前後方向外側への移動)を規制している。
上記のように構成された定着装置18において、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動源50によって加圧ローラー23を回転させる(図2の矢印B参照)。このように加圧ローラー23が回転すると、加圧ローラー23に圧接する定着ベルト22が加圧ローラー23とは逆方向に従動回転する(図2の矢印C参照)。このように定着ベルト22が回転すると、定着ベルト22がシート部材27に対して摺動する。
また、用紙にトナー像を定着させる際には、ヒーター24を通電させる。このようにヒーター24が通電すると、ヒーター24のフィラメント54から輻射熱が放射される。ヒーター24のフィラメント54から放射された輻射熱の一部は、定着ベルト22の内周面に直接照射され、吸収される。また、ヒーター24のフィラメント54から放射された輻射熱の別の一部は、反射部材25の反射板部59の上面によって定着ベルト22の内周面に向かって反射され、定着ベルト22の内周面に吸収される。以上のような作用により、ヒーター24によって定着ベルト22が加熱される。この状態で、用紙が定着ニップNを通過すると、トナー像が加熱されて溶融し、用紙にトナー像が定着される。
次に、押圧パッド26の成型方法の一例について、図6〜図9を用いて説明する。
まず、図6に示されるように、押圧パッド26を成型するための金型81の底部に、シート部材27を敷く。この時、シート部材27にしわがよるのを抑制するために、シート部材27の前部、後部及び前後方向中央部を、複数のピン82で上から押さえる。次に、図7に示されるように、金型81に樹脂を流し込んで、押圧パッド26を成型する。この時に、押圧パッド26とシート部材27が一体化されると共に、各ピン82と対応する部分に各貫通穴69が形成される。次に、図8に示されるように、押圧パッド26及びシート部材27から金型81を分離する。最後に、図9に示されるように、各ピン82を押圧パッド26の各貫通穴69から引き抜く。これにより、押圧パッド26の成型が完了する。
ところで、上記のように構成された定着装置18において、押圧パッド26にシート部材27を巻き付けると、シート部材27の使用量が増加する。このようにシート部材27の使用量が増加すると、比較的高価な材料(例えば、フッ素系の繊維材料)によってシート部材27が形成されている場合に、定着装置18の製造コストが上昇する恐れがある。
そこで、本実施形態では上記のように、押圧パッド26とシート部材27を押圧パッド26の成型時に一体化することで、押圧パッド26にシート部材27を巻き付けることなく、押圧パッド26にシート部材27を固定している。これに伴って、シート部材27の使用量を削減することができ、定着装置18の製造コストを低下させることが可能となる。
ところで、押圧パッド26にシート部材27を巻き付ける場合には、押圧パッド26の本体部65の下面65Loとシート部材27の第1シート部71の間に微小な空間が生じるため、この空間に潤滑剤を保持することができる。これに対して、上記のように押圧パッド26とシート部材27を押圧パッド26の成型時に一体化する場合には、図5に示されるように、押圧パッド26の本体部65の下面65Loにシート部材27の第1シート部71が密着する。そのため、押圧パッド26の本体部65の下面65Loとシート部材27の第1シート部71の間に空間は生じず、この空間に潤滑剤を保持することもできない。そのため、押圧パッド26とシート部材27を押圧パッド26の成型時に一体化する場合には、押圧パッド26にシート部材27を巻き付ける場合と比較して、押圧パッド26とシート部材27によって保持することができる潤滑剤の量が低下する可能性がある。これに伴って、定着ベルト22の内周面とシート部材27の第1シート部71の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給することができなくなり、定着ベルト22の摺動負荷が上昇する恐れがある。
そこで、本実施形態では、上記のように押圧パッド26に貫通穴69を設け、この貫通穴69に潤滑剤(図5の矢印Lu参照)を注入している。このような構成を採用することで、貫通穴69からシート部材27に潤滑剤を供給することが可能となる。そのため、定着装置18を長期間使用するような場合でも、シート部材27に含浸されている潤滑剤の量が著しく減少するのを防止することが可能となり、定着ベルト22の内周面とシート部材27の第1シート部71の摺接部分に十分な量の潤滑剤を供給することができ、定着ベルト22の摺動負荷の上昇を抑制することができる。
また、押圧パッド26の貫通穴69は、本体部65及び突出部68を貫通している。このような構成を採用することで、貫通穴69が本体部65のみを貫通しているような場合と比較して、貫通穴69の容積を広くすることが可能となり、貫通穴69に注入される潤滑剤の量を多くすることができる。
また、押圧パッド26の突出部68は、支持部材28の第1支持板91の第1搬送方向壁部93に設けられた取付穴97を貫通している。このような構成を採用することで、突出部68を利用して、支持部材28に対して押圧パッド26を位置決めすることが可能となる。
また、押圧パッド26の当接突部66は、支持部材28の第1支持板91の第1搬送方向壁部93に当接している。このような構成を採用することで、押圧パッド26の変形を抑制することが可能となる。
また、押圧パッド26の突出部68及び貫通穴69は、前後方向に間隔をおいて複数設けられ、各貫通穴69に潤滑剤が注入されている。このような構成を採用することで、前後方向における潤滑剤の量の偏りを抑制することが可能となる。
また、シート部材27は、定着ベルト22の回転方向における長さが定着ニップNよりも長くなるように形成され、定着ベルト22の回転方向における定着ニップNの上流側及び下流側において押圧パッド26の一部を巻き込むように設けられている。このような構成を採用することで、定着ベルト22が押圧パッド26に対して直接摺動するような事態を回避することができ、定着ベルト22の摺動負荷の上昇を抑制することが可能となる。
本実施形態では、押圧パッド26の貫通穴69が本体部65及び突出部68を貫通する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、押圧パッド26の貫通穴69が突出部68と対応する位置に設けられておらず、本体部65のみを貫通していても良い。
本実施形態では、すべての突出部68と対応する位置に貫通穴69を設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一部の突出部68と対応する位置のみに貫通穴69が設けられていても良い。
本実施形態では、押圧パッド26の突出部68と対応する位置のみに貫通穴69を設ける場合について説明したが、他の異なる実施形態では、押圧パッド26の突出部68と対応する位置だけでなく、押圧パッド26の突出部68と対応しない位置(例えば、押圧パッド26の当接突部66と対応する位置)にも貫通穴69が設けられていても良い。
本実施形態では、すべての貫通穴69に潤滑剤が注入される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一部の貫通穴69のみに潤滑剤が注入されていても良い。
本実施形態では、ヒーター24がハロゲンヒーターによって構成される場合について説明したが、他の異なる実施形態では、セラミックヒーターなどをヒーター24として用いても良い。
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用することも可能である。
1 プリンター(画像形成装置)
18 定着装置
22 定着ベルト
23 加圧ローラー(加圧部材)
26 押圧パッド(押圧部材)
27 シート部材
28 支持部材
65 本体部
66 当接突部
68 突出部
69 貫通穴
93 第1搬送方向壁部(定着ニップ側の壁部)
97 取付穴
Lu 潤滑剤
N 定着ニップ
18 定着装置
22 定着ベルト
23 加圧ローラー(加圧部材)
26 押圧パッド(押圧部材)
27 シート部材
28 支持部材
65 本体部
66 当接突部
68 突出部
69 貫通穴
93 第1搬送方向壁部(定着ニップ側の壁部)
97 取付穴
Lu 潤滑剤
N 定着ニップ
Claims (7)
- 定着ベルトと、
前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、
前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する押圧部材と、
前記押圧部材の前記定着ニップ側の面を覆い、前記定着ベルトの内周面と摺接するシート部材と、を備え、
前記押圧部材と前記シート部材は、前記押圧部材の成型時に一体化され、
前記押圧部材には、前記定着ニップ側の面から前記定着ニップとは反対側の面まで貫通する貫通穴が設けられ、前記貫通穴に潤滑剤が注入されていることを特徴とする定着装置。 - 前記押圧部材は、
前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する本体部と、
前記本体部の前記定着ニップとは反対側の面から突出する突出部と、を備え、
前記貫通穴は、前記本体部及び前記突出部を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記押圧部材に対して前記定着ニップとは反対側に設けられる支持部材を更に備え、
前記支持部材の前記定着ニップ側の壁部には、取付穴が設けられ、
前記突出部は、前記取付穴を貫通していることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記押圧部材に対して前記定着ニップとは反対側に設けられる支持部材を更に備え、
前記押圧部材は、前記本体部の前記定着ニップとは反対側の面から突出する当接突部を更に備え、前記当接突部は、前記支持部材の前記定着ニップ側の壁部に当接していることを特徴とする請求項2又は3に記載の定着装置。 - 前記突出部及び前記貫通穴は、前記定着ベルトの回転軸方向に間隔をおいて複数設けられ、前記各貫通穴に潤滑剤が注入されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記シート部材は、前記定着ベルトの回転方向における長さが前記定着ニップよりも長くなるように形成され、前記定着ベルトの回転方向における前記定着ニップの上流側及び下流側において前記押圧部材の一部を巻き込むように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015197597A JP2017072645A (ja) | 2015-10-05 | 2015-10-05 | 定着装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015197597A JP2017072645A (ja) | 2015-10-05 | 2015-10-05 | 定着装置及び画像形成装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017072645A true JP2017072645A (ja) | 2017-04-13 |
Family
ID=58538685
Family Applications (1)
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JP2015197597A Pending JP2017072645A (ja) | 2015-10-05 | 2015-10-05 | 定着装置及び画像形成装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2017072645A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019008241A (ja) * | 2017-06-28 | 2019-01-17 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 定着装置及び画像形成装置 |
JP2019132995A (ja) * | 2018-01-31 | 2019-08-08 | コニカミノルタ株式会社 | 定着装置および画像形成装置 |
EP3629097A1 (en) * | 2018-09-27 | 2020-04-01 | Ricoh Company, Ltd. | Fixing device and image forming apparatus incorporating the same |
-
2015
- 2015-10-05 JP JP2015197597A patent/JP2017072645A/ja active Pending
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